特許第6221304号(P6221304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6221304発泡シート、発泡積層シート及びそれらの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221304
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】発泡シート、発泡積層シート及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/18 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   B32B5/18 101
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-73472(P2013-73472)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-195977(P2014-195977A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2016年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根津 義昭
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−088235(JP,A)
【文献】 特開2009−178898(JP,A)
【文献】 特開平06−079816(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/118160(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
D06N 1/00− 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の発泡層及び第2の発泡層を有する発泡シートであって、
(1) 前記第1の発泡層中において、長径が100μm以上である発泡セルの数が、第1の発泡層を構成する発泡セル総数の50%以上であり、
(2) 前記第2の発泡層中において、長径が100μm未満である発泡セルの数が、第2の発泡層を構成する発泡セル総数の50%以上であり、
(3) 前記第1の発泡層が発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られ、
前記発泡剤含有樹脂層及び前記第2の発泡層を再溶融及び混練し、150μm厚のシート状に成型した樹脂組成物の全光線透過率が70%以上であ
(4) 前記第1の発泡層の厚さが300〜700μmである、
ことを特徴とする、発泡シート。
【請求項2】
基材上に、第1の発泡層及び第2の発泡層が順に積層されている発泡積層シートであって、
(1) 前記第1の発泡層中において、長径が100μm以上である発泡セルの数が、第1の発泡層を構成する発泡セル総数の50%以上であり、
(2) 前記第2の発泡層中において、長径が100μm未満である発泡セルの数が、第2の発泡層を構成する発泡セル総数の50%以上であり、
(3) 前記第1の発泡層が発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られ、
前記発泡剤含有樹脂層及び前記第2の発泡層を再溶融及び混練し、150μm厚のシート状に成型した樹脂組成物の全光線透過率が70%以上であ
(4) 前記第1の発泡層の厚さが300〜700μmである、
ことを特徴とする、発泡積層シート。
【請求項3】
前記第1の発泡層は、電子線照射により樹脂架橋された発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られる、請求項2に記載の発泡積層シート。
【請求項4】
前記第2の発泡層は、電子線照射により樹脂架橋されている、請求項2又は3に記載の発泡積層シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡シート、発泡積層シート及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発泡壁紙全体の発泡ボリュームを増加させるために、発泡壁紙の発泡層を高発泡化させることが知られている。この場合、発泡の妨げとなる無機物添加剤の含有量を少なくすることが求められる。
【0003】
しかしながら、発泡層に含まれる無機物添加剤の含有量を少なくすると、壁紙に要求される隠蔽性が不十分となる恐れがある。
【0004】
上記問題を改善する手法の一つとして、発泡層の上に隠蔽材料を含有した層(以下、隠蔽層ともいう)を別途設けることが知られている。この手法によれば、前記隠蔽層によって隠蔽性を確保することができる。
【0005】
しかしながら、隠蔽性を確保するために多量の顔料を使用する場合、(1)押出製膜時のダイスリップに目やにが発生する、(2)製膜された隠蔽層に穴が空く、(3)発泡層を形成するための発泡剤含有樹脂層等に電子線を照射して樹脂架橋効果を付与しようとした場合に、前記顔料の遮蔽効果によって十分な架橋が得られない、等の問題がある。そのため、更なる改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-071365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、発泡積層シート全体の発泡ボリュームを確保しつつ、多量の無機物添加剤を使用しなくても隠蔽性に優れた発泡積層シート、及び、当該発泡積層シートの製造に有用な、発泡シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、2つの異なる発泡層を有する発泡シート及び当該発泡シートに基材等を積層した発泡積層シートによれば上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、下記の発泡シート、及び発泡積層シートに関する。
1. 少なくとも第1の発泡層及び第2の発泡層を有する発泡シートであって、
(1) 前記第1の発泡層中において、長径が100μm以上である発泡セルの数が、第1の発泡層を構成する発泡セル総数の50%以上であり、
(2) 前記第2の発泡層中において、長径が100μm未満である発泡セルの数が、第2の発泡層を構成する発泡セル総数の50%以上であり、
(3) 前記第1の発泡層が発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られ、
前記発泡剤含有樹脂層及び前記第2の発泡層を再溶融及び混練し、150μm厚のシート状に成型した樹脂組成物の全光線透過率が70%以上であ
(4) 前記第1の発泡層の厚さが300〜700μmである、
ことを特徴とする、発泡シート。
2. 基材上に、第1の発泡層及び第2の発泡層が順に積層されている発泡積層シートであって、
(1) 前記第1の発泡層中において、長径が100μm以上である発泡セルの数が、第1の発泡層を構成する発泡セル総数の50%以上であり、
(2) 前記第2の発泡層中において、長径が100μm未満である発泡セルの数が、第2の発泡層を構成する発泡セル総数の50%以上であり、
(3) 前記第1の発泡層が発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られ、
前記発泡剤含有樹脂層及び前記第2の発泡層を再溶融及び混練し、150μm厚のシート状に成型した樹脂組成物の全光線透過率が70%以上であ
(4) 前記第1の発泡層の厚さが300〜700μmである、
ことを特徴とする、発泡積層シート。
3. 前記第1の発泡層は、電子線照射により樹脂架橋された発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られる、上記項2に記載の発泡積層シート。
4. 前記第2の発泡層は、電子線照射により樹脂架橋されている、上記項2又は3に記載の発泡積層シート。
【0010】
≪発泡シート≫
本発明の発泡シートは、少なくとも第1の発泡層及び第2の発泡層を有する発泡シートであって、
(1) 前記第1の発泡層中において、長径が100μm以上である発泡セルの数が、第1の発泡層を構成する発泡セル総数の50%以上であり、
(2) 前記第2の発泡層中において、長径が100μm未満である発泡セルの数が、第2の発泡層を構成する発泡セル総数の50%以上である、
ことを特徴とする、
上記特徴を有する本発明の発泡シートは、上記特定の2つの異なる発泡層を有するため、発泡積層シート全体の発泡ボリュームを確保しつつ、多量の無機物添加剤を使用しなくても隠蔽性に優れた発泡積層シートの製造に有用である。
【0011】
本発明の発泡シートの層構成は、第1の発泡層及び第2の発泡層を有する層構成であれば特に限定されない。例えば、(i)第1の発泡層及び第2の発泡層からなる層構成、(ii)非発泡樹脂層B、第1の発泡層、非発泡樹脂層A及び第2の発泡層を当該順に有する層構成、等が挙げられる。以下、(ii)の層構成を例に挙げて各層について説明する。
【0012】
第1の発泡層
本発明の発泡シートは第1の発泡層を有する。
【0013】
第1の発泡層中において、長径が100μm以上である発泡セルの数は、第1の発泡層を構成する発泡セル総数の50%以上である。つまり、独立気泡構造を示す第1の発泡層は多数の発泡セル(気泡)を有し、当該発泡セル全数のうちの半数以上の発泡セルは、長径が100μm以上である。そのため、発泡シート(及び発泡積層シート)の発泡ボリュームを確保することができる。
【0014】
発泡セルの長径とは、顕微鏡から見える各発泡セルにおいて、最も遠い2点を結ぶ線の長さを意味する。長径は、顕微鏡(例えば、光学顕微鏡等)を用いて測定することができる。なお、本発明では、発泡セルの長径は株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ VHX-100(観察倍率100倍)で測定したものである。
【0015】
本発明では、第1の発泡層中における、発泡セル総数に対する長径が100μm以上である発泡セルの数の割合を、以下の(1)〜(3)の手順:
(1)長さが5mmの発泡シート(なお、前記長さとは発泡シートの水平方向の長さをいい、発泡シートの厚さ(厚み)とは垂直方向の長さをいう)であって、第1の発泡層の断面を観察することが可能な発泡シートを用意し、
(2)第1の発泡層の厚さを縦とし、長さ(1mm)を横とする第1の発泡層断面領域を、顕微鏡で観察し、
(3)前記第1の発泡層断面領域に含まれる(a)発泡セルの総数、(b)各発泡セルの長径、及び(c)長径が100μm以上である発泡セルの数を求める、
ことにより得ている。
【0016】
第1の発泡層に含まれる樹脂成分としては、1)ポリエチレン及び2)エチレンとエチレン以外の成分とをモノマーとするエチレン共重合体(以下、「エチレン共重合体」と略記する)の少なくとも1種が好ましい。
【0017】
ポリエチレンは、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が広く使用できるが、この中でも低密度ポリエチレンが好ましい。
【0018】
エチレン共重合体は融点及びMFRの観点で押出し製膜に適している。エチレン共重合体としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−αオレフィン共重合体等が挙げられる。
【0019】
また、第1の発泡層は、樹脂成分として上記エチレン系樹脂と他の樹脂を併用してもよい。併用する場合のエチレン系樹脂の含有量は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。
【0020】
また、上記エチレン共重合体におけるエチレン以外のモノマーの含有量は、共重合する成分によって適切な共重合比率を採用することにより、押出し製膜性がより高まる。具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体の場合、酢酸ビニルの共重合比率(VA量)は5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。エチレン−アクリル酸共重合体の場合、アクリル酸の共重合比率(AA量)として2〜15質量%が好ましく、5〜11質量%がより好ましい。また、エチレン−メタクリル酸共重合体の場合、メタクリル酸の共重合比率(MAA量)として2〜15質量%が好ましく、5〜11質量%がより好ましい。また、エチレン−αオレフィン共重合体の場合、αオレフィンの共重合比率として0.5〜50質量%が好ましい。
【0021】
第1の発泡層に含まれる樹脂成分のメルトフローレート(JIS K 6922に記載の190℃、荷重21.18Nの条件で測定したメルトフローレート(MFR))は、後記発泡剤含有樹脂層の成形方法に応じて適宜設定すればよい。例えば、押出し成形によって発泡剤含有樹脂層を形成する場合、当該MFRは10〜35g/10minであることが好ましい。MFRが上記範囲内である樹脂成分を含む後記発泡剤含有樹脂層を押出し製膜により形成する場合には温度上昇が少なく、非発泡状態で製膜できる。そのため、後に絵柄模様層を形成する場合に、平滑な面に印刷処理をすることができて柄抜け等が少ない。MFRが大きすぎる場合は、樹脂が軟らかすぎることにより、形成される発泡樹脂層の耐傷性が不十分となるおそれがある。一方、カレンダー成形によって発泡剤含有樹脂層を形成する場合、当該MFRは0.5〜20g/10minであることが好ましい。
【0022】
第1の発泡層は、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより得られる。つまり、前記発泡シートは、少なくとも発泡剤含有樹脂層及び後述する第2の発泡層を有する発泡シート用原反の前記発泡剤含有樹脂層を、発泡させることにより得られる。なお、発泡シートと発泡シート用原反との関係は、完成品と中間体の関係であり、発泡剤含有樹脂層を有する発泡シート用原反を発泡させることにより発泡樹脂層としたものが発泡シートである。また、後述する発泡積層シートも同様に、少なくとも基材上に発泡剤含有樹脂層及び第2の発泡層を有する発泡積層シート用原反の前記発泡剤含有樹脂層を発泡させ、発泡樹脂層とすることにより得られるものであり、発泡積層シートと発泡積層シート用原反は完成品と中間体の関係にある。
【0023】
発泡剤含有樹脂層を形成する樹脂組成物(第1の発泡層形成用樹脂組成物)としては、例えば、上記樹脂成分、発泡剤、発泡助剤、架橋助剤等を含む樹脂組成物を好適に使用できる。その他、本発明の効果を阻害しない程度に、無機充填剤、安定剤、滑剤等を添加剤として使用できる。
【0024】
熱分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスホルムアミド等のアゾ系;オキシベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、パラトルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジド系などが挙げられる。熱分解型発泡剤の含有量は、発泡剤の種類、発泡倍率等に応じて適宜設定できる。発泡倍率の観点からは、4倍以上、好ましくは5〜10倍程度であり、熱分解型発泡剤は、樹脂成分100質量部に対して、1〜20質量部程度とすることが好ましい。
【0025】
マイクロカプセル型発泡剤としては、例えば、公知又は市販のものを使用することができる。例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン等の揮発性液体膨張剤を塩化ビニリデン−アクリロニトリル−ジビニルベンゼンコポリマー、メタアクリレート−アクリロニトリル−ジビニルベンゼンコポリマー等の熱可塑性高分子重合体殻中に内包したマイクロカプセルなどが挙げられる。マイクロカプセル型発泡剤の平均粒径は、10〜40μm程度が好ましい。発泡倍率の観点からは、2倍以上、好ましくは3〜6倍程度であり、マイクロカプセル型発泡剤は、樹脂成分100質量部に対して、1〜10質量部程度とすることが好ましい。
【0026】
発泡助剤は、金属酸化物及び/又は脂肪酸金属塩が好ましく、例えば、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オクチル酸亜鉛、オクチル酸
カルシウム、オクチル酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウム、ラウリ
ン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等を使用することができる。これらの発
泡助剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して、0.3〜10質量部程度が好ましく、1〜5質量部程度がより好ましい。
【0027】
なお、これらの発泡助剤とEMAAのような分子中にカルボキシル基を有する共重合体とADCA発泡剤とを組み合わせて用いる場合には、発泡工程において、前記共重合体のカルボキシル基部分と発泡助剤が反応することにより本来の発泡助剤の効果が損なわれるという問題がある。そのため、EMAAのような分子中にカルボキシル基を有する共重合体とADCA発泡剤とを組み合わせて用いる場合には、日本公開公報特開2009-197219号公報に説明されている通り、発泡助剤としてカルボン酸ヒドラジド化合物を用いることが好ましい。このとき、カルボン酸ヒドラジド化合物はADCA発泡剤1質量部に対して0.2〜1質量部程度用いることが好ましい。
【0028】
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシ
ウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物、タルク等が挙げられる。無機充填剤を含むことにより、目透き抑制効果、表面特性向上効果等が得られる。無機充填剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して0〜20質量部程度が好ましく、1〜10質量部程度がより好ましい。
【0029】
本発明では、発泡剤含有樹脂層は電子線照射により樹脂架橋されていてもよい。発泡剤含有樹脂層に電子線を照射する方法及び発泡させる方法としては、後記の製造方法に記載された方法に従って実施すればよい。なお、発泡剤含有樹脂層の厚さは40〜100μm程度が好ましく、発泡後の第1の発泡層の厚さは300〜700μm程度が好ましい。
【0030】
非発泡樹脂層A及びB
本発明の発泡シートは、第1の発泡層の片面又は両面に非発泡樹脂層を有していてもよい。
【0031】
例えば、第1の発泡層の裏面(基材が積層される面)には、基材との接着力を向上させる目的で非発泡樹脂層B(接着樹脂層)を有してもよい。
【0032】
接着樹脂層の樹脂成分としては、特に限定はないが、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が好ましい。EVAは公知又は市販のものを使用することができる。特に、酢酸ビニル成分(VA成分)が10〜46質量%であるものが好ましく、15〜41質量%であるものがより好ましい。
【0033】
接着樹脂層の厚さは限定的ではないが、5〜50μm程度が好ましい。
【0034】
第1の発泡層の上面には、第1の発泡層の耐傷性を向上させたりする目的で非発泡樹脂層Aを有してもよい。
【0035】
非発泡樹脂層Aの樹脂成分としては、ポリオレフィン系樹脂、メタクリル系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられ、その中でもポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0036】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の樹脂単体、エチレンと炭素数が4以上のαオレフィンの共重合体(線状低密度ポリエチレン)、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等のエチレン−(メタ)アクリル酸系共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、アイオノマー等の少なくとも1種が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味し、他の類似する部分についても同様である。
【0037】
非発泡樹脂層Aの厚さは限定的ではないが、5〜50μm程度が好ましい。
【0038】
第2の発泡層
本発明の発泡シートは、第2の発泡層を有する。
【0039】
第2の発泡層中において、長径が100μm未満である発泡セルの数は、第1の発泡層を構成する発泡セル総数の50%以上である。つまり、独立気泡構造を示す第1の発泡層は多数の発泡セル(気泡)を有し、当該発泡セル全数のうちの半数以上の発泡セルは、長径が100μm未満である。この半数以上の前記微小な発泡セルが発泡シートに隠蔽性を付与する。
【0040】
本発明における、第2の発泡層中の発泡セル総数に対する長径が100μm未満である発泡セルの数の割合の算出方法は、第1の発泡層中における、発泡セル総数に対する長径が100μm以上である発泡セルの数の割合の算出方法と同様である。
【0041】
第2の発泡層に含まれる樹脂成分の説明は、第1の発泡層に含まれる樹脂成分の説明と同様である。例えば、第2の発泡層に含まれる樹脂成分として、第1の発泡層に含まれる樹脂成分と同様の樹脂成分を使用することができる。
【0042】
第2の発泡層は、第2の発泡層形成用樹脂組成物に超臨界流体を加えた後、発泡押出し成形することにより得られる。
【0043】
第2の発泡層形成用樹脂組成物としては、例えば、上記樹脂成分、無機充填剤、架橋助剤等を含む樹脂組成物を好適に使用できる。その他にも、安定剤、滑剤等を添加剤として使用できる。
【0044】
無機充填剤は、より微細な発泡セルを形成する効果を付与する、いわゆる発泡核剤として使用することができる。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、ホウ酸亜鉛、モリブデン化合物、タルク等が挙げられる。無機充填剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して0〜10質量部程度が好ましく、0.3〜5質量部程度がより好ましい。
【0045】
本発明では、第2の発泡層は電子線照射により樹脂架橋されていてもよい。電子線照射によって第2の発泡層が樹脂架橋されることにより、耐熱性及び強度が向上する。そのため、後述のエンボス加工によるエンボス模様を付与する際に、当該エンボス賦型性に優れる。第2の発泡層に電子線を照射する方法としては、後記の製造方法に記載された方法に従って実施すればよい。なお、第2の発泡層の厚さは100〜500μm程度が好ましい。
【0046】
第1の発泡層が未発泡状態である発泡剤含有樹脂層と第2の発泡層とを再溶融及び混練して得られる樹脂組成物は、全光線透過率が70%以上であることが好ましい。この場合、再溶融して原料である第1及び/又は第2の発泡層形成用樹脂組成物に戻す際に、当該原料の着色が少ない。なお、再溶融は、前記発泡剤含有樹脂層の形成方法が押出し成形又はカレンダー成形である場合に行いやすい。
【0047】
前記再溶融及び混練して得られる樹脂組成物の全光線透過率を70%以上とするためには、例えば、着色成分、隠蔽性を有する成分、透明樹脂の含有量等によって調整することができる。
【0048】
本発明における全光線透過率は、JIS K7361に準拠したものであって、具体的には株式会社東洋精機製作所製DIRECT READING HAZE METERを用いて測定されたものである。
【0049】
≪発泡積層シート≫
本発明の発泡積層シートは、基材上に、第1の発泡層及び第2の発泡層が順に積層されている発泡積層シートであって、
(1) 前記第1の発泡層中において、長径が100μm以上である発泡セルの数が、第1の発泡層を構成する発泡セル総数の50%以上であり、
(2) 前記第2の発泡層中において、長径が100μm未満である発泡セルの数が、第2の発泡層を構成する発泡セル総数の50%以上である、
ことを特徴とする。
【0050】
上記特徴を有する本発明の発泡積層シートは、上記特定の2つの異なる発泡層を有するため、発泡積層シート全体の発泡ボリュームを確保しつつ、多量の無機物添加剤を使用しなくても隠蔽性に優れる。
【0051】
本発明の発泡積層シートの層構成は、基材上に、第1の発泡層及び第2の発泡層が順に積層されている層構成であれば、特に限定されない。例えば、(i)基材上に、第1の発泡層及び第2の発泡層を当該順に有する層構成、(ii)基材上に、非発泡樹脂層B、第1の発泡層、非発泡樹脂層A及び第2の発泡層を当該順に有する層構成、(iii)基材上に、非発泡樹脂層B、第1の発泡層、非発泡樹脂層A、第2の発泡層、絵柄模様層及び保護層を当該順に有する層構成、等が挙げられる。第1の発泡層、第2の発泡層、非発泡樹脂層A及び非発泡樹脂層Bの説明については、上述の発泡シートにおける前記各層の説明と同様である。
なお、本発明の発泡積層シートは、第2の発泡層がいわゆる「おもて面」(施工後に視認される面)である。よって、本明細書では、基材に対して第2の発泡層が存在する方向を「おもて」又は「上」と称し、その反対側を「裏」又は「下」と称する。
【0052】
基材
基材としては限定されず、公知の繊維質基材(裏打紙)などが利用できる。
【0053】
具体的には、壁紙用一般紙(パルプ主体のシートを既知のサイズ剤でサイズ処理したもの);難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙;繊維混抄紙(パルプと合成繊維とを混合して抄紙したもの)などが挙げられる。なお、これらの繊維質基材には、分類上、不織布に該当しているものも包含される。
【0054】
絵柄模様層
本発明の発泡積層シートは、絵柄模様層を有していてもよい。絵柄模様層は、例えば、第2の発泡層上に形成することができる。
【0055】
絵柄模様層は、発泡積層シートに意匠性を付与する。絵柄模様としては、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。絵柄模様は、発泡積層シートの種類に応じて選択できる。
【0056】
絵柄模様層は、例えば、絵柄模様を印刷することで形成できる。印刷手法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。印刷インキとしては、着色剤、結着材樹脂、溶剤を含む印刷インキが使用できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用してもよい。
【0057】
着色剤としては、無機顔料、有機顔料等を適宜使用することができる。無機顔料として、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン、硫化亜鉛等が挙げられる。また、有機顔料として、例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ系(アゾレーキ、不溶性アゾ、縮合アゾ)、多環式(イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ジブロムアンザントロン、ジオキサジン、チオインジゴ、フタロシアニン、インダントロン、ハロゲン化フタロシアニン)等が挙げられる。
【0058】
結着材樹脂は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。
【0059】
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水などが挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は混合物の状態で使用できる。
【0060】
絵柄模様層の厚みは、絵柄模様の種類より異なるが、一般には0.1〜10μm程度とすることが好ましい。
【0061】
保護層
本発明の発泡積層シートは、保護層を有してもよい。保護層は、例えば、第2の発泡層又は絵柄模様層の表面に形成することができる。保護層は、発泡積層シート又は発泡積層シート原反表面の艶を調整したり、表面に強度や耐汚染性を付与するために形成される層である。また、発泡積層シート又は発泡積層シート原反に絵柄模様層を設ける場合には、保護層は前記絵柄模様層を保護するために必要に応じて前記絵柄模様層の上に形成される層である。
【0062】
保護層の形成に使用される樹脂成分としては、熱可塑性樹脂や硬化性樹脂等の公知の樹脂成分の中から適宜選定すればよい。
【0063】
保護層の形成に使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂の中でも、好ましくは、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体等のエチレン(メタ)アクリル酸系共重合体樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂ケン化物;アイオノマー;エチレン−オレフィン共重合体等のエチレン共重合体;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、保護層の形成にエチレン共重合体のような架橋可能な熱可塑性樹脂を使用する場合には、必要に応じて、前記熱可塑性樹脂に架橋処理を行ってもよい。
【0064】
また、保護層の形成に使用される硬化性樹脂としては、特に制限されず、例えば、常温硬化性樹脂、加熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、1液反応硬化性樹脂、2液反応硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等のいずれであってもよいが、好ましくは1液反応硬化性樹脂が挙げられる。これらの硬化性樹脂の中でも、好ましくは、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられ、更に好ましくは1液反応硬化性アクリル系樹脂が挙げられる。これらの硬化性樹脂は、1種単独又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、保護層の形成に硬化性樹脂を使用する場合、必要に応じて、硬化反応を進行させるために、架橋剤、重合開始剤、重合促進剤等を用いてもよい。
【0065】
また、保護層は、単層からなるものであってもよく、同一の又は異なる2以上の層が積層されているものであってもよい。例えば、最表面に硬化性樹脂で形成した層が形成され、その下層に熱可塑性樹脂で形成した層が積層されている2層構造であってもよい。
【0066】
保護層の厚さは、特に限定されないが、例えば1〜20μmが好ましく、1〜15μmがより好ましい。
【0067】
保護層の形成は、使用する樹脂成分の種類に応じた方法を採用すればよい。例えば、熱可塑性樹脂を用いて保護層を形成する場合であれば、予め作製された熱可塑性樹脂フィルムを絵柄模様層の表面に貼り付けることにより保護層を形成してもよく、また、絵柄模様層の表面に熱可塑性樹脂を押出して製膜することにより保護層を形成してもよい。
【0068】
また、硬化性樹脂を用いて保護層を形成する場合であれば、例えば、硬化性樹脂に必要に応じて各種添加剤を含有する樹脂組成物を、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方法で第2の発泡層又は絵柄模様層に塗工した後に、必要に応じて加熱等により前記樹脂組成物を乾燥及び硬化させることによって行われる。
【0069】
また、保護層を形成する前には、接着性を考慮して、第2の発泡層又は絵柄模様層の表面にコロナ処理やプラズマ処理などの表面処理や、プライマー層を設けても良い。
【0070】
プライマー層に含有される樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等を使用することができるが、特にアクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン等が望ましい。
【0071】
プライマー層の厚さは限定的ではないが、0.1〜10μm程度が好ましく、0.1〜5μm程度がより好ましい。
【0072】
また、保護層が熱可塑性樹脂で成形されている場合、保護層の接着性を考慮して、保護層と第2の発泡層又は絵柄模様層との間に接着性樹脂層を形成してもよい。接着性樹脂層に含有される樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィンに無水マレイン酸、アクリル酸等の極性基を重合した樹脂等が挙げられ、貼り合せる層によって適宜選定される。
【0073】
接着性樹脂層の厚さは、1〜10μm程度が好ましく、3〜5μm程度がより好ましい。
【0074】
本発明の発泡積層シートは、最表面層の上からエンボス加工が施されていてもよい。エンボス加工は、エンボス版等の公知の手段により実施することができる。例えば、最表面層が上記保護層である場合に、保護層を加熱軟化後、エンボス版を押圧することにより所望のエンボス模様を賦型できる。エンボス模様としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
【0075】
≪発泡シート及び発泡積層シートの製造方法≫
本発明の発泡シートの製造方法は、特に限定されないが、少なくとも第1の発泡層及び第2の発泡層を有する発泡シートの製造方法であって、
(i) 第1の発泡層形成用樹脂組成物を押出し成形又はカレンダー成形することにより、発泡剤含有樹脂層を形成し、
第2の発泡層形成用樹脂組成物に超臨界流体を加えた後、前記第2の発泡層形成樹脂組成物を発泡押出し成形することにより、第2の発泡層を形成する工程1、
(ii) 前記発泡剤含有樹脂層と前記第2の発泡層とを積層する工程2、並びに
(iii) 前記発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより前記第1の発泡層を得る工程3、
を順に含む、ことを特徴とする製造方法により、好適に本発明の上記発泡シートを製造することができる。
【0076】
上記特徴を有する本発明の発泡シートの製造方法によれば、上記特定の2つの異なる発泡層を形成することができるため、発泡積層シート全体の発泡ボリュームを確保しつつ、多量の無機物添加剤を使用しなくても隠蔽性に優れた発泡積層シートの製造に有用な、発泡シートを得ることができる。
【0077】
以下、発泡シートの製造方法の各工程について説明する。なお、第1の発泡層又は発泡剤含有樹脂層の片面又は両面には、非発泡樹脂層A及び/又はBが形成されていてもよい。以下の各工程の説明では、第1の発泡層又は発泡剤含有樹脂層には、片面又は両面に非発泡樹脂層A及び/又はBが形成されている場合も包含するものとする。
【0078】
工程1
工程1では、発泡剤含有樹脂層及び第2の発泡層を形成する。以下、各層の形成について説明する。
【0079】
(発泡剤含有樹脂層の形成)
発泡剤含有樹脂層の形成は、第1の発泡層形成用樹脂組成物を押出し成形又はカレンダー成形することにより行われる。第1の発泡層形成用樹脂組成物に含まれる各成分については、上述の第1の発泡層の項目で説明した各成分と同様である。
【0080】
第1の発泡層形成用樹脂組成物の押出し成形としては、公知の押出成形法による成形を採用することができる。例えば、Tダイ押出し機、円筒押出し機等による押出し成形が挙げられる。Tダイとしては、マルチマニホールドタイプやフィードブロックタイプが挙げられる。
【0081】
発泡剤含有樹脂層がその片面又は両面に非発泡樹脂層を有する場合には、Tダイ押出し機による同時押出し成形が好適である。この場合、(i)非発泡樹脂層B形成用樹脂組成物、(ii)第1の発泡層形成用樹脂組成物及び(iii)非発泡樹脂層A形成用樹脂組成物をそれぞれ別個のシリンダー中に入れ、Tダイを用いて3種の樹脂組成物を同時に押出せばよい。このTダイ押出し機による同時押出し成形は、各樹脂が押出時に溶融していることにより接着性に優れる。また、発泡剤含有樹脂層が2つの非発泡樹脂層によって挟み込んだ態様で押出し成形されるため、発泡剤含有樹脂層に含まれる添加剤(無機充填剤など)の残渣が押出し機の押出し口(いわゆるダイス)に発生しにくく、製膜後の異物となり難い。
【0082】
押出し成形により得られた発泡剤含有樹脂層は、基材上又は第2の発泡層の裏面に直接積層してもよく、一旦冷却して巻き取ってもよい。
【0083】
第1の発泡層形成用樹脂組成物のカレンダー成形としては、公知のカレンダー成形法による成形を採用することができる。例えば、第1の発泡層形成用樹脂組成物を加熱された一対のカレンダーロール間に供給及び加熱圧搾することにより、フィルム状の発泡剤含有樹脂層が形成される。カレンダー成形により得られた発泡剤含有樹脂層は、冷却して巻き取ることができる。
【0084】
(第2の発泡層の形成)
第2の発泡層の形成は、第2の発泡層形成用樹脂組成物に超臨界流体を加えた後、前記第2の発泡層形成用樹脂組成物を発泡押出し成形することにより行われる。第2の発泡層形成用樹脂組成物に含まれる各成分については、上述の第2の発泡層の項目で説明した各成分と同様である。
【0085】
発泡押出し成形は、前記第2の発泡層形成用樹脂組成物を収容した押出機のシリンダー内に超臨界流体を注入後に押出しする。超臨界流体が注入された前記第2の発泡層形成用樹脂組成物を押出機から押出(例えば、Tダイ押出機のダイスから吐出)した段階で、押出シートの発泡が開始している。
【0086】
超臨界流体としては、超臨界水、超臨界窒素、超臨界二酸化炭素等を利用することができる。第2の発泡層形成用樹脂組成物に超臨界流体を注入することにより、樹脂中に超臨界流体が溶解した樹脂組成物が得られる。超臨界流体の中では、二酸化炭素は31.1℃、7.4MPa以上で超臨界状態となるため取扱いが比較的容易であるため、超臨界二酸化炭素を用いることが好ましい。
【0087】
超臨界流体の注入量は発泡倍率の観点から設定でき、発泡倍率が2倍以上、好ましくは2〜10倍程度となるように注入量を設定する。例えば、超臨界流体は、樹脂成分100質量部に対して、3〜8質量部程度とすることが好ましい。なお、上記の「発泡倍率」は、次の(1)〜(4)の手順:
(1) 第2の発泡層の単位面積あたりの樹脂成分の重さG’を測定又は算出し
(2) 次いで、第2の発泡層の厚さT2を測定し、
(3) 次いで、前記T2から、第2の発泡層が発泡せずに厚さがT2となる場合における単位面積あたりの樹脂成分の重さGを算出し、
(4) その後、G÷G’を計算する、
ことにより、第2の発泡層の発泡倍率を算出したものである。
【0088】
発泡押出し成形機におけるダイス口開度は、100〜800μm程度が好ましい。第2の発泡層形成用樹脂組成物は、押し出されてダイスから出た瞬間に発泡し、ダイの口よりも広がる。これにより、第2の発泡層が得られる。
【0089】
工程2
工程2では、発泡剤含有樹脂層と第2の発泡層とを積層する。発泡剤含有樹脂層と第2の発泡層とを積層する方法としては、(a) 押出し成形又は共押出し成形によって積層する方法、(b) 熱ラミネートによって積層する方法、(c) 接着剤を介して積層する方法等が挙げられる。なお、上記(a)の方法は、工程1における発泡剤含有樹脂層及び/又は第2の発泡層の形成と前記工程2を同時に行っている。
【0090】
押出し成形又は共押出し成形によって積層する方法としては、押出し機から押出し成形した第1の発泡層形成用樹脂組成物を直接第2の発泡層の裏面に積層する方法、押出し機から発泡押出し成形した第2の発泡層を直接発泡剤含有樹脂層の上に積層する方法、発泡剤含有樹脂層と第2の発泡層とを共押出し成形することにより積層する方法等が挙げられる。押出し成形又は共押出し成形による積層では、押出時に溶融している樹脂の熱によって発泡剤含有樹脂層と第2の発泡層が接着し、積層される。
【0091】
熱ラミネートする方法としては、発泡押出し成形して得られた第2の発泡層を、成形して得られた発泡剤含有樹脂層上に重ねて熱ラミネートする。熱ラミネートによる積層では、発泡剤含有樹脂層と第2の発泡層とを、ラミネートロールを用いて熱圧着させることにより接着し、積層される。
【0092】
接着剤を介して積層する方法としては、成形して得られた発泡剤含有樹脂層上又は第2の発泡層裏面に接着剤を塗布し、当該塗布面に成形して得られた第2の発泡層又は発泡剤含有樹脂層を接着し、積層する。接着剤としては、特に限定されず、公知の接着剤(例えば、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤等)を使用することができる。
【0093】
工程3
工程3では、発泡剤含有樹脂層を発泡させることにより第1の発泡層を形成する。
【0094】
発泡時の加熱条件は、熱分解型発泡剤の分解により第1の発泡層が形成される条件ならば限定されない。加熱温度は210〜240℃程度が好ましく、加熱時間は20〜80秒程度が好ましい。発泡後の第1の発泡層の厚さは300〜700μm程度である。
【0095】
電子線照射
工程3の前において、発泡剤含有樹脂層及び第2の発泡層に対して電子線を照射してもよい。発泡剤含有樹脂層に対して電子線を照射することにより、発泡剤含有樹脂層が樹脂架橋されて溶融張力が調整されるため、発泡倍率及び発泡セルの均一性を確保することができる。また、第2の発泡層に対して電子線を照射することにより、第2の発泡層が樹脂架橋されることで耐熱性及び強度が向上する。そのため、後述するエンボス加工によるエンボス模様を付与する際に、当該エンボス賦型性に優れる。電子線照射を工程2と工程3との間で行う場合、発泡剤含有樹脂層及び第2の発泡層の樹脂架橋を同時に行うことができるので、好ましい。
【0096】
電子線のエネルギーは、150〜250kV程度が好ましく、175〜200kV程度がより好ましい。照射量は、10〜100kGy程度が好ましく、10〜50kGy程度がより好ましい。電子線源としては、公知の電子線照射装置が使用できる。なお、この電子線照射は、絵柄模様層や表面保護層を形成した後でもよい。
【0097】
発泡剤含有樹脂層及び第2の発泡層の切除及び再利用
工程2の後において、発泡剤含有樹脂層及び第2の発泡層の両端部を切除し、前記切除された両端部を、工程1における第1の発泡層形成用樹脂組成物及び/又は第2の発泡層形成用樹脂組成物の一部として再利用してもよい。具体的には、本発明の工程1〜工程3が連続的に繰り返される場合において、工程2の後で切除されたスリット屑を、工程1の第1の発泡層形成用樹脂組成物及び/又は第2の発泡層形成用樹脂組成物の一部として再利用する。これにより、発泡シート及び発泡積層シートの製造におけるコスト削減を図ることができる。
【0098】
工程3前に前記電子線照射を行う場合、前記発泡剤含有樹脂層及び第2の発泡層の両端部の切除は、電子線照射前に行うことが好ましい。この場合、発泡剤含有樹脂層及び第2の発泡層の両端部を切除することにより得られるスリット屑は樹脂架橋されていないため、再溶融しやすい。また、第2の発泡層は、上述の通り顔料を使用しなくても隠蔽性を確保することができ、再利用も可能である。
【0099】
エンボス加工
工程3の後において、前述のエンボス加工により適宜エンボス模様を付してもよい。エンボス加工は、エンボス版の押圧等、公知の手段により実施することができる。例えば、第2の発泡層を加熱軟化後、エンボス版を押圧することにより所望のエンボス模様を賦型することができる。
【0100】
基材の積層
任意の時機において、発泡剤含有樹脂層又は第1の発泡層の裏面に基材を積層してもよい。工程1の時又は工程1と工程2との間に基材を積層する場合、工程2を行う前には基材上に発泡剤含有樹脂層が積層されたシートと、第2の発泡層シートが得られている。工程2と工程3との間に基材を積層する場合、工程3を行う前には基材上に発泡剤含有樹脂層及び第2の発泡層が当該順に積層されたシートが得られている。工程3の後に基材を積層する場合、基材上に第1の発泡層及び第2の発泡層が当該順に積層された発泡積層シートが得られる。なお、前記発泡剤含有樹脂層及び第2の発泡層の両端部の切除を行う場合は、基材の積層は当該切除を行った後に行うのがよい。
【0101】
工程1後において基材を積層する方法としては、発泡剤含有樹脂層及び第2の発泡層を含む発泡シート用原反、又は第1の発泡層及び第2の発泡層を含む発泡シートを、基材上に重ねて熱ラミネートする方法が挙げられる。工程1の時に基材を積層する工程としては、基材上に発泡剤含有樹脂層を押出し成形する方法が挙げられる。
【0102】
絵柄模様層及び保護層の積層
任意の時機において、第2の発泡層の上に絵柄模様層及び/又は保護層を積層してもよい。特に、工程3前に積層することが好ましい。絵柄模様層及び/又は保護層の形成方法については、上記絵柄模様層及び保護層の項目で説明した方法で積層することができる。
【0103】
本発明の発泡積層シートは、発泡壁紙、ラミネート化粧板用表皮材、クッション性床材、断熱化粧材等を用途として使用することができる。
【発明の効果】
【0104】
本発明の発泡積層シートは、上記特定の2つの異なる発泡層を有するため、発泡積層シート全体の発泡ボリュームを確保しつつ、多量の無機物添加剤を使用しなくても隠蔽性に優れる。本発明の発泡シートは、上記発泡積層シートの製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
図1図1は、本発明の発泡積層シートにおける断面の模式図である。
図2図2は、発泡セル(点線)及びその長径(矢印)を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0106】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
【0107】
実施例1
Tダイを有する2軸混練押出機を用いて、下記表1に記載された樹脂組成物aを溶融混練させながら、超臨界流体の二酸化炭素を注入圧10MPaで樹脂成分に対して3wt%になるように樹脂組成物a中に混練させ、Tダイから押出すと同時に発泡させた。これにより、シート状の第2の発泡層(厚さ300μm)を作製した。
【0108】
また、下記表1に記載された樹脂組成物eにより作製した発泡剤含有樹脂ペレットを、Tダイを有する単軸押出機で厚さ70μmとなるように製膜しながら、押出しラミネートすることにより、(1)第1の発泡層を形成するための発泡剤含有樹脂層、及び(2)第2の発泡層を積層し、発泡シート用原反を得た。
【0109】
次いで、貼り合わせた前記発泡剤含有樹脂層及び前記第2の発泡層からなる発泡シート用原反の両端部をスリットした。スリット片は粉砕して、第1の発泡層形成用樹脂組成物中に戻し、一部として再利用した。
【0110】
次に、紙(WK−665 KJ特殊紙製)を加熱しながら紙上に前記発泡シート用原反を積層することにより発泡シート用原反と紙とを一体化させ、発泡積層シート用原反を得た。また、発泡シート用原反と紙とを一体化させると同時に、電子線照射(200KV, 50KGy)を行うことにより前記発泡剤含有樹脂層を樹脂架橋させた。発泡剤含有樹脂層に含まれる化学発泡剤を220℃で30秒間加熱することにより前記発泡剤含有樹脂層を400μmまで発泡させてから、石目調の凹凸パターンを有する金属ロールを押し付けることにより、おもて面側に凹凸パターンを賦型させた。これにより、発泡積層シートを得た。
【0111】
実施例2
下記表1に記載された樹脂組成物aに代えて、下記表1に記載された樹脂組成物bを使用する以外は、実施例1と同様にして、発泡積層シートを得た。なお、第2の発泡層の厚さは400μmであった。
【0112】
比較例1
下記表1に記載された樹脂組成物aに代えて、下記表1に記載された樹脂組成物cを使用し、超臨界流体の二酸化炭素を前記樹脂組成物c中に混練させなかった。また、下記表1に記載された樹脂組成物eに代えて、下記表1に記載された樹脂組成物fを使用した。その他については、実施例1と同様にして、発泡積層シートを得た。なお、比較例1の第2層の厚さは150μmであった。
【0113】
比較例2
下記表1に記載された樹脂組成物dにより作製した発泡剤含有樹脂ペレットを、Tダイを有する単軸押出機で厚さ100μmとなるように製膜し、発泡剤含有樹脂層(単層)を形成した。
【0114】
次いで、前記発泡剤含有樹脂層の両端部をスリットした。スリット片は粉砕して、発泡剤含有樹脂層形成用樹脂組成物中に戻し、一部として再利用した。
【0115】
次に、前記発泡シート用原反に代えて、前記発泡剤含有樹脂層(単層)を使用し、かつ電子線照射量を200KV, 30KGyとする以外は、実施例1と同様にして、発泡積層シートを得た。
【0116】
比較例3
下記表1に記載された樹脂組成物aに代えて、下記表1に記載された樹脂組成物dを使用し、超臨界流体の二酸化炭素を前記樹脂組成物d中に混練させなかった。また、下記表1に記載された樹脂組成物eに代えて、下記表1に記載された樹脂組成物fを使用した。その他については、実施例1と同様にして、発泡積層シートを得た。なお、樹脂組成物dによって形成された第2層、及び樹脂組成物fによって形成された第1層のいずれも発泡している。
【0117】
比較例4
Tダイを有する2軸混練押出機を用いて、下記表1に記載された樹脂組成物aを溶融混練させながら、超臨界流体の二酸化炭素を注入圧10MPaで樹脂成分に対して3wt%になるように樹脂組成物a中に混練させ、Tダイから押出すと同時に発泡させた。これにより、シート状の第2の発泡層(厚さ300μm)を作製した。
【0118】
次いで、得られた第2の発泡層の両端部をスリットした。スリット片は粉砕して、第2の発泡層形成用樹脂組成物中に戻し、一部として再利用した。
【0119】
次に、紙(WK−665 KJ特殊紙製)を加熱しながら紙上に前記シート状の第2の発泡層を積層することにより第2の発泡層と紙とを一体化させると同時に、電子線照射(200KV, 50KGy)を行うことにより前記第2の発泡層を樹脂架橋させた。その後、石目調の凹凸パターンを有する金属ロールを押し付けることにより、前記第2の発泡層上に凹凸パターンを賦型させた。これにより、発泡積層シートを得た。
【0120】
各実施例及び比較例で使用した樹脂組成物中の各成分及び超臨界流体の二酸化炭素(CO2)の割合を、以下の表1に示す。
【0121】
なお、実施例1及び2、並びに比較例1及び3の発泡積層シートの層構成は、下から順に、紙(基材)、第1層及び第2層である。実施例1及び2における第1の発泡層は前記第1層と対応し、実施例1及び2における第2の発泡層は前記第2層と対応する。
比較例2及び4の発泡積層シートの層構成は、下から順に、紙(基材)及び発泡層である。ここで、比較例2では、超臨界流体の二酸化炭素を使用せずに化学発泡剤を使用して発泡層を形成しているため、比較例2の発泡積層シートの層構成は便宜的に、紙(基材)及び第1の発泡層(第1層)とすることができる。これに対して、比較例4では、超臨界流体の二酸化炭素を使用して発泡層を形成しているため、比較例4の発泡積層シートの層構成は便宜的に、紙(基材)及び第2の発泡層(第2層)とすることができる。
【0122】
【表1】
【0123】
測定1(発泡セル径の測定)
第1層及び第2層における発泡セル径を測定した。具体的には、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−100にて発泡積層シートの断面を観察し、第1の発泡層の厚さを縦とし、長さ1mmを横とする第1層及び第2層の断面領域に存在する発泡セルの長径を測定した。
【0124】
測定2(発泡倍率の測定)
第1層及び第2層の発泡倍率を測定した。第1層の発泡倍率については、発泡前における第1層の厚さT1、及び発泡後における第1層の厚さT1を測定し、T1’÷T1を計算することにより算出した。
第2層の発泡倍率については、以下のようにして算出した。まず、発泡した第2層の単位面積あたりの樹脂成分の重さG’を測定又は算出した。次いで、発泡した第2層の厚さT2を測定した。次いで、当該T2から、第2層が発泡せずに厚さがT2となる場合における単位面積あたりの樹脂成分の重さGを算出した。その後、G÷G’を計算することにより、第2層の発泡倍率を算出した。
【0125】
評価1(隠蔽性評価)
各発泡積層シートの隠蔽性を評価した。具体的には、以下の通りとした。まず、各発泡積層シートのおもて面に白色の板を重ねて、前記各発泡積層シート上から測色を行った。また、各発泡積層シートのおもて面に白色の板に代えて黒色の板を重ねて、前記各発泡積層シート上から測色を行った。その後、黒色の板を重ねて得られた測色値と、白色の板を重ねて得られた測色値との差を算出し、当該値をΔEとした。測色には、コニカミノルタ(株)製SPECTROPHOTOMETER CM-3700dを用いた。
(評価方法)
○:ΔEが2.5未満
×:ΔEが2.5以上
【0126】
評価2(エンボス賦型性評価)
各発泡積層シートのエンボス賦型性を評価した。具体的には、各発泡積層シート表面のエンボス模様を目視にて観察した。
(評価方法)
○:エンボス模様のパターン形状が鮮明に賦型されている。
△:エンボス模様のパターン形状が鮮明には賦型されておらず、甘く賦型されている。
×:エンボス模様のパターン形状をはっきりと観察することができない。
【0127】
評価3(耐スクラッチ性評価)
各発泡積層シートの耐スクラッチ性を評価した。具体的には、壁紙工業会制定の表面強化試験方法にて評価した。
(評価方法)
○:3級以上
×:2級以下
【0128】
評価4(ボリューム感評価)
各発泡積層シートのボリューム感を評価した。具体的には、エンボス加工前の発泡シートの厚さ(第1層厚さと第2層厚さの合計)を測定した。
(評価方法)
○:600μm以上
△:400μm以上600μm未満
×:400μm未満
【0129】
評価5(押出樹脂の切替性評価)
各発泡積層シートの押出樹脂の切替性を評価した。具体的には、加熱発泡による発泡を行っていない発泡シート用原反を再溶融混練し、150μm厚のシート状に成型し、全光線透過率を測定し評価した。全光線透過率の測定にはJIS K7361に基づき(株)東洋精機製作所製DIRECT READING HAZE METERを用いた。
(評価方法)
○:70%以上
×:70%未満
【0130】
各測定結果、評価結果及び算出した長径100μm以上の発泡セル数の割合を以下の表2に示す。
【0131】
【表2】
【0132】
*1:比較例1では、第2層に対して超臨界流体の二酸化炭素及び化学発泡剤のいずれも使用していないため、前記第2層は発泡していない。そのため、比較例1の第2層には発泡セルが存在しない。
*2:比較例1及び3では、第2層に含まれる二酸化チタンにより、電子線照射による第1層の樹脂架橋が阻害されている。そのため、比較例1及び3の第1層は、適当な溶融張力を得ることができず、発泡セルつぶれが発生しており、第1層における発泡セル径及び発泡倍率を測定することができない。
*3:比較例2では第2層を形成していない。また、比較例4では第1層を形成していない。
【符号の説明】
【0133】
1.基材
2.第1の発泡層
3.第2の発泡層
4.発泡セル
5.発泡セルの長径
図1
図2