(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光通信に用いられる光トランシーバは、光源、光受信器モジュール、及び光変調器モジュールを備える。光トランシーバの小型化を実現するために、その構成部品の小型化が求められている。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、光変調器モジュールを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光入力窓と光出力窓とが並行して設けられたパッケージと、光入力端と光出力端とが交差した関係で設けられ、前記光出力端と交差する両端部にモニタ光出力端を備えた変調器チップと、前記光入力窓から入射された入力光の光軸を屈折させて、前記変調器チップの前記光入力端に入射させる光屈折部と、前記変調器チップの側壁のうち、前記光屈折部が設けられた側に配置され、前記変調器チップの前記モニタ光出力端の一方からの出力をモニタする第1検知手段が設けられた第1基板と、前記変調器チップの側壁のうち、前記第1基板が設けられた側と対向する側に配置され、前記変調器チップの前記モニタ光出力端の他方からの出力をモニタする第2検知手段が設けられ、前記変調器チップと対向する辺が前記第1基板よりも大きく、前記辺と交差する方向の辺が前記第1基板よりも小さい第2基板と、を備え、前記パッケージの内壁と前記変調器チップとの間隔は、前記第1基板が配置された側よりも、前記第2基板が配置された側の方が小さいことを特徴とする光変調器モジュールである。本発明によれば、光変調器モジュールを小型化することができる。
【0007】
上記構成において、前記第1基板および前記第2基板は、長方形である構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記変調器チップの駆動信号入力端子は、前記光出力端と対向する側の端部に配置されてなり、前記変調器チップを駆動させる駆動回路が、前記変調器チップの側壁のうち、前記光出力端と対向する側に配置されてなる構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記第1基板は、前記光入力窓から入射された前記入力光と交差する位置に配置され、前記入力光の光軸よりも低い位置に配置されている構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記第1基板と交差する位置における前記入力光はコリメート光である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光変調器モジュールを小型化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、光トランシーバについて説明する。
図1は、光トランシーバを示すブロック図である。
図1のように、光トランシーバは、光源10、光受信器モジュール12、及び光変調器モジュール14を備える。これらは電気コネクタ15によって外部と電気的に接続される。光受信器モジュール12は、光ファイバ16aを介して光源10から入射される光をLO光(局部発振光)として用いる。このLO光と光コネクタ18に接続された光ファイバ(不図示)から光ファイバ16bを介して入射された信号光とで伝送信号を復調する。復調された伝送信号によって得られた電気信号は、電気コネクタ15を介して外部機器に出力される。光変調器モジュール14は、外部機器から電気コネクタ15を介して入力される電気信号に基づいて、光ファイバ16cを介して光源10から入射されたCW(Continuous wave)光を変調して変調信号光を生成する。変調信号光は、光ファイバ16dを介して、光コネクタ18に接続された光ファイバ(不図示)に出射される。
【0014】
このような光トランシーバに対する小型化の要望は強い。このため、光トランシーバを構成する光変調器モジュール14に対しても小型化が求められている。
【0015】
図2は、比較例1に係る光変調器モジュールを示す上面図である。
図2のように、比較例1の光変調器モジュールは、パッケージ20の第1側壁22に光入力窓30と光出力窓32とが並行して設けられている。光入力窓30及び光出力窓32には、光ファイバ34、36が貫通するフェルール38が固定されたホルダ40が、コリメートレンズ(不図示)が収納されたホルダ42を介して接続される。ここで、パッケージ20において、第1側壁22の光入力窓30側の端に接続する側壁を第2側壁24、第1側壁22の光出力窓32側の端に接続する側壁を第3側壁26、第1側壁22に対向する側壁を第4側壁28とする。
【0016】
パッケージ20に設けられたTEC(サーモエレクトリッククーラ)46上にに、例えば半導体マッハツェンダ光変調器チップである変調器チップ50が搭載されている。ここで、変調器チップ50において、パッケージ20の第1側壁22に沿った端面を第1端面52、第2側壁24に沿った端面を第2端面54、第3側壁26に沿った端面を第3端面56、第4側壁28に沿った端面を第4端面58とする。変調器チップ50は、光入力窓30に接続された光ファイバ34から出射される光が、第2端面54に設けられた光入力端(入力ポート)60に入射される。
【0017】
ここで、光ファイバ34から出射された光が光入力端60に入射されるまでの経路を説明する。光ファイバ34から出射された光(入力光44)は、ホルダ42内のコリメートレンズでコリメート光にされた後、パッケージ20に設けられたミラー92で反射される。ミラー92で光軸が屈折させられた入力光44は、コリメートレンズ94を介して、光入力端60に入射される。
【0018】
このように、入力光44が変調器チップ50の第2端面54に入射する構成とすることで、低損失且つ簡易な光学系構成とすることができる。例えば、入力光44が変調器チップ50の第1端面52に入射する構成の場合、第1端面52から第4端面58に向かって延びる導波路を形成し、入力光44がこの導波路を経由することになる。このため、光の損失が増加してしまう。また、例えば、入力光44が変調器チップ50の第4端面58に入射する構成の場合、光ファイバ34が第1側壁22に接続されていることから、ミラーによる反射を2回行う必要があり、部品点数の増加や高い実装精度が求められる。
【0019】
変調器チップ50は、光入力端60に入射された入力光44を変調して変調信号光を生成する。変調信号光は、変調器チップ50の第1端面52に設けられた第1光出力端(第1出力ポート)62及び第2光出力端(第2出力ポート)64から出射される。また、変調信号光の一部は、変調器チップ50の第2端面54に設けられた第1モニタ光出力端(第1モニタ出力ポート)66及び第3端面56に設けられた第2モニタ光出力端(第2モニタ出力ポート)68からも出射される。このように、変調器チップ50は、光入力端60と第1及び第2光出力端62、64とが交差した関係で設けられ、第1及び第2光出力端62、64と交差する両端部(第2端面54及び第3端面56)に第1及び第2モニタ光出力端66、68が設けられている。
【0020】
第1光出力端62から出射された変調信号光は、コリメートレンズ96を介して、光の偏波を90°回転させる半波長板98に入射される。変調信号光は、半波長板98を通過した後、ミラー100で反射されて、偏波フィルタ102に入射される。一方、第2光出力端64から出射された変調信号光は、コリメートレンズ104を通過した後、半波長板を経由せずに、偏波フィルタ102に入射される。第1光出力端62と第2光出力端64とから出射された変調信号光は、偏波フィルタ102で合波され、ホルダ42内のコリメートレンズを介して光ファイバ36に入射される。
【0021】
パッケージ20の第2側壁24及び第3側壁26には直流端子117が設けられ、第4側壁28には高周波端子118が設けられている。第4側壁28に高周波端子118を設けることで、高周波端子118と光トランシーバの電気コネクタとを接続する配線を短くすることができ、信号特性の劣化を抑制できる。
【0022】
変調器チップ50の駆動信号入力端子51は第4端面58に配置されていて、変調器チップ50とパッケージ20の第4側壁28との間には、変調器チップ50を駆動させる駆動回路114、駆動回路114と変調器チップ50とを電気的に接続させる高周波配線を有する配線基板116が設けられている。駆動回路114は、高周波配線120によって、第4側壁28に設けられた高周波端子118と電気的に接続されている。
【0023】
ここで、変調器チップ50について詳しく説明する。
図3は、変調器チップ50を拡大した拡大図である。
図3のように、第2端面54の光入力端60に接続された光導波路70は、3段に接続されたY分岐の光分岐器78によって、光導波路72a〜72hに分岐される。光導波路72a〜72hそれぞれには、変調用電極80と位相調整用電極82とが設けられている。変調用電極80の一端には、配線84を介して、光を変調させる変調用の電圧が駆動回路114により印加される。変調用電極80の間には変調用電極81が配置されており、変調用電極81はグランド電極に相当する。変調用電極81の一端は、配線91を介して、駆動回路114のグランド端子に接続される。また、変調用電極80および変調用電極81の他端には、配線85を介して、終端抵抗が接続されている。変調用電極80に変調用の電圧を印加することで、光導波路72a〜72hを通過する光の位相を変化させて変調信号光を生成する。位相調整用電極82には、直流電圧が配線88を介して印加される。位相調整用電極93は、グランド電極に相当する。位相調整用電極93の一端は、配線95を介して、外部のグランド端子に接続される。位相調整用電極82に直流電圧を印加することで、光導波路72a〜72hを通過する光の位相を調整する。
【0024】
光導波路72a〜72hは、位相調整用電極82の後段に設けられた光合波器83で合流し、光導波路74a〜74dとなる。光導波路74a〜74dには、上述したのと同様の機能を有する位相調整用電極86が設けられている。光導波路74a及び74bは、光合分波器87で合流し、光導波路76a及び76bに分岐する。光導波路74c及び74dは、光合分波器89で合流し、光導波路76c及び76dに分岐する。光導波路76bは、第1端面52の第1光出力端62に接続され、光導波路76cは、第1端面52の第2光出力端64に接続される。光導波路76aは、第2端面54の第1モニタ光出力端66に接続され、光導波路76dは、第3端面56の第2モニタ光出力端68に接続される。
【0025】
図3の構成の変調器チップ50によれば、変調信号光が、第1端面52に設けられた第1光出力端62及び第2光出力端64、並びに、第2端面54に設けられた第1モニタ光出力端66及び第3端面56に設けられた第2モニタ光出力端68から出射される。
【0026】
変調器チップ50の安定動作のためには、変調器チップ50の出力をモニタして、変調器チップ50に印加する直流電圧をフィードバック制御することが望ましい。このためには、変調器チップ50の出力をモニタする検知手段を設けることが望ましい。この際、
図2のように、変調器チップ50とパッケージ20の第1側壁22との間には、ミラーやレンズ等の光学系が設けられている。変調器チップ50とパッケージ20の第4側壁28との間には、駆動回路114や配線基板116が設けられている。このため、変調器チップ50の出力をモニタする検知手段を配置するスペースを容易に確保できるのは、変調器チップ50とパッケージ20の第2側壁24及び第3側壁26との間となる。
【0027】
このようなことから、第1モニタ光出力端66を第2端面54に設け、第2モニタ光出力端68を第3端面に設けている。そして、第1モニタ光出力端66から出射される変調信号光を受光することで変調器チップ50の出力をモニタする検出手段(受光素子122等)が設けられた第1基板106を、変調器チップ50と第2側壁24との間に搭載している。第2モニタ光出力端68から出射される変調信号光を受光することで変調器チップ50の出力をモニタする検出手段(受光素子122等)が設けられた第2基板108を、変調器チップ50と第3側壁26との間に搭載している。このように、変調器チップ50の出力をモニタする検出手段を2つ設けているのは、変調器チップ50の光出力端が2つあるためである。
【0028】
また、変調器チップ50と第2側壁24との間、及び、変調器チップ50と第3側壁26との間にはそれぞれ、終端抵抗110と配線基板112とが更に搭載されている。終端抵抗110は、
図3で説明した変調用電極80に接続される終端抵抗である。配線基板112は、パッケージ20の第2側壁24及び第3側壁26に設けられた直流端子117に電気的に接続された直流配線を有し、
図3で説明した位相調整用電極82、86に印加される直流電圧を仲介する役割を担う。
【0029】
ここで、第1基板106及び第2基板108について説明する。
図4は、
図2における第1基板106及び第2基板108が搭載された部分を拡大した拡大図である。なお、図の明瞭化のために、変調器チップ50の導波路等は図示を省略している。変調器モジュールを小型化するには、変調器チップ50とパッケージ20の第3側壁26との間隔を、第2基板108等を搭載するスペースを確保しつつ最小限にすることが望ましい。第2基板108は、変調信号光を受光する受光素子122の他にも、ICチップ、チップ抵抗、チップコンデンサ等が備わるため、ある程度大きな面積となる。また、第1基板106及び第2基板108は、同じ機能を有するものであるため、同程度の大きさを有する。このようなことから、
図4のように、第2基板108は、変調器チップ50の第3端面56に沿った第1辺124が、第1辺124に交差する第2辺126よりも長い長方形状となっている。また、第1基板106についても、第2基板108と同様に、変調器チップ50の第2端面54に沿った第1辺128が、第1辺128に交差する第2辺130よりも長い長方形状となっている。
【0030】
しかしながら、比較例1に係る光変調器モジュールでは、小型化が十分ではない。そこで、より小型化が可能な実施例について以下に説明する。
【実施例1】
【0031】
図5(a)は、実施例1に係る光変調器モジュールを示す上面図であり、
図5(b)は、
図5(a)のA−A間の断面図である。比較例1と共通の構成については同一の符号を付し説明を省略する。
図5(a)のように、実施例1では、第1基板140が、比較例1の第1基板106と比べて、縦横比が異なっている。
【0032】
図6は、
図5(a)における第1基板140及び第2基板108が搭載された部分を拡大した拡大図である。なお、図の明瞭化のために、変調器チップ50の導波路等は図示を省略している。
図6のように、第1基板140は、変調器チップ50の第2端面54に沿った第1辺128が、第1辺128に交差する第2辺130より短い。第1基板140と第2基板108とを比較すると、第1基板140の第1辺128は、第2基板108の第1辺124よりも短く、第1基板140の第2辺130は、第2基板108の第2辺126よりも長い。第1基板140の第1辺128と第2基板108の第2辺126とはほぼ同じ長さであり、第1基板140の第2辺130と第2基板108の第1辺124とはほぼ同じ長さである。
【0033】
光ファイバ34と36との間隔はある程度(例えば5mm以上)離すことが求められており、この間隔に対して、変調器チップ50の第1端面52の長さは短い。また、第1光出力端62及び第2光出力端64と光ファイバ36とを光学的に結合させる光学系を簡易な構成とするために、第2光出力端64と光ファイバ36とを同一線上に設けることが望ましい。さらに、光ファイバ34から入射される入力光44を、変調器チップ50の第2端面54に入射させるために、変調器チップ50とパッケージ20の第2側壁24との間に、ミラー92とコリメートレンズ94とを設けることが望ましい。これらのことから、
図5(a)のように、変調器チップ50は、パッケージ20の第2側壁24と第3側壁26との間の中心線X1よりも第3側壁26側に偏って設けられる。つまり、変調器チップ50と第2側壁24との間隔は広くなる。そこで、発明者は、構成部品のこのような独特な配置から、第1基板140を
図5(a)のように搭載することを考え出した。
【0034】
このように、実施例1では、変調器チップ50の側壁のうち、ミラー92(光屈折部)が設けられた側に第1基板140が配置され、第1基板140が設けられた側と対向する側に第2基板108が配置されている。第2基板108の変調器チップ50と対向する第1辺124は、第1基板140の変調器チップ50と対向する第1辺128よりも大きく、第2基板108の第1辺124と交差する第2辺126は、第1基板140の第1辺128と交差する第2辺130よりも小さくなっている。そして、パッケージ20の内壁と変調器チップ50との間隔は、第1基板140が配置された側よりも、第2基板108が配置された側の方が小さくなっている。このような構成により、光変調器モジュールの幅方向だけではなく、長さ方向も短くすることができる。よって、光変調器モジュールを小型化することができる。
【0035】
また、上述したように、変調器チップ50と第3側壁26との間隔を狭めて、光変調器モジュールの幅を狭くする観点から、第2基板108の第1辺124は、第2辺126よりも長いことが好ましい。また、光変調器モジュールの長さを短くする観点から、第1基板140の第1辺128は、第2辺130よりも短いことが好ましい。即ち、第1基板140及び第2基板108は長方形であることが好ましい。
【0036】
第1基板140の第2辺130が、第1辺128よりも長いことで、
図5(a)及び
図5(b)のように、第1基板140が、光入力窓30から入射された入力光44と交差する位置に配置されてしまう。このため、入力光44が第1基板140と干渉して妨げられることが生じてしまう。そこで、第1基板140を入力光44の光軸よりも低い位置に配置している。これにより、入力光44が第1基板140と干渉して妨げられることを抑制できる。
【0037】
図5(a)のように、変調器チップ50の第2端面54の第1モニタ光出力端66と第3端面56の第2モニタ光出力端68とは、第2端面54と第3端面56との間の中心線X2に対して非対称に配置されている。これにより、第1基板140及び第2基板108それぞれの受光素子122の配置の自由度を増すことができる。
【0038】
変調器チップ50の駆動信号入力端子51は、第1及び第2光出力端62、64と対向する側の端部(第4端面58)に配置され、駆動回路114が、変調器チップ50の側壁のうち、第1及び第2光出力端62、64と対向する側に配置されていることが好ましい。これにより、変調器チップ50の第2端面54に入力光44を入射させる構成において、入力光44と駆動回路114及び配線基板116との干渉を抑制することができる。
【0039】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。