(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、プラスチックや木材、紙、金属、ゴム、繊維、皮革などを破砕処理する手段として破砕機が用いられている。また、この種の破砕機Aには、例えば
図8に示すように、軸線O1、O2周り(図中のT1方向、T2方向)に回転する回転軸1、2と、回転軸1、2を中心孔3aに挿入して回転軸1、2に嵌着され、回転軸1、2とともに軸線O1、O2周りに回転して破砕対象物を破砕する複数の回転刃3と、回転軸1、2の軸線O1、O2方向に隣り合う回転刃3の間に介設され、隣り合う回転刃3の間隔を規定する複数のスペーサ4とを備えて構成したものがある。
【0003】
また、例えば一般廃棄物や産業廃棄物などの破砕に用いられる破砕機には、2軸式破砕機(多軸式破砕機)Aが多用されている。すなわち、回転軸1、2と複数の回転刃3と複数のスペーサ4からなる複数の破砕機構を備え、これら破砕機構の互いの回転軸1、2の軸線O1、O2を並行にし、且つ互いの回転刃3の一部が軸線O1、O2方向に重なるように回転刃3を千鳥状に配置して構成した破砕機Aが用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
また、2軸式破砕機Aは、一般に、隣り合う一方の回転軸2(1)に装着された回転刃3と他方の回転軸1(2)に装着された従来のスペーサ4の横方向の隙間Hの大きさを破砕対象物及び破砕処理物のサイズに応じて設定し、設計製作されている。
【0005】
なお、回転刃の交換作業等を容易に行えるようにスペーサの一部を着脱可能に分割形成してなる破砕機も提案、実用化されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の2軸式破砕機においては、回転刃とスペーサの間の隙間が一定であると、破砕処理されたサイズが限られるだけでなく、破砕対象物が隙間にかみ込んで破砕負荷が大きくなり、回転軸を回転させる電動機などの駆動装置に過大な負荷がかかって回転軸の逆転動作頻度が高くなる。そして、このように大きな破砕負荷が生じた状態で破砕対象物を処理すると、処理時間が増加し、時間当たりの処理量が減少するなどの不都合が生じる。
【0008】
一方、この不都合を解消するために回転刃とスペーサの間の隙間を調整することが必要になるが、上記従来の2軸式破砕機においては、隙間を調整する際に破砕機の本体を解体して回転軸からスペーサや回転刃を取り外し、スペーサ全体の交換や回転刃の刃径の変更が必要になる。すなわち、回転軸及び本体分解の必要があり、また多数のスペーサや回転刃を取り外す必要があり、交換作業に多大な労力と時間、費用が発生し、機器整備期間の操業停止を余儀なくされる。
【0009】
また、隙間の大きさを変更するために予め仕様(サイズ)が異なる各種スペーサ、回転刃を準備しておく必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の回転刃用スペーサは、
軸線回りに回転する回転軸に取り付けられた複数の回転刃の間に設けられる環状の回転刃用のスペーサであって、前記回転軸に嵌め込まれる環状の基部と、前記基部の外周に取り付けられて環状に配設され、且つ径方向外側にそれぞれ着脱可能に配設される複数の分割片からなる外周部とを備え
、前記基部の外周及び該基部の外周に当接する分割片の内周面に、周方向を向き互いに面接触して係合する係合面が形成され、前記係合面は、前記軸線方向である前記分割片の厚さ方向の中央に向かうに従い漸次周方向に突出又は凹むテーパー状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の回転刃用スペーサにおいては、中心から前記外周部の外周縁までの径方向の距離が周方向に変化して形成されていてもよい。
【0012】
また、本発明の回転刃用スペーサにおいては、前記分割片を前記基部の外周に固定するための固定部を備え、前記固定部が径方向外側からアクセスして前記分割片を前記基部に固定するように構成されていることが望ましい。
【0013】
さらに、本発明の回転刃用スペーサにおいては、前記分割片を前記基部から離脱するための離脱部を備え、前記離脱部が径方向外側からアクセスして前記分割片を前記基部から離脱するように構成されていることがより望ましい。
【0014】
本発明の破砕機は、所定の間隔をあけ、互いの軸線を平行にして並設される複数の回転軸と、各回転軸に互いの軸線を同軸上に配した状態で固着される複数の回転刃と、各回転軸に固着して軸線方向に隣り合う前記回転刃の間に配設されるスペーサとを備えてなる破砕機において、上記のいずれかの回転刃用のスペーサを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の回転刃用のスペーサ及び破砕機においては、回転刃用のスペーサが回転軸に嵌着される基部と、この基部の外周に取り付けられる複数の分割片からなる外周部とを備え、各分割片が基部から着脱可能(分割可能)とされているため、この分割片を交換することにより、スペーサの大きさ(回転軸の軸線中心の径方向の寸法)を容易に調整することができる。
【0016】
これにより、この回転刃用のスペーサを2軸式破砕機(多軸式破砕機)に適用すれば、分割片を大きさの異なる他の分割片に交換するだけで、隣り合う一方の回転軸に取り付けた回転刃と他方の回転軸に取り付けたスペーサとの横方向の隙間の大きさを容易に大小調整することが可能になる。
【0017】
すなわち、従来のように破砕機の本体を解体して回転軸からスペーサ全体や回転刃を取り外すことなく回転刃とスペーサの間の隙間を調整することができ、この隙間の調整を著しく効率的に行うことが可能になる。
【0018】
そして、このように容易に回転刃とスペーサの間の隙間を調整できることで、破砕処理物の大きさ、材質に応じ柔軟に設定することが可能になり、また、破砕対象物が隙間にかみ込んで破砕負荷(電動機などの駆動装置の負荷)が大きくなって処理時間が増加し、時間当たりの処理量が減少するなどの従来の不都合を解消することができ、破砕処理を好適に行うことが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1から
図3を参照し、本発明の第1実施形態に係る回転刃用のスペーサ及び破砕機について説明する。
【0021】
はじめに、本実施形態の破砕機Bは、例えば一般廃棄物や産業廃棄物などの大型の破砕対象物の破砕に用いられる2軸式破砕機(多軸式破砕機)であり、
図1及び
図2に示すように、回転軸1、2と複数の回転刃3と複数のスペーサ10からなる複数の破砕機構を備えて構成されている。また、破砕機構の互いの回転軸1、2の軸線O1、O2を並行にし、且つ互いの回転刃3の一部が軸線O1、O2方向に重なるように回転刃3を千鳥状に配し、各破砕機構の回転軸1、2とともに回転刃3を軸線O1、O2周りに回転させることによって廃棄物などをせん断破砕できるように構成されている。
【0022】
本実施形態において、回転軸1、2は、
図3(及び
図2)に示すように、断面多角形状(六角形状、四角形状など)に形成され、電動機などの駆動装置5によって軸線O1、O2周り(T1方向、T2方向)に回転する。
【0023】
また、回転刃3は、回転軸1、2を多角形状の中心孔3aに挿通して嵌着され、回転軸1、2に互いの軸線を同軸上に配した状態で固着される刃受台6と、軸線O1、O2中心の径方向外側に切刃部7aを配して刃受台6の外周に着脱可能に取り付けられ、軸線O1、O2中心の周方向に隙間なく複数並設される破砕刃7とを備えて構成されている。
【0024】
一方、本実施形態の回転刃用のスペーサ10は、回転軸1、2に取り付けて軸線O1、O2方向に隣り合う回転刃3の間に設けられ、回転刃3の間隔を規定するものであり、回転軸1、2に嵌め込まれる環状の基部11と、基部11の外周に周方向に並べて取り付けられて環状に配設され、且つ回転軸1、2の軸線O1、O2中心の径方向外側にそれぞれ着脱可能(分割可能)に配設される複数の分割片12からなる外周部13とを備えて構成されている。
【0025】
基部11は、多角形状の中心孔10aに挿通して嵌着され、回転軸1、2に互いの軸線を同軸上に配した状態で固着される。外周部13は、各分割片12が同形同大の円弧板状に形成され、本実施形態では円形状の外周面、内周面(基部11の外周面に当接する分割片12の略円弧状の当接部12a)を備えて形成されている。
【0026】
また、本実施形態のスペーサ10においては、分割片12を基部11の外周に固定するための固定部15を備え、この固定部15が径方向外側からアクセスして分割片12を基部11に固定するように構成されている。
【0027】
具体的に、本実施形態の固定部15は、まず、基部11の外周面から径方向に凹設されたボルト挿通孔15aと、分割片12の外周面から内面に貫通形成されたボルト挿通孔15bと、基部11と分割片12のボルト挿通孔15a、15bに挿通して螺着することにより、基部11の外周縁の所定位置に分割片12を着脱可能に固定する固定ボルト15cを備えて構成されている。
【0028】
また、本実施形態のスペーサ10においては、他の固定部16として、基部11の外周縁及び分割片12の当接部12aの所定位置にそれぞれ凹設された例えば円形孔のピン孔16a、16bと、ピン孔16a、16bと略同径の円柱状のピン16cとを備えている。
【0029】
そして、基部11及び分割片12と個別に形成されたピン16cの一端部側を分割片12のピン孔16bに嵌合させ、分割片12とともにピン16cの他端部側を基部11のピン孔16aに嵌合させ、基部11に分割片12が取り付けられる。
【0030】
また、ピン16cを基部11のピン孔16aに嵌合させ、分割片12の当接部12aが基部11の外周縁に密着するとともに、隣り合う分割片12の周方向を向く端面同士が面接触して係合する。
【0031】
このようにピン16cを設けることにより、基部11に対して分割片12が位置決めされ、且つ分割片12の周方向の移動が規制される。また、ピン孔16a、16bにピン16cが嵌合することにより、基部11に対して分割片12の軸線O1、O2方向(厚さ方向)の移動が規制される。よって、ピン孔16a、16bにピン16cを嵌合させるだけで、分割片12を位置決めしながら基部11の所定位置に配置して取り付けることができる。また、固定ボルト15cで容易に固着することができる。
【0032】
さらに、本実施形態のスペーサ10においては、分割片12を基部11から離脱するための離脱部18を備え、この離脱部18が径方向外側からアクセスして分割片12を基部11から離脱するように構成されている。
【0033】
具体的に、本実施形態の離脱部18は、分割片12の外周面から内面に向けて凹設された差し込み孔18aを備え、固定部15による固定状態を解除し、差し込み孔18aに引抜き棒を嵌め込んで径方向に引っ張ることで容易に分割片12を基部11から離脱させることができる。
【0034】
なお、離脱部18は、上記の差し込み孔18aを、分割片12を貫通するように形成した上、差し込み孔18aに雌ネジの螺刻を施し、ボルトなどの雄ネジの螺刻を施した引抜き棒を螺合させて分割片12をネジの送りによって浮き上がらせるように構成してもよい。このように構成することで、分割片12が外れにくい場合にも容易に対応することができる。また、固定部15のボルト挿通孔15b(15a)を差し込み孔18aとして兼用し離脱部18を構成するようにしてもよい。
【0035】
そして、上記のように構成した本実施形態の回転刃用のスペーサ10及びこれを備えた破砕機Bにおいては、
図1から
図3に示すように、例えば隣り合う一方の回転軸1を低速で一方向(T1方向)に、他方の回転軸2を高速で他方向(T2方向)に回転させ、これら回転軸1、2の直上に開口する破砕対象物投入口19から破砕対象物を投入すると、一方の回転軸1に嵌着された回転刃3と他方の回転軸2に嵌着された回転刃3によって破砕対象物が破砕される。
【0036】
また、一方の回転軸1に嵌着されたスペーサ10と他方の回転軸2に嵌着された回転刃3の間の隙間H、及びに他方の回転軸2に嵌着されたスペーサ10と一方の回転軸1に嵌着された回転刃3の間の隙間Hにそれぞれ破砕対象物が入り込むとともに、回転刃3によってこの破砕対象物が隙間Hの大きさに応じたサイズで破砕され、破砕処理物として下方に落下する。
【0037】
一方、本実施形態の回転刃用のスペーサ10及び破砕機Bにおいては、回転刃用のスペーサ10が回転軸1、2に嵌着される基部11と、この基部11の外周に取り付けられる複数の分割片12からなる外周部13とを備え、スペーサ10の外周を形成する各分割片12が基部11から着脱可能(分割可能)とされている。このため、分割片12を大きさが異なる他の分割片12に交換することにより、スペーサ10の大きさ(回転軸1、2の軸線O1、O2中心の径方向の最大寸法)を容易に調整することができる。
【0038】
これにより、分割片12を大きさの異なる分割片12に交換するだけで、隣り合う回転軸1、2にそれぞれ取り付けた回転刃3とスペーサ10の横方向の隙間Hの大きさを容易に大小調整することが可能になる。
【0039】
すなわち、従来のように破砕機Aの本体を解体して回転軸1、2からスペーサや回転刃3を取り外すことなく回転刃3とスペーサ10の間の隙間Hを調整することができ、この隙間Hの調整を著しく効率的に行うことが可能になる。
【0040】
そして、このように容易に回転刃3とスペーサ10の間の隙間Hを調整できることで、破砕処理物のサイズを柔軟に設定することができ、また、破砕対象物が隙間Hにかみ込んで破砕負荷(電動機などの駆動装置5の負荷)が大きくなって処理時間が増加し、時間当たりの処理量が減少するなどの従来の不都合を解消することができ、好適に破砕処理作業を行うことが可能になる。
【0041】
また、本実施形態の回転刃用のスペーサ10及び破砕機Bにおいては、分割片12を基部11の外周に固定するための固定部15を備え、固定ボルト15cを径方向外側からボルト挿通孔15a、15bに挿通、螺合(アクセス)して分割片12を基部11に固定するように構成されている。このため、固定ボルト15cを操作するだけで容易に且つ個別に分割片12を所定の位置に精度よく設置でき、且つ基部11から分離して取り外すことができる。
【0042】
さらに、分割片12を基部11から離脱するための離脱部18を備え、この離脱部18が基部11に形成した差し込み孔18aを備えて構成されている。このため、引抜き棒を径方向外側から差し込み孔18aに差し込んで(アクセスして)径方向外側に引っ張ることで、分割片12を基部11から容易に離脱することができる。
【0043】
また、本実施形態の回転刃用のスペーサ10及び破砕機Bにおいては、基部11の外周及び(又は)分割片12の当接部12aのピン孔16a、16bにピン16cを嵌合させながら分割片12を基部11に取り付けることで位置決めを行うことができる。これにより、基部11に分割片12を取り付ける際に、分割片12の周方向、軸線O1、O2方向、高さ方向(前後、左右、高さ)の位置決めを容易に且つ精度よく行うことができ、芯出し作業を不要にすることが可能になる。
【0044】
また、このように容易に且つ高精度で分割片12の取付けを行えるとともに、ピン16cによって分割片12が基部11に接続されるため、ピン16c、ピン孔16a、16bにより、大きな面積で破砕時に作用する破砕スラスト力を受けることができる。これにより、スペーサを分割構造としても分割片12を安定した状態で保持することができ、製品品質を大幅に向上させることが可能になる。
【0045】
さらに、ピン孔16a、16bにピン16cを嵌合させるだけで、分割片12と基部11の合わせ部(当接部12a、外周)の位置合わせが容易にでき、取付精度がよく、取付の位置合わせに時間を要しない。
【0046】
さらに、ピン孔16a、16bやピン16cを単独で形成することができ、基部11及び分割片12やピン16cをそれぞれ別に形成、製造することができる。
【0047】
以上、本発明に係る回転刃用のスペーサ及びこれを備えた破砕機の第1実施形態について説明したが、本発明は上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0048】
例えば、本実施形態では、基部11の外周が円形状で形成されているものとしたが、
図4に示すように基部11の外周を多角形状で形成し、分割片12の内面を平面状に形成してもよい。
【0049】
また、
図4、
図5(a)に示すように、基部11の外周及び基部11の外周に当接する分割片12の当接部12aに、軸線O1、O2中心の周方向(略周方向を含む)を向き、互いに面接触して係合する係合面20a、21aを備えた段部20、21を形成してもよい。
【0050】
この場合には、基部11の外周及び分割片12の当接部12aの互いに面接触して係合する段部20、21を係合させるだけで各分割片12の周方向の位置決めを行うことができる。よって、この段部20、21を備えることで、基部11に分割片12を取り付ける際に分割片12の周方向、軸線方向、高さ方向(前後、左右、高さ)の位置決めを容易に且つ精度よく行うことができ、芯出し作業を不要にすることが可能になる。
【0051】
また、段部20、21(段部20、21の係合面20a、21a)によって、大きな面積で破砕時に作用する破砕スラスト力を受けることができる。これにより、スペーサを分割構造としても、分割片12を安定した状態で保持することができ、製品品質を大幅に向上させることが可能になる。
【0052】
さらに、
図4、
図5(b)に示すように、段部20、21の係合面20a、21aをそれぞれ、軸線O1、O2方向の厚さ方向中央に向かうに従い漸次周方向に突出あるいは凹むテーパー状に形成してもよい。この場合には、基部11の段部20に分割片12の段部21を係合させるとともに、互いのテーパー状の係合面20a、21aによって分割片12を所定の位置に誘導して位置決めすることができる。これにより、さらに容易に且つ高精度で分割片12を位置決めして基部11に取り付けることができる。
【0053】
本実施形態では、ピン孔16a、16bが円形孔で形成され、ピン16cが円柱状に形成されているものとしたが、ピン16c及びピン孔16a、16bは基部11に対して分割片12の少なくとも軸線O1、O2方向の移動を規制することが可能に形成されていればよい。例えば、ピン孔を溝等にしたり、ピンを板状に形成してもよい。
【0054】
また、本実施形態では、ピン16cが基部11や分割片12と個別に形成されているものとしたが、予めピン16cを基部11又は分割片12に一体に設けて、基部11又は分割片12を形成してもよい。この場合においても、本実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0055】
さらに、ピン16cを嵌合させた状態でピン16cとピン孔16a、16bの周方向の間に隙間が形成されるように、基部11と分割片12に形成される少なくとも一方のピン孔16a(16b)を長孔状に形成してもよい。
【0056】
この場合には、例えば、分割片12のピン孔16bにピン16cの一端部側を嵌合し、分割片12とともにピン16cの他端部側を基部11の長孔状のピン孔16aに他端部側を嵌合させ、分割片12の当接部12aを基部11の外周縁に密着させる。これにより、ピン孔16a、16bにピン16cが嵌合することにより、分割片12を位置決めしながら基部11の所定位置に配置して取り付けることができる。
【0057】
また、本実施形態では、スペーサ10に離脱部18を備えるものとしたが、例えばマグネットを用いて分割片12を着脱するなどしてもよい。
【0058】
また、回転軸1、2、ひいては回転刃3やスペーサ10の中心孔3a、10aを断面多角形状でなく断面略円形状に形成するとともに、基部11の内周面に形成した凹部に係合する突部(キー)を備えて形成してもよい。
【0059】
次に、
図1、
図2、
図6を参照し、本発明の第2実施形態に係る回転刃用のスペーサ及び破砕機について説明する。ここで、本実施形態は、第1実施形態に対して回転刃用のスペーサの分割片の構成が異なるものであり、他の構成は第1実施形態と同様の構成を採用することも可能である。このため、本実施形態では、第1実施形態と同様の構成について同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0060】
まず、本実施形態の破砕機Cは、第1実施形態と同様、2軸式破砕機であり、
図1及び
図2に示すように、回転軸1、2と複数の回転刃3と複数のスペーサ25からなる複数の破砕機構を備え、破砕機構の互いの回転軸1、2の軸線O1、O2を並行にし、且つ互いの回転刃3の一部が軸線O1、O2方向に重なるように回転刃3を千鳥状に配して構成さえている。
【0061】
一方、本実施形態の回転刃用のスペーサ25は、
図6に示すように、中心(O1、O2)から外周部13の外周縁までの径方向の距離が周方向に変化して形成されている。
【0062】
具体的に、本実施形態では、外周部13を形成する複数の分割片26が同形同大で形成されるとともに、この分割片26の外周縁がスペーサ25の中心軸を中心とした同心円の曲率よりも小さな曲率の円弧状に形成されている。これにより、複数の分割片26を基部11の外周に環状に並べて形成した外周部13は、その中心から外周部13の外周縁までの径方向の距離が周方向に変化して形成されている。
【0063】
このため、上記構成からなる本実施形態の回転刃用のスペーサ25及びこれを備えた破砕機Cにおいては、隣り合う一方の回転軸1を一方向(T1方向)に、他方の回転軸2を他方向(T2方向)に回転させると、回転刃3の切刃部7aとスペーサ25の外周との間の隙間Hの大きさが外周部13の外周縁までの径方向の距離の変化に応じて変わる。
【0064】
これにより、回転刃3の切刃部7aとスペーサ25の外周との間の隙間Hが最も小さいときのサイズに応じた大きさで破砕処理物を生成することができる。また、回転刃3の切刃部7aとスペーサ25の外周との間の隙間Hが最も小さいときにこの隙間Hに入り込んだ破砕対象物に回転刃3の切刃部7aが食い込んで破砕対象物が破砕されるが、両回転軸1、2が回転しているため、回転刃3の切刃部7aとスペーサ25の外周との間の隙間Hが最小の状態からすぐに大きくなる。このため、電動機などの駆動装置5の負荷を軽減することができ、逆転動作などを発生しにくくすることができる。
【0065】
よって、本実施形態の回転刃用のスペーサ25及びこれを備えた破砕機Cにおいては、第1実施形態の作用効果が奏功されるとともに、駆動装置5の負荷を軽減して好適に破砕対象物を破砕処理することが可能になる。
【0066】
以上、本発明に係る回転刃用のスペーサ及びこれ備えた破砕機の第2実施形態について説明したが、本発明は上記の第2実施形態に限定されるものではなく、第1実施形態の変更例を含め、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0067】
例えば、本実施形態では、各分割片26の外周縁がスペーサ25の中心軸を中心とした同心円の曲率よりも小さな曲率の円弧状に形成されていることにより、複数の分割片26を基部11の外周に環状に並べて形成した外周部13の中心から外周縁までの径方向の距離が周方向に変化して形成されているものとした。
【0068】
これに対し、本実施形態に係る回転刃用のスペーサ25は、中心から外周部13の外周縁までの径方向の距離が周方向に変化して形成されていればよいのであり、例えば外周部13の外周縁が楕円形状で形成されていてもよい。
【0069】
また、凸部26aを設け、例えば
図7に示すように回転刃3の切刃部7aのように分割片26を形成したり、外周部13の外周に規則的に並ぶ凸部を設けてスペーサ25を歯車のように形成してもよい。そして、このように凸部26aを設けた場合には、この凸部26aが切刃部7aのように作用し、凸部26aと回転刃3の切刃部7aの間で破砕対象物を破砕する際に、凸部26aによって大きなせん断力を破砕対象物に作用させることが可能になる。これにより、破砕対象物をより効率的に破砕することが可能になる。
【0070】
また、このように凸部26aを設けた場合には、凸部26aの形状に応じ、破砕時に各分割片26に回転方向T1(T2)にも力がかかる。このため、基部11の外周に回転方向後方側を向く係合面20a、分割片26に回転方向前方側を向く係合面21aを備えた段部20、21を形成しておくことが望ましい。
【0071】
さらに、一方の回転軸1を低速、他方の回転軸2を高速で回転させ、両回転軸1、2に回転差をつける場合には、低速側の回転軸1のスペーサ25に凸部26aが設けられていれば、回転時に一つの凸部26aに対して確実に高速側の回転軸2の回転刃3の切刃部7aを対向させるようにできる(一つの凸部26aが回転刃3の切刃部7aを迎え入れるように凸部26aと切刃部7aを相対回転移動させることができる)。これにより、確実に破砕対象物を効率的に破砕することができる。