特許第6221237号(P6221237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221237
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】充電率推定装置および充電率推定方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/36 20060101AFI20171023BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20171023BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20171023BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20171023BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   G01R31/36 AZHV
   H01M10/48 P
   H02J7/00 X
   H02J7/10 B
   B60L3/00 S
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-8171(P2013-8171)
(22)【出願日】2013年1月21日
(65)【公開番号】特開2014-139521(P2014-139521A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2015年6月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【復代理人】
【識別番号】100131521
【弁理士】
【氏名又は名称】堀口 忍
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】西垣 研治
(72)【発明者】
【氏名】城殿 征志
(72)【発明者】
【氏名】都竹 隆広
(72)【発明者】
【氏名】野村 博之
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−247374(JP,A)
【文献】 特開平11−233155(JP,A)
【文献】 特開2006−197727(JP,A)
【文献】 特開2004−301783(JP,A)
【文献】 特開2010−019595(JP,A)
【文献】 特開平11−148966(JP,A)
【文献】 特開平07−198808(JP,A)
【文献】 特開2005−055420(JP,A)
【文献】 特開2012−210128(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/026477(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36
B60L 3/00
H01M 10/48
H02J 7/00
H02J 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SiO負極を利用した電池の閉回路電圧を測定する電圧計測部と、
充電モードの場合、充電器が定電流充電をするときの前記電池の閉回路電圧と0〜100%の充電率とが関連付けられた複数の充電モード情報の中から充電方法を有する充電方法情報を用いて前記充電方法情報に対応する充電モード情報を参照し、参照した前記充電モード情報から測定した前記閉回路電圧のみを用いて充電率を取得し、取得した前記充電率を前記電池の充電率とする充電推定部と、
放電モードの場合、決められた動作パターンで車両を動作させて求められる前記電池の放電パターンを用いて生成された閉回路電圧と充電率とが関連付けられた放電モード情報を参照し、参照した前記放電モード情報から測定した前記閉回路電圧のみを用いて充電率を取得し、取得した前記充電率を前記電池の充電率とする放電推定部と、
を備えることを特徴とする充電率推定装置。
【請求項2】
計測した前記閉回路電圧のバラツキの因子となる、電流負荷、前記電池又は前記電池周辺の温度、電池容量、前記電池の劣化を示す因子情報を取得し、取得した前記因子情報に対応する前記閉回路電圧を補正する補正係数を求め、前記補正係数を用いて前記閉回路電圧を補正することを特徴とする請求項1に記載の充電率推定装置。
【請求項3】
コンピュータが、
SiO負極を利用した電池の閉回路電圧を取得し、
充電モードの場合、充電器が定電流充電をするときの前記電池の閉回路電圧と0〜100%の充電率とが関連付けられた複数の充電モード情報の中から充電方法を有する充電方法情報を用いて前記充電方法情報に対応する充電モード情報を参照し、参照した前記充電モード情報から測定した前記閉回路電圧のみを用いて充電率を取得し、取得した前記充電率を前記電池の充電率とする処理、
放電モードの場合、決められた動作パターンで車両を動作させて求められる前記電池の放電パターンを用いて生成された閉回路電圧と充電率とが関連付けられた放電モード情報を参照し、参照した前記放電モード情報から測定した前記閉回路電圧のみを用いて充電率を取得し、取得した前記充電率を前記電池の充電率とする処理、
を実行することを特徴とする充電率推定方法。
【請求項4】
計測した前記閉回路電圧のバラツキの因子となる、電流負荷、前記電池又は前記電池周辺の温度、電池容量、前記電池の劣化を示す因子情報を取得し、取得した前記因子情報に対応する前記閉回路電圧を補正する補正係数を求め、前記補正係数を用いて前記閉回路電圧を補正する処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする請求項3に記載の充電率推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電率を推定する充電率推定装置および充電率推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池の充電率(State Of Charge:SOC)の推定方法として、閉回路電圧(Closed Circuit Voltage)を計測し、計測した閉回路電圧を用いて開回路電圧(Open Circuit Voltage:OCV)を推定し、この開回路電圧を用いて充電率を推定する方法が知られている。
【0003】
しかし、分極が解消するまでに長時間を要する二次電池の場合、SOC−OCV特性における充放電時のヒステリシスが大きいため、開回路電圧から充電率を正確に推定することが難しい。なお、分極が解消するまでに長時間を要する二次電池として、例えば、SiO(一酸化珪素)を負極に用いた二次電池などが知られている。
【0004】
また、充電率を推定する技術として、充電型電池の残容量を精度よく検出する充電型電池残容量検出装置が知られている。例えば、特許文献1を参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−281306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたものであり、分極が大きくかつ分極解消に長時間を要し、SOC−OCV特性において充放電のヒステリシスが大きい電池の充電率を、精度よく推定する充電率推定装置および充電率推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の態様のひとつである充電率推定装置は、電圧計測部、充電推定部、放電推定部を有する。電圧計測部は電池の閉回路電圧を測定する。
充電推定部は、充電モードの場合、測定した閉回路電圧を用いて、充電器が定電流充電をするときの電池の閉回路電圧と充電率とが関連付けられた充電モード情報を参照し、充電率を推定する。
【0008】
放電推定部は、放電モードの場合、測定した閉回路電圧を用いて、決められた動作パターンで車両を動作させて求められる電池の放電パターンを用いて生成された閉回路電圧と充電率とが関連付けられた放電モード情報を参照し、充電率を推定する。
【発明の効果】
【0009】
本実施形態によれば、分極が大きくかつ分極解消に長時間を要し、SOC−OCV特性において充放電のヒステリシスが大きい電池の充電率を、精度よく推定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、充放電装置の一実施例を示す図である。
図2図2は、充放電時のSOC−OCV特性の一実施例を示す図である。
図3図3は、充放電時のSOC−CCV特性の一実施例を示す図である。
図4図4は、実施形態1の動作の一実施例を示す図である。
図5図5は、充電モード情報と放電モード情報のデータ構造の一実施例を示す図である。
図6図6は、実施形態2の動作の一実施例を示す図である。
図7図7は、実施形態2の充電モード情報のデータ構造の一実施例を示す図である。
図8図8は、実施形態3の動作の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面に基づいて、実施形態について詳細を説明する。
実施形態1について説明をする。
図1は、充放電装置の一実施例を示す図である。図1の充放電装置1は充電率推定装置を有し、電池2、電圧計測部3、制御部4、記憶部5、充電器6、スイッチSW1、SW2などから構成される。図1の負荷7は、充放電装置1からの電力を受電して動作する装置である。動作する装置は、例えば、車両に搭載されるモータなどが考えられる。
【0012】
なお、充電率推定装置は、電圧計測部3、制御部4、記憶部5、スイッチSW1、SW2などを有する。
電池2は、分極が大きくかつ分極解消に長時間を要し、充放電のヒステリシスが大きい二次電池などである。二次電池として、例えば、負極にSiO負極を利用したリチウムイオン二次電池などが考えられる。ただし、SiOを負極に用いたリチウムイオン二次電池に限定されるものではない。
【0013】
本実施形態における分極が大きくかつ分極解消に長時間を要し、充放電のヒステリシスが大きい二次電池について説明する。図2は、充放電時のSOC−OCV特性の一実施例を示す図である。図2図201図202は縦軸に開回路電圧(OCV[V])が示され、横軸に充電率(SOC[%])が示され、温度25℃において通電停止から3時間が経過した状態を示している。充電時のSOC−OCV特性は曲線203に示され、放電時のSOC−OCV特性は曲線204に示されている。
【0014】
分極が大きい二次電池とは、例えば、負極にカーボン負極を利用した従来の二次電池の分極より大きい二次電池である。
SiO負極を利用した二次電池の場合、図202の例では、充放電時の開回路電圧3.3[V]における点Aと点Bの充電率の差(ヒステリシス)が15.5±7.5[%]である。これは、曲線203上の点Aと曲線204上の点Bは、点Aと点Bの充電率の平均である15.5[%]から充電率が7.5[%]離れていることを示す。また、カーボン負極を利用した二次電池の場合、温度25℃において通電停止から3時間が経過した状態において、充放電時の開回路電圧3.3[V]における充電率の差(ヒステリシス)を測定した結果として4.4±0.2[%]を得ているものとする。この場合に、カーボン負極を利用した二次電池の充電率の差より、SiO負極を用いた二次電池の充電率の差が大きいので、SiO負極を用いた二次電池は分極が大きい二次電池となる。なお、本例では充放電時の開回路電圧3.3[V]で求めた充電率の差を用いて比較をしているが、充放電時の充電率の差が最大になる開回路電圧は3.3[V]に限らない。
【0015】
分極解消に長時間を要する二次電池とは、例えば、負極にカーボン負極を利用した従来の二次電池の分極を解消する時間より長い分極解消時間を要する二次電池である。カーボン負極を利用した二次電池の充電率が、例えば、分極が10分内に解消する場合、10分以上経過しても分極が解消しない二次電池は、分極解消に長時間を要する二次電池となる。より詳しくは、10分以上経過しても分極が解消せずに、SOC−OCV特性による充電率が±1[%]未満にならない場合、分極解消に長時間を要する二次電池となる。これは、同じ電圧における、充電時の曲線上の点と放電時の曲線上の点が、各点の充電率の平均値から充電率が1[%]以上離れている場合である。
【0016】
なお、図1の例では1つの電池を用いて説明しているが1つの電池に限定されるものではなく、複数の電池を用いてもよい。
電圧計測部3は電池2の電圧を計測する。例えば、電圧計などが考えられる。また、電圧計測部3が計測したデータは制御部4に出力される。
【0017】
制御部4(コンピュータなど)は、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、プログラマブルなデバイス(FPGA(Field Programmable Gate Array)、PLD(Programmable Logic Device)など)を用いることが考えられる。
【0018】
記憶部5は、例えばRead Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)などのメモリやハードディスクなどが考えられる。なお、記憶部5にはパラメータ値、変数値などのデータを記憶してもよいし、実行時のワークエリアとして用いてもよい。また、制御部4が記憶部を有している場合には記憶部5を用いなくてもよい。
【0019】
充電器6は、給電装置から電力を受電して電池2に充電するための装置である。
スイッチSW1、SW2は、制御部4からの指示により充電と放電とを切り替えるスイッチで、リレーなどを用いることが考えられる。本例では、2つのスイッチSW1、SW2を用いて充電と放電の切り替えをしているが図1の回路に限定されるものではない。
【0020】
制御部について説明する。
制御部4は、充電モードの場合に電圧計測部3から測定した電池2の閉回路電圧を用いて、充電モード情報を参照し、充電率を推定する充電推定部8を有する。充電モードは外部から充電器6を介して電池2に充電をしているモードである。充電モード情報は、充電器6が定電流充電をするときの電池2の閉回路電圧と充電率とを関連付けた情報である。
【0021】
また、制御部4は、放電モードの場合に測定した閉回路電圧を用いて、放電モード情報を参照し、充電状態を推定する放電推定部9を有する。放電モードは車両が走行しているモードである。放電モード情報は、決められた動作パターンで車両などを動作させて求められる電池2の放電パターンを用いて生成された閉回路電圧と充電率とを関連付けた情報である。
【0022】
なお、充電モード情報および放電モード情報は記憶部5に記憶してもよい。
充電モード情報および放電モード情報の閉回路電圧と充電率の関係について説明をする。
【0023】
図3は、充放電時のSOC−CCV特性の一実施例を示す図である。図3のSOC−CCV特性を示す図301の曲線302は、充電器6が定電流充電をするときの電池2の閉回路電圧と充電率との関係を示している。充電モードにおける閉回路電圧と充電率との関係は、例えば、実験やシミュレーションにより求める。
【0024】
図301の曲線303は、決められた動作パターンで車両などを動作させて求められる電池2の放電パターンを用いて生成された閉回路電圧と充電状態との関係を示している。
決められた動作パターンとは、車両が電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の場合には、走行パターンから測定する燃費測定方法JC−08モード、LA#4モードなどが考えられる。フォークリフトの場合は、予め決められた走行パターンや作業パターンを用いることが考えられる。
【0025】
放電パターンは、走行パターンや作業パターンで車両を動作させたときの車両に搭載された電池2に代表される放電時の閉回路電圧のパターンである。放電モードにおける閉回路電圧と充電率との関係は、放電時の閉回路電圧を用いて実験やシミュレーションにより求める。
【0026】
制御部の動作について説明する。
図4は、実施形態1の動作の一実施例を示す図である。ステップS401では、制御部4が閉回路電圧を電圧計測部3から取得する。ステップS402では、制御部4が放電モードであるか充電モードであるか否かを判定し、放電モードである場合(Yes)にはステップS403に移行し、充電モードである場合(No)にはステップS404に移行する。
【0027】
ステップS403では、制御部4が放電モード情報を参照し、電圧計測部3から取得した閉回路電圧に対応する充電率を取得する。ステップS404では、制御部4が充電モード情報を参照し、電圧計測部3から取得した閉回路電圧に対応する充電率を取得する。ステップS405では制御部4が充電率を決定する。
【0028】
図5は、充電モード情報と放電モード情報のデータ構造の一実施例を示す図である。充電モード情報501は、充電時の閉回路電圧「充電時CCV」と閉回路電圧に対応する充電率「充電率SOC[%]」に記憶される情報を有する。「充電時CCV」には、本例では閉回路電圧を示す情報「cm00」「cm01」「cm02」「cm03」「cm04」「cm05」「cm06」・・・「cm17」「cm18」「cm19」「cm20」が記憶されている。「充電率SOC[%]」には、本例では充電率を示す情報「0」「5」「10」「15」「20」「25」「30」・・・「85」「90」「95」「100」が、閉回路電圧に関連付けられて記憶されている。
【0029】
放電モード情報502は、放電時の閉回路電圧「放電時CCV」と閉回路電圧に対応する充電率「充電率SOC[%]」に記憶される情報を有する。「放電時CCV」には、本例では閉回路電圧を示す情報「dm00」「dm01」「dm02」「dm03」「dm04」「dm05」「dm06」・・・「dm17」「dm18」「dm19」「dm20」が記憶されている。「充電率SOC[%]」には、本例では充電率を示す情報「0」「5」「10」「15」「20」「25」「30」・・・「85」「90」「95」「100」が、閉回路電圧に関連付けられて記憶されている。
【0030】
実施形態1によれば、分極が大きくかつ分極解消に長時間を要し、SOC−OCV特性において充放電のヒステリシスが大きい電池の充電率の推定を、充電時と放電時で推定に用いる情報を変えることにより、精度よく推定することができるという効果を奏する。
【0031】
実施形態2について説明をする。
実施形態2では充電方法ごとに充電モード情報を用意する。図6は、実施形態2の動作の一実施例を示す図である。ステップS601では、制御部4が閉回路電圧を電圧計測部3から取得する。ステップS602では、制御部4が充電方法情報を取得する。充電方法情報は充電方法を示す情報で、例えば、100V充電、200V充電、急速充電などを示す情報を有する。100V充電をする場合には、100V充電を示す情報を有する充電方法情報を制御部4が取得する。
【0032】
ステップS603では、制御部4が放電モードであるか充電モードであるか否かを判定し、放電モードである場合(Yes)にはステップS604に移行し、充電モードである場合(No)にはステップS605に移行する。
【0033】
ステップS604では、制御部4が実施形態で用いる放電モード情報を参照し、電圧計測部3から取得した閉回路電圧に対応する充電率を取得する。ステップS605では、制御部4が実施形態で用い充電モード情報701を参照し、電圧計測部3から取得した閉回路電圧に対応する充電率を取得する。ステップS606では制御部4が充電率を決定する。
【0034】
図7は、実施形態2の充電モード情報のデータ構造の一実施例を示す図である。充電モード情報701は、充電時の閉回路電圧「充電時CCV」と閉回路電圧に対応する充電率「充電率SOC[%]」に記憶される情報を有する。また、「充電時CCV」は、100Vで充電する際の閉回路電圧を記憶する「100V」、200Vで充電する際の閉回路電圧を記憶する「200V」、急速充電する際の閉回路電圧を記憶する「急速充電」を有する。
【0035】
本例では、「100V」には閉回路電圧を示す情報「cm00」「cm01」「cm02」「cm03」「cm04」「cm05」「cm06」・・・「cm17」「cm18」「cm19」「cm20」が記憶されている。「200V」には閉回路電圧を示す情報「cn00」「cn01」「cn02」「cn03」「cn04」「cn05」「cn06」・・・「cn17」「cn18」「cn19」「cn20」が記憶されている。「急速充電」には閉回路電圧を示す情報「cr00」「cr01」「cr02」「cr03」「cr04」「cr05」「cr06」・・・「cr17」「cr18」「cr19」「cr20」が記憶されている。「充電率SOC[%]」には、本例では充電率を示す情報「0」「5」「10」「15」「20」「25」「30」・・・「85」「90」「95」「100」が、「100V」「200V」「急速充電」それぞれに記憶されている閉回路電圧を示す情報に関連付けられて記憶されている。
【0036】
実施形態2によれば、分極が大きくかつ分極解消に長時間を要し、SOC−OCV特性において充放電のヒステリシスが大きい電池の充電率の推定を、充電時と放電時で推定に用いる情報を変えることにより、精度よく推定することができるという効果を奏する。
【0037】
なお、充電方法により放電時のSOC−OCV特性が異なる二次電池の場合には、充電方法ごとに閉回路電圧を記憶し、記憶した閉回路電圧に充電率を関連付けた放電モード情報を用いてもよい。
【0038】
実施形態3について説明をする。
実施形態3では、計測した閉回路電圧のバラツキを補正することで、充電率を推定する精度を向上させる。閉回路電圧をばらつかせる因子として、電流負荷、電池2または電池2の周辺の温度、電池容量、電池2の劣化などが考えられる。
【0039】
図8は、実施形態3の動作の一実施例を示す図である。ステップS801では、制御部4が閉回路電圧を電圧計測部3から取得する。ステップS802では、制御部4が因子情報を取得する。因子情報は電流負荷、電池2または電池2の周辺の温度、電池容量、電池2の劣化などを示す情報を有する。ステップS803では、制御部4が因子情報に含まれる情報各々に対応する補正係数を求め、補正係数を用いて計測した閉回路電圧を補正する。例えば、電流負荷が変わる場合には、記憶部5などに記憶されている電流負荷に対応した補正係数を取得し、計測した閉回路電圧に乗算し、計測した閉回路電圧を補正する。
【0040】
ステップS804では、制御部4が放電モードであるか充電モードであるか否かを判定し、放電モードである場合(Yes)にはステップS805に移行し、充電モードである場合(No)にはステップS806に移行する。
【0041】
ステップS805では、制御部4が実施形態1、2で用いた放電モード情報を参照し、補正した閉回路電圧に対応する充電率を取得する。ステップS806では、制御部4が実施形態1で用いた充電モード情報を参照し、補正した閉回路電圧に対応する充電率を取得する。ステップS807では制御部4が充電率を決定する。
【0042】
実施形態3によれば、分極が大きくかつ分極解消に長時間を要し、SOC−OCV特性において充放電のヒステリシスが大きい電池の充電率の推定を、充電時と放電時で推定に用いる情報を変えることにより、精度よく推定することができるという効果を奏する。
【0043】
なお、充電方法により放電時のSOC−OCV特性が異なる二次電池の場合には、充電方法ごとに閉回路電圧を記憶し、記憶した閉回路電圧に充電率を関連付けた放電モード情報を用いてもよい。
【0044】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 充放電装置、
2 電池、
3 電圧計測部、
4 制御部、
5 記憶部、
6 充電器、
7 負荷、
8 充電推定部、
9 放電推定部、
SW1、SW2 スイッチ、
501、701 充電モード情報、
502 放電モード情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8