(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検査チップに注入された検査液体、および前記検査液体と混合され、測定温度が定められた試薬がそれぞれ流れ、前記検査チップの厚み方向において一方の側に開口する部分が封止される流路を備え、
前記貫通孔は、前記流路の前記開口と反対側の断面が、前記開口側の断面よりも大きくなるように形成されること
を特徴とする請求項1〜9のいずれか記載の検査チップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
検査に使用される試薬は、保存のため、冷蔵庫などの冷温空間に保持されることがある。試薬と検体との混合液が測定される際には、混合液の温度は、試薬に応じて定められる測定温度まで上げる必要がある場合がある。この測定温度まで混合液の温度を上げるには時間を要するので、検査時間が長くなることが考えられる。
【0005】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、混合液の温度が測定温度へ追随しやすい検査チップ、および検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、公転機構を備える検査装置に装着され、内部に
液体流路を備える検査チップであって、前記検査チップに注入された検査液体、および
、試薬が前記液体流路を介して移動し、互いに混合され、測定温度が定められ
た測定液として測定される測定部と、前記
液体流路に隣接し、
液体流路を構成する内側の壁に沿って形成される前記検査チップの厚み方向に貫通する貫通孔と、を備え、前記公転機構の公転軸から離間し、
前記検査チップが装着される該公転軸
を含む面が前記検査チップの厚み方向に直交するように配置されることを特徴とする。
【0007】
請求項1記載の検査チップによれば、貫通孔が備えられる検査チップにおいて、貫通孔が備えられない検査チップよりも、貫通孔周辺の空気が流動し易くなる。よって、貫通孔が備えられる検査チップは検査チップの外部の温度に追随しやすい。すなわち。検査チップの内部に流入した測定液の温度は、貫通孔が形成されない検査チップよりも短時間で、測定温度へ追随しやすい。従って、検査時間の短縮化を図ることができる。
【0008】
請求項2記載の本発明は、請求項1記載の検査チップにおいて、前記貫通孔は、前記測定部と前記検査チップを構成する外壁との間に位置し、前記検査チップの厚み方向に貫通する測定部貫通孔を含むことを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の検査チップによれば、公転機構による公転中に空気が、測定部貫通孔を通過して、または、測定部貫通孔の内部に進入しながら、流動する。この流動する空気により、測定部に流入した測定液の温度は、測定部貫通孔が形成されない検査チップよりも短時間で、測定温度へ追随しやすい。従って、検査時間の短縮化を図ることができる。
【0010】
請求項3記載の本発明は、請求項2記載の検査チップにおいて、前記測定部貫通孔は、前記測定部を構成する測定部壁に沿って形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の検査チップによれば、測定部貫通孔は測定部壁に沿って形成されるので、測定部壁に沿って測定液が保持された場合に、より短時間で測定液の温度は測定温度へ追随しやすい。従って、更に検査時間の短縮化を図ることができる。
【0012】
請求項4記載の本発明は、請求項1〜3のいずれか記載の検査チップにおいて、前記検査液体と、前記試薬とが混合される混合部を備え、前記貫通孔は、前記混合部を構成するする外壁側の混合部壁に沿って形成され、前記厚み方向に貫通する混合部貫通孔を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の検査チップによれば、公転機構による公転中に空気が、混合部貫通孔を通過して、または、測定部貫通孔の内部に進入しながら、流動する。特に、混合部において検査液体と試薬とが混合した際に、発熱、または吸熱が発生する場合に、この流動する空気により、検査液体と試薬とが混合された時から、測定液の温度は測定温度へ追随する。よって、混合部よりも下流に形成される測定部に流入した測定液の温度は、より短時間で測定温度へ追随しやすい。従って、更に検査時間の短縮化を図ることができる。
【0014】
請求項5記載の本発明は、請求項4記載の検査チップにおいて、前記混合部は、前記検査チップに形成される流路おいて、前記検査液体と最終試薬とが最後に混合される位置に形成されることを特徴とする。
【0015】
請求項5記載の検査チップによれば、混合部貫通孔が形成される混合部は、他の混合部よりも測定部の近くに形成されるので、測定液の温度は、より短時間で測定温度へ追随しやすい。従って、更に検査時間の短縮化を図ることができる。
【0016】
請求項6記載の本発明は、請求項1〜5のいずれか記載の検査チップにおいて、前記公転機構による公転により作用される遠心力の方向に交差する方向に延びる第1壁と、前記第1壁により形成される流路に隣接する下流側の流路を形成し、前記第1壁の周辺領域に配置される第2壁と、を備え、前記貫通孔は、前記第1壁と前記第2壁との間に形成される流路貫通孔を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項6記載の検査チップによれば、公転機構による公転中に空気が、流路貫通孔を通過して、または、流路貫通孔の内部に進入しながら、流動する。検査液体、試薬、検査液体と試薬との混合液、または測定液は、第1壁に沿って移動する。この移動中に流路貫通孔を流動する空気により、移動する検査液体、試薬、検査液体と試薬との混合液、または測定液の温度は測定温度へ追随する。この結果、測定部に流入した測定液の温度は、より短時間で測定温度へ追随しやすい。従って、更に検査時間の短縮化を図ることができる。
【0018】
請求項7記載の本発明は、請求項6記載の検査チップにおいて、前記流路貫通孔を画定する壁の一部は、前記第1壁に沿って形成されることを特徴とする。
【0019】
請求項7記載の検査チップによれば、流路貫通孔を画定する壁の一部が第1壁に沿って形成される。よって、検査液体、試薬、検査液体と試薬との混合液、または測定液が第1壁に沿って移動する際に、流路貫通孔を流動する空気により、移動する検査液体、試薬、検査液体と試薬との混合液、または測定液の温度は測定温度へ追随する。この結果、測定部に流入した測定液の温度は、より短時間で測定温度へ追随しやすい。従って、更に検査時間の短縮化を図ることができる。
【0020】
請求項8記載の本発明は、請求項6、または7記載の検査チップにおいて、前記流路貫通孔を画定する前記壁の一部とは異なる壁の一部は、前記第2壁に沿って形成されることを特徴とする。
【0021】
請求項8記載の検査チップによれば、検査液体、試薬、検査液体と試薬との混合液、または測定液は、第2壁に沿って流れる。流路貫通孔は第1壁と第2壁との間の余剰スペースを用いて形成されるので、検査時間を短縮化するとともに検査チップを小型化することができる。
【0022】
請求項9記載の本発明は、請求項6〜8のいずれか記載の検査チップにおいて、前記流路貫通孔は、前記検査チップの中央に位置することを特徴とする。
【0023】
外壁に近い箇所の検査チップの温度は、短時間で測定温度になりやすい。一方、中央付近の検査チップの温度は、長時間で測定温度になりやすい。請求項9記載の検査チップによれば、検査チップの中央において、流路貫通孔が形成されるので、測定部に流入した測定液の温度は、より短時間で測定温度へ追随しやすい。従って、更に検査時間の短縮化を図ることができる。
【0024】
請求項10記載の本発明は、請求項1〜9記載の検査チップにおいて、前記検査チップに注入された検査液体、および前記検査液体と混合され、測定温度が定められた試薬がそれぞれ流れ、前記検査チップの厚み方向において一方の側に開口する部分が封止される流路を備え、前記貫通孔は、前記開口と反対側の断面が、前記測定部の開口側の断面よりも大きいことを特徴とする。
【0025】
請求項10記載の検査チップによれば、測定部の開口と反対側の貫通孔の断面が、測定部の開口と同じ側の貫通孔の断面よりも大きい。これにより、測定部と貫通孔との間の壁の開口と反対側の壁部は、開口と同じ側の壁部よりも薄い。開口と反対側から開口と同じ側へ検査チップが公転される場合、または開口と同じ側から開口と反対側への方向が鉛直方向になる状態で、検査チップが公転される場合、貫通孔に隣接する流路の開口と反対側に測定液、混合液、検査液体、または試薬は位置する。この結果、より薄くなった壁部を介して、貫通孔を流動する空気により、測定液、混合液、検査液体、または試薬の温度は測定温度へ追随する。よって、測定部に流入した測定液の温度は、より短時間で測定温度へ追随しやすい。従って、更に検査時間の短縮化を図ることができる。
【0026】
上記目的を達成するために、請求項11記載の本発明は、内部に
液体流路を備える検査チップと、前記検査チップを保持するホルダとを公転させる公転機構とを備える検査システムであって、前記検査チップは、前記検査チップに注入された検査液体、および
、試薬が前記液体流路を介して移動し、互いに混合され、測定温度が定められ
た測定液
として測定される測定部と、前記
液体流路に隣接し、
液体流路を構成する内側の壁に沿って形成される前記検査チップの厚み方向に貫通する貫通孔と、を備え、前記公転機構の公転軸から離間し、
前記検査チップが装着される該公転軸
を含む面が前記検査チップの厚み方向に直交するように配置されており、前記ホルダは、前記検査チップを保持した状態において、前記貫通孔に連通するホルダ貫通孔を備えることを特徴とする。
【0027】
請求項11に記載の検査システムによれば、公転機構による公転中に空気が、貫通孔、およびホルダ貫通孔を通過して、または、ホルダ貫通孔を通して貫通孔の内部に進入しながら、流動する。この流動する空気により、測定部に流入した測定液の温度は、貫通孔が形成されない検査チップよりも短時間で、測定温度へ追随しやすい。従って、検査時間の短縮化を図ることができる。
【0028】
請求項12記載の本発明は、請求項11記載の検査システムにおいて、前記検査チップは、前記検査チップに注入された検査液体を封止するシートを備え、前記シートは、前記貫通孔、および前記ホルダ貫通孔にそれぞれ連通するシート貫通孔を備えることを特徴とする。
【0029】
請求項12記載の検査システムによれば、公転機構による公転中に空気が、貫通孔、ホルダ貫通孔、およびシート貫通孔を通過して、または、ホルダ貫通孔、およびシート貫通孔を通して貫通孔の内部に進入しながら、流動する。この流動する空気により、測定部に流入した測定液の温度は、貫通孔が形成されない検査チップよりも短時間で、測定温度へ追随しやすい。従って、検査時間の短縮化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、検査システム3を構成する検査装置1の平面及び制御装置90の内部の機能ブロックを示している。
【0032】
<1.検査システム3の概略構造>
本発明の実施形態を説明する。
図1を参照して、検査システム3の概略構造について説明する。本実施形態の検査システム3は、液体である検体及び試薬を収容可能な検査チップ2と、検査チップ2を用いて検査を行う検査装置1とを含む。検査装置1が検査チップ2から離間した垂直軸心A1を中心として検査チップ2を回転させると、遠心力が検査チップ2に作用する。検査装置1が水平軸心A2を中心に検査チップ2を回転させると、検査チップ2に作用する遠心力の方向である遠心方向が切り替えられる。すなわち、検査チップ2は、内部に収容された液体に遠心力を作用可能な検査装置1に装着される。本実施形態の検査システム3及び検査装置1は、特開2012−78107号公報に記載されているように公知の構造であるので、以下の説明では、検査装置1の構造の概略について説明する。
【0033】
<2.検査装置1の構造>
図1を参照して、検査装置1の構造について説明する。以下の説明では、
図1の上方、下方、右方、左方、紙面手前側、及び紙面奥側を、それぞれ、検査装置1の前方、後方、右方、左方、上方、及び下方とする。本実施形態では、垂直軸心A1の方向は検査装置1の上下方向であり、水平軸心A2の方向は、検査チップ2が垂直軸心A1を中心として回転される際の速度の方向である。
図1は検査装置1の上部筐体30の天板が取り除かれた状態を示す。垂直軸心A1が本発明の第1軸心の一例である。上下方向が本発明の第1方向の一例である。水平軸心A2が本発の第2軸心の一例である。垂直軸心A1を中心として回転される際の速度の方向が本発明の第2方向の一例である。
【0034】
図1に示すように、検査装置1は、上部筐体30、下部筐体31、上板32、ターンテーブル33、角度変更機構34、及び制御装置90を備える。ターンテーブル33は、後述する上板32の上側に回転可能に設けられた円盤である。2つの検査チップ2は、ターンテーブル33の上方に保持される。角度変更機構34は、ターンテーブル33に設けられた駆動機構である。この角度変更機構34は、水平軸心A2を中心に検査チップ2を各々回転させる。上部筐体30は、後述する上板32に固定されており、検査チップ2に対して光学測定を行う測定部7が上部筐体30の内部に設けられている。制御装置90は、検査装置1の各種処理を制御するコントローラである。
【0035】
下部筐体31の概略構造を説明する。下部筐体31は、枠部材を組み合わせた箱状のフレーム構造を有する。下部筐体31の上面には、長方形の板材である上板32が設けられている。下部筐体31の内部には、垂直軸心A1を中心にターンテーブル33を回転させる駆動機構が、次のように設けられている。
【0036】
下部筐体31内の左方寄りに、ターンテーブル33を回転させるための駆動力を供給する主軸モータ35が設置されている。主軸モータ35の軸36は、上方に突出しており、プーリ37が軸36に固定されている。下部筐体31の中央部には、下部筐体31の内部から上方に延びる垂直な主軸57が設けられている。主軸57は、上板32を貫通して、下部筐体31の上側に突出している。主軸57の上端部は、ターンテーブル33の中央部に接続されている。ターンテーブル33、および主軸モータ35が本発明の公転機構の一例である。
【0037】
主軸57は、上板32の直下に設けられた図示しない支持部材により、回転自在に保持されている。支持部材の下側では、主軸57にプーリ38が固定されている。プーリ37とプーリ38とに亘って、ベルト39が掛け渡されている。主軸モータ35が軸36を回転させると、プーリ37、ベルト39、及びプーリ38を介して駆動力が主軸57に伝達される。このとき、主軸57の回転に連動して、ターンテーブル33が主軸57を中心に回転する。
【0038】
下部筐体31内の右方寄りに、下部筐体31の内部において上下方向に延びる図示しないガイドレールが設けられている。図示しないT型プレートは、ガイドレールに沿って下部筐体31内において上下方向に移動可能である。
【0039】
主軸57は、内部が中空の筒状体である。図示しない内軸は、主軸57の内部において上下方向に移動可能な軸である。内軸の上端部は、主軸57内を貫通してラックギア43に接続されている。T型プレートの左端部には、図示しない軸受が設けられている。軸受の内部では、内軸の下端部が回転自在に保持される。
【0040】
T型プレートの前方には、T型プレートを上下動させるための水平モータ51が固定されている。水平モータ51の軸58は後方、すなわち
図1では下方側に向けて突出している。軸58の先端には、図示しない円盤状のカム板が固定されている。カム板の後側の面には、図示しない円柱状の突起が設けられている。突起の先端部は、図示しない溝部に挿入されている。突起は、溝部内を摺動可能である。水平モータ51が軸58を回転させると、カム板の回転に連動して突起が上下動する。このとき、溝部に挿入されている突起に連動して、T型プレートがガイドレールに沿って上下動する。主軸モータ35、および水平モータ51は、ステッピングモータ、サーボモータ、DCモータなどの周知のモータでよい。
【0041】
角度変更機構34の詳細構造を説明する。角度変更機構34は、ターンテーブル33の上面に固定された一対のL型プレート60を有する。各L型プレート60は、ターンテーブル33の中心近傍に固定された基部から上方に延び、且つ、その上端部がターンテーブル33の径方向外側に向けて延びている。一対のL型プレート60の間には、内軸に固定されたラックギア43が設けられている。ラックギア43は、上下方向に長い金属製の板状部材であり、両端面にギアが各々刻まれている。
【0042】
各L型プレート60の延設方向の先端側では、ギア45を有する水平な支軸46が回転自在に軸支されている。支軸46はホルダ100を固定する。このため、ギア45の回転に連動して、ホルダ100に保持された検査チップ2も支軸46を中心に回転する。ギア45とラックギア43との間には、L型プレート60により前後方向の軸心を中心に回転自在に支持されたピニオンギア44が介在している。ピニオンギア44は、ギア45及びラックギア43にそれぞれ噛合している。ラックギア43の上下動に連動して、ピニオンギア44、及びギア45がそれぞれ従動回転し、検査チップ2が支軸46を中心に回転する。
【0043】
本実施形態では、主軸モータ35がターンテーブル33を回転駆動するのに伴って、検査チップ2が垂直軸である主軸57を中心に回転して、検査チップ2に遠心力が作用される。検査チップ2の垂直軸心A1を中心とした回転を、公転と呼ぶ。一方、後述する水平モータ51が内軸を上下動させるのに伴って、検査チップ2が水平軸である支軸46を中心に回転して、検査チップ2に作用する遠心力の方向が相対変化する。検査チップ2の水平軸心A2を中心とした回転を、自転と呼ぶ。本実施形態の検査チップ2は、
図1に示すように、垂直軸心A1に平行に配置され、公転される。これに限らず、検査チップ2は、任意の角度に配置されればよく、例えば垂直軸心A1に垂直に配置され、公転されてもよい。
【0044】
T型プレートが可動範囲の最下端まで下降した状態では、ラックギア43も可動範囲の最下端まで下降する。このとき、検査チップ2は、自転角度が0度の定常状態になる。また、T型プレートが可動範囲の最上端まで上昇した状態では、ラックギア43も可動範囲の最上端まで上昇する。このとき、検査チップ2は、定常状態から水平軸心A2を中心に90度回転した状態になる。つまり、本実施形態では検査チップ2が自転可能な角度幅は、自転角度0度〜90度である。自転角度0度は、
図2に示す検査チップ2の状態を示し、自転角度90度は、0度から反時計回りに90度回転した状態を示す。
【0045】
上部筐体30の詳細構造を説明する。
図1に示すように、上部筐体30は、枠部材を組み合わせた箱状のフレーム構造を有し、上板32の左部上側に設置されている。より詳細には、上部筐体30は、ターンテーブル33の回転中心にある主軸57からみて、検査チップ2が回転される範囲の外側に設けられている。
【0046】
上部筐体30の内部に設けられた測定部7は、測定光を発光する光源71と、光源71から発せられた測定光を検出する光センサ72とを有する。光源71及び光センサ72は、検査チップ2の回転範囲の外側において、ターンテーブル33の前後両側に配置されている。本実施形態では、検査チップ2の公転可能範囲のうちで主軸57の左側位置が、検査チップ2に測定光が照射される測定位置である。検査チップ2が測定位置にある場合、光源71と光センサ72とを結ぶ測定光が、検査チップ2の前面及び後面に対して略垂直に交差する。
【0047】
<3.制御装置90の電気的構成>
図1を参照して、制御装置90の電気的構成について説明する。制御装置90は、検査装置1の主制御を司るCPU91と、各種データを一時的に記憶するRAM92と、制御プログラムを記憶したROM93とを有する。CPU91には、ユーザが制御装置90に対する指示を入力するための操作部94と、各種データ、及びプログラムを記憶するハードディスク装置95と、各種情報を表示するディスプレイ96とが接続されている。制御装置90としては、パーソナルコンピュータを用いてもよいし、専用の制御装置を用いてもよい。
【0048】
CPU91には、公転コントローラ97、自転コントローラ98、及び測定コントローラ99が接続されている。公転コントローラ97は、主軸モータ35を回転駆動させる制御信号を主軸モータ35に送信することによって、検査チップ2の公転を制御する。自転コントローラ98は、水平モータ51を回転駆動させる制御信号を水平モータ51に送信することによって、検査チップ2の自転を制御する。測定コントローラ99は、測定部7を駆動することによって、検査チップ2の光学測定を実行する。詳細には、測定コントローラ99は、光源71の発光、及び光センサ72の光検出を実行させる制御信号を、光源71及び光センサ72に送信する。CPU91が公転コントローラ97、自転コントローラ98及び測定コントローラ99を制御する。
【0049】
<4.検査チップ2の構造>
図2〜
図6を参照して、本実施形態に係る検査チップ2の詳細構造を説明する。以下の説明では、
図2の上方、下方、右方、左方、紙面手前側、及び紙面奥側を、それぞれ検査チップ2の上方、下方、右方、左方、前方、及び後方とする。
【0050】
図2に示すように、検査チップ2は一例として前方から見た場合に正方形状であり、所定の厚みを有する透明な合成樹脂の板材20を主体とする。前方を開口して液体流路21が板材20に形成されている。すなわち、液体流路21は、所定深さに形成された凹部であり、板材20の厚み方向である前後方向と直交する方向に延びる。液体流路21は、検査チップ2に注入された検体が流動可能な流路である。板材20の前面は、透明の合成樹脂の薄板から構成された
図4に示すシートSHによって封止されている。液体流路21は前面、および後面が開口することにより板材20に形成され、液体流
路21の前面、および後面がシートによって封止されることで形成されてもよい。
【0051】
液体流路21は、検体定量ユニット22A、第1試薬定量ユニット22B、第2試薬定量ユニット22C、混合部23、および測定部27を備える。検体定量ユニット22Aは、例えば血液、骨髄、尿、膣組織、上皮組織、腫瘍、精液、唾液、食料品などの成分を含む液体の検体を定量するための定量ユニットである。第1試薬定量ユニット22Bは、検体を検査するための試薬、または希釈液などの第1試薬を定量するための定量ユニットである。第2試薬定量ユニット22Cは、検体と第1試薬とが混合された混合液を検査するための試薬、または希釈液などの第2試薬を定量するための定量ユニットである。検体が本発明の検査液体の一例である。
【0052】
検体定量ユニット22Aは検査チップ2の左上に配置される。第1試薬定量ユニット22Bは検査定量ユニット22Aの右方に形成される。第2試薬定量ユニット22Cは第1試薬定量ユニット22Bの右方に形成される。
【0053】
<4.1 定量ユニットの構造>
検体定量ユニット22A、第1試薬定量ユニット22B、および第2試薬定量ユニット22Cは、構成が同様なので、代表して検体定量ユニット22Aを、
図3を参照して説明する。検体定量ユニット22Aは、挿入口221A、第1保持部222A、連結路223A、第2保持部224A、流入穴225A、定量部226A、余剰流路227A、余剰部228A、および混合流路229Aを備える。
【0054】
挿入口221Aは、図示しないキャピラリが挿入される開口部である。すなわち、挿入口221Aは、検体が検査チップ2に注入される部位である。第1保持部222Aは挿入口221Aの下方に形成され、挿入口221Aに対して凹状に開口する凹部である。具体的には、第1保持部222Aは、第1保持部222Aの左側の壁を形成する左壁2221A、および第1保持部222Aの右側の壁を形成する右壁2222Aにより形成される。
【0055】
第2保持部224Aは、第1保持部222Aの右方に形成される。第2保持部224Aは、左右方向に延びる連結路223Aを介して第1保持部222Aと接続する。すなわち第2保持部224Aは、第1保持部222Aに対して凹状に開口する凹部である。
具体的には、第2保持部224Aは、第2保持部224Aの上側の壁を形成する上壁2241A、第2保持部224Aの右側の壁を形成する右壁2242A、および第2保持部224Aの下側の壁を形成する下壁2243Aにより形成される。すなわち、右壁2242A、および下壁2243Aは、右壁2222Aにより形成される流路としての第1保持部222Aに隣接する下流側の流路としての第2保持部224Aを形成する。よって、右壁2242A、および下壁2243Aは、右壁2222Aの周辺領域に配置される。
【0056】
第1保持部222Aの右壁2222Aと連結し、第2保持部の右壁2242Aと対向して対向壁2244Aが形成される。対向壁2244Aは、右壁2242Aが延びる方向と同じ上下方向に延び、右壁2222Aと連結される上端とは反対側の下端において対向壁2245Aと連結される。対向壁2245Aは、右上から左下に向かう方向に延び、対向壁2244Aと連結される上端とは反対側の下端において対向壁2246Aと連結される。対向壁2246Aは、下壁2243Aと対向し、下壁2243Aが延びる方向と同じ右上から左下に向かう方向に延びる。
【0057】
流路貫通孔222HAが、右壁2222A、対向壁2244A〜2246Aに囲まれて形成される。この流路貫通孔222HAは、前後方向に貫通する。すなわち、流路貫通孔222HAは、検査チップ2の厚み方向に貫通する。流路貫通孔222HAは、第1保持部222Aと第2保持部224Aとの間に形成される。具体的には、流路貫通孔222HAの形状は、流路貫通壁面222HA1〜222HA4により画定される。流路貫通壁面222HA1は、右壁2222Aの内面が延びる方向と同じ右上から左下に向かう方向に沿って形成される。右壁2222Aの内面は、右壁2222Aの壁面の内、液体流路21を形成する側の面を意味する。以下の記載においても、内面と記載した場合は、壁の
液体流路21を形成する側の面を意味する。
【0058】
流路貫通壁面222HA2は、対向壁2244Aの内面が延びる方向と同じ上下方向に延びる。流路貫通壁面222HA3は、対向壁2245Aの内面が延びる方向と同じ右上から左下に向かう方向に延びる。流路貫通壁面222HA4は、対向壁2246Aの内面が延びる方向と同じ右上から左下に向かう方向に延びる。すなわち、流路貫通壁面222HA2〜222HA4は、右壁2242A、または下壁2243Aに沿って、形成される。
【0059】
流路貫通孔222HAは、後述する混合部貫通孔23H、および測定部貫通孔27Hのように、板材20の外壁20R、および外壁20Bに囲まれて形成されず、検査チップ2の中央に形成される。本実施形態において、中央は、板材20の上側の外壁20U、左側の外壁20L、外壁20B、および外壁20Rに隣接する液体流路21の一部よりも内部の領域である。
【0060】
流入穴225Aは第2保持部224Aの下壁2243Aの内面のうち、下方向に延びる内面、およびこの下方向に延びる内面との間に挟まれた流路である。定量部226Aは、流入穴225Aに対して凹状に開口する凹部である。よって、流入穴225Aは、検体を、定量部226Aに流入させることが可能である。流入穴225Aと定量部226Aとの間に左右方向に延びる流路が形成される。この流路のうち、定量部226Aに対して、左方に延びる流路が余剰流路227Aであり、右方に延びる流路が混合流路229Aである。余剰流路227Aは、定量部226Aから左方、下方、右方の順に形成される流路である。余剰部228Aが、余剰流路227Aの下流に形成される。言い換えれば、余剰部228Aは、左方に開口する凹部である。混合流路229Aは
図2に示すように、混合部23に接続する。
【0061】
定量部226Aは、左壁2261A、底壁2262A、および右壁2263Aにより形成される。定量部226Aは、上方向、および前方向に開口した形状を有する。左壁2261Aは定量部226Aの左側の壁面、および余剰流路227Aの下側の壁面を備える。右壁2263Aは、定量部226Aの右側の壁面、および混合流路229Aの下側の壁面を備える。底壁2262Aは、定量部226Aの下側の壁面を備える。
【0062】
定量部貫通孔226HAが、定量部226Aの下部に形成される。この定量部貫通孔226HAは、前後方向に貫通する。すなわち、定量部貫通孔226HAは、検査チップ2の厚み方向に貫通する。定量部貫通孔26HAは、定量部226A、余剰部228A、および混合流路229Aに囲まれる。具体的には、定量部貫通孔226HAの形状は、定量部貫通壁面226HA1〜226HA6により画定される。
【0063】
混合流路229Aは、定量部226Aから右上、下方、左下の順に形成される流路である。混合流路229Aのうち下方に延びる流路を形成する混合流路壁2291Aは、左下に延びる混合流路壁2292Aと連結する。定量部貫通壁面226HA4は、混合流路壁2291Aの内面が延びる方向と同じ上下方向に延びる。
【0064】
混合流路壁2292Aは、左上方向に延びる混合流路壁2293Aと連結する。定量部貫通壁面226HA5は、混合流路壁2292Aの内面が延びる方向と同じ左下方向に延びる。
【0065】
定量部貫通壁面226HA6は、混合流路壁2293Aの内面が延びる方向と同じ左上方向に延びる。定量部貫通壁面226HA3は、余剰部228Aの右側の壁の内面が延びる方向と同じ上下方向に延びる。定量部貫通壁面226HA2は、定量部226Aの底壁2262Aの内面が延びる方向と同じ左右方向に延びる。定量部貫通壁面226HA1は、定量部226Aの右壁2263Aの内面が延びる方向と同じ右上方向に延びる。
【0066】
第1試薬ユニット22B、および第2試薬ユニット22Cが備える構成は、検体定量ユニット22Aが備える構成と同様なので、第1試薬ユニット22Bが備える構成は添字「B」を、第2試薬ユニットが備える構成は、添字「C」を付して説明する。また、下記において、例えば、単に第1保持部222と記載した場合は、検体定量ユニットの第1保持部222A、第1試薬定量ユニット22Bの第1保持部222B、第2試薬定量ユニット22Cの第1保持部222Cの全てを指す。
【0067】
<4.2 混合部、および測定部の構造>
図2に戻り説明を続ける。混合部23が、検体定量ユニット22A、および第1試薬定量ユニット22Bの下流に形成される。
図2に示すように、検体定量ユニット22A、および第1試薬定量ユニット22Bの下側に形成された混合部23は、混合部壁231〜233により形成され、上方を開口した凹形状を有する。
【0068】
混合部壁231は、
図3に示す混合流路壁2293Aと連結し、右下方向に延びる部分を有する。混合部壁232は、混合部壁231と連結し、左右方向に延びる。混合部壁233は、混合部壁232と連結し、右上方向に延びる。
【0069】
混合部貫通孔23Hが、混合部23と板材20の下側の外壁20Bとの間に形成される。この混合部貫通孔23Hは、前後方向に貫通する。すなわち、混合部貫通孔23Hは、検査チップ2の厚み方向に貫通する。具体的には、混合部貫通孔23Hの形状は、混合部貫通壁面23H1〜23H8により画定される。
【0070】
混合部貫通壁面23H1は、混合部壁231の一部の内面が延びる方向と同じ左上方向に延びる。混合部貫通壁面23H2は、混合部貫通壁23H1の上端において、混合部貫通壁面23H1と連結され、左下方向に延びる。混合部貫通壁面23H3は、混合部貫通壁面23H2の下端と連結され、下方に延びる。混合部貫通壁面23H4は、混合部貫通壁面23H3の下端と連結され、左右方向に延びる。混合部貫通壁面23H4は、外壁20Bの外面と同じ左右方向に延びる。外壁20Bの外面は、検査チップ2の表面を形成する面である。すなわち、混合部貫通壁面23H4は、外壁20Bに沿って形成される。混合部貫通壁面23H5は、混合部貫通壁面23H4の右端と連結され、上下方向に延びる。混合部貫通壁面23H6は、混合部貫通壁面23H5と連結され、左上方向に延びる。混合部貫通壁面23H7は、混合部貫通壁面23H6と連結され、左下方向に延びる。混合部貫通壁面23H8は、混合部貫通壁面23H7の下端と連結され、左右方向に延びる。
【0071】
測定部27が、混合部23、および第2試薬ユニット22Cの下流に形成される。すなわち測定部27は、混合部23の右方、および第2試薬ユニット22Cの下方に形成される。測定部27は、測定部壁271により形成される。
【0072】
測定部壁271は、混合部23において混合された検体と第1試薬との混合液と、第2試薬定量ユニット22Cにおいて定量された第2試薬とが混合された測定液を収容する形状を有している。すなわち、測定部壁271は、上方を開口する形状であり、測定部壁271により囲まれる領域は、
図1に示す光源71が発光する測定光が透過する領域を含む。
【0073】
測定部案内壁272が、測定部壁271の左端と連結し、混合部壁233の上端と連結する。測定部案内壁273が、測定部壁271の右端と連結し、第2試薬定量ユニット22Cの混合流路229Cの右壁と連結する。
【0074】
溝24Rが混合流路229Cの右壁と外壁20Rとの間に形成される。この溝24Rは前面が開口する。
【0075】
測定部貫通孔27Hが、測定部27と、板材20の下側の外壁20B、および板材20の右側の外壁20Rとの間に形成される。この測定部貫通孔27Hは、前後方向に貫通する。すなわち、測定部貫通孔27Hは、検査チップ2の厚み方向に貫通する。具体的には、測定部貫通孔27Hは、測定部貫通壁面27H1〜23H8により画定される。
【0076】
測定部貫通壁面27H1は、測定部壁271の内面と同じ方向に延びる。測定部貫通壁面27H2は、測定部貫通壁面27H1の左端と連結し、測定部案内壁272と同じ左上方向に延びる。
【0077】
測定部貫通壁面27H3は、測定部貫通壁面27H2の上端と連結し、左下方向に延びる。測定部貫通壁面27H4は、測定部貫通壁面27H3の下端と連結し、混合部貫通壁23H5と同じ下方向に延びる。測定部貫通壁面27H5は、測定部貫通壁面27H4の下端と連結し、外壁20Bと同じ左右方向に延びる。測定部貫通壁面27H6は、測定部貫通壁面27H5の右端と連結し、外壁20Rと同じ上下方向に延びる。測定部貫通壁面27H7は、測定部貫通壁面27H6の上端と連結し、左右方向に延びる。測定部貫通壁面27H8は、測定部貫通壁面27H7の左端、および測定部貫通壁面27H1の右端と連結し、測定部案内壁273と同じ左下方向に延びる。
【0078】
<5.シートの構成>
図4を参照してシートSHを説明する。シートSHは、流路対応シート孔222HAS〜222HCS、定量部対応シート孔226HAS〜226HCS、混合部対応シート孔23HS、および測定部対応シート孔27HSを備える。流路対応シート孔222HAS〜222HCS、定量部対応シート孔226HAS〜226HCS、混合部対応シート孔23HS、および測定部対応シート孔27HSは、板材20の前面が、シートSHによって封止された状態において、それぞれ流路貫通孔222HA〜222HC、定量部貫通孔226HA〜226HC、混合部貫通孔23H、および測定部貫通孔27Hと一致して連通する。
【0079】
流路対応シート孔222HAS〜222HCSの形状、定量部対応シート孔226HAS〜226HCSの形状、混合部対応シート孔23HSの形状、および測定部対応シート孔27HSの形状は、それぞれ流路貫通孔222HA〜222HCの形状、定量部貫通孔226HA〜226HCの形状、混合部貫通孔23Hの形状、および測定部貫通孔27Hの形状と同じである。
【0080】
<6.ホルダの構成>
図5を参照して、ホルダ100を説明する。ホルダ100は、流路対応ホルダ孔222HAH〜222HCH、定量部対応ホルダ孔226HAH〜226HCH、混合部対応ホルダ孔23HH、および測定部対応ホルダ孔27HHを備える。流路対応ホルダ孔222HAH〜222HCH、定量部対応ホルダ孔226HAH〜226HCH、混合部対応ホルダ孔23HH、および測定部対応ホルダ孔27HHは、板材20の前面がシートSHによって封止された状態の検査チップ2が、ホルダに保持された状態において、それぞれ流路貫通孔222HA〜222HCと流路対応シート孔222HAS〜222HCS、定量部貫通孔226HA〜226HCと定量部対応シート孔226HAS〜226HCS、混合部貫通孔23Hと混合部対応孔23HS、および測定部貫通孔27Cと測定部対応孔27H
Sと一致して連通する。
【0081】
流路対応ホルダ孔222HAH〜222HCHの形状、定量部対応ホルダ孔226HAH〜226HCHの形状、混合部対応ホルダ孔23HHの形状、および測定部対応ホルダ孔27HHの形状は、それぞれ流路貫通孔222HA〜222HCの形状、定量部貫通孔226HA〜226HCの形状、混合部貫通孔23Hの形状、および測定部貫通孔27Cの形状と同じである。
【0082】
以下の記載において、流路貫通孔222H、定量部貫通孔226H、混合部貫通孔23H、および測定部貫通孔27Hを、検査チップ2の貫通孔と記載すること、流路対応ホルダ孔222HAH〜222HCH、定量部対応ホルダ孔226HAH〜226HCH、混合部対応ホルダ孔23HH、および測定部対応ホルダ孔27HHを、ホルダ100の貫通孔と記載すること、または流路対応シート孔222HAS〜222HCS、定量部対応シート孔226HAS〜226HCS、混合部対応シート孔23HS、および測定部対応シート孔27HSを、シートSHの貫通孔と記載することもある。また、
図2に示すように、流路貫通孔222H、定量部貫通孔226H、混合部貫通孔23H、および測定部貫通孔27Hは
液体流路21に隣接する。
【0083】
<7.貫通孔の断面図>
図6を参照して、測定部27の断面を説明する。
図6に示すように、測定部27の前面は、開口しており、シートSHにより封止される。測定部壁271の開口と反対側の壁厚は、開口と同じ側の壁厚よりも薄い。この結果、測定部貫通孔27Hの測定部27の開口と反対側の断面は、開口側の断面よりも大きい。具体的には、前側の測定部壁271における測定部27側の端部271FLと測定部貫通孔27H側の端部271FRとの距離L1は、後側の測定部壁271における測定部27側の端部271RLと測定部貫通孔27H側の端部271RRとの距離L2よりも長い。この結果、端部271RRと外壁20Rの後側の端部20RRとを含む断面SRは、端部271FRと外壁20Rの前側の端部20FRとを含む断面SFよりも大きい。
【0084】
<8.検査方法の一例>
検査装置1及び検査チップ2を用いた検査方法について説明する。検体が保持されたキャピラリ、第1試薬が保持されたキャピラリ、第2試薬が保持されたキャピラリが、各定量ユニットの挿入口221にそれぞれ挿入される。第1試薬、および第2試薬は、冷蔵庫などの冷温空間に保管されており、キャピラリに保持される時点では、例えば、20℃であったと仮定して説明する。この第1試薬、および第2試薬の少なくともいずれか一方は、測定温度が予め定められており、測定部27において測定液が測定される時に、その測定液の温度は測定温度である37℃である必要があるとして説明する。この場合、測定部27において測定される測定液の温度が37℃により早く到達することが望ましい。以下に、より早く37℃へ到達することが可能な本実施形態における検査方法を説明する。本実施形態では、検査装置1の内部が37℃であると仮定するが、検査装置1にヒーターなどの加熱装置が備えられてもよい。ヒーターは、
図1に示すCPU91と電気的に接続され、上板32よりも上部の領域を加熱可能な位置に配置されればよく、操作部94に加熱指示が入力された場合、加熱を開始する。
【0085】
各定量ユニットの挿入口221に挿入されたキャピラリの上端から圧力が加えられる。この圧力の印加は、
図2に示す検査チップ2の下方向が鉛直方向に沿う状態で行われる。この結果、3つのキャピラリのそれぞれに保持された検体、第1試薬、および第2試薬が、3つの定量ユニットの第1保持部222にそれぞれ保持される。第1保持部222に検体、第1試薬、および第2試薬が保持された検査チップ2が支軸46に固定されるホルダ100に取り付けられる。ホルダ100が検査チップ2を保持し、シートSHが板材20に接着した状態で、検査チップ2の貫通孔、ホルダ100の貫通孔、およびシートSHの貫通孔が連通する。検査チップ2は、流路貫通孔222H、定量部貫通孔226H、混合部貫通孔23H、および測定部貫通孔27Hを備えることにより、これら貫通孔周辺の空気が流動し易くなる。よって、これら貫通孔が備えられる板材20の温度は検査チップ2の外部の温度に追随しやすい。よって、検体、第1試薬、および第2試薬は、検査装置1の内部の測定温度に追随しやすい。すなわち、後述する測定液の温度が、測定温度に追随しやすい。特に、表面積がこれら貫通孔を備えない検査チップよりも大きくなる場合、板材20の温度は、検査チップ2の外部の温度に追随しやすい。よって、さらに後述する測定液の温度が、測定温度に追随しやすくなる。
【0086】
制御装置90に処理開始のコマンドが入力されると、CPU91は、HDD95に記憶されたプログラムを読み出し、自転コントローラ98に水平モータ51を駆動制御させ、検査チップ2の下方向を鉛直方向に一致させる。この状態において、検体、第1試薬、および第2試薬は、
図3に示す第1保持部222の下部に保持される。よって、検体、第1試薬、および第2試薬は、左壁2221および右壁2222の内面に接触する。
【0087】
処理開始のコマンドが入力されると、CPU91の指示に基づき、公転コントローラ97が主軸モータ35を制御してターンテーブル33の駆動を開始する。この結果、自転角度が0度の検査チップ2が公転する。これにより、遠心力の方向が
図3に示す検査チップの右方向となる。この結果、定量ユニットの第1保持部222に保持された検体、第1試薬、および第2試薬は、右壁2222、および連結路223を介して第2保持部224に移動する。移動した結果、検体、第1試薬、および第2試薬は右壁2242に沿って保持される。検体、第1試薬、および第2試薬が、上述した移動を行うのに十分な時間はHDD95に予め記憶されており、この時間が経過するまで自転角度の制御は行われない。
【0088】
公転中に空気が、流路貫通孔222Hを通過して流動する。検体、第1試薬、および第2試薬は、右壁2222に沿って保持され、その後移動するこの保持中、およびその後の移動中に流路貫通孔222Hを流動する空気により、保持され、その後移動する検体、第1試薬、および第2試薬の温度は測定温度へ追随する。この結果、後述する測定部27に流入する測定液の温度は、より短時間で測定温度へ追随しやすい。従って、検査時間の短縮化を図ることができる。特に、流路貫通孔222Hの流路貫通壁面222H1が右壁2222の内面に沿って形成されるので、流路貫通孔222Hにある測定温度の空気の熱量が板材20を介して、検体、第1試薬、および第2試薬に移動しやすい。この結果、測定部27において測定される測定液の温度は、検査装置1の内部の測定温度に追随しやすい。
【0089】
図3に示すように、第1保持部222Aの右壁2222Aは、検査チップの右方向に向いた遠心力の方向と交差する。この右壁2222Aよりも下流の液体流路21として、第2保持部224Aの上壁2241A、右壁2242A、および下壁2243Aが形成される。すなわち、流路貫通孔222Hは、右壁2222Aと、右壁2242A、および下壁2243Aとの間に形成される。右壁2222Aが本発明の第1壁の一例あり、上壁2241A、右壁2242A、および下壁2243Aが本発明の第2壁の一例である。
【0090】
CPU91の指示に従い、自転コントローラ98が水平モータ51を駆動制御することにより、検査チップ2の自転角度が90度に設定される。この結果、遠心力の方向は、
図3に示す検査チップ2の下方向である。この結果、定量ユニットの第2保持部224に保持された検体、第1試薬、および第2試薬は、流入穴225を介して定量部226に移動する。定量部226が満たされる。定量部226から溢れた検体、第1試薬、および第2試薬は、余剰流路227を介して余剰部228に流入する。
【0091】
検体、第1試薬、および第2試薬は、右壁2242Aの内面、および下壁2243Aの内面に沿って流れる。この右壁2242Aの内面、または下壁2243Aの内面が延びる方向に対向壁2244A〜2246Aの内面が延び、対向壁2244A〜2246Aと第1保持部222Aの右壁2222Aとの間に流路貫通孔222HAが形成される。よって、流路貫通孔222HAは、第1壁である右壁2222Aと、第2壁である右壁2242A、および下壁2243Aとの間の余剰スペースを用いて形成されるので、検査時間を短縮化するとともに検査チップを小型化することができる。
【0092】
定量部226において検体、第1試薬、および第2試薬が定量されている間、定量部貫通孔226Hを介して測定温度の空気の熱量が板材20を介して検体、第1試薬、および第2試薬に移動する。特に、定量部貫通壁226HA1、および定量部貫通壁226HA2が定量部226Aの右壁2263Aの左側の壁面、および底壁2262Aの上側の壁面に沿って形成されるので、測定温度の空気の熱量が板材20を介して検体、第1試薬、および第2試薬に移動しやすい。この結果、検査装置1の内部の測定温度に追随しやすい。
【0093】
検体、第1試薬、および第2試薬が、各定量ユニットの定量部226において定量されるのに十分な時間はHDD95に予め記憶されている。この十分な時間が経過すると、CPU91の指示に従い、自転コントローラ98が水平モータ51を駆動制御することにより、検査チップ2の自転角度が0度に設定される。この結果、遠心力の方向は
図3に示す検査チップ2の右方向である。これにより定量部226において定量された検体、第1試薬、および第2試薬は、混合流路229Aの右壁において保持される。余剰部228に流入した検体、第1試薬、および第2試薬は、そのまま余剰部228に保持される。後述する処理において、余剰部228に保持された検体、第1試薬、および第2試薬は余剰部228から流出することはない。
【0094】
CPU91の指示に従い、自転コントローラ98が水平モータ51を駆動制御することにより、検査チップ2の自転角度が90度に設定される。この結果、遠心力の方向は
図2に示す検査チップ2の下方向である。これにより、混合流路229Aの右壁に保持されていた検体は、混合部23に流入する。混合流路229Bの右壁に保持されていた第1試薬は、混合部23に流入する。混合流路229Cの右壁に保持されていた第2試薬は、測定部27に流入する。
【0095】
混合部23に流入した検体、および第1試薬は混合部壁232に沿って保持され、混合される。公転中に空気が、混合部貫通孔23Hを通過して流動する。混合部壁232に保持されている間に混合部貫通孔23Hを流動する空気により、保持される検体と第1試薬との混合液の温度は測定温度へ追随する。この結果、後述する測定部27に流入する測定液の温度は、より短時間で測定温度へ追随しやすい。従って、検査時間の短縮化を図ることができる。特に、混合部23において検体と第1試薬とが混合した際に、発熱、または吸熱が発生する場合に、この流動する空気により、検体と第1試薬とが混合された時から、測定液の温度は測定温度へ追随する。よって、混合部23よりも下流に形成される測定部27に流入した測定液の温度は、より短時間で測定温度へ追随しやすい。従って、更に検査時間の短縮化を図ることができる。
【0096】
混合部貫通孔23Hの混合部貫通壁面23H8が混合部壁232の内面に沿って形成されるので、混合部貫通孔23Hにある測定温度の空気の熱量が板材20を介して、混合液に移動しやすい。この結果、検査装置1の内部の測定温度に追随しやすい。また、混合部貫通壁面23H1、23H7が混合部壁231,233の内面に沿って形成されるので、さらに測定温度の空気の熱量が板材20を介して、混合液に移動しやすい。
【0097】
CPU91の指示に従い、自転コントローラ98が水平モータ51を駆動制御することにより、検査チップ2の自転角度が0度に設定される。この結果、遠心力の方向は
図2に示す検査チップ2の右方向である。これにより、混合部23の混合部壁232に沿って保持されていた混合液、および測定部27に保持されていた第2試薬は、測定部27の測定部案内壁273、または測定部案内壁273の上端と接続される壁に沿って保持され、混合される。
【0098】
CPU91の指示に従い、自転コントローラ98が水平モータ51を駆動制御することにより、検査チップ2の自転角度が90度に設定される。この結果、遠心力の方向は
図2に示す検査チップ2の下方向である。これにより、測定部27の測定部案内壁273、または測定部案内壁273の上端と接続される壁において混合された測定液は、測定部27に流入する。
【0099】
測定部27に流入した測定液は測定部壁271に沿って保持される。公転中に空気が、測定部貫通孔27Hを通過して流動する。この流動する空気により、測定部27に流入した測定液の温度は、測定部貫通孔27Hが形成されない検査チップよりも短時間で、測定温度へ追随しやすい。従って、検査時間の短縮化を図ることができる。
【0100】
測定部貫通孔27Hの測定部貫通壁面27H1が測定部壁271の内面に沿って形成されるので、測定部貫通孔27Hにある測定温度の空気の熱量が板材20を介して、測定液に移動しやすい。この結果、検査装置1の内部の測定温度に追随しやすい。
【0101】
測定液が、測定部27に貯留された状態で、CPU91の指示に基づき、主軸モータ35の駆動制御によって、検査チップ2が測定位置の角度まで回転される。次に、CPU91の指示に基づき、測定コントローラ99が光源71を発光させると、測定光が測定部27に貯溜された測定液を透過する。光センサ72が受光した測定光の変化量に基づいて、測定液の光学測定が行われ、測定データが取得される。次いで、取得された測定データに基づいて、測定結果が算出される。測定結果に基づく検体の検査結果がディスプレイ96に表示される。
【0102】
<温度解析>
図7を参照して、20℃の状態の、板材、およびシートとも貫通孔を備えない検査チップと、板材20、およびシートSHとも貫通孔を備える検査チップ2と、シートのみ貫通孔を備える検査チップとの3つのチップを37℃の周囲温度環境下に置き公転させ、180秒経過した場合の温度変化のシミュレーションを説明する。以降の記載において、板材、およびシートとも貫通孔を備えない検査チップを、検査チップPr、本実施形態相当の検査チップを検査チップ2、シートのみ貫通孔を備える検査チップを検査チップCfと記載する。
【0103】
図7(A)は、20℃の検査チップPrを37℃環境下に置き、180秒後経過させた場合の検査チップPrの温度分布図である。
図7(B)は、20℃の検査チップ2を37℃環境下に置き、180秒後経過させた場合の検査チップ2の温度分布図である。
図7(C)は、20℃の検査チップCfを37℃環境下に置き、180秒後経過させた場合の検査チップCfの温度分布図である。これら3つの図において、色が濃い方が、板材の温度が20℃に近く、色が薄い方が板材の温度が37℃に近いことを示す。これら3つの図が示すように、貫通孔を形成することにより、温度が上がりやすくなる。言い換えれば、より早く37℃へ追随させることができる。
【0104】
図8に示す表は、20℃の、検査チップPr、検査チップ2、および検査チップCfを37℃環境下に置き、各チップにおける9個の位置、すなわち「流路1」、「流路2」、「流路3」、「定量1」、「定量2」、「定量3」、「混合1」、「混合2」、および「測定部」での180秒経過後の温度を示す。この180秒の計時開始時は、20℃のチップを37℃環境下に置いた時点に設定されている。「流路1」は、検体定量ユニット22Aの第1保持部222Aの右壁2222Aに相当する位置である。「流路2」は、第1試薬定量ユニット22Bの第1保持部222Bの右壁2222Bに相当する位置である。「流路3」は、第2試薬定量ユニット22Cの第1保持部222Cの右壁2222Cに相当する位置である。「定量1」は、検体定量ユニット22Aの定量部226Aの底壁2262Aに相当する位置である。「定量2」は、第1試薬定量ユニット22Bの定量部226Bの底壁2262Bに相当する位置である。「定量3」は、第2試薬定量ユニット22Cの定量部226Cの底壁2262Cに相当する位置である。「混合1」は、混合部23の混合部壁232と混合部壁231との接続箇所に相当する位置である。「混合2」は、混合部23の混合部壁232と混合部壁233との接続箇所に相当する位置である。「測定部」は、測定部27の測定部壁271に相当する位置である。
【0105】
図8に示すように、どの位置においても、検査チップ2、検査チップCf、検査チップPrの順に、検査チップの温度は37℃に近くなる。すなわち、貫通孔を形成することにより、「流路1」、「流路2」、「流路3」、「定量1」、「定量2」、「定量3」、「混合1」、「混合2」、および「測定部」の温度が上がりやすい。言い換えれば、より早く37℃へ追随させることができる。
【0106】
図9を参照して、20℃の、検査チップPr、検査チップ2、および検査チップCfを37℃環境下に置いた場合の、経過時間と、温度との関係を説明する。
図9(A)は、検査チップPr、検査チップ2、および検査チップCfの「流路2」における経過時間と、温度との関係を示す図である。
図9(B)は、検査チップPr、検査チップ2、および検査チップCfの「定量2」における経過時間と、温度との関係を示す図である。
図9(C)は、検査チップPr、検査チップ2、および検査チップCfの「測定部」における経過時間と、温度との関係を示す図である。
【0107】
図9に示すように、「流路2」、「定量2」、および「測定2」の位置において、検査チップ2、検査チップCf、検査チップPrの順に、より早く検査チップの温度が37℃に近くなる。
【0108】
図10に示す表は、検査チップPr、検査チップ2、および検査チップCfを20℃から37℃まで変化する環境下に置いた場合に、「流路1」、「流路2」、「流路3」、「定量1」、「定量2」、「定量3」、「混合1」、「混合2」、および「測定部」の温度が36℃に到達するまでの時間を示した。検査チップPr、検査チップ2、および検査チップCfの温度が周囲の37℃に向かって漸近するため厳密に37℃になるまでの時間を示さず、一例として36度に到達するまでの時間を示した。
【0109】
図10に示すように、どの位置においても、検査チップ2、検査チップCf、検査チップPrの順に、より早く検査チップの温度が37℃に近くなる。
【0110】
図7〜
図10が示す温度解析の結果からは、板材20、およびシートSHとも貫通孔を備える検査チップ2が、検査チップ2の周りの温度への追随がよく、より早く周りの温度へと到達できるといえる。また、
図8に示すように、どの位置においても、周りの温度への追随が良いので、検査チップ2の「流路1」、「流路2」、「流路3」、「定量1」、「定量2」、「定量3」、「混合1」、「混合2」、および「測定部」を移動する検体、第1試薬、第2試薬、混合液、および測定液は、他の検査チップよりもより早く測定温度に到達することができるといえる。また、検査チップ2が公転されることにより、検査チップ2の貫通孔に進入する空気はより流動する。従って、検査チップ2が、検査チップ2の周りの温度への追随がよく、より早く周りの温度へと到達できるといえる。
【0111】
本実施形態によれば、
図6に示すように、測定部27の開口と反対側の測定部貫通孔27Hの断面SRが、測定部27の開口と同じ側の測定部貫通孔27Hの断面SFよりも大きい。これにより、距離L2が、距離L1よりも短くなる。すなわち、測定部27の開口と反対側の位置は、板材20における熱の流入経路が短くなる。この結果、開口と反対側から開口と同じ側へ、すなわち
図6において後方から前方へ検査チップ2が公転される場合、または開口と同じ側から開口と反対側への方向が鉛直方向になる状態で、検査チップ2が公転される場合、測定部27の開口と反対側に測定液は位置する。この結果、より薄くなった壁を介して、測定部貫通孔27Hを流動する空気により、測定液の温度は測定温度へ追随する。よって、測定部27に流入した測定液の温度は、より短時間で測定温度へ追随しやすい。従って、検査時間の短縮化を図ることができる。
【0112】
本実施形態では、流路貫通孔222H、および定量部貫通孔226Hは、板材20の厚みの2倍の長さ以上の長さ、検査チップ2の外壁から離れた内部に形成される。すなわち、流路貫通孔222H、および定量部貫通孔226Hは検査チップ2の中央に形成される。
図7(A)が示すように、外壁に近い箇所の検査チップの温度は、検査チップの中央よりも温度が高く、短時間で測定温度になりやすい。一方、中央の検査チップの温度は、長時間で測定温度になりやすい。本実施形態の検査チップ2によれば、検査チップ2の中央において、流路貫通孔222H、および定量部貫通孔226Hが形成されるので、測定部27に流入した測定液の温度は、より短時間で測定温度へ追随しやすい。従って、更に検査時間の短縮化を図ることができる。
【0113】
本実施形態によれば、公転中に空気が、検査チップ2の貫通孔、およびホルダ100の貫通孔を通過して流動する。この流動する空気により、測定部27に流入した測定液の温度は、ホルダ100が検査チップ2を保持した状態で、検査チップ2の貫通孔とホルダの貫通孔とが連通しない構成よりも短時間で、測定温度へ追随しやすい。従って、検査時間の短縮化を図ることができる。
【0114】
本実施形態によれば、公転中に空気が、検査チップ2の貫通孔、ホルダ100の貫通孔、およびシートSHの貫通孔を通過して流動する。この流動する空気により、測定部27に流入した測定液の温度は、ホルダ100が検査チップ2を保持し、シートSHが板材20に接着した状態で、検査チップ2の貫通孔、ホルダ100の貫通孔、およびシートSHの貫通孔が連通しない検査チップよりも短時間で、測定温度へ追随しやすい。従って、検査時間の短縮化を図ることができる。
【0115】
本実施形態によれば、ターンテーブル33は、1秒間に約3000回転する。これにより検査チップ2に、約700Gの大きさの遠心力が作用する。また、この検査チップ2は検査中に自転される。この700Gの大きさの遠心力に対する強度確保、および自転による位置ずれの低減のため、検査チップ2は、外壁20R、および外壁20Bを備えるのが望ましい。
【0116】
本実施形態によれば、検体、第1試薬、および第2試薬は、第1保持部222、第2保持部224、定量部226、混合部23、および測定部27を通過する。検体、第1試薬、および第2試薬は、測定液として測定部27において測定される。この測定時の測定液の温度が測定温度であることが必要であるので、流路貫通孔222H、定量部貫通孔226H、混合部貫通孔23H、および測定部貫通孔27Hの中でも、測定部貫通孔27Hが板材20に形成されるのが望ましい。
【0117】
[変形例1]
本実施形態では、検査チップ2は、流路貫通孔222H、定量部貫通孔226H、混合部貫通孔23H、および測定部貫通孔27Hを備えたが、少なくともいずれか1つを備えればよく、いずれか1つが、本発明の貫通孔の一例である。また、検査チップ2は、任意の角度に配置されて公転される場合、本発明の貫通孔を通して貫通孔の内部に進入しながら、流動すると考えられる。この場合においても、流動する空気により、測定部に流入した測定液の温度は、貫通孔が形成されない検査チップよりも短時間で、測定温度へ追随しやすい。従って、検査時間の短縮化を図ることができる。
【0118】
[変形例2]
本実施形態では、ホルダ100が検査チップ2を保持し、シートSHが板材20に接着した状態で、検査チップ2の貫通孔、ホルダ100の貫通孔、およびシートSHの貫通孔が連通したが、これに限られない。すなわち、公転中に空気が検査チップ2の貫通孔に進入する構成であればよく、必ずしも、検査チップ2の貫通孔の形状に沿って、ホルダ100の貫通孔の形状、およびシートSHの貫通孔の形状が定められなくともよい。
【0119】
[変形例3]
本実施形態では、
図2に示す測定部案内壁273の上端と接続される壁の右側、かつ測定部貫通孔27Hの上側に前面を開口する溝24Rが形成されたが、この溝24Rは、検査チップの厚み方向に貫通する混合部貫通孔であってもよい。この場合、混合部23において混合された混合液は、検査チップ2の右方向の遠心力を受け、測定部案内壁273の上端と接続される壁において第2試薬と混合される。すなわち、溝24Rが形成される場合、測定部案内壁273の上端と接続される壁が本発明の混合部の一例であり、本発明の最後に混合される位置の一例である。また、第2試薬は、液体流路21において検体と最後に混合される最終試薬である。
【0120】
[変形例4]
本実施形態では、
図6に示すように、測定部貫通孔27Hの測定部27の開口側の断面SFが、開口と反対側の断面SRよりも小さいが、これに限られない。測定部貫通孔27Hの測定部27の開口側の断面が、開口と反対側の断面よりも大きくてもよいし、同じであってもよい。また、測定部貫通孔27Hに限られず、検査チップ2のいずれの貫通孔の前側の断面が後側の断面よりも小さくてもよい。