(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221336
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】レーザ定着装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
G03G15/20 505
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-101011(P2013-101011)
(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公開番号】特開2014-222262(P2014-222262A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2016年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102716
【弁理士】
【氏名又は名称】在原 元司
(74)【代理人】
【識別番号】100115129
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】松原 崇史
【審査官】
平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−039290(JP,A)
【文献】
特開2012−181491(JP,A)
【文献】
特開2014−153621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 15/00− 15/01
G03G 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光照射手段からのレーザ光の照射エネルギー(照射強度×時間)が1〜5J/cm2(=W・s/cm2)かつ照射時間を1〜1000ミリ秒として照射する1つのみからなる照射手段と、
前記照射手段により照射されたトナー像上に被覆層を形成する被覆層形成手段と、を備えたレーザ定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、記録媒体上に形成された画像形成材料による可視的な像にレーザ光を照射する第1のレーザ光照射部と、前記第1のレーザ光照射部でレーザ光を照射した後に前記可視的な像にレーザ光を照射する第2のレーザ光照射部とを含み、W1<W2,t1>t2(W1:第1のレーザ光照射部から照射される単位領域あたりのレーザ光の光出力、W2:第2のレーザ光照射部から照射される単位領域あたりのレーザ光の光出力、t1:第1のレーザ光照射部から照射されるレーザ光の単位領域あたりの照射時間、t2:第2のレーザ光照射部から照射されるレーザ光の単位領域あたりの照射時間)の条件を満たしてレーザ光を照射し前記可視的な像を前記記録媒体上に定着させることを特徴とする定着装置が開示されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、光を照射する光照射部と、光照射部からの光を複数の分割光へと分割する分割光学系と、前記複数の分割光が、それぞれ記録用紙上の別の位置を照射するように配置された照射光学系と備えることを特徴とするレーザ定着装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−39290号公報
【特許文献2】特開2012−150373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、粒状性とベタ画像の発色性をともに向上することができるレーザ定着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項
1記載のレーザ定着装置の発明は、レーザ光照射手段からのレーザ光の照射エネルギー(照射強度×時間)が1〜5J/cm
2(=W・s/cm
2)かつ照射時間を1〜1000ミリ秒として照射する
1つのみからなる照射手段と、
前記照射手段により照射されたトナー像上に被覆層を形成する被覆層形成手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
請求項
1の発明によれば、粒状性とベタ画像の発色性を両立したトナー画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態にかかるレーザ定着装置の構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るレーザ定着装置による定着工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0012】
図1には、実施形態にかかるレーザ定着装置の構成例が示される。
図1において、レーザ定着装置は、レーザ光照射部10と、レーザ制御部12と、記録媒体搬送装置14と、被覆層形成部16とを含んで構成されている。
【0013】
レーザ光照射部10は、アレイ状に配列されて各々レーザ光を照射するレーザ光源を備え、レーザ制御部12の制御の下、図示しない転写装置等により記録媒体100上に形成されたトナー画像Tにレーザ光を照射して加熱し、記録媒体100にトナー画像Tを非接触で定着する。
【0014】
レーザ制御部12は、レーザ光照射部10からトナー画像Tにレーザ光を照射する。この時、記録媒体100上に形成された被覆率の高いトナー画像(たとえば被覆率60%以上)は定着され、かつ、被覆率の低いトナー画像(たとえば被覆率20%以下)は定着されないような条件で、レーザ光照射部10からレーザ光を上記記録媒体100に照射する。ここで、「定着されない」とは、トナーがまったく溶融していない状態のみを示すのではなく、指でこすったり画像部分を複数回折り曲げたりしたときにトナー画像Tがはがれてしまうような、不十分な定着状態をも含む。具体的には、たとえば、照射されるレーザ光の照射エネルギー(照射強度×時間)が1〜5J/cm
2(=W・s/cm
2)かつ照射時間を1〜1000ミリ秒となるようにレーザ光照射部10の動作を制御する。なお「定着される」とは上記の逆であり、トナーが完全に溶融している状態や、指でこすったり画像部分を複数回折り曲げたりしてもトナー画像Tがはがれてしまうことがないような状態を指す。
【0015】
記録媒体搬送装置14は、駆動ロール14aと従動ロール14b、及び駆動ロール14aと従動ロール14bに回転可能に掛け渡された無端ベルト14cとで構成されており、無端ベルト14cの回転により記録媒体100を矢印A方向に搬送する。また、無端ベルト14cは、例えばポリイミドなどの耐熱性のある樹脂で構成されている。なお、記録媒体搬送装置14は、記録媒体100を搬送できる構成であれば上記構成に限定されない。
【0016】
記録媒体搬送装置14による記録媒体100の搬送中に上記レーザ光照射部10からトナー画像Tにレーザ光が照射されると、レーザ光の照射エネルギーによってトナー画像Tを構成するトナー(レーザ定着用トナー)に熱が加えられて融解し、記録媒体100にトナー画像Tが定着する。
【0017】
被覆層形成部16は、上記記録媒体100に定着したトナー画像T上に被覆層Cを形成する。被覆層Cは、例えばラミネート加工、ニスコート等により形成することができる。ラミネート加工は、トナー画像Tが定着した記録媒体100の表面に透明フィルムを貼り付けることにより行われるが、透明フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン等が挙げられる。なお、透明フィルムはこれらには限定されず、透明なフィルム材料であればよい。また、ニスコートは、天然樹脂または合成樹脂を溶剤に溶かした透明塗料(ニス)をトナー画像Tが定着した記録媒体100の表面に塗布することによる表面コートである。ニスとしては、従来公知の油性ニス・水性ニス・UVニス等を使用することができる。
【0018】
一般に、レーザ光の照射によりトナー画像Tを記録媒体100上に定着させる場合、レーザ光の照射強度と照射時間に応じてトナーの溶融の程度が決定され、トナーの定着性と発色性に影響する。トナー画像Tを構成するトナー粒子が記録媒体100上で孤立している場合、すなわち画像濃度の低い部分(たとえば被覆率20%以下、1〜数個のトナー粒子の集合(孤立トナーという)あるいはそれらが点在することでトナー画像Tが構成されている部分)では、孤立トナーは放熱性が高いので、低い照射強度では照射時間を長くしても(例えば数ミリ秒)、光の吸収に対して放熱のスピードが早く、トナーが十分溶融しない。これに対して、照射強度を高く(例えば上記範囲の上限より高く)すると照射時間が短くても(例えばサブミリ秒)放熱する前に十分な光を吸収し終えるために溶融温度以上に加熱できる。一方、ベタ画像などの画像濃度の高い部分(たとえば被覆率60%以上)では、多数のトナーが凝集しトナー粒子の個数に対して表面積が小さくなるため放熱性は低く、照射強度が低くても照射時間を長くすればトナーが十分溶融する。これに対して、照射強度を高くすると画像が過加熱されてしまい、ボイドと呼ばれる画像欠陥を代表とする画質劣化が発生しやすくなってしまう。
【0019】
レーザ光の照射条件を、上述したように照射エネルギー(照射強度×時間)が1〜5J/cm
2(=W・s/cm
2)かつ照射時間を1〜1000ミリ秒とした場合、トナー画像Tがベタ画像として構成されていれば、ベタ画像の放熱性は低いので、トナーが十分溶解して高い発色性を実現できる。一方、トナー画像Tが孤立トナーで構成されていれば、孤立トナーは放熱性が高いので、トナーが十分溶融せず、記録媒体100への定着性が低くなる。ただし、孤立トナーが十分溶融しないので、記録媒体100上で広がらず、粒状性(画像のざらつき)の悪化を抑制できる。
【0020】
熱および圧をかけて定着する方式では、熱とともに圧力が加わるために、敢えてトナーの粒状性をそのままにしておきたい画像(ハーフトーン画像など)を理想的な状態に仕上げることは困難である。しかし本実施形態ではレーザ光を照射してトナーを溶融させる、いわゆる非接触方式の1つを採用しているためトナーに圧力がかからず、かつ被覆率の低い画像は十分に定着されないような条件でレーザ光を照射するため、孤立トナーをつぶさずに維持することができる。しかし、そのままでは定着性が維持できないため、被覆層形成部16により被覆層を形成している。
【0021】
なお、レーザ光の照射条件を、単位時間当たりの照射強度を上げて照射時間がサブミリ秒(0.01〜1ミリ秒未満)とした場合、放熱性が高い孤立トナーであっても放熱する前の短時間で光を吸収し終わるため溶融温度以上に加熱でき、高い定着性を実現できる。ただし、粒状性が悪化する可能性がある。また、ベタ画像の場合には、過加熱による画質劣化の虞がある。
【0022】
そこで、本実施形態に係るレーザ定着装置では、レーザ光の照射条件を、照射エネルギー(照射強度×時間)が1〜5J/cm
2(=W・s/cm
2)かつ照射時間を1〜1000ミリ秒とし、ベタ画像の発色性を高くし、孤立トナーの粒状性を改善するとともに、被覆層形成部16によりトナー画像T上に被覆層Cを形成して孤立トナーの定着性を補完している。
【0023】
図2(a)、(b)、(c)には、本実施形態に係るレーザ定着装置による定着工程の説明図が示される。
図2(a)において、図示しない転写装置等により記録媒体100上にトナー画像Tとして、ベタ画像Sと孤立トナー画像Iとが形成されている。このような記録媒体100上のトナー画像Tに、レーザ光照射部10から上述した照射条件(照射エネルギー(照射強度×時間)が1〜5J/cm
2(=W・s/cm
2)かつ照射時間を1〜1000ミリ秒)でレーザ光を照射して記録媒体100に定着する(
図2(b))。さらに、
図3に示されるように、被覆層形成部16によりトナー画像T上に被覆層Cを形成し、本実施形態の定着画像を形成する。
【符号の説明】
【0024】
10 レーザ光照射部、12 レーザ制御部、14 記録媒体搬送装置、14a 駆動ロール、14b 従動ロール、14c 無端ベルト、16 被覆層形成部、100 記録媒体。