特許第6221073号(P6221073)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オリンピアの特許一覧

<>
  • 特許6221073-遊技機 図000002
  • 特許6221073-遊技機 図000003
  • 特許6221073-遊技機 図000004
  • 特許6221073-遊技機 図000005
  • 特許6221073-遊技機 図000006
  • 特許6221073-遊技機 図000007
  • 特許6221073-遊技機 図000008
  • 特許6221073-遊技機 図000009
  • 特許6221073-遊技機 図000010
  • 特許6221073-遊技機 図000011
  • 特許6221073-遊技機 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221073
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20171023BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   A63F5/04 512C
   A63F7/02 304D
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-213318(P2015-213318)
(22)【出願日】2015年10月29日
(65)【公開番号】特開2017-80186(P2017-80186A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2016年11月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100097995
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 悦一
(72)【発明者】
【氏名】山取 明広
【審査官】 岡崎 彦哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−187154(JP,A)
【文献】 特開2003−325738(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0265588(US,A1)
【文献】 特開2011−059263(JP,A)
【文献】 特開平02−309503(JP,A)
【文献】 特開2011−224253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射する光を透過するレンズ部材を有する発光装置を備えた遊技機であって、
前記レンズ部材は、前記光源側を向く入射面と、当該入射面の反対側を向く出射面とを備え、
前記出射面には、複数の六角形状の基準領域がハニカム状に並べて配置され、
前記基準領域は、長尺な複数の平坦面が互いに長手方向を揃えて断面三角波状に配置された平行四辺形状のプリズム面を3つ組み合わせて設けられ、
前記基準領域内の各プリズム面の前記平坦面の長手方向が120度ずつ異なり、
前記プリズム面の三角波状部分の両端面がそれぞれ三角面に形成され、これらの三角面が前記平坦面に対して傾斜しており、
前記両三角面の前記平坦面に対する傾斜角度が異なっている、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置を有する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシンやパチンコ遊技機等の遊技機では、演出のための発光装置を有し、例えば、様々な色の明かりの点灯と消灯が行えるようになっている。このような発光装置は、一般的に光源としてのLEDが複数互いに離れて搭載されたLED基板(光源基板)と、LED基板から離れて、このLED基板の前側(遊技者側)を覆い、遊技者に視認されるアウターレンズと、LED基板と、アウターレンズとの間に配置されるインナーレンズとを備える。
【0003】
アウターレンズは、発光装置の最も外側の表面を構成する部材であり、遊技者に直接または透明板を介して視認される。このアウターレンズは、例えば、キャラクタを示す絵や文字とその背景とから構成されており、絵や文字が立体的な造形となっていることが多い。また、アウターレンズが、キャラクタではなく、抽象的な模様を構成する場合もある。
【0004】
遊技機の装飾や演出に用いられる発光装置では、一般的にアウターレンズが面状に発光しているように見えることが望まれる。すなわち、LED基板の複数のLEDを点灯した際に、アウターレンズおよびインナーレンズを介して各LEDの光がそれぞれ略点状に見える状態ではなく、インナーレンズでLEDの光を拡散し、アウターレンズが面状に発光しているように見えるようになっていることが望まれる。
【0005】
例えば、上述のようなインナーレンズとして、主に光が入射する入射面(光源側を向いた面)が平坦面で、主に光が出射する出射面(アウターレンズ(遊技者)側を向いた面)に多数の凹凸が不規則に設けられて、透過する光を乱反射状態に散乱させる拡散板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、LEDを光源とした場合に、アウターレンズやインナーレンズを介してLEDが輝点となって見えるのを完全に防止することが難しいことから、LEDの光の一部を遊技者に輝点として見せるとともに、残りの光を拡散することにより、LEDの輝点を光の演出の一部としている発光装置が提案されている(特許文献2参照)。この場合のLEDの光の拡散には、インナーレンズの入射面に、同心円状に交互に繰り返し配置された円環状の溝と円環状の突条とを有する凹凸形状が用いられ、この凹凸形状(同心円)の中心部に対向してLEDが配置され、インナーレンズの凹凸の同心円の中央部を透過するLEDの光が輝点となって見えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−125674号公報
【特許文献2】特開2011−224252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、遊技機用の発光装置では、上述のようにLEDの輝点をわざと残して、演出的に利用することも考えられており、アウターレンズを略一様に面状発光させるだけではなく、遊技者の印象に残るような光かたをする発光装置が求められている。例えば、複数のカット面状の平坦面を備えるカット形状のガラスビーズを敷き詰めた面のようにキラキラ光る発光装置が求められている。
【0008】
なお、このようなガラスビーズは、反射光で光って見えることになるが、反射光の一部は、照射された光の一部がガラスビーズの内部に入り込んだ後に、内部で反射して再び外部に出射した光となり、表面で反射した光と、内部で反射した光とで、きらきら光ることになる。それに対して、上述の発光装置等のインナーレンズのようなレンズ部材は、主に透過光で光ることになり、反射光でキラキラ光るカット形状とは、異なるカット形状が求められる。
【0009】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、光源からの光を透過させて、複数の方向が異なる平坦面から出射する光によりキラキラ光らせることができるレンズ部材を用いた発光装置を備える遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の遊技機は、
光源から出射する光を透過するレンズ部材を有する発光装置を備えた遊技機であって、
前記レンズ部材は、前記光源側を向く入射面と、当該入射面の反対側を向く出射面とを備え、
前記出射面には、複数の六角形状の基準領域がハニカム状に並べて配置され、
前記基準領域は、長尺な複数の平坦面が互いに長手方向を揃えて断面三角波状に配置された平行四辺形状のプリズム面を3つ組み合わせて設けられ、
前記基準領域内の各プリズム面の前記平坦面の長手方向が120度ずつ異なることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、光源から発射された光は、レンズ部材を透過して出射面から出射されることになる。出射面には、長手方向を揃えた長尺な平坦面が断面三角波状に設けられたプリズム面を有するとともに、120度ずつ平坦面の長手方向がずれた3つのプリズム面から基準領域が構成され、複数の基準領域がハニカム状に配置されている。
【0012】
この場合に、プリズム面では、断面が波形としての三角波(さんかくは)状となっているので、基本的に平坦面は、三角形の2つの斜辺に対応して2方向を向くことになる。また、基準領域内では、3つのプリズム面が120度ずつずれた状態で配置されるので、基準領域内において、各平坦面は2×3の6方向を向くことになる。各基準領域では、各平坦面の向きの組み合わせが同じになるので、基本的には、六方向を向く複数の平坦面の組みあわせて多数の平坦面が配置されることになる。
【0013】
各平坦面から出射する光は、空気とレンズ部材の屈折率の違いにより出射角度が制限され、かつ、光の波長により屈折のしかたが異なることから、上述のように視点や見る方向を変化させた場合に、光る平坦面が変わったり、平坦面の光る色が変わったりすることで、きらきら光った状態となる。また、角度の異なる平坦面が規則的に配列されているので、出射面が一様にキラキラした状態となる。
【0014】
本発明の前記構成において、前記入射面には、同心状に配置された複数の環状凸部を備える同心円部が設けられていることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、光源からレンズ部材の入射面に入射する光は、入射面に同心状に設けられた複数の環状凸部を有する同心円部により拡散されてレンズ部材の出射面に向かい上述のように出射面の各平坦面から出射されるので、LEDの近傍だけ明るくなるのを防止し、出射面の広い範囲でキラキラする状態に出射面を光らせることができる。なお、各環状凸部は径が異なり、かつ、同心状に配置された環状凸部同士の間は、環状凹部となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、発光装置の表面を面状にほぼ一様に光らせるのではなく、多数の角度の異なる面から光を出射させてキラキラ光らせることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、その斜視図である。
図2】同、前扉を開いた状態の斜視図である。
図3】同、前扉の左右の発光装置とそれらを繋ぐ発光装置を示す斜視図である。
図4】同、左の発光装置を示す正面図である。
図5】同、右の発光装置を示す正面図である。
図6】同、左の発光装置の分解斜視鈴である。
図7】同、左の発光装置の1つのインナーレッズの入射面を示す図である。
図8】同、インナーレンズの出射面を示す図である。
図9】同、インナーレンズを示す斜視図である。
図10】同、インナーレンズの出射面を示す拡大図である。
図11】同、インナーレンズを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態は本発明を遊技機の一つであるスロットマシンに適用した場合を例にとって説明するが、本発明はスロットマシンに限ることなく、その他の遊技機に適用してもよい。
なお、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0019】
まず、発明が適用されるスロットマシンMの概略構成について説明する。
図1はスロットマシンMを示す斜視図、図2は前扉を開いた状態のスロットマシンMを示す斜視図である。
このスロットマシンMは、筐体1を備えており、この筐体1は、底板、左右の側板、天板および背板を備え、当該筐体1の正面側に開口する正面開口部を有する箱形に形成されている。なお、底板の上面には、各部品に電力を供給するための電源装置を内蔵した電源ユニット4、メダルを貯留するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパーユニット5等が設けられている。
【0020】
また、筐体1の正面には、筐体1の正面開口部を開閉可能に閉塞する前扉3が設けられており、この前扉3は、前記開口上部を開閉可能に閉塞する上扉30と、前記開口下部を開閉可能に閉塞する下扉40とを備えている。
前記筐体1内には、交換ユニット2が着脱可能に設けられている。交換ユニット2は、種々の部品を設置あるいは固定するための支持体としての枠体21と、この枠体21に固定されたリールユニット22および基板ユニット24とから構成されている。ここで、リールユニット22は、周囲に複数の図柄を表示した3個の回転リール22aと、回転リール22aを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)を有している。また、基板ユニット24は、CPU、ROM、RAM、I/O等の電子部品を備えた基板を、基板ケースに収納したものである。そして、基板ユニット24は、スロットマシンMの遊技を制御するための遊技制御装置として機能する。
【0021】
図1に示すように、上扉30の下部には表示窓31が設けられている。この表示窓31は上側ほど後側に向かうように水平面に対して傾斜して設けられ、この表示窓31の奥には、前記3個の回転リール22aが横一列に設けられている。各回転リール22aの外周面には複数種類の図柄が配列されており、回転リール22aが停止すると表示窓31を通して1リール当たり3個の図柄が表示される。スロットマシンMでは、横3本と斜め2本とからなる計5本の入賞有効ラインが設定されている。
そして、3個の回転リール22aが停止したときに入賞有効ライン上に停止した図柄の組み合わせによって当選役が入賞したか否かが表示される。
また、上扉30の上部には、表示窓31より大きい表示窓32がほぼ鉛直に設けられている。この表示窓32は上扉30に設けられた表示ユニット20(図2参照)の表示面を見るために設けられたものであり、この表示ユニット20では、その表示面に遊技機における演出用の画像が表示されるようになっている。
また、上扉30の表示窓32の上部には、報知や演出などを行うための照明装置34,35,34が左右に隣接して設けられ、表示窓32と表示窓31との間には報知や演出などを行うための横長の照明装置36が設けられている。
さらに、表示窓31の左右両側には報知や演出などを行うための照明装置37が設けられている。
また、上扉30の左右両側部には、報知や演出などを行うための照明装置38が合計4個設けられている。なお、図1においては、右側の照明装置37は右側下の照明装置38と重なって図示されていないが、実際は右側にも左側と同様の照明装置37が設けられている。
【0022】
また、上扉30は、図2に示すように、筐体1内に設けられた交換ユニット2にヒンジ39,39を介して回動可能に連結されることで、筐体1の開口上部を開閉するようになっている。また、下扉40は筐体1にヒンジ39,39を介して回動可能に連結されることで、筐体1の開口下部を開閉するようになっている。
【0023】
なお、このスロットマシンMは、分離型筐体タイプの構造を有するものであり、遊技店における機種の交換時に、上扉30が回動自在に取り付けられた交換ユニット2を交換するようになっており、機種の交換時に筐体1、下扉40および筐体1内の電源ユニット4やホッパーユニット5等は、遊技店の島設備に取り付けられたままで、交換されないようになっている。また、スロットマシンMは、分離型筐体タイプに限られるものではなく、機種交換時にスロットマシン全体を交換するものであってもよい。この場合に、前扉3を上扉30と下扉40に分けない一体の構造としてもよい。また、上扉30と下扉40とに分ける場合に、上扉30を、筐体1の側板にヒンジ39を介して回動自在に取り付けてもよい。
【0024】
下扉40は筐体1の開口下部を開閉可能に閉塞するための扉である。下扉40は、外枠に中枠を嵌め込んで構成されている。
下扉40の一方の縦方向の側縁部に下扉側蝶番が設けられている。そして、この下扉側蝶番を、筐体1の一方の側板に設けられた筐体側蝶番と係合させることで、下扉40は、筐体1の一方の側板に回動自在に取り付けられている。また、上扉30の下端部には、下扉40の前面より後方側で下扉40の上端より下側に突出する係合部が設けられ、下扉40が閉じた状態で、上扉30を開放することができない構造になっている。
【0025】
また、下扉40の上部には、スロットマシンMを操作するための操作部50が設けられている。操作部50には、クレジットされたメダルを払い出すための精算スイッチ52、ゲームを開始させるためのスタートレバー53、回転リール22aの回転を停止させるためのストップスイッチ54、メダルを投入するためのメダル投入口42、メダル投入口42の下方のメダル通路内で発生したメダル詰まりを解消するリジェクトボタン55、最大数の3枚のメダルをゲームに投資するときに操作されるMAXベットスイッチボタン56等が設けられる他、遊技の演出等を選択するための操作盤57や、表示ユニット58が設けられている。操作盤57は操作部50の幅方向(左右方向)の略中央部に配置され、メダル投入口42およびリジェクトボタン55を挟んで、右側に表示ユニット58が配置されている。なお、操作盤57には、演出等の選択用の十字キー、決定ボタン、キャンセルボタン等を有している。
【0026】
また、下扉40の下部には、スロットマシン内部よりメダルを排出するためのメダル払い出し口と、メダル払い出し口から排出されたメダルを溜めておくためのメダル受け皿43とが設けられている。また、操作部50とメダル受け皿43との間には液晶表示パネル45が取り付けられている。また、この液晶表示パネル45の左右両側にはそれぞれ報知や演出などを行うための照明装置46が設けられている。
【0027】
上述のように図1に示す表示窓31の上側に照明装置36が設けられ、表示窓31の左右側部にそれぞれ照明装置37が設けられており、図3に示すように左右の照明装置37および上側の照明装置36とから門形状の照明装置が構成さされている。照明装置37は、光源の点灯により発光するものであり、発光装置60となっている。図4に左の発光装置60を示し、図5に右の発光装置60を示す。これら発光装置60は、キャラクタとしての文字を立体的な構造で表現するようになっている。発光装置60の表面部分には、文字部分のアウターレンズ61,62と、文字部分の外側で文字の背景となる部分のアウターレンズ63,64,65,66とを備えるとともに、文字部分を装飾する装飾部材67.68を備える。アウターレンズ61,62、63,64,65,66は、発光装置60の表面を構成するものであり、裏側から複数のLED69(図6に図示)に照らされて光った状態で遊技者に直接視認可能とされた部分である。アウターレンズ61,62、63,64,65,66は、著色された状態の透明または半透明の部材である。なお、ここで半透明の部材とは、透光性を有するが反対側を透かして見ることが困難な部材を含むものである。この実施の形態では、文字用のアウターレンズ61から後述のインナーレンズ73が見えるようになっている。
【0028】
左右の発光装置60にそれぞれ表示される文字を合わせると「乙女」となっており、左の発光装置60が「乙」の文字を表示し、右の発光装置60が「女」の文字を表示している。これら左右の発光装置60は、表示される文字の形状が異なる以外は、ほぼ同様の構成を有するものであり、以下の説明では、右の発光装置60の説明を省略して、左の発光装置60の説明を行う。
【0029】
図6に左の発光装置60の分解斜視図を示す。発光装置60は、その背面側(図中右側)から背部カバー71、LED
69が複数搭載されたLED基板(光源基板)72、LED基板72の遊技者側を覆う複数に分かれた文字の背景部分のインナーレンズ74,75,76,77および文字部分のインナーレンズ(レンズ部材)73と、文字部分のアウターレンズ61および文字の背景部分のアウターレンズ63,64と、文字の装飾部材67とを備える。したがって、LED基板72とアウターレンズ61,63,64との間にインナーレンズ73,74,75,76,77が配置され、LED基板72の各LED69の光がインナーレンズ73,74,75,76,77を透過して、アウターレンズ61,63,64に至り、アウターレンズ61,63,64を遊技者に向かって光らせる状態となっている。
【0030】
発光装置60においては、LED基板72のLED69の光が、文字部分の外側の背景部分において、背景部分のインナーレンズ73を透過する際に拡散されてアウターレンズ61をさらに透過してアウターレンズ61を光らせる。同様に、LED基板72のLED69の光が、文字の背景部分において、文字の背景部分のインナーレンズ74,75,76,77を透過する際に拡散されてアウターレンズ63,64をさらに透過してアウターレンズを光らせる。
【0031】
したがって、背景部分においては、インナーレンズ74,75、76、77でLED69の光を拡散して、アウターレンズ63,64全体を光らせる。これらのインナーレンズ74,75、76、77は、外形が異なるが、出射側と入射側の面の構造は、ほぼ同様のものとなっているので、以下においては、インナーレンズ75、76、77の説明を省略し、インナーレンズ75について説明する。
【0032】
インナーレンズ75は、図7に示すとともにLED基板72側を向く入射面79と、その反対側の面で、図8から図10に示すとともに、アウターレンズ61および遊技者側を向く出射面83とを備える板状の部材となっている。なお、図11に示すように、インナーレンズ75は、入射面79と、出射面83とを備えるとともに、発光装置60の外周縁部に対応する部分に、入射面79側に突出する外周壁90を備える。なお、インナーレンズ75は、上述の文字部分に対する背景部分の一部を構成するものであり、外周壁90は、発光装置60の外周縁部の一部に対応している。
【0033】
このインナーレンズ75の入射面79には、LED基板72の各LED69の光を拡散させるために、複数の円環状の環状凸部81が同心状に配置された同心円部80が、LED基板72のインナーレンズ73に覆われる部分に搭載されたLED69の数と同じ数だけ設けられている。インナーレンズ75に覆われるLED69は、1つであり、インナーレンズ75には、1つの同心円部80が設けられている。1つの同心円部80には、径の異なる複数の環状凸部81が中心を一致させて配置されている。また。同心状に配置された各環状凸部81は、径の長さ順に径が短い環状凸部81の外側に径が長い環状凸部81が配置される。また、隣り合う環状凸部81同士のピッチ(例えば、隣り合う環状凸部81の内周縁(外周縁)同士の間隔)は、環状凸部81の径の長さに関係なく略一様となっている。
【0034】
また、同心円部80には、その中央部の最も径が短い環状凸部81の内側にドーム状の中央凸部82が設けられている。インナーレンズ73とLED基板72とが発光装置60に重なった状態にセットされた場合に、遊技者側(アウターレンズ61側)から見て、同心円部80の中央部の中央凸部82の位置と、LED69の位置が一致するようになっている。すなわち、遊技者側から見た場合に、同心円部80の中央凸部82とLED69が重なって見える状態、すなわち、中央凸部82の奥側で重なる位置にLED69が配置された状態となっている。
【0035】
また、LED69の径は、例えば、中央凸部82の径に近く、最も小さい環状凸部81の外形より小さくされていてもよい。また、各環状凸部81同士の間は、環状凹部88となっている。図11に示すように、同心円部80の断面形状は、フレネルレンズに近いものである。なお、同心円部80は、LED69の光を拡散するが、例えば、LED69から拡がりながらインナーレンズ73に至る光の傾斜角をインナーレンズ73の入射面79の基準となる平面(入射面79が平面と仮定した場合の面)に対して90度に近づけるようにするものであってもよい。
【0036】
図8図11に示すように、インナーレンズ75の出射面83は、複数の略正六角形状の基準領域85がハニカム状に敷きつめた状態に形成されている。六角形状の基準領域85は、3つの平行四辺形状のプリズム面84からなっている。言い換えれば、六角形状の基準領域85が3つの菱形のプリズム面84に分割されている。
【0037】
各プリズム面84には、長尺な複数の平坦面86が互いに長手方向を揃えて断面三角波状に配置されている。平坦面86は、例えば、長方形であり、プリズム面84では、2つの平坦面86が三角屋根状に配置された構造が2つ設けられた状態となっている。また、三角屋根状とは、切妻屋根状であり、2つの平坦面86からなる三角屋根の端面部分が平坦な三角形状の三角面87となっている。平坦面86と三角面87は、直交していてもよし、直交していなくともよいが、1つの三角屋根形状の端面部分となる2つの三角面87の角度が互いに異なることが好ましく、直交しない方が好ましい。各プリズム面84には、上述の2つの三角屋根に対応して、4つの三角面87が設けられ、この例では、各三角屋根形状の2つの三角面87の角度が互いに異なるものとなっている。
【0038】
プリズム面84では、2つの三角柱を平行に並べて隣接させた状態となっている。そして、1つの基準領域85に含まれる3つのプリズム面84では、長尺な平坦面86の長手方向、すなわち、上述の三角柱の軸方向が120度ずつずれた状態となっている、例えば、基準領域85の1つのプリズム面84の平坦面86の長手方向を0度と仮定した場合に、残りの2つのプリズム面84のうちの1つは、平坦面86の長手方向が120度となり、さらに残りのプリズム面84の平坦面86の長手方向は、240度となる。同様に基準領域85に含まれる3つのプリズム面84では、三角面87の角度がプリズム面84毎にそれぞれ異なるものとなる。
【0039】
基本的に、各プリズム面84の4つの平坦面86は、傾斜角の異なる2つの方向を向いており、さらにこれら平坦面86が上述のように120度ずつ異なる三つの角度で配置されることから、平坦面86は、それぞれ6つの異なる方向に配置される。また、6つの方向を向く平坦面86が、各基準領域85に配置されている。
【0040】
基本的に、三角柱状の構造は、プリズムとして機能することになるが、例えば、各平坦面では、入射面から分散した状態に入射した光や、インナーレンズの厚さ方向に近づけられた光が、出射面から出射する際に、プリズム面84の各平坦面から出射する。この際に、空気とインナーレンズ75の屈折率の違いにより、各平坦面から出射される光の角度範囲が制限されるとともに、波長によって屈折率が異なることにより、LEDの光が分光され.LED69の発光波長にもよるが、各平坦面86で見る角度により色が異なることにより、きらきら光る状態となる。さらに、面積は小さいが上述の三角面87からもLED69からの光が平坦面86と同様に出射することになり、キラキラ光る状態に寄与することになる。
【0041】
このような遊技機の発光装置60においては、インナーレンズの入射面79の同心円部80により、LED69からの光が分散されるか、または、インナーレンズ75の板状部分(外周壁90を除く部分)に直交する方向に近づくように変換される。
インナーレンズ75において、LED69から入射する光は、LED69に近い位置では、インナーレンズ75に略直交するが、インナーレンズ75の入射面79では、LED69から離れるほど入射する光が傾斜することになる。この場合に、LED69の光は、距離に基づいてLED69から離れるほど、暗くなるだけではなく、LED69から離れることにより、入射や出射する光の傾きが大きくなることで、インナーレンズ765の出射面と空気の界面を通過する光が減って暗くなる。
【0042】
したがって、例えば、拡散光を平行光に近づけることによっても、インナーレンズ75のLED89から離れた位置における出射光量を増やすことができ、LED69の光を一様な状態に近づけることができる。
上述のように入射面79から入射した光は、出射面83の各平坦面86から出射されるが、各平坦面86とインナーレンズ75内で平坦面86に当たる光の角度により、出射可能な光の向きの範囲が限定されるとともに、波長の違いによる屈折率の違いにより分光される。これにより、発光装置60を見ている遊技者が視点を動かすなどした際に、瞳に至る方向の光を照射している平坦面86が変化したり、瞳に至る方向の光の色が変化し、キラキラして見えることになる。
【符号の説明】
【0043】
M スロットマシン(遊技機)
75 インナーレンズ(レンズ部材)
79 入射面
80 同心円部
81 環状凸部
83 出射面
84 プリズム面
85 基準領域
86 平坦面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11