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特許6221337デマンド制御装置およびデマンド制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221337
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】デマンド制御装置およびデマンド制御システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/00 20060101AFI20171023BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20171023BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20171023BHJP
【FI】
   H02J3/00 130
   H02J3/14 130
   G06Q50/06
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-101115(P2013-101115)
(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公開番号】特開2014-222959(P2014-222959A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2016年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】大頭 威
(72)【発明者】
【氏名】武田 久孝
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−001325(JP,A)
【文献】 特開2005−086972(JP,A)
【文献】 特開2000−116000(JP,A)
【文献】 特開2001−056804(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/014731(WO,A1)
【文献】 特開2002−118960(JP,A)
【文献】 特開2010−204833(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0153103(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0222934(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第01271366(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0159389(US,A1)
【文献】 特開2012−191717(JP,A)
【文献】 特開2004−236422(JP,A)
【文献】 特許第5314698(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
G06Q 50/06
H02J 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力が消費される負荷機器において消費されると予測される第1予測消費電力量に基づいて、契約電力値を超えない目標電力値を設定する目標電力設定手段と、
前記負荷機器において実際に消費された実際消費電力量と、設定された前記目標電力値とに基づいて、前記負荷機器における電力消費を制限するデマンド制御を行うか否かを判断するデマンド制御判断手段と、
前記デマンド制御を行うと判断された場合に、前記負荷機器における電力消費を制限する前記デマンド制御を行うデマンド制御手段とを備え
前記目標電力設定手段は、前記目標電力値を所定の第1期間毎に個別に求めて、前記第1期間毎に更新するように構成されており、
前記デマンド制御判断手段は、前記第1期間内において、前記第1期間よりも短い所定の第2期間毎に、前記第1期間の開始時点からの累積された前記実際消費電力量に基づいて、前記第1期間における第2予測消費電力量を順次求めるとともに、求めた前記第2予測消費電力量が前記目標電力値を超過する場合に、前記デマンド制御を行うと判断するように構成されている、デマンド制御装置。
【請求項2】
前記デマンド制御判断手段は、前記デマンド制御が行われている状態で、前記第2期間毎に、前記第1期間の開始時点からの累積された前記実際消費電力量に基づいて、前記第1期間内における前記第2予測消費電力量を順次求めるとともに、求めた前記第2予測消費電力量が前記目標電力値以下である場合に、前記デマンド制御を解除すると判断するように構成されている、請求項に記載のデマンド制御装置。
【請求項3】
前記目標電力設定手段は、前記実際消費電力量と、前記負荷機器の設置場所における気象条件とに基づいて前記第1予測消費電力量を求めるとともに、求めた前記第1予測消費電力量に基づいて前記目標電力値を設定するように構成されている、請求項1または2に記載のデマンド制御装置。
【請求項4】
前記目標電力設定手段は、前記実際消費電力量と、前記負荷機器の設置場所における気温の変動とに少なくとも基づいて前記第1予測消費電力量を求めるように構成されている、請求項に記載のデマンド制御装置。
【請求項5】
電力が消費される負荷機器と、
前記負荷機器において消費されると予測される第1予測消費電力量に基づいて、契約電力値を超えない目標電力値を設定する目標電力設定手段と、
前記負荷機器において実際に消費された実際消費電力量と、設定された前記目標電力値とに基づいて、前記負荷機器における電力消費を制限するデマンド制御を行うか否かを判断するデマンド制御判断手段と、
前記デマンド制御を行うと判断された場合に、前記負荷機器における電力消費を制限する前記デマンド制御を行うデマンド制御手段とを備え
前記目標電力設定手段は、前記目標電力値を所定の第1期間毎に個別に求めて、前記第1期間毎に更新するように構成されており、
前記デマンド制御判断手段は、前記第1期間内において、前記第1期間よりも短い所定の第2期間毎に、前記第1期間の開始時点からの累積された前記実際消費電力量に基づいて、前記第1期間における第2予測消費電力量を順次求めるとともに、求めた前記第2予測消費電力量が前記目標電力値を超過する場合に、前記デマンド制御を行うと判断するように構成されている、デマンド制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、デマンド制御装置およびデマンド制御システムに関し、特に、負荷機器における電力消費を制限するデマンド制御を行うか否かを判断するデマンド制御装置およびデマンド制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デマンド制御を行うデマンド制御装置およびデマンド制御システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、気象データや負荷設備の駆動スケジュールなどに基づく需要予測値と、複数の指標を用いた最適化計算の結果に基づく負荷調整幅とを求めてデマンド制御を行うエネルギー管理システムが開示されている。この特許文献1に記載のエネルギー管理システムでは、所定の時点における需要予測値が契約電力に基づく負荷目標値を超える場合に、負荷設備を駆動させる時間帯を、契約電力を超える時点から負荷調整幅内のいずれかの時間帯に移動させる(ピークシフトさせる)デマンド制御を行うことによって、契約電力を超えないように電力負荷を調整するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−204833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたエネルギー管理システムでは、負荷目標値が契約電力に基づいて定められるため、契約電力(負荷目標値)と需要予測値との差が小さく電力に余裕がない時間帯(期間)と、契約電力(負荷目標値)と需要予測値との差が大きく電力に余裕がある時間帯とが生じる。このため、電力に余裕がある時間帯においては、契約電力を超えて電力が消費されることはほとんどないと考えられるため、負荷設備における電力消費の制限(デマンド制御)がほとんど行われない。したがって、電力に余裕がある時間帯において削減可能な電力があってもその電力は消費されてしまうため、エネルギー管理システムにおける消費電力量を十分に削減することができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、電力に余裕がある期間においても消費電力量を削減することが可能なデマンド制御装置およびデマンド制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面によるデマンド制御装置は、電力が消費される負荷機器において消費されると予測される第1予測消費電力量に基づいて、契約電力値を超えない目標電力値を設定する目標電力設定手段と、負荷機器において実際に消費された実際消費電力量と、設定された目標電力値とに基づいて、負荷機器における電力消費を制限するデマンド制御を行うか否かを判断するデマンド制御判断手段と、デマンド制御を行うと判断された場合に、負荷機器における電力消費を制限するデマンド制御を行うデマンド制御手段とを備え、目標電力設定手段は、目標電力値を所定の第1期間毎に個別に求めて、第1期間毎に更新するように構成されており、デマンド制御判断手段は、第1期間内において、第1期間よりも短い所定の第2期間毎に、第1期間の開始時点からの累積された実際消費電力量に基づいて、第1期間における第2予測消費電力量を順次求めるとともに、求めた第2予測消費電力量が目標電力値を超過する場合に、デマンド制御を行うと判断するように構成されている
【0008】
この発明の第1の局面によるデマンド制御装置では、上記のように、目標電力設定手段により、第1予測消費電力量に基づいて、契約電力値を超えない目標電力値が設定されるとともに、デマンド制御判断手段により、実際消費電力量と、設定された目標電力値とに基づいて、負荷機器における電力消費を制限するデマンド制御を行うか否かが判断されるように構成する。これにより、予測消費電力量に基づいて目標電力値が設定されることによって、契約電力値よりも予測消費電力量が大幅に小さく電力に余裕がある期間においては、デマンド制御を行うか否かの判断の基準となる目標電力値を実際消費電力量に基づいて小さくすることができるので、電力に余裕がある期間においても負荷機器における電力消費の制限(デマンド制御)が行われやすくすることができる。この結果、電力に余裕がある期間においても消費電力量を削減することができる。なお、本明細書における「デマンド制御を行う」とは、負荷機器における電力消費を実際に制限する制御を行うことを意味しており、電力量を監視するだけで電力消費を制限しない制御を行うことは含まれない。
【0009】
また、この発明の第1の局面によるデマンド制御装置では、上記のように、目標電力設定手段、目標電力値を所定の第1期間毎に個別に求めて、第1期間毎に更新するように構成するこれにより、第1期間毎に、予測消費電力量に基づいて目標電力値を新たに設定することができるので、第1期間内の電力消費の傾向に対応した目標電力値を適切に設定することができる。これにより、デマンド制御システムにおける消費電力量をより削減することができる。
【0010】
また、この発明の第1の局面によるデマンド制御装置では、上記のように、デマンド制御判断手段、第1期間内において、第1期間よりも短い所定の第2期間毎に、第1期間の開始時点からの累積された実際消費電力量に基づいて、第1期間における第2予測消費電力量を順次求めるとともに、求めた予測消費電力量が目標電力値を超過する場合に、デマンド制御を行うと判断するように構成するこれにより、第1期間の開始時点からの累積された実際消費電力量に基づいて、第1期間における予測消費電力量を順次求めることにより、第1期間の開始時点から終了時点まで累積された実際消費電力量(第1期間内の実際消費電力量)と、予測消費電力量とをより近似させることができる。これにより、第1期間内の実際消費電力量に近似した予測消費電力量が目標電力値を超過する場合にデマンド制御を行うことができるので、デマンド制御をより正確に行うことができる。
【0011】
上記第1の局面によるデマンド制御装置において、好ましくは、デマンド制御判断手段は、デマンド制御が行われている状態で、第2期間毎に、第1期間の開始時点からの累積された実際消費電力量に基づいて、第1期間内における第2予測消費電力量を順次求めるとともに、求めた第2予測消費電力量が目標電力値以下である場合に、デマンド制御を解除すると判断するように構成されている。このように構成すれば、第1期間内の実際消費電力量に近似した予測消費電力量が目標電力値以下である場合にデマンド制御を解除することができるので、デマンド制御を適切なタイミングで解除することができる。これにより、必要以上にデマンド制御が行われるのを抑制することができる。
【0012】
上記第1の局面によるデマンド制御装置において、好ましくは、目標電力設定手段は、実際消費電力量と、負荷機器の設置場所における気象条件とに基づいて第1予測消費電力量を求めるとともに、求めた第1予測消費電力量に基づいて目標電力値を設定するように構成されている。このように構成すれば、実際に今まで消費された実際消費電力量を負荷機器の設置場所における気象条件に基づいて調整することによって、より適切に、予測消費電力量を求めることができる。
【0013】
この場合、好ましくは、目標電力設定手段は、実際消費電力量と、負荷機器の設置場所における気温の変動とに少なくとも基づいて第1予測消費電力量を求めるように構成されている。このように構成すれば、実際に今まで消費された実際消費電力量を負荷機器の設置場所における気温の変動に基づいて調整することによって、より適切に、予測消費電力量を求めることができる。特に、負荷機器として、冷暖房設備および冷蔵冷凍機器などの気温の変動に応じて消費電力量が増減しやすい機器が含まれている場合には、気温の変動に基づいて予測消費電力量を求めることによって、より正確に予測消費電力量を求めることができる。
【0014】
この発明の第2の局面によるデマンド制御システムは、電力が消費される負荷機器と、負荷機器において消費されると予測される第1予測消費電力量に基づいて、契約電力値を超えない目標電力値を設定する目標電力設定手段と、負荷機器において実際に消費された実際消費電力量と、設定された目標電力値とに基づいて、負荷機器における電力消費を制限するデマンド制御を行うか否かを判断するデマンド制御判断手段と、デマンド制御を行うと判断された場合に、負荷機器における電力消費を制限するデマンド制御を行うデマンド制御手段とを備え、目標電力設定手段は、目標電力値を所定の第1期間毎に個別に求めて、第1期間毎に更新するように構成されており、デマンド制御判断手段は、第1期間内において、第1期間よりも短い所定の第2期間毎に、第1期間の開始時点からの累積された実際消費電力量に基づいて、第1期間における第2予測消費電力量を順次求めるとともに、求めた第2予測消費電力量が目標電力値を超過する場合に、デマンド制御を行うと判断するように構成されている
【0015】
この発明の第2の局面によるデマンド制御システムでは、上記のように、目標電力設定手段により、第1予測消費電力量に基づいて、契約電力値を超えない目標電力値が設定されるとともに、デマンド制御判断手段により、実際消費電力量と、設定された目標電力値とに基づいて、負荷機器における電力消費を制限するデマンド制御を行うか否かが判断されるように構成し、目標電力設定手段を、目標電力値を所定の第1期間毎に個別に求めて、第1期間毎に更新するように構成し、デマンド制御判断手段を、第1期間内において、第1期間よりも短い所定の第2期間毎に、第1期間の開始時点からの累積された実際消費電力量に基づいて、第1期間における第2予測消費電力量を順次求めるとともに、求めた第2予測消費電力量が目標電力値を超過する場合に、デマンド制御を行うと判断するように構成する。これにより、予測消費電力量に基づいて目標電力値が設定されることによって、契約電力値よりも予測消費電力量が大幅に小さく電力に余裕がある期間においては、デマンド制御を行うか否かの判断の基準となる目標電力値を実際消費電力量に基づいて小さくすることができるので、電力に余裕がある期間においても負荷機器における電力消費の制限(デマンド制御)が行われやすくすることができる。この結果、電力に余裕がある期間においても消費電力量を削減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、電力に余裕がある期間においても消費電力量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態によるデマンド制御システムの構成を示したブロック図である。
図2】本発明の一実施形態によるデマンド制御システムにおけるデマンド制御のタイミングを時系列で示した図である。
図3】本発明の一実施形態によるデマンド制御システムにおける15:00に取得される気象情報を示した図である。
図4】本発明の一実施形態によるデマンド制御システムにおける15:30に取得される気象情報を示した図である。
図5】本発明の一実施形態によるデマンド制御システムにおける、デマンド制御を行うか否かの判断時における制御部の処理フローを示した図である。
図6】本発明の一実施形態によるデマンド制御システムにおける、目標電力値更新時における制御部の処理フローを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
まず、図1図4を参照して、本発明の一実施形態によるデマンド制御システム100の構成について説明する。
【0020】
本実施形態によるデマンド制御システム100は、電気需要者において消費される最大需要電力量が電力会社との契約電力値を超過しないように、電力消費を監視するとともに、超過すると予測される場合には、電力消費を制限(デマンド制御)するように構成されたシステムである。また、デマンド制御システム100では、30分毎に実際消費電力量Pが初期化されて、30分の期間の開始時点から新たに実際消費電力量Pが計量されるように構成されており、30分毎に計量される実際消費電力量Pのうちの最大の値が、最大需要電力量になる。
【0021】
また、デマンド制御システム100は、図1に示すように、電気需要者である店舗1に設けられている。また、デマンド制御システム100は、電力を消費する負荷機器2(冷凍機2a、空調機2b、照明機器2c、ショーケース2dおよび換気扇2e)と、電線101を介して電力会社から電力の供給を受けるための配電盤3と、PCからなり、負荷機器2における電力消費を監視するとともに、負荷機器2の電力消費を制限(デマンド制御)するためのデマンド制御装置4とを備えている。
【0022】
負荷機器2の冷凍機2a、空調機2b、照明機器2c、ショーケース2dおよび換気扇2eは、店舗1の複数の空間(たとえば、商品を保管しておくバックヤード、共有スペースおよび実際に商品が置かれる展示スペースなど)の各々に個別に設けられているか、または、複数の空間の各々において分割して駆動させる(たとえば、1つの空間では停止させ、残りの空間では駆動させる)ことが可能なように構成されている。つまり、負荷機器2は、店舗1の複数の空間の各々で分割してデマンド制御されることが可能なように構成されている。
【0023】
配電盤3は、電線101を介して配電盤3に供給された電力を、電力が消費される負荷機器2の各々に供給する機能を有している。また、配電盤3には、1分毎に、全ての負荷機器2に供給されている電力値を収集するための電力監視機器30が設けられている。
【0024】
デマンド制御装置4は、CPUからなる制御部40と、ROM41と、RAM42と、通信部43と、通知部44とを有している。制御部40は、ROM41に格納された制御プログラムに基づいて、所定の制御を行うように構成されている。なお、制御部40の詳しい制御内容に関しては後述する。
【0025】
RAM42は、制御部40により制御プログラムが実行される際に用いられる制御上のパラメータを一時的に保存する作業用メモリとして用いられる。また、RAM42には、最大需要電力量以下で、かつ、契約電力値を超えない目標電力最大値Gmaxが予めユーザにより入力されて格納されている。また、RAM42には、電力監視時において、算出される目標電力値Gと、電力監視機器30から受信した電力情報とが格納されるように構成されている。
【0026】
また、RAM42には、負荷機器2の電力消費を制限する(デマンド制御を行う)際に、いずれの負荷機器2に対してデマンド制御を行うかについての優先順位情報が予めユーザにより入力されて格納されている。つまり、デマンド制御システム100では、ユーザにより、いずれの負荷機器2に対してデマンド制御を行うかについての優先順位を設定可能なように構成されている。
【0027】
なお、この優先順位情報では、たとえば展示スペースにおける冷凍機2aや空調機2bなどの可能な限り通常運転させる必要がある負荷機器2に関しては、優先順位が高いとされている。一方、たとえばバックヤード(商品保管スペース)における空調機2bや照明機器2cなどの通常運転させなくてもあまり支障がない負荷機器2に関しては、優先順位が低いとされている。ここで、優先順位が高い負荷機器2では、後述する予測消費電力量Mが契約電力値を超える場合などの緊急の場合にのみ、デマンド制御されるように設定されている一方、優先順位が低い負荷機器2では、予測消費電力量Mが目標電力値Gを超える場合に、他の負荷機器2に先立って、デマンド制御されるように設定されている。
【0028】
また、通信部43は、電力監視機器30から送信された電力情報を受信する機能と、外部のサーバ102からネットワークを介して、店舗1が位置する地域(負荷機器2の設置場所)における、10分毎の気温および日照時間の情報を気象情報として取得する機能とを有している。また、通知部44は、ディスプレイなどからなり、所定の負荷機器2に対してデマンド制御が行われることをユーザに通知(警告)する機能などを有している。
【0029】
ここで、本実施形態では、制御部40は、電力監視時において、デマンド制御を行うか否かを判断する制御と、デマンド制御を行う際に用いられる目標電力値Gを求めて更新する制御とを行うように構成されている。
【0030】
まず、制御部40による、デマンド制御を行うか否かを判断する制御について詳細に説明する。
【0031】
まず、制御部40は、30分の期間内において、実際消費電力量Pが初期化される開始時点から、実際に負荷機器2において消費されることによって累積された実際消費電力量Pを、1分毎に順次計量するように構成されている。なお、制御部40は、通信部43を介して電力監視機器30から新たに取得した電力情報と、RAM42に格納された過去の電力情報とに基づいて、開始時点からの累積された実際消費電力量Pを計量するように構成されている。また、電力監視機器30から新たに取得した電力情報は、取得する都度、RAM42に格納されるように構成されている。なお、30分および1分は、それぞれ、本発明の「第1期間」および「第2期間」の一例である。
【0032】
そして、制御部40は、計量した実際消費電力量Pから、30分の期間における予測消費電力量Mを、時系列解析手法(移動平均法)を用いて算出するように構成されている。具体的には、図2に示すように、制御部40は、t時点(現時点)において、t時点における予測消費電力量Mを算出するための傾きIを、式(1)を用いて算出するように構成されている。この際、制御部40は、開始時点からt時点まで累積された実際消費電力量Pと、開始時点からt時点の1分前まで累積された実際消費電力量Pt−1と、開始時点からt時点の2分前まで累積された実際消費電力量Pt−2と、開始時点からt時点の3分前まで累積された実際消費電力量Pt−3とを用いて、傾きIを算出するように構成されている。つまり、制御部40は、現時点までの累積された実際消費電力量Pだけでなく、現時点よりも前の時点までに累積された実際消費電力量Pも用いて、予測消費電力量Mを算出するように構成されている。
【0033】
【数1】
なお、式(1)において、aおよびbは、任意の数である。
【0034】
その後、制御部40は、開始時点からt時点まで累積された実際消費電力量Pと、算出した傾きIとに基づいて、t時点における予測消費電力量Mを算出するように構成されている。
【0035】
そして、制御部40は、求めた予測消費電力量Mが30分の期間における目標電力値Gを超えるか否かを判断し、予測消費電力量Mが目標電力値Gを超えると判断した場合には、負荷機器2に対してデマンド制御を行うと判断するように構成されている。そして、制御部40は、負荷機器2に対してデマンド制御を行うと判断した場合に、負荷機器2のうちの所定の負荷機器2の電力消費を制限するデマンド制御を行うように構成されている。なお、制御部40は、本発明の「デマンド制御判断手段」および「デマンド制御手段」の一例である。
【0036】
具体的には、図2に示すT1時点での予測消費電力量MT1、T3時点での予測消費電力量MT3、および、T5時点での予測消費電力量MT5が、それぞれ、30分の期間(14:30〜15:00の時間帯)の目標電力値G1、30分の期間(15:00〜15:30の時間帯)の目標電力値G2、および、30分の期間(15:30〜16:00の時間帯)の目標電力値G3を超えているので、制御部40により、T1時点、T3時点およびT5時点において、負荷機器2のうちの所定の負荷機器2のデマンド制御が行われる。
【0037】
この際、制御部40は、RAM42に格納された優先順位情報と、予測消費電力量Mの目標電力値Gに対する超過量Oとに基づいて、電力を制限する負荷機器2を選択するとともに、負荷機器2における電力制限の度合い(完全に停止させるか、または、電力消費を一定割合だけ減少させるか)を判断するように構成されている。つまり、制御部40は、電力制限に起因する不都合を最小化する最適化処理を行うように構成されている。
【0038】
たとえば、T3時点においては、超過量O2が小さいので、優先順位が低い(通常運転させなくてもあまり支障がない)負荷機器2に対してのみデマンド制御が行われる。また、T1時点においては、超過量O1が中程度であるので、優先順位が低い負荷機器2だけでなく、優先順位が中程度の負荷機器2に対してもデマンド制御が行われる。一方、T5時点においては、超過量O3が大きいので、優先順位が低い負荷機器2および優先順位が中程度の負荷機器2だけでなく、優先順位が比較的高い負荷機器2に対してもデマンド制御が行われる。
【0039】
また、制御部40は、すでにデマンド制御されている負荷機器2がある場合で、かつ、予測消費電力量Mが目標電力値G以下であると判断した場合には、負荷機器2に対するデマンド制御を解除すると判断して、デマンド制御されている負荷機器2のデマンド制御を全て解除するように構成されている。つまり、図2に示すように、14:30〜15:00の時間帯において、T2時点での予測消費電力量MT2が目標電力値G1以下になったので、制御部40は、T2時点において、デマンド制御されていた負荷機器2のデマンド制御を解除するように構成されている。
【0040】
同様に、15:00〜15:30の時間帯において、T4時点での予測消費電力量MT4が目標電力値G2以下になったので、制御部40は、T4時点において、デマンド制御されていた負荷機器2のデマンド制御を解除するように構成されている。また、15:30〜16:00の時間帯において、T6時点での予測消費電力量MT6が目標電力値G3以下になったので、制御部40は、T6時点において、デマンド制御されていた負荷機器2のデマンド制御を解除するように構成されている。
【0041】
この結果、T1時点以降およびT2時点以降と、T3時点以降およびT4時点以降と、T5時点以降およびT6時点以降とでは、デマンド制御が行われない(デマンド制御OFF)一方、T1時点からT2時点まで、T3時点からT4時点まで、および、T5時点からT6時点まででは、デマンド制御が行われる(デマンド制御ON)。
【0042】
そして、制御部40により、上記したデマンド制御を行うか否かを判断する制御が、30分の期間内において、30分よりも短い1分毎に順次行われるように構成されている。
【0043】
また、制御部40は、30分の期間の終了時点において実際電力消費量Pが初期化されるため、30分の期間の終了時点において、デマンド制御されている負荷機器2のデマンド制御を全て解除するように構成されている。
【0044】
次に、制御部40による、デマンド制御を行う際に用いられる目標電力値Gを求めて更新する制御について詳細に説明する。
【0045】
まず、制御部40は、実際消費電力量Pが初期化される30分の期間の開始時点毎に、前回の30分の期間における実際消費電力量Pと、負荷機器2の設置場所における気温および日照時間(気象条件)に関する気象情報とに基づいて、今回の30分の期間における予測消費電力量Mを算出するように構成されている。そして、制御部40は、算出した予測消費電力量Mに基づいて新たな目標電力値Gを個別に求めて更新するように構成されている。この際、目標電力値Gは、最大需要電力量以下で、かつ、契約電力値未満の値になるように設定される。なお、制御部40は、本発明の「目標電力設定手段」の一例である。
【0046】
具体的な一例としては、制御部40は、15:00から15:30の時間帯(30分の期間)において、30分の期間の開始時点である15:00に、前回の30分の期間である14:30〜15:00の時間帯における実際消費電力量P1をRAM42に格納された電力情報から算出するように構成されている。また、制御部40は、通信部43を介して、図3に示すような、10分毎の前日同時刻の気温および日照時間の情報と、10分毎の気温および日照時間の予報とを気象情報として取得するように構成されている。そして、制御部40は、前回の14:30〜15:00の時間帯における実際消費電力量P1と、気温の変動および日照時間の変動(気象条件)とに基づいて、今回の15:00〜15:30の時間帯における予測消費電力量M2を算出するように構成されている。
【0047】
この際、15:00〜15:30の時間帯においては、前日同時刻(前日の15:00〜15:30の時間帯)および予測のいずれも気温が上昇傾向であり、かつ、日照時間が多いので、制御部40により、今回の15:00〜15:30の時間帯における予測消費電力量M2は、前回の14:30〜15:00の時間帯における実際消費電力量P1よりも増加すると予測されて、乗数α(α>1)が算出される。この結果、制御部40により、15:00〜15:30の時間帯における予測消費電力量M2(=P1×α)が算出される。
【0048】
その後、制御部40は、算出した15:00〜15:30の時間帯における予測消費電力量M2(=P1×α)から削減目標分を減少させることによって、15:00〜15:30の時間帯における目標電力値G2を求めるように構成されている。たとえば、5%削減が目標の場合には、目標電力値G2は、G2=(1−0.05)×M2になる。最後に、制御部40は、算出した目標電力値G2が、最大需要電力量以下で、かつ、契約電力値未満の目標電力最大値Gmaxを超えるか否かを判断し、目標電力値G2が目標電力最大値Gmaxを超えると判断した場合には、目標電力最大値Gmaxを目標電力値G2にするように構成されている。
【0049】
また、別の例として、図4に示すように、15:30から16:00の時間帯(30分の期間)においては、前日同時刻(前日の15:30〜16:00の時間帯)および予測のいずれも気温が下降傾向であり、かつ、日照時間は減少傾向であるので、制御部40により、今回の15:30〜16:00の時間帯における予測消費電力量M3は、前回の15:00〜15:30の時間帯における実際消費電力量P2よりも減少すると予測されて、乗数β(β<1)が算出される。この結果、制御部40により、15:30〜16:00の時間帯における予測消費電力量M3(=P2×β)が算出され、算出した予測消費電力量M2から削減目標分が減少されることによって、15:30〜16:00の時間帯における目標電力値G3が求められる。
【0050】
そして、制御部40は、求めた目標電力値Gを新たにRAM42に格納することによって、目標電力値Gを更新するように構成されている。この結果、制御部40により、30分の期間毎に個別に目標電力値Gが求められて、30分の期間毎に更新されるように構成されている。
【0051】
次に、図1および図5を参照して、デマンド制御を行うか否かを判断する際の制御部40の処理フローについて説明する。
【0052】
図5に示すように、まず、ステップS1では、制御部40(図1参照)により、前回のデマンド制御を行うか否かを判断した時から1分経過したか否かが判断されるとともに、1分経過したと判断されるまでこの処理が繰り返される。そして、1分経過したと判断された場合、ステップS2では、制御部40により、通信部43(図1参照)を介して、電力監視機器30(図1参照)から新たに電力情報が取得される。そして、ステップS3では、制御部40により、新たに取得した電力情報と、RAM42(図1参照)に格納された過去の電力情報とに基づいて、開始時点からの累積された実際消費電力量Pが計量され、計量された実際消費電力量Pから、30分の期間における予測消費電力量Mが上記した時系列解析手法を用いて算出される。
【0053】
その後、ステップS4では、制御部40により、算出した予測消費電力量Mが30分の期間における目標電力値Gを超えるか否かが判断される。そして、予測消費電力量Mが目標電力値Gを超えると判断された場合には、ステップS5において、制御部40により、負荷機器2(図1参照)のうちの所定の負荷機器2の電力消費を制限するデマンド制御が行われる。また、ステップS6において、制御部40により、所定の負荷機器2に対してデマンド制御を行うという通知(警告)が通知部44において行われる。そして。本制御フローが終了される。
【0054】
一方、ステップS4において、予測消費電力量Mが目標電力値G以下であると判断された場合には、ステップS7において、制御部40により、すでにデマンド制御されている負荷機器2があるか否かが判断される。デマンド制御されている負荷機器2がないと判断された場合には、本制御フローが終了される。一方、デマンド制御されている負荷機器2があると判断された場合には、ステップS8において、制御部40により、負荷機器2のデマンド制御が全て解除される。また、ステップS9において、制御部40により、所定の負荷機器2に対するデマンド制御が解除されたという通知(警告)が通知部44(図1参照)において行われる。そして、本制御フローが終了される。
【0055】
次に、図1図3図4および図6を参照して、目標電力値更新時の制御部40の処理フローについて説明する。
【0056】
図6に示すように、まず、ステップS11では、制御部40(図1参照)により、30分の期間の開始時点であるか否かが判断されるとともに、開始時点であると判断されるまでこの処理が繰り返される。そして、開始時点であると判断された場合、ステップS12では、制御部40により、通信部43(図1参照)を介して、外部のサーバ102(図1参照)から気象情報(図3および図4参照)が取得される。そして、ステップS13では、制御部40により、前回の30分の期間における実際消費電力量Pと、負荷機器2(図1参照)の設置場所における気象条件に関する気象情報とに基づいて、今回の30分の期間における予測消費電力量Mが算出される。
【0057】
その後、ステップS14では、制御部40により、算出した予測消費電力量Mから削減目標分が減少されて、今回の30分の期間における目標電力値Gが求められる。そして、ステップS15において、制御部40により、求めた目標電力値Gが目標電力最大値Gmaxを超えるか否かが判断される。目標電力値Gが目標電力最大値Gmaxを超えると判断された場合には、ステップS16において、制御部40により、目標電力最大値Gmaxが目標電力値Gにされる。そして、ステップS17に進む。
【0058】
一方、ステップS15において、目標電力値Gが目標電力最大値Gmax以下であると判断された場合、および、ステップS16において、目標電力最大値Gmaxが目標電力値Gにされた後には、ステップS17において、制御部40により、求めた目標電力値Gが新たにRAM42に格納されることによって、目標電力値Gが更新される。そして、本制御フローが終了される。
【0059】
本実施形態では、上記のように、制御部40が、30分の期間の開始時点毎に、30分の期間における予測消費電力量Mを算出し、算出した予測消費電力量Mに基づいて、最大需要電力量以下で、かつ、契約電力値未満の新たな目標電力値Gを求めて更新するように構成する。また、制御部40が、1分毎に、計量した実際消費電力量Pから、30分の期間における予測消費電力量Mを順次算出するとともに、予測消費電力量Mが30分の期間での目標電力値Gを超えるか否かを順次判断して、予測消費電力量Mが目標電力値Gを超えると判断した場合には、負荷機器2のうちの所定の負荷機器2の電力消費を制限するデマンド制御を行うように構成する。これにより、予測消費電力量Mに基づいて目標電力値Gが設定されることによって、契約電力値よりも予測消費電力量Mが大幅に小さく電力に余裕がある30分の期間においては、デマンド制御を行うか否かの判断の基準となる目標電力値Gを実際消費電力量Pに基づいて小さくすることができるので、電力に余裕がある30分の期間においても負荷機器2における電力消費の制限(デマンド制御)が行われやすくすることができる。この結果、電力に余裕がある期間においても消費電力量を削減することができる。
【0060】
また、本実施形態では、制御部40が、30分の期間の開始時点毎に、予測消費電力量Mに基づいて新たな目標電力値Gを個別に求めて更新するように構成することによって、30分の期間毎に、予測消費電力量Mに基づいて目標電力値Gを新たに設定することができるので、30分の期間内の電力消費の傾向に対応した目標電力値Gを適切に設定することができる。これにより、デマンド制御システム100における消費電力量をより削減することができる。
【0061】
また、本実施形態では、制御部40が、30分の期間内において、開始時点からの累積された実際消費電力量Pを、30分よりも短い1分毎に順次計量して、計量した実際消費電力量Pから、30分の期間における予測消費電力量Mを、時系列解析手法を用いて1分毎に順次算出するように構成する。また、制御部40が、求めた予測消費電力量Mが30分の期間での目標電力値Gを超えるか否かを1分毎に順次判断し、予測消費電力量Mが目標電力値Gを超えると判断した場合には、負荷機器2のデマンド制御を行うと判断して、負荷機器2のうちの所定の負荷機器2の電力消費を制限するデマンド制御を行うように構成する。これにより、30分の期間の開始時点からの累積された実際消費電力量Pに基づいて、30分の期間における予測消費電力量Mを順次求めることにより、30分の期間の開始時点から終了時点まで累積された実際消費電力量P(30分の期間内の実際消費電力量P)と、目標電力値Gと比較される予測消費電力量Mとをより近似させることができる。これにより、30分の期間内の実際消費電力量Pに近似した予測消費電力量Mが目標電力値Gを超過する場合にデマンド制御を行うことができるので、デマンド制御をより正確に行うことができる。
【0062】
また、本実施形態では、制御部40が、すでにデマンド制御されている負荷機器2がある場合で、かつ、予測消費電力量Mが目標電力値G以下であると判断した場合には、負荷機器2のデマンド制御を解除すると判断して、デマンド制御されている負荷機器2のデマンド制御を解除するように構成する。これにより、30分の期間内の実際消費電力量Pに近似した予測消費電力量Mが目標電力値G以下である場合にデマンド制御を解除することができるので、デマンド制御を適切なタイミングで解除することができる。この結果、必要以上にデマンド制御が行われるのを抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態では、制御部40が、30分の期間の開始時点毎に、前回の30分の期間における実際消費電力量Pと、負荷機器2の設置場所における気温および日照時間(気象条件)に関する気象情報とに基づいて、今回の30分の期間における予測消費電力量Mを算出し、算出した予測消費電力量Mに基づいて新たな目標電力値Gを個別に求めて更新するように構成する。これにより、実際に今まで消費された実際消費電力量Pを負荷機器2の設置場所における気温の変動に基づいて調整することによって、より適切に、予測消費電力量Mを求めることができる。また、気温の変動に基づいて予測消費電力量Mを求めることによって、気温の変動に応じて消費電力量が増減しやすい冷凍機2aおよび空調機2bを含む負荷機器2における予測消費電力量Mを、より正確に求めることができる。
【0064】
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0065】
たとえば、上記実施形態では、目標電力値Gを30分毎に更新する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、目標電力値を1時間毎に更新するように構成してもよいし、1日毎、1月毎または3月毎(季節が変わる毎)に更新するように構成してもよい。なお、消費電力量を効果的に削減するためには、目標電力値を少なくとも1日に複数回更新するのが好ましい。また、目標電力値を一定期間毎に更新する代わりに、気温の変動などの負荷機器の設置場所における気象条件の変化などに基づいて、目標電力値を変更するように構成してもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、制御部40が、予測消費電力量Mに基づいて目標電力値Gを設定する本発明の「目標電力設定手段」と、実際消費電力量Pと目標電力値Gとに基づいて、負荷機器2における電力消費を制限するデマンド制御を行うか否かを判断する本発明の「デマンド制御判断手段」と、負荷機器2における電力消費を制限すると判断された場合に、負荷機器2における電力消費を制限するデマンド制御を行う本発明の「デマンド制御手段」とを兼ねる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、目標電力設定手段と、デマンド制御判断手段と、デマンド制御手段とがそれぞれ別個に設けられる場合のように、本発明の「デマンド制御装置」が複数の装置から構成されていてもよい。この際、処理能力をあまり必要としないデマンド制御手段のみを店舗に設け、十分な処理能力を必要とする目標電力設定手段およびデマンド制御判断手段を、複数の店舗を統括する本社のサーバなどの処理能力の高い装置に設けてもよい。また、上記3つの手段を有する制御部40を備えたデマンド制御装置4を店舗1に設けずに、複数の店舗を統括する本社に設けてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、制御部40が、RAM42に格納された優先順位情報に基づいて、電力を制限する負荷機器2を選択するとともに、負荷機器2における電力制限の度合い(完全に停止させるか、または、電力消費を一定割合だけ減少させるか)を判断する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電力を制限する負荷機器を選択せずに、負荷機器の全てを一律に停止させるように構成してもよい。これにより、制御部の制御処理を簡略化することが可能である。
【0068】
また、上記実施形態では、予測消費電力量Mが目標電力値Gを超えると判断した場合に、負荷機器2に対してデマンド制御を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、すでにデマンド制御されている負荷機器がある場合で、かつ、予測消費電力量が目標電力値を超えると判断した場合には、さらに、デマンド制御を行う負荷機器を増加させたり、負荷機器の電力消費の制限の度合いを大きくしたりしてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、制御部40が、すでにデマンド制御されている負荷機器2がある場合で、かつ、予測消費電力量Mが目標電力値G以下であると判断した場合には、負荷機器2のデマンド制御を解除すると判断して、デマンド制御されている負荷機器2のデマンド制御を全て解除する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、予測消費電力量が目標電力値以下になったとしても、デマンド制御を解除せずに、30分の期間の終了時点までデマンド制御し続けるように構成してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、制御部40が、前回の30分の期間における実際消費電力量Pを用いて、今回の30分の期間における予測消費電力量Mおよび目標電力値Gを算出した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、前回の30分の期間における実際消費電力量ではなく、たとえば、前日同時刻での30分の期間における実際消費電力量や、前日同時刻から現時点まで累積された実際消費電力量などに基づいて、今回の30分の期間における予測消費電力量および目標電力値を算出してもよい。また、上記した実際消費電力量のうちの2つ以上の実際消費電力量を用いて、今回の30分の期間における予測消費電力量および目標電力値を算出してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、気象情報として前日同時刻の気温および日照時間の情報と、気温および日照時間の予報とを用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、気象情報として、たとえば、湿度などを用いてもよい。また、気象情報として、前日同時刻の気温および日照時間の情報のみを用いてもよいし、気温および日照時間の予報のみを用いてもよい。さらに、気象情報として、前1週間における7日分の同時刻の気温および日照時間の情報を用いてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、負荷機器2として冷凍機2a、空調機2b、照明機器2c、ショーケース2dおよび換気扇2eを例示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、商品を保温するための保温器などをデマンド制御の対象としてもよい。つまり、電力を消費する機器であれば、負荷機器としてデマンド制御の対象とすることが可能である。また、負荷機器の数は上記5つに限られない。つまり、電力を消費する負荷機器がデマンド制御システムに1つ以上含まれていればよい。
【0073】
また、上記実施形態では、本発明の「デマンド制御システム」を店舗1に設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ビルや家屋、輸送機器などに本発明の「デマンド制御システム」に設けてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、気象情報を外部のサーバ102から取得した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、気象情報を、店舗に設けた気温センサや日照計から取得してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、t時点における予測消費電力量Mを算出するための傾きIを時系列解析手法(移動平均法)に基づいて算出した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、他の手法を用いて予測消費電力量を求めてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部40の制御処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部40の処理を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0077】
2 負荷機器
4 デマンド制御装置
40 制御部(目標電力値設定手段、デマンド制御判断手段、デマンド制御手段)
100 デマンド制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6