(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、重量物を支持しても容易に開閉することができ、耐久性に富み、回転動作がスムーズである原稿載置装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様1に記載の原稿載置装置は、原稿台と、その原稿台に対して、原稿台の第1の軸を中心として回転可能な原稿蓋体と、原稿蓋体に固定されたぜんまいバネと、そのぜんまいバネの中心軸に回転可能に固定された第1のプーリと、その第1のプーリに巻回されたロープとを備えた原稿載置装置であって、原稿台と原稿蓋体との間の角度を第1の軸を中心として小さくしたときに、ロープがぜんまいバネの付勢力に抗して第1のプーリを回転させることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の態様2は、態様1に記載の原稿載置装置であって、原稿台に、第1の軸とは異なる位置の第2の軸を中心として回転可能に固定された第2のプーリを備え、ロープは、原稿台と原稿蓋体との間の角度を第1の軸を中心として小さくしたときに、第2のプーリに係合することによってぜんまいバネの付勢力に抗して第1のプーリを回転させることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の態様3に記載の原稿載置装置は、原稿台と、その原稿台に対して、原稿台の第1の軸を中心として回転可能な中間体と、その中間体に対して、第1の軸とは異なる位置の第3の軸を中心として回転可能な原稿蓋体と、中間体に固定されたぜんまいバネと、そのぜんまいバネの中心軸に回転可能に固定された第1のプーリと、その第1のプーリに巻回されたロープと、原稿蓋体に回転可能に固定され、ロープに係合する第3のプーリと
を備え、原稿台と前記中間体との間の角度を前記第1の軸を中心として小さくしたときに、ロープがぜんまいバネの付勢力に抗して前記第1のプーリを回転させ、中間体と原稿蓋体との間の角度を第3の軸を中心として
大きくしたときに、第3のプーリがぜんまいバネの付勢力に抗してロープを引張することを特徴とするものである。
【0010】
本発明の態様4は、態様3に記載の原稿載置装置であって、原稿台と原稿蓋体とは、原稿の厚みに応じて、間隙が並行に変更可能であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の態様5は、態様4に記載の原稿載置装置であって、原稿台に、第1の軸とは異なる位置の第2の軸を中心として回転可能に固定された第2のプーリを備え、ロープは、原稿台と中間体との間の角度を第1の軸を中心として小さくしたとき、及び中間体と原稿蓋体との間の角度を第3の軸を中心として
大きくしたときに、第2のプーリに係合することによってぜんまいバネの付勢力に抗して第1のプーリを回転させることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の態様6は、態様5に記載の原稿載置装置であって、第2のプーリは、ロープと係合する第2のロープ係合溝と、その第2のロープ係合溝の両側に形成された第2の鍔部とを有し、第3のプーリは、ロープと係合する第3のロープ係合溝と、その第3のロープ係合溝の両側に形成された第3の鍔部とを有し、第2のロープ係合溝及び第3の鍔部又は第2の鍔部及び前記第3のロープ係合溝は、同一平面内で回転することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の態様7は、態様1乃至態様6の何れかに記載の原稿載置装置であって、第1のプーリには、ロープに係合する螺旋状の溝が形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の態様8は、態様1乃至態様7の何れかに記載の原稿載置装置であって、ぜんまいバネの中心軸において、第1のプーリの反対側に固定されたラチェットギアと、そのラチェットギアの回転を規制するストッパーレバーとを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
態様1の原稿載置装置は、原稿台と、その原稿台に対して、原稿台の第1の軸を中心として回転可能な原稿蓋体と、原稿蓋体に固定されたぜんまいバネと、そのぜんまいバネの中心軸に回転可能に固定された第1のプーリと、その第1のプーリに巻回されたロープとを備えている。そして、原稿台と原稿蓋体との間の角度を第1の軸を中心として小さくしたときに、ロープがぜんまいバネの付勢力に抗して第1のプーリを回転させるので、原稿台と原稿蓋体との間の角度を第1の軸を中心として小さくする場合には、第1のプーリがロープを引っ張り、ぜんまいバネを変形させる。これにより、ロープの軌道が安定し、原稿蓋体をスムーズに閉めることができる。
【0016】
一方、原稿蓋体を開ける場合には、ぜんまいバネの復元力を利用して、原稿蓋体に荷重が加わった場合であっても容易に原稿蓋体を開けることができる。また、ぜんまいバネ及び第1のプーリの回転を利用していることから、従来のコイルスプリング及びカムを回転させたものに比べて、耐久性が高く、異音の発生も生じ難い。
【0017】
態様2の原稿載置装置は、原稿台に、第1の軸とは異なる位置の第2の軸を中心として回転可能に固定された第2のプーリを備えている。そして、ロープは、原稿台と原稿蓋体との間の角度を第1の軸を中心として小さくしたときに、第2のプーリに係合することによってぜんまいバネの付勢力に抗して第1のプーリを回転させるので、蝶番装置自体の構成が簡略化されるうえ、ロープの軌道をさらに安定させて、原稿台と原稿蓋体とをよりスムーズに開閉させることができ、第2のプーリの回転を利用して、より耐久性を向上させ、異音の発生もさらに防止することができる。
【0018】
態様3の原稿載置装置は、原稿台と、その原稿台に対して、原稿台の第1の軸を中心として回転可能な中間体と、その中間体に対して、第1の軸とは異なる位置の第3の軸を中心として回転可能な原稿蓋体と、中間体に固定されたぜんまいバネと、そのぜんまいバネの中心軸に回転可能に固定された第1のプーリと、その第1のプーリに巻回されたロープと、原稿蓋体に回転可能に固定され、ロープに係合する第3のプーリとを備えている。
【0019】
そして、原稿台と中間体との間の角度を第1の軸を中心として小さくしたときに、ロープがぜんまいバネの付勢力に抗して第1のプーリを回転させ、中間体と原稿蓋体との間の角度を第3の軸を中心として
大きくしたときに、第3のプーリがぜんまいバネの付勢力に抗してロープを引張る。このため、原稿蓋体を閉める場合には、第1のプーリがロープを引っ張り、ぜんまいバネを変形させるので、ロープの軌道が安定し、原稿蓋体をスムーズに閉めることができる。
【0020】
一方、原稿蓋体を開ける場合には、ぜんまいバネの復元力を利用して、原稿蓋体に荷重が加わった場合であっても容易に原稿蓋体を開けることができる。また、ぜんまいバネ及び第1のプーリの回転を利用していることから、従来のコイルスプリング及びカムを回転させたものに比べて、耐久性が高く、異音の発生も生じ難い。さらに、中間体に対する原稿蓋体の回転によって、原稿の厚みが変わった場合においても、原稿を原稿台と原稿蓋体との間にうまく挟むことができる。
【0021】
態様4の原稿載置装置においては、原稿台と原稿蓋体とは、原稿の厚みに応じて、間隙が並行に変更可能であるので、原稿の厚みが変わった場合においても、原稿を原稿台と原稿蓋体との間にうまく挟むことができる。
【0022】
態様5の原稿載置装置は、原稿台に、第1の軸とは異なる位置の第2の軸を中心として回転可能に固定された第2のプーリを備えている。そして、ロープは、原稿台と中間体との間の角度を第1の軸を中心として小さくしたとき、及び中間体と原稿蓋体との間の角度を第3の軸を中心として
大きくしたときに、第2のプーリに係合することによってぜんまいバネの付勢力に抗して第1のプーリを回転させる。このため、蝶番装置自体の構成が簡略化されるうえ、ロープの軌道をさらに安定させて、原稿台と原稿蓋体とをよりスムーズに開閉させることができ、第2のプーリの回転を利用して、より耐久性を向上させ、異音の発生もさらに防止することができる。
【0023】
態様6の原稿載置装置においては、第2のプーリは、ロープと係合する第2のロープ係合溝と、その第2のロープ係合溝の両側に形成された第2の鍔部とを有し、第3のプーリは、ロープと係合する第3のロープ係合溝と、その第3のロープ係合溝の両側に形成された第3の鍔部とを有している。そして、第2のロープ係合溝及び第3の鍔部又は第2の鍔部及び第3のロープ係合溝は、同一平面内で回転するので、原稿蓋体を開閉する際の機構の長さを短縮することができ、原稿載置装置自体をコンパクトに設計することができる。
【0024】
態様7の原稿載置装置において、第1のプーリには、ロープに係合する螺旋状の溝が形成されているので、ロープの軌道をさらに安定させて、原稿蓋体をさらにスムーズに開閉させることができる。
【0025】
態様8の原稿載置装置は、ぜんまいバネの中心軸において、第1のプーリの反対側に固定されたラチェットギアと、そのラチェットギアの回転を規制するストッパーレバーとを備えている。これによれば、ぜんまいバネのバネ力の調整を容易に行うことができ、延いては、ロープの軌道の安定化を容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る蝶番装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係る蝶番装置を示す左側断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態に係る蝶番装置を示す一部破断斜視図である。
【
図4】
図4(a)は、本発明の第1実施形態に係る蝶番装置において、第2筐体を回動した際の一部破断斜視図であり、
図4(b)は
図4(a)における第1プーリを示す拡大図である。
【
図5】
図5(a)は、本発明の第1実施形態に係る蝶番装置において、第2筐体を全開した状態を示す斜視図であり、
図5(b)は、
図5(a)の状態における左側断面図である。
【
図6】
図6(a)は、本発明の第1実施形態に係る蝶番装置において、第2筐体を回動する途中の状態を示す斜視図であり、
図6(b)は、
図6(a)の状態における左側断面図である。
【
図7】
図7(a)は、本発明の第1実施形態に係る蝶番装置において、第2筐体を回動する途中の状態を示す斜視図であり、
図7(b)は、
図7(a)の状態における左側断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1実施形態に係る蝶番装置の右側面図であり、ラチェットギアを示すものである。
【
図9】
図9は、本発明の第2実施形態に係る蝶番装置を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2実施形態に係る蝶番装置を後方から見た際の斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2実施形態に係る蝶番装置を示す左側断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2実施形態に係る蝶番装置を示す一部破断斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2実施形態に係る蝶番装置を示す要部後面図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2実施形態に係る蝶番装置において、第2筐体を全開した状態を示す斜視図であり、
図14(b)は、
図14(a)の状態における左側断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の第2実施形態に係る蝶番装置において、第2筐体に対して第3筐体を回動させた状態を示す左側断面図である。
【
図16】
図16(a)は、本発明の第3実施形態に係る原稿載置装置を示す斜視図であり、
図16(b)は、本発明の第3実施形態に係る原稿載置装置を示す左側断面図である。
【
図17】
図17は、本発明の第3実施形態に係る原稿載置装置において、原稿蓋体を完全に閉じている状態を示す要部斜視図である。
【
図20】
図20(a)は、本発明の第3実施形態に係る原稿載置装置において、原稿蓋体を回動した際の一部破断斜視図であり、
図20(b)は
図20(a)における第1プーリを示す拡大図である。
【
図21】
図21(a)は、本発明の第3実施形態に係る原稿載置装置において、原稿蓋体を全開した状態を示す斜視図であり、
図21(b)は、
図21(a)の状態における左側断面図である。
【
図22】
図22(a)は、本発明の第3実施形態に係る原稿載置装置において、原稿蓋体を回動する途中の状態を示す斜視図であり、
図22(b)は、
図22(a)の状態における左側断面図である。
【
図23】
図23は、本発明の第3実施形態に係る原稿載置装置の右側面図であり、ラチェットギアを示すものである。
【
図24】
図24(a)は、本発明の第4実施形態に係る原稿載置装置を示す斜視図であり、
図24(b)は、本発明の第4実施形態に係る原稿載置装置を示す左側断面図である。
【
図25】
図25(a)は、本発明の第4実施形態に係る原稿載置装置において、原稿蓋体を完全に閉じている状態を示す要部斜視図であり、
図25(b)は、
図25(a)の状態における左側断面図である。
【
図26】
図26(a)は、本発明の第4実施形態に係る原稿載置装置において、原稿蓋体を全開した状態を示す斜視図であり、
図26(b)は、
図26(a)の状態における左側断面図である。
【
図27】
図27(a)は、本発明の第4実施形態に係る原稿載置装置において、原稿蓋体を回動する途中の状態を示す斜視図であり、
図27(b)は、
図27(a)の状態における左側断面図である。
【
図28】
図28は、本発明の第4実施形態に係る原稿載置装置を示す一部破断斜視図である。
【
図29】
図29は、本発明の第4実施形態に係る原稿載置装置を示す要部後面図である。
【
図30】
図30(a)は、本発明の第4実施形態に係る原稿載置装置において、原稿台と原稿蓋体との間に厚い原稿を挟んだ状態を示す要部斜視図であり、
図30(b)は、
図30(a)の状態における左側断面図である。
【
図31】
図31(a)は、本発明の第4実施形態に係る原稿載置装置において、原稿台と原稿蓋体との間に薄い原稿を挟んだ状態を示す要部斜視図であり、
図31(b)は、
図31(a)の状態における左側断面図である。
【
図32】従来の片持ちヒンジ機構の閉状態における模式図である。
【
図33】従来の片持ちヒンジ機構の開状態における模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
[第1実施形態]
以下においては、本発明の第1実施形態に係る蝶番装置について説明する。
図1に示すように、本実施形態の蝶番装置100は、第1の筐体1と、第1の筐体1に開閉可能に連結された第2の筐体2とを備えている。第2の筐体2は、第1の筐体1に設けられている第1の軸(シャフト6)を中心として回転可能とされている。
【0028】
まず、第1の筐体1について説明する。
図2及び
図3に示すように、第1の筐体1は、底部を形成する長方形状の固定板4と、固定板4の後端部両側縁に立設される互いに平行な一対の起立片5を有する。起立片5の後端縁上部には受け片12が後方へ向けて突設している。
図3に示すように、左右一対の起立片5間には、上述した第1の軸(シャフト6)が架設され、起立片5には第1の軸(シャフト6)を中心とする円弧状の第1ガイド孔7が形成されている。
【0029】
また、
図3に示すように、一対の起立片5の間において、シャフト6にはエンドプーリ8が固定されている。
図4(a)に示すように、エンドプーリ8の側面には、第1ガイド孔7に挿通されるストッパピン9が設けられている。このストッパピン9は、エンドプーリ8に対して一体で設けられていてもよく、又は別体で設けられていてもよい。そして、第2の筐体2を回転させた際には、ストッパピン9が後述する第2の筐体2の第2ガイド孔17を摺動し、係合することで第2の筐体2の回転が規制されるようになっている(
図5(a)参照)。
【0030】
さらに、
図3に示すように、エンドプーリ8の上方において、第1筐体1の一対の起立片5間には第2の軸(ガイドプーリ用軸10)が架設され、その第2の軸(ガイドプーリ用軸10)の外周には第2のプーリ(ガイドプーリ11)が取り付けられている。この第2のプーリ(ガイドプーリ11)は、第2の軸(ガイドプーリ用軸10)を中心として回転可能に固定されている。
【0031】
また、
図3に示すように、第2のプーリ(ガイドプーリ11)は、後述するロープ25を係合させる凹部形状の第2のロープ係合溝11aを有しており、且つ、そのロープ係合溝11aの両側には第2の鍔部11bが設けられている。これにより、第2のプーリ(ガイドプーリ11)に対するロープ25の固定状態が安定化されるようになる。しかしながら、この第2のロープ係合溝11aは、構成の簡素化を目的として省略されてもよい。すなわち、平坦な表面を有する第2のプーリ(ガイドプーリ)を用いてもよい。
【0032】
なお、本実施形態においては、ロープ25を係合させる手段として第2のプーリ(ガイドプーリ11)を用いたが、これをリブ又はローラに変更してもよい。すなわち、リブ又はローラにロープ25を巻き付ける構成を採用してもよい。
【0033】
また、本実施形態においては、第1筐体1に第2プーリ(ガイドプーリ11)を設けたが、例えば、第1筐体1の起立片5に取り付けられた別の筐体(図示せず)に第2プーリ(ガイドプーリ11)を設けてもよい。
【0034】
次に、第2の筐体2について詳細に説明する。
図1に示すように、第2の筐体2は、上板13の両側縁から下方へ向けて互いに平行な側壁14を設けて成る。側壁14の下端には、フランジ14aが直角に張り出している。そして、左右の側壁14の下端の前方部及び後方部はそれぞれ補強棒15で連結されている(
図3参照)。
【0035】
図1に示すように、側壁14の後縁下端部にはそれぞれ連結片16が後方へ向けて突設され、左右一対の連結片16を上述した第1の軸(シャフト6)の両端部が貫通している。これにより、第1の筐体1と第2の筐体2とが第1の軸(シャフト6)を中心として開閉可能に連結されている(
図5(a)参照)。
【0036】
また、
図1に示すように、連結片16には、シャフト6を中心とする円弧状の第2ガイド孔17が形成されている。この第2ガイド孔17は上述した第1ガイド孔7に連通しており、第2ガイド孔17にエンドプーリ8のストッパピン9が摺動可能に係合している。すなわち、
図5(a)に示すように、第2の筐体2が第1の軸(シャフト6)を中心として回転した際には、ストッパピン9が第2ガイド孔17の端縁に係合することで、第2の筐体2が開放状態で固定されるようになっている。
【0037】
図3に示すように、左右の側壁14間にはぜんまいシャフト18が架設され、ぜんまいシャフト18にぜんまいケース19が回動可能に取り付けられている。ぜんまいケース19の内部には図示しないぜんまいバネが収納される。ぜんまいバネの中心側端部(基端)はぜんまいシャフト18に固定され、ぜんまいバネの外周側端部(自由端)はぜんまいケース19に固定されている。なお、本実施形態においては、ぜんまい方式を用いているが、これをねじりコイル方式に変更してもよい。
【0038】
ぜんまいケース19の側面には、ぜんまいバネの中心軸、すなわちぜんまいシャフト18を介して回転可能に固定されている第1のプーリ(巻き上げプーリ22)が設けられている。
【0039】
第1のプーリ(巻き上げプーリ22)の側面には小径部23が一体で形成されており、ロープ25の一端側が小径部23に巻き付けられて、その先端が第1のプーリ(巻き上げプーリ22)に固定されている。すなわち、ロープ25はぜんまいバネの付勢力により、巻き付け方向へと力が加えられている。
【0040】
なお、
図3に示すように、ロープ25の他端側はエンドプーリ8の外周囲に後方から係合し、その先端がエンドプーリ8のロープ取付部8aに固定されている。そして、第2のプーリ(ガイドプーリ11)がロープ25の軌道の前方において、ロープ25と係合可能な位置に設置されている。
【0041】
また、
図4(b)に示すように、第1のプーリ(巻き上げプーリ22)の小径部23には、ロープ25に係合する螺旋状の溝23aが設けられている。これによれば、第1のプーリ(巻き上げプーリ22)に対してロープ25が固定されるため、ロープ25の軌道がさらに安定し、第1の筐体1と第2の筐体2とをさらにスムーズに開閉させることが可能となる。
【0042】
なお、上述した第1のプーリ(小径部23)における溝23aは省略されてもよい。この場合、第1のプーリ(小径部23)の構成が簡素なものとなり、製造コストの低下が可能となる。
【0043】
そして、例えば、
図5(a),(b)に示す状態から
図6(a),(b)に示す状態を経て
図7(a),(b)に示す状態へと、第1の筐体1と第2の筐体2との間の角度を第1の軸(シャフト6)を中心として小さくしたとき、すなわち、シャフト6を中心として第2の筐体2を閉じる場合、ぜんまいケース19及び第1のプーリ(巻き上げプーリ22)が第1の筐体1の前下方に移動し、第1のプーリ(巻き上げプーリ22)とエンドプーリ8との間に架設されたロープ25に第2のプーリ(ガイドプーリ11)が下から係合して、ロープ25の軌道が長くなる。この結果、ロープ25の一端がぜんまいバネの付勢力に抗して引っ張られて、第1のプーリ(巻き上げプーリ22)及びぜんまいケース19を回転させる。
【0044】
すなわち、第1の筐体1と第2の筐体2との間の角度を第1の軸(シャフト6)を中心として小さくする場合には、第1のプーリ(巻き上げプーリ22)がロープ25を引っ張り、ぜんまいバネを変形させるので、ロープ25の軌道が安定し、第1の筐体1に対して第2の筐体2をスムーズに閉めることができる。
【0045】
そして、
図1及び
図2に示すように、第2の筐体2を完全に閉じると、第2の筐体2に取り付けられた部材Xが、第1の筐体1に一体で設けられた部材Yに重ねられた状態で、第2の筐体2はその位置にとどまる。このとき、
図1に示すように、ストッパピン9は、第1ガイド孔7(図示略)の下端に係合し、第2ガイド孔17の上端部或いは中間部に係合している。
【0046】
一方、
図7(a),(b)に示す状態から
図6(a),(b)に示す状態を経て
図5(a),(b)に示す状態へと、第1の筐体1と第2の筐体2との間の角度を第1の軸(シャフト6)を中心として大きくする場合、すなわち、第2の筐体2を押し上げる場合には、ぜんまいバネの復元力を利用して、第1の筐体1又は第2の筐体2に荷重が加わった場合であっても、同ぜんまいバネの復元力によって、第1の筐体1に対して第2の筐体2を容易に開くことができる。また、ぜんまいバネ及び第1のプーリ(巻き上げプーリ22)の回転を利用していることから、従来のコイルスプリング及びカムを回転させたものに比べて、耐久性が高く、異音の発生も生じ難い。
【0047】
そして、
図5(a)に示すように、第2の筐体2が所定角度まで開いて開放限界に達した場合、第2ガイド孔17の下端にストッパピン9が係合し、突起24が第1の筐体1の受け片12に当たって、第2の筐体2の回動が停止する。
【0048】
また、上述したように、本実施形態の蝶番装置100には、第1の筐体1に、第1の軸(シャフト6)とは異なる位置の第2の軸(ガイドプーリ用軸10)を中心として回転可能に固定された第2のプーリ(ガイドプーリ11)を備えている(
図3参照)。
【0049】
このとき、
図5に示す状態から
図7に示す状態へと、第1の筐体1と第2の筐体2との間の角度を第1の軸(シャフト6)を中心として小さくしたとき、すなわち、シャフト6を中心として第2の筐体2を閉じる場合に、ロープ25は第2のプーリ(ガイドプーリ11)に係合することによってぜんまいバネの付勢力に抗して第1のプーリ(巻き上げプーリ22)を回転させるので、蝶番装置100自体の構成が簡略化されるうえ、ロープ25の軌道をさらに安定させて、第1の筐体1に対して第2の筐体2をよりスムーズに開閉させることができる。
そして、第2のプーリ(ガイドプーリ11)の回転を利用して、より耐久性を向上させ、異音の発生もさらに防止することができる。
【0050】
また、
図8に示すように、ぜんまいバネの中心軸(ぜんまいシャフト18)の一端部において、上述した第1のプーリ(巻き上げプーリ22)の反対側に位置する側壁14には、ラチェットギア20が固定されている。このラチェットギア20の下方には、ストッパレバー21が設けられている。そして、ストッパレバー21の先端爪21aがラチェットギア20の歯に択一的に係合してその回転を規制するようになっている。
【0051】
ストッパレバー21は、先端爪21aがラチェットギア20に接離するよう、側壁14に回動可能に取り付けられ、コイルバネ21bによって先端爪21aがラチェットギア20に接近する方向へ付勢されている。従って、ぜんまいシャフト18を工具で回転させて、ラチェットギア20のストッパレバー21による係合位置を変えることにより、ぜんまいバネの中心側端部の位置を変えることができる。なお、ぜんまいシャフト18の一端面には、工具掛け溝18aを形成すると便利である。
【0052】
このように、本実施形態の蝶番装置100においては、ぜんまいバネの中心軸(ぜんまいシャフト18)において、第1のプーリ(巻き上げプーリ22)の反対側に固定されたラチェットギア20と、そのラチェットギア20の回転を規制するストッパーレバー21とを設けているので、ぜんまいバネのバネ力の調整を容易に行うことができ、延いては、ロープ25の軌道の安定化を容易に確保することができる。
【0053】
なお、こうしたラチェットギア20及びストッパーレバー21は省略されてもよい。この場合、部品点数が削減されることとなり、製造コストの低下が可能となる。
【0054】
[第2実施形態]
以下においては、本発明の第2実施形態に係る蝶番装置について説明する。ここでは、上述した第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0055】
図9に示すように、第2実施形態の蝶番装置200においては、上述した第2筐体2に対して第3の軸(シャフト29)を中心として回転可能な第3の筐体3を有している。より詳しくは、第2の筐体2の側壁14及び第3の筐体3の外側壁28の上前角部を第3の軸(シャフト29)が貫通し、第2の筐体2に対して第3の筐体3が、この第3の軸(シャフト29)を中心として回動可能に連結されている。
【0056】
第3の筐体3は、天板27と、天板27の両側縁から下方に延びる外側壁28を有している。外側壁28の下端には、各々フランジ30が直角に張り出している。
【0057】
図9及び
図10に示すように、左右の外側壁28には、ぜんまいシャフト18の両端部と係合し得る長孔32が形成されている。長孔32は、第3の軸(シャフト29)を中心とする円弧状であり、第3の筐体3が第3の軸(シャフト29)を中心として回動すると、ぜんまいシャフト18の両端部が長孔32に沿って摺動するようになっている。そして、長孔32の端縁にぜんまいシャフト18の端部が係合したとき、第2の筐体2に対する第3の筐体3の回動が停止されるようになっている。
【0058】
さらに、
図10に示すように、第3の筐体3の一方の外側壁28には円弧状孔34が設けられている。そして、第3の筐体3が第3の軸(シャフト29)を中心として回動する際には、第2の筐体2の側壁14の外面に設けられたストッパ用ビス33が円弧状孔34に沿って摺動し、同ストッパ用ビス33が円弧状孔34に係合することにおいても、第2の筐体2に対する第3の筐体3の回転が停止されるようになっている。
【0059】
図11に示すように、他方の外側壁28の内面には、第2の軸(ガイドプーリ用軸10)と平行で、第2の筐体2の内側に延びるテンションプーリ用軸35が突出され、テンションプーリ用軸35の外周囲に第3のプーリ(テンションプーリ31)が回転可能に取り付けられている。この第3のプーリ(テンションプーリ31)は、第3の筐体3に回転可能に固定されており、ロープ25に下方から係合するようになっている。さらに、第2の筐体2の側壁14には、他のガイドプーリ26が回動可能に取り付けられる。他のガイドプーリ26は第1のプーリ(巻き上げプーリ22)の小径部23の下前方に設置され、ロープ25が下方から係合している。
【0060】
なお、
図12に示すように、第3のプーリ(テンションプーリ31)の回動中心軸であるテンションプーリ用軸35、第2のプーリ(ガイドプーリ11)の回動中心軸であるガイドプーリ用軸10、第2の筐体2と第3の筐体3との回動中心軸である第3の軸29、第1の筐体1と第2の筐体2との回動中心軸であり、エンドプーリ8の回動中心軸である第1の軸(シャフト6)、及び、第1のプーリ(巻き上げプーリ22)の回動中心軸であるぜんまいシャフト18は全て平行に配設されている。
【0061】
図13に示すように、第3のプーリ(テンションプーリ31)は、ロープ25に係合する第3の係合溝31aと、その係合溝31aの両側に設けられている第3の鍔部31bを有している。これにより、第3のプーリ(テンションプーリ31)に対するロープ25の固定状態が安定化されるようになる。
【0062】
また、
図13に示すように、本実施形態の第2のプーリ(ガイドプーリ11)及び第3のプーリ(テンションプーリ31)においては、第2のロープ係合溝11a及び第3の鍔部31b、又は第2の鍔部11b及び第3のロープ係合溝31aは、同一平面内で回転するように構成することが好ましい。これによれば、第1の筐体1、第2の筐体2及び第3の筐体3の開閉する際の機構の長さを短縮することができ、蝶番装置200自体をコンパクトに設計することができる。
【0063】
ここで、
図14(a),(b)に示すような第2の筐体2が開放されている状態から、
図15に示すように、第2の筐体2と第3の筐体3との間の角度を、第3の軸(シャフト29)を中心として
大きくしたとき、すなわち、第2の筐体2に対して第3の筐体3を下方へ回動させたとき、第3のプーリ(テンションプーリ31)が後方へ移動することにより、ぜんまいバネの付勢力に抗してロープ25を引張る。
【0064】
このとき、
図15に示すように、第2の筐体2が開放された状態で位置が固定されたまま、第3の筐体3が第3の軸(シャフト29)を中心として回転し、第3の筐体3の下面K1と第1の筐体1の下面K2とが所定の間隔をおいて並行となる。すなわち、本実施形態においては、第3の筐体3が第3の軸(シャフト29)を中心として回転したとき、例えば、第3の筐体3に取り付けられた部材Zと第1の筐体1に取り付けられた部材Yとの間に所望の厚みの部材(図示略)をうまく挟むことができる。
【0065】
加えて、第2の筐体2と第3の筐体3とを一体で閉める場合には、第1のプーリ(巻き上げプーリ22)がロープ25を引っ張り、ぜんまいバネを変形させるので、ロープ25の軌道が安定し、第2の筐体2と第3の筐体3とをスムーズに閉めることができる。
【0066】
一方、第2の筐体2と第3の筐体3とを開ける場合、すなわち、
図15に示す状態から
図14に示す状態へと第3の筐体3を回動させる場合には、ぜんまいバネの復元力を利用して、仮に第3の筐体3に荷重が加わった場合であっても第3の筐体3を容易に開けることができる。また、ぜんまいバネ及び第1のプーリ(巻き上げプーリ22)の回転を利用していることから、従来のコイルスプリング及びカムを回転させたものに比べて、耐久性が高く、異音の発生も生じ難い。
【0067】
また、本実施形態においては、第1実施形態と同様、第1の筐体1に、第1の軸(シャフト6)とは異なる位置の第2の軸(ガイドプーリ用軸10)を中心として回転可能に固定された第2のプーリ(ガイドプーリ11)を備えている。
【0068】
そして、ロープ25は、第1の筐体1と第2の筐体2との間の角度を第1の軸(シャフト6)を中心として小さくしたとき、及び第2の筐体2と第3の筐体3との間の角度を第3の軸(シャフト29)を中心として
大きくしたときに、第2のプーリ(ガイドプーリ11)に係合することによってぜんまいバネの付勢力に抗して第1のプーリ(巻き上げプーリ22)を回転させる。このため、蝶番装置200自体の構成が簡略化されるうえ、ロープ25の軌道がさらに安定し、第1の筐体1と第2の筐体2、及び第2の筐体2と第3の筐体3とをよりスムーズに開閉させることができ、第2のプーリ(ガイドプーリ11)の回転を利用して、より耐久性を向上させ、異音の発生もさらに防止することができる。
【0069】
[第3実施形態]
以下においては、本発明の第3実施形態に係る原稿載置装置について説明する。
図16(a)及び(b)に示すように、本実施形態の原稿載置装置300は、原稿台350と、その原稿台350に設けられた第1の軸(シャフト306)を中心として回転可能に固定されている原稿蓋体360とを備えている。
【0070】
まず、原稿台350について以下に説明する。
図17及び
図18に示すように、原稿台350は、原稿を載置する平板状の台部材352と、その台部材352に一体で設けられている第1の筐体301とを備えている。
【0071】
本実施形態における第1の筐体301は、上述した第1実施形態における第1の筐体1と同様の構成を有している。すなわち、
図19及び
図20に示すように、第1の筐体301は、台部材352に接する底部を形成する長方形状の固定板304と、固定板304の後端部両側縁に立設される互いに平行な一対の起立片305を有する。起立片305の後端縁上部には受け片312が後方へ向けて突設している。一対の起立片305間には、上述した第1の軸(シャフト306)が架設され、起立片305には第1の軸(シャフト306)を中心とする円弧状の第1ガイド孔307が形成されている。
【0072】
また、左右の起立片305の間において、第1の軸(シャフト306)にはエンドプーリ308が固定されている(
図19参照)。
図20に示すように、エンドプーリ308の側面には、第1ガイド孔307に挿通されるストッパピン309が一体で設けられている。そして、原稿蓋体360を回転させた際には、ストッパピン309が後述する原稿蓋体360(第2の筐体302)の第2ガイド孔317を摺動し、係合することで原稿蓋体360の回転が規制されるようになっている。
【0073】
さらに、
図19に示すように、エンドプーリ308の上方において、第1の筐体301の一対の起立片305間には第2の軸(ガイドプーリ用軸310)が架設され、その第2の軸(ガイドプーリ用軸310)の外周には第2のプーリ(ガイドプーリ311)が取り付けられている。この第2のプーリ(ガイドプーリ311)は、第2の軸(ガイドプーリ用軸310)を中心として回転可能に固定されている。また、第2のプーリ(ガイドプーリ311)は、ロープ325を係合させる第2のロープ係合溝311aを有しており、且つ、その係合溝311aの両側には第2の鍔部311bが設けられている。これにより、第2のプーリ(ガイドプーリ311)に対するロープ325の固定状態が安定化されるようになる。
【0074】
なお、本実施形態においては、ロープ325を係合させる手段として第2のプーリ(ガイドプーリ311)を用いたが、これをリブ又はローラに変更してもよい。すなわち、リブ又はローラにロープを巻き付ける構成を採用してもよい。
【0075】
また、本実施形態においては、第1筐体301に第2プーリ(ガイドプーリ311)を設けたが、例えば、第1筐体1の起立片305に取り付けられた別の筐体(図示せず)に第2プーリ(ガイドプーリ311)を設けてもよい。
【0076】
次に、原稿蓋体360について説明する。
図17及び
図18に示すように、原稿蓋体360は、上述した第1の筐体301の第1の軸(シャフト306)を中心に回動可能に固定されている第2の筐体302と、この第2の筐体302に取り付けられている蓋部材362とを備えている。
【0077】
本実施形態における第2の筐体302は、上述した第1実施形態における第2の筐体2と同様の構成を有している。すなわち、
図17に示すように、第2の筐体302は、上板313の両側縁から下方へ向けて互いに平行な側壁314を設けて成る。側壁314の下端には、フランジ314aが直角に張り出しており、このフランジ314aを介して、第2の筐体302に蓋部材362が取り付けられている(
図21(a)参照)。左右一対の側壁314の下端の前方部及び後方部はそれぞれ補強棒315で連結されている。
図17に示すように、左右一対の側壁314の後縁下端部にはそれぞれ連結片316が後方へ向けて突設され、左右の連結片316を上述した第1の軸(シャフト306)の両端部が貫通している。これにより、原稿台350(第1の筐体301)と原稿蓋体360(第2の筐体302)とが第1の軸(シャフト306)を中心として開閉可能に連結されている。
【0078】
また、
図17に示すように、連結片316には、シャフト306を中心とする円弧状の第2ガイド孔317が形成されている。この第2ガイド孔317は上述した第1ガイド孔307(図示略)に連通しており、第2ガイド孔317にエンドプーリ308のストッパピン309が摺動可能に係合している。すなわち、原稿蓋体360が第1の軸(シャフト306)を中心として回転する際には、ストッパピン309が第2ガイド孔317の端縁に係合することで、原稿蓋体360が開放された状態で停止されるようになっている。
【0079】
図19に示すように、左右の側壁314間にはぜんまいシャフト318が架設され、ぜんまいシャフト318にぜんまいケース319が回動可能に取り付けられている。ぜんまいケース319の内部には図示しないぜんまいバネが収納される。ぜんまいバネの中心側端部(基端)はぜんまいシャフト318に固定され、ぜんまいバネの外周側端部(自由端)はぜんまいケース319に固定されている。なお、本実施形態においては、ぜんまい方式を用いているが、これをねじりコイル方式に変更してもよい。
【0080】
ぜんまいケース319の側面には、ぜんまいバネの中心軸、すなわちぜんまいシャフト318を介して回転可能に固定されている第1のプーリ(巻き上げプーリ322)が設けられている。
【0081】
第1のプーリ(巻き上げプーリ322)の側面には小径部323が一体で形成されており、ロープ325の一端側が小径部323に巻き付けられて、その先端が第1のプーリ(巻き上げプーリ322)に固定されている。すなわち、ロープ325はぜんまいバネの付勢力により、巻き付け方向へと力が加えられている。
【0082】
なお、
図19に示すように、ロープ325の他端側はエンドプーリ308の外周囲に後方から係合し、その先端がエンドプーリ308のロープ取付部308aに固定されている。そして、第2のプーリ(ガイドプーリ311)がロープ25の軌道の前方において、ロープ325と係合可能な位置に設置されている。
【0083】
また、
図20(b)に示すように、第1のプーリ(巻き上げプーリ322)の小径部323には、ロープ325に係合する螺旋状の溝323aが設けられている。これによれば、第1のプーリ(巻き上げプーリ322)に対してロープ325が固定されるため、ロープ325の軌道がさらに安定し、第1の筐体301と第2の筐体302とをさらにスムーズに開閉させることが可能となる。
【0084】
なお、第1のプーリ(小径部323)における溝323aは省略されてもよい。この場合、構成が簡素なものとなり、製造コストの低下が可能となる。
【0085】
そして、例えば、
図21(a),(b)に示す状態から
図22(a),(b)に示す状態へと、原稿台350と原稿蓋体360との間の角度を第1の軸(シャフト306)を中心として小さくしたとき、すなわち、第1の軸(シャフト306)を中心として原稿蓋体360を閉じる場合、ぜんまいケース319及び第1のプーリ(巻き上げプーリ322)が第1の筐体301の前下方に移動し、第1のプーリ(巻き上げプーリ322)とエンドプーリ308との間に架設されたロープ325に第2のプーリ(ガイドプーリ311)が下から係合して、ロープ325の軌道が長くなる。この結果、ロープ325の一端がぜんまいバネの付勢力に抗して引っ張られて、第1のプーリ(巻き上げプーリ322)及びぜんまいケース319を回転させる。
【0086】
このため、第1の軸(シャフト306)を中心として原稿蓋体360を閉じる場合には、第1のプーリ(巻き上げプーリ322)がロープ325を引っ張り、ぜんまいバネを変形させるので、ロープ325の軌道が安定し、第1の筐体301に対して第2の筐体302をスムーズに閉めることができる。すなわち、原稿蓋体360をスムーズに閉めることができる。
【0087】
そして、
図17及び
図18に示すように、原稿蓋体360を完全に閉じると、蓋部材362が原稿台350(352)上に載せた原稿を押え、第2筐体302は蓋部材362の重量によってその位置にとどまり、原稿蓋体360の回動が停止する。このとき、ストッパピン309は、第1ガイド孔307(図示略)の下端に係合し、第2ガイド孔317の上端部或いは中間部に係合している(
図17参照)。
【0088】
一方、
図22に示す状態から
図21に示す状態へと、原稿台350と原稿蓋体360との間の角度を第1の軸(シャフト306)を中心として大きくする場合、すなわち、原稿蓋体360を開ける場合には、ぜんまいバネの復元力を利用して、原稿蓋体360に荷重が加わった場合であっても原稿蓋体360を容易に開けることができる。また、ぜんまいバネ及び第1のプーリ(巻き上げプーリ322)の回転を利用していることから、従来のコイルスプリング及びカムを回転させたものに比べて、耐久性が高く、異音の発生も生じ難い。
【0089】
また、上述したように、本実施形態の原稿載置装置300には、原稿台350(第1の筐体301)に、第1の軸(シャフト306)とは異なる位置の第2の軸(ガイドプーリ用軸310)を中心として回転可能に固定された第2のプーリ(ガイドプーリ311)を備えている(
図19参照)。
【0090】
このとき、
図21に示す状態から
図22に示す状態へと、原稿台350と原稿蓋体360との間の角度を第1の軸(シャフト306)を中心として小さくしたとき、すなわち、シャフト306を中心として原稿蓋体360を閉じる場合に、ロープ325は第2のプーリ(ガイドプーリ311)に係合することによってぜんまいバネの付勢力に抗して第1のプーリを回転させるので、蝶番装置(第1筐体、第2筐体)自体の構成が簡略化されるうえ、ロープ25の軌道をさらに安定させて、第1の筐体301と第2の筐体302とをよりスムーズに開閉させることができる。すなわち、原稿台350に対して原稿蓋体360をよりスムーズに開閉させることができるようになる。そして、第2のプーリ(ガイドプーリ311)の回転を利用して、より耐久性を向上させ、異音の発生もさらに防止することができる。
【0091】
図23に示すように、原稿蓋体360(第2の筐体302)に設けられたぜんまいバネの中心軸(ぜんまいシャフト318)の一端部において、上述した第1のプーリ(巻き上げプーリ322)の反対側に位置する側壁314には、ラチェットギア320が固定されている。また、このラチェットギア320の下方には、ストッパレバー321が設けられている。そして、ストッパレバー321の先端爪321aがラチェットギア320の歯に択一的に係合してその回転を規制するようになっている。
【0092】
ストッパレバー321は、先端爪321aがラチェットギア320に接離するよう、側壁314に回動可能に取り付けられ、コイルバネ321bによって先端爪321aがラチェットギア320に接近する方向へ付勢されている。従って、ぜんまいシャフト318を工具で回転させて、ラチェットギア320のストッパレバー321による係合位置を変えることにより、ぜんまいバネの中心側端部の位置を変えることができる。なお、ぜんまいシャフト318の一端面には、工具掛け溝318aを形成すると便利である。
【0093】
このように、本実施形態の原稿載置装置300においては、ぜんまいバネの中心軸(ぜんまいシャフト318)において、第1のプーリ(巻き上げプーリ322)の反対側に固定されたラチェットギア320と、そのラチェットギア320の回転を規制するストッパーレバー321とを設けているので、ぜんまいバネのバネ力の調整を容易に行うことができ、延いては、ロープ325の軌道の安定化を容易に確保することができる。
【0094】
なお、こうしたラチェットギア320及びストッパーレバー321は省略されてもよい。この場合、部品点数が削減されることとなり、製造コストの低下が可能となる。
【0095】
[第4実施形態]
以下においては、本発明の第4実施形態に係る原稿載置装置について説明する。ここでは、上述した第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0096】
図24及び
図25に示すように、本実施形態の原稿載置装置400は、原稿台450と、その原稿台450に対して、原稿台450の第1の軸(シャフト406)を中心として回転可能な中間体402と、その中間体402に対して、第1の軸(シャフト406)とは異なる位置の第3の軸(シャフト429)を中心として回転可能な原稿蓋体460とを備えている。
【0097】
なお、第4実施形態における原稿台450は、上述した第3実施形態における原稿台350と同様の構成を有している。また、第4実施形態における中間体402は、上述した第3実施形態における第2筐体302と同様の構成を有しており、ぜんまいバネや第1プーリ等の構成、機構も同様である。
【0098】
以下においては、第3実施形態とは異なる構成を有する原稿蓋体460について説明する。
図25及び
図26に示すように、本実施形態における原稿蓋体460は、平板状をなす蓋部材462と、その蓋部材462に一体で取り付けられている第3筐体403とから形成されている。
【0099】
本実施形態の第3筐体403は、上述した第2実施形態における第3筐体3と同様の構成を有している。すなわち、
図25(a)に示すように、第3筐体403は、天板427と、天板427の両側縁から下方に延びる外側壁428を有している。
図26(a)に示すように、外側壁428の下端には、フランジ430が直角に張り出している。このフランジ430を介して、第3筐体403に蓋部材462が取り付けられている。
【0100】
図25(a)に示すように、左右の外側壁428には、ぜんまいシャフト418の両端部と係合し得る長孔432が形成されている。長孔432は、第3の軸(シャフト429)を中心とする円弧状であり、原稿蓋体460(第3の筐体403)が第3の軸(シャフト429)を中心として回動すると、ぜんまいシャフト418の両端部が長孔432に沿って摺動するようになっている。そして、長孔432の端縁にぜんまいシャフト418の端部が係合したとき、中間体402に対する原稿蓋体460(第3の筐体403)の回動が停止されるようになっている。
【0101】
図28に示すように、一方の外側壁428の内面には、ガイドプーリ用軸310と平行で、中間体402の内側に延びるテンションプーリ用軸435が突出され、テンションプーリ用軸435の外周囲に第3のプーリ(テンションプーリ431)が回転可能に取り付けられている。なお、
図29においては、原稿台及び原稿蓋体は省略している。この第3のプーリ(テンションプーリ431)は、第3の筐体403に回転可能に固定されており、ロープ425に下方から係合するようになっている。さらに、中間体402の側壁には、他のガイドプーリ426が回動可能に取り付けられる。他のガイドプーリ426は第1のプーリ(巻き上げプーリ422)の小径部423の下前方に設置され、ロープ425が下方から係合している。
【0102】
なお、
図28に示すように、第3のプーリ(テンションプーリ431)の回動中心軸であるテンションプーリ用軸435、ガイドプーリ311の回動中心軸であるガイドプーリ用軸310、中間体402と第3の筐体403との回動中心軸である第3の軸429、第1の筐体401と中間体402との回動中心軸であり、エンドプーリ408の回動中心軸である第1の軸(シャフト406)、及び、第1のプーリ(巻き上げプーリ422)の回動中心軸であるぜんまいシャフト418は全て平行に配設されている。
【0103】
図29に示すように、第3のプーリ(テンションプーリ431)は、ロープ25に係合する第3の係合溝431aと、その係合溝431aの両側に設けられている第3の鍔部431bを有している。これにより、第3のプーリ(テンションプーリ431)に対するロープ425の固定状態が安定化されるようになる。
【0104】
また、
図29に示すように、本実施形態の第2のプーリ(ガイドプーリ311)及び第3のプーリ(テンションプーリ431)においては、第2のロープ係合溝311a及び第3の鍔部431b、又は第2の鍔部311b及び第3のロープ係合溝431aは、同一平面内で回転するように構成することが好ましい。これによれば、原稿台450、中間体402及び原稿蓋体460の各々を開閉する際の機構の長さを短縮することができ、原稿載置装置400自体をコンパクトに設計することができる。
【0105】
ここで、上述したように、本実施形態の原稿載置装置400は、原稿台450と、その原稿台450に対して、原稿台450の第1の軸(シャフト406)を中心として回転可能な中間体402と、その中間体402に対して、第1の軸(シャフト406)とは異なる位置の第3の軸(シャフト429)を中心として回転可能な原稿蓋体460を備えており、且つ、中間体402に固定されたぜんまいバネと、そのぜんまいバネの中心軸に回転可能に固定された第1のプーリ(巻き上げプーリ422)と、その第1のプーリ(巻き上げプーリ422)に巻回されたロープ425と、原稿蓋体に回転可能に固定され、ロープ425に係合する第3のプーリ431とを備えている。
【0106】
そして、原稿台450と中間体402との間の角度を第1の軸(シャフト406)を中心として小さくしたときに、ロープ425がぜんまいバネの付勢力に抗して第1のプーリ(巻き上げプーリ422)を回転させ、中間体402と原稿蓋体460との間の角度を第3の軸429を中心として
大きくしたときに、第3のプーリがぜんまいバネの付勢力に抗してロープ425を引張るようになっている。
【0107】
すなわち、まず、
図26(a),(b)の状態から
図27(a),(b)の状態へと、原稿蓋体460を回動したとき(原稿台450と中間体402との間の角度を第1の軸(シャフト406)を中心として小さくしたとき)には、第1のプーリ(巻き上げプーリ422)がロープ425を引っ張り、ぜんまいバネを変形させるので、ロープ425の軌道が安定し、原稿蓋体460を原稿台に対してスムーズに閉めることができる。
【0108】
且つ、
図27に示すような原稿蓋体460がある程度開放されている状態から、
図30(a),(b)に示すように、中間体402と原稿蓋体460との間の角度を、第3の軸(シャフト429)を中心として
大きくしたとき、すなわち、中間体402に対して原稿蓋体460を回動させたとき、第3のプーリ(テンションプーリ431)が後方へ移動することにより、ぜんまいバネの付勢力に抗してロープを引張り、ぜんまいバネを変形させるので、ロープ425の軌道が安定し、原稿蓋体460を中間体402に対してスムーズに閉めることができる。
【0109】
このとき、
図30(b)に示すように、中間体402が開放された状態で位置が固定されたまま、第3の筐体403が第3の軸(他のシャフト429)を中心として回動し、原稿蓋体460と原稿台450とが所定の間隔をおいて並行となることが可能となる。すなわち、本実施形態においては、原稿台450上に厚い原稿G1を載せたときは、原稿蓋体460が第3の軸(他のシャフト429)を中心として回動し、原稿蓋体460と原稿台450とが
図30(a),(b)に示すように並行に原稿G1を挟むことが可能となる。
また、
図31(a),(b)に示すように、原稿G1よりも厚みが薄い原稿G2を原稿台450上に載置した場合でも、中間体402が開放された状態で位置が固定されたまま、第3の筐体403が第3の軸(他のシャフト429)を中心として回動し、原稿蓋体460と原稿台450とが所定の間隔をおいて並行となった状態で、原稿G2を原稿蓋体460と原稿台450との間に挟むことが可能となる。
【0110】
すなわち、本実施形態の原稿載置装置によれば、原稿の厚みが変わった場合においても、原稿を原稿台450と原稿蓋体460との間にうまく挟むことができる。
【0111】
一方、原稿蓋体460を開ける場合には、ぜんまいバネの復元力を利用して、原稿蓋体460に荷重が加わった場合であっても容易に原稿蓋体460を開けることができる。また、ぜんまいバネ及び第1のプーリ(巻き上げプーリ422)の回転を利用していることから、従来のコイルスプリング及びカムを回転させたものに比べて、耐久性が高く、異音の発生も生じ難い。
【0112】
また、本実施形態においては、第3実施形態と同様、原稿台450に、第1の軸(シャフト406)とは異なる位置の第2の軸310を中心として回転可能に固定された第2のプーリ(ガイドプーリ311)を備えている。
【0113】
そして、ロープ425は、原稿台450と中間体402との間の角度を第1の軸(シャフト406)を中心として小さくしたとき、及び中間体402と原稿蓋体460との間の角度を第3の軸429を中心として
大きくしたときに、第2のプーリ(ガイドプーリ311)に係合することによってぜんまいバネの付勢力に抗して第1のプーリ(巻き上げプーリ422)を回転させる。このため、蝶番装置自体の構成が簡略化されるうえ、ロープ425の軌道をさらに安定させて、原稿台450と原稿蓋体460とをよりスムーズに開閉させることができ、第2のプーリ(ガイドプーリ311)の回転を利用して、より耐久性を向上させ、異音の発生もさらに防止することができる。