(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221109
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】検体分析システム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
G01N35/00 F
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-20412(P2013-20412)
(22)【出願日】2013年2月5日
(65)【公開番号】特開2014-153079(P2014-153079A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】592146922
【氏名又は名称】株式会社オネスト
(74)【代理人】
【識別番号】100067677
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 彰司
(72)【発明者】
【氏名】三松 浩之
【審査官】
長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−237384(JP,A)
【文献】
特開平08−329160(JP,A)
【文献】
特開2009−270869(JP,A)
【文献】
特開2009−036561(JP,A)
【文献】
特開2012−018144(JP,A)
【文献】
特開2012−225812(JP,A)
【文献】
特開2012−211786(JP,A)
【文献】
特開2006−234623(JP,A)
【文献】
特開2006−220659(JP,A)
【文献】
実開平04−113071(JP,U)
【文献】
特開2011−185794(JP,A)
【文献】
特開平10−282114(JP,A)
【文献】
特開平09−043249(JP,A)
【文献】
特開昭63−014289(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0033455(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体搬送装置ごとに設置されて、当該検体搬送装置の機器情報を管理する搬送機情報管理手段と、検体分析装置ごとに設置されて、当該検体分析装置の機器情報および検体の分析情報を管理する分析器情報管理手段と、前記搬送機情報管理手段に対する検体の搬送指示および前記分析器情報管理手段に対する検体の分析指示を出力する主制御手段と、該主制御手段の検体の搬送指示および検体の分析指示並びに該検体の搬送指示および分析指示にもとづいて前記搬送装置から得られた機器情報と検体分析装置から得られた機器情報および分析情報とを、搬送機情報管理手段および分析器情報管理手段ごとに割り当てられた単位で一括して集中管理し、前記得られた機器情報および分析情報を前記主制御手段に送出する情報集中管理手段と、主制御手段から分析結果情報を受けて記録の保存・管理を行うホストコンピュータと、を備えることを特徴とする検体分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、血液や尿などの生体試料を検体として搬送および分析する検体分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、検体を搬入、搬出する検体搬送装置と、この検体搬送装置によって搬入された検体を分析(測定)する検体分析装置とを備えて構成される検体分析システムが、種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。この検体分析システムでは、ラック上の試験管に収容された検体をストッカから検体搬送路を通して検体分析装置に送り、ここで検体分析を行った後、待機バッファへ搬出している。検体分析装置による検体の分析結果は、被検者属性情報や検査日などとともに分析結果検証装置に送り、検体分析データとして記録媒体に記録し、必要に応じてディスプレイ表示したり、プリント出力したりしている。
【0003】
前記検体分析システムでは、検体を複数台の検体分析装置間に搬送して、所定の分析項目ごとに検体を分析処理することが行われている。この検体分析システムは、例えば、
図3に示すように、検体搬送装置11と3台の検体分析装置12、13、14とによって構成され、主制御手段15がホストコンピュータ24の制御下で検体搬送装置11および検体分析装置12〜14対応にて設置された情報入出力部16〜19を通じて、検体搬送装置11および検体分析装置12〜14に付設の搬送機情報管理手段20および分析器情報管理手段21〜23に対し搬送指示や分析指示の各情報を出力する。
【0004】
また、検体搬送装置11の機器情報や検体分析装置12〜14の機器情報および分析情報は、搬送機情報管理手段20および分析器情報管理手段21〜23と、情報入出力手段16〜19とをそれぞれ通じて分析結果検証機能を持つ主制御手段15に送信される。この主制御手段15は受信した前記機器情報および分析情報にもとづき各装置11〜14の動作状態や分析結果の評価、記録管理等を行い、その結果をホストコンピュータ24に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002‐090375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる従来の検体分析システムにあっては、主制御手段15から検体搬送装置11および検体分析装置12〜14への搬送指示や分析指示の送信と、検体搬送装置11および検体分析装置12〜14から主制御手段15への機器情報や分析(結果)情報の送信とを、検体搬送装置11および検体分析装置12〜14のそれぞれに対応する情報入出力手段16〜19を通じて行っていたため、システム全体の構成が大掛かりとなり、高価格になってしまう。特に、検体分析システムの利用形態が流動化、多様化する中で、検体分析装置12〜14の増設によってシステムの更なる大型化および価格高騰を招き、このシステムの占有空間も大きくなってしまう。
【0007】
本発明は前述のような従来の問題点を解消するものであり、その目的とするところは、主制御手段と搬送機情報管理手段および分析器情報管理手段との間でなされる搬送指示や分析指示の情報、および機器情報や分析情報の送受信を1台の情報集中管理手段を用いてリアルタイムにて一括で集中管理可能にし,以ってシステム全体の構成の簡素化並びにローコスト化を実現できる検体分析システムを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的達成のために、本発明にかかる検体分析システムは、検体搬送装置ごとに設置されて、当該検体搬送装置の機器情報を管理する搬送機情報管理手段と、検体分析装置ごとに設置されて、当該検体分析装置の機器情報および検体の分析情報を管理する分析器情報管理手段と、前記搬送機情報管理手段に対する検体の搬送指示および前記分析器情報管理手段に対する検体の分析指示を
出力する主制御手段と、
該主制御手段の検体の搬送指示および検体の分析指示並びに該検体の搬送指示および分析指示にもとづいて前記搬送装置から得られた機器情報と検体分析装置から得られた機器情報および分析情報とを、搬送機情報管理手段および分析器情報管理手段ごとに割り当てられ
た単位で一括して集中管理し、
前記得られた機器情報および分析情報を前記主制御手段に送出する情報集中管理手段と、
主制御手段からの分析結果情報を受けて記録の保存・管理を行うホストコンピュータと、備えることを特徴とする。
【0009】
この構成により、情報集中管理手段は主制御手段が出力する搬送指示情報および分析指示情報を、搬送機情報管理手段および分析器情報管理手
段単位
で送信する。前記搬送機情報管理手段は検体搬送装置による検体の搬入および搬出の動作を監視し、この監視結果を機器情報として情報集中管理手段に送出する。また、前記分析器情報管理手段は検体分析装置の機器情報および検体の分析結果である分析情報を測定して、前記情報集中管理手段へ送信する。
【0010】
この情報集中管理手段では得られた前記機器情報や分析情報をそれぞれ
搬送機情報管理手段および分析器情報管理手段ごとに割り当てられた単位で一括集中管理し、この集中管理情報を主制御手段に送信する。主制御手段はこれらの機器情報および分析情報を参照して、検体搬送装置および検体分析装置の動作状態や分析結果の評価、記録、管理等を行い、その結果をホストコンピュータに送信する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、主制御手段と検体搬送装置の搬送機情報管理手段および検体分析装置の分析器情報管理手段との間でなされる搬送指示や分析指示の情報、および分析器情報や分析情報の送受信を、1台の情報集中管理手段を用いてリアルタイムにて集中管理でき、この結果、システム全体の構成の簡素化並びにローコスト化を実現することができる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に本発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態による検体分析システムのシステム構成を示す概念図である。
【
図2】
図1の検体分析システムにおける主制御手段の動作の流れを概略的に示すフロー図である。
【
図3】従来の検体分析システムのシステム構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態にかかる検体分析システムを、
図1および
図2を参照して説明する。
【0015】
図1は本実施の形態にかかる検体分析システムのシステム構成図であり、この検体分析システムは、検体搬送装置11と、検体分析装置12、13、14と、主制御手段15と、これらの検体搬送装置11および検体分析装置12、13、14のそれぞれに設置された副制御器としての搬送機情報管理手段20および分析器情報管理手段21〜23と、情報集中管理手段30とを備えて構成される。これらのうち、検体搬送装置11は、検体を収容したラック上の試験管を、例えばスタートストッカーなどから各検体分析装置12〜14に対して自動搬入し、一方検体分析終了後に検体分析装置12〜14からターミナルストッカーへ自動搬出させる。なお、このラックには検体を収容した試験管が所定の配列ピッチで設置され、ラックはその配列ピッチずつ間欠タイミングで搬送される。
【0016】
検体分析装置12〜14は、例えば検査項目に従って検体を分別する投入/振り分け、検体の遠心分離、検体が入った試験管の開栓、検体の分注、検体のオフライン分注、検体の保管等を検体の搬送順に実行する。搬送機情報管理手段20および分析器情報管理手段21〜23は、それぞれ検体搬送装置11および検体分析装置12〜14のそれぞれに設置され、主制御手段15からの制御指令に従って検体搬送装置11および検体分析装置12〜14に前述の検体搬送や検体分析などを所定のプログラムに従って個々に実施させる。
【0017】
主制御手段15は、上位のホストコンピュータ24の処理スケジュール(プログラム)に従って、情報集中管理手段30を制御する。この情報集中管理手段30は、主制御手段15から搬送機情報管理手段20への検体の搬送指示の送信と、検体搬送装置11の機器情報の、搬送機情報管理手段20から主制御手段15への送信の入出力チャンネルを持つ。この情報集中管理手段30は、主制御手段15から分析器情報管理手段21〜23のそれぞれに検体の分析指示の送信と、検体分析装置12〜14の機器情報および分析情報を分析器情報管理手段21〜23から主制御手段15に個別に送信する入出力チャンネルを持つ。これらの入出力チャンネルはデータマップ化されて、情報集中管理手段30のデータベースに格納されている。
【0018】
かかる検体の搬送指示および検体の分析指示、各機器情報や分析情報の送受信は、主制御手段15の制御下で、情報集中管理手段30が前述の入出力チャンネル単位で一括して集中制御する。従って、主制御手段15では、前記分析器情報管理手段21〜23で得られた分析結果情報が検体分析装置12〜14のいずれのものであるかを、前記データマップを参照することによって判別可能になっている。また、主制御手段15は、情報集中管理手段30を通して各検体分析装置12〜14への分析指示が可能であるところから、各検体分析装置12〜14のいずれかへの割り込みによる分析指示、切り離し、再接続などによって、分析作業ミスなどのトラブル時に対応可能となっている。
【0019】
次に、本実施形態にかかる検体分析システムの動作を説明する。初めにシステムに電源を投入し、ホストコンピュータ24の制御下で主制御手段15が情報集中管理手段30を通じて搬送機情報管理手段20および分析器情報管理手段21〜23のステータスをチェックし、検体搬送装置11および検体分析装置12〜14の状態を監視する(ステップS1)。
【0020】
続いて、主制御手段15は情報集中管理手段30を通してイベント番号や検体番号(検体ID)に対応したコマンドを搬送機情報管理手段20および分析器情報管理手段21〜23に送信する(ステップS2)。これにより、まず検体搬送装置11が動作し、検体が収容された試験管を支持するラックの投入(搬入)が行われる。
【0021】
また、主制御手段15はラックの搬入後、その搬入終了通知を受けて、情報集中管理手段30を介して副制御器としての分析器情報管理手段21〜23に前記イベント番号に対応する動作コマンドを発行する(ステップS3)。これにより各検体分析装置12〜14はシリンダやサンプリングアームなどを作動させて、各検体分析装置12〜14固有の動作である検体の振り分け、分注、分析など各種の分析処理を実行する。
【0022】
そして、かかる検体分析装置12〜14固有の分析処理を終了した後、分析器情報管理手段21〜23は主制御手段15に対し情報集中管理手段30を通じてその終了の報告と分析処理の結果を報告する(ステップS4)。また、主制御手段15は検体の分析結果を情報集中管理手段30を通じて受信し、この検体分析結果の確認および評価を行う。かかる分析結果情報はホストコンピュータ24に送信されて記録手段に保存、管理される。
【0023】
この場合において、複数の検体分析装置12〜14による一連の検体分析工程では、例えば分析器情報管理手段21が、隣接して下流に位置する他の分析器情報管理手段22に対して検体分析装置13へのラックの搬入が可能かどうかの確認を行っている。搬入可能である場合には、その下流に位置する分析器情報管理手段22に対し、イベント番号に対応した動作コマンドを発行し、これに対応する検体分析装置13に、検体が収容されたラックを搬入し、前記と同様の手順に従って所定の検体の分析処理を分析器情報管理手段22に実施させる。これにより、主制御手段15はその分析器情報管理手段22による検体分析結果の確認および評価を行うことができる。
【0024】
また、分析器情報管理手段21〜23は各検体分析装置12〜14のそれぞれについて設定された分析(測定)可能項目を監視している。これにより、分析項目の変更があった場合、例えば特定項目のみ分析感度が悪く、試薬を外した場合には、その分析項目を外して分析可能な他の分析項目だけの分析を継続させることができる。
【0025】
そして、かかる分析結果は分析器情報管理手段21〜23および情報集中管理手段30を通じて前記同様に主制御手段15に送信され、この主制御手段15でその分析結果の評価、記録、管理等がなされる。これにより、必要とする最少台数の検体分析装置12〜14で、最大の分析処理能力を得ることができ、分析作業の集約化が可能になる。なお、主制御手段15や情報集中管理手段30のディスプレイ上には各検体分析装置12〜14のレイアウト図を表示して、各検体分析装置12〜14の機器情報を色分け表示することが望ましい。
【0026】
さらに、分析器情報管理手段21〜23は検体分析装置12〜14の空き情報、分析処理状況、試薬残量などを監視し、この監視結果に従って、主制御手段15が例えば不必要な分析項目を持つ検体分析装置12〜14の自動選別を行うことで、試薬の無駄を省き、全検体分析装置12〜14による分析作業の迅速化、効率化(ロードバランス)を実現できる。こうして得られる分析結果も、分析器情報管理手段21〜23および情報集中管理手段30を通じて前記同様に主制御手段15に送信され、その分析結果の評価、記録、管理等がなされる。
【0027】
また、分析器情報管理手段21〜23は検体分析装置12〜14の空き情報、分析状況等を監視し、これに応じて主制御手段15が分析項目の割り振りを適切に実施することで、分析時間を短縮できるほか、全検体分析装置12〜14における試薬残量を考慮した割り振りができ、試薬の無駄使いを低減できる。
【0028】
また、前記情報集中管理手段30は、前述のように主制御手段15と搬送機情報管理手段20および分析器情報管理手段21〜23との間で交わされる各種情報の送受信を一括管理するのであるが、分析機情報管理手段21〜23の製造メーカが異なることで、それぞれの通信プロトコルが異なる場合がある。この場合には、前記情報集中管理手段30に対し、異なる通信プロトコルを持つ分析器情報管理手段12〜14との通信を可能にする、標準化された通信プロトコルを持たせることで、分析器情報管理手段12〜14のそれぞれと主制御手段15との間、および各分析器情報管理手段12〜14どうしの通信が可能になり、更なるシステムの拡張が可能になる。
【0029】
このように、本実施形態の検体分析システムによる検体分析では、情報集中管理手段30が、検体の搬送指示および分析指示にもとづいて検体搬送装置11から得られた機器情報と検体分析装置12〜14から得られた機器情報および分析情報とを、検体搬送装置11および検体分析装置12〜14ごと
に一括して集中管理している。
【0030】
以上のように、本実施形態によれば、検体搬送装置11の機器情報を管理する搬送機情報管理手段20をその検体搬送装置11対応で設置し、検体分析装置12〜13の機器情報および検体の分析情報を管理する分析器情報管理手段21〜23を検体分析装置12〜14ごとに設置し、前記搬送機情報管理手段20に対する検体の搬送指示および前記分析器情報管理手段21〜23に対する検体の分析指示を
出力する主制御手段15を設置し、前記検体の搬送指示および分析指示にもとづいて前記検体搬送装置11から得られた機器情報と検体分析装置12〜13から得られた機器情報および分析情報とを、搬送機情報管理手段20および分析器情報管理手段21〜23ごとに割り当てられ
た単位で、情報集中管理手段30に一括して集中管理させ、前記主制御手段に送出させる構成とした。
【0031】
これにより、主制御手段15と搬送機情報管理手段20および分析器情報管理手段21〜23との間でなされる搬送指示や分析指示の情報、および機器情報や分析情報の送受信を1台の情報集中管理手段30を用いてリアルタイムに実現可能にし,以ってシステム全体の構成の簡素化並びにローコスト化を実現することができる。なお、前記実施形態では3台の検体分析装置12〜14を例に挙げて説明したが、2台または4台以上としてもよく、前記同様の作用、効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の検体分析システムは、主制御手段と検体搬送装置および検体分析装置の各副制御器との間でなされる搬送指示や分析指示の情報、および機器情報や分析情報の送受信を、1台の情報集中管理手段を用いてリアルタイムに一括して集中管理でき、この結果システム全体の構成の簡素化並びにローコスト化を実現できるという効果を有し、血液や尿など生体試料を検体として搬送および分析する検体分析システム等に有用である。
【符号の説明】
【0033】
11 検体搬送装置
12〜14 検体分析装置
15 主制御手段
20 搬送機情報管理手段
21〜23 分析器情報管理手段
24 ホストコンピュータ
30 情報集中管理手段