(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
本発明の実施形態の理解を容易にするため、まず、遊技者が遊技可能なスロットマシン(遊技機)の機械的構成および電気的構成を簡単に説明し、その後、スロットマシンの各基板における具体的な処理を説明する。
【0019】
(スロットマシン100の機械的構成)
図1や
図2の外観図に示すように、スロットマシン100は、略矩形状の箱体である筐体102と、筐体102の前面開口部に対して回動可能な連結部材により開閉可能に取り付けられた前面上扉104と、前面上扉104の下方に位置し、前面上扉104同様、筐体102の前面開口部に対して開閉可能に取り付けられた前面下扉106と、前面下扉106の下部に位置し、メダル排出口108aから払い出されたメダルを貯留するための受け皿部108とを備えている。
【0020】
前面下扉106の上部には操作部設置台122が形成され、操作部設置台122には、メダル投入部124、ベットボタン126、スタートスイッチ128、ストップスイッチ130、精算ボタン132等が配設されている。
【0021】
操作部設置台122の右側に位置するメダル投入部(遊技媒体受付手段)124は、メダル投入口(投入口)124aを通じて遊技媒体としてのメダルの投入を受け付け、前面下扉106の背面に設けられたメダルセレクタ(図示せず)にメダルを送る。メダルセレクタには、メダルの投入が可能な投入期間外に投入されたメダルや規格外のメダルをメダル排出口108aに導くブロッカー(図示せず)と、投入期間内に投入された規格内のメダルの通過を検出する投入メダル検出部124bとが設けられている。ここで、メダル排出口108aに導かれたメダルは受け皿部108に排出される。遊技者により、1遊技を開始するために必要なメダルの投入枚数である規定数を超えてメダルが投入されると、その規定数を超えた分のメダルが、所定枚数(例えば50枚)を上限としてスロットマシン100の内部に電子的に貯留(以下、単に「クレジット」という)される。
【0022】
ここで、1遊技は、メダルの投入を条件として1度の払い出しを受け得る一連の遊技をいう。また、ここでは、規定数は「3」に固定されている。ただし、スロットマシン100の機種によっては規定数が異なったり、あるいは、同一機種であっても規定数が変化したりして、規定数が固定されている場合と、複数の中から選択可能な場合がある。なお、1遊技を開始するために必要なメダル数を、複数の規定数から任意に選択できる場合、その複数の規定数の中の最大のものを最大規定数といい、最小のものを最小規定数という。仮に、規定数が1〜3の間で選択可能な場合、最大規定数は「3」となり、最小規定数は「1」となる。ここでは、規定数が「3」に固定されているので、最大規定数および最小規定数は「3」となる。
【0023】
ベットボタン126は、クレジットされているメダルのうち規定数のメダルを投入(ベット)する、押圧式のボタンスイッチである。精算ボタン132は、クレジットされているメダルの返却(精算)要求操作を受け付ける、押圧式のボタンスイッチである。遊技者は、精算ボタン132を操作することにより、ベットされたメダルや電子的にクレジットされたメダルを精算する精算要求を行うことができ、かかる精算要求に応じて、ベットされているメダルや電子的にクレジットされているメダルがメダル排出口108aから排出される。
【0024】
操作部設置台122の左側に位置するスタートスイッチ128は、傾倒操作を検出可能なレバーで形成され、遊技者による1遊技の開始操作を検出する。また、スタートスイッチ128は、押圧操作を検出可能なボタンスイッチによって形成することも可能である。
【0025】
前面上扉104の下部略中央には、ガラス板や透明樹脂板等で構成された無色透明の図柄表示窓136が設けられ、筐体102内の図柄表示窓136に対応した位置には、リールユニット134が設けられている。リールユニット134には、
図3に示すように、21に等分された各領域に複数種類の図柄がそれぞれ配列された3つの回転リール(左リール134a、中リール134b、右リール134c)が、それぞれ独立して回動可能に設けられ、遊技者は、図柄表示窓136を通じて、左リール134a、中リール134b、右リール134cを視認することができる。リールユニット134は、スタートスイッチ128の操作を契機として、左リール134a、中リール134b、右リール134cの回転を開始する。
【0026】
操作部設置台122の中央に位置するストップスイッチ130は、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれに対応して設けられた、遊技者の押圧操作を検出可能なボタンスイッチであり、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれを停止させようとする遊技者の停止操作を検出する。なお、ストップスイッチ130に係る3つのボタンスイッチを特にストップボタンスイッチとよび、左から順にストップボタンスイッチ130a、ストップボタンスイッチ130b、ストップボタンスイッチ130cとする。
【0027】
前面上扉104の上部略中央には、演出に伴う様々な映像を表示する液晶表示部138が設けられている。また、前面上扉104の上部や左右には、例えば高輝度の発光ダイオード(LED)によって構成される演出用ランプ142が設けられる。
【0028】
また、
図2に示すように、前面上扉104の裏面における液晶表示部138の左右位置や前面下扉106の裏面における内面左右位置には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ140が設けられている。さらに、筐体102内におけるリールユニット134の下方には、メダル排出口108aからメダルを払い出すためのメダル払出装置(メダルホッパー)264が設けられている。メダル払出装置264は、メダルを貯留するメダル貯留部264aと、メダル貯留部264aに貯留されたメダルをメダル排出口108aから排出するための払出制御部264bと、メダル排出口108aから排出されるメダルを検出する払出メダル検出部264cとを備えている。具体的に払出制御部264bは、当該払出制御部264bの本体外装に回転可能に支持され、メダル貯留部264aから落下したメダルが上方より1枚ずつ嵌入するメダル嵌入孔を円周方向に複数配してなるディスク(図示せず)と、かかるディスクを回転するディスクモータ(図示せず)とを備え、このディスクを回転させて、メダル嵌入孔に嵌入したメダルを、押出機構を通じて1枚ずつ外部に排出するとともに、排出により空いたメダル嵌入孔に次のメダルを順次嵌入させることで、メダルを1枚ずつ連続排出する。
【0029】
また、
図1や
図2では図示していないが、各回転リール134a、134b、134cの内側には、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれに施された図柄のうち、図柄表示窓136に対応する(有効ラインの対象となり得る)各回転リール134a、134b、134cの上段、中段、下段の図柄を背面から個々に独立して照射するリールバックライト144(
図4参照)が設けられている。また、図柄表示窓136の裏面上部にも左リール134a、中リール134b、右リール134c全ての正面を直接照射するリール上方ライト146が設けられている。
【0030】
また、
図1に示すように、操作部設置台122において、図柄表示窓136とストップスイッチ130との間に設けられた段部122aの略水平面には、メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154が設けられている。また、図柄表示窓136と操作部設置台122との間には、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158が設けられている。これらメインクレジット表示部152およびサブクレジット表示部156にはクレジット枚数が表示され、メイン払出表示部154およびサブ払出表示部158にはメダルの払出枚数が表示される。なお、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158には、演出に伴う様々な数値を表示することもできる。
【0031】
また、筐体102内の任意の位置には、電源スイッチ148が設けられている。電源スイッチ148は、ロッカースイッチ等、押圧操作を検出可能なスイッチで構成され、当該スロットマシン100を管理する管理者側が操作し、電源の切断状態と電源の投入状態の2つの状態を切り換えるために用いられる。
【0032】
(スロットマシン100の電気的構成)
図4は、スロットマシン100の概略的な電気的構成を示したブロック図である。
図4に示すように、スロットマシン100は、主として、主制御基板200と、副制御基板202とによって制御されている。ここでは、遊技の進行に関わるプログラムのうち、遊技に供する当選役の抽選やその入賞といったような、特に重要な処理を主制御基板200で実行し、それ以外の例えば演出に関する処理を副制御基板202で実行している。
【0033】
(主制御基板200)
主制御基板200は、中央処理装置であるメインCPU200a、プログラム等が格納されたメインROM200b、ワークエリアとして機能するメインRAM200c等を含む各種半導体集積回路を有し、スロットマシン100全体を統括的に制御する。ただし、メインRAM200cには不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、意図的にメインRAM200cの初期化処理を実行しない限り、データが消去されることなく保持される。
【0034】
また、主制御基板200は、メインCPU200aが、メインROM200bに格納されたプログラムに基づきメインRAM200cと協働することで機能する、初期化手段300、ベット手段302、当選役抽選手段304、リール制御手段306、判定手段308、払出制御手段310を有する。初期化手段300は、主制御基板200における初期化処理を実行する。ベット手段302は、遊技に使用するためのメダルをベットする。当選役抽選手段304は、当選役およびハズレのうちいずれかを当選役抽選により決定する。リール制御手段306は、回転リールを回転および停止制御する。判定手段308は、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたか否か判定する。払出制御手段310は、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたことに基づいて、当該当選役に対応するメダルを払い出す。かかる各機能部については、後程詳述する。
【0035】
主制御基板200では、投入メダル検出部124b、ベットボタン126、スタートスイッチ128、ストップスイッチ130、精算ボタン132、電源スイッチ148から各種の検出信号を受信しており、受信した検出信号に基づいて、メインCPU200aが種々の処理を実行する。また、主制御基板200には、メインクレジット表示部152およびメイン払出表示部154が接続されており、払出制御手段310が両表示部152、154に対してメダルのクレジット枚数や払出枚数の表示を制御する。
【0036】
また、主制御基板200には、リール駆動制御部258が接続されている。このリール駆動制御部258は、スタートスイッチ128の操作信号に基づき主制御基板200から送信される回転リールの回転開始信号に基づいて、ステッピングモータ262を駆動するとともに、ストップスイッチ130の操作信号に基づき主制御基板200から送信される、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれの停止信号および回転位置検出回路260の検出信号に基づいて、ステッピングモータ262の駆動を停止する。
【0037】
また、主制御基板200には、メダル払出装置264が接続されている。主制御基板200には払出メダル検出部264cの検出信号が入力されるようになっており、払出制御手段310は、その検出信号に応じてメダルの払出枚数をカウントしながら払出制御部264bからのメダルの排出を制御する。
【0038】
また、主制御基板200には、乱数発生器256が設けられる。乱数発生器256は、計数値を順次インクリメントし、所定の数値範囲内でループさせ、所定の時点における計数値を抽出することで乱数を得る。乱数発生器256によって生成される乱数は、遊技者に付与する遊技上の利益、例えば、当選役を決定するために用いられる(当選役抽選乱数)。
【0039】
(主制御基板200で用いられるテーブル)
スロットマシン100においては、遊技の進行に際して複数の遊技状態が設けられており、これら遊技状態および設定値に対応する複数の当選役抽選テーブル等がメインROM200bに格納されている。当選役抽選手段304は、メインRAM200cに記憶された現在の遊技状態および設定値に応じて、対応する当選役抽選テーブルをメインROM200bから抽出するとともに、抽出した当選役抽選テーブルに基づき、スタートスイッチ128の操作信号に応じて取得された当選役抽選乱数が当選役抽選テーブル内のいずれの当選役またはハズレに対応するか判定する。
【0040】
ここで、各当選役抽選テーブルで抽出される当選役には、リプレイ役、小役、ボーナス役がある。このような当選役に対応する図柄組み合わせが、有効ライン上に揃った状態を表示(入賞)といい、当選役に当選し、その当選役に対応する図柄組み合わせが表示されるまでの状態を内部当選状態とする。当選役のうちのリプレイ役は、そのリプレイ役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、遊技者によるメダルの新たなるベットを行わずして再度1遊技を実行できる役であり、小役は、その小役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることにより、図柄組み合わせに応じて所定枚数のメダルの払い出しを受けることができる役である。また、ボーナス役は、そのボーナス役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されることにより、遊技状態を、通常遊技状態からボーナス遊技状態に移行させることができる当選役である。ここで、ボーナス遊技状態とは、当選役の判定にあたり、メダルが実質的に増加するように小役の当選確率が設定された当選役抽選テーブルを用いる遊技状態であり、通常遊技状態よりも有利な遊技状態をいう。以下に、当選役および遊技者に付与される遊技上の利益について説明する。
【0041】
図5は、有効ラインおよび図柄組み合わせを説明するための説明図である。
図5(a)は、本実施形態における有効ラインを示している。ここで、有効ラインは5本あり、具体的に、図柄表示窓136に臨む9つの図柄のうち、左リール134a、中リール134b、右リール134cのそれぞれ中段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインA、左リール134aの上段、中リール134bの中段、右リール134cの下段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインB1、左リール134aの下段、中リール134bの中段、右リール134cの上段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインB2、左リール134aの上段、中リール134bの中段、右リール134cの上段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインC1、左リール134aの下段、中リール134bの中段、右リール134cの下段に停止する図柄に対応する位置を結んだラインC2をそれぞれ有効ラインとして設定している。
【0042】
また、
図5(b)の図柄組み合わせに示すように、本実施形態においては、当選役として、「リプレイ1」、「リプレイ2」、「リプレイ3」(以下、「リプレイ1」〜「リプレイ3」までを「リプレイ1〜3」と略す場合がある)、「ベル」、「スイカ1」、「スイカ2」、「スイカ3」、「スイカ4」、「スイカ5」、「スイカ6」、「スイカ7」、「スイカ8」(以下、「スイカ1」〜「スイカ8」までを「スイカ1〜8」と略す場合がある)、「チェリー」、「ビッグボーナス(以下、「BB」という)」、「レギュラーボーナス(以下、「RB」という)」、の合計15種類の当選役が設けられている。このうち、当選役「リプレイ1〜3」が上記リプレイ役に相当し、「ベル」、「スイカ1〜8」および「チェリー」が上記小役に相当し、「BB」および「RB」が上記ボーナス役に相当する。
【0043】
当選役抽選の結果、当選役「リプレイ1」に当選した場合には、当選役「リプレイ1」に対応する図柄組み合わせのうち、各回転リール134a、134b、134cそれぞれに記される「リプレイ」図柄が同一の有効ライン上に表示可能となり、上記したように、遊技者によるベットを行わずして再度1遊技を実行できる。また、当選役抽選の結果、当選役「リプレイ2」に当選した場合には、当選役「リプレイ2」に対応する図柄組み合わせのうち、左リール134aに記される「ベル」図柄が有効ライン上に表示可能となり、中リール134bおよび右リール134cそれぞれに記される「リプレイ」図柄が上記と同一の有効ライン上に表示可能となり、遊技者によるベットを行わずして再度1遊技を実行できる。また、当選役抽選の結果、当選役「リプレイ3」に当選した場合には、当選役「リプレイ3」に対応する図柄組み合わせのうち、左リール134aおよび中リール134bそれぞれに記される「リプレイ」図柄が同一の有効ライン上に表示可能となり、右リール134cに記される「ベル」図柄が上記と同一の有効ライン上に表示可能となり、遊技者によるベットを行わずして再度1遊技を実行できる。
【0044】
ここで、本実施形態においては、ストップスイッチ130が押圧操作されたときに、当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ライン上にある場合には、当該図柄を有効ライン上に停止するように停止制御がなされる。また、ストップスイッチ130が押圧操作されたときに、当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、有効ライン上にはないが、各回転リール134a、134b、134cの回転方向と反対の方向の図柄4つ分に相当する範囲(引込範囲)内に存在している場合には、当該当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を有効ライン上に引き込むように停止制御がなされる。以下、単に「停止制御」や「表示可能」と言った場合、このような引込範囲内で当選役に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を引き込むといった処理を含む。
【0045】
そして、各回転リール134a、134b、134cにおいては、「リプレイ」図柄および「ベル」図柄が、上記の停止制御によって、必ず有効ライン上に表示可能なように配置されている(
図3および
図5(b)参照)。したがって、当選役「リプレイ1〜3」に当選した場合には、これら当選役「リプレイ1〜3」に対応する図柄組み合わせが、必ず、有効ライン上に表示されることとなる。このようにして、当選役「リプレイ1〜3」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、メダルを投入することなく次回の1遊技を開始することが可能となる。
【0046】
また、当選役抽選の結果、当選役「ベル」に当選した場合には、「ベル」に対応する図柄組み合わせのうち、各回転リール134a、134b、134cそれぞれに記される「ベル」図柄が同一の有効ライン上に表示可能となる。そして、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、10枚のメダルが遊技者に払い出される。なお、詳しくは後述するが、当選役「ベル」に当選した場合の停止制御は、その当選態様(例えば、当選役「ベル」が単独で当選したか、他の当選役と重複当選したか、さらに他のいずれの当選役と重複当選したか等)によって異なるように設定されている。したがって、上記したとおり、各回転リール134a、134b、134cにおいては、「ベル」図柄が、必ず有効ライン上に表示可能なように配置されている(
図3および
図5(b)参照)ものの、当選役「ベル」に当選しても、その当選態様によっては、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせが必ずしも有効ライン上に表示されるとは限らない。
【0047】
また、当選役抽選の結果、当選役「スイカ1」に当選した場合には、左リール134a、中リール134bおよび右リール134cに記される「スイカA」図柄が同一の有効ライン上に表示可能となる。また、当選役抽選の結果、当選役「スイカ2」に当選した場合には、左リール134aおよび中リール134bに記される「スイカA」図柄が同一の有効ライン上に表示可能となり、右リール134cに記される「スイカB」図柄が上記と同一の有効ライン上に表示可能となる。同様に、当選役抽選の結果、当選役「スイカ3」に当選した場合には、左リール134aおよび右リール134cに記される「スイカA」図柄が同一の有効ライン上に表示可能となり、中リール134bに記される「スイカB」図柄が上記と同一の有効ライン上に表示可能となる。また、当選役抽選の結果、当選役「スイカ4」に当選した場合には、左リール134aに記される「スイカA」図柄が有効ライン上に表示可能となり、中リール134bおよび右リール134cに記される「スイカB」図柄が上記と同一の有効ライン上に表示可能となる。また、当選役抽選の結果、当選役「スイカ5」に当選した場合には、左リール134aに記される「スイカB」図柄が有効ライン上に表示可能となり、中リール134bおよび右リール134cに記される「スイカA」図柄が上記と同一の有効ライン上に表示可能となる。また、当選役抽選の結果、当選役「スイカ6」に当選した場合には、左リール134aおよび右リール134cに記される「スイカB」図柄が同一の有効ライン上に表示可能となり、中リール134bに記される「スイカA」図柄が上記と同一の有効ライン上に表示可能となる。また、当選役抽選の結果、当選役「スイカ7」に当選した場合には、左リール134aおよび中リール134bに記される「スイカB」図柄が同一の有効ライン上に表示可能となり、右リール134cに記される「スイカA」図柄が上記と同一の有効ライン上に表示可能となる。また、当選役抽選の結果、当選役「スイカ8」に当選した場合には、左リール134a、中リール134bおよび右リール134cに記される「スイカB」図柄が同一の有効ライン上に表示可能となる。
【0048】
そして、上記の当選役「スイカ1〜8」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示された場合には、10枚のメダルが遊技者に払い出される。なお、各回転リール134a、134b、134cにおいては、「スイカA」図柄および「スイカB」図柄が、上記の停止制御によっても、有効ライン上に表示されない場合があるように配置されている(
図3および
図5(b)参照)。そのため、当選役「スイカ1〜8」に当選したとしても、遊技者は、当選役「スイカ1〜8」に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ライン上に表示させられるとは限らない。
【0049】
また、当選役抽選の結果、当選役「チェリー」に当選した場合には、当選役「チェリー」に対応する図柄組み合わせのうち、左リール134aに記される「チェリー」図柄が有効ライン上に表示可能となる。そして、左リール134aの「チェリー」図柄が有効ライン上に表示されると、2枚のメダルが遊技者に払い出される。なお、左リール134aにおいては、「チェリー」図柄が、必ず有効ライン上に表示可能なように配置されている(
図3および
図5(b)参照)。そのため、当選役「チェリー」に当選した場合には、遊技者は、当選役「チェリー」に対応する図柄組み合わせを必ず有効ライン上に表示させることができる。
【0050】
また、当選役抽選の結果、当選役「BB」に当選した場合には、各回転リール134a、134b、134cに記される「赤7」図柄または「青7」図柄が同一の有効ライン上に停止可能となる。そして、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、BB遊技フラグがONすることで、遊技状態がBB遊技状態に設定され、次の1遊技(以下、単に「次遊技」という)以降、メダルが所定枚数(例えば465枚)払い出されるまで、BB遊技状態(ボーナス遊技状態)にて遊技を実行することが可能となる。なお、各回転リール134a、134b、134cにおいては、それぞれ「青7」図柄および「赤7」図柄が、上記の停止制御によっても、有効ライン上に表示されない場合があるように配置されている(
図3および
図5(b)参照)。そのため、当選役「BB」に当選したとしても、遊技者は、当選役「BB」に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ライン上に表示させられるとは限らない。
【0051】
また、当選役抽選の結果、当選役「RB」に当選した場合には、各回転リール134a、134b、134cに記される「BAR」図柄が同一の有効ライン上に表示可能となる。そして、当選役「RB」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されると、RB遊技フラグがONすることで、遊技状態がRB遊技状態に設定され、次遊技以降、メダルが所定枚数(例えば120枚)払い出されるまで、RB遊技状態(ボーナス遊技状態)にて遊技を実行することが可能となる。なお、各回転リール134a、134b、134cにおいては、それぞれ「BAR」図柄が、上記の停止制御によっても、有効ライン上に表示されない場合があるように配置されている(
図3および
図5(b)参照)。そのため、当選役「RB」に当選したとしても、遊技者は、当選役「RB」に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ライン上に表示させられるとは限らない。
【0052】
なお、いずれかの当選役に当選すると、それぞれの当選役に対応する内部当選フラグが成立(ON)するとともに、この内部当選フラグの成立状況に応じて、左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれの停止制御がなされることとなる。このとき、小役に当選したものの、これら当選役に対応する図柄組み合わせを、その1遊技で有効ライン上に表示させることができなかった場合には、当該遊技において内部当選フラグがOFFされる。つまり、小役の当選の権利は当該遊技のみに限られ、当該権利を次遊技に持ち越すことはできない。
【0053】
これに対して、当選役「BB」や当選役「RB」に当選した場合には、BB内部当選フラグまたはRB内部当選フラグが成立(ON)するとともに、BB内部当選フラグやRB内部当選フラグの成立状況に応じて、
図6の(1)に示すように、主制御基板200で管理している遊技状態が通常遊技状態から、ボーナス遊技状態の準備状態に相当する内部中遊技状態となり、内部中遊技状態として左リール134a、中リール134b、右リール134cそれぞれの停止制御がなされる。このとき、当選役「BB」や当選役「RB」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることができなかった場合には、そのままBB内部当選フラグやRB内部当選フラグが次遊技に持ち越され(内部中遊技状態が維持され)、次回以降の遊技においても当選役「BB」や当選役「RB」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることが可能となる。そして、遊技者が、当選役「BB」や当選役「RB」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させると、
図6の(2)に示すように、主制御基板200で管理している遊技状態が内部中遊技状態からボーナス遊技状態に遷移する。また、ボーナス遊技状態において、メダルが所定枚数払い出されると、
図6の(3)に示すように、主制御基板200で管理している遊技状態が、ボーナス遊技状態から通常遊技状態に遷移する。
【0054】
なお、リプレイ役である当選役「リプレイ1〜3」に対応する内部当選フラグが成立した場合には、その当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示され、メダルを要することなく次遊技を行うために必要となる処理が行われた後に、当該内部当選フラグがOFFされる。
【0055】
図7は、通常遊技状態において当選役抽選乱数を判定する場合に用いられる通常遊技状態用当選役抽選テーブルを示す図である。ここでは、当選役抽選乱数の総数(65536)に相当する領域が複数の当選領域(1〜20)に区画されており、当選領域毎に、当選役と、当選役やハズレのそれぞれが当選する比率を相対数で示した当選範囲値(置数)が対応付けられている。例えば、当選領域1には当選範囲値として8500が対応付けられ、当選役として「リプレイ1」が対応付けられている。したがって、当選役「リプレイ1」が当選する確率は8500/65536となる。他の当選領域2〜20についても同様の対応付けがなされている。当選役抽選手段304は、当該通常遊技状態用当選役抽選テーブルにおける複数の当選領域から、順次、当選範囲値を取得し、その当選範囲値を当選役抽選乱数から減算して、その減算値が0未満となると、その時点の当選領域に対応付けられた当選役を抽選結果としている。当該抽選の手順は、他の抽選においても適用できる。
【0056】
また、この通常遊技状態用当選役抽選テーブルによれば、複数の当選役に重複して当選することがある。例えば、当選領域2には、当選範囲値として500が対応付けられ、当選役として当選役「リプレイ2」および当選役「リプレイ3」が対応付けられている。当選領域2のように、当選役「リプレイ2」と当選役「リプレイ3」とが重複して当選した場合には、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させるかについての停止条件が設定されている。
【0057】
例えば、当選領域2が当選役抽選により決定され、左リール134a、中リール134b、右リール134cのうち、右リール134cを最初に停止(第1停止)するようにストップスイッチ130が操作された場合、当選役「リプレイ2」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示するように停止制御がなされる。一方、左リール134aまたは中リール134bを第1停止するようにストップスイッチ130が操作された場合には、当選役「リプレイ3」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示するように停止制御がなされる。ここで、上記した通り、「リプレイ」図柄および「ベル」図柄は、その図柄配列上、いずれのタイミングでストップスイッチ130を押圧操作したとしても、有効ライン上に表示可能となっている。したがって、遊技者が、左リール134a、中リール134b、右リール134cのいずれを最初に停止するようにストップスイッチ130を操作したとしてもリプレイ役に対応する図柄組み合わせを表示することは可能であるが、その停止順により表示される図柄の組み合わせが異なることとなる。
【0058】
このようなリプレイ役の重複当選では、重複した当選役のうち特定の当選役に対応した図柄組み合わせ(ここでは、「リプレイ2」に対応する図柄組み合わせ)を有効ライン上に表示させることを条件として、RT遊技状態を開始させることができる。例えば、遊技者は、補助演出を通じて、当該当選領域2に当選したこと、または、操作順を把握することで、右リール134cを第1停止するようにストップスイッチ130を操作し、特定の当選役(例えば、「リプレイ2」)の図柄組み合わせを有効ライン上に表示させ、
図6の(4)に示すように、主制御基板200で管理している遊技状態を通常遊技状態からRT遊技状態に移行させることが可能となる。また、重複した当選役のうち特定の当選役に対応した図柄組み合わせ(ここでは、「リプレイ3」に対応する図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示されると、
図6の(5)に示すように、RT遊技状態が終了してしまう場合に、遊技者は、補助演出を通じて、当該当選領域2に当選したこと、または、操作順を把握することで、右リール134cを第1停止するようにストップスイッチ130を操作し、特定の当選役(例えば、「リプレイ2」)の図柄組み合わせを有効ライン上に表示させ、RT遊技状態の終了を回避してRT遊技状態を継続することが可能となる。
【0059】
また、当選領域4には、当選範囲値として700が対応付けられ、当選役として当選役「ベル」、当選役「スイカ1」および当選役「スイカ4」が対応付けられている。ここで、当選領域4〜15において、当選役「スイカ1〜8」のうちのいずれか2つの当選役と当選役「ベル」とが重複して当選した場合には、いずれの当選役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させるかについての停止条件が設定されている。
【0060】
例えば、当選領域4が当選役抽選により決定され、当選役「ベル」、当選役「スイカ1」および当選役「スイカ4」が重複当選した場合には、左リール134a、中リール134b、右リール134cのうち、左リール134aを最初に停止(第1停止)するようにストップスイッチ130が操作された場合に、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示するように停止制御がなされる。一方、中リール134bまたは右リール134cを第1停止するようにストップスイッチ130が操作された場合には、以下のようにして停止制御がなされる。すなわち、当選役「スイカ1」または当選役「スイカ4」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ライン上にあるときにストップスイッチ130が操作された場合には、当該当選役「スイカ1」または当選役「スイカ4」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を有効ライン上に表示し、当選役「スイカ1」または当選役「スイカ4」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ライン上にはないが、4コマの範囲内にあるときにストップスイッチ130が操作された場合には、当選役「スイカ1」または当選役「スイカ4」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄を有効ライン上に引き込むように停止制御する。
【0061】
ここで、上記した通り、「ベル」図柄はその図柄配列上、いずれのタイミングでストップスイッチ130を押圧操作したとしても、有効ライン上に表示可能となっている。一方、当選役「スイカ1」および当選役「スイカ4」に対応する図柄組み合わせを構成する「スイカA」図柄および「スイカB」図柄は、ストップスイッチ130の操作タイミングによっては有効ライン上に表示することができない。そのため、当選役「スイカ1」および当選役「スイカ4」は、当選役「ベル」に比べて入賞が困難となっており、当選役「ベル」を入賞させるための停止順で操作を行わなかった場合には、所謂、取りこぼしが生じやすくなっている。したがって、当選役「ベル」、当選役「スイカ1」および当選役「スイカ4」に重複当選した場合には、図示の停止順のとおりにストップスイッチ130を操作することにより、当選役「ベル」を入賞させることが遊技者にとって有利となる。
【0062】
そして、当選領域4〜15においては、それぞれ当選役「スイカ1〜8」のうちのいずれか2つの当選役が当選役「ベル」と重複当選するようになっており、当選役「ベル」を入賞させるための停止操作が当選領域によって異なるように設定されている。遊技者は、通常、いずれの当選役に当選しているのかを知ることができないため、上記のような当選領域4〜15を設けることにより、当選役「スイカ1〜8」のうちのいずれか2つの当選役と当選役「ベル」とが重複当選したとしても、当該当選役を入賞させることが極めて難しくなっている。
【0063】
ただし、このようなストップスイッチ130の操作順に応じて遊技者の遊技利益が異なる当選役に当選した場合においても、遊技者は、補助演出を通じて操作順を把握することで、特定の当選役(例えば、「ベル」)の図柄組み合わせを有効ライン上に表示させ、通常遊技状態より多くのメダルを獲得することが可能となる。
【0064】
なお、当選領域20には当選範囲値40336と「ハズレ」とが対応付けられている。かかるハズレはメダルの払い出し等は伴わないが、特定の図柄組み合わせを有効ライン上に表示させることで遊技の開始、終了条件や遊技上の利益の抽選契機に利用することができる。
【0065】
図8は、内部中遊技状態用当選役抽選テーブルを示す図である。この内部中遊技状態用当選役抽選テーブルは、内部中遊技状態において当選役抽選乱数を判定する場合に用いられるものである。なお、内部中遊技状態は、上述したように、BB内部当選フラグまたはRB内部当選フラグが持ち越される場合に設定され、当選役「BB」または当選役「RB」に入賞することにより終了する。この内部中遊技状態用当選役抽選テーブルによれば、さらにボーナス役に当選することがなく、また、当選役「リプレイ1」の当選確率を、
図7に示した通常遊技状態用当選役抽選テーブルに比べて高く設定している。また、当選役「リプレイ2」、当選役「リプレイ3」および各小役の当選確率は通常遊技状態用当選役抽選テーブルと等しく設定されている。
【0066】
図9は、ボーナス遊技状態用当選役抽選テーブルを示す図である。このボーナス遊技状態用当選役抽選テーブルは、当選役「BB」または当選役「RB」に対応する図柄組み合わせに入賞して設定されるBB遊技状態またはRB遊技状態において当選役抽選乱数を判定する場合に用いられるものである。このボーナス遊技状態用当選役抽選テーブルによれば、さらにボーナス役およびリプレイ役に当選することがなく、各小役の当選確率が
図7に示した通常遊技状態用当選役抽選テーブルに比べて高く設定されている。
【0067】
図10は、RT遊技状態用当選役抽選テーブルを示す図である。このRT遊技状態用当選役抽選テーブルは、予め定められた図柄組み合わせ(例えば、当選役「リプレイ2」に対応する図柄組み合わせ)が有効ライン上に表示されることによって設定されるRT遊技状態において当選役抽選乱数を判定する場合に用いられるものである。当該RT遊技状態用当選役抽選テーブルでは、当選役「リプレイ1」や、当選役「リプレイ2」および当選役「リプレイ3」が重複当選する当選確率が
図7に示した通常遊技状態用当選役抽選テーブルに比べて高く設定されている。したがって、メダルの消費が抑えられ、メダルの消費に対する当選役の抽選機会を増やすことができる。また、RT遊技状態用当選役抽選テーブルでは、通常遊技状態用当選役抽選テーブル同様、ボーナス役が設定されており、ボーナス役に当選すると、
図6の(6)に示すように、主制御基板200で管理している遊技状態がRT遊技状態から内部中遊技状態に遷移する。
【0068】
ここでは、通常遊技状態用当選役抽選テーブル、内部中遊技状態用当選役抽選テーブル、ボーナス遊技状態用当選役抽選テーブル、RT遊技状態用当選役抽選テーブルを挙げて当選役抽選テーブルを説明したが、当選役抽選テーブルはこれに限らず、その遊技状態に応じて様々な当選役抽選テーブルを用いることができる。
【0069】
(副制御基板202)
図4に戻って説明すると、副制御基板202は、主制御基板200と同様に、中央処理装置であるサブCPU202a、プログラム等が格納されたサブROM202b、ワークエリアとして機能するサブRAM202c等を含む各種半導体集積回路を有し、主制御基板200からのコマンドに基づき、特に演出を制御する。また、サブRAM202cにもメインRAM200c同様、不図示のバックアップ電源が接続されており、電源が切断された場合においても、データが消去されることなく保持される。なお、副制御基板202にも、主制御基板200同様、乱数発生器256が設けられており、乱数発生器256によって生成される乱数は、主に演出の態様を決定するために用いられる(演出抽選乱数)。
【0070】
また、副制御基板202は、サブCPU202aが、サブROM202bに格納されたプログラムに基づき、サブRAM202cと協働することで機能する、初期化決定手段330、コマンド受信手段332、特定遊技抽選手段334、演出決定手段336、演出実行手段338、コマンド蓄積手段340、コマンド群送信手段342を有する。初期化決定手段330は、副制御基板202における初期化処理を実行する。コマンド受信手段332は、主制御基板200等、他の制御基板からのコマンドを受信し、コマンドに対する処理を行う。特定遊技抽選手段334は、当選役コマンドに基づいて遊技者に有利な特定遊技に関する利益の付与の実行可否を特定遊技抽選により決定する。演出決定手段336は、当選役抽選手段304で決定された抽選結果に基づいて、液晶表示部138、スピーカ140、演出用ランプ142の各デバイスで行われる遊技の演出を決定する。演出実行手段338は、決定した遊技の演出に応じ、演出を実行するデバイス(液晶表示部138、スピーカ140、演出用ランプ142)を制御する、後述する複数のデバイス制御手段に、演出を実行させるためのコマンドであるデバイスコマンドをそれぞれ送信する。コマンド蓄積手段340は、副制御基板202内で生成された複数のデバイスコマンドをサブRAM202c(記憶手段)に蓄積し、デバイスコマンドから構成されるコマンド群を形成する。コマンド群送信手段342は、不意な電断後の電源の再投入を契機に、コマンド蓄積手段340がサブRAM202cに蓄積したコマンド群を再度送信する。かかる各機能部については、後程詳述する。
【0071】
ここで、特定遊技とは、遊技者に対し遊技が有利に進行する、例えば、AT遊技状態における遊技(AT遊技)をいう。特定遊技抽選手段334は、主制御基板200が管理する遊技状態が通常遊技状態であることを条件に、当選役コマンドに基づいて、例えば、AT遊技状態の実行可否を特定遊技抽選により決定し、AT遊技状態に当選すると、
図6の(7)に示すように、副制御基板202で管理している遊技状態が、補助演出を行わない非AT遊技状態からAT遊技状態に遷移する。また、AT遊技状態の実行と同時に決定された、AT遊技状態を継続可能な予め定められた遊技数である継続回数に到達すると、
図6の(8)に示すように、副制御基板202で管理している遊技状態が、AT遊技状態から非AT遊技状態に遷移する。また、特定遊技抽選手段334は、AT遊技状態において、継続回数を加算するか否かの抽選、所謂、上乗せ抽選も実行する。ここで、継続回数が加算されると、加算された遊技数分、AT遊技状態が長く維持され、遊技者は、遊技を有利に進行することができる。
【0072】
なお、本実施形態では、副制御基板202で管理する遊技状態のAT遊技状態への遷移に伴って、主制御基板200で管理する遊技状態をRT遊技状態に遷移させる、所謂、ART遊技状態を実現している。以下、AT遊技状態からART遊技状態への遷移について説明する。
【0073】
図7に示した、通常遊技状態用当選役抽選テーブルによれば、主制御基板200が管理する遊技状態が通常遊技状態である場合に、500/65536の当選確率で(当選領域2)、当選役「リプレイ2」と当選役「リプレイ3」が重複して当選する。したがって、当選役「リプレイ2」および当選役「リプレイ3」が重複当選した場合、遊技者は、右リール134cを最初に停止(第1停止)するようにストップスイッチ130を操作することで、当選役「リプレイ2」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させ、主制御基板200で管理する遊技状態を通常遊技状態からRT遊技状態に遷移させることができる(
図6の(4)参照)。しかし、本実施形態では、副制御基板202が管理する遊技状態が非AT遊技状態であると、当選役「リプレイ2」および当選役「リプレイ3」が重複当選したとしても、その旨報知せず、かつ、右リール134cを最初に停止(第1停止)するストップスイッチ130の操作を禁止している。具体的には、例えば、非AT遊技状態において、左リール134a以外のリールを最初に停止するストップスイッチ130の操作を行った場合、所定の遊技数の間、AT遊技状態へ移行させるか否かのAT抽選を受けられない等、本来受けることが可能な遊技利益を受けることができなくなる。また、たとえ、右リール134cを最初に停止するストップスイッチ130の操作によって遊技状態をRT遊技状態に遷移させたとしても、AT遊技状態ではないので、いずれは当選役「リプレイ3」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示され、通常遊技状態に戻ってしまう。したがって、遊技者は、非AT遊技状態において、当選役「リプレイ2」および当選役「リプレイ3」が重複当選した遊技で、遊技を不利に進行させないために、右リール134cを最初に停止(第1停止)するストップスイッチ130の操作を行わない。こうすることで、RT遊技状態への遷移契機を作りつつ、非AT遊技状態においてRT遊技状態への遷移を意図的に制限することができる。
【0074】
一方、副制御基板202で管理する遊技状態が非AT遊技状態からAT遊技状態に遷移すると、RT遊技状態に移行するための当選役「リプレイ2」および当選役「リプレイ3」の重複当選(当選確率500/65536)を待つ、所謂、ART準備状態(AT遊技状態ではあるが、RT遊技状態ではない)となる。そして、当選役「リプレイ2」および当選役「リプレイ3」の重複当選に応じ、AT遊技状態における補助演出を通じて、当選役「リプレイ2」および当選役「リプレイ3」に重複当選したこと、または、当選役「リプレイ2」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示可能な操作順を報知する。すると、遊技者は、当選役「リプレイ2」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示することができ、副制御基板202で管理されるAT遊技状態に加えて、主制御基板200で管理される遊技状態を通常遊技状態からRT遊技状態に遷移させることができる。また、AT遊技状態においては、右リール134cを最初に停止(第1停止)するストップスイッチ130の操作を許可している。したがって、遊技者は、遊技が不利に進行してしまう等のペナルティを受けることなく、ART遊技状態に遷移させることができる。
【0075】
また、AT遊技状態が継続回数に達し、副制御基板202で管理する遊技状態がAT遊技状態から非AT遊技状態に遷移すると、遊技者に有利な遊技はRT遊技状態のみとなる。ここでは、即座にRT遊技状態が終了する訳ではないので、当選役「リプレイ1」の当選確率が高い状態が1または複数の遊技数分継続されるものの、当選役「リプレイ2」および当選役「リプレイ3」の重複当選に当選してしまうと、補助演出が行われないので、遊技者は、その当選を把握することができず、上述したように、左リール134aを最初に停止するストップスイッチ130の操作を行い(右リール134cを最初に停止(第1停止)するストップスイッチ130の操作を行うことなく)、当選役「リプレイ3」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示され、主制御基板200で管理する遊技状態がRT遊技状態から通常遊技状態に遷移する(
図6の(5)参照)。こうして、ART遊技状態が終了することとなる。以上、説明したように、特定遊技抽選手段334は、AT遊技状態の実行可否を特定遊技抽選により決定することで、実質的に、ART遊技状態の実行可否を決定することができる。本実施形態では、理解を容易にするため、ART遊技状態の開始や終了を副制御基板202で管理する。
【0076】
また、演出とは、遊技の進行に伴い、液晶表示部138、スピーカ140、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158等を通じて提供される視覚的および聴覚的な表現手段であり、当該遊技にストーリー性を与えたり、当選役の抽選結果をよりダイナミックな画像で示唆したりすることができる。ここでは、液晶表示部138を通じて表現される視覚的演出を液晶表示演出といい、当該液晶表示演出を実行するために、液晶表示部138を制御する液晶制御基板204に送信するコマンドを液晶コマンドという。また、スピーカ140を通じて表現される聴覚的演出をスピーカ出力演出といい、当該スピーカ出力演出を実行するために、スピーカ140を制御する音声制御手段に送信するコマンドを音声コマンドという。また、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158等を通じて表現される視覚的演出を発光演出といい、当該発光演出を実行するために、演出用ランプ142、リールバックライト144、リール上方ライト146、サブクレジット表示部156、サブ払出表示部158等を制御する発光制御手段に送信するコマンドを発光コマンドという。また、液晶制御基板204、音声制御手段、発光制御手段を総称してデバイス制御手段といい、液晶コマンド、音声コマンド、発光コマンドを総称してデバイスコマンドという。このような演出を実行する上で、特に、上述したボーナス役に関しては、BB内部当選フラグやRB内部当選フラグを複数遊技に亘って持ち越すことが可能なので、ボーナス役の当選を示唆する演出を複数遊技に亘って行い、遊技者の期待感を高めることができる。また、たとえ、いずれの当選役も当選していなかったとしても、恰も当選しているかのような演出を通じて遊技者に高配当の期待感を持たせ、遊技者を飽きさせないようにすることが可能となる。
【0077】
上述した当選役の抽選結果を示唆する演出としては補助演出がある。例えば、遊技者が左リール134a、中リール134b、右リール134cの停止操作を適当に行っただけでは、当選役に対応する図柄組み合わせを必ずしも有効ライン上に表示させることができるとは限らない当選役に当選した場合に、遊技者が停止操作を行う前に補助演出を行うことで、当選役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させるように促す。
【0078】
(副制御基板202で用いられるテーブル)
サブROM202bには、複数の特定遊技抽選テーブル等が格納されている。特定遊技抽選手段334は、当選役抽選手段304が決定した当選役に基づいて対応する特定遊技抽選テーブルをサブROM202bから抽出するとともに、抽出した特定遊技抽選テーブルに基づき、特定遊技抽選乱数が特定遊技(ここではAT遊技)の当選に対応するか否か判定する。
【0079】
図11は、特定遊技抽選テーブルを示す図である。ここでは、特定遊技乱数の総数(65536)に相当する領域が2つの当選領域に区画されており、当選領域1には当選範囲値100と特定遊技の当選が対応付けられ、当選領域2には当選範囲値65436とハズレが対応付けられている。したがって、特定遊技(AT遊技)が当選する確率は100/65536となる。また、上述したように、本実施形態では、AT遊技に当選し、AT遊技状態に遷移すると、それに伴ってRT遊技状態にも遷移し、実質的にART遊技状態で遊技(ART遊技)が実現される。
【0080】
(補助演出の復元)
以下、副制御基板202によって実行される補助演出を簡単に述べ、その後、電断時の補助演出の復元について説明する。
【0081】
図12は、演出実行手段338の動作を説明するための説明図である。特定遊技状態において、例えば、
図10に示すRT遊技状態用当選役抽選テーブルの当選領域4が当選役抽選により決定されると、当選役抽選手段304は、当選領域4の当選を示す当選役コマンドを副制御基板202に送信する。副制御基板202の演出決定手段336は、かかる当選役コマンドに基づいてRT遊技状態用当選役抽選テーブルの当選領域4の当選、すなわち、当選役「ベル」、当選役「スイカ1」および当選役「スイカ4」の重複当選を把握し、当選役コマンドに基づいて遊技の演出、ここでは補助演出を決定する。
【0082】
かかる重複当選では、左リール134a、中リール134b、右リール134cのうち、左リール134aを最初に停止(第1停止)するようにストップスイッチ130が操作されると、3つの回転リール全ての操作タイミングに拘わらず、かつ、次に停止(第2停止)された回転リールが中リール134bまたは右リール134cのいずれであっても、リール制御手段306によって当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示するように停止制御がなされ、中リール134bまたは右リール134cを第1停止するようにストップスイッチ130が操作されると、当選役「スイカ1」または当選役「スイカ4」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示できるタイミングで、第1、第2、第3停止をしたときのみ、当選役「スイカ1」または当選役「スイカ4」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示するとともに、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示しないように停止制御がなされる。
【0083】
ここでは、当選役「ベル」のみが、回転リール全ての停止操作タイミングに拘わらず確実に入賞させることができる当選役なので、演出実行手段338は、補助演出として、液晶制御基板204に液晶コマンドを送信し、液晶表示部138に、
図12(a)のような、左リール134aを第1停止操作すべき旨の映像を表示させる。遊技者は、かかる補助演出に応じて、左リール134aを第1停止操作すると、リール制御手段306は、その操作に対応する左リール134aを所定の停止制御に従って当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が有効ライン上に表示されるように停止させるとともに、第1停止操作として左リール134aに対応するストップボタンスイッチ130aが操作されたことを示す第1停止コマンドを副制御基板202に送信する。
【0084】
演出実行手段338は、かかる第1停止コマンドに応じて液晶制御基板204に新たに液晶コマンドを送信し、演出態様を変動させ、例えば、
図12(b)のような、中リール134bまたは右リール134cを停止操作すべき旨の映像を液晶表示部138に表示させる。遊技者は、かかる補助演出に応じて、中リール134bを第2停止操作すると、リール制御手段306は、その操作に対応する中リール134bを所定の停止制御に従って当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、第1停止操作に応じて当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が停止した有効ライン上に表示されるように停止させるとともに、第2停止操作として中リール134bに対応するストップボタンスイッチ130bが操作されたことを示す第2停止コマンドを副制御基板202に送信する。
【0085】
演出実行手段338は、かかる第2停止コマンドに応じて液晶制御基板204に新たに液晶コマンド、音声コマンドおよび発光コマンドを送信し、演出態様を変動させ、例えば、
図12(c)のような、右リール134cを停止操作すべき旨の映像を液晶表示部138に表示させる。遊技者は、かかる補助演出に応じて、右リール134cを第3停止操作すると、リール制御手段306は、その操作に対応する右リール134cを所定の停止制御に従って当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が、第1停止操作に応じて当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせを構成する図柄が停止した有効ライン上に表示されるように停止させるとともに、第3停止操作として右リール134cに対応するストップボタンスイッチ130cが操作されたことを示す第3停止コマンドを副制御基板202に送信する。
【0086】
演出実行手段338は、かかる第3停止コマンドに応じて液晶制御基板204に新たに液晶コマンド、音声コマンドおよび発光コマンドを送信し、演出態様を変動させ、例えば、
図12(d)のような、停止操作が終了した旨の映像を液晶表示部138に表示させる。このとき、主制御基板200の判定手段308は、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたことに基づいて当選役「ベル」の入賞を確定するとともに、入賞した当選役「ベル」と払出枚数「10」を示す入賞コマンドを副制御基板202に送信する。演出実行手段338は、かかる入賞コマンドに応じて演出態様を変動させ、例えば、
図12(e)のような、メダルの払出を受ける旨の映像を液晶表示部138に表示させる。
【0087】
このように、遊技者は、補助演出を通じて、通常遊技状態より多くのメダルを獲得することが可能となる。しかし、このような補助演出は、不意な電断によって消去され、従来のように、単に電源が再投入されるだけでは、継続情報や決定情報と異なり復元されない。例えば、演出実行手段338が
図12(a)のような、左リール134aを第1停止操作すべき旨の映像を表示させた後、遊技者が左リール134aを第1停止操作する前に不意な電断が生じると、電源を再投入したときには、
図12(a)の映像は消去され、滞在している遊技状態に基づく背景映像のみが表示される。すると、遊技者は、どのような順番でストップスイッチ130を操作したらよいのか把握できず、停止操作タイミングに拘わらず、確実に入賞できるはずの当選役「ベル」を、確実に入賞させることができなくなり、遊技利益を逃すおそれがある。このとき、継続情報や決定情報同様、電断直前の演出画像を保持しようとしても、補助演出は、遊技の進行に応じ変動し、過去の状態に基づく複数のレイヤを重ねて表示されるものなので、途中の、例えば
図12(a)に示す静止画を保持しても、演出の前後の流れまで復元することはできない。
【0088】
結局、補助演出等、演出を完全に復元しようとすると、当該1遊技の開始から副制御基板202内で実行された処理に相当する処理を実行し、電断時に表示された演出のみならず、その前後の演出の流れも再現する必要がある。しかし、当該1遊技の開始からの全ての処理を別途行おうとすると、副制御基板202の処理負荷が増大してしまう。そこで、本実施形態では、電断前に副制御基板202で行われた処理の結果を通じて電断直前の演出を復元する。その手段として、ここでは、当該1遊技の開始時から電断が生じた時点までに副制御基板202で生成されたデバイスコマンドを再現し、順次実行させる。そのため、副制御基板202では、生成したコマンドをサブRAM202cにコマンド群として蓄積し、電源を再投入した時点で、その蓄積したコマンド群を再度送信する。こうすることで、電断前の状態を復元することができる。
【0089】
具体的には、副制御基板202のコマンド蓄積手段340は、ベット手段302で生成される投入コマンド、当選役抽選手段304で生成される当選役コマンド、リール制御手段306で生成される停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)、判定手段308で生成される入賞コマンド等の各コマンドに対応して副制御基板202内で生成されたデバイスコマンド(液晶コマンド、音声コマンド、発光コマンド)を含むコマンド群をサブRAM202cに蓄積する。
【0090】
上記コマンド群は、各遊技における状態が生成されて切り換わるタイミング、ここでは1遊技の終了時点(入賞コマンドまたは払出コマンドを受信した時点)、1遊技の開始準備時点(投入コマンドを受信した時点)、または、1遊技の開始時点(当選役コマンドを受信した時点)でリセットされ(本実施形態では、1遊技の開始準備時点にリセットする)、その後送信されたコマンドのみサブRAM202cに蓄積される。ただし、1遊技の終了時点でリセットした場合、入賞コマンドや払出コマンドをサブRAM202cに記憶した直後にリセットすることとなる。こうすることで、コマンド群を、1遊技が開始されてから電断が生じる直前までのコマンドとすることができる。ここで、デバイスコマンドのうち、液晶コマンドは、送信される度に、記憶領域を異ならせて保持され、音声コマンドおよび発光コマンドは、1の記憶領域に上書きされて保持される。これは、音声コマンドや発光コマンドが、過去の状態に拘わらず、その1のコマンドのみで独立して演出を実現できるのに対し、液晶コマンドは、過去の表示状態が存在してはじめて実現できるものがあるからである。以下に、デバイスコマンドのサブRAM202cへの保持態様について詳述する。
【0091】
図13は、コマンド蓄積手段340の動作を説明するための説明図である。サブRAM202cでは、液晶コマンド、音声コマンド、発光コマンドの各デバイスコマンドが保持され、液晶コマンドについては、さらに、「遊技開始」、「演出種別」、「スタートスイッチ」、「第1停止」、「第2停止」、「第3停止」、「入賞」の7つの記憶領域に区分されている。副制御基板202では、主制御基板200からコマンドを受信する毎に、デバイスコマンドを生成、送信するので、
図13では、主制御基板200から受信した受信コマンド毎にサブRAM202cに保持される内容が変化する。ここでは、主制御基板200から受信コマンドを受信した順にサブRAM202cに保持される内容を時系列で示している。
【0092】
例えば、副制御基板202が、ベット操作がなされたことを示す投入コマンドを受信すると、コマンド蓄積手段340は、サブRAM202cを初期化し、その時点で選択されているステージに応じて決定された、液晶コマンド(ステージA)、音声コマンド(BGM)、発光コマンド(発光A)をサブRAM202cに保持させる。このとき、液晶コマンド(ステージA)は、サブRAM202cの記憶領域「遊技開始」に保持される。
【0093】
続いて、副制御基板202が、当選役抽選の抽選結果や遊技状態に関する情報等を含む当選役コマンドを受信すると、コマンド蓄積手段340は、当選役コマンドに応じて決定された演出の種別を示す液晶コマンド(演出B)をサブRAM202cの記憶領域「演出種別」に保持させる。引き続き、コマンド蓄積手段340は、決定された演出Bにおける当選役コマンドに対応する液晶コマンド(スタート)をサブRAM202cの記憶領域「スタートスイッチ」に保持させるとともに、決定された演出Bにおける当選役コマンドに対応する音声コマンド(効果音B)をサブRAM202cに上書きし、決定された演出Bにおける当選役コマンドに対応する発光コマンド(発光B)をサブRAM202cに上書きする。
【0094】
副制御基板202が、ストップスイッチ130の第1回目の操作がなされたことを示す第1停止コマンドを受信すると、コマンド蓄積手段340は、演出Bにおける第1停止コマンドに対応する液晶コマンド(第1停止)をサブRAM202cの記憶領域「第1停止」に保持させるとともに、演出Bにおける第1停止コマンドに対応する音声コマンド(効果音C)をサブRAM202cに上書きし、演出Bにおける第1停止コマンドに対応する発光コマンド(発光C)をサブRAM202cに上書きする。同様に、副制御基板202が第2停止コマンドを受信すると、コマンド蓄積手段340は、演出Bにおける第2停止コマンドに対応する液晶コマンド(第2停止)をサブRAM202cの記憶領域「第2停止」に保持させるとともに、演出Bにおける第2停止コマンドに対応する音声コマンド(効果音D)をサブRAM202cに上書きし、演出Bにおける第2停止コマンドに対応する発光コマンド(発光D)をサブRAM202cに上書きする。また、副制御基板202が第3停止コマンドを受信すると、コマンド蓄積手段340は、演出Bにおける第3停止コマンドに対応する液晶コマンド(第3停止)をサブRAM202cの記憶領域「第3停止」に保持させるとともに、演出Bにおける第3停止コマンドに対応する音声コマンド(効果音E)をサブRAM202cに上書きし、演出Bにおける第3停止コマンドに対応する発光コマンド(発光E)をサブRAM202cに上書きする。
【0095】
続いて、副制御基板202が、メダルの払出枚数等を含む入賞コマンドを受信すると、コマンド蓄積手段340は、演出Bにおける入賞コマンドに対応する液晶コマンド(入賞)をサブRAM202cの記憶領域「入賞」に保持させるとともに、演出Bにおける入賞コマンドに対応する音声コマンド(効果音F)をサブRAM202cに上書きし、演出Bにおける入賞コマンドに対応する発光コマンド(発光F)をサブRAM202cに上書きする。
【0096】
このように、液晶コマンドについては、生成される毎に記憶領域を異ならせて保持される。すなわち、1遊技における過去に生成された全ての液晶コマンドが全て保持されることとなる。これに対し、音声コマンドおよび発光コマンドについては、生成される毎に上書きされ、常に最新のコマンドが保持されることになる。
【0097】
ここで電断が生じると、副制御基板202のコマンド群送信手段342は、不意な電断後の電源の再投入を契機に、コマンド蓄積手段340がサブRAM202cに蓄積したコマンド群をそれぞれ対応するデバイス(液晶制御基板204、音声制御手段および発光制御手段)に送信する。
【0098】
ただし、コマンド群送信手段342は、コマンド群のうち、液晶コマンドについては、1遊技の開始時から電断時までの全てのコマンドを、その生成順に液晶制御基板204に送信し、音声コマンドおよび発光コマンドについては、最終的に保存されている1のコマンドのみを音声制御手段および発光制御手段に送信する。ここでは、演出を実行した結果としてのデバイスコマンドを再現するので、演出の態様は、電断前の演出を完全に復元することとなる。
【0099】
以下、主制御基板200、副制御基板202における具体的処理を説明する。
【0100】
(主制御基板200のメイン処理)
図14は、主制御基板200のメイン処理を示したフローチャートである。ここでは、まず、主制御基板200のメイン処理に沿って、初期化後の1遊技の概略を説明し、その後、各処理の詳細について説明する。
【0101】
(ステップS100)
電源スイッチ148を介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、初期化手段300は、遊技開始に備え初期化処理を実行する。初期化手段300は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをメインRAM200cに保持している。したがって、不意の電断が生じたとしても、この初期化処理において、保持されたバックアップデータを用い電断前の状態に復帰させることができる。例えば、回転リールの回転中に不意の電断が起きたとしても、復帰動作後に再度回転リールが回転している状態から開始される。したがって、初期化処理では、基本的に、メインRAM200cの初期化(RAMクリア)は行われない。ただし、遊技者の遊技利益に影響を与えない情報、例えば、演出に関する情報は必要に応じて初期化される。そして、初期化手段300は、リールユニット134をはじめとする各種装置の接続状況や作動状況を確認する。
【0102】
(ステップS200)
続いて、ベット手段302は、メダル投入部124から規定数のメダルの投入を受け付け、あるいは、規定数以上のクレジットが貯留されている状況でベットボタン126の操作を受け付けて、メダルのベットを完了させ、スタートスイッチ128の操作待ち状態に移行する。また、ベット手段302は、その操作がなされたことを示す投入コマンドを生成し、副制御基板202に送信する。そして、スタートスイッチ128の操作が検知されると、次のステップS300に処理が移される。
【0103】
(ステップS300)
次に、当選役抽選手段304は、スタートスイッチ128の操作に応じて、主制御基板200の乱数発生器256によって更新された当選役抽選乱数から、スタートスイッチ128が操作された時点における1の当選役抽選乱数を取得する。そして、当選役抽選手段304は、
図7に示した通常遊技状態用当選役抽選テーブルを含む複数の当選役抽選テーブルから、現在設定されている遊技状態に対応する1の当選役抽選テーブルを決定するとともに、取得した当選役抽選乱数が、決定した当選役抽選テーブルにおけるいずれの当選領域に対応するか判定し、判定された当選領域の当選役またはハズレを抽選結果として決定する。また、当選役抽選手段304は、スタートスイッチ128の操作に応じて抽選結果が決定された後、当選役抽選の抽選結果(当選役またはハズレ)や遊技状態に関する情報等を含む当選役コマンドを生成し、副制御基板202に送信する。
【0104】
(ステップS400)
上記のようにして抽選処理が終了すると、次に、リール制御手段306は、ステッピングモータ262を駆動して左リール134a、中リール134b、右リール134cを回転させる。このリール回転処理においては、前回の1遊技における左リール134a、中リール134b、右リール134cの回転開始時点から所定の時間(例えば4.1秒)が経過すると(ウェイト)、当該遊技における左リール134a、中リール134b、右リール134cの回転を開始し、左リール134a、中リール134b、右リール134cの全てが定速回転となったところで、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cの操作を有効化する。
【0105】
(ステップS500)
続いて、リール制御手段306は、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cが有効化されている状態で、遊技者によるストップボタンスイッチ130a、130b、130cの操作を受け付けると、その操作に対応する回転リール(左リール134a、中リール134b、右リール134cのいずれか)を所定の停止制御に従って停止させる。また、リール制御手段306は、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cのいずれかの操作がなされると、操作がなされたストップボタンスイッチ130a、130b、130cの情報を示す停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)を操作の度に生成し、順次、副制御基板202に送信する。
【0106】
(ステップS600)
次に、判定手段308は、
図5(a)に示した有効ライン上に表示された図柄組み合わせが予め定められたどの組み合わせに相当するかを判定し、その図柄組み合わせに応じて遊技状態の変更やリプレイに際して要求される種々の処理を実行する。ここで、判定手段308は、当選役抽選で決定した当選役に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されたことに基づいて、遊技者の有利度合いを異にする複数の遊技状態のうち1の遊技状態、例えば、ボーナス遊技状態を決定する。また、判定手段308は、有効ライン上に表示された図柄組み合わせや、有効ライン上に小役に対応する図柄組み合わせが表示された場合におけるメダルの払出枚数等を含む入賞コマンドを生成し、副制御基板202に送信する。
【0107】
(ステップS700)
続いて、払出制御手段310は、ステップS600における判定結果に基づき、例えば、有効ライン上に小役に対応する図柄組み合わせが表示されると、当該小役に対応するメダルの払出処理を実行し、有効ライン上にリプレイ役に対応する図柄組み合わせが表示されると、自動的に次遊技のベットを行うための処理を実行する。このように、払出制御手段310は、有効ライン上に表示された図柄組み合わせに対応して種々の処理を遂行し、当該1遊技を終了する。また、払出制御手段310は、メダルの払出処理がなされた場合、払出処理がなされたことを示す払出コマンドを生成し、副制御基板202に送信する。
【0108】
ステップS200からステップS700に示したように、メダルの投入を通じて遊技を開始可能な状態となり、スタートスイッチ128の操作から入賞による払い出しまでの一連の処理を通じて1遊技が実行される。以後は、ステップS200からステップS700までを繰り返すこととなる。
【0109】
(初期化処理S100の詳細な処理)
次に、本実施形態の特徴点に関し、上記ステップS100における各処理の詳細な動作を説明する。
図15は、上記ステップS100の初期化処理を示したフローチャートである。
【0110】
(ステップS101)
電源スイッチ148がONされると、主制御基板200が動作し始め、初期化手段300は、メインRAM200cにおける遊技者の遊技利益に影響を与える情報(遊技状態やエラー情報を含む)はそのまま維持し、その他の、遊技利益に影響を与えない情報を初期化する。
【0111】
(ステップS102)
続いて、初期化手段300は、リールユニット134等の各種装置の接続状況や作動状況を確認して、当該初期化処理S100を終了する。
【0112】
(副制御基板202のサブ処理)
図16は、副制御基板202のサブ処理を示したフローチャートである。
【0113】
(ステップS1100)
電源スイッチ148を介してスロットマシン100の電源が投入され、通電状態になると、副制御基板202の初期化決定手段330は、主制御基板200の初期化手段300同様、初期化処理を実行し、割込を許可する。初期化決定手段330は、電源が投入されている間、随時バックアップデータを生成し、そのバックアップデータをサブRAM202cに保持している。したがって、初期化処理では、継続情報および決定情報に関してサブRAM202cの初期化(RAMクリア)は行わず、遊技者の遊技利益に影響を与えない情報、例えば、演出に関する情報は必要に応じて初期化される。ここで、継続情報は、複数の遊技に亘って維持される、例えば、遊技状態(通常遊技状態、ボーナス遊技状態、特定遊技状態)や、各遊技状態において演出態様を異ならせるステージ等の情報をいう。また、決定情報は、継続情報のように複数の遊技に亘る情報ではないが、遊技者の遊技利益に影響を及ぼす、例えば、特定遊技の抽選結果等の重要な情報をいう。したがって、電源の再投入直後は、1遊技中において独立して設定され、かつ、遊技者の遊技利益に直接影響を及ぼさない補助演出を含む演出一般は復元されていない。ただし、補助演出は、遊技者の遊技利益に直接影響を及ぼさないものの、上述したように、ストップスイッチ130の操作順や操作タイミングが入賞条件として設定された当選役に対応する図柄組み合わせを有効ライン上に表示させたり、RT遊技状態が終了してしまう当選役に当選したときに、RT遊技状態の終了を回避させたりできるので、間接的には遊技利益に影響する。なお、演出としても用いられるスピーカ140や演出用ランプ142に関し、演出決定手段336で決定される演出に基づく効果音の出力や発光は行われないが、継続情報、例えば、遊技状態やステージに基づく楽音の出力や発光は実行される。
【0114】
このとき、直前の電断が不意な電断であれば、コマンド群送信手段342は、コマンド蓄積手段340がサブRAM202cに蓄積したコマンド群をそれぞれ対応するデバイス(液晶制御基板204、音声制御手段、発光制御手段)に送信する。ここで、不意な電断であるか否かは、電断時と停電等の時間が重なっているかや、電源スイッチ148が操作されていないか等によって判定できるが、本実施形態では、1遊技のいずれの時点で電断が生じたか否かを、電断フラグがONしているか否かを通じて判定する。なお、不意な電断と判定する期間を、当選役コマンドを受信してから全ての停止コマンド(第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンド)を受信するまでとする。
【0115】
(ステップS1200)
コマンド受信手段332は、主制御基板200からのコマンドが受信されるまで待機する。
【0116】
(ステップS1300)
上記ステップS1200においてコマンドが受信されていると判定されれば、コマンド受信手段332は、当該受信されたコマンドに基づいて種々の処理を実行する。
【0117】
(初期化処理S1100の詳細な処理)
次に、本実施形態の特徴点に関し、上記ステップS1100における各処理の詳細な動作を説明する。
図17は、上記ステップS1100の初期化処理を示したフローチャートである。
【0118】
(ステップS1101)
電源スイッチ148がONされると、副制御基板202が動作し始め、初期化決定手段330は、サブRAM202cにおける遊技者の遊技利益に影響を与える情報(継続情報や決定情報を含む)はそのまま維持し、その他の、遊技利益に影響を与えない情報を初期化する。
【0119】
(ステップS1102)
続いて、初期化決定手段330は、液晶表示部138、スピーカ140、演出用ランプ142の各デバイスの接続状況や作動状況を確認する。
【0120】
(ステップS1103)
次に、初期化決定手段330は、直前の電断が停電等の不意な電断であるか否か、すなわち、電断フラグがONであるか否かを判定する。その結果、電断フラグがONであれば、ステップS1104に処理を移し、電断フラグがONでなければ、当該初期化処理S1100を終了する。なお、かかる電断フラグは、電断によって初期化されない。
【0121】
(ステップS1104)
上記ステップS1103において電断フラグがONであると判定されれば、コマンド群送信手段342は、コマンド蓄積手段340がサブRAM202cに蓄積したコマンド群を、液晶制御基板204、音声制御手段および発光制御手段に送信する。ただし、コマンド群送信手段342は、コマンド群のうち、液晶コマンドについては、1遊技の開始時から電断時までの全てのコマンドを、その生成順に液晶制御基板204に送信し、音声コマンドおよび発光コマンドについては、最終的に保存されている1のコマンドのみを音声制御手段および発光制御手段に送信する。液晶制御基板204は、液晶コマンドを電断前と同一の順に受信することで、演出の種別と、電断時までの演出態様の変動経緯を把握することができ、電断時の演出を完全に復元することが可能となる。
【0122】
(コマンド受信処理S1300の詳細な処理)
図18は、上記ステップS1300のコマンド受信処理を示したフローチャートである。
ここでは本実施形態の特徴に関係する処理について詳細に説明し、本実施形態の特徴と無関係の構成については説明を省略する。
【0123】
(ステップS1301)
まず、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが投入コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが投入コマンドであれば、ステップS1302に処理を移し、受信したコマンドが投入コマンドでなければ、ステップS1303に処理を移す。
【0124】
(ステップS1302)
上記ステップS1301において受信したコマンドが投入コマンドであると判定されれば、演出実行手段338は、次の遊技のための遊技開始準備が行われたとして、それまで実行されていた演出を所定条件下で切り換えたり、遊技状態やステージに基づく演出を決定、開始する。具体的には、当該遊技状態のステージに基づく液晶コマンド(例えば、
図13におけるステージA)を液晶制御基板204に送信して液晶表示演出を実行し、それに付随する音声コマンド(例えば、
図13におけるBGM)および発光コマンド(例えば、
図13における発光A)を音声制御手段および発光制御手段に送信してスピーカ出力演出およびランプ発光演出を実行する。そして、コマンド蓄積手段340は、サブRAM202cのコマンド群を初期化し(削除し)、ステージに応じて決定された液晶コマンド(ステージA)をサブRAM202cの記憶領域「遊技開始」に保持させるとともに、ステージに応じて決定された音声コマンド(BGM)およびステージに応じて決定された発光コマンド(発光A)をサブRAM202cに保持させる。
【0125】
(ステップS1303)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが当選役コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが当選役コマンドであれば、1遊技が開始されたとし、ステップS1304に処理を移し、受信したコマンドが当選役コマンドでなければ、ステップS1308に処理を移す。
【0126】
(ステップS1304)
上記ステップS1303において受信したコマンドが当選役コマンドであると判定されれば、特定遊技抽選手段334は、当選役コマンドに示される主制御基板200が管理する遊技状態が通常遊技状態であることを条件に、当選役コマンドに示される当選役に基づいて、
図11に示したような特定遊技抽選テーブルをサブROM202bから抽出するとともに、抽出した特定遊技抽選テーブルに基づき、特定遊技抽選乱数が特定遊技(ここではART遊技)の当選に対応するか否か判定し、特定遊技抽選乱数が特定遊技の当選に対応していれば、特定遊技の実行を決定する。また、副制御基板202で管理している遊技状態がAT遊技状態であれば、特定遊技抽選手段334は、AT遊技の継続回数の上乗せ抽選を行い、上乗せ抽選に当選すると、当選した継続回数を現在のAT遊技の継続回数に加算する。
【0127】
(ステップS1305)
続いて、演出決定手段336は、当選役コマンドに基づいて遊技の演出を決定する。このとき、遊技状態が特定遊技状態であり、かつ、当選役が、ストップスイッチ130の操作順が入賞条件として設定された当選役(
図6の当選領域4〜15)であれば、そのストップスイッチ130の操作順を報知する補助演出を決定する。
【0128】
(ステップS1306)
次に、演出実行手段338は、演出決定手段336によって決定された演出を実行開始する。例えば、決定された演出が補助演出であれば、演出実行手段338は、当該補助演出の種別を示す液晶コマンド(例えば、
図13における演出B)と補助演出の開始を示す液晶コマンド(例えば、
図13におけるスタート)を液晶制御基板204に送信して液晶表示演出を実行し、補助演出の開始に付随する音声コマンド(例えば、
図13における効果音B)および発光コマンド(例えば、
図13における発光B)を音声制御手段および発光制御手段に送信してスピーカ出力演出およびランプ発光演出を実行する。すると、例えば、
図12(a)のような映像が液晶表示部138に表示される。そして、コマンド蓄積手段340は、決定された演出の種別を示す液晶コマンド(演出B)をサブRAM202cの記憶領域「演出種別」に保持させる。また、コマンド蓄積手段340は、補助演出における当選役コマンドに対応する液晶コマンド(スタート)をサブRAM202cの記憶領域「スタートスイッチ」に保持させるとともに、補助演出における当選役コマンドに対応する音声コマンド(効果音B)をサブRAM202cに上書きし、補助演出における当選役コマンドに対応する発光コマンド(発光B)をサブRAM202cに上書きする。
【0129】
(ステップS1307)
続いて、演出実行手段338は、電断が生じた場合に、その電断が不意な電断か否か判定するための電断フラグをONする。ここでは、電断フラグがONのとき不意な電断と判定され、電断フラグがOFFのとき通常の電断と判定される。
【0130】
(ステップS1308)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが停止コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが停止コマンドであれば、ステップS1309に処理を移し、受信したコマンドが停止コマンドでなければ、ステップS1312に処理を移す。
【0131】
(ステップS1309)
上記ステップS1308において受信したコマンドが停止コマンドであると判定されれば、演出実行手段338は、その停止コマンドが、第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンドのいずれであるか、また、その停止操作は、ストップボタンスイッチ130a、130b、130cのいずれになされた停止操作かを判定し、その判定結果と演出の内容に基づいて、液晶コマンド(第1停止)、(第2停止)、(第3停止)を液晶制御基板204に順次送信して液晶表示演出を実行し、それに付随する音声コマンド(効果音C)、(効果音D)、(効果音E)および発光コマンド(発光C)、(発光D)、(発光E)を音声制御手段および発光制御手段に順次送信してスピーカ出力演出およびランプ発光演出を実行する。すると、例えば、
図12(b)、
図12(c)、
図12(d)のように、液晶表示部138における演出の演出態様が変動する。
【0132】
また、受信したコマンドが第1停止コマンドであれば、コマンド蓄積手段340は、補助演出における第1停止コマンドに対応する液晶コマンド(第1停止)をサブRAM202cの記憶領域「第1停止」に保持させるとともに、補助演出における第1停止コマンドに対応する音声コマンド(効果音C)をサブRAM202cに上書きし、補助演出における第1停止コマンドに対応する発光コマンド(発光C)をサブRAM202cに上書きする。受信したコマンドが第2停止コマンドであれば、コマンド蓄積手段340は、補助演出における第2停止コマンドに対応する液晶コマンド(第2停止)をサブRAM202cの記憶領域「第2停止」に保持させるとともに、補助演出における第2停止コマンドに対応する音声コマンド(効果音D)をサブRAM202cに上書きし、補助演出における第2停止コマンドに対応する発光コマンド(発光D)をサブRAM202cに上書きする。受信したコマンドが第3停止コマンドであれば、コマンド蓄積手段340は、補助演出における第3停止コマンドに対応する液晶コマンド(第3停止)をサブRAM202cの記憶領域「第3停止」に保持させるとともに、補助演出における第3停止コマンドに対応する音声コマンド(効果音E)をサブRAM202cに上書きし、補助演出における第3停止コマンドに対応する発光コマンド(発光E)をサブRAM202cに上書きする。
【0133】
ここでは、第1停止コマンド、第2停止コマンド、第3停止コマンドのすべてにおいて演出態様を変動させる補助演出を挙げたが、演出によって、1または複数の停止コマンドでの変動を想定していない場合、その停止コマンドに対しては液晶コマンド、音声コマンド、発光コマンドを送信せず、演出態様を変動しない。送信するコマンドがない場合、コマンド蓄積手段340も、コマンドの蓄積を行わない。
【0134】
(ステップS1310)
続いて、演出実行手段338は、停止コマンドを全て受信したか、すなわち、受信された停止コマンドが第3停止コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが第3停止コマンドであれば、ステップS1311に処理を移し、受信したコマンドが第3停止コマンドでなければ、ステップS1312に処理を移す。
(ステップS1311)
また、コマンド蓄積手段340は、停止コマンドを全て送信し終えると、電断フラグをOFFする。したがって、1遊技が終了してから次の遊技が開始するまでの間で電断が生じたとしても、不意な電断とは判定されず、コマンド群送信手段318は、コマンド群を副制御基板202に送信しない。
【0135】
(ステップS1312)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが入賞コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが入賞コマンドであれば、ステップS1313に処理を移し、受信したコマンドが入賞コマンドでなければ、ステップS1314に処理を移す。
【0136】
(ステップS1313)
上記ステップS1312において受信したコマンドが入賞コマンドであると判定されれば、演出実行手段338は、当該入賞コマンドに基づく液晶コマンド(例えば、
図13における入賞)を液晶制御基板204に送信して液晶表示演出を実行し、それに付随する音声コマンド(例えば、
図13における効果音F)および発光コマンド(例えば、
図13における発光F)を音声制御手段および発光制御手段に送信してスピーカ出力演出およびランプ発光演出を実行する。すると、
図12(e)のようなメダルの払出を受ける旨の映像が液晶表示部138に表示される。そして、コマンド蓄積手段340は、補助演出における入賞コマンドに対応する液晶コマンドをサブRAM202cの記憶領域「入賞」に保持させるとともに、補助演出における入賞コマンドに対応する音声コマンド(効果音F)をサブRAM202cに上書きし、補助演出における入賞コマンドに対応する発光コマンド(発光F)をサブRAM202cに上書きする。
【0137】
(ステップS1314)
続いて、コマンド受信手段332は、受信したコマンドが払出コマンドであるか否か判定する。その結果、受信したコマンドが払出コマンドであれば、ステップS1315に処理を移し、受信したコマンドが払出コマンドでなければ、当該コマンド受信処理S1300を終了する。
【0138】
(ステップS1315)
上記ステップS1314において受信したコマンドが払出コマンドであると判定されれば、演出実行手段338は、当該払出コマンドに基づく発光コマンドを発光制御手段に送信してランプ発光演出を実行する。すると、メダルの払出に応じて、サブクレジット表示部156およびサブ払出表示部158の数値が更新される。
【0139】
以上、説明した本実施形態の処理の流れを、
図19を用いて具体的に説明する。ここでは、
図12同様、補助演出が実行され、その途中で不意な電断が生じた場合を説明する。
【0140】
当選役抽選手段304の当選役抽選によって、ストップスイッチ130の操作順が入賞条件として設定された当選役が当選すると、当該当選役を示す当選役コマンドが副制御基板202に送信され、演出実行手段338は、液晶制御基板204を通じて、液晶表示部138に、補助演出として
図19(a)のような、左リール134aを第1停止操作すべき旨の映像を表示させる。このとき、サブRAM202cのコマンド群には、記憶領域「遊技開始」に液晶コマンド(ステージA)が、記憶領域「演出種別」に液晶コマンド(演出B)が、記憶領域「スタートスイッチ」に液晶コマンド(スタート)が保持され、音声コマンドとして音声コマンド(効果音B)が保持され、発光コマンドとして発光コマンド(発光B)が保持されている。
【0141】
遊技者は、
図19(a)の補助演出に応じて、左リール134aを第1停止操作すると、リール制御手段306は、その操作に対応する左リール134aを所定の停止制御に従って、例えば、当選役「ベル」に対応する図柄組み合わせが有効ライン上に表示されるように停止させるとともに、第1停止操作として左リール134aに対応するストップボタンスイッチ130aが操作されたことを示す第1停止コマンドを副制御基板202に送信する。このとき、コマンド蓄積手段340は、液晶コマンド(第1停止)をサブRAM202cの記憶領域「第1停止」に追加的に保持させるとともに、音声コマンド(効果音C)をサブRAM202cに上書きし、発光コマンド(発光C)をサブRAM202cに上書きする。
【0142】
演出実行手段338は、かかる第1停止コマンドに応じて演出態様を変動させ、例えば、
図19(b)のような、中リール134bまたは右リール134cを停止操作すべき旨の映像を液晶表示部138に表示させる。
【0143】
ここで、遊技者の停止操作がなされる前に、不意な電断が生じたとする。そして、電源が復帰し、電源が再投入されると、副制御基板202のコマンド群送信手段342は、サブRAM202cに蓄積されているコマンド群の各コマンドを全て送信する。すると、液晶制御基板204では、再度送信された液晶コマンドに基づいて、1遊技の開始からの全てのコマンド処理が実行され、また、音声制御手段および発光制御手段では、再度送信された1の音声コマンドおよび1の発光コマンドに基づいてコマンド処理が実行され、
図19(c)のような、中リール134bまたは右リール134cを停止操作すべき旨の映像が復元される。ここでは、複数の液晶コマンド処理が連続して実行されるため、液晶表示部138において、演出途中の画像の変化により多少のちらつきが生じ得るが、遊技者の遊技利益を損なうことはなく、また、電源の再投入時なので、遊技者も違和感を覚えることはほとんどない。したがって、遊技の進行上、問題とはならない。こうして、遊技者は、かかる補助演出に応じて、順次ストップスイッチ130を停止操作することができ、遊技利益を守ることができる。
【0144】
以上、説明したスロットマシン100により、不意な電断によっても遊技者の遊技利益を守ることが可能となる。また、上記スロットマシン100では、演出決定手段336が決定した演出を完全に再現できるため、電断前の演出との整合性をとることができる。
【0145】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことはいうまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0146】
例えば、上述した実施形態においては、直前の電断が不意な電断であった場合にのみ、コマンド群送信手段342がサブRAM202cに蓄積されているコマンド群を再送するとしたが、かかる場合に限らず、直前の電断の種別に拘わらず、電源の再投入に応じて、コマンド群を再送してもよい。
【0147】
また、上述した実施形態においては、各1遊技における状態が生成されて切り換わるタイミングでコマンド群をリセットしているが、かかる場合に限らず、複数遊技分、サブRAM202cに蓄積され、最も古いコマンド群に随時上書きされるとしてもよい。この場合に、遊技状態が変化したことを契機に、コマンド群全てがリセットされるとしてもよい。
【0148】
また、上述した実施形態においては、直前の電断が不意な電断であった場合に、電断前の演出が補助演出であるか否かに拘わらず、コマンド群送信手段342がサブRAM202cに蓄積されているコマンド群を再送するとしたが、電断前の演出が補助演出である場合にのみ(例えば、補助演出の種別を示す液晶コマンドが蓄積されている場合にのみ)、コマンド群を再送してもよい。こうして、処理負荷の軽減を図ることができる。
【0149】
また、上述した実施形態においては、演出態様を停止コマンドに応じて変動させているが、かかる場合に限らず、それに加え、または、代わりに、操作部設置台122に別途設けられたチャンスボタン等によって演出態様を変動させてもよい。
【0150】
また、上述した主制御基板200および副制御基板202が行う各処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。