(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
包装部に張架したフィルムに向けて被包装物を突き上げて該被包装物の表面をフィルムで覆い、そのフィルムの端部を折り込み板で前記被包装物の底面側に折り込んで包装する包装装置において、
前記包装部でのフィルムの張架と前記折り込み板を作動させ、前記被包装物を前記フィルムで包装する包装動作とを制御する制御手段と、
操作画面を表示する画面表示手段と、
前記操作画面に、前記フィルムのイメージ画像と、前記張架するフィルムの張りの強さを入力操作するための操作子と、前記フィルムの張りの強さの度合いを示す目盛り上をスライドするスライダ画像とを表示し、前記操作子が操作されると、前記スライド画像が前記目盛り上を移動して前記フィルムの張りの強さの表示態様を変化させ、かつ、前記表示したフィルムのイメージ画像の表示態様を変化させる表示制御手段と、
前記スライド画像の前記目盛り上の位置の表示に対応する前記フィルムの張りの強さの値を、前記制御手段が前記フィルムを張架する制御データとして設定する設定手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記操作子が操作されると、前記スライダ画像の表示態様の変化は維持し、前記フィルムのイメージ画像の表示態様の変化は、一定時間後、デフォルト状態に戻す制御を行う
ことを特徴とする包装装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、この発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る包装装置100の一例を示す縦断側面図である。
図2は包装装置100の商品搬入部の一例を示す縦断正面図である。
図3は、コンベア1の周囲の構成の一例を示す概略部分図である。
本実施例では、ストレッチフィルム包装装置において、本発明に係る発明を適用した一例を説明する。また、本実施例では、物品を包装するフィルムとして、ストレッチ性のあるフィルムを用いている。
【0013】
図1、
図2に示したように、本実施例に係る包装装置100は、ストレッチフィルム包装機A(包装部)と、2つの計量ラベルプリンタB,B’と、ラベル貼付装置Cと、を有する。計量ラベルプリンタB,B’は、包装機Aにおける商品搬出路の側方上部に包装済みの商品を挟んで左右(
図2正面視方向)にそれぞれ配置され、ラベル貼付装置Cは商品搬出路の上方に配置されている。また、ラベル貼付装置Cには、2つのラベルを別々に印刷する機構(後述)が備えられている。
【0014】
本実施例では、被包装物Fとして、トレイ上に商品を載置したものを採用する。被包装物Fは、引き延ばされた状態のフィルム5’(後述)で包装され、このフィルム5’が縮む方向に作用することで、トレイとそのトレイに収容された商品にフィルム5’が密着し、商品棚などに陳列した際の体裁を保つ。なお、被包装物Fとしては、この形態に限られるものではなく、トレイを用いない包装商品(例えば、胡瓜やキャベツまたは白菜等をカットしたカット野菜等の青果物をそのまま包装する包装形態等)であってもよい。
【0015】
包装装置100は、サイズ検出部を有する。サイズ検出部は、トレイのサイズとして、トレイの幅、高さ、縦幅((奥行き)長さ)を検出する。サイズ検出部は、詳細には、光センサ3a、3bなどを有する。サイズ検出部は、詳細には、被包装物Fのトレイの幅を検出する反射型光センサ3a、3a’と、被包装物Fのトレイの奥行き(縦幅)の検出やトレイの高さの検出を行う光センサ3bと、などを有する。なお、本実施例では、トレイの高さを検出する光検出センサ3bは、一つ又は複数の光源と、それに対して所定距離だけ離間して配置された複数の受光素子とが上下方向に並べて配置されている。
【0016】
光センサ3bの一番下に位置するセンサは、トレイ(商品)の縦幅(奥行き)を検出するセンサを兼用している。トレイの縦幅は、この光センサ3bがトレイの前端部(コンベアの進行方向に沿って)を検出した時からトレイの後端部を検出した時までの、プッシャーコンベア1の移動距離から算出される。
【0017】
詳細には、光センサ3bとしての発光部と受光部とが、所定間隔だけ離れて配置されている。コンベア上に載置されたトレイは、光センサ3bとしての発光部と受光部との間を予め規定された速度で通過するように構成されている。
発光部と受光部との間にトレイが位置していない場合、受光部は、発光部から比較的大きな光強度の光を受光する。発光部と受光部との間にトレイが位置する場合、発光部から射出された光がトレイに遮られ、受光部では比較的小さな光強度の光を受光する。制御部は、受光部で受光される、時間経過に伴う光の強度の強弱のパターンに基づいて、弱い光強度を検出している時間と、トレイの移動する速度(規定速度)とを乗算することで、トレイの縦幅(奥行き)を算出する。
【0018】
ストレッチフィルム包装機Aは、フィルムの幅方向を拡張する機構(プレストレッチ機構)を備えた包装機であり、機枠A1の正面、即ち前部に商品(被包装物F)を載置する商品載置部(計量皿)aを備え、該商品載置部aの手前側近傍に反射型光センサ3a,3a’と、その反射型光センサ3a,3a’を被包装物Fの幅方向へ移動させる移動手段35とからなる被包装物Fの載置ズレ及び幅寸法を検出する検出手段Dを備える(
図3参照)。包装装置100は、商品載置部aに載せた被包装物Fがプッシャーコンベア1により機枠内部に設けたエレベータ2まで搬送されるように構成されている。
【0019】
そのコンベア1による商品搬送路の途上に、そのコンベア1の側方に位置させて被包装物Fの縦幅(奥行き)及び高さを検出する高さ検出センサ3bが設けられている。
上記エレベータ2の上方には包装部bが設けられ、その包装部bの上流側(
図2の右側)には、フィルムロール配置部4とそのフィルムロール配置部にセットされたフィルムロール5から繰り出されるフィルム(ストレッチ性のあるフィルム;ストレッチフィルム)5’の先端部を保持するフィルム保持手段A2が設けられている。
【0020】
包装部bを挟む前後両側部には、フィルム保持手段A2で保持されているフィルム先端を挟持して引き出し、包装部bまで搬送する上下の搬送ベルトからなるフィルム搬送機構A3が、フィルム保持手段A2の先端に接近させて配置され、フィルム保持手段A2と搬送機構A3との間には、搬送機構A3で挟持され引き出されたフィルムを所定長さに切断するカッターA4が配置されている。
【0021】
搬送機構A3の上方には、左右折り込み板A5と後折り込み板A6、及び、後折り込み板A6の上方に位置して排出プッシャA7が配設され、機枠A1の前側に配置したコンベア1の上方には、前折り込みローラ6’および前記排出プッシャA7で押し出される商品の排出路(ヒータコンベア)6が水平に設けられている。
【0022】
包装装置100は、エレベータ2に載せられた被包装物Fを、エレベータの上昇により上記包装部bに展張されたフィルム5’に対して突き上げ、引き伸ばされた状態のフィルムの左右および後側端部を、左右折り込み板A5と後折り込み板A6とにより被包装物Fの底面に折り込んだ後、排出プッシャA7により被包装物Fを機枠A1前側の排出路6へ向けて水平に押動させながら、前折り込みローラ6’で上記フィルム5’の前側端部を折り込んでフィルムの折り込みを行う。
【0023】
図4は、本発明の実施形態に係る包装装置100の電気的な構成図である。
図5は包装装置100の機能ブロックの一例を示す図である。
図6は、吸着部駆動部43の構成の一例を示す図である。
図4に示したように、包装装置100は、計量ラベルプリンタ制御部Gと、包装機構制御部Iと、を有する。
計量ラベルプリンタ制御部Gは、主として計量ラベルプリンタ関係の制御を行うものでCPU36によって制御される。包装機構制御部Iは、主として包装機の機構部の制御を行うもので制御部52(CPU)によって制御される。
【0024】
計量ラベルプリンタ制御部Gについて説明する。
CPU36には、バス36aを介してROM37、RAM38、表示操作部39、計量部40、通信用のインターフェース回路(INF)41、印字部42、吸着部駆動部43、及び、商品検出センサ44が接続されており、ROM37にはCPU36が実行する各種制御プログラムが記憶されている。
なお、高さセンサ3bの一番下側のセンサは商品(被包装物F)の縦幅(奥行き)を検出するセンサを兼用している。被包装物Fの縦幅はこのセンサが被包装物Fの前端部を検出した時のプッシャーコンベア1の移動距離から算出される。
【0025】
RAM38は、CPU36がROM37の制御プログラムを実行する場合に用いるレジスタ,フラグ等のエリアと、商品毎(被包装物F毎)に予め各種データが記憶されたプリセットデータエリアとを備えている。プリセットデータエリアには被包装物Fに含まれる商品に付与される商品番号に対応して、値段計算及びラベル印字用のデータである「品名(商品名)、例えば豚(モモ肉)」、「単価、例えば250(100g当り250円)」、「風袋、例えば5(トレイ重量5g)」と、ラベル貼付用のデータである「ラベルの向き、例えば(1)」等が予め記憶されている。ここでラベルの向きのデータは、(1),(2),(3)の3種類で、
(1)…ラベルが発行された時の向きのまま
(2)…ラベルが発行された時の向き+反時計回り方向に90度回転
(3)…ラベルが発行された時の向き+時計回り方向に90度回転
のように意味付けられている。ここで、回転させる角度は90度に限らず、任意の角度であってもよい(例えば、45度等)。
【0026】
表示操作部39は、キーボードとタッチパネルからなる操作部と、液晶表示装置で構成された表示部とを備えており、操作部は各種データ及び各種指令の入力操作のためのものであり、表示部は、CPU36の指令に基づいて入力データの表示、プリセットデータの表示、各種メッセージの表示を行うものである。この操作表示部39は、別名コンソール部とも呼ばれている。
【0027】
計量部40は商品載置部aに載置された商品の計量信号をCPU36へ供給する。通信用のインターフェース回路(INF)41は、計量ラベルプリンタ制御部Gと包装機構制御部Iとの間で、各種データ、指令などの通信を行うための回路である。印字部42は計量ラベルプリンタB,B’(後述)であり、ラベルに対する印字手段としてサーマルプリンタなどを備え、CPU36の制御によりラベルに品名、値段、単価、有効日、バーコード等の印字を行い、印字したラベルを発行口7に発行するものである。
【0028】
吸着部駆動部43(駆動機構C2,C2’)は、ラベル吸着部C1,C1’を移動させて発行口7,7’に発行されたラベルを吸着した後、被包装物Fの所定のラベル貼付位置へ移動させると共に、ラベル吸着面の向きを所定の向きとし、商品(被包装物F)に対してラベル吸着部を所定のタイミングで下降させることで被包装物Fの所定の位置に所定の向きでラベルを貼付するための機構部である。商品検出センサ44は、ラベル貼付のための信号を発生するもので、商品がラベル貼付場所へ位置した場合、その旨をCPU36へ供給する。
【0029】
図6は、吸着部駆動部43の構成の一例を示したものであり、次に、吸着部駆動部43について説明する。
図6において、水平モータ駆動回路43aはラベル吸着部C1,C1’面を水平移動、即ち商品の搬送方向と直交する方向に移動させる水平モータM1,M1’を駆動する回路で、その水平モータM1,M1’としてはステッピングモータが使用されている。従って、ステッピングモータの駆動パルス数をカウントすることで吸着部の位置を検出することができる(例えば、右回転の時はプラスカウント、左回転の時はマイナスカウント)。また、水平モータ駆動回路43aに設けられている水平基準位置センサF1,F1’は、吸着部が水平方向の基準位置に位置したことを検出するセンサで、この基準位置からの前記駆動パルスのカウント値によって吸着部の水平方向の位置決めが行われる。
【0030】
上下モータ駆動回路43b及び上下基準位置センサF2,F2’は、モータM2,M2’が吸着部を上下方向へ移動させるものである以外は水平モータM1,M1’と同様である。又、回転モータ駆動回路43c及び回転基準位置センサF3,F3’は、モータM3,M3’がラベル吸着部C1,C1’を商品搬送面と平行な面で回転させるモータで、モータM3,M3’の駆動パルスで位置決めされるのは距離ではなく、回転角度である点を除くと前記した水平モータM1,M1’の場合と同じである。ラベル貼付センサF4,F4’は、ラベルが商品に貼付されたこと、つまりラベル吸着部C1,C1’の吸着面8,8’が商品に当接されたことを検出するセンサで、ラベル吸着部C1,C1’に上側方向の力が一定以上加わったことにより前記上側の平行アームが支持腕から離間したことを検出している。また、センサ信号処理部43dは、ラベル貼付センサF4,F4’の出力信号に基づいて、それぞれラベル吸着部C1,C1’のラベル貼付検出を行うためのものである。
【0031】
ここで、上述したように、水平モータM1,M1’、モータM2,M2’、モータM3,M3’はそれぞれステッピングモータであり、その駆動ステップと駆動方向に基づいて、それぞれのモータが駆動する対象(ラベル吸着部C1,C1’)の水平移動位置、上下移動位置、回転位置を検出(算出)することができるので、水平モータ駆動回路43aが水平基準位置センサF1,F1’の機能も有し、上下モータ駆動回路43bが上下基準位置センサF2,F2’の機能も有し、回転モータ駆動回路43cが回転基準位置センサF3,F3’の機能も有している。
【0032】
次に、包装装置100の包装機構制御部Iの制御部52(CPU)について説明する。制御部52にはバス52aを介して通信用インターフェース回路(INF)53,ROM54,RAM55,操作部56,及び、機構駆動部57が接続されている。通信用インターフェース回路(INF)53は、計量ラベルプリンタ制御部Gと各種データ、指令の通信を行うための回路である。ROM54は、制御部52が実行する制御プログラムなどを記憶している。
RAM55は、制御部52がROM54の制御プログラムを実行する場合に用いる各種レジスタ及びフラグのエリアの他に商品の形状データ(縦、横、高さ)に基づいて制御データを決定するための各種テーブル等を記憶している。
【0033】
そして、制御部52は、包装装置100における包装動作に関する制御を行う制御手段として機能するのみならず、後述のように、ユーザが行った操作に従って表示操作部39にフィルム形状の変化などを表示するフィルム形状表示制御手段、及び、ユーザが設定した値を制御データとして設定する設定手段等としても機能する。
【0034】
図7は包装装置100の記憶部に記憶されているトレイ情報の一例を示す図である。
図7に示したように、トレイ情報は、トレイ種別を示す情報、トレイの幅情報、トレイの高さ情報、トレイの縦幅(奥行き)情報、トレイに対応した基準のフィルム長さ(カット長)情報、トレイの重量情報(風袋重量)などを関連付けて記憶している。
図7に示したトレイ情報は、記憶部としてのRAM55に記憶されていてもよいし、ROM54、ROM37、RAM38などの記憶部に記憶されていてもよい。
【0035】
図5に示したように、操作部56は、装置の起動、停止等のためのスイッチである。機構駆動部57は、包装を実行する場合に包装機の各機構部を駆動するための回路である。機構駆動部57には、具体的には、エレベータ2を駆動するモータ58,商品を搬入するコンベア1の搬入モータ59,フィルム搬送機構A3のモータ60等が電気的に接続されている。機構駆動部57には、商品の載置ズレ及び商品の幅を検出する反射型光センサ61(3a,3a’)と、商品の縦幅及び高さを検出する高さ検出センサ62(3b)が接続されており、検出データを制御部52に出力するように構成されている。
【0036】
次に、被包装物Fをフィルム5’で包装する際のフィルム5’の張りの強さの設定について説明する。ここで、フィルム5’の前後左右の方向を次のように定める。まず、フィルム5’の前後方向は、フィルムロール5から繰り出されるフィルム5’の繰り出し方向と直交する方向を前後方向とする。また、フィルム5’の繰り出し方向(幅方向)を左右方向とする。なお、フィルム5’のようにストレッチ性のあるフィルムには伸び率に異方性があり、同じ張る強さの力を作用させた場合、通常、包装用の一軸延伸フィルムの場合は、前後方向の方が左右方向よりも大きく伸びる(伸び率が大きい)。また、二軸延伸フィルムの場合は、前後左右何れの方向にも大きく伸びる。従って、使用されるフィルムの種類により包装を制御する制御データの設定値を変える必要がある。
【0037】
被包装物Fをフィルム5’で包装する際の、左右方向のフィルム5’の張りの強さは、例えば、次の2つの方法のいずれかにより、設定できる。
1つ目の方法(プリストレッチ量)は、プレストレッチ機構(フイルムを挟持するクランプ)がフィルム5’の幅方向を拡張する際に、フィルム5’を伸ばす量によりフィルム5’の左右方向の張りの強さを変えることで、左右方向の張りの強さを設定する方法である。この1つ目の方法では、プレストレッチ機構がフィルム5’を伸ばす量を増やすと、フィルム5’の左右方向の張りの強さが大きくなるので、その伸ばす量の大きさを決めることで、フィルム5’の左右方向の張りの強さを設定する。
【0038】
したがって、実際に被包装物Fを包装する際には、フィルム5’の左右方向の張りの強さの設定値に対応して、プレストレッチ機構(フイルムを挟持するクランプ)がフィルム5’の幅方向に伸ばす量を制御部52が調整することで、被包装物Fを包装するフィルム5’の左右方向の張りの強さを、その設定値に応じた強さに設定する。
【0039】
2つ目の方法(左右折り込み板及び後折り込み板の始動タイミング)は、左右折り込み板A5が、フィルム5’をトレイ底面に折り込む際に、フィルム5’をトレイ底面に折り込む量(左右折り込み板A5がトレイ底面に入り込む量)を変えると、フィルム5’の左右方向の張りの強さが変わるので、それを利用して、フィルム5’の左右方向の張りの強さを設定する方法である。この2つ目の方法では、左右折り込み板A5がトレイ底面に入り込む量を(フィルム折り込み量)を変えることで、フィルム5’の被包装物Fを包装する際のフィルム左右方向の張りの強さを設定することができる。
【0040】
したがって、実際に被包装物Fを包装する際には、フィルム5’の左右方向の張りの強さの設定値に対応して、左右折り込み板A5の折込み時にフィルム5’をトレイ底面に左右折り込み板A5を折り込む量(深さ)を制御部52が調整することで、被包装物Fを包装するフィルム5’の左右方向の張りの強さを、その設定値に応じた強さに設定する。
【0041】
被包装物Fをフィルム5’で包装する際の、前後方向のフィルム5’の張りの強さは、例えば、次の2つの方法(クランプ解放タイミング)を用いることにより設定できる。
1つ目の方法は、後折り込み板A6がフィルム5’をトレイ底面に折り込む際に、フィルム5’をクランプが離すタイミングを変えると、フィルム5’の前後方向の張りの強さが変わるので、それを利用して、フィルム5’の前後方向の張りの強さを設定する方法である。この1つ目の方法では、後折り込み板A6の折込み時にフィルム5’をクランプが離すタイミングを遅くするほど、フィルム5’を張る強さを大きくすることができるので、後折り込み板A6の折込み時にフィルム5’をクランプが離すタイミングを決めることで、フィルム5’の前後方向の張りの強さを設定する。そして、この1つ目の方法は、フィルム5’の前後方向のうち、トレイの後ろ側(奥側あるいは図示の上側)のフィルム5’の張りの強さを設定するために用いる。
【0042】
したがって、実際に被包装物Fを包装する際には、フィルム5’のトレイの後ろ側の張りの強さの設定値に対応して、後折り込み板A6がフィルム5’をトレイ底面に折り込む際に、フィルム5’をクランプが離すタイミングを制御部52が調整することで、被包装物Fを包装するフィルム5’のトレイの後ろ側の張りの強さを、その設定値に応じた強さに設定する。
【0043】
2つ目の方法は、プッシャにより被包装物Fが押し出されて排出される時に前折り込みローラ6’によりフィルム5’をトレイの前側端部の底面に折り込む際の折り込み量を変えることで、フィルム5’の前方向の張りの強さを設定する方法である。この2つ目の方法では、プッシャにより被包装物Fが押し出される時に前折り込みローラ6’によりフィルム5’がトレイの前側端部の底面に折り込む際に、クランプがフィルム5’を離すタイミングを遅らすことにより前側端部を折り込む際の折り込み量を増やすことになるので、フィルム5’の前方向の張りの強さを大きくすることができる。その折り込み量の大きさは、クランプがフィルム5’を離すタイミングを決めることで、フィルム5’の前方向の張りの強さを設定する。
【0044】
したがって、実際に被包装物Fを包装する際には、フィルム5’のトレイの前側の張りの強さの設定値に対応して、プッシャにより被包装物Fが押し出された時に前折り込みローラ6’ によりフィルム5’をトレイの前側端部の底面に折り込む際に、フィルム5’をクランプが離すタイミングを調整することにより、フィルム5’の折り込み量を制御部52が調整することができ、被包装物Fを包装するフィルム5’のトレイの前側の張りの強さを、その設定値に応じた強さに設定することができる。
【0045】
次に、トレイを包装するフィルム5’の張りの強さの設定操作について説明する。
図8は、操作表示部39の表示部に表示したトレイ設定画面の一例を示し、
図9は、操作員がフィルムの張りの強さを大きくする方向に操作した際のトレイ設定画面の一例を示し、
図10は、操作員がフィルムの張りの強さを小さくする方向に操作した際のトレイ設定画面の一例を示し、
図11は、操作員がフィルムが破断する可能性がある操作をした際のトレイ設定画面の一例を示す。
このトレイ設定画面には、トレイ設定の内容として「簡易設定」を使うか「詳細設定」を使うかを指定操作するためのボタンBB1,BB2と、トレイサイズの設定画面、及び、トレイ設定の操作内容を表示するための設定表示画面SBが表示されている。なお、他の表示要素及び操作要素については、本発明の内容に直接関係しないので、説明を省略する。
【0046】
また、本実施例では、後述のように、包装機構制御部Iの制御部52(CPU)(フィルム形状表示制御手段)が操作表示部39との間で、バス36a、INF41,53、及びバス52aを介して適宜にデータ通信を相互に行うことで、入力値に従ったフィルム形状の表示制御を行っているが、この表示制御を計量ラベルプリンタ制御部GのCPU36に行わせることもできる。
【0047】
ここで、
図8では、「簡易設定」が選択されていて、ボタンBB1が選択されていることをあらわす態様(反転表示)で表示されている。この「簡易設定」では、設定表示画面SBの左側にはトレイサイズの設定画面が配置され、設定表示画面SBの右側にはフィルムの張り強さ設定画面SBa(以下、単に「設定画面SBa」という)が配置されている。そして、
図8〜10では、「簡易設定(簡易設定画面)」が選択されている場合の動作について説明する。
【0048】
なお、設定表示画面SBの表示内容は、トレイ設定の具体的内容に応じて、適宜に切り換えることができるが、本実施例では、トレイ(被包装物F)を包装するフィルム5’の張りの強さを設定操作する点を主に説明するので、それ以外の設定操作に関する画面についての説明を省略する。
【0049】
図8の設定画面SBaの表示内容は、フィルム5’の張りの強さを設定する際のデフォルトの表示内容を示している。この場合、設定画面SBaには、被包装物F(の一部)であるトレイを俯瞰した画像GAに重ねて、デフォルト状態のフィルム5’を示す画像GBを表示している。このデフォルト状態の画像GBは、略四辺形の形状で、その上下の辺が直線であらわされるとともに左右の辺が波線であらわされていて、フィルム5’を張る力が平衡している様子を、この包装装置100の操作員が視覚的に認識できるような画像(形状イメージ画像)となっている。
【0050】
そして、画像GBに重ねて、張りの強さを大きくする方向に操作するためのボタンBAと、張りの強さを小さくする方向に操作するためのボタンBBが左右に離して表示され、ボタンBAとボタンBBの間には、張りの強さの度合いを表示するための刻み表示が略所定間隔で付された目盛り画像SCと、現在の張りの強さを示すスライダ画像SLが表示されている。スライダ画像SLは、目盛り画像SCのいずれかの刻み表示に重ねて表示される。
【0051】
ここで、目盛り画像SC及びスライダ画像SLは、次のような内容を示す表示要素である。まず、目盛り画像SCの中央の刻み表示位置にスライダ画像SLが重ねられている状態は、フィルムの張りの強さがデフォルト状態であることを示す(
図8参照)。このデフォルト状態では、制御部52(フィルム形状表示制御手段)は、フィルム5’の張りの強さを示す値を、所定のデフォルト値に設定する。なお、制御部52は、フィルム5’の張りの強さを示す値を、簡易設定の場合には1つ設定し、その設定した値に対応して、左右の張りの強さの値と、奥側の張りの強さの値と、手前側の張りの強さの値をそれぞれ設定して、実際の張りの強さの値を設定する際に用いる。
【0052】
そこから、スライダ画像SLの表示位置を右方向(ボタンBAの表示位置に近づく方向)へ移動するに従ってフィルムの張りの強さが大きくなることを示し、また、中央の刻み表示位置からスライダ画像SLの表示位置を左方向(ボタンBBの表示位置に近づく方向)へ移動するに従ってフィルムの張りの大きさが小さくなることを示している。
【0053】
この状態から、この包装装置100の操作員が、フィルム5’の張りの強さを大きくするためにボタンBAをタッチ操作すると、そのタッチ操作の内容が操作表示部39から制御部52(CPU)へ通知されて、制御部52は、フィルム5’の張りの強さを示す値を、一段階大きい値に内部的に設定(更新)する。それとともに、制御部52は、操作表示部39に表示する表示画面の表示内容を、一定時間(例えば、1秒間のような短い時間)、次のように変化させる。
【0054】
まず、
図9に示すように、フィルム5’の画像として、フィルム5’の張りの強さが大きくなったことを操作員にイメージさせるような画像(形状イメージ画像)、この場合は、例えば、図示のように、四辺がそれぞれ外側に張り出しているような形状の画像GBaを表示する。これにより、操作員は、自分が行ったタッチ操作に応じて、フィルム5’の張りの強さが大きくなったことを視覚的に認識できる。
【0055】
また、この場合には、操作員がフィルム5’を張る力を「+」側(大きくする方向)に操作するボタンBAをタッチ操作したことで、制御部52は、フィルム5’の張りの強さを示す値を一段階大きい値に内部的に設定(更新)したので、制御52は、その内部的に設定したフィルム5’の張りの強さを示す値に対応して、目盛り画像SC上のスライダ画像SLの表示位置を変更する。その結果、この場合は、目盛り画像SC上のスライダ画像SLの表示位置が、一目盛り分、図の右側へ移動する。それにより、操作員は、自分の行った操作に対する包装装置100の内部状態の変化(操作の結果)を視覚的に認識できる。
【0056】
このように、制御部52は、操作員のタッチ操作に対応して操作表示部39に表示する設定画面SBaの表示内容を変化させると、その状態を一定時間維持した後、フィルム5’の画像を画像GBaからデフォルト状態の画像GBへ戻す。このとき、スライダ画像SLの表示位置は移動後の位置のままにしておいて、目盛り画像SC上のスライダ画像SLの表示位置が、操作員の操作後に内部的に設定されたフィルム5’の張りの強さの大きさに対応した位置から変わらないようにする。
【0057】
また、
図8の状態から、操作員が、フィルム5’の張りの強さを小さくするためにボタンBBをタッチ操作すると、そのタッチ操作の内容が操作表示部39から制御部52へ通知されて、制御部52は、フィルム5’の張りの強さを示す値を、一段階小さい値に内部的に設定(更新)する。それとともに、制御部52は、操作表示部39に表示する表示画面の表示内容を、一定時間次のように変化させる。
【0058】
まず、
図10に示すように、フィルム5’の画像として、フィルム5’の張りの強さが小さくなったことを操作員にイメージさせるような画像(形状イメージ画像)、この場合は、例えば、図示のように、四辺がそれぞれ内側にへこんでいるような形状の画像GBbを表示する。これにより、操作員は、自分が行ったタッチ操作に応じて、フィルム5’の張りの強さが小さくなったことを視覚的に認識できる。
【0059】
また、この場合には、操作員がフィルム5’を張る力を「−」側(小さくする方向)に操作するボタンBBをタッチ操作したことで、制御部52は、フィルム5’の張りの強さを示す値を一段階小さい値に内部的に設定(更新)したので、制御52は、その内部的に設定したフィルム5’の張りの強さを示す値に対応して、目盛り画像SC上のスライダ画像SLの表示位置を変更する。その結果、この場合は、目盛り画像SC上のスライダ画像SLの表示位置が、一目盛り分、図の左側へ移動する。それにより、操作員は、ボタンBAを操作したときと同様に、自分の行った操作に対する包装装置100の内部状態の変化(操作の結果)を視覚的に認識できる。
【0060】
このように、制御部52は、操作員のタッチ操作に対応して操作表示部39に表示する設定画面SBaの表示内容を変化させると、その状態を一定時間維持した後、フィルム5’の画像を画像GBbからデフォルト状態の画像GBへ戻す。このとき、スライダ画像SLの表示位置は移動後の位置のままにしておいて、目盛り画像SC上のスライダ画像SLの表示位置が、操作員の操作後に内部的に設定されたフィルム5’の張りの強さの大きさに対応した位置から変わらないようにする。
【0061】
このようにして、本実施例では、操作員が、ボタンBA,BBをタッチ操作した直後の短い時間だけ、そのタッチ操作されたボタンBA,BBの区別に応じて、操作員に提示するフィルム5’の表示画像(形状イメージ画像)を変えるようにしているので、操作員は、タッチ操作に応じてフィルム5’の張りの強さが変化したことを視覚的に認識でき、その結果、包装状態を視覚的に認識することができるので、操作者が行うフィルム5’の張りの強さの設定作業を補助することができる。
【0062】
すなわち、操作表示部39に表示される操作画面上でフィルム5’の張りの様子がシミュレーション表示されるので、操作者は、フィルム5’の張りの強さの設定作業中に表示操作部39の表示画像を見ることで、自分の設定操作に伴ってフィルム5’の張りの強さがどの程度に変化するかを確認でき、その結果、操作者が、フィルムの張りの強さの設定作業と実際に商品(被包装物)の包装とを交互に実施する必要がなくなり、その設定作業の手間を大幅に軽減することができる。
【0063】
前述のように、スライダ画像SL等の操作子を操作することにより設定される制御部52が用いる制御データは、「クランプ解放タイミング」、「プリストレッチ量」、「左右折り込み板及び後折り込み板の始動タイミング」であるが、この他に、フィルムカット長さ、「カット方式」などを含めてもよい。
【0064】
なお、設定されるフィルムの張りの強さ等の制御データは、スライダ画像SL等の操作子の操作により、基準データにスライダ画像SL等の操作子の操作量に応じた値が加算、減算されて最終的な制御データとして設定される。
【0065】
上述した「クランプ解放タイミング」,「プリストレッチ量」,「カット方式」について簡単に説明する。クランプ解放タイミングは、被包装物(商品)の「奥行+高さ」寸法が大きい程、早い解放にし、又、フィルム特性で収縮率が高い、密着性が低い、或いは伸び率が高い場合は遅い解放とする。
【0066】
「プリストレッチ量(フイルムを挟持するクランプの移動量)」は、被包装物(商品)の「奥行+高さ」寸法が大きい程、その量を大きくする。又、フィルム特性で収縮率が高い、密着性が低い、或いは伸び率が低い場合は、プリストレッチ量を大きくする。
【0067】
また、「プリストレッチ量(フイルムを挟持するクランプの移動量)」は、被包装物の奥行き寸法に応じて変わり、フィルム特性で収縮率が高い又は密着率が弱い場合は、プリストレッチ量を大きくする。これにより、フィルムの折り込み代(フィルムの重なり合う面積)の収縮による減少分又は密着力を補うことができる。
【0068】
「カット方式」は、使用するフィルム種類の指定(選択)時にフィルムの種類に応じて設定されるようにするとよい。この「カット方式」とは、フィルム引き出し中にカットする方式か、フィルム引き出し後にフィルムを停止させてカットする方式かを選択するデータで、裂けやすいフィルム特性の場合は、停止させてカットする方式が標準のフィルムに比べて前記被包装物(商品)の「奥行+高さ」寸法の小さい方に増える。(被包装物(商品)の「奥行+高さ」寸法が小さければプリストレッチ量が少なくて済み、フィルムの裂けがないので引き出し中にカットする方式となり、被包装物(商品)の「奥行+高さ」寸法が大きければプリストレッチ量が多くなりフィルムが裂けてしまうので停止してカットする方式となるため、裂けやすいフィルムは比較的小さい被包装物でも停止させてカットし、カット縁の荒れをなくして、フィルム裂けを防止する。)
【0069】
また、前述の制御データに、折り込み時にクランプ手段同士を接近させる開始タイミングデータを加えるとよい。例えば、伸び率が小さいフィルムでは早めに接近させることで張力の過度の増大を防止して被包装物の潰れを防止できる。
更に、フィルム種類の指定はオペレータが操作することに限定されず、フィルム種類を自動的に識別して指定してもよい。例えば、フィルムのロール芯に識別マークを付けておき、そのロールがセットされている間に装置がマークを読み込むことで可能である。
また、商品の横幅に関しては、商品の横幅寸法に応じてフィルムカット長さは変える必要があり、伸び率が低いフィルムの場合はその分カット長さを長くするようにするとよい。
【0070】
図11は、操作表示部39が設定画面SBa内でタッチ操作されたことを検出した場合に、制御部52が行う処理の一例を示している。
【0071】
操作表示部39が設定画面SBa内でタッチ操作されたことを検出すると、そのタッチ操作の対象が「+」のボタンBAであるか「−」のボタンBBであるかを判別する(ステップS101,S102)。
【0072】
タッチ操作の対象がボタンBAであり、ステップS102の結果がYESになるときには、制御部52は、フィルム5’の張りの強さを示す値を、一段階大きい値に内部的に設定(更新)する(ステップS103)。
【0073】
次に、制御部52は、操作表示部39に表示する表示画面の表示内容として、
図9に示すように、フィルム5’の張りの強さが大きくなったことを操作員にイメージさせる画像GBaをセットし(ステップS104)、目盛り画像SC上のスライダ画像SLの表示位置を、一目盛り分、右側へ移動した状態に表示位置に変更する(ステップS105)。
【0074】
そして、ステップS104,S105で変更した表示内容に、設定画面SBaの表示内容を一定時間、表示変更する(ステップS106)。
【0075】
また、タッチ操作の対象がボタンBBであり、ステップS102の結果がNOになるときには、制御部52は、フィルム5’の張りの強さを示す値を、一段階小さい値に内部的に設定(更新)する(ステップS107)。
【0076】
次に、制御部52は、操作表示部39に表示する表示画面の表示内容として、
図10に示すように、フィルム5’の張りの強さが小さくなったことを操作員にイメージさせる画像GBbをセットし(ステップS108)、目盛り画像SC上のスライダ画像SLの表示位置を、一目盛り分、左側へ移動した状態に表示位置に変更する(ステップS109)。
【0077】
そして、ステップS106へ移行し、この場合は、ステップS107,S108で変更した表示内容に、設定画面SBaの表示内容を一定時間、表示変更する。
【0078】
ところで、上述したように、フィルム5’のようにストレッチ性のあるフィルムには伸び率に異方性があり、前後方向と左右方向に同じ張りの強さの力を作用させた場合、前後方向の方が左右方向よりも大きく伸びる。そのために、操作員の操作に従って、前後方向と左右方向の両方で、同じように張る強さを大きくしていった場合、前後方向よりも左右方向の伸び率が小さいので、フィルム5’が左右方向に破断する可能性がある。
【0079】
このようなフィルム5’の破断については、例えば、操作員がボタンBAを繰り返しタッチ操作してフィルムの張りの強さ設定を行っている際に、操作ミスにより、フィルム5’の限界以上にフィルムの張りの強さを大きくした場合にも、フィルム5’が破断する可能性がある。
【0080】
以上のように、フィルム5’が破断する可能性がある場合、いずれの場合であっても、操作表示部39の操作に応じて制御部52が設定するフィルムの張りの強さを示す値が、あらかじめそのフィルム5’の種別に応じて定められる限界値(図示略)よりも大きくなる。そこで、制御部52は、操作表示部39の操作の結果、フィルムの張りの強さを示す値が、その限界値よりも大きくなった場合、操作員にその旨を警報として報知して、そのような操作を受け付けないようにすることが好ましい。
【0081】
図12は、フィルムの張りの強さを示す値が、その限界値を超えて操作された場合に、操作員にその旨を警報として報知するために、設定画面SBaに表示する表示内容の一例のように表示しても良い。
図12において、フィルム5’の様子をあらわす画像として、中央部で左右に破断した状況を視覚的に認識できるような画像GBxを表示する。この画像GBxとしては、フィルム5’が中央で勢いよく破断して左右に分裂する可能性があることを、操作員に視覚的に認識させることができるような形状イメージ画像を用いると良い。
【0082】
そして、その画像GBxの上部に、例えば、図示のように、「破断する危険があります!」という報知メッセージ(警告メッセージ)を文字列として表示したり、スライダ画像SLの表示色を警告をあらわす色(例えば、赤色)の警告画像SLxとして表示すると共に、その警告画像SLxの表示を点滅するなどする(スライダ画像SLの表示属性などを警告用の内容に変更する)。
【0083】
このように、操作員の操作が原因となって、危険な状況(フィルム5’の破断)が発生する可能性がある旨を操作員に報知する内容を、設定画面SBaに表示することで、操作員の操作に対する警告を行うと共に、そのときの操作を受け付けないようにして(フィルムの張りの強さを示す値を、操作前の値やデフォルト値に再設定する等)、不適切な操作による包装装置100の動作を行わないようにする。
【0084】
このとき、さらに、設定画面SBaに表示する報知メッセージに加えて、警告の原因となった操作を解消するための別の操作を案内するガイダンスメッセージを表示すると、操作員の(精神的な)負担を軽減したり、包装装置100の操作の習熟度が低い操作員を適切に補助できる。
【0085】
そして、設定画面SBaに表示された報知メッセージ等を確認した操作員は、フィルムの張りの強さを弱くする操作を行うなど、警報の原因となった操作を解消するための別の操作(危険回避のための操作)を行うことで、フィルムの張りの強さを適切な値に再設定する。
【0086】
このように、操作員がフィルムの張りの強さを適切な値に再設定する操作を行うと、その操作に伴って操作表示部39から入力する情報に基づいて、制御部52が設定するフィルムの張りの強さを示す値が、フィルム5’に対応した限界値よりも小さくなるので、制御部52は、設定画面SBaに表示する表示内容を、
図12に示した警告表示画面から、例えば、
図9に示す通常の表示画面に戻して、警告表示を終了する。
【0087】
図13は、操作表示部39が設定画面SBa内でタッチ操作されたことを検出した場合に、制御部52が行う処理の他の例を示している。この例は、フィルムの張りの強さの設定値が対応する限界値よりも大きくなった場合の処理を含む。
【0088】
操作表示部39が設定画面SBa内でタッチ操作されたことを検出すると、そのタッチ操作の対象が「+」のボタンBAであるか「−」のボタンBBであるかを判別する(ステップS201,S202)。
【0089】
タッチ操作の対象がボタンBAであり、ステップS202の結果がYESになるときには、制御部52は、フィルム5の張りの強さを示す値を、一段階大きい値に内部的に設定(更新)する(ステップS203)。
そして、制御部52は、ステップS203で設定したフィルムの張りの強さを示す値が、そのときのフィルム5’に対応した限界値以下であるかどうかを調べる(ステップS204)。
【0090】
ステップS203で設定したフィルムの張りの強さを示す値が、そのときのフィルム5’に対応した限界値以下であり、ステップS204の結果がYESになるときには、制御部52は、操作表示部39に表示する表示画面の表示内容として、
図9に示すように、フィルム5’の張りの強さが大きくなったことを操作員にイメージさせる画像GBaをセットし(ステップS205)、目盛り画像SC上のスライダ画像SLの表示位置を、一目盛り分、右側へ移動した状態に表示位置に変更する(ステップS206)。
【0091】
そして、ステップS205,S206で変更した表示内容に、設定画面SBaの表示内容を一定時間、表示変更する(ステップS207)。
一方、ステップS203で設定したフィルムの張りの強さを示す値が、そのときのフィルム5’に対応した限界値よりも大きい場合であり、ステップS204の結果がNOになるときには、制御部52は、操作表示部39に表示する表示画面の表示内容として、
図12に示すように、表示内容として画像GBxとスライダ画像SLxをセットし(ステップS208)、ステップS207へ移行し、この場合は、ステップS208で変更した表示内容に、設定画面SBaの表示内容を一定時間、表示変更する。
【0092】
また、タッチ操作の対象がボタンBBであり、ステップS202の結果がNOになるときには、制御部52は、フィルム5’の張りの強さを示す値を、一段階小さい値に内部的に設定(更新)する(ステップS209)。
【0093】
次に、制御部52は、操作表示部39に表示する表示画面の表示内容として、
図10に示すように、フィルム5’の張りの強さが小さくなったことを操作員にイメージさせる画像GBbをセットし(ステップS210)、目盛り画像SC上のスライダ画像SLの表示位置を、一目盛り分、左側へ移動した状態に表示位置に変更する(ステップS211)。
【0094】
そして、ステップS207へ移行し、この場合は、ステップS210,S211で変更した表示内容に、設定画面SBaの表示内容を一定時間、表示変更する。
【0095】
なお、極端に横長のトレイ(例えば、いわゆる「サンマトレイ」など)を使う場合、操作員の操作に従って、フィルム5’の張りの強さを、前後方向と左右方向とで他のトレイ(例えば、いわゆる標準トレイ)を使う場合と同様に大きくしていくと、フィルム5’で包装した際に、フィルム5’がトレイの左右方向に作用する縮む方向の力がトレイが耐えられる力よりも大きくなることがあり、その場合には、トレイが屈曲して破損するおそれがあるので、使用するトレイの形状によっては、操作員の操作の結果、トレイが破損する事態が生じる可能性がある旨を報知したり、さらには、そのように限度を超えてフィルムの張りの強さを大きくするような操作を受け付けないようにするとよい。
【0096】
なお、上述した実施例では、簡易設定の設定画面(簡易設定画面)において、フィルム5’の張りの強さの設定を、ボタンBA,BBをタッチ操作することで行えるようにしているが、それ以外に、例えば、上述の設定では表示要素として取り扱っていたスライダSLを操作要素として用い、このスライダSLを左右にドラッグ操作(タッチした操作要素をタッチしたままの状態で移動させる操作)することで、フィルム5’の張りの強さの設定を行えるようにすることもできる。
【0097】
ところで、上述した実施例の説明は、トレイ設定画面として簡易設定の設定画面を表示させた場合を説明したが、トレイ設定画面として詳細設定が選択された場合の操作表示部39の表示画面(詳細設定画面)の一例を
図14に示す。なお、
図14において、
図8と同一部分および相当する部分については、同一符号を付して、説明を省略する。
【0098】
図14において、設定表示画面SB(詳細設定画面)には、フィルムの張りの強さ設定のための設定画面SBbのみが表示されている。設定画面SBbの略中央には、フィルム5’の様子をあらわす画像GBが表示されていて、その上側には、フィルム5’の上辺(トレイの奥側に対応する辺)の張りの強さを表示する表示欄と、張りの強さを大きくする方向に操作するための上向き矢印が表示された操作ボタンと、張りの強さを小さくする方向に操作するための下向き矢印が表示された操作ボタンとの組で構成された上辺側の張りの強さの操作要素SSaが表示されている。
【0099】
また、画像GBの下側には、フィルム5’の下辺(トレイの手前側に対応する辺)の張りの強さを表示する表示欄と、張りの強さを大きくする方向に操作するための上向き矢印が表示された操作ボタンと、張りの強さを小さくする方向に操作するための下向き矢印が表示された操作ボタンとの組で構成された下辺側の張りの強さの操作要素SScが表示されている。
【0100】
また、画像GBの略中央部に重ねて、フィルム5’の左右の張りの強さを表示する表示欄と、張りの強さを大きくする方向に操作するための外向きの両矢印(1つの線分の両端に外向き矢印を付したもの)が表示された操作ボタンと、張りの強さを小さくする方向に操作するための内向きの両矢印(同一線上に2つの線分を並べ、それらの線分が互いに向き合う端部にそれぞれ対向する矢印を付したもの)が表示された操作ボタンとの組で構成された左右方向の張りの強さの操作要素SSbが表示されている。
【0101】
そして、操作要素SSaの上向き矢印の操作ボタンが操作されると、制御部52は、上辺(奥側)の張りの強さを示す値を一段階大きく設定し、その設定後の張りの強さを表示欄に表示すると共に、画像GBの上辺について、画像GBaの上辺と同じように上側に張り出す形状で表示し、上辺の張りの強さが大きくなったことを操作員に視覚的に認識できるようにする(図示略)。
また、操作要素SSaの下向き矢印の操作ボタンが操作されると、制御部52は、上辺の張りの強さを示す値を一段階小さく設定し、その設定後の張りの強さを表示欄に表示すると共に、画像GBの上辺について、画像GBbの上辺と同じように下側にへこんだ形状で表示し、上辺の張りの強さが小さくなったことを操作員に視覚的に認識できるようにする(図示略)。
【0102】
そして、操作要素SScの上向き矢印の操作ボタンが操作されると、制御部52は、下辺(手前側)の張りの強さを示す値を一段階大きく設定し、その設定後の張りの強さを表示欄に表示すると共に、画像GBの下辺について、画像GBaの下辺と同じように下側に張り出す形状で表示し、下辺の張りの強さが大きくなったことを操作員に視覚的に認識できるようにする(図示略)。
また、操作要素SScの下向き矢印の操作ボタンが操作されると、制御部52は、下辺の張りの強さを示す値を一段階小さく設定し、その設定後の張りの強さを表示欄に表示すると共に、画像GBの下辺について、画像GBbの下辺と同じように上側にへこんだ形状で表示し、下辺の張りの強さが小さくなったことを操作員に視覚的に認識できるようにする(図示略)。
【0103】
そして、操作要素SSbの外向きの両矢印の操作ボタンが操作されると、制御部52は、左右の張りの強さを示す値を一段階大きく設定し、その設定後の張りの強さを表示欄に表示すると共に、画像GBの左右の辺について、画像GBaの左右の辺と同じように外側に張り出す形状で表示し、左右の張りの強さが大きくなったことを操作員に視覚的に認識できるようにする(図示略)。
また、操作要素SSbの内向きの両矢印の操作ボタンが操作されると、制御部52は、左右の張りの強さを示す値を一段階小さく設定し、その設定後の張りの強さを表示欄に表示すると共に、画像GBの左右の辺について、画像GBbの左右の辺と同じように内側にへこんだ形状で表示し、左右の張りの強さが小さくなったことを操作員に視覚的に認識できるようにする(図示略)。
なお、本実施例の制御部52の処理内容は、上述した実施例と同様なので、説明を省略する。
【0104】
このようにして、詳細設定の設定画面(詳細設定画面)においても、各操作要素(操作子)SSa,SSb,SSCを操作することで、簡単にフィルム5’の張りの強さを設定することができる。
また、設定画面SBaに表示する包装物の寸法に合わせて表示するフィルムSCを操作子で操作した時に表示する張りの強さの状態(表示態様)は、性質の異なるフィルムの種類毎に表示態様を変更するようにするとよい。
【0105】
ところで、上述した各実施例において制御部52が行う処理のプログラムは、計量ラベルプリンタ制御部GのROM38など、適宜な記憶手段に保存しておくことができる。
また、上述した各実施例では、キーボードとタッチパネルからなる操作部(入力手段)を備えているが、そのタッチパネルに代えて、同様の情報入力機能を備えた適宜な入力部を備えることもできる。