特許第6221083号(P6221083)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6221083-除雪車 図000002
  • 特許6221083-除雪車 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6221083
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】除雪車
(51)【国際特許分類】
   E01H 5/06 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   E01H5/06 Z
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-227693(P2016-227693)
(22)【出願日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年12月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509269182
【氏名又は名称】仁平 清一
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】仁平 清一
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−321550(JP,A)
【文献】 特開2003−247215(JP,A)
【文献】 特開2004−346682(JP,A)
【文献】 実開昭59−183907(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 5/04−5/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、
この車両本体の前側に配設され、除雪板を有する除雪部と、
この除雪部に一端部が接続されたワイヤーと、
このワイヤーの他端部が接続され、前記車両本体の後側に配設されて、前記ワイヤーを介して前記除雪板を昇降させる昇降手段と、
前記ワイヤーを案内する滑車とを備え
前記滑車は、車両本体の後側に配置された第1の滑車と、前記車両本体の前側に配置された第2の滑車と、これら第1の滑車と第2の滑車との間に配置された第3の滑車と、前記第2の滑車よりも前側かつ上方に配置され、前記ワイヤーの移動により前記除雪板を昇降させるための第4の滑車とを有する
ことを特徴とする除雪車。
【請求項2】
前記昇降手段はシリンダーを有し、
前記除雪板は、前記シリンダーが伸長又は収縮するのに応じ、前記ワイヤーが後側に引っ張られると上方に持ち上げられ、前記ワイヤーが前側に引っ張られると下方に下げられる
ことを特徴とする請求項1記載の除雪車。
【請求項3】
前記除雪部及び前記昇降手段の少なくとも一方は、前記車両本体に対して着脱可能とされた
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の除雪車。
【請求項4】
前記車両本体は、トラクターであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1に記載の除雪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除雪車に関する。
【背景技術】
【0002】
降雪地域においては、冬場に除雪作業が必要となるが、高齢者において手作業の除雪作業は負担が大きい。小型の除雪機も販売されてはいるが、除雪機を保有するのは手間であり、保管場所も必要であるという問題があった。また、小型の除雪機の場合、除雪能力が不十分であるという問題もあった。そこで、冬場には使用しないトラクター等の農業機械を除雪機として利用することができれば、手間や保管場所の問題を解決することができるので好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−295314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、トラクター等の農業機械を利用することができる除雪車を提供することを目的とする。
【0005】
なお、特許文献1には、フロントローダのアームを伸縮自在に構成したクローラトラクターが記載されている。しかし、特許文献1のトラクターは除雪するものではなく、また、具体的な構成が異なっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の除雪車は、車両本体と、この車両本体の前側に配設され、除雪板を有する除雪部と、この除雪部に一端部が接続されたワイヤーと、このワイヤーの他端部が接続され、車両本体の後側に配設されて、ワイヤーを介して除雪板を昇降させる昇降手段と、ワイヤーを案内する滑車とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両本体の前側に除雪板を有する除雪部を配設し、この除雪部にワイヤーを接続し、車両本体の後側にワイヤーを介して除雪板を昇降させる昇降手段を配設するようにしたので、車両本体にトラクター等の農業機械を利用することにより、農業機械に除雪機能を容易に付加することができる。よって、除雪作業の手間を削減することができると共に、除雪の専用機を保有する手間、及び、保管場所を削減することができる。
【0008】
また、昇降手段がシリンダーを有し、シリンダーが伸長又は収縮するのに応じて、ワイヤーが後側に引っ張られると除雪板が上方に持ち上げられ、ワイヤーが前側に引っ張られると除雪板が下方に下げられるように構成すれば、簡単に除雪板を昇降させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係る除雪車の構成を表わす図である。
図2図1に示した昇降手段の動作を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施の形態に係る除雪車10の全体構成を表わすものである。この除雪車10は、トラクター等の農業機械よりなる車両本体11を備えている。車両本体11は、例えば、車体11Aと、車体11Aに配設され、走行するための車輪11Bとを備え、車体11Aには図示しないエンジンが搭載されている。車両本体11の前側には、除雪板12Aを有する除雪部12が配設され、除雪部12には、ワイヤー13の一端部が接続されている。また、車両本体11の後側には、ワイヤー13の他端部が接続され、ワイヤー13を介して除雪板12Aを昇降させる昇降手段14が配設されている。なお、図1(A)は車輪11Bに隠れている部分を破線で表したものであり、図1(B)は車輪11Bに隠れている部分の構成を明確とするために、車輪11Bを省略して表したものである。
【0012】
除雪部12は、例えば、除雪板12Aと、この除雪板12Aを車両本体11の車体11Aに配設するための除雪板配設部12Bと、除雪板12Aに一端部が配設され、他端部が除雪板配設部12Bに対して回動可能に配設された支持アーム12Cとを備えている。支持アーム12Cは、除雪板12Aを昇降可能に支持して除雪板配設部12Bに配設するものである。除雪板配設部12は、例えば、車両本体11に対して着脱可能とされていることが好ましい。冬場に除雪が必要となった時に除雪部12を取り付けて農業機械に除雪機能を付加するためである。また、ワイヤー13の一端部は、例えば、除雪板12A又は支持アーム12Cに接続されている。
【0013】
昇降手段14は、例えば、車両本体11の車体11Aに配設する昇降手段配設部14Aと、この昇降手段配設部14Aに一端部が回動可能に配設され、他端部にワイヤー13が取り付けられた上下動アーム14Bと、この上下動アーム14Bの他端部を上下させるシリンダー14Cとを備えている。昇降手段配設部14Aは、例えば、車両本体11に対して着脱可能とされていることが好ましい。冬場に除雪が必要となった時に昇降手段14を取り付けて農業機械に除雪機能を付加するためである。
【0014】
シリンダー14Cは、例えば、車体11Aに搭載されたエンジンの動力を利用して駆動され、車体11Aの後斜め上方に向かって伸長するように、昇降手段配設部14Aに対して配設されている。シリンダー14Cが伸長又は収縮するのに応じて、上下動アーム14Bの他端部が上下し、ワイヤー13が後側に引っ張られると除雪板12Aが上方に持ち上げられ、ワイヤー13が前側に引っ張られると除雪板12Aが下方に下げられるように構成されている。具体的には、例えば、シリンダー14Cが伸長すると上下動アーム14Bの他端部が下に移動し、シリンダー14Cが収縮すると上下動アーム14Bの他端部が上に移動するようになっている。
【0015】
除雪車10は、また、ワイヤー13を案内する滑車15を備えている。滑車15は、例えば、車両本体11の後側に配置された第1の滑車15Aと、車両本体11の前側に配置された第2の滑車15Bと、これら第1の滑車15Aと第2の滑車15Bとの間に配置された第3の滑車15Cと、第2の滑車15Bよりも前側かつ上方に配置され、ワイヤー13の移動により除雪板12Aを昇降させるための第4の滑車15Dとを有していることが好ましい。
【0016】
第1の滑車15Aは、例えば、第1の取付部16Aにより車体11Aから後側に突出して配設されることが好ましく、ワイヤー13は第1の滑車15Aの下側を通って案内される。第1の取付部16Aは、車体11Aに対して着脱可能とされることが好ましい。車両本体11に除雪機能を付加しない時に邪魔になることを防止するためである。第2の滑車15Bは、例えば、第2の取付部16Bにより車体11Aから下側に突出して配設されることが好ましく、ワイヤー13は第2の滑車15Bの上側を通って案内される。ワイヤー13のたるみを防止するためである。第3の滑車15Cは、例えば、第3の取付部16Bにより車体11Aの前側において下側に突出して配設されることが好ましく、ワイヤー13は第3の滑車15Cの下側を通って案内される。
【0017】
第4の滑車15Dは、例えば、除雪板配設部12Bに対して取り付けられ、ワイヤー13に沿って3個並べて配設されることが好ましい。ワイヤー13を第4の滑車15Dの上側、下側、上側の順に案内することにより、ワイヤー13が第4の滑車15Dから外れることを防止するためである。
【0018】
この除雪車10は、例えば、次のように動作する。まず、除雪板12Aを降ろして走行する際には、例えば、図2に示したように、シリンダー14Cを伸長させ、上下動アーム14Bの他端部を下に移動させる。これにより、ワイヤー13が前側に引っ張られ、これに連動して除雪板12Aが下方に下がる。また、除雪板12Aを上げて走行する際には、例えば、図1に示したように、シリンダー14Cを収縮させ、上下動アーム14Bの他端部を上に移動させる。これにより、ワイヤー13が後側に引っ張られ、これに連動して除雪板12Aが上方に持ち上がる。
【0019】
このように、本実施の形態によれば、車両本体11の前側に除雪板12Aを有する除雪部12を配設し、この除雪部12にワイヤー13を接続し、車両本体11の後側にワイヤー13を介して除雪板12Aを昇降させる昇降手段14を配設するようにしたので、車両本体11にトラクター等の農業機械を利用することにより、農業機械に除雪機能を容易に付加することができる。よって、除雪作業の手間を削減することができると共に、除雪の専用機を保有する手間、及び、保管場所を削減することができる。
【0020】
また、昇降手段14がシリンダー14Cを有し、このシリンダー14Cが伸長すると、ワイヤー13が後側に引っ張られるのに連動して除雪板12Aが上方に持ち上げられ、シリンダー14Cが収縮すると、ワイヤー13が前側に引っ張られるのに連動して除雪板12Aが下方に下げられるように構成すれば、簡単に除雪板12Aを昇降させることができる。
【0021】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、除雪部12及び昇降手段14を車両本体11に対して着脱可能とする場合について説明したが、いずれか一方を着脱可能とするようにしてもよい。
【0022】
また、上記実施の形態では、シリンダー14Cの伸長又は収縮に対する除雪板12Aの昇降について、シリンダー14Cが伸長すると上下動アーム14Bの他端部が下に移動し、ワイヤー13が前側に引っ張られて除雪板12Aが下方に下がり、シリンダー14Cが収縮すると上下動アーム14Bの他端部が上に移動し、ワイヤー13が後側に引っ張られて除雪板12Aが上方に上がる場合について説明したが、シリンダー14Cが伸長すると上下動アーム14Bの他端部が上に移動し、ワイヤー13が後側に引っ張られて除雪板12Aが上方に上がり、シリンダー14Cが収縮すると上下動アーム14Bの他端部が下に移動し、ワイヤー13が前側に引っ張られて除雪板12Aが下方に下がるように構成してもよい。
【0023】
更に、上記実施の形態では、各構成要素について具体的に説明したが、全ての構成要素を備えていなくてもよく、また、他の構成要素を備えていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
除雪車に用いることができる。
【符号の説明】
【0025】
10…除雪車、11…車両本体、11A…車体、11B…車輪、12…除雪部、12A…除雪板、12B…除雪板配設部、12C…支持アーム、13…ワイヤー、14…昇降手段、14A…昇降手段配設部、14B…上下動アーム、14C…シリンダー、15…滑車、15A…第1の滑車、15B…第2の滑車、15C…第3の滑車、15D…第4の滑車、16A…第1の取付部、16B…第2の取付部、16C…第3の取付部
【要約】
【課題】トラクター等の農業機械を利用することができる除雪車を提供する。
【解決手段】除雪車10は、トラクター等の農業機械よりなる車両本体11を備えている。車両本体11の前側には、除雪板12Aを有する除雪部12が配設され、除雪部12には、ワイヤー13の一端部が接続されている。車両本体11の後側には、ワイヤー13の他端部が接続され、ワイヤー13を介して除雪板12Aを昇降させる昇降手段14が配設されている。昇降手段14により、ワイヤー13を介して除雪板12Aが昇降される。
【選択図】図1
図1
図2