(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記進捗管理システムは、引合時および受注時において生産能力に基づいて決定された引合対象製品および受注対象製品の生産着手日を記憶する着手計画データベース(着手計画DB)をさらに備え、
前記引合計画基準情報および前記受注計画基準情報は、前記着手計画DBに記憶されている生産着手日である、請求項1の進捗管理システム。
前記進捗管理システムは、前記作業工程毎に作業を完了した後に作業者により完了処理が施された場合に、前記実績DBに前記完了日を記憶させる実績入力部をさらに備える、請求項1〜5の何れか一項の進捗管理システム。
前記第一表示画面において表示する前記作業工程は、前記第二表示画面において表示する前記作業工程を複数集約した大分類の作業工程である、請求項7の進捗管理システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、これまでとは異なる新しい進捗管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(請求項1)本手段に係る進捗管理システムは、複数の作業工程により行う製品の生産活動において作業工程の進捗を管理する進捗管理システムであって、製品の引合時に決定された前記複数の作業工程の日程に関する引合計画を対象製品毎に記憶するデータベース(引合計画DB)と、製品の受注時に決定された前記複数の作業工程の日程に関する受注計画を前記対象製品毎に記憶するデータベース(受注計画DB)と、前記受注計画に対して修正された確定計画を前記対象製品毎に記憶するデータベース(確定計画DB)と、前記作業工程毎に作業を完了した場合に完了日を前記対象製品毎に記憶する実績データベース(実績DB)と、前記引合計画における前記複数の作業工程のそれぞれの作業工程に要する標準日数を記憶するデータベース(引合標準日数DB)と、前記受注計画における前記複数の作業工程のそれぞれの作業工程に要する標準日数を記憶するデータベース(受注標準日数DB)と、引合計画基準情報と前記引合標準
日数DBに記憶されている標準日数とに基づいてコンピュータにより前記対象製品毎に前記引合計画を決定し、当該引合計画を前記引合計画DBに記憶する引合計画決定処理部と、受注計画基準情報と前記受注標準
日数DBに記憶されている標準日数とに基づいてコンピュータにより前記対象製品毎に前記受注計画を決定し、当該受注計画を前記受注計画DBに記憶する受注計画決定処理部と、前記対象製品毎に前記確定計画が入力された場合に当該確定計画を前記確定計画DBに記憶する確定計画入力部と、前記対象製品毎に、前記実績DBに記憶されていない前記作業工程において、現在が各作業工程の警告基準日を超過しているか否かを判定する判定部と、前記判定部において現在が前記警告基準日を超過していると判定された場合に、該当する前記作業工程の対象製品に対して警告表示を行う表示処理部と、を備える。
【0006】
前記警告基準日は、前記確定計画DBに前記確定計画が記憶されている前記作業工程においては、前記確定計画の日程とし、前記確定計画DBに前記確定計画が記憶されておらず前記受注計画DBに前記受注計画が記憶されている前記作業工程においては、前記受注計画の日程とし、前記確定計画DBおよび前記受注計画DBに前記確定計画および前記受注計画が記憶されておらず前記引合計画DBに前記引合計画が記憶されている前記作業工程においては、前記引合計画の日程とする。
前記引合計画基準情報は、製品の引合時に決定された生産着手日、生産完了日または検収日とし、前記受注計画基準情報は、製品の受注時に決定された生産着手日、生産完了日または検収日とする。
【0007】
本手段に係る進捗管理システムの好適な態様について以下に説明する。
(請求項2)前記進捗管理システムは、引合時および受注時において生産能力に基づいて決定された引合対象製品および受注対象製品の生産着手日を記憶する着手計画データベース(着手計画DB)をさらに備え、前記引合計画基準情報および前記受注計画基準情報は、前記着手計画DBに記憶されている生産着手日としてもよい。
【0008】
(請求項3)また、前記着手計画DBは、生産着手の対象製品毎に、引合後で受注前である第一状態の対象製品であるか、それとも受注後である第二状態の対象製品であるかを記憶し、前記引合計画決定処理部は、前記着手計画DBに前記第一状態の対象製品であることが記憶されている場合に、前記第一状態の対象製品について前記引合計画を決定し、前記受注計画決定処理部は、前記着手計画DBに前記第二状態の対象製品であることが記憶されている場合に、前記第二状態の対象製品について前記受注計画を決定するようにしてもよい。
【0009】
(請求項4)また、前記進捗管理システムは、対象製品を特定するための客先情報、製品種別情報、機番情報を記憶する営業情報データベース(営業情報DB)をさらに備え、前記機番情報は、引合時に登録する引合番号および受注時に登録する受注番号を含み、前記着手計画DBは、前記営業情報DBと関連づけられた前記機番情報を記憶することにより、生産着手の対象製品が前記第一状態の対象製品であるか前記第二状態の対象製品であるかを記憶するようにしてもよい。
【0010】
(請求項5)また、前記判定部は、前記実績DBに記憶されていない前記作業工程において、現在が各作業工程の注意喚起基準日を超過しているか否かを判定し、前記表示処理部は、前記判定部において現在が前記注意喚起基準日を超過しており、かつ、現在が前記警告基準日を超過していないと判定された場合に、該当する前記作業工程において注意喚起表示を行い、前記注意喚起基準日は、前記作業工程毎に、前記警告基準日から設定された日数だけ前の日とするようにしてもよい。
【0011】
(請求項6)また、前記進捗管理システムは、前記作業工程毎に作業を完了した後に作業者により完了処理が施された場合に、前記実績DBに前記完了日を記憶させる実績入力部をさらに備えるようにしてもよい。
【0012】
(請求項7)また、前記進捗管理システムは、第一表示画面と第二表示画面とを表示する表示部をさらに備え、前記第一表示画面は、前記作業工程毎の表示欄を表示すると共に、前記対象製品が現在作業中の作業工程の表示欄に前記対象製品に相当する疑似対象製品を表示し、前記第二表示画面は、前記作業工程の表示欄を表示すると共に、前記対象製品毎に前記引合計画の日程、前記受注計画の日程、前記確定計画の日程および前記完了日を表示し、前記表示処理部は、前記第一表示画面において該当する前記疑似対象製品に対して警告表示を行い、前記第二表示画面において該当する前記対象製品の前記表示欄に対して警告表示を行うようにしてもよい。
(請求項8)また、前記第一表示画面において表示する前記作業工程は、前記第二表示画面において表示する前記作業工程を複数集約した大分類の作業工程としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
(請求項1)本手段によれば、計画の種別として、引合計画、受注計画および確定計画の3種類設定している。そして、警告基準日が、引合計画、受注計画、確定計画の順に更新されることになる。
【0014】
つまり、受注前であれば、引合計画に基づいて警告表示を行うか否かが判断される。従って、引合計画は、受注前までに進捗管理を行うための計画となる。そして、引合計画は、基準情報が入力されさえすれば、コンピュータにより自動的に決定される。従って、進捗管理者および作業者は、基準情報が入力されさえすれば、受注前までの進捗管理を行うことができる。
【0015】
また、受注後であれば、当初としては受注計画に基づいて警告表示を行うか否かが判断される。そして、受注計画は、基準情報が入力されさえすれば、コンピュータにより自動的に決定される。従って、進捗管理者および作業者は、基準情報が入力されさえすれば、受注後における進捗管理を行うことができる。
【0016】
そして、確定計画が入力された場合には、確定計画に基づいて警告表示を行うか否かが判断される。このように、確定計画を入力することができるようにすることで、自動的に決定される引合計画および受注計画を調整することができる。従って、状況に応じた適切な計画の日程に基づいて、警告表示を行うか否かが判断される。
【0017】
(請求項2)生産会社は、生産能力を考慮しつつ、製品の納入希望日までに製品を検収できるようにする必要がある。そこで、生産能力に基づいて生産着手日を決定する必要がある。つまり、着手計画DBに生産能力を考慮した生産着手日を記憶させておくことで、当該生産着手日を、引合計画決定処理部および受注計画決定処理部において用いる基準情報として利用している。従って、着手計画DBに生産着手日を記憶させることで、自動的に、生産能力を考慮した引合計画および受注計画が容易に決定される。
【0018】
(請求項3)着手計画DBには、引合後で受注前である第一状態の対象製品であるか、受注後である第二状態の対象製品であるかが記憶されている。従って、引合計画決定処理部は、着手計画DBに記憶されている対象製品が第一の状態のときに、基準情報に基づいて自動的に引合計画を決定することになる。また、受注計画決定処理部は、着手計画DBに記憶されている対象製品が第二の状態のときに、基準情報に基づいて自動的に受注計画を決定することになる。このように、着手計画DBの情報を基にして、自動的に、引合計画および受注計画が決定される。
【0019】
(請求項4)営業情報DBと関連づけられた機番情報を着手計画DBに記憶させることで、着手計画DBの機番情報から対象製品が第一の状態であるか第二の状態であるかを把握することができる。つまり、営業情報DBに機番情報としての引合番号または受注番号が記憶されていることで、自動的に、引合計画決定処理部が引合計画を決定したり、受注計画決定処理部が受注計画を決定したりできる。
【0020】
(請求項5)警告表示に加えて、注意喚起表示を行うことで、進捗管理者および各作業工程の作業者は、進捗管理をより確実に行うことができる。また、注意喚起表示についても、警告表示と同様に、引合計画または受注計画の日程に基づいて判断される場合には、自動的に行われる。また、確定計画によって調整することもできる。
【0021】
(請求項6)実績DBにおける完了日の記憶は、作業工程毎の作業者が実績入力部により完了処理を施すことで、自動的に行われる。従って、実績DBにおける完了日の記憶が非常に簡易的となる。
【0022】
(請求項7)進捗管理者は、第一表示画面を閲覧することによって、対象製品が現在どの作業工程に存在しているのか、さらに対象製品が現在正常であるか否かを、一見して把握することができる。つまり、第一表示画面により、多数の対象製品の状況を大観することができる。また、進捗管理者は、第二表示画面を閲覧することによって、各対象製品における各作業工程の計画の日程および完了日を把握することができる。第二表示画面により大観はできないものの、日程を把握することにより対象製品の状況を正確に把握できる。
【0023】
(請求項8)第一表示画面において表示する作業工程を第二表示画面において表示する作業工程より大分類とすることで、第一表示画面により確実に大観することができ、第二表示画面により正確な状況を把握することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の進捗管理システムを具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態の進捗管理システムは、工作機械を製品とする会社における工作機械の生産活動において、作業工程の進捗を管理するシステムである。本実施形態における生産活動は、製品の引合から検収までを対象とする。また、本実施形態においては、工作機械の種類は、研削盤とマシニングセンタの2種類とする。
【0026】
(作業工程)
まずは、生産活動における作業工程について、
図2〜
図4を参照して説明する。製品の引合から検収までの間が複数の作業工程に分類される。作業工程の大分類は、
図2の上段に示すとおりである。ただし、国内出荷機と外国出荷機とで異なる作業工程となる。
【0027】
国内出荷機は、
図2の上段において、積送の作業工程を除く。一方、外国出荷機は、
図2の上段において、据付/調整の作業工程を除く。つまり、国内出荷機は、引合→見積→受注→製造指示→仕様確定→出図/手配→部品および装置品の生産→総組立→出荷待ち→据付/調整→検収の順の作業工程となる。外国出荷機は、引合→見積→受注→製造指示→仕様確定→出図/手配→部品および装置品の生産→総組立→出荷待ち→積送→検収の順の作業工程となる。
【0028】
各作業工程は、以下のとおりである。
・引合:客先からの製品発注に関する問い合わせ(受注には至っていない状態)
・見積:客先に対する引合対象製品の見積
・受注:製品の受注
・製造指示:対象製品に関する製造開始の指示
・仕様確定:対象製品のオプションの仕様についての確定
・出図/手配:オプションについての設計図の作成、かつ、部品製造に関する手配
・部品および装置品の生産:生産工程の1つであって、対象製品の部品、ユニットとしての装置品、外部からの購入品についての生産および準備
・総組立:生産工程の1つであって、準備した部品などの総組立
・出荷待ち:生産工程の1つであって、総組立完了した製品について出荷するまでの状態
・据付/調整:国内出荷機について客先に対象製品を据え付けて、客先にて調整する作業工程
・積送:外国出荷機についての移送、船積み
・検収:対象製品についての客先による検収
【0029】
上記大分類の作業工程は、さらに詳細な中分類の作業工程に分類される。作業工程の中分類は、
図3Aおよび
図3Bの上段に示すとおりである。上記大分類の作業工程が、1または複数の作業工程に分類される。すなわち、大分類の作業工程は、中分類の作業工程を複数集約した分類の作業工程となる。例えば、出図/手配の作業工程は、複数の設計工程に分類される。生産工程のうち部品/装置品の作業工程は、機械加工部品の準備、装置品の準備、購入品の準備、小物組立品に分けられる。また、総組立の作業工程は、組立着手および複数の組立工程に分類される。
【0030】
また、上記中分類の作業工程は、さらに詳細な小分類の作業工程に分類される。たとえば、中分類の作業工程における機械加工部品、装置品および購入品の準備に関する作業工程は、
図4の上段に示すとおりである。すなわち、機械加工部品の中には、ベッド、コラム、軸頭、テーブルが存在する。そこで、部品毎に、作業工程を分類する。また、図示しないが、中分類の作業工程における他の作業工程についても、必要に応じて小分類の作業工程に分類する。
【0031】
(システム構成)
次に、進捗管理システム(以下、「システム」と称する)の構成について、
図1を中心に、
図2〜
図9を参照して説明する。以下において、データベースは、DBと記載する。
図1に示すように、システムは、営業情報入力部11、営業情報DB12、着手計画入力部21、着手計画DB22、引合計画決定処理部31、引合計画標準日数DB32(以下、「引合標準日数DB32」とする)、引合計画DB33、受注計画決定処理部41、受注計画標準日数DB42(以下、「受注標準日数DB42」とする)、受注計画DB43、確定計画入力部51、確定計画DB52、実績入力部61、実績DB62、判定部71、注意喚起日数DB72、表示処理部80、表示部90を備える。
【0032】
図1における営業情報入力部11および営業情報DB12について、
図5を参照して説明する。営業情報は、対象製品を特定するための情報である。営業担当者が営業情報入力部11によって営業情報を入力すると、入力
された営業情報が営業情報DB12に記憶される。営業情報は、
図5の上段に示すように、客先情報、受注先情報、機番情報、機種情報(製品種別情報に相当)、引合登録日、受注登録日、納期などが含まれる。客先は、納入先に相当する。
【0033】
受注先は、客先と異なる場合があるため、客先とは別情報とする。機番情報は、対象製品に固有の番号であって、製品に付す情報である。機番情報には、引合時に登録される番号であって引合後から受注前までに用いる引合番号と、受注時に登録される番号であって受注後から用いる受注番号が含まれる。引合番号および受注番号は、文字列によって、いずれであるかを区別でき、かつ、機種を区別することもできるようになっている。機種は、本実施形態においては、研削盤とマシニングセンタとする。引合登録日は、引合があった場合の日であり、受注登録日は、受注があった日である。納期は、客先または受注先から
の、対象製品の納入希望日である。納入希望日は、検収予定日に相当する。
【0034】
図1における着手計画入力部21および着手計画DB22について、
図6を参照して説明する。生産会社は、生産能力を考慮しつつ、製品の納入希望日までに製品を検収できるようにする必要がある。そこで、設計担当者および生産技術担当者などが、製品についての引合時および受注時に、会社の生産能力を考慮して対象製品の生産着手日を決定する。原則としては、納期(納入希望日)から標準的な生産期間を逆算することにより、生産着手日を決定する。ただし、同時に生産できる製品の台数には限界があるため、生産能力と納期とを考慮しながら、対象製品の生産着手日を決定する。本実施形態においては、生産着手日は、生産工程の1つである総組立工程における組立着手日とする。もちろん、生産着手日は、生産工程の着手日としてもよい。
【0035】
そして、生産着手日の決定者が、着手計画入力部21によって対象製品の生産着手日を入力すると、着手計画DB22に生産着手日が記憶される。着手計画とは、対象製品の生産着手日の計画である。着手計画には、受注後の対象製品(受注対象製品)についての生産着手日が含まれることは当然であるが、引合時の対象製品(引合対象製品)についての生産着手日も含まれる。ここで、生産着手日が、以下において説明する基準情報となる。そして、機番に引合番号が記憶されている生産着手日が、引合計画基準情報となり、機番に受注番号が記憶されている生産着手日が、受注計画基準情報となる。
【0036】
ここで、
図6には、例えば、20**年1月と2月の着手計画を示す。
図6に示すように、各月の生産最大数は、研削盤がN台、マシニングセンタがM台である。ここで、着手計画DB22には、生産着手日の他に、客先、機番、納期などが記載されているが、これらは営業情報DB12と関連付けられて
いる。
【0037】
また、着手計画DB22において、機番の欄には、引合番号または受注番号が記憶される。ここで、営業情報DB12に引合番号が記憶されている場合であって受注番号が記憶されていない場合、すなわち受注前においては、着手計画DB22には、機番として引合番号が記憶される。一方、営業情報DB12に引合番号および受注番号が記憶されている場合、すなわち受注後においては、着手計画DB22には、機番として受注番号が記憶される。つまり、着手計画DB22には、引合後であって受注前である第一状態であるか、受注後である第二状態であるかが記憶されていることになる。
【0038】
図1の引合計画決定処理部31、引合標準日数DB32および引合計画DB33について、
図3A、
図3Bおよび
図7を参照して説明する。引合計画とは、対象製品の引合時に決定された各作業工程の日程に関する計画である。そして、引合計画は、引合後であって受注までの間において、進捗を管理するための計画である。この引合計画は、対象製品毎に決定される。引合計画は、
図3Aおよび
図3Bの各対象製品において最上段に記載されている日程である。
【0039】
引合計画は、
図1の引合計画決定処理部31により、引合標準日数DB32を用いながら決定される。そして、決定された引合計画は、引合計画DB33に記憶される。引合計画決定処理部31による処理は、コンピュータにより、
図7に示すように行われる。
【0040】
処理部31は、着手計画DB22における基準情報としての生産着手日を取得する(S1)。続いて、処理部31は、着手計画DB22に記憶されている機番情報が引合番号であるか否かを判定する(S2)。上述したように、着手計画DB22において、機番情報が引合番号である場合は、引合後であって受注前の第一状態の場合である。機番情報が引合番号である場合には(S2:Y)、基準情報(引合計画基準情報)と引合標準日数DB32とに基づいて引合計画を決定する(S3)。続いて、処理部31は、決定された引合計画を引合計画DB33に記憶する(S4)。また、機番情報が引合番号でない場合には(S2:N)、処理を終了する。
【0041】
つまり、着手計画DB22に生産能力を考慮した生産着手日を記憶させておくことで、当該生産着手日を、引合計画決定処理部31において用いる基準情報として利用している。従って、着手計画DB22に生産着手日を記憶させることで、自動的に、生産能力を考慮した引合計画が容易に決定される。
【0042】
ここで、引合標準日数DB32には、引合計画におけるそれぞれの作業工程に要する標準日数が記憶される。例えば、引合標準日数DB32には、
図3Aに示すように、見積(設計2)の完了までに要する標準日数、見積(営業3)の完了までに要する標準日数、受注までに要する標準日数、仕様確定までに要する標準日数などが記憶される。従って、引合計画基準情報と引合標準日数DB32に記憶されている各標準日数とから、引合計画基準情報に応じた各作業工程の標準的な管理日程が決定される。
【0043】
なお、
図3Aおよび
図3Bには、引合計画として、全ての作業工程における日程を記載している。ここで、引合計画は、引合後であって受注までの間において、進捗を管理するための計画である。そこで、引合計画は、全ての作業工程に対する計画日を含ませないようにしてもよい。例えば、引合計画は、受注までの作業工程を対象としてもよいし、受注直後までの作業工程(例えば、出図/手配までの作業工程)を対象としてもよい。
【0044】
図1の受注計画決定処理部41、受注標準日数DB42および受注計画DB43について、
図3A、
図3B、
図4および
図8を参照して説明する。受注計画とは、対象製品の受注時に決定された各作業工程の日程に関する計画である。そして、受注計画は、受注後において、進捗を管理するための計画である。この受注計画は、対象製品毎に決定される。受注計画は、
図3Aおよび
図3Bの各対象製品において上から二段目に記載されている日程である。また、受注計画は、
図4の各対象製品において最上段に記載されている日程である。
【0045】
受注計画は、
図1の受注計画決定処理部41により、受注標準日数DB42を用いながら決定される。そして、決定された受注計画は、受注計画DB43に記憶される。受注計画決定処理部41による処理は、コンピュータにより、
図8に示すように行われる。
【0046】
処理部41は、着手計画DB22における基準情報としての生産着手日を取得する(S11)。続いて、処理部31は、着手計画DB22に記憶されている機番情報が受注番号であるか否かを判定する(S12)。上述したように、着手計画DB22において、機番情報が受注番号である場合は、受注後の第二状態の場合である。機番情報が受注番号である場合には(S12:Y)、基準情報(受注計画基準情報)と受注標準日数DB42とに基づいて受注計画を決定する(S13)。続いて、処理部41は、決定された受注計画を受注計画DB43に記憶する(S14)。また、機番情報が受注番号でない場合には(S12:N)、処理を終了する。
【0047】
つまり、着手計画DB22に生産能力を考慮した生産着手日を記憶させておくことで、当該生産着手日を、受注計画決定処理部41において用いる基準情報として利用している。従って、着手計画DB22に生産着手日を記憶させることで、自動的に、生産能力を考慮した受注計画が容易に決定される。
【0048】
ここで、受注標準日数DB42には、受注計画におけるそれぞれの作業工程に要する標準日数が記憶される。例えば、受注標準日数DB42には、
図3Aに示すように、製造指示の完了までに要する標準日数、出図/手配の各工程の完了までに要する標準日数、
図3Bに示すように、部品/装置品のそれぞれの完了までに要する標準日数、総組立のそれぞれの工程の完了までに要する標準日数などが記憶される。また、受注標準日数DB42には、中分類の作業工程の他に、
図4に示す小分類の作業工程についても同様に、それぞれの作業工程に要する標準日数が記憶される。例えば、
図4に示すように、各機械加工品、各装置品および各購入品についての標準日数が記憶される。従って、受注計画基準情報と受注標準日数DB42に記憶されている各標準日数とから、受注計画基準情報に応じた各作業工程の標準的な管理日程が決定される。
【0049】
また、着手計画DB22に記憶されている機番情報が受注番号である場合、すなわち受注後である第二状態である場合に、自動的に受注計画が決定される。一方、着手計画DB22に記憶されている機番情報が引合番号である場合、すなわち引合後で受注前である第一状態である場合に、自動的に引合計画が決定される。このように、着手計画DB22の機番情報を基にして、自動的に引合計画を決定したり、受注計画を決定したりできる。特に、着手計画DB22における機番情報は、営業情報DB12に関連づけられた機番情報である。従って、営業情報DB12に機番情報としての引合番号または受注番号が記憶されることで、自動的に、計画決定処理が行われる。
【0050】
図1の確定計画入力部51および確定計画DB52について、
図3A、
図3Bおよび
図4を参照して説明する。進捗管理の担当者が、確定計画入力部51によって確定計画を入力すると、確定計画DB52に確定計画が記憶される。確定計画は、受注計画に対して修正された計画である。確定計画は、受注計画と同様に、対象製品毎に決定される。
【0051】
ここで、引合計画および受注計画は、生産着手日と予め設定された各作業工程の標準日数を用いて決定される。そして、原則としては、引合計画または受注計画を基に進捗の管理が行われる。しかし、種々の事情によって、標準日数が適切ではない場合が生じる。例えば、オプションの仕様によっては、設計図の出図や生産に通常より多くの日数を要する場合がある。このように、実際の状況に適宜対応しながら、進捗の管理を行う必要がある。そこで、進捗管理の担当者が、引合計画および受注計画に対して修正すべき事情が生じた場合には、確定計画入力部51によって修正すべき部分に確定計画を入力する。
【0052】
確定計画は、中分類を示す
図3Aおよび
図3Bの各対象製品において、上から三段目に記載されている日程である。また、確定計画は、小分類を示す
図4の各対象製品において、上から二段目に記載されている日程である。
【0053】
図1の実績入力部61および実績DB62について、
図3A、
図3Bおよび
図4を参照して説明する。各作業工程を実施する作業者が、作業を完了した場合に、実績入力部61によって実績としての完了日を入力すると、実績DB62に実績としての完了日が記憶される。実績DB62には、対象製品毎に、かつ、作業工程毎に実績が記憶される。実績入力部61は、各作業工程の作業者の近傍にそれぞれ配置されており、作業者が作業の完了の度に、容易に実績を入力することができる。実績としての完了日は、各対象製品において、
図3A、
図3B、
図4の最下段に記載されている日程である。
【0054】
ここで、実績入力部61は、作業工程毎に作業を完了した後に担当する作業者によって完了処理が施された場合に、実績DB62に完了日を記憶させる。つまり、作業者は単に完了処理を施す、具体的には完了アイコンをクリックすることだけで、実績DB62には完了日が記憶される。完了日は、自動的に、完了処理が施された日となる。従って、実績DB62における完了日の記憶が非常に簡易的となる。
【0055】
また、部品/装置品の工程を管理する者が、部品などの仕入れ先から回答された納期(回答納期)を実績入力部61によって入力すると、回答納期が実績DB62に記憶される。回答納期は、小分類を示す
図4の上から三段目に記載の日程である。回答納期は、仕入れ先が該当部品などを納入する予定日に相当する。
【0056】
図1の判定部71および注意喚起日数DB72について説明する。判定部71は、
図1に示すように、コンピュータにより、引合計画、受注計画および確定計画に基づいて、警告基準日および注意喚起基準日を決定する。そして、判定部71は、コンピュータにより、実績DB62に記憶されていない作業工程において、現在が各作業工程の警告基準日または注意喚起基準日を超過しているか否かを判定する。
【0057】
判定部71の処理について、
図9を参照して説明する。判定部71の処理は、対象製品毎に、かつ、作業工程毎に行う。当該処理は、以下のとおりである。まず、対象製品の作業工程の実績が、実績DB62に記憶されているか否かを判定する(S21)。実績DB62において既に実績が記憶されている場合には(S21:N)、当該作業工程についての当該処理は終了する。つまり、判定部71による処理は、実績が記憶されていない作業工程を対象とする。
【0058】
実績DB62に実績が記憶されていない場合には(S21:Y)、続いて、確定計画DB52に当該作業工程の確定計画が記憶されているか否かを判定する(S22)。確定計画DB52に確定計画が記憶されている場合には(S22:Y)、当該作業工程においては、確定計画の日程を警告基準日とする(S23)。
【0059】
S22において、確定計画DB52に当該作業工程の確定計画が記憶されていない場合には(S22:N)、受注計画DB43に当該作業工程の受注計画が記憶されているか否かを判定する(S24)。受注計画DB43に受注計画が記憶されている場合には(S24:Y)、当該作業工程においては、受注計画の日程を警告基準日とする(S25)。
【0060】
S24において、受注計画DB43に当該作業工程の受注計画が記憶されていない場合には(S24:N)、引合計画DB33に当該作業工程の引合計画が記憶されているか否かを判定する(S26)。引合計画DB33に引合計画が記憶されている場合には(S26:Y)、当該作業工程においては、引合計画の日程を警告基準日とする(S27)。なお、S26において、引合計画DB33に引合計画が記憶されていない場合には(S26:N)、処理を終了する。
【0061】
S23、S25、S27において、警告基準日が決定された後には、現在が警告基準日を超過しているか否かを判定する(S28)。現在が警告基準日を超過している場合には(S28:Y)、表示処理部80に対して警告表示処理を実行させる(S29)。警告表示処理については、後述する。
【0062】
また、S28において、現在が警告基準日を超過していない場合には(S28:N)、現在が注意喚起基準日を超過しているか否かを判定する(S30)。注意喚起基準日とは、警告基準日から注意喚起の日数だけ前の日である。注意喚起の日数は、作業工程毎に設定されている。注意喚起の日数は、注意喚起日数DB72に記憶されている。作業工程に応じて、注意喚起の日数は、例えば、1日の場合、2日の場合、5日の場合などである。
【0063】
つまり、S30において、判定部71は、注意喚起日数DB72に記憶されている情報と警告基準日とから注意喚起基準日を決定し、決定された注意喚起基準日と現在とを比較する。そして、S30において、現在が注意喚起基準日を超過している場合には(S30:Y)、表示処理部80に対して注意喚起表示処理を実行させる(S31)。注意喚起表示処理については、後述する。そして、S30において、現在が注意喚起基準日を超過していない場合には(S30:N)、処理を終了する。
【0064】
図1の表示処理部80および表示部90について説明する。表示処理部80は、引合計画DB33、受注計画DB43、確定計画DB52および実績DB62から各種情報を取得して、表示部90に、第一表示画面、第二表示画面または第三表示画面を表示させる。さらに、表示処理部80は、判定部71において現在が警告基準日を超過していると判定された場合に、該当する作業工程の対象製品に対して警告表示を行う。さらに、表示処理部80は、判定部71において現在が注意喚起基準日を超過していると判定された場合に、該当する作業工程の対象製品に対して注意喚起表示を行う。
【0065】
第一表示画面は、
図2に示すような画面である。つまり、第一表示画面には、大分類の作業工程に分類された画面が表示される。第一表示画面は、主として進捗管理を行う者が全体の概要を把握するために用いられる。
図2に示すように、第一表示画面は、作業工程毎の表示欄を表示すると共に、対象製品が現在作業中の作業工程の表示欄に対象製品に相当する疑似対象製品を表示する。第一表示画面では、疑似対象製品は、長方形で示される。そして、第一表示画面では、正常状態の疑似対象製品は白抜きで表示され、警告表示の疑似対象製品は黒塗りで表示され、注意喚起の疑似対象製品は薄塗りで表示される。
【0066】
進捗管理者は、第一表示画面を閲覧することによって、対象製品が現在どの作業工程に存在しているのかを一見して把握することができる。さらに、進捗管理者は、対象製品が現在正常であるのか、警告または注意喚起の対象であるのかを、一見して把握することができる。このように、第一表示画面により、多数の対象製品の状況を大観することができる。
【0067】
第二表示画面は、
図3Aおよび
図3Bに示すような画面である。つまり、第二表示画面には、中分類の作業工程に分類された画面が表示される。第二表示画面は、各作業工程における進捗を管理する者が、計画の日程および実績を把握しながら進捗を管理するために用いられる。また、各作業工程の作業者が、当該作業工程の期日を把握しながら作業を実行することができる。
【0068】
図3Aおよび
図3Bに示すように、第二表示画面は、作業工程の表示欄を表示すると共に、対象製品毎に引合計画の日程、受注計画の日程、確定計画の日程および実績としての完了日を表示する。そして、第二表示画面において、警告表示の対象となる作業工程の表示欄には、濃塗りで表示される。また、第二表示画面において、注意喚起対象となる作業工程の表示欄には、薄塗りで表示される。
【0069】
進捗管理者は、第二表示画面を閲覧することによって、各対象製品における各作業工程の計画の日程および実績としての完了日を把握することができる。第二表示画面は、第一表示画面に比べて大観はできないものの、日程を把握することにより対象製品の状況を正確に把握できる。また、引合計画、受注計画および確定計画を全て表示することにより、進捗管理者は、計画の変更の遷移を把握できる。計画が変更されていることを容易に発見できる。そのため、仮に確定計画が誤って入力されている場合に、容易に発見することができる。
【0070】
また、第二表示画面における警告表示により、進捗管理者および作業工程の作業者は、警告対象の作業工程を把握できると共に、どの程度の遅れが生じているかを容易に把握することができる。また、第二表示画面における注意喚起表示により、進捗管理者および作業工程の作業者は、近日中に期日となることを把握することができる。従って、作業工程の作業者に対して当該作業工程の作業を計画どおりに進めるように意識付けができる。
【0071】
第三表示画面は、
図4に示すような画面である。つまり、第三表示画面には、小分類の作業工程に分類された画面が表示される。第三表示画面は、小分類の作業工程における進捗を管理する者が、計画の日程および実績を把握しながら進捗を管理するために用いられる。また、各作業工程の作業者が、当該作業工程の期日を把握しながら作業を実行することができる。
【0072】
仮に第二表示画面に表示してしまうと第二表示画面が見にくくなる作業工程については、第二表示画面にて上位分類の表示とし、第三表示画面にて個別の作業工程を表示する。例えば、
図4に示すように、機械加工品、装置品、購入品などがそれに当たる。
【0073】
ここで、
図4において、機械加工品、装置品、購入品は、仕入れ先から納入される物である。従って、第三表示画面のうち、機械加工品、装置品、購入品を表示する画面においては、仕入れ先から納入される予定日である回答期日をさらに表示する。さらに、
図4においては、当該画面においては、引合計画を表示していないが表示してもよい。ただし、仕入れ先に対して進捗管理を行う当該画面においては、受注後の計画を把握すれば足りるため、
図4においては引合計画を表示していない。
【0074】
また、他の第三表示画面として、他の作業工程、例えば総組立の作業工程について、一日単位のバーチャート形式で表示することもできる。この場合、進捗管理者および作業者がより詳細に把握することができる。
【0075】
以上より、計画の種別として、引合計画、受注計画および確定計画の3種類設定している。そして、警告基準日が、引合計画、受注計画、確定計画の順に更新される。つまり、受注前であれば、引合計画に基づいて警告表示を行うか否かが判断される。従って、引合計画は、受注前までに進捗管理を行うための計画となる。そして、引合計画は、基準情報が入力されさえすれば、コンピュータにより自動的に決定される。従って、進捗管理者および作業者は、基準情報が入力されさえすれば、受注前までの進捗管理を行うことができる。
【0076】
また、受注後であれば、当初としては受注計画に基づいて警告表示を行うか否かが判断される。そして、受注計画は、基準情報が入力されさえすれば、コンピュータにより自動的に決定される。従って、進捗管理者および作業者は、基準情報が入力されさえすれば、受注後における進捗管理を行うことができる。
【0077】
そして、確定計画が入力された場合には、確定計画に基づいて警告表示を行うか否かが判断される。このように、確定計画を入力することができるようにすることで、自動的に決定される引合計画および受注計画を調整することができる。従って、状況に応じた適切な計画の日程に基づいて、警告表示を行うか否かが判断される。
【0078】
さらに、各表示画面において、警告表示に加えて注意喚起表示を行うことで、進捗管理者および各作業工程の作業者は、進捗管理をより確実に行うことができる。また、注意喚起表示についても、警告表示と同様に、引合計画または受注計画の日程に基づいて判断される場合には、自動的に行われる。また、確定計画によって調整することもできる。
【0079】
<変形態様>
上記実施形態においては、組立着手日を基準情報として、引合計画および受注計画を決定した。この他に、製品の納期(検収日)または製品の組立完了日(生産完了日)を基準情報として、引合計画および受注計画を決定するようにしてもよい。この場合、着手計画DB22において、製品の納期(検収日)または製品の組立完了日(生産完了日)が記憶されている必要がある。