(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221188
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】太陽光発電評点化システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20120101AFI20171023BHJP
G06Q 50/26 20120101ALI20171023BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q50/26
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-551271(P2015-551271)
(86)(22)【出願日】2013年12月6日
(86)【国際出願番号】JP2013007212
(87)【国際公開番号】WO2015083207
(87)【国際公開日】20150611
【審査請求日】2016年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】516165985
【氏名又は名称】星加 直孝
(74)【代理人】
【識別番号】100074169
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】立花 守満
(72)【発明者】
【氏名】星加 直孝
【審査官】
宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−077281(JP,A)
【文献】
特開2011−145903(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/155698(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0084919(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電評点化システムが、太陽光発電を行う携帯可能な小型のソーラーパネルと、該ソーラーパネルによって発電された電気を蓄積する蓄電器と、該蓄電器に蓄積された発電による電力量および利用された電力量である利用状況を検知する消費電力検知記憶装置と、該消費電力検知記憶装置の測定値と利用された電力量を外部に送信する送受信機能を備えた通信装置とから構成される携帯型端末と、該携帯型端末からのデータを受信し、評点処理を行う評点化サーバと、からなり、
前記消費電力検知記憶装置は、前記蓄電器に充電された電気の利用状況および利用電力を検出する検知手段と、前記ソーラーパネルの発電量と前記検知手段によって検知された電気の利用状況および利用電力を逐次記憶する記憶手段からなるとともに、前記通信装置は、前記検知手段による検知後に前記評点化サーバと無線および/または有線による通信を確立して自動的に前記記憶手段に記録された発電量データと電気の利用状況データと利用電力データを送信する通信手段からなり、
前記評点化サーバは、前記通信手段より送信された発電量データと利用状況データと利用電力データを自動的に受信する受信手段と、発電量と利用状況と利用電力とを対比し、結果に応じた評点処理を行い、相応する点数を付与する点数付与手段と、からなることを特徴とする太陽光発電評点化システム。
【請求項2】
前記点数付与手段は、前記利用電力データから得られる前記携帯型端末による電力の消費量から、前記発電量データから得られる前記蓄電器に充電された電力を引算するとともに、該引算結果の数値が低いほど高い点数を付与するように、該数値の低さに応じた重み付けを行い、該重み付けした値に前記電力の消費量を加算または乗じた数値を点数とする評点処理を行い、該点数を付与することを特徴とする請求項1記載の太陽光発電評点化システム。
【請求項3】
携帯型端末に付属する太陽光発電を行う携帯可能な小型のソーラーパネルと、該ソーラーパネルによって発電された電気を蓄積する蓄電器と、該蓄電器に蓄積された発電による電力量および携帯型端末により利用された電力量を検知する消費電力検知記憶装置と、該消費電力検知記憶装置の測定値と利用された電力量を外部に送信する送受信機能を備えた通信装置と、からなり、
携帯型端末のコンピュータが、発電された発電量と消費された電力量とを自動的に算出処理し、対比処理したうえで、発電量が消費電力量を充足したか否かを自動判定し、発電量が消費電力量より多かった場合は、自動算出処理した残存の電力量を、送受信機能を備えた通信装置により、消費電力検知記憶装置と通信を行う評点化サーバに送信することを特徴とする太陽光発電評点化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置を用いた発電について、一定の基準で評価し、評点を付与する太陽光発電評点化システムに関し、特に、太陽光発電装置による発電量と電気の使用量から、環境に優しい電気の使用を行っているか否かについて評点化を行い、ユーザにポイントを付与するための太陽光発電評点化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電に関する技術およびこれを用いた総合的なシステムは、従来から様々なものが提案されており、積極的な開発が推進され、有効に活用されている。特に、太陽光発電により得られる電力の積極的活用を促すとともに、クリーンエネルギの積極的利用に対して社会的に評価を与え、これを数値化して、ポイント(点数)の付与と関連付け、評価結果のポイントを貯めることによる特典の供与と付与と、積極的クリーエネルギの活用による化石エネルギ消費の抑制による省エネルギーの促進を連結したシステムが開発されている。
【0003】
例えば、特開2012−14503号公報では、創エネルギとして発電する太陽光発電装置を複数の入居者が居住する集合住宅に設け、太陽光発電装置によって発電された電力の対価に対応する予め定めたポイントを算出して、入居者等が所有する蓄電量ポイントカードに記録する技術が開示されており、集合住宅で持続的に創出される創エネルギに対してポイント還元することができる旨が示唆されている。
【0004】
また、特開2010−28879号公報では、電力の需要家がCO
2排出量の少ない時間帯を自ら選びCO
2排出量の少ない電力発電設備を有効活用する技術として、月平均のベース電力使用量を予め算出し、電力供給事業者側に設置される電力の需要誘導システムが電力の需要誘導をするのにふさわしい時間帯を算出した上で、該情報を需要家に事前連絡をすることにより、需要家自身が意識的に環境負荷の少ない発電設備を積極的に使用することを促し、この報酬としてエコポイントを発行する技術が開示されている。
【0005】
また、特開2012−73867号公報では、ポイント管理サーバ装置が、無線通信ユニットを介して、買電電力量データと、太陽光発電システムによる発電電力量データと、太陽光発電システムにより発電され公共電力システムに逆潮流された売電電力量データを取得し、各種電力量データを用いて、電力自給率の大小に応じて多少するエコライフポイントの数量を算出し、会員のエコライフポイントの残高に付加する技術が開示されており、持続可能なエネルギーの代替利用と省エネルギーとの両方をバランスよく促進することが可能となる旨が示唆されている。
【0006】
ところが、上記各技術を用いた各システムは、何れも建物に設置する太陽光パネルを用いた太陽光発電によるものであり、新規に設置するには莫大なコストが掛かることが想定されるため、設備投資に係るコストに対して得られるポイントによる満足度を考えると、ユーザは必ずしもお得感を感じるということは出来ず、ユーザによる太陽光パネルの設置の促進やポイント獲得のモチベーションを高く維持する事に限界があった。
【0007】
また、上記各技術を用いたシステムは、電力の使用時間やコストを下げることに主眼が置かれていると考えられるが、ポイントを貯めることを目的として電気の使用を控えるケースが想定され、日々の生活に影響が生じる結果となるため、このような観点からもポイント獲得のモチベーションを高く保つ事に限界が生ずることが考えられた。
【0008】
更に、上記各技術を用いたシステムは、発電量が多い方が有利であると考えられ、大規模な太陽光発電システムを装備した建物等が有利になる。しかし、このようなシステムでは、個人のユーザの利用が期待できず、専ら大口ユーザのためのポイント付与制度となり兼ねないという問題があった。
【0009】
環境への負荷の軽減の問題は、企業だけでなく、個人も老若男女問わず意識する必要がある。エネルギー枯渇という問題の観点からも、各人が電力をいかに有効に利用するかが大きな問題となっている。上記各技術は、必ずしもこのような観点からエネルギー問題を考えたものであるとは言うことは出来ず、個人レベルで環境問題への取り組みに参加を可能にするものとは言えなかった。
【0010】
そこで、個人でも気軽にかつ大きな経済的負担を負わずに参加可能で、無理なく電力の節減を行うことが出来、更にポイント付与によりモチベーションを維持できる太陽光発電評点化システムの開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2012−14503号公報
【特許文献2】特開2010−28879号公報
【特許文献3】特開2012−73867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記問題を解決するために、携帯可能な小型のソーラーパネル型の太陽光発電装置を用いた発電について評点を行う太陽光発電評点化システムであって、特に、太陽光発電装置による発電量と電気の使用量を対比し、環境に優しい自家発電の電気の使用を行っているか否かについて評点化を行い、ユーザにポイントを付与する太陽光発電評点化システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために本発明に係る太陽光発電評点化システムは、太陽光発電評点化システムが、太陽光発電を行う携帯可能な小型のソーラーパネルと、該ソーラーパネルによって発電された電気を蓄積する蓄電器と、該蓄電器に蓄積された発電による電力量および利用された電力量である利用状況を検知する消費電力検知記憶装置と、該消費電力検知記憶装置の測定値と利用された電力量を外部に送信する送受信機能を備えた通信装置とから構成される携帯型端末と、該携帯型端末からのデータを受信し、評点処理を行う評点化サーバと、からなるものであって、前記消費電力検知記憶装置は、前記蓄電器に充電された電気の利用状況および利用電力を検出する検知手段と、前記ソーラーパネルの発電量と前記検知手段によって検知された電気の利用状況および利用電力を逐次記憶する記憶手段からなるとともに、前記通信装置は、前記検知手段による検知後に前記評点化サーバと無線および/または有線による通信を確立して自動的に前記記憶手段に記録された発電量データと電気の利用状況データと利用電力データを送信する通信手段とからなり、前記評点化サーバは、前記通信手段より送信された発電量データと利用状況データと利用電力データを自動的に受信する受信手段と、発電量と利用状況と利用電力とを対比し、結果に応じた評点処理を行い、相応する点数を付与する点数付与手段と、からなる構成である。
【0014】
また、前記点数付与手段は、前記利用電力データから得られる前記携帯型端末による電力の消費量から、前記発電量データから得られる前記蓄電器に充電された電力を引算するとともに、該引算結果の数値が低いほど高い点数を付与するように、該数値の低さに応じた重み付けを行い、該重み付けした値に前記電力の消費量を加算または乗じた数値を点数とする評点処理を行い、該点数を付与する構成である。
【0015】
また、本発明に係る太陽光発電評点化システムは、携帯型端末に付属する太陽光発電を行う携帯可能な小型のソーラーパネルと、該ソーラーパネルによって発電された電気を蓄積する蓄電器と、該蓄電器に蓄積された発電による電力量および携帯型端末により利用された電力量を検知する消費電力検知記憶装置と、該消費電力検知記憶装置の測定値と利用された電力量を外部に送信する送受信機能を備えた通信装置と、からなるものであって、携帯型端末のコンピュータが、発電された発電量と消費された電力量とを自動的に算出処理し、対比処理したうえで、発電量が消費電力量を充足したか否かを自動判定し、発電量が消費電力量より多かった場合は、自動算出処理した残存の電力量を、送受信機能を備えた通信装置により、消費電力検知記憶装置と通信を行う評点化サーバに送信することからなる構成でもある。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記詳述した通りの構成であるので、以下のような効果がある。
1.ソーラーパネルを携帯可能な小型のものとしたため、比較的安価に入手可能になるとともに、タブレットPCや携帯電話、スマートフォンなどの携帯端末に装着しいつでもどこでも発電が可能となる。すなわち、大規模の太陽光発電基地に替えて極く小規模の無数の発電基地を派生する結果となる。また、携帯型端末に消費電力検知記憶装置と通信装置を備えたため、容易に移動可能となり常に消費電力検知を行うことが可能となる。また、通信装置を介して発電量データと電気の利用状況データと利用電力データを評点化サーバに送信するため、評点化サーバがリアルタイムにこれらのデータを受信しデータ解析を行う事ができる。更に、評点化サーバに点数付与手段を装備しているため、サーバが自動的に発電量と利用状況と利用電力に応じた評点処理を行って点数を付与することとなり、ユーザは面倒な操作を要することなく容易に環境問題への取り組みに自動的に参加することが可能となる。
【0017】
2.点数付与手段が、携帯型端末による電力の消費量から、蓄電器に充電された電力を引算し、この数値の低さに応じた重み付けを行い、重み付けした値に電力の消費量を加算または乗じた数値を点数と認定した上でユーザに点数を付与する構成としたため、売電の有無とは無関係となり、小規模かつ圧倒的多数である端末をターゲットとした、個人レベルでの節電を重視したシステムを構成することが可能となる。
3.携帯型端末のコンピュータが、発電された発電量と消費された電力量とを自動的に算出して対比処理を行い、発電量が消費電力量を充足したか否かを自動的に判定するため、処理のリアルタイム性を高く保つことが可能となる。また、発電量が消費電力量より多かった場合にコンピュータ処理により自動的に余剰電力を評価し、評点化サーバに送信するため、ネットワークトラフィックを軽減するとともに、ユーザは自己の消費した電力が自前の電力の消費であって、公共電力以外の電力の消費であることを自覚したうえで、特別の操作なしに容易に環境問題への取り組みに、機器を使用しているだけで、無意識の内に参加することが可能となる。更に、携帯型端末は可搬性が高く、所有率が高いため、ユーザは環境問題への取り組みに参加しやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る太陽光発電評点化システムを、図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る太陽光発電評点化システムの概略図であり、
図2は、太陽光発電評点化システムの構成図である。
本発明に係る太陽光発電評点化システム1は、
図1に示すように、小型のソーラーパネル110等を装備した携帯型端末100と評点化サーバ200がネットワーク網を介して相互に通信可能となるように接続された構成からなる。
【0019】
携帯型端末100は、タブレットPCや携帯電話、スマートフォンからなる携帯可能な小型の通信機能を装備したコンピュータ端末であり、
図1および
図2に示すように、ソーラーパネル110と、蓄電器120と、消費電力検知記憶装置130と、通信装置140とで構成されている。ソーラーパネル110は、太陽光発電を行うための携帯可能な小型の形状からなるものであり、本実施例では携帯型端末に一体的に取り付けられているが、一体型ではなく別途USBポート等を介して携帯型端末に脱着自在に接続する形式としてもよい。また、出力される電力は、本実施例では0.3W乃至1W程度としているが、この範囲に限定されるものではなく、より高出力または低出力の発電装置を用いる事も可能である。
【0020】
蓄電器120は、蓄電機能を有する部材であり、主にソーラーパネル110によって発電された電気の蓄電に用いられる。蓄電器120は、本実施例のように携帯型端末100に予め搭載されたものを使用する事も可能であるが、携帯型端末100に予め搭載されたものとは別に、比較的大きな余剰電力の蓄電が可能な機器を携帯型端末100に脱着自在に接続して用いることも可能である。また、搭載するバッテリの容量としては、本実施例では1Ah乃至6Ah程度のものを用いる事としているが、この範囲に限定されるものではなく、より容量の大きいものを搭載する仕様も可能である。
【0021】
消費電力検知記憶装置130は、電気の発電量と該電力量の利用状況を検知するための装置であり、本実施例では、携帯型端末100に組み込まれている。ソーラーパネル110が発電し、蓄電器120に蓄電された電力量、および、蓄電器120からの電気の利用状況と利用電力量は、後述の評点化サーバ200による評点処理を行う上での重要なパラメータとなる。消費電力検知記憶装置130は、これらの情報をリアルタイムで検知する。
【0022】
消費電力検知記憶装置130は、詳しくは、
図2に示すように、検知手段132と、記憶手段134からなる。検知手段132は、蓄電器120からの電気の利用状況および利用電力量を検出するための手段である。これにより、発電量や電気の消費量を細かくリアルタイムに把握することが可能となる。
【0023】
また、記憶手段134は、ソーラーパネル110の発電量と、検知手段132によって検知された電気の利用状況および利用電力量を逐次記憶して保存するための手段である。ソーラーパネル110により発電された電力の量は、ソーラーパネル110から直接取得し、それ以外のデータは、検知手段132から取得し、記憶手段134に保存する。これらの情報は、検出後に逐次評点化サーバ200に送信することも可能であるが、データ送信を行うことにより多くの電力を消費することが考えられる。また、ネットワークトラフィックが多くなり、通信障害の原因となり得る。本実施例では、記憶手段134に上記各データを保存し、一定時間経過後に後述の通信装置140によって評点化サーバ200に送信することにより、無駄な電力消費やネットワークトラフィック過多を回避し、省電力かつ安定した運用が可能となる。
【0024】
通信装置140は、消費電力検知記憶装置130が検出したデータ(測定値)と、利用された電力量を外部に送信するための送受信機能を備えた装置であり、本実施例では、携帯型端末100に組み込まれている。通信装置140は、詳しくは、検知手段132による各種データ(測定値)の検知後に、評点化サーバ200と無線通信または有線通信、若しくはこれら両方を用いた通信を確立する。そして、自動的に記憶手段134に記録された発電量データと電気の利用状況データと利用電力データを評点化サーバ200に送信する。
【0025】
通信装置140による通信のタイミングは、本実施例では、前述の通り、検知手段132が各種データ(測定値)を検知してから一定時間経過後に自動的に送信するが、これに限定されることはなく、例えば、ユーザが任意のタイミングで自らの操作によって送信することも可能である。
【0026】
評点化サーバ200は、携帯型端末100と通信を行うサーバ機であり、携帯型端末100とはインターネットなどの広域通信網を利用して接続される。評点化サーバ200は、ユーザの発電および利用状況からユーザに対して評点を行うサーバ機である。
【0027】
評点化サーバ200は、
図2に示すように、受信手段210と、点数付与手段220とからなる。受信手段210は、通信手段142より送信され、インターネット上に伝送された発電量データと利用状況データと利用電力量データを自動的に受信する手段である。受信手段210は、受信方法として本実施例では有線通信によるデータ受信を行う事としているが、これに限定されず、無線によるデータ受信とすることも可能である。また、インターネットを介さず、携帯型端末100から直接データを受信する構成とすることも可能である。
受信した発電量データ、利用状況データ、利用電力量データは、サーバ内の記憶手段230に保存される。
【0028】
点数付与手段220は、受信した発電量データ、利用状況データ、利用電力量データを基に、発電量と利用状況と利用電力に応じた評点処理を行い、ユーザに点数(ポイント)を付与する手段である。
【0029】
点数付与手段220による評点は、各データを基に実施される計算処理で行われるが、大規模な装置を用いた発電だけではなく、個人による小規模発電も充分に考慮する必要がある。むしろ、本発明の、ユーザが容易に環境問題への取り組みに参加することを可能するという趣旨から、単に発電量が多い場合に多くのポイントを付与するのは、妥当ではない。また、発電を行っても使用しない場合には、全く別の手段を経由して売電を行うことも可能となるが、ここでは売電を考慮することなく、売電を一切考えない状態で、使用する電力が発電したクリーンエネルギーであることを最重要ポイントとしている。むしろ、電気を使用しないことを意識し過ぎる単なる省エネルギーは、環境問題への取り組みへのモチベーションの低下につながる虞があるとさえ考えられる。
【0030】
本発明では、例えば、発電量データを基本としつつ、利用状況や利用電力データを重視し、太陽光発電による電気を利用することにより、資源を利用した従来型の化石燃料による電気の使用のループから外れたという点に主眼を置いた評点が行われる。具体的には、発電量から利用電力を減算した結果がプラスである事を評点の対象とし、利用状況(利用時間など)を点数化した上で、利用状況に応じた評点を行う。また、例えば他のルートを経由して売電電力が存在する場合には、別に計算処理が行われ、プラスの評点が行われる構成とすることも可能ではある。
【0031】
点数付与手段は、本発明のコンセプトの1つである個人ユーザレベルの省電力活動を支援する目的から、点数付与の計算処理で使用するパラメータから未使用の電力量に係る数値を除外する構成としている。すなわち、携帯型端末による電力の消費量から、蓄電器に充電された電力を引算するとともに、該引算結果の数値が低いほど高い点数を付与するように、数値の低さに応じた重み付けを行い、該重み付けした値に電力の消費量を加算または乗じた数値を点数として付与する構成としている。具体的には、例えば重み付け表を作成し、上記引算結果が低ければ低いほど(マイナス値を含む)大きい重み付けを行い、当該重み付けの値に電力の消費量を加算または乗じた数値を点数として付与する。
【0032】
例えば、電力の消費量が発電量を上まった場合には、電力の消費量に何等加算または乗算がされることなくそのまま点数となる。一方、電力の消費量が発電量より低い場合には、電力の消費量に重み付けされた数値が加算または乗算されることとなり、仮に同じ電力の消費量であっても高い点数が付与されることとなる。また、重み付けの値が同じ場合には、より多く使用した方が高い点数を得られる事となる。電力の消費量が多くても、その分発電をしているようであれば、資源を無駄遣いしなかったとして高評価が得られる仕組みである。
【0033】
すなわち、発電量ではなく、発電した電力の使用量(消費量)を評価するシステムで、大量の消費が大量の太陽光発電による電力であることが高評価となる。なお、携帯型端末による電力の消費量は、端末から送信される利用電力データから算出され、蓄電器に充電された電力は、発電量データから得ることが可能となっている。
【0034】
この構成の基本思想としては、蓄電池に充電された電力を使用することが点数付与に繋がるということであり、売電可能かどうかと全く切り離されて計算評価されるので、売電できる程度に発電を行うような大規模なシステムは必要としない構成となっている。例えば、サーバが必要とする電力と、携帯電話やタブレット型コンピュータなどの携帯型端末が必要とする電力とを比較すると、サーバの方が大きいことは自明であるが、日本国内または全世界におけるそれぞれの総数を考えると、圧倒的に携帯型端末が必要とする電力の総量の方が大きいこととなる。また、太陽光発電とすることにより、例え携帯型端末に搭載する太陽光発電システムが小規模なものであったとしても、携帯型端末の総数から考えると、相当規模の電力を賄うことが可能となる。また、全世界レベルで考えると、太陽光は必ず何処かの地域で照射されているために世界のどこかで発電が行われているのであり、本発明に係る太陽光発電評点化システムは、365日24時間稼働を続けることとなる。つまり、広範囲、大規模、かつ恒常的に節電を行うことを実現可能となる。
【0035】
すなわち、各携帯型端末で使用する電力を太陽光による電力を利用して節約する事により、使用される総エネルギー量を減少させることが容易に実現可能となる。本発明は、この個人レベルでの節電に着目し、点数(ポイント)付与により各人の節電のモチベーションを維持して、環境問題への取り組みを活性化させることを可能としたものである。
【0036】
この構成とすることにより、売電を全く考慮する必要がなくなることとなり、大規模インフラを所有する大手企業も参加可能ではあるが、むしろ、小規模かつ圧倒的多数である端末をターゲットとした個人レベルでの節電を重視したシステムを構成することが可能となる。
【0037】
本発明に係る実施例として、評点処理を評点化サーバ200のみで行うのではなく、携帯型端末100に分散して評点処理を行う構成とすることが可能である。この構成とすることにより、評点化サーバ200の負荷を軽減できるほか、インターネット上を流れるデータ量を減らすことが可能となり、トラフィック過多の状況を回避する事ができる。
【0038】
具体的には、携帯型端末100のコンピュータ150が、ソーラーパネル110によって発電された発電量と、ユーザにより消費された電力量とを自動的に算出処理する。そして、コンピュータ150は、上記発電量と消費された電力量を対比処理したうえで、発電量が消費電力量を充足したか否かを自動判定する。該発電量が消費電力量より多かった場合は、自動算出処理した残存の電力量を送受信機能を備えた通信装置140によって、インターネット等の通信網を介して評点化サーバ200に送信する構成である。
また、同時に、消費電力の量も自動判定の要素として加えることが可能である。考え方としては、最大の発電量をすべて消費することが、公共の化石燃料による電気の消費の回避が最大となるので、発電量が多く同時に消費量も多いことは評点の対象となるという考え方を基礎に評点化することが望ましい。
【0039】
本発明に係る太陽光発電評点化システム1は、クラウドモデルを利用し、クラウドコンピューティング技術により実現する事が可能である。これにより、ユーザ側は処理内容を意識することなく各種データを送信する構成とすることで可用性が増すと同時に、携帯型端末100による処理装置や処理を行うためのプログラムの開発が容易となる。
【符号の説明】
【0041】
1 太陽光発電評点化システム
100 携帯型端末
110 ソーラーパネル
120 蓄電器
130 消費電力検知記憶装置
132 検知手段
134 記憶手段
140 通信装置
142 通信手段
150 コンピュータ
200 評点化サーバ
210 受信手段
220 点数付与手段
230 記憶手段