(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の混練機では、混練中の被混練物の状態を基に混練機の運転制御を行うものではないため、被混練物の違いによらず、十分に混練を行うことができているか否かの判断が難しい。
ここで、被混練物の材料によっては、混練中に、一対のロータ間の隙間に円滑に被混練物を押し込んで、被混練物をロータが噛み込むことができずに、被混練物の一部がロータの上部に滞留するとともに上方にせり上がってしまうことがある。この場合、十分に被混練物の混練を行うことができないため、このような状態を的確に判断し、混練に反映する手法が必要となる。
【0007】
本発明は、被混練物のせり上がりによって生じる混練不良を抑制し、被混練物の材料の違いに応じた適切な混練を行うことができ
る混練システム、及び混練生成物の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様に係る混練
システムは、隙間を有して配列された一対のロータと、前記一対のロータが配置されるチャンバー、前記被混練物をチャンバーに導入する導入口、及び前記被混練物を前記チャンバーから排出する排出口が形成されたケーシングと、前記一対のロータの上方に配置されて、前記被混練物の位
置の変動を検出するセンサと、前記センサの検出結果に基づいて前記一対のロータの回転を制御する制御部と、を備え
る下部混練機と、前記下部混練機の上方に配された上部混練機と、を備え、
前記下部混練機の前記導入口には該導入口を閉塞するフローティングウェイトは設けられず、前記上部混練機で混練された被混練物が、前記導入口から前記下部混練機に導入されてさらに混練される。
【0009】
このような混練
システムによれば、
下部混練機で被混練物がチャンバー内に導入されて混練されている間に被混練物の一部をロータが噛み込まず、上方に向かってせり上がった際、このせり上がり部分は被混練物の位置変動となる。センサによってこの位置変動を検出することで、せり上がり部分が発生したことをセンサによって検出することができ
る。
よって、このようなセンサの検出結果に基づいて制御部でロータの回転を制御することで、被混練物のせり上がり部分を一対のロータ間に噛み込ませることができる。
【0010】
また、本発明の第二の態様に係る混練
システムは、上記第一の態様における前記センサは、前記被混練物の上下方向の位置を検出してもよい。
【0011】
このようなセンサによって、被混練物のせり上がり部分の発生を検出することができる。そして、センサの検出結果に基づいて制御部でロータの回転を制御することで、被混練物のせり上がり部分を一対のロータ間に噛み込ませることが可能となり、より適切な混練を行うことができる。
【0012】
また、本発明の第三の態様に係る混練
システムは、上記第二の態様における前記制御部は、前記被混練物の上下方向の位置変動の周期に基づいて、前記一対のロータの回転数を変動させてもよい。
【0013】
このように被混練物の上下方向の位置変動、即ち、せり上がり部分の頂上の高さ位置の変動の周期に基づいてロータの回転数を増減させることで、被混練物のせり上がり部分を一対のロータ間に噛み込ませることが可能となり、さらに適切な混練を行うことができる。
【0014】
また、本発明の第四の態様に係る混練
システムは、上記第一から第三いずれかの態様における前記センサは、上下方向に交差する水平方向への前記被混練物の位置の変動をさらに検出可能であり、前記制御部は前記水平方向への前記被混練物の位置の変動に基づいて前記一対のロータの回転を制御してもよい。
【0015】
このような制御を行うことで、被混練物のせり上がり部分を一対のロータ間にさらに効率よく噛み込ませることが可能となり、さらに適切な混練を行うことができる。
【0022】
また、本発明の第
五の態様に係る混練生成物の製造方法は、
上記の混練システムによって混練生成物を製造する混練生成物の製造方法であって、隙間を有して配列された
前記一対のロータを配置する
前記チャンバーに、
前記導入口から被混練物を導入する導入工程と、前記チャンバーに導入された前記被混練物を、前記一対のロータによって混練する混練工程と、前記被混練物が混練されている間に、前記一対のロータと前記導入口との間に配置された前記被混練物の位
置の変動を検出する検出工程と、前記検出工程での検出結果に基づいて前記一対のロータの回転を調整する調整工程と、を含み、前記検出工程、前記調整工程を実行しつつ前記混練工程を継続することで混練生成物を製造する。
【0023】
このような混練生成物の製造方法によれば、混練中に被混練物の一部をロータが噛み込まず、上方に向かってせり上がった際、被混練物の位
置の変動から、このせり上がり部分が発生したことを検出することができる。よって、このようなセンサの検出結果に基づいてロータの回転を調整することで、被混練物のせり上がり部分を一対のロータ間に噛み込ませることができる。
【発明の効果】
【0024】
上記の混練機、混練システム、及び混練生成物の製造方法によれば、被混練物のせり上がりによって生じる混練不良を抑制し、被混練物の材料の違いに応じた適切な混練を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態に係る混練システム1について
図1及び
図2を参照して説明する。
本実施形態の混練システム1は、上下に接続された二つの混練機2を備えたタンデム型の混練装置となっている。
ここで、下側の混練機2は下部混練機(第一混練機)43、上側の混練機2は上部混練機(第二混練機)3とする。
混練システム1では、例えば原料ゴム等を含んでなる被混練物Wが、上部混練機3で混練された後に下部混練機43に導入されてさらに混練され、最終的に混練生成物W1が製造される。
【0027】
上部混練機3は、上下方向に直交する水平方向に並ぶ一対のロータ4と、ロータ4を囲むケーシング5と、ケーシング5に設けられたドロップドア24及びフローティングウェイト33と、フローティングウェイト33を動作させる駆動部36を備えている。
【0028】
一対のロータ4は、水平方向に隙間SP1を有して配列されている。各々のロータ4は、不図示の動力源によって水平方向に延びるとともに、水平方向に直交するとともに互いに平行な軸線O1、O2を中心として回転可能な柱状をなしている。これらロータ4は、互いに逆方向に回転する(
図2の回転方向Rを参照)。即ち、通常運転時には、一対のロータ4における最上部に位置する外周面の部分が、互いに近接するように隙間SP1に向かって回転する。
【0029】
ケーシング5は、一対のロータ4を囲む本体部10と、本体部10から上方に延びる駆動部支持部15と、本体部10から下方に延びるドロップドア支持部19とを有している。
【0030】
本体部10には、一対のロータ4が配置されるチャンバーC1と、被混練物WをチャンバーC1に導入する導入口11と、被混練物WをチャンバーC1から排出する排出口12が形成されている。
【0031】
チャンバーC1は、各々のロータ4を外周側から囲むように略楕円状の空間として形成されている。
【0032】
導入口11は、チャンバーC1の上部に開口するとともに、上方に真っ直ぐに延びて本体部10を貫通し、チャンバーC1と本体部10の外部とを連通している。
【0033】
排出口12は、チャンバーC1の下部に開口するとともに、下方に延びて本体部10を貫通し、チャンバーC1と本体部10の外部とを連通している。本実施形態では、排出口12は、下方に向かうに従って漸次開口が拡径するように形成されている。
【0034】
駆動部支持部15は、詳細を後述する駆動部36を支持しており、導入口11の外側で、即ち、導入口11を囲むようにして、本体部10から上方に向かって延び、材料投入ドア(不図示)を備えた筒状部16と、筒状部16を上方から覆うとともに、導入口11の上方の位置で、上下に貫通する貫通孔18が形成された蓋部17とを有している。
【0035】
ドロップドア支持部19は、排出口12の外側で、即ち、本体部10から下方に向かって延びるとともに、軸線O1、O2の方向にも延びる筒状をなす筒状部20と、筒状部20の下部に接続されて水平方向に互いに離間する方向に延びる板状をなす一対の板状部21とを有している。
【0036】
ドロップドア24は、筒状部20における水平方向の一方に、ロータ4の軸線O1、O2に平行な軸線O3を中心として、筒状部20に対して回動可能に取り付けられた回動支持部25と、回動支持部25に一体に設けられて回動支持部25の回動にともなって排出口12を下方から開閉可能なドア部28とを有している。
【0037】
これにより、ドア部28は、排出口12の拡径形状に対応して、排出口12の閉塞している状態で、チャンバーC1に向かう方向に縮径するように形成されている。そして、ドア部28におけるロータ4に対向する位置には、ドア部28が排出口12を閉塞している状態でチャンバーC1の内周面、及び、一対のロータ4の外周面に沿って湾曲するように、水平方向の中央部で隙間SP1に向かって突出する突出部29を形成する一対の湾曲面30が形成されている。
【0038】
フローティングウェイト33は、導入口11を上方から開閉可能に設けられている。そして、フローティングウェイト33におけるロータ4に対向する位置には、フローティングウェイト33が導入口11を閉塞している状態でチャンバーC1の内周面に沿って、かつ、一対のロータ4の外周面に沿って湾曲するように、水平方向の中央部で隙間SP1に向かって突出する突出部34を形成する一対の湾曲面35が形成されている。
【0039】
駆動部36は、フローティングウェイト33の上部に設けられた支持棒37と、支持棒37が取り付けられた上部支持部38と、上部支持部38から下方に向かって延びるように取り付けられた一対のシリンダ39とを有している。
【0040】
支持棒37は、フローティングウェイト33と一体に設けられて上方に延びるとともに、ケーシング5の蓋部17に形成された貫通孔18に挿通されて、蓋部17から上方に突出するように設けられている。
【0041】
上部支持部38は、支持棒37の上端をナット等の固定部材40によって支持している。さらに上部支持部38は、筒状部16及び蓋部17の上方に離間して配置されてこれら筒状部16及び蓋部17を覆うように設けられている。
【0042】
一対のシリンダ39は、それぞれの筒状部16における水平方向の外側を向く面と上部支持部38の下面における水平方向の両端位置との間に介在されている。これらシリンダ39は、伸縮することで筒状部16に対して上下方向に上部支持部38を相対移動可能としている。
【0043】
このような上部支持部38の上下動にともなって支持棒37が上下動し、フローティングウェイト33が導入口11に対して近接離間するように筒状部16内の空間SP3内で上下動し、フローティングウェイト33が導入口11を開閉するようになっている。
【0044】
次に、下部混練機43について説明する。本実施形態では下部混練機43は、上部混練機3と略同一の大きさで図示してあるが、大きさは限定されない。
【0045】
下部混練機43は、上部混練機3と同様に、水平方向に並ぶ一対のロータ44と、ロータ44を囲むチャンバーC2が形成されたケーシング45と、ケーシング45に設けられたドロップドア64とを備えている。
【0046】
一対のロータ44は、水平方向に隙間SP2を有して配列され、それぞれ軸線O4、O5を中心として回転する。
ドロップドア64は、軸線O4、O5に平行な軸線O6を中心として回動する回動支持部65とドア部68とを有している。
ドア部68には、突出部69を形成する一対の湾曲面70が形成されている。
【0047】
一方でこの下部混練機43は、上部混練機3とは異なり、フローティングウェイト33及び駆動部36に相当する構成を備えておらず、代わりに、ケーシング45に設けられたセンサ80、及びセンサ80の検出結果に基づいてロータ44の回転を制御する制御部82を備えている。
【0048】
ケーシング45は、上部混練機3と同様のチャンバーC2、導入口51、及び排出口52が形成された本体部50と、本体部50から上方に延びる筒状部56と、上部混練機3と同様に下方に延びる筒状部60及び板状部61が形成されたドロップドア支持部59とを有している。
【0049】
筒状部56は、上部混練機3の筒状部16とは異なり、本体部50から上方に向かうに従って水平方向の外側に、筒状部56における水平方向両側の壁面同士が互いに離間するように傾斜している。また、筒状部56は、上部混練機3における板状部21の下部に接続されている。
【0050】
即ち、上部混練機3における排出口12と、下部混練機43における導入口51とが、上部混練機3におけるドロップドア支持部19と下部混練機43における筒状部56とが接続されることで連通している。よって、上部混練機3からの被混練物Wが下部混練機43に導入されるようになっている。
【0051】
センサ80は、一対のロータ44の上方に配置されて、ケーシング45における筒状部56の両壁面それぞれに、水平方向に沿って貫通するようにして設けられた例えば赤外線センサ等である。そしてこのセンサ80は、下部混練機43のチャンバーC2内における被混練物Wの上下方向の位置を検出するようになっている。
【0052】
制御部82は、センサ80で被混練物Wの上下方向に所定の高さ位置まで存在する状態
が検出された場合、例えば本実施形態では、筒状部56が設けられた高さ位置に被混練物Wの頂点が達する状態となった場合に、ロータ44の回転を制御する。本実施形態での回転の制御は、ロータ44の回転数を変動させる制御である。制御部82は、例えばケーシング45に取り付けられて設けられている。
【0053】
次に、本実施形態の混練システム1による混練方法、及び、制御部82での制御についての具体例を、
図3を参照して説明する。
まず、上部混練機3のチャンバーC1に導入口11から被混練物Wを導入するとともに混練を行って、排出口12から混練後の被混練物Wを排出する(事前混練工程S0)。
【0054】
さらに、排出口12からの被混練物Wを、下部混練機43における導入口51からチャンバーC2に導入する(導入工程S1)。
その後、一対のロータ44を回転させることによって被混練物Wを混練する(混練工程S2)。
【0055】
さらに、混練工程S2を実行中、被混練物Wが混練されている際に、一対のロータ44と導入口51との間に配置された被混練物Wの上下方向の高さ位置の変動をセンサ80で検出する(検出工程S3)。
【0056】
そして、検出工程S3での検出結果に基づいて、制御部82によって一対のロータ44の回転を調整する(調整工程S4)。
【0057】
ここで、
図2及び
図4を参照して、検出工程S3及び調整工程S4を実行中の制御部82での処理フローについて説明する。
以下、被混練物Wの一部が上下方向に筒状部56内に配置されるようにせり上がった際(
図2のせり上がり部分Xを参照)に、下部混練機43で混練されている被混練物Wの全量(体積又は重量)に対するせり上がり部分Xの量の比率をA%とする。せり上がり部分Xの量は、例えば、せり上がり部分Xの頂点の位置から、最も上部に位置するロータ44の外周面までの距離、及び、水平方向、及び軸線O4、O5の方向の厚さ寸法により算出する。
【0058】
また、下部混練機43での被混練物Wの混練時間に対するせり上がり部分Xが発生している時間の比率をB%とする。
【0059】
制御部82では、まず時間の計測を開始する(ステップS401)。その後、一定時間tを経過したか否かを判定する(ステップS402)。
ステップS402でNoと判定されている間は、計測を継続するとともに、センサ80の検出結果から、一定時間tの間の上記の比率A%(時間tの間の積算値)を算出し、一定時間tの間の上記の比率B%を算出する(ステップS403)。
【0060】
その後、A%×B%を算出する(ステップS404)。
また、これらステップS403、S404と並行して、一定時間tの間の被混練物のせり上がり部分Xが発生する周期Pを算出しておく(ステップS405)。
【0061】
そして、時間tが経過した場合、即ち、ステップS402でYesと判定された場合、計測時間をリセットするとともに(ステップS406)、次の一定時間tの間、A%×B%の数値が最小となるように、かつ、周期Pで、ロータ44の回転数を小さくするように制御を行う(ステップS407)。
【0062】
そして、以上説明したように、制御部82では、各ステップS401〜S407が繰り返されることで、即ち、混練工程S2を実行しながら検出工程S3及び調整工程S4が繰り返されることで、被混練物Wの上下方向の位置変動の周期に基づいて、一対のロータ44の回転数を変動させる。
【0063】
以上説明した本実施形態の混練システム1によると、被混練物Wが下部混練機43のチャンバーC2内に導入されて混練されている間に、被混練物Wの一部が一対のロータ44間に噛み込まず、せり上がり部分Xが発生した際に、センサ80によって、このせり上がり部分Xの発生を、被混練物Wの上下方向(高さ方向)の位置変動として検出することができる。
【0064】
そして、制御部82で、センサ80の検出結果に基づいて、即ち、A%×B%の数値、及びせり上がり部分Xの発生の周期Pに基づいて、ロータ44の回転数を増減させる制御方法によって、せり上がり部分Xをロータ44間に噛み込ませることが可能となる。
【0065】
従って、被混練物Wのせり上がりによって生じる混練不良を抑制でき、被混練物Wの材料の違いに応じた適切な混練を行うことが可能となる。
【0066】
また、センサ80及び制御部82によるロータ44の回転制御によって、例えば下部混練機43のチャンバーC2を大きくすることで被混練物Wのせり上がり部分Xの発生を抑制する等の対策が不要となり、混練システム1のコンパクト化を図ることができる。
【0067】
上述した場合では、調整工程S4では制御部82によって一対のロータ44の回転を調整しているが、検出工程S3での検出結果に基づいて作業者が手動でロータ44の回転を調整してもよい。
【0068】
また、上部混練機3には、フローティングウェイト33が設けられているが、必ずしも設けられていなくともよい。一方で、下部混練機43にもフローティングウェイト33に相当する装置が設けられていてもよい。
【0069】
〔第二実施形態〕
次に、
図5を参照して、本発明の第二実施形態について説明する。
第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態の混練システム1Aは、制御部82Aが、被混練物Wの上下方向の位置変動の周期に基づいて一対のロータ44の回転数を変動させる点で第一実施形態と共通する一方で、その制御方法が異なっている。
【0070】
即ち、制御部82Aでは、ステップS402で一定時間tが経過したか否かの判定でNoとされた際、一定時間tの間でせり上がり部分Xが発生する回数、即ち、センサ80が被混練物Wの上下方向の位置変動を検出する回数Nを算出する(ステップS413)。
【0071】
そして、制御部82Aは、次の一定時間tの間、同じ回数Nで、回数Nを計測した際と同じ周期で、一対のロータ44の回転数を小さくする(ステップS417)。その後、これらのステップを繰り返す制御を行う。
【0072】
本実施形態の混練システム1Aによると、第一実施形態と同様に、制御部82Aでセンサ80の検出結果に応じて、被混練物Wのせり上がり部分Xの高さ位置の変動の周期に応じてロータ44の回転数を増減させる制御方法を採用している。従って、被混練物Wのせり上がり部分Xをロータ44間に噛み込ませることが可能となり、被混練物Wのせり上がり部分Xの発生によって生じる混練不良を抑制でき、被混練物Wの材料の違いに応じた適切な混練を行うことができる。
【0073】
〔
参考例〕
次に、
図6を参照して、本発明の
参考例について説明する。
第一実施形態及び第二実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本
参考例の混練システム1Bは、センサ80Bが第一実施形態及び第二実施形態と異なっている。即ち、本
参考例のセンサ80Bは、フローティングウェイト33に作用する圧力変動を検出することで、上部混練機3B(第一混練機)における被混練物Wの圧力の変動を検出するセンサである。
【0074】
具体的には、上部混練機3Bにおける一対のシリンダ39の少なくとも一方、又はその配管に設けられて、シリンダ39がフローティングウェイト33へ作用させる押圧力を検出可能な圧力センサである。
【0075】
制御部82Bでは、シリンダ39での押圧力が予め設定した所定値以上になった際に被混練物Wにせり上がり部分Xが生じたとして、例えば、第一実施形態及び第二実施形態で説明した制御部82、82Aでの処理フローと同様の処理フローを実行して、ロータ44の回転の制御を行い、せり上がり部分Xの発生を抑制する。
【0076】
本
参考例の混練システム1Bによると、センサ80Bでシリンダ39での押圧力の変動を検出することで、被混練物Wの圧力変動、即ち、せり上がり部分Xの発生を検出することができる。
【0077】
より具体的には、被混練物Wにせり上がり部分Xが発生すると、せり上がり部分Xがフローティングウェイト33を押圧することでフローティングウェイト33に作用する圧力が増大する。そして、フローティングウェイト33に作用する圧力の変動をシリンダ39での押圧力の変動として検出できるため、被混練物Wの圧力変動、即ち、被混練物Wのせり上がり部分Xの発生を検出することができる。
【0078】
そして、センサ80Bの検出結果に基づいて、制御部82Bで一対のロータ44の回転を制御することで、被混練物Wのせり上がり部分Xを一対のロータ44間に噛み込ませることが可能となり、より適切な混練を行うことができる。
【0079】
ここで、被混練物Wの混練開始初期の段階では、フローティングウェイト33は徐々に導入口11に押し込まれていくことになるが、制御部82Bによって被混練物Wのせり上がり部分Xの発生を抑制することで、フローティングウェイト33を完全に導入口11に押込むまでの時間を低減でき、即ち、混練開始初期の段階での被混練物Wの噛み込み時間を低減することが可能となる。
【0080】
ここで、本
参考例では、フローティングウェイト33に作用する圧力変動を検出するセンサ80Bに代えて、シリンダ39のストローク量を検出することで、フローティングウェイト33の上下方向の変位を検出する位置センサ(センサ80C)を用いてもよい。
【0081】
具体的には、被混練物Wにせり上がり部分Xが発生すると、せり上がり部分Xがフローティングウェイト33を押圧することでフローティングウェイト33が上方に押し出されて位置が変動し、シリンダ39のストローク量が変動する。従って、センサ80Cによってシリンダ39のストロークの変動量からフローティングウェイト33の上下方向の変位を検出することができ、被混練物Wの圧力の変動の発生、即ち被混練物Wのせり上がり部分Xの発生を検出することができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
【0083】
上述の実施形態
及び参考例の混練システム1(1A、1B)では、上下に二つの混練機2が設けられているが、例えば、水平方向に二つの混練機2が並ぶように配置されていてもよい。
またこの場合、各々の混練機2にセンサ80(80B、80C)及び制御部82(82A、82B)を設けてもよい。センサ80B(80C)を採用する場合には、各混練機2にフローティングウェイト33を設ける必要がある。
【0084】
また、センサ80によって、被混練物Wのせり上がり部分Xが水平方向に左右に変位した際に、このせり上がり部分Xの左右の位置を検出し、この検出結果に基づいて制御部82又は手動でロータ44の回転制御を行ってもよい。この場合、例えば一対のロータ44の各々を異なる回転数とすることで、せり上がり部分Xの左右方向の位置を制御して、せり上がり部分Xの発生を抑制してもよい。この場合、せり上がり部分Xをさらに効率的に一対のロータ44間に噛み込ませることができる。
【0085】
また、せり上がり部分Xの発生時に、ロータ44の回転数を低減するだけでなく、場合によっては回転数を増加させるようにしてもよい。