【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1に係る摩耗量検知装置を備えたディスクブレーキの構造およびブレーキ機構について、
図3を参照して説明する。
【0022】
図3に示すように、本実施例に係る摩耗量検知装置を備えたディスクブレーキ1は、図示しない車輪軸に固定されて当該車輪軸と共に回転する円盤状のディスクロータ10と、図示しないフレームに支持されてディスクロータ10の一部を外周側から囲うように設置される断面コ字形状のキャリパー20と、キャリパー20の一端部(
図3における左端部)21の内側(ディスクロータ10側、すなわち、
図3における右方側)に連結されて車輪軸方向(
図3における左右方向)において移動可能なピストンを有する電動ピストン30と、後述する摩耗量検知装置とを備える。
【0023】
本実施例における電動ピストン30は、電動モータ31と、電動モータ31と連結する図示しないピストン機構を有し車輪軸と同方向(
図3における左右方向)の中心軸を持つ円筒状のシリンダ部32と、シリンダ部32に把持されてシリンダ部32からディスクロータ10側(
図3における右方側)へ移動可能な第一ピストン部33と、シリンダ部32に把持されてシリンダ部32からディスクロータ10と反対の側(第一ピストン部33の逆側、すなわち、
図3における左方側)へ移動可能な第二ピストン部34とを備える。
【0024】
電動ピストン30の第一ピストン部33の先端部(ディスクロータ10側の端部、すなわち、
図3における右方側端部)35には、ディスクロータ10に対して接触または離反させるブレーキパッド40が設置される。電動ピストン30の電動モータ31およびシリンダ部32は、図示しない取付け用ポートを介して、車体に固定されているので、電動ピストン30における第一ピストン部33の移動によって、ブレーキパッド40は移動され、ディスクロータ10の一方の側面10aに押付けられることにより摩擦力を生じ、車両の制動エネルギーが得られる。
【0025】
電動ピストン30の第二ピストン部34の先端部(ディスクロータ10と反対側の端部、すなわち、
図3における左方側端部)36は、キャリパー20の一端部21の内側に連結される。一方、キャリパー20の他端部(
図3における右端部)22の内側(ディスクロータ10側、すなわち、
図3における左方側)には、ディスクロータ10に対して接触または離反させるブレーキパッド41が設置される。前述したように電動ピストン30の電動モータ31およびシリンダ部32は、車体に固定されているので、電動ピストン30における第二ピストン部34の移動によって、第二ピストン部34と連結されたキャリパー20およびブレーキパッド41は移動され、ディスクロータ10の他方の側面10bに押付けられることにより摩擦力を生じ、車両の制動エネルギーが得られる。
【0026】
運転者が図示しないブレーキペダルを踏むことにより、電動モータ31は正方向に作動される。電動モータ31の軸回転運動は、シリンダ部32に内蔵された図示しないピストン機構によって、車輪軸方向(
図3における左右方向)における直線運動に変換される。この直線運動によって、第一ピストン部33は、ディスクロータ10側へ移動され、第二ピストン部34は、ディスクロータ10と反対の側へ移動される。
【0027】
第一ピストン部33の先端部35に設けられたブレーキパッド40は、第一ピストン部33の移動によってディスクロータ10の側面
10aに接触し、キャリパー20の他端部22内側に設けられたブレーキパッド41は、第二ピストン部34の移動によってキャリパー20が移動することにより、ディスクロータ10の側面
10bに接触する。よって、ディスクロータ10がブレーキパッド40,41によって挟まれて摩擦力が生じ、車両に制動力が作用する。
【0028】
一方、運転者が図示しないブレーキペダルから足を離すことにより、電動モータ31は逆方向に作動される。電動モータ31の逆方向の軸回転運動は、シリンダ部32における図示しないピストン機構によって、車輪軸方向(
図3における左右方向)における直線運動に変換される。この直線運動によって、第一ピストン部33は、ディスクロータ10と反対の側へ移動され、第二ピストン部34は、ディスクロータ10側へ移動される。
【0029】
第一ピストン部33の先端部35に設けられたブレーキパッド40は、第一ピストン部33の移動によってディスクロータ10の側面
10aから離反し、キャリパー20の他端部22内側に設けられたブレーキパッド41は、第二ピストン部34の移動によってキャリパー20が移動することにより、ディスクロータ10の側面
10bから離反する。よって、ディスクロータ10とブレーキパッド40,41との間における摩擦力はなくなり、車両には制動力が作用しなくなる。
【0030】
本実施例においては、電動モータ31のシリンダ部32に内蔵される図示しないピストン機構は、回転角速度ω[rad/s]の電動モータ31の正方向の軸回転運動によって、第一ピストン部33および第二ピストン部34がそれぞれ同一の移動速度v[mm/s]で離れる方向に移動(伸長)され、回転角速度−ω[rad/s]の電動モータ31の逆方向の軸回転運動によって、第一ピストン部33および第二ピストン部34がそれぞれ同一の移動速度v[mm/s]で近づく方向に移動(萎縮)されるものである。
【0031】
ここで、電動モータ31の回転角速度ω[rad/s]と第一ピストン部33および
第二ピストン部34の移動速度v[mm/s]との関係は、係数A[mm/rad]を用いて、下式(1)により表される。
【0032】
v[mm/s]=ω[rad/s]×A[mm/rad] ・・・(1)
【0033】
次に、本発明の実施例1に係る摩耗量検知装置の構成および摩耗量の計測について、
図1および
図3から
図6を参照して説明する。
【0034】
本実施例に係る摩耗量検知装置は、
図1に示すように、摩耗量を計測するタイミングを検知する摩耗量検知開始トリガ部50と、ブレーキパッド40,41の摩耗量(以下、本明細書においては、パッド摩耗量という)W
P[mm]およびディスクロータ10の摩耗量(以下、本明細書においては、ロータ摩耗量という)W
R[mm]を計測すると共に計測結果に対する警告の要否を決定する演算部60と、演算部60のパッド摩耗量計測部70におけるパッド摩耗量W
P[mm]の算出に利用される荷重センサ80およびモータ回転角センサ90と、演算部60のロータ摩耗量計測部100におけるロータ摩耗量W
R[mm]の算出に利用される走行距離検出手段110およびブレーキ回数記憶部120と、演算部60の警告判定部130における警告指示によって警告を表示する表示部140とを備える。
【0035】
本実施例においては、摩耗量検知開始トリガ部50を、図示しないブレーキペダルを利用してブレーキ操作が行われたことを検出するブレーキ検出手段とし、ブレーキペダルが運転者によって所定値以上に踏み込まれた場合に、パッド摩耗量W
P[mm]の計測を開始する。
【0036】
荷重センサ80およびモータ回転角センサ90は、ブレーキパッド40,41がディスクロータ10と接触する位置を検出する接触位置検出手段として利用される。詳細には、荷重センサ80は、ブレーキパッド40,41とディスクロータ10との接触を検出する手段であって、電動ピストン30によってブレーキパッド40,41がディスクロータ10に対して接触または離反する接触離反タイミングを検出するタイミング検出手段(接触検出手段)として利用され、モータ回転角センサ90は、電動ピストン30のピストンストロークを検出する手段であって、電動ピストン30が所定の位置から接触検出手段によって接触が検出された位置までに移動したピストンストローク量を検出するピストンストローク量検出手段として利用される。荷重センサ80およびモータ回転角センサ90による接触位置検出については、以下に説明する。
【0037】
運転者がブレーキ操作をしていない場合には、ブレーキパッド40,41は、ディスクロータ10と離反した状態の待機位置にあり(
図3参照)、ブレーキパッド40,41には、荷重は掛かっていない(荷重センサ80の検出値であるパッド荷重P=0[N])。そして、運転者がブレーキ操作を行うと、ブレーキパッド40,41は、ディスクロータ10と接触する接触位置となり(
図4参照)、ブレーキパッド40,41には、荷重が掛かる(パッド荷重P>0[N])。更に、運転者がブレーキ操作を中止することにより、ブレーキパッド40,41は、ディスクロータ10から離反した状態の待機位置に戻り(
図3参照)、ブレーキパッド40,41には、再び荷重が掛からなくなる(パッド荷重P=0[N])。
【0038】
本実施例においては、ブレーキパッド40,41に掛けられた荷重Pが抜けるとき、すなわち、パッド荷重P=0[N]に戻るときに、モータ回転角センサ90によって検出される回転角度を基準モータ回転角θ[rad]とする。そして、ディスクロータ10およびブレーキパッド40,41を組付けた際(
図3および
図4)の基準モータ回転角θ[rad]を組付け時
(新品時)基準モータ回転角θ
a[rad]とし、そのディスクロータ10およびブレーキパッド40,41を使用している際(
図5および
図6)の基準モータ回転角θ[rad]を摩耗時基準モータ回転角θ
b[rad]とする。なお、モータ回転角が0度の位置(所定の位置)は、例えば、最もブレーキパッド40,41がディスクロータ10から離れた位置とする。
【0039】
ここで、ディスクロータ10およびブレーキパッド40,41を組付けた際とは、ディスクロータ10およびブレーキパッド40,41をディスクブレーキ1に組付けた直後のことであり、車両が新車の状態、または、摩耗等によりディスクロータ10およびブレーキパッド40,41を交換した状態を含む。もちろん、ディスクロータ10およびブレーキパッド40,41を両方同時に交換した状態だけでなく、ディスクロータ10またはブレーキパッド40,41のいずれか一方のみを交換した状態でも良い。
【0040】
新品時基準モータ回転角θ
a[rad]と摩耗時基準モータ回転角θ
b[rad]との差は、ディスクロータ10およびブレーキパッド40,41の摩耗による電動ピストン30の組付け時のピストンストローク量と使用時のピストンストローク量との差であり、ディスクロータ10およびブレーキパッド40,41の総摩耗量(摩耗量)W[mm]である。よって、ディスクロータ10またはブレーキパッド40,41を組付けた際にピストンストローク量検出手段で検出されたピストンストローク量と、ディスクロータ10とブレーキパッド40,41を使用するためにブレーキ検出手段によってブレーキ操作が検出された際のピストンストローク量検出手段で検出されたピストンストローク量との差から、ディスクロータ10およびブレーキパッド40,41の摩耗量を算出する。本実施例では、演算部60において、式(1)と同様に係数A[mm/rad]を用いて、下式(2)によってディスクロータ10およびブレーキパッド40,41の総摩耗量W[mm]が算出される。
【0041】
W[mm]=(W
P+W
R)[mm]
=(θ
b−θ
a)[rad]×A[mm/rad] ・・・(2)
【0042】
ディスクロータ10は、ブレーキパッド40,41よりも硬い材質のものであり、ロータ摩耗量W
R[mm]は、パッド摩耗量W
P[mm]よりも少ない。本実施例においては、ロータ摩耗量W
R[mm]を、自動車の車両状態を示す車両の総走行距離D[km]またはディスクブレーキ1の使用回数(以下、本明細書においては、累積ブレーキ回数という)n[回]によって概算して予測する。
【0043】
走行距離検出手段110によって検出される総走行距離D[km]とロータ摩耗量W
R[mm]との関係は、係数Bを用いて、下式(3)によって表される。なお、総走行距離D[km]から求められるロータ摩耗量W
R[mm]の予測値を、ロータ摩耗量W
R1[mm]とする。
【0044】
W
R1[mm]=D[mm]×B ・・・(3)
【0045】
また、累積ブレーキ回数n[回]とロータ摩耗量W
R[mm]との関係は、係数C[mm/回]を用いて、下式(4)によって表される。なお、累積ブレーキ回数n[回]から求められるロータ摩耗量W
R[mm]の予測値を、ロータ摩耗量W
R2[mm]とする。
【0046】
W
R2[mm]=n[回]×C[mm/回] ・・・(4)
【0047】
本実施例においては、上記で求めたW
R1[mm]またはW
R2[mm]のうち大きい値となる方を選択し、ロータ摩耗量W
R[mm]として採用する。よって、式(2)により求めたディスクロータ10およびブレーキパッド40,41の総摩耗量W[mm]、および式(3)または式(4)により求めたW
R[mm]から、正確なパッド摩耗量W
P[mm]が下式(5)によって求められる。
【0048】
W
P[mm]=W[mm]−W
R[mm] ・・・(5)
【0049】
なお、本実施例においては、運転者のブレーキ操作から車両へ制動力が作用する時間を一定とするために、ディスクロータ10とブレーキパッド40,41との距離αを一定に設定している。この距離αは、新品時基準モータ回転角θ
a[rad]または摩耗時基準モータ回転角θ
b[rad]から所定のモータ回転数の軸回転運動分だけ電動モータ31を逆方向に動作させることにより設定される。
【0050】
次に、本発明の実施例1に係る摩耗量検知装置を備えたディスクブレーキ1における摩耗量計測の制御について、
図1から
図4を参照して説明する。
【0051】
まず、ステップS1において、ディスクロータ10およびブレーキパッド40,41の摩耗量の検知を開始すべきか否かを判断する。本実施例においては、運転者が摩耗量検知開始トリガ部50としての図示しないブレーキペダルを踏んだ場合には、ディスクロータ10およびブレーキパッド40,41の摩耗量の検知を開始すべきとし、運転者がブレーキペダルを踏んでいない場合には、ディスクロータ10およびブレーキパッド40,41の摩耗量の検知を開始すべきではないとする。
【0052】
ステップS1において、運転者が摩耗量検知開始トリガ部50としての図示しないブレーキペダルを踏み、ディスクロータ10およびブレーキパッド40,41の摩耗量の検知を開始すべきであると判断された場合には、ステップS2へ移行する。なお、ステップS1において、運転者がブレーキペダルを踏まず、ディスクロータ10およびブレーキパッド40,41の摩耗量の検知を開始すべきでないと判断された場合には、再びステップS1へ戻る。
【0053】
次に、ステップS2において、荷重センサ80およびモータ回転角センサ90が正常に作動しているか否かを判断する。本実施例においては、荷重センサ80およびモータ回転角センサ90が最大値または最低値に張り付いていないか否かが判断される。すなわち、電動モータ30を作動させたにも関わらず、モータ回転角センサ90がモータ回転角θ[rad]の変位を検出しない場合には、モータ回転角センサ90が正常に作動していないと判断され、電動モータ30を作動させてモータ回転角θ[rad]を所定値以上させたにも関わらず、荷重センサ80がパッド荷重Pの変位を検出しない場合には、荷重センサ80が正常に作動していないと判断される。
【0054】
ステップS2において、荷重センサ80およびモータ回転角センサ90が正常に作動していると判断された場合には、ステップS3へ移行する。なお、荷重センサ80およびモータ回転角センサ90が正常に作動していないと判断された場合には、再びステップS1へ戻る。
【0055】
次に、ステップS3において、パッド荷重P[N]が所定値Q[N]以上であるか否かを判断する。本実施例においては、荷重センサ80によってパッド荷重P[N]を計測し、荷重センサ80によるパッド荷重P[N]を所定値Q[N]と比較する。
【0056】
ステップS3において、パッド荷重P[N]が所定値Q[N]以上である(P≧Q)と判断した場合には、ステップS4へ移行する。ステップS3において、パッド荷重P[N]が所定値Q[N]以上ではない(P<Q)と判断した場合には、再びステップS1へ戻る。この所定値Q[N]は、車両の振動や電動ピストン30を作動させたときの慣性等によって、荷重センサ80が検出する可能性のない値とすることが好ましい。
【0057】
次に、ステップS4において、モータ回転角θ[rad]が所定値R[rad]以上であるか否かが判断される。本実施例においては、モータ回転角センサ90によってモータ回転角θ[rad]を計測し、モータ回転角センサ90によるモータ回転角θ[rad]を所定値R[rad]と比較する。
【0058】
ステップS4において、モータ回転角θ[rad]が所定値R[rad]以上である(θ≧R)と判断された場合には、ステップS5へ移行する。ステップS4において、モータ回転角θ[rad]が所定値R[rad]以上でない(θ<R)と判断された場合には、再びステップS1へ戻る。この所定値R[rad]は、以前に計測された新品時基準モータ回転角θ
a[rad]または摩耗時基準モータ回転角θ
b[rad]とすることが好ましい。
【0059】
次に、ステップS5において、ロータ摩耗量W
R[mm]およびパッド摩耗量W
P[mm]を計測する。ステップS5において、ロータ摩耗量W
R[mm]を演算部60におけるロータ摩耗量計測部100によって算出すると共に、パッド摩耗量W
P[mm]を演算部60におけるパッド摩耗量計測部70によって算出する。
【0060】
本実施例においては、ロータ摩耗量W
R[mm]を、式(3)および式(4)、すなわち、自動車の車両状態を示す車両の総走行距離D[km]および累積ブレーキ回数n[回]によってロータ摩耗量W
R1,W
R2[mm]を算出し、W
R1[mm]またはW
R2[mm]のうち大きい値となる方を選択し、ロータ摩耗量W
R[mm]とする。また、新品時基準モータ回転角θ
a[rad]と摩耗時基準モータ回転角θ
b[rad]との差から、式(2)によってディスクロータ10およびブレーキパッド40,41の総摩耗量W[mm]を算出し、式(5)に上記のロータ摩耗量W
R[mm]を代入することによって正確なパッド摩耗量W
P[mm]が算出される。
【0061】
次に、ステップS6において、ロータ摩耗量W
R[mm]が所定値W
A[mm]以上であるか否か、または、パッド摩耗量W
P[mm]が所定値W
B[mm]以上であるか否かを判断する。ここで、所定値W
A[mm]および所定値W
B[mm]は、車検等で定められた基準に準ずるように設定する。
【0062】
ステップS6において、ロータ摩耗量W
R[mm]が所定値W
A[mm]以上、または、パッド摩耗量W
P[mm]が所定値W
B[mm]以上である場合には、ステップS7において警告を表示し、再びステップS1へ戻る。なお、ステップS6において、ロータ摩耗量W
R[mm]が所定値W
A[mm]未満、かつ、パッド摩耗量W
P[mm]が所定値W
B[mm]未満である場合には、そのままステップS1へ戻る。
【0063】
以上の制御によって、本実施例に係る摩耗量検知装置を備えたディスクブレーキ1における摩耗量計測が行われる。上述の摩耗量計測は、車両の車検等の点検時だけでなく、車両の運転中すなわち走行中においても行われる。よって、本実施例に係る摩耗量検知装置によれば、使用毎すなわちリアルタイムのディスクロータ10およびブレーキパッド40,41の摩耗量を計測することができる。
【0064】
本実施例においては、摩耗量検知装置を備えたディスクブレーキ1におけるブレーキ機構として、いわゆるフローティングキャリパの構造を採用したが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図7に示すように、キャリパー220を図示しないフレームに固定して一方側から電動ピストンによってブレーキパッド40をディスクロータ10に押付けるだけの構造としても良く、
図8に示すように、電動ピストン330aによってブレーキパッド40をディスクロータ10に押付けると共に、キャリパー320を別の電動ピストン330bによって移動させることによりブレーキパッド41をディスクロータ10に押付けても良く、
図9に示すように、両側から二つの電動ピストン430a,430bによってブレーキパッド40,41をそれぞれディスクロータ10に押付けても良い。なお、
図7から
図9において、その他の構成部材に関しては、
図3から
図6に示した構成部材と同一の構成部材に、同一の符号を付して表してある。
【0065】
以上で発明の実施の形態の説明を終えるが、発明の形態は本実施の形態に限定されるものではない。本実施例では、モータ回転角の0度の位置は最もブレーキパッド40がディスクロータ10から離れた位置としたが、これに限るものではなく任意の位置としても良い。もちろん、組付け時の位置を基準として使用しても良い。
また、ロータ摩耗量の予測値は、車両の総走行距離に基づいて、または、車両の累積ブレーキ回数に基づいて算出されるものであるとしたが、これに限るものではなく、自動車の車両状態に基づいて、例えば、車両の使用時間やこれらを複合して用いたものとしても良い。