(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記保護筐体は、一端部及び他端部を有し、内部にケーブルが挿通される管本体及び当該管本体に外嵌された接続体を備え、隣り合わされた管本体のうちの一方の一端部と他方の他端部とが上記接続体を介して嵌合連結されることにより長尺のケーブルを囲繞可能であり、
上記管本体の他端部及び一端部にそれぞれ雌型受け口部及び当該雌型受け口部に対応して弾性的且つ液密的に嵌合可能に形成された雄型挿し口部が設けられており、
上記雌型受け口部の外周面に雄ネジが形成されると共に、上記接続体は上記雄ネジに対応した雌ネジを有しており、
上記雌型受け口部は、上記雄型挿し口部が上記隣り合う管本体の雌型受け口部に嵌合され且つ上記接続体が当該雌型受け口部に形成された雄ネジに螺合した状態で、当該接続体の締め込みを所定位置で規制するストッパを有し、
上記雄型挿し口部は、上記接続体が上記隣り合う管本体の雌型受け口部に設けられたストッパによって締め込みが規制された状態で、上記接続体の所定部と当接し且つ上記雄型挿し口部が上記隣り合う管本体の雌型受け口部に対してフレックスピボット変位を許容する変位案内部を有し、
上記接続体の所定部及び上記変位案内部に、互いに当接して上記フレックスピボット変位を案内する球面の一部からなる案内曲面が形成されており、
当該案内曲面の中心は、上記管本体の一端部側の軸線上に位置し且つ当該案内曲面の法線と上記中心とを結ぶ仮想線分の上記管本体の軸線方向への投影長さが、当該仮想線分の上記管本体の径方向への投影長さより大きくなるように配置されており、
弾性変形可能な第1のOリングが上記雄型挿し口部の外周面に装着されており、当該第1のOリングの外径は、上記隣り合う管本体の雌型受け口部の内径よりも大きく設定されており、
弾性変形可能な第2のOリングが上記雄型挿し口部の端面から突出するように配置されている、請求項1から9のいずれかに記載のケーブル保護体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、高齢者や目などが不自由な歩行者を安全に誘導する設備を歩道などに設けることが望まれている。一方、ケーブル(ケーブル保護体)は、歩道に沿って設置されるものがある。そこで、本願発明者は、歩道に沿って設置されるケーブル保護体を用いて歩行者の安全な誘導を行うことを考えた。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、歩行者を安全に誘導する設備を容易に構築できるケーブル保護体、及び歩行者誘導システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係るケーブル保護体は、ケーブルが挿通される挿通孔を有する筒状の保護筐体と、上記保護筐体に設けられており、近接無線通信を行うICチップとを備える。
上記ケーブルを露出させるメンテナンス窓と、上記メンテナンス窓を閉塞する樹脂製の蓋とを備える。上記ICチップは、上記蓋の内側に配置されている。
【0007】
ケーブル保護体は、ケーブルとともに歩道などに沿って地中に埋設され、或いは地表に敷設される。ケーブル保護体は、挿通されたケーブルを水や埃や土などから保護する。ICチップは、保護筐体に設けられており、ケーブルとともに水や埃や土などから保護される。ICチップは、近接無線通信により、歩行者が持つ通信機器に存在を検知される。すなわち、ICチップは、歩行者に歩道の存在を知らせる。例えば、歩行者が歩道から外れた場合、ICチップは、通信機器により検知されなくなる。その結果、ケーブル保護体(ICチップ)は、歩道から外れたことを歩行者に認識させることができる。
【0008】
ケーブル保護体は、メンテナンス窓及び蓋を上にして設置される。ICチップは、蓋にに設けられる。したがって、作業者にICチップの位置確認をさせることなく、ICチップを上にしてケーブル保護体を作業者に設置させることができる。その結果、ケーブル保護体の設置作業を容易にできる。
【0009】
また、蓋は本体に対して開閉されるから、蓋を開いてICチップを取り替えることができる。したがって、作業者にメンテナンス作業を容易に行わせることができる。
【0010】
また、ICチップは蓋の内側に配置されるから、土や水や埃からICチップを保護することができる。
【0011】
(2) 本発明に係るケーブル保護体は、上記ICチップと上記ケーブルとの間となる位置に、電磁シールド部材を備えていてもよい。
【0012】
ケーブル保護体が保護するケーブルは、送電ケーブルや通信ケーブルなどである。ケーブルの種類によっては、ケーブルから強い電磁波が放射される。電磁シールド部材は、ケーブルから放射された電磁波を遮蔽し、電磁波からICチップを保護する。
【0013】
(3) 本発明に係るケーブル保護体は、上記蓋の内側に配置された電磁シールド部材と、上記蓋とともに上記電磁シールド部材を挟む取付板とを備えていてもよい。
【0014】
取付板と蓋とによって電磁シールド部材を挟むことにより、電磁シールド部材を確実に保持することができる。
【0015】
(4) 上記保護筐体は、互いに取着される第1半体及び第2半体を備えていてもよい。上記第1半体は、第1フランジを有する。上記第2半体は、上記第1フランジに固着された第2フランジを有する。上記第1フランジと上記第2フランジとの少なくとも一方は、上記ICチップが嵌め込まれる凹部を有する。
【0016】
第1半体と第2半体とは、第1フランジと第2フランジとを合わせて互いに取着される。ICチップは、第1フランジと上第2フランジとの一方、または双方に設けられた嵌合凹部に嵌め込まれる。したがって、ICチップの保護と固定を簡単な構成で行うことができる。また、凹部を形成するだけであるので、既存の金型の修正だけで対応することができる。
【0017】
(5) 上記保護筐体は、上記ケーブルを露出させるメンテナンス窓と、上記メンテナンス窓を閉塞する蓋とを備え、上記蓋は、上記ICチップと導通されたアンテナを有していてもよい。
【0018】
アンテナは、例えば、ループアンテナやポールアンテナである。アンテナは、例えば、導線や、パターン箔によって形成される。アンテナが設けられることにより、ICチップの受信感度が高められる。
【0019】
(6) 上記保護筐体は、一端が上記ICチップと接続され他端がアンテナと接続される接続線が挿通される配線孔を備えていてもよい。
【0020】
ケーブル保護体が地中深くに埋設される場合、地表に設置されたアンテナとケーブル保護体のICチップとが接続線によって接続される。
【0021】
(7) 本発明に係るケーブル保護体は、光を電流に変換する光電素子と、上記光電素子が変換した電流を蓄電する蓄電素子と、上記蓄電素子を駆動源とする駆動回路と、上記駆動回路により点灯される発光ダイオードとを備えていてもよい。
【0022】
ケーブル保護体が地表に敷設される場合、光電素子が発電した電流が蓄電素子に蓄えられる。蓄えられた電流は、夜間において、発光ダイオードを点灯させる。発光ダイオードの光により、歩道の存在を歩行者に認識させることができる。
【0023】
(8) 上記保護筐体は、上記ケーブルを露出させるメンテナンス窓と、上記メンテナンス窓を閉塞する蓋とを備えていてもよい。上記光電素子は、上記蓋の外面に配置され、上記蓄電素子、上記駆動回路、及び上記発光ダイオードは、上記保護筐体内に配置され、上記蓋は、上記発光ダイオードを視認可能とする表示窓と、上記表示窓を覆う透光性のシートとを備える。
【0024】
(9) 上記ICチップは、位置情報を有していてもよい。
【0025】
ICチップは、ケーブル保護体が設置された設置場所の位置情報を歩行者に伝える。
【0026】
(10) 上記保護筐体は、一端部及び他端部を有し、内部にケーブルが挿通される管本体及び当該管本体に外嵌された接続体を備え、隣り合わされた管本体のうちの一方の一端部と他方の他端部とが上記接続体を介して嵌合連結されることにより長尺のケーブルを囲繞可能であってもよい。上記管本体の他端部及び一端部にそれぞれ雌型受け口部及び当該雌型受け口部に対応して弾性的且つ液密的に嵌合可能に形成された雄型挿し口部が設けられている。上記雌型受け口部の外周面に雄ネジが形成されると共に、上記接続体は上記雄ネジに対応した雌ネジを有する。上記雌型受け口部は、上記雄型挿し口部が上記隣り合う管本体の雌型受け口部に嵌合され且つ上記接続体が当該雌型受け口部に形成された雄ネジに螺合した状態で、当該接続体の締め込みを所定位置で規制するストッパを有する。上記雄型挿し口部は、上記接続体が上記隣り合う管本体の雌型受け口部に設けられたストッパによって締め込みが規制された状態で、上記接続体の所定部と当接し且つ上記雄型挿し口部が上記隣り合う管本体の雌型受け口部に対してフレックスピボット変位を許容する変位案内部を有する。上記接続体の所定部及び上記変位案内部に、互いに当接して上記フレックスピボット変位を案内する球面の一部からなる案内曲面が形成されており、当該案内曲面の中心は、上記管本体の一端部側の軸線上に位置し且つ当該案内曲面の法線と上記中心とを結ぶ仮想線分の上記管本体の軸線方向への投影長さが、当該仮想線分の上記管本体の径方向への投影長さより大きくなるように配置されている。弾性変形可能な第1のOリングが上記雄型挿し口部の外周面に装着されている。当該第1のOリングの外径は、上記隣り合う管本体の雌型受け口部の内径よりも大きく設定されている。弾性変形可能な第2のOリングが上記雄型挿し口部の端面から突出するように配置されている。
【0027】
道路等に敷設ないし埋設されるケーブルは一般に長尺であるから、これを囲繞するために複数のケーブル保護体が次のように連結される。
【0028】
一方の管本体の雄型挿し口部が他方の管本体の雌型受け口部の内部に弾性的に且つ液密的に嵌め込まれる。すなわち、上記第1のOリングが上記雄型挿し口部の外周面に装着されていることから、当該第1のOリングが弾性変形して隣り合う管本体の雌型受け口部の内壁面に押圧される。同時に、上記第2のOリングが上記雄型挿し口部の端面から突出するように配置されていることから、当該第2のOリングが弾性変形して上記雌型受け口部に押圧される。つまり、これら雌型受け口部及び雄型挿し口部の間が防水され、且つ当該雌型受け口部に対して当該雄型挿し口部が弾性的に変位することができる。
【0029】
この状態で、一方の管本体に設けられた接続体の雌ネジが、隣り合う管本体(すなわち他方の管本体)の雌型受け口部に設けられた雄ネジに螺合される。この接続体が締め込まれて他方の管本体の雌型受け口部に設けられたストッパに当接されると、当該接続体の締め込みが当該ストッパによって規制されると共に、このとき、当該接続体の所定部が一方の管本体の雄型挿し口部に設けられた変位案内部に当接する。上記接続体の締め込みが規制されているから、当該接続体は、所定の押圧力で上記変位案内部に当接している。すなわち、この押圧力が過大にならないから、他方の管本体の雌型受け口部に対して一方の管本体の雄型挿し口部は、フレックスピボット変位が可能となる。
【0030】
フレックスピボット変位は、接続体の案内曲面と変位案内部の案内曲面とが互いに摺動することによって行われる。これらの案内曲面は球面であり、その中心の位置は、上記管本体の一端部側の軸線上に存在し、且つ当該案内曲面の法線と上記中心とを結ぶ仮想線分の上記管本体の軸線方向への投影長さが、当該仮想線分の上記管本体の径方向への投影長さより大きくなるように設定されている。つまり、上記雌型受け口部に対して雄型挿し口部のフレックスピボット変位は、必然的にきわめて緩やかなものになる。仮に両者間に外力が作用した場合、これに応じてフレックスピボット変位が生じると共に上記第1及び第2のOリングも変形し、当該外力が除去された場合には、当該第1及び第2のOリングの弾性により上記フレックスピボット変位が復帰する。これにより、隣り合うケーブル保護体に作用する外力が吸収され、上記雄型挿し口部及び雌型受け口部のいずれか一方あるいは両方の破損が抑制される。
【0031】
埋設深度が小さい場合にはケーブル保護体に要求される構造的強度は低く、比較的小さい外力に対して液密性が確保されながら容易に変形することができれば十分であるので、ケーブル保護体は、埋設深度が小さい場合に好適に採用される。ケーブル保護体は、従来のものと比べてケーシングが不要であり、従来のケーブル保護体に比べて簡易な構造で作業性及び経済性に優れる。
【0032】
(11) 本発明に係る歩行者誘導システムは、ケーブルが挿通される挿通孔を有する筒状の保護筐体と、携帯装置とを備える。上記携帯装置は、上記ICチップと近接無線通信を行う近接無線通信部、上記ICチップからの返信応答が入力される制御部、及び報知を行う報知部を有する。上記制御部は、上記返信応答によって上記報知部の動作を制御し、上記携帯装置の所持者である歩行者の誘導を行う。
【0033】
制御部は、例えば、上記ICチップからの返信応答によって、歩道の存在や現在位置を確認する。制御部は、確認した歩道の存在や現在位置に応じて報知を行い歩行者の誘導を行う。
【0034】
(12) 本発明に係る歩行者誘導システムは、ケーブルが挿通される挿通孔を有する筒状の保護筐体と、上記保護筐体に設けられており、近接無線通信を行うICチップと、上記ICチップと上記ケーブルとの間となる位置に配置された電磁シールド部材とを備えたケーブル保護体と、上記ICチップと近接無線通信を行う近接無線通信部、上記ICチップからの返信応答が入力される制御部、及び報知を行う報知部を有する携帯装置とを備える。上記制御部は、上記返信応答によって上記報知部の動作を制御し、上記携帯装置の所持者である歩行者の誘導を行う。
【0035】
(13) 本発明に係る歩行者誘導システムは、上述のケーブル保護体と、上記ICチップと近接無線通信を行う近接無線通信部、上記ICチップからの返信応答が入力される制御部、及び報知を行う報知部を有する携帯装置と、を備える。上記制御部は、上記返信応答によって上記報知部の動作を制御し、上記携帯装置の所持者である歩行者の誘導を行う。
【0036】
(14) 上記報知部は音声を生じさせるマイクロフォンであってもよい。上記制御部は、上記返信応答から、上記歩行者が道から外れたか否かを判断する判断処理と、上記判断処理において、上記歩行者が道から外れたと判断したことに応じて、上記マイクロフォンに警告音を生じさせる報知処理とを実行する。
【0037】
制御部は、返信応答により、ICチップの存在や現在位置や歩行ルートを認識する。制御部は、ICチップの存在や現在位置や歩行ルートなどから、携帯装置の歩行者が歩道から外れたか否かを判断する。制御部は、歩行者が歩道から外れたと判断すると、警告音によってその旨を歩行者に知らせる。その結果、歩行者を安全に誘導することができる。
【0038】
(15) 上記報知部は音声を生じさせるマイクロフォンであり、上記制御部は、上記返信応答が入力されたことを条件に、上記マイクロフォンに検出音を生じさせてもよい。
【0039】
歩行者が道から外れると、携帯装置が返信応答を受信しなくなる。そうすると、それまで生じていた検出音が途切れる。したがって、歩道から外れたことを歩行者に認識させることができる。その結果、歩行者を安全に誘導することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、歩行者を安全に誘導する設備を容易に構築できるケーブル保護体、及び歩行者誘導システムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1に示されるように、歩行者誘導システム10は、歩行者が携帯する携帯装置20と、地中や地表に敷設されるケーブル保護体30とを備える。ケーブル保護体30は、地中における比較的浅い位置(30cm程度以下の深さ)に埋設され、或いは地表に敷設される。図示例では、ケーブル保護体30は地中に埋設されている。ケーブル保護体30は、ケーブル32を土や水などから保護する。ケーブル32は、送電ケーブルや、光ファイバなどの通信ケーブル等である。
【0044】
ケーブル保護体30は、近接無線通信を行う複数のICチップ40を有し、携帯装置20と近接無線通信を行う。携帯装置20は、ICチップ40と近接無線通信を行って歩行者の誘導を行う。以下、詳細な説明がされる。
【0045】
図2に示されるように、ケーブル保護体30は、保護筐体31と、保護筐体31に設けられたICチップ40とを備える。保護筐体31は、円筒状であり、ケーブル32が挿通される挿通孔33を有する。ケーブル保護体30は、挿通されたケーブル32を土や水などから保護する。
【0046】
図3に示されるように、保護筐体31は、樹脂製の第1本体34、第2本体35、及び接続体36により組み立てられる。接続体36は、2つの第1本体34同士や、2つの第2本体35同士や、第1本体34と第2本体35とを連結する部材である。保護筐体31は、複数の第1本体34及び複数の第2本体35を接続体36によって連結することで組み立てられる。使用する第1本体34及び第2本体35の個数は、ケーブル32の長さによって変更される。
【0047】
第1本体34は円筒状である。第2本体35は、第1本体34とほぼ同径の円筒状の筒部37と、筒部37の中央に設けられた箱状の箱部38とを有する。接続体36は、第1本体34及び第2本体35に外嵌可能な内径の円筒状である。
【0048】
第1本体34と第2本体35とは、例えば、接続体36の内周面と、第1本体34及び第2本体35の外周面とに雌雄の螺子溝が設けられることにより連結される。第1本体34、第2本体35、及び接続体36の当接面には、防水及び防塵等のため、パッキンなどのシール部材が配置されてもよい。なお、接続体36による第1本体34と第2本体35との連結方法は、螺子を用いるものに限らず、接着剤が用いられてもよいし、弾性を利用したいわゆるスナップフィットが用いられてもよい。
【0049】
第2本体35の箱部38は、筒部37の中央に筒部37と一体に形成されている。箱部38は、メンテナンス窓39を上面に備えた直方体状である。メンテナンス窓39は、保護筐体31内のケーブル32を露出させる。作業者は、メンテナンス窓39を介してケーブル32の補修や交換を行う。
【0050】
メンテナンス窓39は、メンテナンス時以外は蓋50により閉塞される。蓋50は、ボルト43、ナット44、及び取付金具45を用いて着脱自在(開閉自在)にメンテナンス窓39に取り付けられている。詳しく説明すると、蓋50は、メンテナンス窓39とほぼ同じ大きさの矩形板状である。蓋50は、対向する一対の周縁からそれぞれ突出する突出片51を備える。図示例では、片側に3個ずつ、合計6個の突出片51が設けられている。各突出片51は、ボルト43が挿通される挿通孔52をそれぞれ備える。
【0051】
取付金具45は、略U字状である。例えば、取付金具45は、金属材料を曲げ加工して形成される。取付金具45は、両端にフランジ46をそれぞれ備える。各フランジ46は、ボルト43が挿通される挿通孔47をそれぞれ備える。
【0052】
ボルト43は、蓋50の挿通孔52に挿通された後、第2本体35の下方に配置された取付金具45の挿通孔47に挿通され、最後に、ナット44にねじ込まれる。その結果、蓋50は、メンテナンス窓39を閉塞した状態で第2本体35に取着される。
【0053】
蓋50には、
図4に示されるように、ICチップ40及び電磁シールド部材48が設けられる。電磁シールド部材48は、蓋50とほぼ同形状の矩形状のシートである。例えば、電磁シールド部材48は、基材と、基材の一面に貼り付けられた金属箔と、基材の他面に貼り付けられた接着層とにより構成される。金属箔は、電磁波を遮蔽可能なアルミなどの金属を用いて形成される。すなわち、電磁シールド部材48は、電磁波を遮蔽する。
【0054】
ICチップ40及び電磁シールド部材48は、取付板53を用いて蓋50に取着される。詳しく説明すると、蓋50は、電波を透過する樹脂製である。蓋50は、ICチップ40が嵌め込まれる凹部54を中央に備える。凹部54は、箱部38の内側(ケーブル32側)に開口する。また、蓋50は、螺子49がねじ込まれるねじ込み孔55を備える。図示例では、ねじ込み孔55は、凹部54の両側に設けられている。なお、ねじ込み孔とは、螺子溝が設けられた孔や、螺子49自身によって螺子溝が形成されるいわゆるセルフタップの孔を意味する。
【0055】
一方、取付板53は、蓋50とほぼ同形状の樹脂製の矩形板状である。取付板53は、螺子49が挿通される挿通孔56を備える。挿通孔56は、蓋50のねじ込み孔55に対応する位置に設けられる。
【0056】
蓋50の凹部54にICチップ40を嵌め込んだ後、凹部54の開口側に電磁シールド部材48を配置し、さらに電磁シールド部材48側に取付板53を配置し、取付板53を螺子49によって蓋50に取着する。その結果、ICチップ40及び電磁シールド部材48が蓋50に取着される。
【0057】
蓋50は、取付板53を内側(ケーブル32側)にして第2本体35のメンテナンス窓39に取り付けられる。したがって、ICチップ40とケーブル32との間に電磁シールド部材48が位置する。電磁シールド部材48は、ケーブル32が放射する電磁波を遮蔽して、電磁波からICチップ40を保護する。
【0058】
次に、携帯装置20が説明される。
図11に示されるように、携帯装置20は、ICチップ40と近接無線通信を行う近接無線通信部21と、制御部22と、マイクロフォン23とを備える。近接無線通信部21は、例えばNFC通信規格によってICチップ40と通信を行う、いわゆるリーダーである。
【0059】
ICチップ40は、近接無線通信部21が送出した電波を受信し、返信応答を返す。近接無線通信部21は、ICチップ40からの返信応答を受信し、受信した返信応答を制御部22に入力する。
【0060】
マイクロフォン23は、入力された音声信号を音声に変換する報知部であり、警告音などを生じさせる。
【0061】
制御部22は、例えばマイクロコンピュータであり、種々の演算や音声信号の出力などを行う。制御部22は、近接無線通信部21から上述の返信応答を入力される。制御部22は、入力された返信応答を用いて、
図5に示される判断・報知処理1を実行し、歩行者の誘導を行う。以下、詳しく説明がされる。
【0062】
制御部22は、返信応答が入力されるまで待機する(S11:No)。制御部22は、返信応答が入力されると(S11:Yes)、不図示のタイマカウンタを用いて計時を開始する(S12)。制御部22は、新たな返信応答が入力されるたびに、タイマカウンタをリセットし、計時をリスタートさせる(S13:Yes)。制御部22は、計測時間が所定の時間に達するまで、新たな返信応答の入力を監視する(S13:No&S14:No)。なお、計測時間が所定の時間に達したか否かは、タイマカウンタのカウント値が予め定められた閾値以上か否かによって判断される。
【0063】
制御部22は、計測時間が所定の時間に達すると(S14:Yes)、音声信号をマイクロフォン23に出力し、警告音をマイクロフォン23に生じさせ(S15)、判断・報知処理1を終了する。
【0064】
制御部22は、上述の判断・報知処理1を実行することにより、歩行者の誘導を行う。具体的に説明すると、歩行者は、携帯装置20を所持して歩行を行う。歩行者は携帯装置20の誘導機能をオンにする。誘導機能がオンにされると、制御部22は、判断・報知処理1を実行する。
【0065】
歩行者がケーブル保護体30が敷設された歩道を歩行すると、携帯装置20とケーブル保護体30のICチップ40との間で通信が行われ、制御部22に返信応答が入力される。制御部22は、返信応答が入力されたことにより、歩行者が歩道にいることを認識する。制御部22は、返信応答が入力されてから所定の時間の間に新たな返信応答がない場合、歩行者が歩道から外れたと判断し、マイクロフォン23に警告音を生じさせる。
【0066】
本実施形態1では、ICチップ40は、元々地上や地表に敷設されるケーブル保護体30に設けられるから、ICチップ40を容易に設置することができる。その結果、歩行者を安全に誘導する設備を容易に構築することができる。
【0067】
また、ICチップ40とケーブル32との間に電磁シールド部材48が設けられているから、ケーブル32から放射された電磁波からICチップ40を保護することができる。
【0068】
また、ICチップ40は、蓋50の内側に配置されるから、水や土や埃などからICチップ40を保護することができる。
【0069】
また、ICチップ40は、常に上側となる蓋50に配置されているから、作業者に意識させることなく、ICチップ40を上に向けてケーブル保護体30を作業者に設置させることができる。その結果、ケーブル保護体30の設置作業が容易になる。
【0070】
また、ICチップ40は、着脱自在(開閉自在)の蓋50に設けられているから、蓋50を付け替えることにより、既に敷設されたケーブル保護体30にICチップ40を新たに設けることができる。また、ICチップ40の交換などのメンテナンス作業も作業者に容易に行わせることができる。その結果、歩行者誘導システム10の構築が容易になる。
【0071】
また、判断・報知処理1において、歩行者が歩道から外れた場合に警告音を生じさせるから、歩行者を安全に誘導することができる。
【0073】
第1実施形態では、蓋50にICチップ40及び電磁シールド部材48が設けられた構成が説明された。本第2実施形態では、
図6に示されるように、接続体60にICチップ40及び電磁シールド部材48が設けられた構成が説明される。なお、第1本体34及び第2本体35の構成は、蓋50にICチップ40が設けられない他は、第1実施形態と同様である。また、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号が付されて説明が省略される。
【0074】
接続体60は、接続体36と同様の外形を有する。接続体60は、接続体60を軸方向に沿って等分に分割した形状の第1半体61及び第2半体62を備える。第1半体61及び第2半体62は、樹脂製であり、ほぼ同形状である。
【0075】
第1半体61及び第2半体62は、不図示のボルトとナットとを用いて結合される。詳しく説明すると、第1半体61は、周方向における両端部に第1フランジ63をそれぞれ備える。
図6では、片側のみの第1フランジ63が表れている。第1フランジ63は、ボルトが挿通される挿通孔64を有する。図示例では、3個の挿通孔64が2個の第1フランジ63にそれぞれ設けられている。
【0076】
一方、第2半体62は、周方向における両端部に第2フランジ65をそれぞれ備える。第2フランジ65は、ボルトが挿通されるボルト孔66を有する。ボルト孔66は、挿通孔64に対応する位置に設けられている。ボルトは、挿通孔64に挿通された後、ボルト孔66に挿通され、最後にナットにねじ込まれる。その結果、第1半体61と第2半体62とが結合される。
【0077】
第1半体61の第1フランジ63は、ICチップ40が嵌め込まれる凹部67を備える。凹部67は、第2フランジ65との当接面側に開口する。凹部67にICチップ40が嵌め込まれた後、第1半体61と第2半体62とが結合されることにより、ICチップ40は接続体60に保持される。なお、凹部67は、第2フランジ65に設けられてもよい。また、凹部67は、第1フランジ63及び第2フランジ65の両方に設けられてもよい。
【0078】
図7に示されるように、電磁シールド部材48は、第1本体34及び第2本体35と接続体60との間に配置される。電磁シールド部材48は、第1本体34及び第2本体35と接続体60とに挟まれることにより保持される。このように配置された電磁シールド部材48は、ICチップ40とケーブル32との間に位置する。したがって、電磁シールド部材48は、ケーブル32が放射する電磁波を遮蔽し、電磁波からICチップ40を保護する。なお、電磁シールド部材48は、第1本体34及び第2本体35の内周面に貼着されてもよい。
【0079】
本第2実施形態では、結合される第1半体61と第2半体62とでICチップ40を挟むから、取付部材を用いることなくICチップ40を保持及び保護することができる。また、凹部67を形成するだけであるので、既存の金型の修正だけで、従来のケーブル保護体にICチップ40を取り付けることが可能となる。
【0081】
本変形例1では、第1実施形態において、ICチップ40の受信感度を高めるアンテナ42(
図8)がさらに設けられた構成が説明される。なお、本変形例1では、第1実施形態における蓋50の代わりに蓋57が用いられる以外は第1実施形態と同様であるから、蓋57以外の構成の説明は省略される。さらに、蓋57において、第1実施形態で説明された蓋50と同一の構成については、同一の符号が付され、説明が省略される。
【0082】
図8に示されるように、蓋57は、蓋50と同形状の矩形板状であり、突出片51、凹部54、及びねじ込み孔55を備える。蓋57は、アンテナ42が配置される第1溝58及び第2溝59をさらに備える。
【0083】
第1溝58は、凹部54から蓋57の周縁へ向かって直線的に延びる溝である。第2溝59は、蓋57の周縁に沿って延びる略円形状の溝である。第1溝58と第2溝59とは結合している。
【0084】
アンテナ42は、エナメル線や銅線などの導線により形成される。アンテナ42は、両端がICチップ40と接続され、第1溝58及び第2溝59に嵌め込まれる。すなわち、アンテナ42は、いわゆるループアンテナである。
【0085】
ICチップ40が凹部54に嵌め込まれ、アンテナ42が第1溝58及び第2溝59に嵌め込まれた後、電磁シールド部材48が配置され、さらに取付板53が蓋57に取り付けられる。その結果、ICチップ40、アンテナ42、及び電磁シールド部材48が蓋57に取着される。
【0086】
本変形例1では、アンテナ42により、ICチップ40の受信感度が高められる。
【0087】
なお、本変形例1では、アンテナ42がループアンテナである例が説明されたが、アンテナは、ポールアンテナなど、他の種類のアンテナであってもよい。
【0088】
また、本変形例1では、アンテナ42が導線によって形成された例が説明されたが、アンテナ42は、パターン箔によって形成されてもよい。例えば、取付板53に蒸着されたパターン箔によってアンテナ42が形成されてもよい。
【0089】
また、本変形例1では、蓋57にICチップ40及びアンテナ42が設けられた例が説明された。しかしながら、例えば、第2実施形態における第2本体35に蓋57(ICチップ40なし)が設けられ、接続体60に設けられたICチップ40と蓋57に設けられたアンテナ42とが接続線によって接続されてもよい。
【0090】
本変形例1では、蓋57にアンテナ42が設けられた構成が説明されたが、アンテナは地表に設置され、地表に設置されたアンテナとICチップ40とが接続線によって接続されていてもよい。この場合、
図9(A)、(B)に示される配線孔73が蓋50に設けられ、配線孔73に接続線が挿通される。
【0092】
本変形例2では、ケーブル保護体30に、いわゆる太陽電池が設けられた構成が説明される。なお、本変形例2では、第1実施形態における
図4に示された蓋50及び取付板53の代わりに
図9に示される蓋70及び基板71が用いられる以外は第1実施形態と同様であるから、蓋70及び基板71以外の構成の説明は省略される。さらに、蓋70において、第1実施形態で説明された蓋50と同一の構成については、同一の符号が付され、説明が省略される。
【0093】
蓋70は、表示窓72、配線孔73、及び支持リブ79が設けられている以外は、蓋50と同構成である。支持リブ79は、凹部54側の面(
図9における下面)から突出する環状のリブであり、凹部54を囲む。
図9(A)に示されるように、基板71が支持リブ79の突出先端と当接される。支持リブ79は、基板71と蓋70との間に隙間を生じさせる。この隙間に、基板71に実装される発光ダイオード77等が位置する。すなわち、支持リブ79は、スペーサの機能を果たす。
【0094】
表示窓72は、蓋70の厚み方向に蓋70を貫通する孔である。表示窓72は、発光ダイオード77の光を外部へ出射させる。表示窓72の上側には、防水のため、透明シート74が貼着される。
【0095】
配線孔73は、凹部54の側壁を貫通しており、凹部54の内側面から内底面に沿って蓋70の一面(
図9における上面、以下「上面」と称する)まで延びている。配線孔73には、接続線75が挿通される。接続線75の一端は、蓋70の上面に接着剤などを用いて固着された光電素子76と接続されている。光電素子76は、接合面に入射した光を電子(電流)に変換する素子である。例えば、pn接合を有する半導体が光電素子76として使用される。なお、防水のため、接続線75が挿通された後、シリコンなどの封止部材が配線孔73に充填される。
【0096】
接続線75の他端は、基板71と接続される。基板71は、取付板53(
図4)と同形状であり、螺子49が挿通される挿通孔56を備える。基板71の一面(
図9における上面、以下「上面」と称する)の中央には、ICチップ40が表面実装される。また、基板71の上面には、発光ダイオード77が実装される。発光ダイオード77は、例えば、チップLEDである。
【0097】
また、
図9(C)に示されるように、基板71の上面には、パターン箔によってアンテナ78が形成される。図示例では、アンテナ78は、ループアンテナである。
【0098】
また、基板71には、
図11に示される蓄電素子81が実装される。蓄電素子81は、大容量コンデンサや充電池である。蓄電素子81は、光電素子76が出力した電流を充電する。
【0099】
また、基板71には、
図11に示される駆動回路82を形成する抵抗やコンデンサやダイオードなどの種々の電子部品が実装される。駆動回路82は、蓄電素子81が出力する電流を駆動源として発光ダイオード77を点灯させる。駆動回路82は、例えば、定電圧回路である。
【0100】
また、基板71の他面(
図9における下面)には、電磁シールド部材48が貼着される。
【0101】
基板71は、ICチップ40が凹部54に嵌り、発光ダイオード77が表示窓72に対向するように配置され、螺子49により蓋70に取着される。
【0102】
本変形例2のケーブル保護体30は、地表に敷設される。すなわち、光電素子76に太陽光が照射される。光電素子76は、太陽光を受けて発電を行う。光電素子76が発電した電力は、蓄電素子81に蓄えられる。蓄電素子81が蓄えた電力は、夜間などにおいて、発光ダイオード77を点灯させる。発光ダイオード77の光は、表示窓72を介して外部へ出射される。外部へ出射された光により、歩行者に歩道の位置を認識させることができる。
【0103】
なお、発光ダイオードが出射する光を歩行者が容易に視認できるように、透明シート74に代えて光拡散シートが用いられてもよい。また、導光板を用いて面発光が行われてもよい。
【0105】
本変形例3では、マイクロフォン23が生じさせる検出音によって歩行者の誘導を行う例が説明される。なお、以下で詳述される構成以外の構成は、第1実施形態や第2実施形態や変形例1や変形例2と同構成である。
【0106】
制御部22は、近接無線通信部21から返信応答が入力されるたびに、マイクロフォン23に音声信号を出力し、マイクロフォン23に検出音を生じさせる。検出音により、歩道上にいること、及び歩道から外れたことを歩行者に認識させることができる。
【0107】
具体的に説明すると、歩行者は、検出音により、自身が歩道上にいることを認識する。歩行者が歩道から外れると、それまで生じていた検出音が途絶える。そうすると、歩行者は、自身が歩道から外れたことを認識する。歩道から外れたことを認識した歩行者は、検出音が生じる場所を探して移動する。その結果、歩行者が歩道から大きく外れてしまうことが防止される。すなわち、歩行者の誘導がされる。
【0109】
本変形例4では、
図11に示されるように、ICチップ40が記憶部41を備えており、ICチップ40が設置された設置位置の位置情報が記憶部41に記憶された構成が説明される。なお、以下で詳述される構成以外の構成は、第1実施形態や第2実施形態や変形例1や変形例2や変形例3と同構成である。
【0110】
制御部22は、
図10に示される判断・報知処理2を実行する。制御部22は、近接無線通信部21から返信応答が入力されるまで待機する(S21:No)。制御部22は、返信応答が入力されると(S21:Yes)、返信応答に含まれる位置情報を取得する(S22)。制御部22は、取得した位置情報から、歩行者が予定ルート上にいるか否かを判断する(S23)。予定ルートは、歩行者によって設定されたり、歩行者が設定した目的地に応じて制御部22が設定する。歩行者が予定ルート上にいるか否かは、例えば、現在位置と予定ルートとの間の距離が所定値以上か否かにより判断される。
【0111】
制御部22は、歩行者が予定ルート上にいると判断すると(S23:Yes)、再び返信応答が入力されるまで待機する(S21:No)。制御部22は、歩行者が予定ルートから外れたと判断すると(S23:No)、マイクロフォン23へ音声信号を出力し、警告音を生じさせる。
【0112】
本変形例4では、歩行者は、目的地や予定ルートを設定すれば、ルートから外れることなく目的地まで歩行することができる。すなわち、歩行者の誘導が行われる。
【0114】
上述の実施形態1では、取付板53が螺子49により蓋50に取着される構成が説明された。しかしながら、取付板53は、ボルトとナットなど他の固着具を用いて蓋50に取着されてもよい。また、取付板53は、蓋50または取付板53に樹脂爪が設けられ、スナップフィットにより蓋50に取着されてもよい。また、取付板53は、接着剤を用いて蓋50に固着されてもよい。また、取付板53は、樹脂モールドにより蓋50に固着されてもよい。ただし、ICチップ40のメンテナンスや交換などを考慮して、着脱自在であることが望ましい。すなわち、螺子49や、ボルト及びナットや、スナップフィットが用いられることが好ましい。さらには、螺子49や、ボルト及びナットが、より好ましい。詳しく説明すると、螺子49やボルト及びナットを用いる場合、蓋50に孔を設けるだけでよい。蓋50に孔を設けることは、金型にピンを立設するだけで実現できる。すなわち、既存の金型を流用して蓋50を製造することができる。さらに、上記ピンを付け替えることにより、孔がある蓋50と孔のない蓋との両方を1つの金型で製造することも可能である。
【0115】
上述の実施形態や変形例では、報知部の例としてマイクロフォン23が説明された。報知部は、例えば、ディスプレイであってもよい。制御部22は、警告音や検出音の代わりに、或いは警告音や検出音とともに、ディスプレイに警告表示や検出表示を表示させる。警告表示や検出表示は、文字や図形などである。
【0117】
図12に示されるように、本第3実施形態のケーブル保護体110は、第1本体34A、第2本体35A及び接続体60を備える。
図12は、第1本体34A及び第2本体35Aが長手方向に沿って連結されている状態を示す斜視図である。同図では、図中左手前側から順に、2つの第1本体34A、第2本体35A及び第1本体34Aが連結されている。
【0118】
ケーブル保護体110は、送電ケーブル、通信ケーブル、光ファイバケーブル、その他のケーブルを、地中における比較的浅い位置(30cm程度以下の深さ)に埋設する場合、あるいは、地表に敷設する場合に好適に使用される。
【0119】
図13は、第1本体34A及び接続体60の縦断面図である。
【0120】
図13に示される第1本体34Aは、内部にケーブル(図示されず)が挿通される。第1本体34Aは、第1管本体11Cを備え、この第1管本体11Cに雄型挿し口部13及び雌型受け口部12が形成されている。
【0121】
第1管本体11Cは、直管状に構成されている。雄型挿し口部13は、第1管本体11Cの一端部、すなわち長手方向(軸心線CL1に沿った方向)の一端側(図中左側)に第1管本体11Cと一体的に形成されている。雌型受け口部12は、第1管本体11Cの他端部(図において上記軸心線CL1に沿った方向の右側)に第1管本体11Cと一体的に形成されている。
【0122】
第1管本体11Cの長手方向のほぼ中央部にフランジ状の補強リブ11Sが形成されている。この補強リブ11Sは、第1管本体11Cの外周面から一定の高さで径方向に突出しており、全周にわたって連続している。補強リブ11Sの高さは、たとえば2mmに設定される。なお、このような補強リブ11Sは省略されていてもよい。第1管本体11Cの外径、内径、肉厚については、たとえば、外径が100mm、内径が90mm、肉厚が5mmに設定され得る。
【0123】
図14(A)及び(B)は、第1管本体11Cの要部拡大図である。
【0124】
雄型挿し口部13の内径は、一定である(
図13参照)。
図14(A)に示されるように、雄型挿し口部13の外周面13Aは径方向の外側に向かって膨出しており、雄型挿し口部13の先端近傍部分は、略楔状に形成されている。この雄型挿し口部13の外周面13Aに第1溝部13Bが全周にわたって連続して設けられている。
【0125】
第1溝部13Bの深さは一定であり、第1溝部13Bの内部に弾性変形可能なゴム製の第1Oリング131が装着されている。第1Oリング131の外径は、第1管本体11Cの他端部に設けられた雌型受け口部12の内径よりも大きく設定されている。第1Oリング131は、第1溝部13Bに嵌め込まれ、位置決めされている。第1Oリング131は、雄型挿し口部13の外周面13Aを周回しており、第1Oリング131の外縁は、雄型挿し口部13の外周面13Aから径方向外側に突出している。
【0126】
雄型挿し口部13の先端面13Cに第2溝部13Dが設けられている。この第2溝部13Dは、第1管本体11Cの軸心線CL1を中心として先端面13Cを周回している。第2溝部13D内に弾性変形可能なゴム製の第2Oリング132が嵌め込まれている。第2Oリング132は、雄型挿し口部13の先端面13Cから突出している。
【0127】
雄型挿し口部13にフランジ状の第1変位案内部14が設けられている。この第1変位案内部14は、雄型挿し口部13の先端面13Cから所定の距離だけ離れた位置に設けられ、径方向外側に突出している。第1変位案内部14の一方の面14A(上記先端面13C側の面)は、第1管本体11Cの軸心線CL1に直交する方向に沿った平坦面となっている。本明細書において、上記一方の面14は、「平坦面14A」と称される。第1変位案内部14の他方の面14B(雌型受け口部12側の面)は、曲面に形成されている。本明細書において、上記他方の面14Bは、「第1案内曲面14B」と称される。第1案内曲面14Bは、第1本体34Aの軸心線CL1上に中心が位置する仮想球面の一部から構成される。
【0128】
第1変位案内部14は、後述する第2変位案内部120B(
図13参照)とともにピボットを形成する。後に詳述されるが、雄型挿し口部13及び雌型受け口部12が相互に嵌合連結された状態で、両者は、フレックスピボット変位が可能となる。
【0129】
図13に示されるように、雌型受け口部12は、円筒形状を呈し、第1管本体11Cと一体的に形成されている。雌型受け口部12の中心軸は、第1管本体11C及び雄型挿し口部13の中心軸(上記軸芯線CL1)と一致しており、雌型受け口部12の内径及び外径は、第1管本体11Cの外径及び内径よりも大きく設定されている。
図14(B)が示すように、雌型受け口部12の内周面12Aと、第1管本体11Cの内周面11Yとの間に段差部15が形成されている。
【0130】
雌型受け口部12の軸心線CL1に沿った長さL1は、雄型挿し口部13における円弧状に膨出した部分の軸心線CL1に沿った長さL2よりも長い。
【0131】
図14(B)に示されるように、雌型受け口部12の内周面12Aに、第3溝部12Hが設けられている。この第3溝部12Hは、上記内周面12Aの全周にわたって環状に形成されている。第3溝部12Hの深さは一定であり、その溝幅(軸心線CL1に沿った長さ)は、雄型挿し口部13に設けられた第1溝部13Bの溝幅よりも大きい。
【0132】
第3溝部12Hにリング状のゴム板12Jが嵌合されている。ゴム板12Jは、横断面が矩形状であり、第3溝部12Hから一部が突出した状態で位置決めされている。すなわち、ゴム板12Jは、雌型受け口部12の内周面12Aを周回し且つ当該内周面12Aから径方向の内側に突出している。
【0133】
雌型受け口部12の外周面に雄ネジ12Bが形成されている。また、雌型受け口部12と第1管本体11Cとの境界にフランジ12Cが設けられている。フランジ12Cは、雌型受け口部12の外周面から径方向外側に突出している。フランジ12Cは、後述される接続体60の締め込みを規制するストッパとして機能する。
【0134】
フランジ12Cに隣接して緩止溝12Gが設けられている。この緩止溝12Gは、上記フランジ12Cの一部に形成され、当該フランジ12Cを周回する環状溝である。この緩止溝12Gは、後述されるように接続体60の緩み止めを行うものである。なお、本実施形態では、緩止溝12Gはフランジ12Cに形成されているが、雌型受け口部12の他の部位に形成されていてもよい。
【0135】
雌型受け口部12の内径及び外径は、たとえば106mm及び116mm、肉厚は、第1本体34Aと同様に5mmに設定されている。また、雌型受け口部12の長さ(軸心線CL1に沿った長さ)L1は、たとえば36mmに設定されている。もっとも、これらの寸法に限定されるものではなく、挿通されるケーブルの大きさ等によって適宜変更される。第1管本体11C、雌型受け口部12及び雄型挿し口部13は、たとえば、PE(ポリエチレン)、POM(ポリオキシメチレン)等の樹脂からなり、典型的には射出成型により一体成形される。なお、第1管本体11C、雌型受け口部12及び雄型挿し口部13は、樹脂のほか金属によって構成されてもよい。
【0136】
図13に示されるように、接続体60は、円筒形状を呈し、雌型受け口部12の外側に嵌合される。
【0137】
図15(A)及び
図15(B)は、接続体60の構成を説明するための斜視図である。
【0138】
図15(A)及び
図15(B)に示されるように、接続体60は、二分割可能な一対の第1半体61、第2半体62を有する。第1半体61、第2半体62は半円筒形状を呈し、それぞれの開口部同士が相互に突き合わされて結合されることにより、円筒形状の接続体60が組み立てられる。
【0139】
図13に示されるように、接続体60の他端側に第2変位案内部120Bが形成されている。この第2変位案内部120Bは、全周にわたって径方向の内側に突出している。第2変位案内部120Bは環状を呈し、その中心部に開口120Cが形成されている。開口120Cの内径は、雄型挿し口部13の最大外径よりも大きい。
【0140】
図15(A)及び
図15(B)に示されるように、第1半体61、第2半体62のそれぞれの他端部に、第2変位案内部120Bの半周部分が形成されている。第2変位案内部120Bの半周部分同士は、第1半体61と第2半体62とが相互に突き合わされて接続体60に組み立てられた状態で連続し、環状の第2変位案内部120Bを構成する。第2変位案内部120Bの中心部に上記開口120Cが形成される。
【0141】
図13に示されるように、第2変位案内部120Bは、第2案内曲面120Eを備えている。この第2案内曲面120Eは、第2変位案内部120Bの内側面により構成されており、球面状に湾曲している。この第2案内曲面120Eの曲率は、雄型挿し口部13に設けられた第1案内曲面14B(
図14(A)参照)の曲率に対応している。
【0142】
図15に示されるように、第2半体62に第2案内曲面120Eの半周部分が形成されている。第1半体61にも、第2案内曲面120Eの半周部分が形成されている。第1半体61、第2半体62が相互に突き合わされて接続体60が組み立てられることにより、周方向に連続した第2案内曲面120Eが形成される。
【0143】
図13に示されるように、接続体60の内周面に雌ネジ120Aが形成されている。
図15(A)及び
図15(B)に示されるように、第1半体61、第2半体62のそれぞれの内周面に雌ネジ120Aの半周部分が形成されている。第1半体61と第2半体62とが相互に突き合わされて接続体60が組み立てられることにより、周方向に連続した雌ネジ120Aが形成される。
【0144】
図13に示されるように、接続体60の一端側に突起120Fが形成されている。この突起120Fは、接続体60の径方向内側に突出しており、全周にわたって環状に形成されている。
図15(A)及び
図15(B)に示されるように、第1半体61、第2半体62のそれぞれの一端部に突起120Fの半周部分が形成されている。第1半体61、第2半体62が相互に突き合わされて接続体60が組み立てられることにより、周方向に連続した突起120Fが形成される。
【0145】
第1半体61、第2半体62のそれぞれに凸条120Dが設けられている。各凸条120Dは、第1半体61、第2半体62の周方向の中央部に配置され、軸心線CL1の方向に延びている。また、第1半体61は、第2半体62との対向面に第1フランジ63を備える。一方、第2半体62は、第1半体61との対向面に第2フランジ65を備える。第1半体61と第2半体62とが相互に突き合わされて接続体60が組み立てられることにより、凸条120Dが形成される。すなわち、組み立てられた接続体60の外周面には、それぞれが軸心線CL1に沿った4本の凸条120Dが周方向に一定の間隔を開けた状態で形成される。
【0146】
図15に示されるように、第2半体62に設けられた第2フランジ65には、不図示のボルトが挿通される3つの挿通孔66が設けられている。
【0147】
図15(A)及び
図15(B)に示されるように、第1フランジ63には、不図示のボルトが挿通される3つの挿通孔64が設けられている。これらは、各挿通孔66に対応する位置に配置されている。挿通孔64及び挿通孔66に挿通されたボルトがナットと螺合されることにより、第1半体61と第2半体62とが連結固定されて、接続体60が組み立てられる。
【0148】
第1半体61の第1フランジ63は、ICチップ40が嵌め込まれる凹部67を備える。凹部67は、第2フランジ65との当接面側に開口する。凹部67にICチップ40が嵌め込まれた後、第1半体61と第2半体62とが結合されることにより、ICチップ40は接続体60に保持される。
【0149】
電磁シールド部材48(
図7)は、第1本体34A及び第2本体35Aと接続体60との間に配置される。電磁シールド部材48は、第1本体34A及び第2本体35Aと接続体60とに挟まれることにより保持される。このように配置された電磁シールド部材48は、ICチップ40とケーブル32との間に位置する。したがって、電磁シールド部材48は、ケーブル32が放射する電磁波を遮蔽し、電磁波からICチップ40を保護する。なお、電磁シールド部材48は、第1本体34A及び第2本体35Aの内周面に貼着されてもよい。
【0150】
図17は、隣り合う第1本体34Aが接続された状態を示す断面図である。
【0151】
このような構成の第1本体34Aは、たとえば、同様の構成の第1本体34Aに隣り合わされて、相互に連結される。この場合、一方の第1本体34Aの一端部に設けられた雄型挿し口部13の外側に、接続体60が予め嵌合された状態とされる(
図17参照)。
【0152】
一方の第1本体34Aの一端部に設けられた雄型挿し口部13が、他方の第1本体34Aの他端部に設けられた雌型受け口部12に挿入される。一方の第1本体34Aに設けられた接続体60が他方の第1本体34Aの雌型受け口部12と螺合する。接続体60が操作され、さらにねじ込まれる。この場合、たとえば、接続体60に設けられた各凸条120Dに、接続体60を回転させる治具が係合されると、接続体60は容易に回転される。
【0153】
接続体60が回転されると、接続体60の第2変位案内部120Bが、一方の第1本体34Aの第1変位案内部14に接近する。これにより、当該第1変位案内部14における第1案内曲面14Bに、接続体60の第2変位案内部120Bにおける第2案内曲面120Eが当接する。このような状態で、さらに接続体60が締め込まれると、一方の第1本体34Aに設けられた雄型挿し口部13が他方の第1本体34Aにおける雌型受け口部12内に圧入されると共に、接続体60の一端面120Hがフランジ12Cに当接する。
【0154】
図16は、隣り合う第1本体34Aが接続された状態を示す断面図である。
【0155】
このような構成の第1本体34Aは、たとえば、同様の構成の第1本体34Aに隣り合わされて、相互に連結される。この場合、一方の第1本体34Aの一端部に設けられた雄型挿し口部13の外側に、接続体60が予め嵌合された状態とされる(
図16参照)。
【0156】
一方の第1本体34Aの一端部に設けられた雄型挿し口部13が、他方の第1本体34Aの他端部に設けられた雌型受け口部12に挿入される。一方の第1本体34Aに設けられた接続体60が他方の第1本体34Aの雌型受け口部12と螺合する。接続体60が操作され、さらにねじ込まれる。この場合、たとえば、接続体60に設けられた各凸条120Dに、接続体60を回転させる治具が係合されると、接続体60は容易に回転される。
【0157】
接続体60が回転されると、接続体60の第2変位案内部120Bが、一方の第1本体34Aの第1変位案内部14に接近する。これにより、当該第1変位案内部14における第1案内曲面14Bに、接続体60の第2変位案内部120Bにおける第2案内曲面120Eが当接する。このような状態で、さらに接続体60が締め込まれると、一方の第1本体34Aに設けられた雄型挿し口部13が他方の第1本体34Aにおける雌型受け口部12内に圧入されると共に、接続体60の一端面120Hがフランジ12Cに当接する。
【0159】
図16及び
図17に示されるように、接続体60がフランジ12Cに当接すると、接続体60の締め込みがフランジ12Cによって規制される。また、接続体60に設けられた突起120Fが、当該雌型受け口部12の外周面に設けられた緩止溝12Gに嵌合される。これにより、一方の第1本体34Aの雄型挿し口部13と他方の第1本体34Aの雌型受け口部12とが相互に嵌合連結され、一方の第1本体34Aと、他方の第1本体34Aとが連結される。
【0160】
一対の第1本体34Aが連結された状態で、接続体60の締め込みが規制されるから、接続体60の第2変位案内部120Bが、一方の第1本体34Aの第1変位案内部14に所定の押圧力で当接し、当該押圧力が過大になることが回避される。このため、相互に接した第1変位案内部14と第2変位案内部120Bとが摺接可能状態となる。つまり、一方の第1本体34Aの雄型挿し口部13が他方の第1本体34Aの雌型受け口部12に対してフレックスピボット変位する。
【0161】
次に、第2本体35Aについて説明する。
【0162】
図18は、第2本体35Aの縦断面図である。
【0163】
図18に示されるように、第2本体35Aは、内部にケーブル(図示せず)が挿通される。接続体60は、第1本体34Aに設けられた接続体60と同様の構成である。後述のように、第2本体35Aは、内部を挿通されるケーブルのメンテナンスが可能である。
【0164】
第2本体35Aは、第2管本体11Xと、第2管本体11Xの一方の端部に設けられた雄型挿し口部13と、第2管本体11Xの他方の端部に設けられた雌型受け口部12とを有する。第2本体35Aの雄型挿し口部13及び雌型受け口部12は、上記雄型挿し口部13及び雌型受け口部12と同様の構成である。
【0165】
図19は、
図18の要部拡大図であり、第2本体35Aにおける第2本体35Aの一部を拡大した縦断面図である。
【0166】
図18及び
図19に示されるように、第2本体35Aは、角筒形状の筒体11Dを備えている。この筒体11Dは、第2本体35Aの中央部に配置され、径方向の外側に突出している。
図18に示されるように、筒体11Dの軸心線CL2は、第2本体35Aの軸心線CL1と直交している。
【0167】
図20は、第2本体35Aに設けられた筒体11Dの拡大斜視図である。
【0168】
図21に示されるように、筒体11Dは、第2管本体11Xの外周面から、当該外周面の接線方向に沿って延出された一対の第1壁面11Eと、各第1壁面11Eと直交する一対の第2壁面11Fとを有する。一対の第1壁面11E同士は同様の形状であり、一対の第1壁面11Eにおけるそれぞれの突出側の先端は、同一の仮想平面上に位置する。一対の第2壁面11F同士は同様の形状であり、各第2壁面11Fの突出側の先端は、第1壁面11Eにおけるそれぞれの突出側の先端が位置する仮想平面上に位置する。
【0169】
したがって、一対の第1壁面11Eにおけるそれぞれの先端と、一対の第2壁面11Fにおけるそれぞれの先端とによって形成される端部開口は仮想平面上に位置しており、この端部開口によってメンテナンス窓39が形成されている。メンテナンス窓39は、第2本体35Aの内部を挿通するケーブルのメンテナンス作業において使用される。
【0170】
図19に示されるように、メンテナンス窓39の周縁部11Nに凹部11Hが全周にわたって形成されている。この凹部11Hに、シール部材としてのゴム製の第3Oリング11Jが嵌め込まれている。
【0171】
図19及び
図20に示されるように、上記周縁部11Nの凹部11Hよりも外周側にリブ11Kが設けられている。リブ11Kは、一対の第2壁面11Fの各先端面上においては連続している。これに対して、一対の第1壁面11Eの各先端面上においては、リブ11Kには三つの間隙11Mが形成されている。一方の第1壁面11Eに設けられた三つの間隙11Mのそれぞれと、他方の第1壁面11Eに設けられた三つの間隙11Mのそれぞれとは対向している。
【0172】
図12に示されるように、筒体11D上にメンテナンス窓39を開閉する蓋50が取り付けられている。蓋50は、メンテナンス窓39を塞ぐ大きさの蓋本体50Aと、突出片51とを有する。突出片51は、蓋本体50Aにおける長手方向に沿った両側の側縁にそれぞれ三つずつ配置されている。
【0173】
蓋本体50Aは、メンテナンス窓39の周縁部11Nに設けられたリブ11Kの内周側に嵌合される。
図19に示されるように、蓋本体50Aがリブ11Kの内周側に嵌合されると、蓋本体50Aが第3Oリング11Jに圧接される。
【0174】
図12に示されるように、蓋本体50Aに形成された各突出片51は、挿通孔52を備えている。蓋本体50Aが上記周縁部11N上に配置されると、蓋本体50Aに設けられた各突出片51は、それぞれ、第1壁面11Eの各先端面に設けられたリブ11Kの間隙11Mから外側に突出した状態になる。
【0175】
蓋50は、三つの取付金具45によって第2保護管11Bの第2管本体11Xに取り付けられる。各取付金具45は、たとえば、鉄鋼材料からなる。取付金具45は、U字形状に湾曲された金具本体部45Aを有する。金具本体部45Aの両端部には、金具本体部45Aに対して外側に屈曲されたフランジ46がそれぞれ設けられている。各フランジ46には、挿通孔47が設けられている。
【0176】
各取付金具45のフランジ46が、蓋50に設けられた突出片51と対向される。このような状態で、各突出片51の挿通孔52及びフランジ46の挿通孔47にボルト43が挿通され、各ボルト43にナット44が螺合される。これにより、蓋50は、メンテナンス窓39を塞いだ状態で第2管本体11Xの筒体11Dに取り付けられる。このとき、蓋50は、筒体11Dの周縁部11Nに設けられた第3Oリング11Jに圧接されており、メンテナンス窓39が蓋50により液密状にシールされる。
【0177】
なお、筒体11Dは、弾性体によって構成してもよい。この場合には、第3Oリング11Jを設ける必要はなく、蓋本体50Aが筒体11Dの周縁部11Nに圧接されることにより、蓋本体50Aと筒体11Dとが液密状にシールされる。また、筒体11Dは、角筒形状に限らず、円筒形状であってもよい。
【0178】
この第2本体35Aが第1本体34Aに連結される場合も、上記の第1本体34A同士を連結する場合と同様である。すなわち、第2本体35Aの第2本体35Aに設けられた雄型挿し口部13及び隣り合う第1本体34Aの第1保護11Aに設けられた雌型受け口部12が互いに嵌め合わされ、接続体60を介して連結される。また、第2本体35Aに設けられた雌型受け口部12及び隣り合う第1本体34Aに設けられた雄型挿し口部13が互いに嵌め合わされ、接続体60を介して連結される。連結された第2本体35Aと第1本体34Aとは、前述のようにフレックスピボット変位が可能である。
【0179】
第2本体35A内を挿通されるケーブルのメンテナンス作業が実施される場合には、第2本体35Aの第2管本体11Xに取り付けられた蓋50が、作業者によってメンテナンス窓39から外される。なお、第2本体35Aが地中に埋設されている場合には、第2本体35Aが地表に露出するように、地面が掘削される。
【0180】
取付金具45が外されると、第2本体35Aに対する蓋50の固定が解除されて、蓋50は、作業者によって第2本体35Aから取り外される。このような状態になると、第2本体35Aに設けられた筒体11Dのメンテナンス窓39が開放され、作業者は、第2本体35Aの内部を挿通されるケーブルのメンテナンス作業を行うことができる。
【0181】
図16に示されるように、一対の第1本体34A同士が連結されると、隣り合う一対の第1本体34Aのうち一方の第1本体34Aの雄型挿し口部13が、他方の第1本体34Aの雌型受け口部12に対してフレックスピボット変位が可能となる。これにより、第1本体34Aに外力が加わった場合でも、第1本体34Aのいずれか一方又は両方が破損することが抑制される。また、第1本体34Aと第2本体35Aとが嵌合連結された場合も、両者は、フレックスピボット変位が可能である。これにより、第1本体34A及び第2本体35Aのいずれか一方又は両方が破損することが抑制される。
【0182】
第1本体34Aの第1管本体11C及び第2本体35Aの第2管本体11Xは、液密的に連結される(つまり防水機能を発揮する)ので、別途保護ケースに収容される必要がない。これにより、第1本体34A同士の接続、あるいは第1本体34Aと第2本体35Aの接続のための作業性が向上する。また、保護ケースが不要になることにより、ケーブル保護体としての経済性も向上する。
【0183】
本実施形態では、雄型挿し口部13の第1変位案内部14と、接続体60の第2変位案内部120Bとに、互いに当接してフレックスピボット変位を案内する案内曲面が形成されている。これにより、前述のフレックスピボット変位が円滑になる。この場合、第2案内曲面120Eは、同図が示すように、凸形状の第1案内曲面14Bに対応した凹形状であるために、相互に当接した第2案内曲面120Eと第1案内曲面14Bとが円滑に摺接する。これにより、嵌合連結された雄型挿し口部13及び雌型受け口部12が一層滑らかに摺接し、両者の破損がより一層確実に抑制される。
【0184】
図17に示されるように、雄型挿し口部13に設けられた第1Oリング131が弾性変形して、雌型受け口部12の内周面12Aに設けられたゴム板12Jに圧接される。これにより、嵌合状態になった雌型受け口部12と雄型挿し口部13との液密性が確保されつつ、両者の間の弾性的な変位が許容される。このことにより、雌型受け口部12に対する雄型挿し口部13のフレックスピボット変位がさらに円滑になる。
【0185】
雄型挿し口部13の先端面13Cに設けられた第2Oリング132が、第1本体34Aの内周面に形成された段差部15に弾性的に当接している。これにより、相互に嵌合された雌型受け口部12と雄型挿し口部13との間の弾性的な変位が許容される。このことによっても、雌型受け口部12に対する雄型挿し口部13のフレックスピボット変位が円滑になる。
【0186】
加えて、同図に示されるように、接続体60に設けられた突起120Fが、雌型受け口部12の外周面に設けられた緩止溝12Gに嵌合されることにより、接続体60の緩みが確実に規制される。
【0187】
図15に示されるように、接続体60は二分割可能な一対の第1半体61、第2半体62を有することから、一対の第1半体61、第2半体62が組み合わされることにより、第1本体34A又は第2本体35Aに装着された状態で接続体60が組み付けられる。したがって、接続体60の取り付け、交換等の作業性が向上する。
【0188】
図15に示されるように、接続体60の外周面に軸方向に沿って凸条120Dが形成されているため、接続体60の強度が向上し、また、接続体60の締め込み作業が容易になる。
【0189】
図13及び
図18に示されるように、雌型受け口部12及び雄型挿し口部13は、第1管本体11C又は第2管本体11Xと一体的に形成されているために、第1管本体11C又は第2管本体11Xと、雌型受け口部12及び雄型挿し口部13とが一体的に成形され得る。したがって、第1本体34A、第2本体35Aが安価に製造される。
【0190】
図12に示されるように、第2本体35Aは、第2本体35Aにメンテナンス窓39及びメンテナンス窓39を開閉する蓋50が設けられているから、メンテナンス作業者は、蓋50を外し、メンテナンス窓39を通じて、第2管本体11X内を挿通するケーブルのメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0191】
メンテナンス窓39は、筒体11Dの端面開口に設けられている。これにより、メンテナンス作業者は、筒体11Dの端部開口を通じて、ケーブルのメンテナンス作業を行うことができる。
【0193】
上記実施形態では、接続体60は、第1半体61、第2半体62同士の結合によって形成されているが、このような構成に限らない。
【0194】
図21は、本変形例に係るケーブル保護体111の断面図である。
【0195】
図21に示されるように、ケーブル保護体111は、第1本体34Bと接続体129とを備える。第1本体34Bは、第1管本体11Cと、雌型受け口部12と、雄型挿し口部13とを有する。
【0196】
本変形例では、接続体129は、合成樹脂(たとえば塩化ビニル)によって一体的に形成されており、また、凸条120D(
図15参照)が設けられていない。本変形例の接続体129は、これらのこと以外は、上記第3実施形態の接続体60と同様の構成である。
【0197】
接続体129は、第1本体34Aに設けられた雄型挿し口部13に対して嵌合装着された状態で成型される。このために、たとえば、1つの金型において、第1変位案内部14を有する雄型挿し口部13の周囲に、接続体129の内部の形状に対応した成型体と、当該成型体を接続体129の内部型として用いた接続体の成型とを、同時に行う。すなわち、第1変位案内部14を有する雄型挿し口部13を金型内に配置して、雄型挿し口部13の周囲に、たとえばABS樹脂によって接続体129の内部形状に対応した形状の成型体を成型し、これと同時に、たとえば塩化ビニルによって接続体129を成型する。その後、ABS樹脂製の成型体が雄型挿し口部13から取り除かれることにより、雄型挿し口部13に嵌合装着された接続体129が形成される。
【0199】
第1本体34Aにおいて、第1管本体11Cと、雌型受け口部12及び雄型挿し口部13とは、それぞれ同一の樹脂によって一体的に成形される構成に限らない。たとえば、第1管本体11C及び雌型受け口部12が硬質の合成樹脂によって成形され、雄型挿し口部13が弾性体によって構成されてもよい。この場合、雄型挿し口部13は、第1管本体11Cと一体的に接続される。弾性体である雄型挿し口部13の外周面が、雌型受け口部12の内周面に設けられたゴム板12Jに弾性的に圧接されることになる。したがって、第1Oリング131が用いられることなく、雌型受け口部12及び雄型挿し口部13とが弾性的かつ液密的に嵌合される。
【0200】
また、雌型受け口部12にゴム板12Jが設けられない構成であってもよい。この場合、弾性体である雄型挿し口部13の外周面が、雌型受け口部12の内周面に圧接されて、両者が弾性的かつ液密的に接触される。さらには、雌型受け口部12が弾性体によって構成されてもよい。
【0201】
なお、第2本体35Aにおいても同様の設計変更が可能であり、第2管本体11X(
図20)と、雌型受け口部12及び雄型挿し口部13とを、それぞれ同一の樹脂によって一体的に成形される構成に限らない。
【0203】
第1本体34Aの第1管本体11Cとしては、既存の管継手(汎用品)が使用可能である。
【0204】
図22(A)〜(D)のそれぞれは、第1本体34Aとして使用される管継手140A〜140Dの側面図である。
【0205】
図22(A)に示される管継手140Aは、直管状の継手本体141Aと、継手本体141Aの両端部に設けられた受け口部142とを有する。このような管継手140Aを第1管本体11Cとして使用する場合には、継手本体141Aの両端部に設けられた受け口部142に、上記雌型受け口部12及び上記雄型挿し口部13がそれぞれ接続されることにより、第1本体34Aとされる。なお、上記受け口部142に雄ねじが形成されているが、この雄ねじは省略され、上記雌型受け口部12及び上記雄型挿し口部13が上記受け口部142に接続されてもよい。
【0206】
図22(B)に示される管継手140Bは、直管状の継手本体141Aにおける中央部に分岐管143が接続されている。継手本体141Aの両端部には、受け口部142がそれぞれ設けられており、分岐管143の先端部にも受け口部142が設けられている。このような管継手140Bでも、継手本体141Aにおける両端部の受け口部142に、上記雌型受け口部12及び上記雄型挿し口部13がそれぞれ接続される。また、分岐管143の受け口部142に、上記雌型受け口部12又は上記雄型挿し口部13が一体的に接続される。これにより、第1本体34Aが形成される。なお、上記受け口部142に雄ねじが形成されているが、この雄ねじは省略されてもよいことは勿論である。
【0207】
図22(C)に示される管継手140Cは、直管状の継手本体141Aの中央部に、相互に逆方向に分岐した一対の分岐管143が設けられている。継手本体141Aの両端部には、受け口部142がそれぞれ設けられており、各分岐管143の先端部にも受け口部142が設けられている。このような管継手140Cも、継手本体141Aにおける両端部の受け口部142に、上記雌型受け口部12及び上記雄型挿し口部13がそれぞれ一体的に接続される。また、各分岐管143の受け口部142に、上記雌型受け口部12及び上記雄型挿し口部13のそれぞれが一体的に接続される。これにより、第1本体34Aが形成される。なお、上記受け口部142に雄ねじが形成されているが、この雄ねじは省略されてもよいことは勿論である。
【0208】
なお、
図22(A)に示された管継手140Aに代えて、
図22(D)に示されるように、継手本体141Dが湾曲形状になった管継手140Dを、第1本体34Aの第1管本体11Cとして使用することも可能である。なお、上記受け口部142に雄ねじが形成されているが、この雄ねじは省略されてもよいことは勿論である。
【0210】
図14に示されるように、上記実施形態では、雄型挿し口部13における先端面13Cに第2Oリング132が設けられる構成であったが、このような第2Oリング132が設けられない構成であってもよい。このような構成の場合、一方の第1本体34Aの雄型挿し口部13に、他方の第1本体34Aの雌型受け口部12が挿入されると、一方の第1本体34Aにおける雄型挿し口部13の先端面13Cは、他方の第1本体34Aにおける段差部15との間に間隙が形成される。これにより、雌型受け口部12に対する雄型挿し口部13のフレックスピボット変位の許容範囲が大きくなる。
【0212】
第1実施形態や第2実施形態や第3実施形態や各変形例では、丸筒状のケーブル保護体30、110、111が説明された。しかしながら、ケーブル保護体は、角筒など他の筒状であってもよい。第4実施形態では、
図23に示される角筒状のケーブル保護体112が説明される。
【0213】
図23(A)に示されるように、ケーブル保護体112は、角筒状の複数の保護筐体90を備える。保護筐体90は、
図23(B)に示されるように、中筒91と、中筒91を収容する外筒92とを備える。中筒91は、丸筒状であり、ケーブルが挿通される挿通孔93を有する。外筒92は、矩形箱状(角筒状)である。外筒92は、中筒91の挿通孔93を露出させる一対の開口94を対向する一対の両側面にそれぞれ有する。
【0214】
外筒93は、ほぼ同形状の第1半体95と第2半体96とを備える。第1半体95と第2半体96とは、ボルト97とナット98とを用いて互いに取着される。
【0215】
第1半体95に、ICチップ40が取着されている。ICチップ40の取着構造は、第1実施形態と同様である。簡単に説明すると、ICチップ40が嵌め込まれる凹部54(
図4)が第1半体95に設けられている。ICチップ40が凹部54に嵌め込まれた後、第1実施形態と同様に、電磁シールド部材48(
図4)が配置される。その後、取付板53(
図4)が、螺子49を用いて第1半分95に取着される。取付板53により、電磁シールド部材48及びICチップ40が第1半体95に固着される。
【0217】
第4実施形態では、ICチップ40が第1半体95に設けられた例が説明された。ICチップ40は、第2実施形態と同様に、フランジに設けられてもよい。すなわち、第2実施形態の第1フランジ63及び第2フランジ65(
図6)と同様の構成のフランジが第1半体95及び第2半体96に設けられる。ICチップ40は、第1半体95または第2半体96のフランジに設けられた凹部に配置される。
【解決手段】歩行者誘導システムは、携帯装置及びケーブル保護体30を備える。携帯装置は、近接無線通信部、制御部、及びマイクロフォンを有する。ケーブル保護体30は、保護筐体31及びICチップ40を有する。保護筐体31は、メンテナンス窓39が設けられた第2本体35と、メンテナンス窓39を開閉する着脱自在の蓋50とを備える。蓋50は、ICチップ40が嵌め込まれる凹部を有する。凹部にICチップ40が嵌め込まれた後、電磁シールド部材がICチップ40に被せられ、さらに、取付板が蓋50に取着される。電磁シールド部材は、ケーブルが放出する電磁波を遮蔽して電磁波からICチップ40を保護する。