【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 M701F ユーザカンファレンス2013 シンガポール Carlton Hotel Empress 4&5 平成25年6月10日〜平成25年6月14日 M701D ユーザカンファレンス2013 インドネシア Hotel Bumi Surabaya 平成25年9月15日〜平成25年9月18日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記中間媒体切替装置は、前記第一状態のときに前記第二熱交換器で冷却された前記中間媒体を前記第一熱交換器に導き、前記第二状態のときに前記予備冷却器で冷却された前記中間媒体を前記第一熱交換器に導く、
請求項1に記載のガスタービン冷却系統。
前記空気切替装置は、前記第一状態のときに前記熱交換器で冷却された前記圧縮空気を前記冷却空気ラインに導き、前記第二状態のときに前記予備冷却器で冷却された前記圧縮空気を前記冷却空気ラインに導く、
請求項5に記載のガスタービン冷却系統。
前記燃料切替装置は、前記第一状態のときに前記熱交換器で加熱された前記燃料を前記加熱燃料ラインに導き、前記第二状態のときに前記予備冷却器で加熱された前記燃料を前記加熱燃料ラインに導く、
請求項5又は6に記載のガスタービン冷却系統。
前記高温部は、前記ガスタービンの燃焼器を構成する部材と、前記燃焼器による燃焼で生成される燃焼ガスにより駆動するタービンにおけるロータの動翼と、前記ロータの軸部と、前記タービンの静翼と、のうち少なくとも一つである、
請求項10に記載のガスタービンプラント。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載のガスタービンプラントでは、圧縮機から抽気した圧縮空気と外気とを熱交換することで、圧縮空気を冷却する一方で、本来、加熱する必要がない外気を加熱しており、圧縮空気の熱を有効利用しているとは言い難い。
【0007】
そこで、本発明は、ガスタービン中の高温部の冷却を図りつつ、圧縮空気から抽気した圧縮空気の熱を有効利用することができるガスタービン冷却系統、これを備えているガスタービンプラント、及びガスタービンの高温部冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための発明に係る一態様としてのガスタービン冷却系統は、
ガスタービンの圧縮機から抽気した圧縮空気を用いて、前記ガスタービン中で燃焼ガスに接する高温部を冷却するガスタービン冷却系統において、タービンを含むサイクル内でサイクル媒体が凝縮と蒸発とを繰り返して循環し、蒸発した前記サイクル媒体で前記タービンが駆動する有機ランキンサイクルと、前記圧縮機から前記圧縮空気を抽気する抽気ラインと、前記抽気ラインを通ってきた前記圧縮空気の熱を利用して、前記有機ランキンサイクル中で凝縮している前記サイクル媒体を加熱して蒸発させる一方で、前記圧縮空気を冷却する冷却装置と、前記冷却装置で冷却された前記圧縮空気を前記高温部に導く冷却空気ラインと、を備
え、前記冷却装置は、前記抽気ラインを通ってきた前記圧縮空気と前記有機ランキンサイクル中で凝縮している前記サイクル媒体とを、中間媒体を介して熱交換させる間接型熱交換装置を有し、前記間接型熱交換装置は、前記抽気ラインを通ってきた前記圧縮空気と前記中間媒体とを熱交換させて、前記圧縮空気を冷却する一方で、前記中間媒体を加熱する第一熱交換器と、前記第一熱交換器で加熱された前記中間媒体と前記有機ランキンサイクル中で凝縮している前記サイクル媒体とを熱交換させ、前記サイクル媒体を加熱して蒸発させる一方で、前記中間媒体を冷却して前記第一熱交換器に戻す第二熱交換器と、を有し、前記冷却装置は、さらに、前記中間媒体を冷却する予備冷却器と、前記第一熱交換器で加熱された前記中間媒体を前記第二熱交換器に導く第一状態と、前記予備冷却器に導く第二状態との間で状態を切り替える中間媒体切替装置と、を有する。
【0009】
当該ガスタービン冷却系統では、冷却装置で冷却された圧縮空気により、ガスタービンの高温部を冷却することができる。しかも、当該ガスタービン冷却系統では、圧縮空気の熱を利用して、サイクル媒体を加熱して蒸発させ、蒸発したサイクル媒体で有機ランキンサイクルのタービンを駆動させているので、圧縮空気の熱を有効利用することができる。
【0013】
当該ガスタービン冷却系統では、有機ランキンサイクルが停止しているときでも、ガスタービンの高温部を冷却することができるので、この場合でも、ガスタービンを運転することができる。
【0014】
前記中間媒体切替装置を有する前記ガスタービン冷却系統において、前記中間媒体切替装置は、前記第一状態のときに前記第二熱交換器で冷却された前記中間媒体を前記第一熱交換器に導き、前記第二状態のときに前記予備冷却器で冷却された前記中間媒体を前記第一熱交換器に導いてもよい。
【0015】
前記第一熱交換器及び前記第二熱交換器を有する前記ガスタービン冷却系統において、前記第一熱交換器は、前記ガスタービンの燃焼器に供給される燃料と前記抽気ラインを通ってきた前記圧縮空気とを熱交換させることで、前記燃料を加熱可能であり、前記第一熱交換器で加熱された前記燃料を前記燃焼器に導く第一加熱燃料ラインを備えていてもよい。
【0016】
当該ガスタービン冷却系統では、圧縮空気の熱で燃料を加熱することができるので、圧縮空気の熱をより有効利用することができる。
【0017】
前記第一加熱燃料ラインを有するガスタービン冷却系統において、前記第二熱交換器は、前記燃焼器に供給される前記燃料と前記第一熱交換器で加熱された前記中間媒体とを熱交換させることで、前記燃料を加熱可能であり、前記第二熱交換器で加熱された前記燃料を前記燃焼器に導く第二加熱燃料ラインと、前記燃料を第一熱交換器に導く第一状態と、前記第二熱交換器に導く第二状態との間で状態を切り替える燃料切替装置と、を備えていてもよい。
【0018】
当該ガスタービン冷却系統では、ガスタービンや有機ラインランキンサイクルの運転状態に応じて、燃料の予熱形態を変えることができる。
【0019】
上記目的を達成するための発明に係る他の態様としてのガスタービン冷却系統は、
ガスタービンの圧縮機から抽気した圧縮空気を用いて、前記ガスタービン中で燃焼ガスに接する高温部を冷却するガスタービン冷却系統において、タービンを含むサイクル内でサイクル媒体が凝縮と蒸発とを繰り返して循環し、蒸発した前記サイクル媒体で前記タービンが駆動する有機ランキンサイクルと、前記圧縮機から前記圧縮空気を抽気する抽気ラインと、前記抽気ラインを通ってきた前記圧縮空気の熱を利用して、前記有機ランキンサイクル中で凝縮している前記サイクル媒体を加熱して蒸発させる一方で、前記圧縮空気を冷却する冷却装置と、前記冷却装置で冷却された前記圧縮空気を前記高温部に導く冷却空気ラインと、を備え、前記冷却装置は、前記抽気ラインを通ってきた前記圧縮空気と前記有機ランキンサイクル中で凝縮している前記サイクル媒体とを熱交換させて、前記圧縮空気を冷却させる一方で、前記サイクル媒体を加熱して蒸発させる熱交換器
と、前記圧縮空気を冷却する予備冷却器と、前記抽気ラインを通ってきた前記圧縮空気を前記熱交換器に導く第一状態と、前記予備冷却器に導く第二状態との間で状態を切り替える空気切替装置と、を有し、前記熱交換器は、前記ガスタービンの燃焼器に供給される燃料と前記抽気ラインを通ってきた前記圧縮空気と熱交換させることで、前記燃料を加熱可能であり、前記予備冷却器は、前記抽気ラインを通ってきた圧縮空気の熱を利用して前記燃料を加熱可能であり、加熱された前記燃料を前記燃焼器に導く加熱燃料ラインと、前記第一状態のときに前記燃料を前記熱交換器に導き、前記第二状態のときに前記燃料を前記予備冷却器に導く燃料切替装置と、を有する。
【0021】
前記空気切替装置を有する前記ガスタービン冷却系統において、前記空気切替装置は、前記第一状態のときに前記熱交換器で冷却された前記圧縮空気を前記冷却空気ラインに導き、前記第二状態のときに前記予備冷却器で冷却された前記圧縮空気を前記冷却空気ラインに導いてもよい。
【0025】
前記燃料切替装置を有する前記ガスタービン冷却系統において、前記燃料切替装置は、前記第一状態のときに前記熱交換器で加熱された前記燃料を前記加熱燃料ラインに導き、前記第二状態のときに前記予備冷却器で加熱された前記燃料を前記加熱燃料ラインに導いてもよい。
【0026】
以上のいずれかの前記ガスタービン冷却系統において、前記冷却装置は、前記ガスタービンの燃焼器に供給される燃料と前記抽気ラインを通ってきた圧縮空気とを熱交換させることで、前記燃料を加熱可能であり、前記冷却装置で加熱された前記燃料を前記燃焼器に導く加熱燃料ラインを備えていてもよい。
【0027】
以上のいずれかの前記ガスタービン冷却系統において、複数の前記ガスタービン毎の前記抽気ラインと、複数の前記ガスタービン毎の前記冷却空気ラインとを備え、前記冷却装置は、複数の前記抽気ラインを通ってきた前記圧縮空気の熱を利用して、前記有機ランキンサイクル中で凝縮している前記サイクル媒体を加熱して蒸発させる一方で、前記圧縮空気を冷却してもよい。
【0028】
当該ガスタービン冷却系統では、複数のガスタービンが設けられている場合でも、一の有機ランキンサイクルで対応することができ、設備コストを抑えることができる。
【0029】
上記目的を達成するための発明に係る一態様としてのガスタービンプラントは、
以上のいずれかの前記ガスタービン冷却系統と、前記ガスタービンと、を備えている。
【0030】
当該ガスタービンプラントは、以上のいずれかのガスタービン冷却系統を備えているので、ガスタービン中の高温部の冷却を図りつつ、圧縮空気から抽気した圧縮空気の熱を有効利用することができる。
【0031】
ここで、前記ガスタービンプラントにおいて、前記高温部は、前記ガスタービンの燃焼器を構成する部材と、前記燃焼器による燃焼で生成される燃焼ガスにより駆動するタービンにおけるロータの動翼と、前記ロータの軸部と、前記タービンの静翼と、のうち少なくとも一つであってもよい。
【0032】
上記目的を達成するための発明に係る一態様としてのガスタービンの高温部冷却方法は、
タービンを含むサイクル内でサイクル媒体が凝縮と蒸発とを繰り返して循環し、蒸発した前記サイクル媒体で前記タービンが駆動する有機ランキンサイクルを稼働させる有機ランキンサイクル実行工程と、ガスタービンの圧縮機から圧縮空気を抽気する抽気工程と、前記抽気工程で抽気された前記圧縮空気の熱を利用して、前記有機ランキンサイクル中で凝縮している前記サイクル媒体を加熱して蒸発させる一方で、前記圧縮空気を冷却する冷却工程と、前記ガスタービン中で燃焼ガスに接する高温部に、前記冷却工程で冷却された前記圧縮空気を導く冷却空気導入工程と、を実行
し、前記冷却工程は、前記抽気工程で抽気された前記圧縮空気と中間媒体とを熱交換させて、前記圧縮空気を冷却する一方で、前記中間媒体を加熱する第一熱交換工程と、前記第一熱交換工程で加熱された前記中間媒体と前記有機ランキンサイクル中で凝縮している前記サイクル媒体とを熱交換させ、前記サイクル媒体を加熱して蒸発させる一方で、前記中間媒体を冷却し、冷却した前記中間媒体を前記第一熱交換工程での前記圧縮空気との熱交換に利用させる第二熱交換工程と、前記中間媒体を冷却する予備冷却工程と、を有し、前記第一熱交換工程で加熱された前記中間媒体を、前記第二熱交換工程での前記サイクル媒体との熱交換に利用させ、前記第二熱交換工程で冷却された前記中間媒体を前記第一熱交換工程での前記圧縮空気との熱交換に利用させる第一状態工程と、前記第一熱交換工程で加熱された前記中間媒体を、前記予備冷却工程で冷却させ、前記予備冷却工程で冷却された前記中間媒体を前記第一熱交換工程での前記圧縮空気との熱交換に利用させる第二状態工程と、を実行する。
【0033】
当該高温部冷却方法では、冷却工程で冷却された圧縮空気により、ガスタービンの高温部を冷却することができる。しかも、当該高温部冷却方法では、圧縮空気の熱を利用して、サイクル媒体を加熱して蒸発させ、蒸発したサイクル媒体で有機ランキンサイクルのタービンを駆動させているので、圧縮空気の熱を有効利用することができる。
【0036】
上記目的を達成するための発明に係る他の態様としてのガスタービンの高温部冷却方法は、
タービンを含むサイクル内でサイクル媒体が凝縮と蒸発とを繰り返して循環し、蒸発した前記サイクル媒体で前記タービンが駆動する有機ランキンサイクルを稼働させる有機ランキンサイクル実行工程と、ガスタービンの圧縮機から圧縮空気を抽気する抽気工程と、
前記抽気工程で抽気された前記圧縮空気の熱を利用して、前記有機ランキンサイクル中で凝縮している前記サイクル媒体を加熱して蒸発させる一方で、前記圧縮空気を冷却する冷却工程と、前記ガスタービン中で燃焼ガスに接する高温部に、前記冷却工程で冷却された前記圧縮空気を導く冷却空気導入工程と、を実行し、前記冷却工程は、前記抽気工程で抽気された前記圧縮空気と前記有機ランキンサイクル中で凝縮している前記サイクル媒体とを熱交換させて、前記圧縮空気を冷却させる一方で、前記サイクル媒体を加熱して蒸発させる熱交換工程
と、前記圧縮空気を冷却する予備冷却工程とを有し、前記抽気工程で抽気された前記圧縮空気を、前記熱交換工程での前記サイクル媒体との熱交換に利用させ、前記熱交換工程で冷却された前記圧縮空気を、前記冷却空気導入工程で前記高温部に導く圧縮空気とする第一状態工程と、前記抽気工程で抽気された前記圧縮空気を、前記予備冷却工程で冷却させ、前記予備冷却工程で冷却された前記圧縮空気を、前記冷却空気導入工程での前記高温部に導く圧縮空気とする第二状態工程と、を実行し、前記冷却工程の前記熱交換工程及び前記予備冷却工程は、いずれも、前記ガスタービンの燃焼器に供給される燃料と前記抽気工程で抽気された前記圧縮空気とを熱交換させて、前記燃料を加熱する燃料加熱工程を有し、前記燃料加熱工程で加熱された前記燃料を前記燃焼器に導く加熱燃料導入工程を実行する。
【0037】
前記熱交換工程を有するガスタービンの高温部冷却方法において、前記冷却工程は、前記圧縮空気を冷却する予備冷却工程を有し、前記抽気工程で抽気された前記圧縮空気を、前記熱交換工程での前記サイクル媒体との熱交換に利用させ、前記熱交換工程で冷却された前記圧縮空気を、前記冷却空気導入工程で前記高温部に導く圧縮空気とする第一状態工程と、前記抽気工程で抽気された前記圧縮空気を、前記予備冷却工程で冷却させ、前記予備冷却工程で冷却された前記圧縮空気を、前記冷却空気導入工程での前記高温部に導く圧縮空気とする第二状態工程と、を実行してもよい。
【0038】
以上のいずれかの前記ガスタービンの高温部冷却方法において、前記冷却工程は、前記ガスタービンの燃焼器に供給される燃料と前記抽気工程で抽気された前記圧縮空気とを熱交換させて、前記燃料を加熱する燃料加熱工程を有し、前記燃料加熱工程で加熱された前記燃料を前記燃焼器に導く加熱燃料導入工程を実行してもよい。
【0039】
当該高温部冷却方法では、圧縮空気の熱で燃料を加熱することができるので、圧縮空気の熱をより有効利用することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明では、ガスタービン中の高温部の冷却を図りつつ、圧縮機から抽気した圧縮空気の熱を有効利用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明に係るガスタービンプラントの各種実施形態及び各種変形例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0043】
「第一実施形態」
本発明に係るガスタービンプラントの第一実施形態について、
図1〜
図3を用いて説明する。
【0044】
本実施形態のガスタービンプラントは、
図1に示すように、ガスタービン10と、ガスタービン10から排気された排気ガスの熱を回収する排熱回収装置30と、ガスタービン10中の高温部を冷却するガスタービン冷却系統(以下、単に冷却系統とする)40と、を備えている。
【0045】
ガスタービン10は、
図2に示すように、外気を圧縮して圧縮空気を生成する圧縮機11と、燃料Fを圧縮空気CA中で燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器12と、高温高圧の燃焼ガスにより駆動するタービン21と、を備えている。タービン21は、タービンロータ22と、タービンロータ22を覆うケーシング27とを有している。タービンロータ22は、回転中心軸を中心として回転するロータ軸部23と、このロータ軸部23の外周に固定されている複数の動翼24と、を有している。ロータ軸部23の内部及び動翼24の内部には、動翼24を冷却するための冷却空気が通る冷却空気流路25が形成されている。タービンロータ22には、例えば、このタービンロータ22の回転で発電する発電機29が接続されている。ケーシング27の内周側には、複数の静翼28が固定されている。燃焼器12は、ケーシング27に固定されている。
【0046】
排熱回収装置30は、
図1に示すように、タービン21の排気口に接続されている煙道31と、煙道31を通る排気ガスEGと水とを熱交換させて蒸気を発生させる排熱回収ボイラ32と、排熱回収ボイラ32で発生した蒸気で駆動する蒸気タービン33と、蒸気タービン33を駆動させた蒸気を水に戻す復水器34と、復水器34中の水を排熱回収ボイラ32に戻す給水ポンプ35と、を備えている。蒸気タービン33のタービンロータには、例えば、このタービンロータの回転で発電する発電機39が接続されている。
【0047】
冷却系統40は、圧縮機11から圧縮空気CAを抽気する抽気ライン41と、有機ランキンサイクル50と、抽気ライン41を通ってきた圧縮空気CAを冷却する冷却装置60と、冷却装置60で冷却された圧縮空気CAをガスタービン10の高温部である動翼24に導く冷却空気ライン42と、を備えている。
【0048】
ランキンサイクルは、蒸気でタービンを駆動するサイクルである。一方、有機ランキンサイクル50は、水よりも沸点の低い媒体(以下、サイクル媒体とする)CMを用いてタービン52を駆動するサイクルである。この有機ランキンサイクル50は、サイクル媒体CMを加熱して蒸発させる蒸発器51と、蒸発したサイクル媒体CMで駆動するタービン52と、タービン52を駆動させたサイクル媒体CMを冷却して凝縮させる凝縮器53と、凝縮したサイクル媒体CMを蒸発器51に戻すサイクル媒体ポンプ54と、を備えている。タービン52には、例えば、このタービン52の駆動で発電する発電機59が接続されている。凝縮器53は、熱交換器の一種で、サイクル媒体CMと水等の冷却媒体CW1とを熱交換させる。このため、この有機ランキンサイクル50は、さらに、サイクル媒体CMと熱交換で加熱された冷却媒体CW1を冷却する水冷塔等の冷却器55と、冷却器55で冷却された冷却媒体CW1を凝縮器53に戻す冷却媒体ポンプ56と、を備えている。
【0049】
なお、ここでは、凝縮器53を流れる冷却媒体CW1を冷却器55との間で循環させるが、冷却器55を省略し、河川の水や海水等の冷却媒体CW1を凝縮器53に供給し、この凝縮器53を通った冷却媒体CW1を河川や海等に戻してもよい。
【0050】
冷却装置60は、抽気ライン41を通ってきた圧縮空気CAと有機ランキンサイクル50中で凝縮しているサイクル媒体CMとを、中間媒体IMを介して熱交換させる間接型熱交換装置61と、中間媒体IMを冷却する予備冷却器72と、中間媒体IMの流れ先等を切り替える中間媒体切替装置80と、を備えている。間接型熱交換装置61は、抽気ライン41を通ってきた圧縮空気CAと中間媒体IMとを熱交換させる第一熱交換器62と、中間媒体IMと有機ランキンサイクル50中で凝縮しているサイクル媒体CMとを熱交換させる第二熱交換器66と、を有する。
【0051】
第一熱交換器62には、圧縮空気CAが流れる圧縮空気流路63と、中間媒体IMが流れる中間媒体流路64とが形成されている。圧縮空気流路63と中間媒体流路64とは、これらの流路63,64を流れる流体相互間で熱交換可能に互いに隣接している。冷却系統40における第二熱交換器66は、有機ランキンサイクル50の構成要素である蒸発器51を成している。よって、本実施形態では、冷却系統40と有機ランキンサイクル50とで第二熱交換器66を共有している。この第二熱交換器66には、中間媒体IMが流れる中間媒体流路67と、サイクル媒体CMが流れるサイクル媒体流路68とが形成されている。中間媒体流路67とサイクル媒体流路68とは、これらの流路67,68を流れる流体相互間で熱交換可能に互いに隣接している。予備冷却器72には、中間媒体IMが流れる中間媒体流路73と、河川の水や海水等の冷却媒体CW2が流れる冷却媒体流路74とが形成されている。中間媒体流路73と冷却媒体流路74とは、これらの流路73,74を流れる流体相互間で熱交換可能に互いに隣接している。
【0052】
第一熱交換器62における圧縮空気流路63の入口には、
図2に示すように、抽気ライン41が接続され、圧縮空気流路63の出口には、冷却空気ライン42が接続されている。この冷却空気ライン42は、高温部である動翼24を冷却するために、タービンロータ22に形成されている冷却空気流路25に接続されている。第一熱交換器62における中間媒体流路64の出口と、第二熱交換器66における中間媒体流路67の入口とは、加熱中間媒体ライン43で接続されている。また、第二熱交換器66における中間媒体流路67の出口と、第一熱交換器62における中間媒体流路64の入口とは、冷却中間媒体ライン44で接続されている。この冷却中間媒体ライン44には、中間媒体ポンプ45が設けられている。
【0053】
加熱中間媒体ライン43には、この加熱中間媒体ライン43を通ってきた中間媒体IMを第二熱交換器66に対してバイパスさせる加熱中間媒体バイパスライン46が接続されている。この加熱中間媒体バイパスライン46は、予備冷却器72における中間媒体流路73の入口に接続されている。予備冷却器72における中間媒体流路73の出口には、冷却中間媒体バイパスライン47が接続されている。この冷却中間媒体バイパスライン47は、冷却中間媒体ライン44中の中間媒体ポンプ45の上流側に接続されている。予備冷却器72における冷却媒体流路74の入口には、河川の水や海水等の冷却媒体CW2を供給する冷却媒体供給ライン76が接続されている。予備冷却器72における冷却媒体流路74の出口には、冷却媒体流路74を通った冷却媒体CW2を河川や海等に戻す冷却媒体戻しライン77が接続されている。冷却媒体供給ライン76には、冷却媒体ポンプ78が設けられている。
【0054】
加熱中間媒体ライン43と加熱中間媒体バイパスライン46との接続部分には、加熱中間媒体切替機81が設けられている。この加熱中間媒体切替機81は、三方弁である。三方弁の三つの開口のうち、第一開口は加熱中間媒体ライン43の第一熱交換器62側と接続され、第二開口は加熱中間媒体ライン43の第二熱交換器66側と接続されている。また、三方弁の第三開口は加熱中間媒体バイパスライン46に接続されている。冷却中間媒体ライン44と冷却中間媒体バイパスライン47との接続部分には、冷却中間媒体切替機82が設けられている。この冷却中間媒体切替機82も、三方弁である。三方弁の三つの開口のうち、第一開口は冷却中間媒体ライン44の第二熱交換器66側と接続され、第二開口は冷却中間媒体ライン44の第一熱交換器62側と接続されている。また、三方弁の第三開口は冷却中間媒体バイパスライン47に接続されている。前述の中間媒体切替装置80は、加熱中間媒体切替機81及び冷却中間媒体切替機82を有している。
【0055】
次に、以上で説明したガスタービンプラントの動作について説明する。
【0056】
まず、ガスタービン10及び有機ランキンサイクル50が稼働している場合の動作について、
図1を用いて説明する。なお、ガスタービン10及び有機ランキンサイクル50が稼働している場合、加熱中間媒体切替機81は、第一熱交換器62から加熱中間媒体ライン43を経てきた中間媒体IMを第二熱交換器66に送れる第一状態になっている。また、冷却中間媒体切替機82は、第二熱交換器66から冷却中間媒体ライン44を経てきた中間媒体IMを第一熱交換器62に送れる第一状態になっている。
【0057】
ガスタービン10の圧縮機11は、大気中の空気Aを圧縮し、圧縮空気CAを燃焼器12に供給する。また、燃焼器12には、燃料Fも供給される。燃焼器12内では、圧縮空気CA中で燃料Fが燃焼して、高温高圧の燃焼ガスが生成される。この燃焼ガスは、タービン21に送られ、このタービンロータ22を回転させる。このタービンロータ22の回転で、ガスタービン10に接続されている発電機29は発電する。
【0058】
タービンロータ22を回転させた燃焼ガスは、排気ガスEGとしてガスタービン10から排気され、煙道31を通って大気に放出される。排熱回収ボイラ32は、煙道31を通る排気ガスEGと水とを熱交換させて、水を蒸気にする。この蒸気は、蒸気タービン33に供給され、蒸気タービン33を駆動する。蒸気タービン33を通過した蒸気は、復水器34で水に戻される。この水は、給水ポンプ35により排熱回収ボイラ32に供給され、再び、蒸気になる。
【0059】
圧縮機11で生成された圧縮空気CAの一部は、圧縮機11から抽気されて、抽気ライン41を介して、第一熱交換器62に送られる(抽気工程)。第一熱交換器62では、この圧縮空気CAと中間媒体IMとが熱交換され、圧縮空気CAが冷却される一方で中間媒体IMが加熱される(第一熱交換工程)。圧縮空気CAは、この第一熱交換器62を通過することで、例えば、400℃から230℃に冷却される。一方、中間媒体IMは、この第一熱交換器62を通過することで、例えば、160℃から200℃に加熱される。なお、本実施形態では、中間媒体IMとして、コスト面や取扱性の面から加圧水を用いている。但し、この中間媒体IMは加圧水でなくてもよい。
【0060】
第一熱交換器62で冷却された圧縮空気CAは、冷却空気ライン42を介して、タービンロータ22の冷却空気流路25に送られる(冷却空気導入工程)。タービンロータ22の動翼24は、この圧縮空気CAにより冷却される。
【0061】
第一熱交換器62で加熱された中間媒体IMは、加熱中間媒体ライン43及び加熱中間媒体切替機81を介して、第二熱交換器66(蒸発器51)へ送られる。この第二熱交換器66では、この中間媒体IMとサイクル媒体CMとが熱交換され、中間媒体IMが冷却される一方でサイクル媒体CMが加熱されて蒸発する(第二熱交換工程)。中間媒体IMは、この第二熱交換器66を通過することで、例えば、200℃から160℃に冷却される。一方、サイクル媒体CMは、この第二熱交換器66を通過することで、例えば、60℃から150℃に加熱されて、蒸発する。蒸発したサイクル媒体CMは、有機ランキンサイクル50の構成要素であるタービン52を駆動させる。タービン52を駆動させたサイクル媒体CMは、凝縮器53に送られる。この凝縮器53では、サイクル媒体CMと冷却媒体CW1とが交換され、サイクル媒体CMが冷却されて凝縮する。凝縮したサイクル媒体CMは、サイクル媒体ポンプ54により第二熱交換器66(蒸発器51)に送られ、前述したように、この第二熱交換器66で中間媒体IMと熱交換する。以上のように、サイクル媒体CMは、有機ランキンサイクル50内で循環する(有機ランキンサイクル実行工程)。なお、本実施形態では、サイクル媒体CMとして、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン等の有機媒体を用いている。
【0062】
第二熱交換器66で冷却された中間媒体IMは、冷却中間媒体ライン44及び冷却中間媒体切替機82を介して、第一熱交換器62に戻される。
【0063】
ガスタービン10及び有機ランキンサイクル50が稼働している場合、第一状態工程が実行される。すなわち、この第一状態工程では、第一熱交換工程で加熱された中間媒体IMを、第二熱交換工程でのサイクル媒体CMとの熱交換に利用させ、第二熱交換工程で冷却された中間媒体IMを第一熱交換工程での圧縮空気CAとの熱交換に利用させる。
【0064】
次に、有機ランキンサイクル50が停止しており、ガスタービン10のみが稼働している場合の動作について、
図3を用いて説明する。なお、ガスタービン10のみが稼働している場合、加熱中間媒体切替機81は、第一熱交換器62から加熱中間媒体ライン43を経てきた中間媒体IMを、加熱中間媒体バイパスライン46を経て予備冷却器72に送れる第二状態になっている。また、冷却中間媒体切替機82は、予備冷却器72から冷却中間媒体バイパスライン47を経てきた中間媒体IMを第一熱交換器62に送れる第二状態になっている。
【0065】
ガスタービン10及び排熱回収装置30は、前述の場合と同様に稼働する。圧縮機11で生成された圧縮空気CAの一部は、前述の場合と同様に、圧縮機11から抽気されて、抽気ライン41を介して、第一熱交換器62に送られる(抽気工程)。第一熱交換器62では、この圧縮空気CAと中間媒体IMとが熱交換され、圧縮空気CAが冷却される一方で中間媒体IMが加熱される(第一熱交換工程)。第一熱交換器62で冷却された圧縮空気CAは、冷却空気ライン42を介して、タービンロータ22の冷却空気流路25に送られる(冷却空気導入工程)。
【0066】
第一熱交換器62で加熱された中間媒体IMは、加熱中間媒体ライン43、加熱中間媒体切替機81及び加熱中間媒体バイパスライン46を介して、予備冷却器72へ送られる。この予備冷却器72では、この中間媒体IMと冷却媒体CW2とが熱交換され、中間媒体IMが冷却される(予備冷却工程)。中間媒体IMは、この予備冷却器72を通過することで、例えば、200℃から160℃に冷却される。
【0067】
予備冷却器72で冷却された中間媒体IMは、冷却中間媒体バイパスライン47、冷却中間媒体切替機82及び冷却中間媒体ライン44を介して、第一熱交換器62に戻される。
【0068】
ガスタービン10のみが稼働している場合、第二状態工程が実行される。すなわち、この第二状態工程では、第一熱交換工程で加熱された中間媒体IMを、予備冷却工程で冷却させ、予備冷却工程で冷却された中間媒体IMを第一熱交換工程での圧縮空気CAとの熱交換に利用させる。
【0069】
以上のように、本実施形態では、圧縮機11から抽気された圧縮空気CAを冷却し、これをガスタービン10の高温部に送っているので、この高温部を冷却することができる。しかも、本実施形態では、圧縮空気CAとサイクル媒体CMとを間接的に熱交換させて、圧縮空気CAを冷却する一方で、サイクル媒体CMを加熱してタービン52の駆動に利用しているので、圧縮空気CAの熱を有効利用することができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、予備冷却器72を備えているので、有機ランキンサイクル50が停止しているときでも、圧縮機11から抽気した圧縮空気CAを冷却することができ、ガスタービン10を運転することができる。
【0071】
「第二実施形態」
本発明に係るガスタービンプラントの第二実施形態について、
図4を用いて説明する。
【0072】
本実施形態のガスタービンプラントは、第一実施形態のガスタービンプラントの変形例で、第一熱交換器62aの構成が第一実施形態と異なっており、その他の構成は第一実施形態と基本的に同じである。
【0073】
本実施形態における第一熱交換器62aは、圧縮機11から抽気された圧縮空気CAと中間媒体IMとを熱交換させると共に、圧縮機11から抽気された圧縮空気CAと燃焼器12の燃料Fとを熱交換させる。よって、本実施形態における第一熱交換器62aには、圧縮空気CAが流れる圧縮空気流路63と、中間媒体IMが流れる中間媒体流路64と、燃料Fが流れる燃料流路65とが形成されている。圧縮空気流路63と中間媒体流路64とは、互いに隣接している。また、圧縮空気流路63と燃料流路65とは、互いに隣接している。すなわち、圧縮空気流路63は、中間媒体流路64及び燃料流路65に隣接している。
【0074】
第一熱交換器62aにおける燃料流路65の入口には、燃料供給源から延びる未加熱燃料ライン83が接続されている。また、第一熱交換器62aにおける燃料流路65の出口には、加熱燃料ライン84が接続されている。この加熱燃料ライン84は、ガスタービン10の燃焼器12に接続されている。
【0075】
本実施形態の第一熱交換器62aでは、第一実施形態と同様に、圧縮空気CAと中間媒体IMとが熱交換され、圧縮空気CAが冷却される一方で中間媒体IMが加熱される(第一熱交換工程)。さらに、本実施形態の第一熱交換器62aでは、圧縮空気CAと燃料Fとが熱交換され、圧縮空気CAが冷却される一方で燃料Fが加熱される(燃料加熱工程)。
【0076】
圧縮空気CAとの熱交換で加熱された中間媒体IMは、第一実施形態と同様、第二熱交換器66又は予備冷却器72で冷却された後、第一熱交換器62aに戻る。
【0077】
また、圧縮空気CAとの熱交換で加熱された燃料Fは、加熱燃料ライン84を介して、ガスタービン10の燃焼器12に送られる(加熱燃料導入工程)。
【0078】
以上のように、本実施形態では、圧縮機11から抽気された圧縮空気CAの熱を燃料Fの予熱にも利用しているので、圧縮空気CAの熱をより有効利用することができる。
【0079】
「第三実施形態」
本発明に係るガスタービンプラントの第三実施形態について、
図5を用いて説明する。
【0080】
本実施形態のガスタービンプラントも、第一実施形態のガスタービンプラントの変形例である。本実施形態では、第一実施形態の第一熱交換器62、第二熱交換器66、及び予備冷却器72のそれぞれに燃料流路をさらに形成している。本実施形態において、燃料Fは、いずれかの燃料流路に選択的に導かれる。このため、本実施形態のガスタービンプラントは、燃料Fの流れ先等を切り替える燃料切替装置85を備えている。
【0081】
本実施形態における第一熱交換器62aは、圧縮機11から抽気された圧縮空気CAと中間媒体IMとを熱交換させると共に、この圧縮空気CAと燃料Fとを熱交換させる。よって、本実施形態における第一熱交換器62aは、圧縮空気CAが流れる圧縮空気流路63と、中間媒体IMが流れる中間媒体流路64と、燃料Fが流れる燃料流路65とが形成されている。すなわち、本実施形態の第一熱交換器62aは、第二実施形態の第一熱交換器62aと同一である。
【0082】
本実施形態における第二熱交換器66aは、第一熱交換器62aで加熱された中間媒体IMとサイクル媒体CMとを熱交換させると共に、この中間媒体IMと燃料Fとを熱交換させる。よって、本実施形態の第二熱交換器66aには、中間媒体IMが流れる中間媒体流路67と、サイクル媒体CMが流れるサイクル媒体流路68と、燃料Fが流れる燃料流路69とが形成されている。第二熱交換器66aの中間媒体流路67と燃料流路69とは、互いに隣接している。また、中間媒体流路67とサイクル媒体流路68とは、互いに隣接している。すなわち、中間媒体流路67は、燃料流路69及びサイクル媒体流路68に隣接している。
【0083】
本実施形態における予備冷却器72aは、第一熱交換器62aで加熱された中間媒体IMと冷却媒体CW2とを熱交換させると共に、この中間媒体IMと燃料Fとを熱交換させる。よって、本実施形態の予備冷却器72aには、中間媒体IMが流れる中間媒体流路73と、冷却媒体CW2が流れる冷却媒体流路74と、燃料Fが流れる燃料流路75とが形成されている。予備冷却器72aの中間媒体流路73と燃料流路75とは、互いに隣接している。また、中間媒体流路73と冷却媒体流路74とは、互いに隣接している。すなわち、中間媒体流路73は、燃料流路75及び冷却媒体流路74に隣接している。
【0084】
第一熱交換器62aにおける燃料流路65の入口には、第一未加熱燃料ライン88aが接続され、この燃料流路65の出口には、第一加熱燃料ライン89aが接続されている。第二熱交換器66aにおける燃料流路69の入口には、第二未加熱燃料ライン88bが接続され、この燃料流路69の出口には、第二加熱燃料ライン89bが接続されている。予備冷却器72aにおける燃料流路75の入口には、第三未加熱燃料ライン88cが接続され、この燃料流路75の出口には、第三加熱燃料ライン89cが接続されている。
【0085】
第一未加熱燃料ライン88a、第二未加熱燃料ライン88b、及び第三未加熱燃料ライン88cは、いずれも、未加熱燃料切替機86と接続されている。この未加熱燃料切替機86には、燃料供給源から延びる統合未加熱燃料ライン83aが接続されている。未加熱燃料切替機86は、燃料供給源から統合未加熱燃料ライン83aを介して送られてきた燃料Fを、第一未加熱燃料ライン88a、第二未加熱燃料ライン88b、及び第三未加熱燃料ライン88cのうち、いずれか一のラインに送る。
【0086】
第一加熱燃料ライン89a、第二加熱燃料ライン89b、及び第三加熱燃料ライン89cは、いずれも、加熱燃料切替機87と接続されている。この未加熱燃料切替機86には、統合加熱燃料ライン84aが接続されている。加熱燃料切替機87は、第一加熱燃料ライン89a、第二加熱燃料ライン89b、及び第三加熱燃料ライン89cのうち、いずれか一のラインからの燃料Fを統合加熱燃料ライン84aに送る。前述の燃料切替装置85は、未加熱燃料切替機86及び加熱燃料切替機87を有している。
【0087】
本実施形態では、圧縮機11から抽気された圧縮空気CAの熱を直接又は間接的に燃料Fの予熱にも利用しているので、圧縮空気CAの熱をより有効利用することができる。また、本実施形態では、ガスタービン10や有機ランキンサイクル50の運転状態に応じて、燃料Fの予熱形態を適宜変えることができる。
【0088】
「第四実施形態」
本発明に係るガスタービンプラントの第四実施形態について、
図6及び
図7を用いて説明する。
【0089】
本実施形態のガスタービンプラントは、第二実施形態のガスタービンプラントの変形例である。本実施形態のガスタービンプラントは、
図6に示すように、一つの有機ランキンサイクル50と、複数のガスタービン10と、を備えている。
【0090】
本実施形態では、各ガスタービン10毎に、第一熱交換器62a、予備冷却器72、抽気ライン41、冷却空気ライン42、加熱中間媒体ライン43a、加熱中間媒体バイパスライン46a、冷却中間媒体ライン44a、冷却中間媒体バイパスライン47a、中間媒体ポンプ45、加熱中間媒体切替機81a、及び、冷却中間媒体切替機82が設けられている。
【0091】
複数のガスタービン10毎の加熱中間媒体ライン43aは、いずれも第一ヘッダ91に接続されている。この第一ヘッダ91には、統合加熱中間媒体ライン43bが接続されている。この統合加熱中間媒体ライン43bは、一つの有機ランキンサイクル50の蒸発器を構成する第二熱交換器66に接続されている。この第二熱交換器66には、統合冷却中間媒体ライン44bが接続されている。統合加熱中間媒体ライン43bには、さらに、統合加熱中間媒体バイパスライン46bが接続されている。この統合加熱中間媒体バイパスライン46bは、統合冷却中間媒体ライン44bに接続されている。統合冷却中間媒体ライン44bは、第二ヘッダ92に接続されている。この第二ヘッダ92には、複数のガスタービン10毎の冷却中間媒体ライン44aが接続されている。各冷却中間媒体ライン44aには、加熱中間媒体バイパスライン46aが接続されている。この加熱中間媒体バイパスライン46aは、予備冷却器72に接続されている。この予備冷却器72には、冷却中間媒体バイパスライン47aが接続されている。この冷却中間媒体バイパスライン47aは、冷却中間媒体ライン44aに接続されている。
【0092】
統合冷却中間媒体ライン44b中で、統合加熱中間媒体バイパスライン46bとの接続部分よりも上流側には、仕切弁93が設けられている。統合加熱中間媒体ライン43bと統合加熱中間媒体バイパスライン46bとの接続部分には、統合加熱中間媒体切替機81bが設けられている。冷却中間媒体ライン44aと加熱中間媒体バイパスライン46aとの接続部分には、加熱中間媒体切替機81aが設けられている。冷却中間媒体ライン44aと冷却中間媒体バイパスライン47aとの接続部分には、冷却中間媒体切替機82が設けられている。これらの切替機は、いずれも、先の実施形態で説明した切替機と同様、三方弁である。本実施形態では、統合加熱中間媒体切替機81b、複数のガスタービン10毎の加熱中間媒体切替機81a、及び複数のガスタービン10毎の冷却中間媒体切替機82で、中間媒体切替装置80bを構成している。
【0093】
本実施形態でも、ガスタービン10及び有機ランキンサイクル50が稼働している場合、第一状態工程が実行される。この第一状態工程では、
図6に示すように、統合加熱中間媒体切替機81bは、複数のガスタービン10毎の第一熱交換器62aから加熱中間媒体ライン43a及び第一ヘッダ91を経てきた中間媒体IMを第二熱交換器66に送れる第一状態になっている。また、第二熱交換器66の出口側に設けられている仕切弁93は、開状態になっている。複数のガスタービン10毎の加熱中間媒体切替機81aは、第二ヘッダ92を経てきた中間媒体IMを複数のガスタービン10毎の冷却中間媒体切替機82に送れる第一状態になっている。複数のガスタービン10毎の冷却中間媒体切替機82は、加熱中間媒体切替機81aを経てきた中間媒体IMを第一熱交換器62aに送れる第一状態になっている。
【0094】
このため、第一状態工程では、複数のガスタービン10毎の第一熱交換器62aで加熱された中間媒体IMは、複数のガスタービン10毎の加熱中間媒体ライン43a、第一ヘッダ91、統合加熱中間媒体切替機81bを介して、第二熱交換器66に送られる。第二熱交換器66では、この中間媒体IMがサイクル媒体CMとの熱交換で冷却される。第二熱交換器66で冷却された中間媒体IMは、統合冷却中間媒体ライン44b、仕切弁93、第二ヘッダ92、複数のガスタービン10毎の冷却中間媒体ライン44a、複数のガスタービン10毎の加熱中間媒体切替機81a、複数のガスタービン10毎の冷却中間媒体切替機82を介して、複数のガスタービン10毎の第一熱交換器62aに戻る。
【0095】
また、本実施形態でも、有機ランキンサイクル50が停止しており、ガスタービン10のみが稼働している場、第二状態工程が実行される。この第二状態工程では、
図7に示すように、統合加熱中間媒体切替機81bは、複数のガスタービン10毎の第一熱交換器62aから加熱中間媒体ライン43a及び第一ヘッダ91を経てきた中間媒体IMを統合加熱中間媒体バイパスライン46bに送れる第二状態になっている。また、第二熱交換器66の出口側に設けられている仕切弁93は、閉状態になっている。複数のガスタービン10毎の加熱中間媒体切替機81aは、第二ヘッダ92を経てきた中間媒体IMを複数のガスタービン10毎の予備冷却器72に送れる第二状態になっている。複数のガスタービン10毎の冷却中間媒体切替機82は、予備冷却器72を経てきた中間媒体IMを第一熱交換器62aに送れる第二状態になっている。
【0096】
このため、第二状態工程では、複数のガスタービン10毎の第一熱交換器62aで加熱された中間媒体IMは、複数のガスタービン10毎の加熱中間媒体ライン43a、第一ヘッダ91、統合加熱中間媒体切替機81b、統合加熱中間媒体バイパスライン46b、第二ヘッダ92、複数のガスタービン10毎の加熱中間媒体切替機81a、複数のガスタービン10毎の加熱中間媒体バイパスライン46aを介して、複数のガスタービン10毎の予備冷却器72に送られる。この予備冷却器72では、この中間媒体IMが冷却媒体CW2との熱交換で冷却される。予備冷却器72で冷却された中間媒体IMは、複数のガスタービン10毎の冷却中間媒体バイパスライン47a、複数のガスタービン10毎の冷却中間媒体切替機82を介して、複数のガスタービン10毎の第一熱交換器62aに戻る。
【0097】
以上、本実施形態では、複数のガスタービン10を備えている場合でも、一つの有機ランキンサイクル50を設ければよいので、複数のガスタービン10を備えているガスタービンプラントの設備コストを抑えることができる。
【0098】
「第五実施形態」
本発明に係るガスタービンプラントの第五実施形態について、
図8及び
図9を用いて説明する。
【0099】
以上の各実施形態のガスタービンプラントは、いずれも、圧縮機11から抽気された圧縮空気CAを、中間媒体IMを介して、サイクル媒体CMで間接的に冷却するものである。本実施形態のガスタービンプラントは、圧縮機11から抽気された圧縮空気CAを、中間媒体IMを介さずに、サイクル媒体CMで直接的に冷却するものである。
【0100】
本実施形態のガスタービンプラントにおける冷却系統40cも、以上の実施形態と同様、ガスタービン10の圧縮機11から圧縮空気CAを抽気する抽気ライン41cと、有機ランキンサイクル50と、抽気ライン41cを通ってきた圧縮空気CAを冷却する冷却装置60cと、冷却装置60cで冷却された圧縮空気CAをガスタービン10の高温部である動翼24に導く冷却空気ライン42cと、を備えている。
【0101】
本実施形態の冷却装置60cは、抽気ライン41cを通ってきた圧縮空気CAと有機ランキンサイクル50中で凝縮しているサイクル媒体CMとを、中間媒体IMを介さずに、直接的に熱交換する熱交換器66cと、抽気ライン41cを通ってきた圧縮空気CAを冷却する予備冷却器72cと、圧縮空気CAの流れ先等を切り替える空気切替装置80cと、燃料Fの流れ先等を切り替える燃料切替装置85cと、を備えている。
【0102】
冷却系統40cにおける熱交換器66cは、有機ランキンサイクル50の構成要素である蒸発器51cを成している。よって、本実施形態では、冷却系統40cと有機ランキンサイクル50とで熱交換器66cを共有している。この熱交換器66cには、圧縮空気CAが流れる圧縮空気流路67cと、サイクル媒体CMが流れるサイクル媒体流路68と、燃焼器12に供給される燃料Fが流れる燃料流路69とが形成されている。圧縮空気流路67cとサイクル媒体流路68とは、これらの流路67c,68を流れる流体相互間で熱交換可能に互いに隣接している。圧縮空気流路67cと燃料流路69とは、これらの流路67c,69を流れる流体相互間で熱交換可能に互いに隣接している。すなわち、圧縮空気流路67cは、サイクル媒体流路68及び燃料流路69と隣接している。
【0103】
予備冷却器72cは、内部を圧縮空気CAが通るラジエター73cと、ラジエター73cに外気を吹き付ける空冷ファン74cと、ラジエター73cで圧縮空気CAとの熱交換で加熱された外気と内部を流れる燃料Fとを熱交換させて燃料Fを加熱する予熱器75cと、を有している。空冷ファン74cは、例えば、インバータモータで駆動する。なお、本実施形態における予備冷却器72cは、圧縮空気CAが流れる圧縮空気流路と、冷却媒体CW1又は河川の水や海水等の冷却媒体が流れる冷却媒体流路と、燃料Fが流れる燃料流路とが形成されている熱交換器で構成してもよい。
【0104】
熱交換器66c(蒸発器51c)における圧縮空気流路67cの入口には、抽気ライン41cが接続されている。この圧縮空気流路67cの出口には、冷却空気ライン42cが接続されている。この冷却空気ライン42cは、以上の実施形態と同様、タービンロータ22に形成されている冷却空気流路25に接続されている。熱交換器66cにおける燃料流路69の入口には、未加熱燃料ライン83が接続されている。この燃料流路69の出口には、加熱燃料ライン84が接続されている。この加熱燃料ライン84は、以上の実施形態と同様、燃焼器12に接続されている。
【0105】
抽気ライン41cには、抽気バイパスライン48cが接続されている。この抽気バイパスライン48cは、予備冷却器72cにおけるラジエター73cの入口に接続されている。ラジエター73cの出口には、冷却空気バイパスライン49cが接続されている。この冷却空気バイパスライン49cは、冷却空気ライン42cに接続されている。未加熱燃料ライン83には、未加熱燃料バイパスライン83cが接続されている。未加熱燃料バイパスライン83cは、予備冷却器72cにおける予熱器75cの入口に接続されている。この予熱器75cの出口には、加熱燃料バイパスライン84cが接続されている。この加熱燃料バイパスライン84cは、加熱燃料ライン84に接続されている。
【0106】
抽気ライン41cと抽気バイパスライン48cとの接続部分には、未冷却空気切替機81cが設けられている。未冷却空気切替機81cは、三方弁である。三方弁の三つの開口のうち、第一開口は抽気ライン41cの圧縮機11側と接続され、第二開口は抽気ライン41cの熱交換器66c側と接続されている。また、三方弁の第三開口は抽気バイパスライン48cに接続されている。冷却空気ライン42cと冷却空気バイパスライン49cとの接続部分には、冷却空気切替機82cが設けられている。冷却空気切替機82cも、三方弁である。この三方弁の第一開口は、冷却空気ライン42cの熱交換器66c側と接続され、第二開口は、冷却空気ライン42cのタービンロータ22側と接続されている。また、三方弁の第三開口は冷却空気バイパスライン49cに接続されている。前述の空気切替装置80cは、未冷却空気切替機81c及び冷却空気切替機82cを有している。
【0107】
未加熱燃料ライン83と未加熱燃料バイパスライン83cとの接続部分には、未加熱燃料切替機86cが設けられている。未加熱燃料切替機86cは、三方弁である。三方弁の三つの開口のうち、第一開口は未加熱燃料ライン83の燃料供給源側と接続され、第二開口は未加熱燃料ライン83の熱交換器66c側と接続されている。また、三方弁の第三開口は未加熱燃料バイパスライン83cに接続されている。加熱燃料ライン84と加熱燃料バイパスライン84cとの接続部分には、加熱燃料切替機87cが設けられている。加熱燃料切替機87cも、三方弁である。この三方弁の第一開口は、加熱燃料ライン84の熱交換器66c側と接続され、第二開口は、加熱燃料ライン84の燃焼器12側と接続されている。また、三方弁の第三開口は加熱燃料バイパスライン84cに接続されている。前述の燃料切替装置85cは、未加熱燃料切替機86c及び加熱燃料切替機87cを有している。
【0108】
次に、以上で説明したガスタービンプラントの動作について説明する。
【0109】
本実施形態でも、ガスタービン10及び有機ランキンサイクル50が稼働している場合、第一状態工程が実行される。この第一状態工程では、
図8に示すように、未冷却空気切替機81cは、圧縮機11から抽気された圧縮空気CAを熱交換器66cに送れる第一状態になっている。冷却空気切替機82cは、熱交換器66cで冷却された圧縮空気CAをタービンロータ22に送れる第一状態になっている。また、未加熱燃料切替機86cは、燃料供給源からの燃料Fを熱交換器66cに送れる第一状態になっている。加熱燃料切替機87cは、熱交換器66cで加熱された燃料Fを燃焼器12に送れる第一状態になっている。
【0110】
このため、第一状態工程では、圧縮機11から抽気された圧縮空気CAは、抽気ライン41c及び未冷却空気切替機81cを介して、熱交換器66cに送られる。熱交換器66cでは、この圧縮空気CAがサイクル媒体CMとの熱交換で冷却される(熱交換工程)。熱交換器66cで冷却された圧縮空気CAは、冷却空気ライン42c及び冷却空気切替機82cを介して、タービンロータ22に送られ、動翼24を冷却する(冷却空気導入工程)。
【0111】
また、この第一状態工程では、燃料供給源からの燃料Fが、未加熱燃料切替機86c及び未加熱燃料ライン83を介して、熱交換器66cに送られる。熱交換器66cでは、この燃料Fが圧縮空気CAとの熱交換で加熱される(燃料加熱工程)。熱交換器66cで加熱された燃料Fは、加熱燃料ライン84及び加熱燃料切替機87cを介して、燃焼器12に送られる(加熱燃料導入工程)。
【0112】
また、本実施形態でも、有機ランキンサイクル50が停止しており、ガスタービン10のみが稼働している場、第二状態工程が実行される。この第二状態工程では、
図9に示すように、未冷却空気切替機81cは、圧縮機11から抽気された圧縮空気CAを抽気バイパスライン48cを介して予備冷却器72cに送れる第二状態になっている。冷却空気切替機82cは、冷却空気バイパスライン49cを介して、予備冷却器72cで冷却された圧縮空気CAをタービンロータ22に送れる第二状態になっている。また、未加熱燃料切替機86cは、未加熱燃料バイパスライン83cを介して、燃料供給源からの燃料Fを予備冷却器72cに送れる第二状態になっている。加熱燃料切替機87cは、加熱燃料バイパスライン84cを介して、予備冷却器72cで加熱された燃料Fを燃焼器12に送れる第二状態になっている。
【0113】
このため、第二状態工程では、圧縮機11から抽気された圧縮空気CAは、抽気ライン41c、未冷却空気切替機81c及び抽気バイパスライン48cを介して、予備冷却器72cに送られる。予備冷却器72cでは、この圧縮空気CAが空冷ファン74cから送られてくる外気との熱交換で冷却される(予備冷却工程)。予備冷却器72cで冷却された圧縮空気CAは、冷却空気バイパスライン49c、冷却空気切替機82c、冷却空気ライン42cを介して、タービンロータ22に送られ、動翼24を冷却する(冷却空気導入工程)。
【0114】
また、この第二状態工程では、燃料供給源からの燃料Fが、未加熱燃料切替機86c及び未加熱燃料バイパスライン83cを介して、予備冷却器72cに送られる。予備冷却器72cでは、この燃料Fが圧縮空気CAとの熱交換で加熱された外気と熱交換して、加熱される(燃料加熱工程)。予備冷却器72cで加熱された燃料Fは、加熱燃料バイパスライン84c、加熱燃料切替機87c及び加熱燃料ライン84を介して、燃焼器12に送られる(加熱燃料導入工程)。
【0115】
以上、本実施形態では、圧縮空気CAとサイクル媒体CMとを直接的に熱交換させて、圧縮空気CAを冷却する一方で、サイクル媒体CMを加熱してタービン52の駆動に利用しているので、圧縮空気CAの熱を有効利用することができる。
【0116】
さらに、本実施形態でも、予備冷却器72cを備えているので、有機ランキンサイクル50が停止しているときでも、圧縮機11から抽気した圧縮空気CAを冷却することができる。
【0117】
また、本実施形態では、圧縮空気CAとサイクル媒体CMとの熱交換に、中間媒体IMを介在させていないため、設備構成が簡略化し、設備コストを抑えることができる。
【0118】
ここで、ガスタービン10及び有機ランキンサイクル50が共に稼働している際に、有機ランキンサイクル50が突然停止した場合について説明する。
【0119】
有機ランキンサイクル50が突然停止すると、空気切替装置80c及び燃料切替装置85cは、
図8に示す第一状態から
図9に示す第二状態に切り替わる。この切り替わりは、有機ランキンサイクル50の停止から多少のタイムラグがある。このため、有機ランキンサイクル50が停止すると、一時的に圧縮空気CAが冷却されなくなる。一方、第一から第四実施形態のように、中間媒体IMを介在させて、圧縮空気CAとサイクル媒体CMとを熱交換させる場合は、有機ランキンサイクル50の停止から切替装置が切り替わるまでのタイムラグが多少あっても、圧縮空気CAを中間媒体IMで冷却することができる。よって、第一状態から第二状態への切り替えがあっても、圧縮空気CAを継続的に冷却するためには、中間媒体IMを介在させて、圧縮空気CAとサイクル媒体CMとを熱交換させることが好ましい。
【0120】
このため、圧縮空気CAとサイクル媒体CMとの熱交換に、中間媒体IMを介在させるか否かは、設備コストと、圧縮空気CAの継続的冷却の必要性とを比較考量して定めることが好ましい。
【0121】
「各種変形例」
次に、以上で説明したガスタービンプラントの各種変形例について説明する。
【0122】
以上の各実施形態における切替機は、いずれも、三方弁であるが、これを二つの弁で構成してもよい。具体的に、一つのラインが二つのラインに分岐している場合、分岐先の二つのラインのそれぞれに弁を設けて、これらの弁で切替機を構成してもよい。
【0123】
第二〜第五実施形態では、三種類の媒体相互間で熱交換させるために、一つの熱交換器に、各媒体がそれぞれ流れる流路を形成している。つまり、一つの熱交換器に三つの流路を形成している。しかしながら、三種類の媒体相互間で熱交換させる場合、二つの熱交換器を用い、各熱交換器で二種類の媒体相互間で熱交換させるようにしてもよい。例えば、第二実施形態における第一熱交換器62a(
図4参照)を、圧縮空気CAと燃料Fとを熱交換させて、圧縮空気CAを冷却する一方で燃料Fを加熱する熱交換器と、圧縮空気CAと中間媒体IMとを熱交換させて、圧縮空気CAを冷却する一方で中間媒体IMを加熱する熱交換器とで構成してもよい。
【0124】
第四実施形態は、第二実施形態の変形例であるが、第一実施形態、第三実施形態、第五実施形態においても、第四実施形態と同様、複数のガスタービン10に対して一つの有機ランキンサイクル50を設けてもよい。
【0125】
以上の各実施形態では、ガスタービン10におけるタービン21の動翼24を高温部とし、これを冷却する。しかしながら、ガスタービン10中で燃焼ガスに接する高温部であれば、如何なる部分でもよい。例えば、ガスタービン10におけるタービン21のロータ軸部23(
図2参照)を高温部とし、これを冷却してもよい。また、
図10に示すように、ガスタービン10におけるタービン21の静翼28を高温部とし、ここに冷却空気ライン42を接続して、これを冷却してもよい。また、
図11に示すように、ガスタービン10の燃焼器12を構成する部材の一部を高温部として、これを冷却してもよい。燃焼器12は、燃料Fが燃焼する燃焼筒又は尾筒13と、この燃焼筒又は尾筒13中に燃料F及び圧縮空気CAを噴射する噴射装置15と、を有する。そこで、燃焼筒又は尾筒13を高温部とし、ここに冷却空気流路14を形成して、この冷却空気流路14に冷却された圧縮空気CAを導き、燃焼筒又は尾筒13を冷却してもよい。