(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の部分は、前記第1の短辺から前記第2の長辺に向けて前記仮想矩形の内側を通ると共に、前記第1の短辺及び前記第2の長辺に対して斜めに延びる部分を有する、請求項1に記載の積層コイル部品。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
(第1実施形態)
積層コイル部品1は、
図1に示されるように、直方体形状を呈する素体10と、素体10の外表面に位置する一対の第1の外部電極12と、素体10の外表面に位置する一対の第2の外部電極14とを備える。
【0019】
素体10は、互いに対向する一対の主面10a,10bと、互いに対向する一対の側面10c,10dと、互いに対向する一対の端面10e,10fとを有する。これらの外表面10a〜10fは、いずれも長方形状を呈している。
【0020】
一対の主面10a,10bは、一対の側面10c,10d及び一対の端面10e,10fと隣り合っている。一対の側面10c,10dは、一対の主面10a,10b及び一対の端面10e,10fと隣り合っている。一対の端面10e,10fは、一対の主面10a,10b及び一対の側面10c,10dと隣り合っている。
【0021】
一対の側面10c,10dは、一対の主面10a,10b及び一対の端面10e,10fと隣り合っている。一対の主面10a,10bの長辺側の部分は、一対の側面10c,10dの長辺側の部分と連結されている。一対の主面10a,10bの短辺側の部分は、一対の端面10e,10fの長辺側の部分と連結されている。一対の側面10c,10dの短辺側の部分は、一対の端面10e,10fの短辺側の部分と連結されている。平面視において、素体10は、側面10cと端面10eとにより形成される角部c1と、側面10dと端面10eとにより形成される角部c2と、側面10cと端面10fとにより形成される角部c3と、側面10dと端面10fとにより形成される角部c4とを有する。
【0022】
素体10は、
図2に示されるように、複数の絶縁体層A10〜A20が積層されることによって、形成されている。各絶縁体層A10〜A20は、矩形状を呈している。各絶縁体層A10〜A20は、電気絶縁性を有する絶縁体であり、絶縁体グリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体10においては、各絶縁体層A10〜A20は、焼結によりその間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0023】
絶縁体層A10〜A20は、この順に並んで積層されている。絶縁体層A10の表面(
図2において上面)は、素体10の主面10aに相当する。絶縁体層A20の表面(
図2において下面)は、素体10の主面10bに相当する。
【0024】
絶縁体層A10〜A20は、例えば、フェライト(Ni−Cu−Zn系フェライト、Ni−Cu−Zn−Mg系フェライト、Cu−Zn系フェライト、又はNi−Cu系フェライトなど)等の磁性材料から構成されている。一部の絶縁体層は、非磁性フェライトから構成されていてもよい。例えば、後述する内部導体28aが配置される絶縁体層A14,A16,A18が非磁性フェライトで構成され、他の絶縁体層がフェライトで構成されていてもよい。
【0025】
絶縁体層A10の表面(主面10a)には、一対の第1の外部電極12と一対の第2の外部電極14とが配置されている。一対の第1の外部電極12は、主面10aにおける端面10e側の領域、すなわち主面10aのうち側面10eをなす短辺側に位置している。一対の第1の外部電極12は、主面10aの短辺方向において離間している。一対の第2の外部電極14は、主面10aにおける側面10f側の領域、すなわち主面10aのうち端面10fをなす短辺側に位置している。一対の第2の外部電極14は、主面10aの短辺方向において離間している。
【0026】
各外部電極12,14はそれぞれ、主面10aの角部近傍に位置している。具体的には、第1の外部電極12の一方は、角部c1の近傍に位置している。第1の外部電極12の他方は、角部c2の近傍に位置している。第2の外部電極14の一方は、角部c3の近傍に位置している。第2の外部電極14の他方は、角部c4の近傍に位置している。
【0027】
第1及び第2の外部電極12,14は、平面視において(絶縁体層A10〜A20の積層方向から見て、又は、主面10a,10bに対して垂直に交差する方向から見て)矩形状を呈している。本実施形態では、第1及び第2の外部電極12,14の長手方向は、主面10aの長手方向に沿っている。第1及び第2の外部電極12,14の各角部は、丸められている。第1及び第2の外部電極12,14は、導電材(例えば、Ag又はPdなど)とガラス成分とを含んでいる。第1及び第2の外部電極12,14は、導電性金属粉末(例えば、Ag粉末又はPd粉末など)とガラスフリットとを含む導電性ペーストが焼結されたものである。この導電性ペーストの表面に電気めっきが施されることにより、めっき層(図示せず)が第1及び第2の外部電極12,14の表面に形成される。当該めっき層は、例えばNiやSnなどにより構成される。
【0028】
絶縁体層A10,A11には、その厚さ方向に貫通する一対のスルーホール導体16と、その厚さ方向に貫通する一対のスルーホール導体18とが設けられている。すなわち、スルーホール導体16,18は、絶縁体層A10〜A20の積層方向に延びている。
【0029】
スルーホール導体16は、主面10aにおける端面10e側の領域、すなわち主面10aのうち端面10eをなす短辺側に位置している。一対のスルーホール導体16は、主面10aの短辺方向において離間している。各スルーホール導体16はそれぞれ、積層方向から見て各第1の外部電極12と重なり合っており、各第1の外部電極12と接続されている。各スルーホール導体16はそれぞれ、角部c1,c2の近傍に位置している。
【0030】
スルーホール導体18は、主面10aにおける端面10f側の領域、すなわち主面10aのうち端面10fをなす短辺側に位置している。一対のスルーホール導体18は、主面10aの短辺方向において離間している。各スルーホール導体18はそれぞれ、積層方向から見て各第1の外部電極14と重なり合っており、各第1の外部電極14と接続されている。各スルーホール導体18はそれぞれ、角部c3,c4の近傍に位置している。
【0031】
絶縁体層A12の表面には、第1及び第2の補助導体20,22が配置されている。第1の補助導体20は、絶縁体層A12において端面10e側の領域、すなわち絶縁体層A12のうち端面10eをなす短辺側に位置している。第1の補助導体20は、平面視において、矩形状を呈している。第1の補助導体20は、絶縁体層A12の短手方向に沿って延びている。第1の補助導体20は、平面視において一対の第1の外部電極12と重なり合っており、スルーホール導体16と接続されている。第1の補助導体20の面積は、一対の第1の外部電極12の輪郭により構成される一つの領域の面積よりも小さく設定されている。第1の外部電極20は、平面視において、上記一つの領域の内側に位置している。
【0032】
第2の補助導体22は、絶縁体層A12において端面10f側の領域、すなわち絶縁体層A12のうち端面10fをなす短辺側に位置している。第2の補助導体22は、平面視において、矩形状を呈している。第2の補助導体22は、絶縁体層A12の短手方向に沿って延びている。第2の補助導体22は、平面視において一対の第1の外部電極14と重なり合っており、スルーホール導体18と接続されている。第2の補助導体22の面積は、一対の第2の外部電極14の輪郭により構成される一つの領域の面積よりも小さく設定されている。第1の外部電極22は、平面視において、上記一つの領域の内側に位置している。
【0033】
絶縁体層A12,A13には、その厚さ方向に貫通するスルーホール導体24と、その厚さ方向に貫通するスルーホール導体26とが設けられている。すなわち、スルーホール導体24,26は、絶縁体層A10〜A20の積層方向に延びている。
【0034】
スルーホール導体24は、絶縁体層A12,A13において角部c1の近傍に位置している。スルーホール導体24は、積層方向から見て、一対のスルーホール導体16のうち側面10d側の角部に位置する一方のスルーホール導体16と重なり合っており、当該一方のスルーホール導体16と接続されている。スルーホール導体26は、絶縁体層A12,A13において角部c4に位置している。スルーホール導体26は、積層方向から見て、一対のスルーホール導体18のうち側面10c側の角部に位置する一方のスルーホール導体18と重なり合っており、当該一方のスルーホール導体18と接続されている。
【0035】
絶縁体層A14,A16,A18の表面には、1ターン巻きにて巻回された第1の内部導体28が配置されている。すなわち、第1の内部導体28は、主面10a,10bの対向方向に直交する仮想平面上に位置している。第1の内部導体28は、第1〜第7の部分28a〜28gを有する。第1〜第7の部分28a〜28gは、この順に連結されている。従って、第1の部分28aの端部は、第1の内部導体28の一方の端部に相当する。第7の部分28gの端部は、第1の内部導体28の他方の端部に相当する。
【0036】
第1の部分28aは、絶縁体層A14,A16,A18のうち側面10dをなす長辺に沿って延びている。具体的には、第1の部分28aは、
図2及び3に示されるように、絶縁体層A14,A16,A18上において、一対の長辺T1,T2及び一対の短辺T3,T4により構成された仮想矩形Tのうち長辺T1上に位置している。第1の部分28aの一端は、仮想矩形Tの長辺T1と短辺T4とがなす角部c5上に位置している。第1の部分28aの他端は、仮想矩形Tの長辺T1と短辺T3とがなす角部c6上に位置している。第1の部分28aの端部は、スルーホール導体26と接続されている。
【0037】
第2の部分28bは、絶縁体層A14,A16,A18のうち端面10eをなす短辺に沿って延びている。具体的には、第2の部分28bは、
図2及び
図3に示されるように、仮想矩形Tのうち短辺T3上に位置しており、長辺T1から長辺T2に向けて延びている。第2の部分28bの一端は、仮想矩形Tの角部c6上に位置している。第2の部分28bの他端は、仮想矩形Tの角部c6と、仮想矩形Tの短辺T3及び長辺T2がなす角部c7との間に位置しており、角部c7上には位置していない。
【0038】
第3の部分28cは、
図2及び
図3に示されるように、短辺T3から長辺T2に向けて(絶縁体層A14,A16,A18のうち端面10eをなす短辺から側面10cをなす長辺に向けて)、仮想矩形Tの長辺T1,T2及び短辺T3,T4に対して斜めに延びている。すなわち、第3の部分28cは、仮想矩形Tの角部c7の近傍において、仮想矩形Tの内側に位置している。
【0039】
第4の部分28dは、絶縁体層A14,A16,A18のうち側面10cをなす長辺に沿って延びている。具体的には、第4の部分28dは、
図2及び
図3に示されるように、仮想矩形Tのうち長辺T2上に位置している。第4の部分28dの両端は共に、仮想矩形Tの角部c7と角部c8との間に位置しており、角部c7,c8上には位置していない。
【0040】
第5の部分28eは、
図2及び
図3に示されるように、長辺T2から短辺T4に向けて(絶縁体層A14,A16,A18のうち側面10cをなす長辺から他方の短辺に向けて)、仮想矩形Tの長辺T1,T2及び短辺T3,T4に対して斜めに延びている。すなわち、第5の部分28eは、仮想矩形Tの内側に位置している。
【0041】
第6の部分28fは、絶縁体層A14,A16,A18のうち端面10fをなす短辺に沿って延びている。具体的には、第6の部分28fは、
図2及び
図3に示されるように、仮想矩形Tのうち短辺T4上に位置している。第6の部分28fの両端は共に、仮想矩形Tの角部c5と角部c8との間に位置しており、角部c5,c8上には位置していない。第6の部分28fのうち長辺T1寄り(角部c5寄り)の端部は、第1の部分28aとは離間している。
【0042】
第7の部分28gは、
図2及び
図3に示されるように、第1の部分28aよりも内側において、絶縁体層A14,A16,A18のうち側面10dをなす長辺、すなわち仮想矩形Tの長辺T1に沿って延びている。具体的には、第7の部分28gは、仮想矩形Tの角部c5寄りから角部c6寄りに向かうように延びている。第7の部分28gは、仮想矩形Tの内側に位置している。第7の部分28gは、仮想矩形Tの角部c5の近傍において、第1の部分28aの端部と互いに対向している。
【0043】
絶縁体層A14,A16,A18には、その厚さ方向に貫通するスルーホール導体30,32が設けられている。すなわち、スルーホール導体30,32は、絶縁体層A10〜A20の積層方向に延びている。スルーホール導体30は、角部c1の近傍で且つ第1の内部導体28の外側に位置している。スルーホール導体32は、第7の部分28gの端部と接続されている。
【0044】
絶縁体層A15,A17の表面には、1ターン巻きにて巻回された第2の内部導体34が配置されている。すなわち、第2の内部導体34は、主面10a,10bの対向方向に直交する仮想平面上に位置している。第2の内部導体34は、第1〜第7の部分34a〜34gを有する。第1〜第7の部分34a〜34gは、この順に連結されている。従って、第1の部分34aの端部は、第2の内部導体34の一方の端部に相当する。第7の部分34gの端部は、第2の内部導体34の他方の端部に相当する。
【0045】
第1の部分34aは、絶縁体層A15,A17のうち端面10fをなす短辺に沿って延びている。具体的には、第1の部分34aは、
図2及び
図3に示されるように、絶縁体層A15,A17上において、一対の長辺T1,T2及び一対の短辺T3,T4により構成された仮想矩形Tのうち短辺T4上に位置している。第1の部分34aの一端は、仮想矩形Tの角部c5上に位置している。第1の部分34aの他端は、仮想矩形Tの角部c5と角部c8との間に位置しており、角部c8上には位置していない。
【0046】
第2の部分34bは、
図2及び
図3に示されるように、短辺T4から長辺T2に向けて(絶縁体層A15,A17のうち端面10fをなす短辺から側面10cをなす長辺に向けて)、仮想矩形Tの長辺T1,T2及び短辺T3,T4に対して斜めに延びている。すなわち、第2の部分34bは、仮想矩形Tの内側に位置している。
【0047】
第3の部分34cは、絶縁体層A15,A17のうち側面10cをなす長辺に沿って延びている。具体的には、第3の部分34cは、
図2及び
図3に示されるように、仮想矩形Tの長辺T2上に位置している。第3の部分34cの両端は共に、仮想矩形Tの角部c7と角部c8との間に位置しており、角部c7,c8上には位置していない。
【0048】
第4の部分34dは、
図2及び
図3に示されるように、長辺T2から短辺T3に向けて(絶縁体層A15,A17のうち側面10cをなす長辺から他方の短辺に向けて)、仮想矩形Tの長辺T1,T2及び短辺T3,T4に対して斜めに延びている。すなわち、第4の部分34dは、仮想矩形Tの内側に位置している。
【0049】
第5の部分34eは、絶縁体層A15,A17のうち端面10eをなす短辺に沿って延びている。具体的には、第5の部分34eは、
図2及び
図3に示されるように、仮想矩形Tの短辺T3上に位置している。第5の部分34eの一端は、仮想矩形Tの角部c6と角部c7との間に位置しており、角部c7上には位置していない。第5の部分34eの他端は、仮想矩形Tの角部c6上に位置している。
【0050】
第6の部分34fは、絶縁体層A15,A17のうち側面10dをなす長辺に沿って延びている。具体的には、第6の部分34fは、
図2及び
図3に示されるように、仮想矩形Tの長辺T1上に位置している。第6の部分34fの一端は、仮想矩形Tの角部c6上に位置している。第6の部分34fの他端は、仮想矩形Tの角部c5と角部c6との間に位置しており、角部c5上には位置していない。すなわち、第6の部分34fは、第1の部分34aとは離間している。
【0051】
第7の部分34gは、
図2及び
図3に示されるように、第1の部分34aよりも内側において、絶縁体層A15,A17のうち端面10fをなす短辺、すなわち仮想矩形Tの短辺T4に沿って延びている。具体的には、第7の部分34gは、仮想矩形Tの角部c5寄りから角部c8寄りに向かうように延びている。第7の部分34gは、仮想矩形Tの内側に位置している。第7の部分34gは、仮想矩形Tの角部c5の近傍において、第1の部分34aの端部と互いに対向している。第7の部分34gは、スルーホール導体32と接続されている。
【0052】
絶縁体層A15,A17には、その厚さ方向に貫通するスルーホール導体30,36が設けられている。すなわち、スルーホール導体30,36は、絶縁体層A10〜A20の積層方向に延びている。スルーホール導体30は、角部c1の近傍で且つ第2の内部導体34の外側に位置している。スルーホール導体36は、第1の部分34aの端部と接続されている。
【0053】
絶縁体層A14〜A18にそれぞれ交互に配置された第1及び第2の内部導体28,34が、スルーホール導体32,36によって順次接続され、コイルLを形成している。コイルLの一端は、スルーホール導体26、補助導体22及びスルーホール導体18を介して、第2の外部電極14と接続されている。
【0054】
絶縁体層A19,A20の表面には、約5/8ターン巻きにて巻回された接続導体38が配置されている。すなわち、接続導体38はそれぞれ、主面10a,10bの対向方向に直交する仮想平面上に位置している。接続導体38の一端は角部c1の近傍に位置しており、接続導体38の他端は角部c4の近傍に位置している。絶縁体層A19上における接続導体38の一端は、スルーホール導体30と接続されている。絶縁体層A19上における接続導体38の他端は、スルーホール導体32と接続されている。
【0055】
絶縁体層A19には、その厚さ方向に貫通するスルーホール導体40,42が設けられている。すなわち、スルーホール導体40,42は、絶縁体層A10〜A20の積層方向に延びている。スルーホール導体40は角部c1の近傍に位置しており、スルーホール導体42は角部c4の近傍に位置している。
【0056】
絶縁体層A20上における接続導体38の一端は、スルーホール導体40と接続されている。絶縁体層A20上における接続導体38の他端は、スルーホール導体42と接続されている。本実施形態のように、接続導体38が素体10内に2つ以上並列に配置されていると、導体の断面積が大きくなるので、抵抗を小さくすることができる。絶縁体層A20及び接続導体38がなく、素体10内に接続導体38が一つだけ配置されていてもよい。コイルLの他端は、スルーホール導体32,42、接続導体38、スルーホール導体24,40、補助導体20及びスルーホール導体16を介して、第1の外部電極12と接続されている。
【0057】
各補助導体20,22は、各外部電極12,14と同様により構成することができる。各導体16,18,24,26,28,30,32,34,40,42は、導電材(例えば、Ag又はPdなど)を含んでいる。各導体16,18,24,26,28,30,32,34,40,42は、導電性金属粉末(例えば、Ag粉末又はPd粉末など)を含む導電性ペーストが焼結されたものである。
【0058】
続いて、上記の積層コイル部品1の製造方法について説明する。まず、素体10の主成分であるフェライトにバインダ等を混合して、絶縁体層A10〜A20となる絶縁体スラリーを用意する。次に、導電性金属粉末にバインダ等を混合して、各導体16,18,24,26,28,30,32,34,40,42となる第1の導電性ペーストを用意する。次に導電性金属粉末にガラスフリットやバインダ等を混合して、各補助導体20,22及び各外部電極12,14となる第2の導電性ペーストを用意する。
【0059】
次に、絶縁体スラリーを、ドクターブレード法によって基材(例えば、PETフィルムなど)上に塗布して、絶縁体グリーンシートを形成する。次に、所定の絶縁体グリーンシートおけるスルーホール導体の形成予定位置に、レーザ加工によって貫通孔を形成する。次に、第1の導電性ペーストを貫通孔内に充填して、各スルーホール導体16,18,24,26,30,32,36,40,42となる導体パターンを形成する。
【0060】
次に、絶縁体層A12となる絶縁体グリーンシート上に、第2の導電性ペーストを塗布して、各補助導体20,22となる所定の導体パターンを形成する。
【0061】
次に、絶縁体層A14,A16,A18となる絶縁体グリーンシート上に、第1の導電性ペーストを塗布して、第1の内部導体28となる所定の導体パターンを形成する。具体的には、
図4に示されるように、隣り合う導体パターン28Aと導体パターン28B同士が点対称となるように、複数の導体パターン28A,28Bが絶縁体グリーンシート上に配列される。この場合、スルーホール導体30が形成される貫通孔が、導体パターン28Aのうち第3及び第5の部分28c,28eとなる部分と、導体パターン28Bのうち第3及び第5の部分28c,28eとなる部分とによって囲まれる。これらの第3及び第5の部分28c,28eは、斜めに延びているので、当該貫通孔からの距離を大きくすることができる。そのため、当該貫通孔に第1の導電性ペーストを充填する際に、当該貫通孔から第1の導電性ペーストが周囲に拡がってしまった場合(いわゆる、にじみが生じた場合)でも、ショートが発生し難くなる。また、複数の絶縁体グリーンシートを積層する際に、シート同士が良好に付着しやすくなる。
【0062】
次に、絶縁体層A15,A17となる絶縁体グリーンシート上に、第1の導電性ペーストを塗布して、第2の内部導体34となる所定の導体パターンを形成する。具体的には、
図5に示されるように、隣り合う導体パターン34Aと導体パターン34B同士が点対称となるように、複数の導体パターン34A,34Bが絶縁体グリーンシート上に配列される。この場合、スルーホール導体30が形成される貫通孔が、導体パターン34Aのうち第2及び第4の部分34b,34dとなる部分と、導体パターン34Bのうち第2及び第4の部分34b,34dの部分とによって囲まれる。そのため、当該貫通孔に第1の導電性ペーストを充填する際に、当該貫通孔から第1の導電性ペーストが周囲に拡がってしまった場合(いわゆる、にじみが生じた場合)でも、ショートが発生し難くなる。また、複数の絶縁体グリーンシートを積層する際に、シート同士が良好に付着しやすくなる。
【0063】
次に、絶縁体層A19,A20となる絶縁体グリーンシート上に、第1の導電性ペーストを塗布して、接続導体38となる所定のパターンを形成する。
【0064】
次に、導体パターンが形成された絶縁体グリーンシートを基材から剥がし、積層する。ここでは、絶縁体グリーンシートを所定の大きさに揃えて所定の枚数で積層し、積層方向から加圧してグリーン積層体を得る。次に、グリーン積層体を切断機で所定の大きさのチップに切断しグリーンチップを得る(切断工程)。得られたグリーンチップをバレル研磨し、グリーンチップの稜部を丸めてもよい。
【0065】
次に、グリーンチップから、各部に含まれるバインダ樹脂を除去した後、このグリーンチップを焼成する。この焼成により、絶縁体グリーンシートが絶縁体層A10〜A20となると共に、絶縁体グリーンシート上に塗布された導電体ペーストや貫通孔内に充填された導電性ペーストがそれぞれ各導体16〜42となり、素体10が得られる。得られた素体10をバレル研磨し、素体10の稜部を丸めてもよい。
【0066】
次に、素体10の主面10aに第2の導電性ペーストを付与して、熱処理を施すことにより導電性ペーストを素体10に焼付けて、一対の第1の外部電極12及び一対の第2の外部電極14を形成する。導電性ペーストを焼き付けて形成した電極の上にめっきを施してもよい。金属めっきは、たとえば、NiとSnとで2層以上形成した多層構造としてもよい。
【0067】
導電性ペーストを貫通孔内に充填して各スルーホール導体16,18,24,26,30,32,36,40,42となる導体パターンを形成する工程は、第1の導電性ペーストを塗布して各内部導体28,34,38となる所定の導体パターンを形成する工程、又は第2の導電性ペーストを塗布して各補助導体20,22となる所定の導電パターンを形成する工程と同時に行われてもよい。
【0068】
各外部電極12,14を形成する方法は、以下のとおりであってもよい。すなわち、絶縁体層10aとなる絶縁体グリーンシートに第1の導電性ペーストを塗布して、各外部電極12,14となる所定の導体パターンを形成し、各導体16〜42と同時に焼成してもよい。
【0069】
以上のように、第1実施形態に係る積層コイル部品1では、内部導体28の一方の端部(第1の部分28a)と他方の端部(第7の部分28g)とが角部c4寄りにおいて互いに対向しており、角部c3寄りに位置する内部導体28の部分(第5の部分28e)が仮想矩形Tよりも内側を通るように延びている。そのため、第7の部分28gと第5の部分28eとで囲まれる領域が、狭くなる。従って、当該領域における磁束の集中が抑制されるので、当該領域において磁気飽和し難くなる。その結果、磁気飽和を抑制することができ、より優れた直流重畳特性を得ることが可能となる。
【0070】
第1実施形態に係る積層コイル部品1では、一対の第1の外部電極12が、第1の補助導体20を通してコイルLの一端と電気的に接続されている。したがって、いずれの第1の外部電極12も電気的に浮遊した状態にはならない。本実施形態に係る積層コイル部品1では、一対の第2の外部電極14が、第2の補助導体22を通してコイルLの他端と電気的に接続されている。したがって、いずれの第2の外部電極14も、電気的に浮遊した状態にはならない。これらにより、それぞれ一対の第1及び第2の外部電極12,14に電気めっきが施される際に、第1及び第2の外部電極12,14に、適切な電界が印加されることとなる。この結果、積層コイル部品1では、第1及び第2の外部電極12,14に、めっきを適切に形成することができる。
【0071】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係る積層コイル部品1について説明する。以下では、第1実施形態に係る積層コイル部品1との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0072】
積層コイル部品2は、
図6に示されるように、素体10と、第1及び第2の外部電極12,14とを備える。素体10は、
図7に示されるように、複数の絶縁体層A21〜A30が積層されることによって、形成されている。各絶縁体層A21〜A30は、矩形状を呈している。各絶縁体層A21〜A30は、電気絶縁性を有する絶縁体であり、絶縁体グリーンシートの焼結体から構成される。実際の素体10においては、各絶縁体層A21〜A30は、焼結によりその間の境界が視認できない程度に一体化されている。
【0073】
絶縁体層A21〜A30は、この順に並ぶように積層されている。絶縁体層A21の表面(
図6において上面)は、素体10の主面10aに相当する。絶縁体層A30の表面(
図2において下面)は、素体10の主面10bに相当する。絶縁体層A21〜A30は、絶縁体層A10〜A20と同様に構成されている。
【0074】
絶縁体層A22の表面には、引き出し導体44及び接続導体46が配置されている。引き出し導体44は、素体10の端面10fから露出するように端面10f側に引き出され、第2の外部電極14と接続されている。引き出し導体44は、矩形状を呈しており、端面10f側において角部c3から角部c4にかけて延びている。接続導体46は、角部c4の近傍において絶縁体層A22のうち側面10dをなす長辺に沿って延びている。
【0075】
絶縁体層A22には、その厚さ方向に貫通するスルーホール導体48が設けられている。すなわち、スルーホール導体48は、絶縁体層A21〜A30の積層方向に延びている。スルーホール導体48は、角部c4の近傍に位置している。スルーホール導体48は、接続導体46の端部と接続されている。
【0076】
絶縁体層A23,A25,A27の表面には、1ターン巻きにて巻回された第3の内部導体50が配置されている。すなわち、第3の内部導体50は、主面10a,10bの対向方向に直交する仮想平面上に位置している。第3の内部導体50は、第1〜第6の部分50a〜50fを有する。第1〜第6の部分50a〜50fは、この順に連結されている。従って、第3の部分50aの端部は、第1の内部導体50の一方の端部に相当する。第6の部分50fの端部は、第3の内部導体50の他方の端部に相当する。
【0077】
第1の部分50aは、絶縁体層A23,A25,A27のうち側面10cをなす長辺に沿って延びている。具体的には、第1の部分50aは、
図7及び
図8に示されるように、絶縁体層A23,A25,A27上において、一対の長辺T1,T2及び一対の短辺T3,T4により構成された仮想矩形Tのうち長辺T1上に位置している。第1の部分50aの一端は、仮想矩形Tの長辺T1と短辺T4とがなす角部c5上に位置している。第1の部分50aの他端は、仮想矩形Tの長辺T1と短辺T3とがなす角部c6上に位置している。第1の部分50aの端部は、スルーホール導体48と接続されている。
【0078】
第2の部分50bは、絶縁体層A23,A25,A27のうち端面10eをなす短辺に沿って延びている。具体的には、第2の部分50bは、
図7及び
図8に示されるように、仮想矩形Tのうち短辺T3上に位置している。第2の部分50bの一端は、仮想矩形Tの角部c6上に位置している。第2の部分50bの他端は、仮想矩形Tの角部c7上に位置している。
【0079】
第3の部分50cは、絶縁体層A23,A25,A27のうち側面10dをなす長辺に沿って延びている。具体的には、第3の部分50cは、
図7及び
図8に示されるように、仮想矩形Tの長辺T2上に位置している。第3の部分50cの一端は、仮想矩形Tの角部c7上に位置している。第3の部分50cの他端は、仮想矩形Tの角部c7と角部c8との間に位置しており、角部c8上には位置していない。
【0080】
第4の部分50dは、
図7及び
図8に示されるように、長辺T2から短辺T4に向けて(絶縁体層A23,A25,A27のうち側面10dをなす長辺から端面10fをなす短辺に向けて)、仮想矩形Tの長辺T1,T2及び短辺T3,T4に対して斜めに延びている。すなわち、第4の部分50dは、仮想矩形Tの角部c8の近傍において、仮想矩形Tの内側に位置している。
【0081】
第5の部分50eは、絶縁体層A23,A25,A27のうち端面10fをなす短辺に沿って延びている。具体的には、第5の部分50eは、
図7及び
図8に示されるように、仮想矩形Tの短辺T4上に位置している。第5の部分50eの両端は共に、仮想矩形Tの角部c5と角部c8との間に位置しており、角部c5,c8上には位置していない。第5の部分50eのうち長辺T1寄り(角部c5寄り)の端部は、第1の部分50aとは離間している。
【0082】
第6の部分50fは、
図7及び
図8に示されるように、第1の部分50aよりも内側において、絶縁体層A23,A25,A27のうち側面10cをなす長辺、すなわち仮想矩形Tの長辺T1に沿って延びている。具体的には、第6の部分50fは、仮想矩形Tの角部c5寄りから角部c6寄りに向かうように延びている。第6の部分50fは、仮想矩形Tの内側に位置している。第6の部分50fは、仮想矩形Tの角部c5の近傍において、第1の部分50aの端部と互いに対向している。
【0083】
絶縁体層A23,A25,A27には、その厚さ方向に貫通するスルーホール導体52が設けられている。すなわち、スルーホール導体52は、絶縁体層A21〜A30の積層方向に延びている。スルーホール導体52は、第6の部分50fの端部と接続されている。
【0084】
絶縁体層A24,A26,A28の表面には、1ターン巻きにて巻回された第4の内部導体54が配置されている。すなわち、第4の内部導体54は、主面10a,10bの対向方向に直交する仮想平面上に位置している。第4の内部導体54は、第1〜第6の部分54a〜54fを有する。第1〜第6の部分54a〜54fは、この順に連結されている。従って、第1の部分54aの端部は、第4の内部導体54の一方の端部に相当する。第6の部分54fの端部は、第4の内部導体54の他方の端部に相当する。
【0085】
第1の部分54aは、絶縁体層A24,A26,A28のうち端面10fをなす短辺に沿って延びている。具体的には、第1の部分54aは、
図7及び
図8に示されるように、絶縁体層A24,A26,A28上において、一対の長辺T1,T2及び一対の短辺T3,T4により構成された仮想矩形Tのうち短辺T4上に位置している。第1の部分54aの一端は、仮想矩形Tの角部c5上に位置している。第1の部分54aの他端は、仮想矩形Tの角部c5と角部c8との間に位置しており、角部c8上には位置していない。第1の部分54aの端部は、スルーホール導体52と接続されている。
【0086】
第2の部分54bは、
図7及び
図8に示されるように、短辺T4から長辺T2に向けて(絶縁体層A24,A26,A28のうち端面10fをなす短辺から側面10dをなす長辺に向けて)、仮想矩形Tの長辺T1,T2及び短辺T3,T4に対して斜めに延びている。すなわち、第2の部分52bは、仮想矩形Tの内側に位置している。
【0087】
第3の部分54cは、絶縁体層A24,A26,A28のうち側面10dをなす長辺に沿って延びている。具体的には、第3の部分54cは、
図7及び
図8に示されるように、仮想矩形Tの長辺T3上に位置している。第3の部分54cの一端は、仮想矩形Tの角部c7と角部c8との間に位置しており、角部c8上には位置していない。第3の部分54cの他端は、仮想矩形Tの角部c7上に位置している。
【0088】
第4の部分54dは、絶縁体層A24,A26,A28のうち端面10eをなす短辺に沿って延びている。具体的には、第4の部分54dは、
図7及び
図8に示されるように、絶縁体層A24,A26,A28上において、仮想矩形Tの短辺T3上に位置している。第4の部分54dの一端は、仮想矩形Tの角部c7上に位置している。第4の部分54dの他端は、仮想矩形Tの角部c6上に位置している。
【0089】
第5の部分54eは、絶縁体層A24,A26,A28のうち側面10cをなす長辺に沿って延びている。具体的には、第5の部分54eは、
図7及び
図8に示されるように、仮想矩形Tの長辺T1上に位置している。第5の部分54eの一端は、仮想矩形Tの角部c6上に位置している。第5の部分54eの他端は、仮想矩形Tの角部c5と角部c6との間に位置しており、角部c5上には位置していない。第5の部分54eのうち短辺T4寄り(角部c5寄り)の端部は、第1の部分54aとは離間している。
【0090】
第6の部分54fは、
図7及び
図8に示されるように、第1の部分54aよりも内側において、絶縁体層A24,A26,A28のうち側面10fをなす短辺、すなわち仮想矩形Tの短辺T4に沿って延びている。具体的には、第6の部分54fは、仮想矩形Tの角部c5寄りから角部c8寄りに向かうように延びている。第6の部分54fは、仮想矩形Tの内側に位置している。第6の部分54fは、仮想矩形Tの角部c5の近傍において、第1の部分54aの端部と互いに対向している。
【0091】
絶縁体層A24,A26,A28には、その厚さ方向に貫通するスルーホール導体56が設けられている。すなわち、スルーホール導体56は、絶縁体層A21〜A30の積層方向に延びている。スルーホール導体56は、第6の部分54fの端部と接続されている。
【0092】
絶縁体層A29の表面には、引き出し導体58及び接続導体60が配置されている。引き出し導体54は、素体10の端面10eから露出するように端面10e側に引き出され、第1の外部電極12に接続されている。引き出し導体44は、矩形状を呈しており、端面10e側において角部c1から角部c2にかけて延びている。接続導体60は、角部c2の近傍において絶縁体層A29のうち端面10eをなす長辺に沿って延びている。
【0093】
絶縁体層A23〜A29にそれぞれ交互に配置された第3及び第4の内部導体50,54が、スルーホール導体52,56によって順次接続され、コイルLを形成している。コイルLの一端は、スルーホール導体48、接続導体46及び引き出し導体44を介して、第2の外部電極14と接続されている。コイルLの他端は、スルーホール導体56、接続導体60及び引き出し導体58を介して、第1の外部電極12と接続されている。
【0094】
第1の外部電極12は、端面10eと、主面10a,10b及び側面10c,10dのうち端面10e側の領域に配置されている。第2の外部電極14は、端面10fと、主面10a,10b及び側面10c,10dのうち端面10f側の領域に配置されている。
【0095】
続いて、上記の積層コイル部品2の製造方法について説明する。絶縁体スラリーと、第1及び第2の導電性ペーストとを用意する工程と、絶縁体グリーンシートに形成された貫通孔内に第1の導電性ペーストを充填して、各スルーホール導体48,56を形成する工程とについては、第1実施形態に係る積層コイル部品1の製造方法と同じであるので、以降の工程について説明する。
【0096】
絶縁体層A22となる絶縁体グリーンシート上に、第1の導電性ペーストを塗布して、引き出し導体44及び接続導体46となる所定の導体パターンを形成する。絶縁体層A29となる絶縁体グリーンシート上に、第1の導電性ペーストを塗布して、引き出し導体58及び接続導体60となる所定の導体パターンを形成する。
【0097】
次に、絶縁体層A23,A25,A27となる絶縁体グリーンシート上に、第1の導電性ペーストを塗布して、第3の内部導体50となる所定の導体パターンを形成する。具体的には、
図9に示されるように、隣り合う導体パターン50Aと導体パターン50B同士が点対称となるように、複数の導体パターン50A,50Bが絶縁体グリーンシート上に配列される。
【0098】
次に、絶縁体層A24,A26,A28となる絶縁体グリーンシート上に、第1の導電性ペーストを塗布して、第4の内部導体54となる所定の導体パターンを形成する。具体的には、
図10に示されるように、隣り合う導体パターン54Aと導体パターン54B同士が点対称となるように、複数の導体パターン54A,54Bが絶縁体グリーンシート上に配列される。
【0099】
次に、導体パターンが形成された絶縁体グリーンシートを基材から剥がし、積層する。ここでは、絶縁体グリーンシートを所定の大きさに揃えて所定の枚数で積層し、積層方向から加圧してグリーン積層体を得る。次に、グリーン積層体を切断機で所定の大きさのチップに切断しグリーンチップを得る(切断工程)。得られたグリーンチップをバレル研磨し、グリーンチップの稜部を丸めてもよい。
【0100】
次に、グリーンチップから、各部に含まれるバインダ樹脂を除去した後、このグリーンチップを焼成する。この焼成により、絶縁体グリーンシートが絶縁体層A21〜A30となると共に、絶縁体グリーンシート上に塗布された導電体ペーストや貫通孔内に充填された導電性ペーストがそれぞれ各導体44〜60となり、素体10が得られる。得られた素体10をバレル研磨し、素体10の稜部を丸めてもよい。
【0101】
次に、素体10の端面10e,10fのそれぞれに対して第2の導電性ペーストを付与して、熱処理を施すことにより導電性ペーストを素体10に焼付けて、第1及び第2の外部電極12,14を形成する。導電性ペーストを焼き付けて形成した電極の上にめっきを施してもよい。金属めっきは、たとえば、NiとSnとで2層以上形成した多層構造としてもよい。
【0102】
以上のように、第2実施形態に係る積層コイル部品2は、第1実施形態に係る積層コイル部品1と同様の効果を奏する。
【0103】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、第1実施形態において、第1の内部導体28の第3の部分28cと、第2の内部導体34の第4の部分28dとが斜めに形成されていたが、仮想矩形Tに沿って直角に第1及び第2の内部導体28,34が延びていてもよい。第2実施形態において、第3の内部導体50のうち角部c1の近傍部分と、第4の内部導体54のうち角部c1の近傍部分とが、仮想矩形Tに沿って直角に延びていたが、第3及び第4の内部導体50,54のうち角部の近傍部分が、仮想矩形Tの内側を通るように斜めに延びていてもよい。