(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
室内機に、熱交換器を通過させた室内空気を送風するメインファンと、該メインファンの両側の少なくとも一方に熱交換器を通過させない室内空気を送風するサイドファンとを有する空気調和機であって、
前記メインファンを駆動するメインファン駆動手段と、
前記サイドファンを駆動するサイドファン駆動手段と、
前記メインファン駆動手段と前記サイドファン駆動手段とを制御する制御手段と、
室内温度を検出する室温センサである温度検出手段と、
外気温度を検出する外気温センサと、
室内機の運転対象となる室内の目標温度を設定する温度設定部と
を備え、
前記制御手段は、所定温度条件が満たされると、前記サイドファンを停止させ、
前記所定温度条件は、前記外気温センサの検出値が所定温度以下で、かつ前記室温センサの検出値が前記温度設定部に設定された温度以下になった場合である
ことを特徴とする空気調和機。
室内機に、熱交換器を通過させた室内空気を送風するメインファンと、該メインファンの両側の少なくとも一方に熱交換器を通過させない室内空気を送風するサイドファンとを有する空気調和機であって、
前記メインファンを駆動するメインファン駆動手段と、
前記サイドファンを駆動するサイドファン駆動手段と、
前記メインファン駆動手段と前記サイドファン駆動手段とを制御する制御手段と、
室内温度を検出する室温センサである温度検出手段と、
外気温度を検出する外気温センサと、
室内機の運転対象となる室内の目標温度を設定する温度設定部と
を備え、
前記制御手段は、
前記空気調和機の運転モードに関わらず、前記外気温センサの検出値が所定温度以下で、かつ前記室温センサの検出値が前記温度設定部に設定された温度以下になった場合である第1の温度条件が満たされると、前記サイドファンを停止させ、
前記空気調和機の運転モードが除湿運転モードの時には、前記温度検出手段の検出値が前記温度設定部でユーザが設定した温度以下になった場合である第2の温度条件が満たされると、前記サイドファンを停止させる
ことを特徴とする空気調和機。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる空気調和機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
図1は、本発明の一実施例に係る空気調和機の室内機の外観斜視図であり、
図2は、室内機および室外機における概略構成を示すブロック図であり、
図3は、空気調和機の制御系を概略的に示すブロック図であり、
図4は、
図3の空気調和機の制御系およびセンサの配置位置を示す室内機の分解斜視図である。
【0015】
図1に示すように、本実施例に用いられる空気調和機の室内機20は、本体ユニット263とその両側に左ファンユニット261と右ファンユニット262とを備える。室内機20の本体ユニット263は、主筐体27を備える。主筐体27では、筐体本体28に外装パネル29が覆い被さる。筐体本体28には、中央吹出口30が形成される。外装パネル29の上部には、図示しない吸込口が形成される。中央吹出口30は、下向きに開口している。このような筐体本体28は、例えば室内の壁面に固定することができる。その際、中央吹出口30の前端30aは、後端30bと比べると上方の位置に配置される。その結果、中央吹出口30は、所定の傾斜角αで前上がりの姿勢に形成される。このような傾斜角αの働きで、気流は中央吹出口30から床面に向かって下向きに吹き出すことができるだけでなく、床面に対して平行(水平方向)に吹き出すこともできる。
【0016】
そして、中央吹出口30には、メイン風向変更手段として前後一対の上下風向板31a、31bが配置される。上下風向板31a、31bは、それぞれ水平軸線32a、32b回りで回転することができる。回転に応じて上下風向板31a、31bは、中央吹出口30を開閉することができる。
【0017】
また、筐体本体28の両側面には、個別に左ファンユニット261と右ファンユニット262が配置される。つまり、左ファンユニット261と右ファンユニット262は、筐体本体28の側壁の外側に配置される。左ファンユニット261は、左サイドファン筐体331を備えており、左吹出口341が形成され、サイド風向変更手段としてサイドファンの風向を左右に変える左右風向板341aが配置されている。右ファンユニット262は、右サイドファン筐体332を備えており、右吹出口342が形成され、サイド風向変更手段としての左右風向板342aが配置されている。この左吹出口341と右吹出口342は、不図示の駆動機構によって水平軸線35回りでそれぞれ回転させることで、サイド風向変更手段としてサイドファンの風向を上下に変えられる。上記した水平軸線32a、32bと水平軸線35とは、
図1に示すように、相互に平行に延びている。筐体331と筐体332の側面には、サイドパネル36が覆い被さる。このサイドパネル36には、側面吸込口37が形成される。側面吸込口37は、
図1に示すように、例えばメッシュ状の小開口を集合させて形成する。
【0018】
本実施例にかかる空気調和機は、上記した室内機20との間で無線による双方向通信により遠隔から運転操作が行えるリモコン10を備えている。
【0019】
本実施例にかかる空気調和機の室内機および室外機は、
図2に示すように構成されている。上記した室内機20の本体ユニット263内には、室内熱交換器264およびメインファン265が組み込まれる。メインファン265はクロスフローファンであって、回転によって気流を生成する。本体ユニット263には、メインファン265の働きにより室内空気が吸い込まれる。吸い込まれた室内空気は室内熱交換器264を通過することで冷媒と熱交換され、冷気または暖気が生成される。この室内熱交換器264を通り抜けた後の冷気または暖気の気流は、本体ユニット263の中央吹出口30から吹き出され、メインファン気流301となる。また、室内熱交換器264を通り抜けた気流の流量は、クロスフローファンの回転数に応じて調整される。
【0020】
室外機40の冷凍回路41は、
図2に示すように、四方弁42、圧縮機43、室外熱交換器44、膨張弁45、室外ファン46、および冷媒管50などで構成されている。例えば、冷凍回路41で冷房運転が設定されると、四方弁42は、第2口42bおよび第3口42cを相互に接続し、第1口42aおよび第4口42dを相互に接続する。これにより、圧縮機43の吐出管43bから高温高圧の冷媒が室外熱交換器44に供給される。冷媒は、室外熱交換器44、膨張弁45および室内熱交換器264を順番に流通する。室外熱交換器44では、冷媒の熱エネルギーが外気に放出される。冷媒は、膨張弁45で低圧まで減圧され、室内熱交換器264において周囲の空気から吸熱する。これにより生成された冷気は、メインファン265の働きで室内空間に流される。室内熱交換器264で吸熱した冷媒は、四方弁42を介して圧縮機43に戻される。
【0021】
また、冷凍回路41で暖房運転が設定されると、四方弁42は、第2口42bおよび第4口42dを相互に接続し、第1口42aおよび第3口42cを相互に接続する。これにより、圧縮機43の吐出管43aから高温高圧の冷媒が室内熱交換器264に供給される。冷媒は、室内熱交換器264、膨張弁45および室外熱交換器44を順番に流通する。室内熱交換器264では、冷媒の熱エネルギーが周囲の空気に放出され、暖気が生成される。暖気は、メインファン265の働きで室内空間に吹き出される。冷媒は、膨張弁45で低圧まで減圧され、室外熱交換器44において周囲の空気から吸熱する。その後、冷媒は圧縮機43に戻される。
【0022】
また、本実施例にかかる空気調和機の左ファンユニット261および右ファンユニット262は、本体ユニット263とは独立して設けられる。左ファンユニット261および右ファンユニット262は、ファンユニットの内部に遠心送風機からなるサイドファン266と、サイドファンから送出される気流を吹き出す左吹出口341および右吹出口342をそれぞれ備え、
図1で説明した駆動機構により水平軸線35回りに回転させると共に、左吹出口341および右吹出口342の左右風向板341a、342aにより各吹出口から吹き出される空気の風向・風量を個別に制御することが可能となる。中央吹出口30から吹き出される空気は、室内熱交換器264を通り抜けた冷気または暖気からなるメインファン気流301である。左吹出口341および右吹出口342から吹き出される左サイドファン気流3411と右サイドファン気流3421は、それぞれの側面吸込口37から吸い込んだ室内空気をそのまま吹き出した気流である。
【0023】
続いて、
図3を用いて、本実施例の空気調和機の制御系について説明する。制御ユニット21は、冷暖房確立部211を備える。冷暖房確立部211は、
図2に示す冷凍回路41の動作を制御する。冷暖房確立部211の制御に応じて冷凍回路41では冷房運転の動作または暖房運転の動作が選択的に確立される。冷暖房確立部211は、
図2の圧縮機43や膨張弁45、四方弁42の動作を制御する。こうした制御にあたって冷暖房確立部211は圧縮機43や膨張弁45、四方弁42に制御信号を供給する。例えば四方弁42では制御信号の働きにより弁の位置が切り替えられる。
【0024】
また、制御ユニット21は、気流制御手段としての本体ユニット制御ブロック212およびファンユニット制御ブロック213を備える。本体ユニット制御ブロック212は、
図2の本体ユニット263の動作を制御する。本体ユニット制御ブロック212は、メインファン制御部2121、上下風向板制御部2122および左右風向板制御部2123を有する。メインファン制御部2121には、メインファン駆動源22が接続される。メインファン制御部2121は、メインファン駆動源22の動作を制御する。この制御にあたってメインファン制御部2121は、メインファン駆動源22に駆動信号を供給する。この駆動信号の供給に応じて、メインファン駆動源22は、メインファン265の始動や停止、回転数の制御を実行する。上下風向板制御部2122には、本体ユニット263の上下風向板駆動源23が接続される。上下風向板制御部2122は、上下風向板駆動源23の動作を制御する。この制御にあたって上下風向板制御部2122は、上下風向板駆動源23に制御信号を供給する。制御信号の供給に応じて上下風向板駆動源23は、上下風向板31a、31bの向きを制御する。左右風向板制御部2123には、左右風向板駆動源24が接続される。左右風向板制御部2123は、左右風向板駆動源24の動作を制御する。この制御にあたって左右風向板制御部2123は、左右風向板駆動源24に制御信号を供給する。この制御信号の供給に応じて左右風向板駆動源24は、不図示の左右風向板の向きを制御する。
【0025】
また、制御ユニット21は、気流制御手段としてのファンユニット制御ブロック213を備える。ファンユニット制御ブロック213は、左ファンユニット261と右ファンユニット262の動作を制御する。ファンユニット制御ブロック213は、サイドファン制御部2131、筐体姿勢制御部2132および左右風向板制御部2133を有する。サイドファン制御部2131には、左サイドファン駆動源2611および右サイドファン駆動源2621が個々に接続される。サイドファン制御部2131は、2つの左サイドファン駆動源2611と右サイドファン駆動源2621の動作を個別に制御する。この制御にあたってサイドファン制御部2131は、左サイドファン駆動源2611と右サイドファン駆動源2621に駆動信号を供給する。この駆動信号の供給に応じて左サイドファン駆動源2611および右サイドファン駆動源2621は、サイドファンの始動や停止、回転数の制御を実行する。筐体姿勢制御部2132には、左ファンユニット261と右ファンユニット262のファン筐体駆動源2612、2622が個々に接続される。筐体姿勢制御部2132は、2つのファン筐体駆動源2612、2622の動作を制御する。この制御にあたって筐体姿勢制御部2132は、ファン筐体駆動源2612、2622に個別に駆動信号を供給する。この駆動信号の供給に応じてファン筐体駆動源2612は、左サイドファン筐体331の向きを制御し、ファン筐体駆動源2622は、右サイドファン筐体332の向きを制御する。左右風向板制御部2133には、左右風向板駆動源2613、2623が個々に接続される。左右風向板制御部2133は、左右風向板駆動源2613、2623の動作を制御する。この制御にあたって左右風向板制御部2133は、左右風向板駆動源2613、2623に制御信号を供給する。この制御信号の供給に応じて左右風向板駆動源2613、2623は、左右風向板341a、342aの向きを制御する。
【0026】
さらに、制御ユニット21には、例えば受光センサ61が接続される。受光センサ61には、例えばリモコン10から無線で指令信号が供給される。この指令信号は、例えば空気調和機の動作モードや設定室温を特定する。指令信号には、リモコン10の操作に応じて動作モードや設定室温が記述される。動作モードには例えば「冷房運転」「暖房運転」「除湿運転」「送風運転」などが挙げられる。受光センサ61は、受信した指令信号を出力する。指令信号は冷暖房確立部211、本体ユニット制御ブロック212およびファンユニット制御ブロック213にそれぞれ供給される。冷暖房確立部211、本体ユニット制御ブロック212およびファンユニット制御ブロック213は、指令信号で特定される動作モードや設定室温に応じて動作する。
【0027】
また、制御ユニット21には、温度検出手段としての室温センサ62および熱交温度センサ67が接続される。室温センサ62は、例えば室内機20に取り付けられる。熱交温度センサ67は、例えば室内熱交換器264の配管に取り付けられる。室温センサ62は、室内機20の周囲の温度を検出する。熱交温度センサ67は、室内熱交換器264の温度を検出する。検出結果に応じて室温センサ62および熱交温度センサ67は、温度信号を出力する。温度信号で室温あるいは熱交換器温度は特定される。この温度信号は、制御ユニット21に供給される。本体ユニット制御ブロック212およびファンユニット制御ブロック213は、制御の実行にあたって、温度信号で特定される温度を参照することができる。
【0028】
また、制御ユニット21には、人感センサ63が接続される。人感センサ63は、例えば室内機20に取り付けられる。人感センサ63は、在室者の存在や在室者の位置を検知する。検知結果に応じて人感センサ63は、検知信号を出力する。検知信号で在室者の有無や位置は特定される。検知信号は、制御ユニット21に供給される。冷暖房確立部211、本体ユニット制御ブロック212およびファンユニット制御ブロック213は、制御の実行にあたって、検知信号で特定される在室者の有無や位置を参照することができる。
【0029】
また、制御ユニット21には、外気温センサ65で検出された外気温度の検出データを送信する信号線が接続される。外気温センサ65は、例えば室外機40に取り付けられる。外気温センサ65は、外気温度を検知する。検知信号は、サイドファンを運転制御する際に用いられる。検知信号は、例えばサイドファン制御部2131に供給される。サイドファン制御部2131は、左右サイドファン駆動源2611、2621の制御の実行にあたって、検知信号である外気温度を含む種々のデータを参照する。
【0030】
また制御ユニット21は、温度設定部66を備えている。温度設定部66は、例えばリモコン10でユーザが設定した設定温度データを保持している。設定温度データは、空気調和機の運転制御に用いられる。例えば、設定温度データと室温センサ62による室内温度との差を算出することで、室内温度を設定温度に近づけるための空調制御の目標値とすることができる。また、設定温度データは、例えばサイドファン制御部2131に供給される。サイドファン制御部2131は、左右サイドファン駆動源2611、2621の制御の実行にあたって、設定温度データを含む種々のデータを参照する。
【0031】
なお、制御ユニット21は、例えばマイクロプロセッサユニット(MPU)といった演算処理回路で構成しても良い。演算処理回路には、例えば不揮発性の記憶装置を内蔵したり、外付けしたりすることもできる。記憶装置には所定の制御プログラムを格納することができ、演算処理回路が制御プログラムを実行することで制御ユニット21として機能させることができる。
【0032】
図3で説明した空気調和機の制御系およびセンサは、
図4に示す室内機の内部に配置されている。例えば、
図4に示すように、左ファンユニット261と右ファンユニット262の間に挟まれた室内機20の本体ユニット263は、前面部を覆う外装パネル29と内装カバー64を取り外すと、前面中央部に受光センサ61、人感センサ63、および室温センサ62がそれぞれ隣接配置されている。また、制御系の冷暖房確立部211と本体ユニット制御ブロック212は、人感センサ63の右隣に配置され、ファンユニット制御ブロック213は、その右上の右ファンユニット262の近くに配置されている。このように、制御系と制御対象との間は、結線する必要があるため、近接して配置される。
【0033】
本実施形態に係る空気調和機の特徴は、空気調和機の運転モードと、外気温度、室内温度、設定温度等を用いて、サイドファンを駆動させるサイドファン駆動モードと、サイドファンを停止させるサイドファン停止モードとを切り換えるようにした点にある。つまり、室内温度や熱交換器の温度が低い状態でサイドファンを回すと、空気の流れで体感温度がさらに下がる。このため、特定の運転モードと所定温度条件下では、サイドファンを回さないようにして、ユーザが肌寒い思いをしないようにすることができる。以下、
図5−1〜
図6−2により、メインファン気流と左右サイドファン気流を組み合わせて送風する気流モードについて説明する。
【0034】
図5−1は、空気調和機の冷房または除湿運転モードにおける拡散気流モードの気流状態を概略的に示す斜視図であり、
図5−2は、
図5−1のメインファン気流を正面に吹き出した場合の左右サイドファン気流の吹き出し角度を上から見た図であり、
図5−3は、
図5−2の空気調和機の室内機の左側を壁面に近接させて設置した場合の左右サイドファン気流の吹き出し角度を上から見た図であり、
図6−1は、空気調和機の暖房運転モードにおける収束気流モードの気流状態を概略的に示す斜視図であり、
図6−2は、
図6−1のメインファン気流を正面に吹き出した場合の左右サイドファン気流の吹き出し角度を上から見た図である。
【0035】
(拡散気流モード)
図5−1は、運転モードが冷房、除湿、送風の時の気流制御として選択可能な拡散気流モードの気流状態を示している。メインファン気流301の上下方向の風向は、水平固定とする。メインファン気流301の左右方向の風向は、室内機20を壁面70の中央据付け時に中央とし、左袖壁据付け時にやや右とし、右袖壁据付け時にやや左とする。
図5−2は、中央据付け時の左右方向への風の吹き出し角度を示している。左サイドファン気流3411と右サイドファン気流3421は、メインファン気流301に対して左右方向で20°ずつ外側を向くように吹き出されている。左サイドファン気流3411と右サイドファン気流3421の上下風向は、
図5−1に示すように、メインファン気流301が水平固定であるのに対して、左ファンユニット261および右ファンユニット262を水平方向から下向きに30°程度回動させることで、左サイドファン気流3411と右サイドファン気流3421を下向きに吹き出している。このように、拡散気流モードは、メインファン気流301を水平固定とすることで、冷気を人72に直接当てることなく、部屋全体に冷気を行き渡らせることができる。左サイドファン気流3411と右サイドファン気流3421は、室内空気を拡散させる方向にそのまま吹き出すため、室内空気を人72に直接当てずに包み込むような空気の流れを作ることから、使用者はより適度な涼感が得られる。なお左ファンユニット261および右ファンユニット262の上下方向の風向は、左サイドファン筐体331および右サイドファン筐体332の回動角度を変更することにより、適宜変更することができる。
【0036】
図5−3は、拡散気流モードの気流状態で左袖壁据付け時にやや右に風向を変えた場合の左右方向への風の吹き出し角度を示している。
図5−3は、メインファン気流301に対して左サイドファン気流3411と右サイドファン気流3421が干渉しないように、所定角度外側を向くように吹き出されている。左サイドファン気流3411と右サイドファン気流3421の角度差は、
図5−2では40°であるが、
図5−3では45°としている。
図5−3では、左袖壁据付け時を例に挙げたが、右袖壁据付け時であれば左右対象となるため、図示を省略する。上記した
図5−1〜
図5−3の左サイドファン気流3411と右サイドファン気流3421とを破線で示したのは、本実施例において、メインファン駆動時に、サイドファン駆動モードからサイドファン停止モードに切り換えた時に、サイドファンの気流がなくなった状態を示している。
【0037】
(収束気流モード)
図6−1は、運転モードが暖房の時の気流制御として選択可能な収束気流モードの気流状態を示している。メインファン気流301の上下方向の風向は、床面71に暖気を供給するように、下向きに吹き出す。メインファン気流301の左右方向の風向は、室内機20を壁面70の中央据付け時に中央とし、左袖壁据付け時にやや右とし、右袖壁据付け時にやや左とする。中央据付け時の左右方向への風の吹き出し角度は、
図6−2に示すように、左サイドファン気流3411と右サイドファン気流3421は、メインファン気流301に対して左右方向で10°ずつ内側を向くように吹き出される。
図6−1に示すように、暖気であるメインファン気流301を下向きに吹き出し、メインファン気流301を上から抑え込むように、左ファンユニット261および右ファンユニット262を水平方向から下向きに45°程度回動させることで、左サイドファン気流3411と右サイドファン気流3421を下向きかつメインファン気流301よりも少し上に吹き出している。このように、収束気流モードは、メインファン気流301を下向きに吹き出し、左サイドファン気流3411と右サイドファン気流3421とがメインファン気流301に対して左右方向で10°ずつ内側を向き、メインファン気流301を上から抑え込むように吹き出すことから、暖気の上昇を抑えて、人72などが居る特定の位置を中心に暖気を広げることで床面71付近を温めることができる。
【0038】
本実施例に係る空気調和機の制御ユニット21は、運転モードに対応した気流モードを用いて運転制御を行っている。しかし、空気調和機は、運転モードによって室内温度や熱交換器の温度が予想以上に低下することがある。例えば、除湿運転モードは、除湿を行うために熱交換器の温度を低下させる。外気温度が高温(例えば30℃以上)で室内温度も高い時は、除湿運転モード時に冷気を吹き出しても気にならない。しかし外気温度が30℃未満で、室内温度がそれよりも低い場合だと、除湿運転モード時に出るメインファン気流301の冷気が気になることがある。特に、室内空気を攪拌させるサイドファンは、風の流れを作り出すため体感温度が下がり易い。このため、本実施例に係る空気調和機の制御ユニット21は、
図7〜
図9に示す条件の時にサイドファンを停止させるように制御する。
【0039】
図7は、本実施例に係る空気調和機の除湿運転モード時における温度条件とサイドファンの運転状態を示す図であり、
図8は、本実施例に係る空気調和機の外気温度あるいは室内温度に応じたサイドファンの運転状態を示す図であり、
図9は、本実施例に係る空気調和機の除湿運転モード時における運転内容に応じたサイドファンの運転状態を示す図である。
【0040】
図7は、運転モードが除湿運転モードの時に、サイドファン駆動モードとサイドファン停止モードとを切り換える所定温度条件の一例を示している。所定温度条件としては、外気温度ゾーンを5種類に分け(Xゾーン、Dゾーン、Cゾーン、Bゾーン、Yゾーン)、Xゾーンは、外気温度が30℃以上で、Dゾーンは、外気温度が25℃〜30℃未満で、Cゾーンは、外気温度が20℃〜25℃未満、Bゾーンは、外気温度が0℃〜20℃未満、Yゾーンは、外気温度が0℃未満である。また、「Tr」は、室内温度であり、「Ts」はユーザが設定した設定温度(室内機の目標温度)である。運転内容は、除湿運転モードであっても、温度条件に応じて「冷房」「除湿」「サーモOFF」「暖房」の4種類の運転が行われる。ここでサーモOFFとは、室温センサ62で検出される室内機の運転対象となる室内の温度と、温度設定部66に設定される目標温度との差がなくなった場合に、圧縮機の運転を一時停止する運転モードを指す。
【0041】
本実施例の空気調和機の制御ユニット21は、
図7に示すように、除湿運転モードの時に、外気温度が30℃以上のXゾーンであれば、室内温度Trや設定温度Tsに関わらずメインファンとサイドファンの両方を駆動させるサイドファン駆動モードで運転するように制御する。
【0042】
本実施例の空気調和機の制御ユニット21は、
図7に示すように、除湿運転モードの時に、外気温度がD、C、B、Aゾーン(つまり、外気温度が0℃〜30℃未満)であって、室内温度Trが設定温度Tsより高い間はメインファンとサイドファンの両方を駆動させるサイドファン駆動モードで運転するように制御する。しかし、室内温度Trが設定温度Tsと同程度となるか下回ると、サイドファンを停止させるサイドファン停止モードで運転するように制御する。
【0043】
本実施例の空気調和機の制御ユニット21は、
図7に示すように、除湿運転モードの時に、外気温度が0℃未満のYゾーンであれば、室内温度Trや設定温度Tsに関わらずサイドファンを停止させるサイドファン停止モードで運転するように制御する。なお、
図7に示した所定温度条件は、一例であって、サイドファンを駆動するか停止するかの条件については、適宜変更することができる。
【0044】
また、本実施例の空気調和機の制御ユニット21は、
図8に示すように、外気温度あるいは室内温度Trが「高い場合」「適温の場合」「低い場合」の3つの場合に分け、外気温度あるいは室内温度Trが「低い場合」に該当し、運転内容が「暖房」を選択する条件下において、サイドファンを停止させるサイドファン停止モードで運転するように制御させても良い。この場合の温度が「高い」「適温」「低い」の判定については、適宜温度範囲を設定することで制御することができる。
【0045】
さらに、本実施例の空気調和機の制御ユニット21は、
図9に示すように、除湿運転モード時の運転内容に応じて、サイドファンを駆動するか停止させるかを制御しても良い。つまり、空気調和機の制御ユニット21は、
図9に示すように、除湿運転モード時の運転内容が「冷房」「除湿」であれば、サイドファン駆動モードで運転するように制御し、除湿運転モード時の運転内容が「暖房」になった時点でサイドファン停止モードで運転するように制御する。
【0046】
次に、本実施例の空気調和機の動作を
図10と
図11のフローチャートを用いて説明する。
図10は、本発明の一実施例に係る空気調和機の温度環境に応じたサイドファンの制御動作を説明するフローチャートであり、
図11は、本発明の一実施例に係る空気調和機の除湿運転モード時における温度環境に応じたサイドファンの制御動作を説明するフローチャートである。
【0047】
図10を用いて、本実施例の空気調和機の制御ユニット21が運転モードに関わらず、外気温度と、室内温度Trと、設定温度Tsの3つの温度条件を用いて、サイドファンを駆動するか停止するかのサイドファン駆動モードとサイドファン停止モードの切り換え制御動作を行う場合を説明する。
【0048】
空気調和機の制御ユニット21は、運転開始後に外気温センサ65で検知された外気温度が、外気温度ゾーン毎に定められた所定温度以下であればステップS2に移行し(ステップS1でYes)、室温センサ62で検知された室内温度Trが温度設定部66でユーザが設定した設定温度Tsよりも低い場合は、ステップS3に移行しサイドファン停止モードで運転するよう制御する(ステップS2でYes)。
【0049】
ステップS3のサイドファン停止モード移行後に運転停止操作がなされた場合は、空調運転を終了する(ステップS4でYes)。サイドファン停止モード移行後も運転を続け所定時間が経過する前であれば、ステップS3に戻ってサイドファン停止モードを継続する(ステップS5でNo)。ステップS5で所定時間が経過していれば、ステップS1に戻って上記処理が繰り返される(ステップS5でYes)。なおここで定める所定時間とは、外気温度、室内温度、熱交温度といった温度環境が変化したかを確認するためにセンサの温度を確認する時間間隔であって、適宜定められれば良く、常時監視するようにしてもよい。
【0050】
空気調和機の制御ユニット21は、ステップS1において、外気温センサ65で検知された外気温度が所定温度を超えていれば、ステップS6に移行しサイドファン駆動モードで運転するよう制御する(ステップS1でNo)。また、外気温度が所定温度以下であって室内温度Trが設定温度Tsより高い場合も、ステップS6に移行しサイドファン駆動モードで運転するよう制御する(ステップS2でNo)。
【0051】
ステップS6のサイドファン駆動モード移行後に運転停止操作がなされた場合は、空調運転を終了する(ステップS7でYes)。サイドファン停止モード移行後も運転を続け所定時間が経過する前であれば、ステップS6に戻ってサイドファン駆動モードを継続する(ステップS8でNo)。ステップS8で所定時間が経過していれば、ステップS1に戻って上記処理が繰り返される(ステップS8でYes)。
【0052】
このように、本実施例の空気調和機の制御ユニット21は、
図10に示すように、運転モードに関わらず、外気温度と、室内温度Trと、設定温度Tsの3つの温度条件に基づいて、サイドファン駆動モードとサイドファン停止モードの切り換え制御を行っている。このように、本実施例の空気調和機では、所定の温度条件下でサイドファンを駆動させると、室内空気の流れによって、室内に居る人72の体感温度が下がる可能性があるため、サイドファンを停止するよう制御することで、肌寒さを感じさせないようにしている。
【0053】
次に、
図11を用いて、本実施例の空気調和機の制御ユニット21が除湿運転モードであって、室内温度Trと設定温度Tsが所定の条件を満たした場合にのみサイドファンを停止させ、それ以外の場合は、サイドファンを駆動させるように制御する場合を説明する。
【0054】
空気調和機の制御ユニット21は、運転開始後の運転モードが除湿運転モードである場合はステップS12へと進み(ステップS11でYes)、室温センサ62で検知された室内温度Trが温度設定部66でユーザが設定した設定温度Ts以下の場合は、ステップS13へ進みサイドファン停止モードで運転するように制御する(ステップS12でYes)。
【0055】
ステップS13のサイドファン駆動モード移行後に運転停止操作がなされた場合は、空調運転を終了する(ステップS14でYes)。サイドファン停止モード移行後も運転を続け所定時間が経過する前であれば、ステップS13に戻ってサイドファン停止モードを継続する(ステップS15でNo)。ステップS15で所定時間が経過していれば、ステップS11に戻って上記処理が繰り返される(ステップS15でYes)。
【0056】
空気調和機の制御ユニット21は、ステップS11において、運転モードが除湿運転モードでない場合は、ステップS16へ移行しサイドファン駆動モードで運転するよう制御する(ステップS11でNo)。また除湿運転モードであっても室内温度Trが設定温度Tsを超えている場合は、ステップS16へ移行しサイドファン駆動モードで運転するよう制御する(ステップS12でNo)。
【0057】
ステップS16のサイドファン駆動モード移行後に運転停止操作がなされた場合は、空調運転を終了する(ステップS17でYes)。サイドファン駆動モード移行後も運転を続け所定時間が経過する前であれば、ステップS16に戻ってサイドファン駆動モードを継続する(ステップS18でNo)。ステップS18で所定時間が経過していれば、ステップS11に戻って上記処理が繰り返される(ステップS18でYes)。
【0058】
このように、本実施例の空気調和機の制御ユニット21は、
図11に示すように、除湿運転モードであって、室内温度と設定温度が所定の条件を満たした場合のみサイドファンを停止させ、それ以外の場合はサイドファンを駆動させるようにしている。これは、温度調節を目的としない除湿運転モードで運転している場合に、室内温度が低下しているにも関わらずサイドファンを駆動させると、体感温度が低下し、肌寒く感じるため、サイドファン停止モードで運転するよう制御している。