特許第6221350号(P6221350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221350
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】オーディオ信号処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04S 7/00 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   H04S7/00
   H04S7/00 300
【請求項の数】6
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2013-113740(P2013-113740)
(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2014-233023(P2014-233023A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2016年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】青木 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】須山 明彦
【審査官】 渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−072798(JP,U)
【文献】 特開平09−046800(JP,A)
【文献】 特開昭55−105500(JP,A)
【文献】 特開2006−020198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00− 3/14
H04S 1/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカから所定の視聴位置までの距離を取得する距離取得部と、
前記所定の視聴位置が、前記複数のスピーカに対して所定距離の位置にある基準位置から移動している場合、前記所定の視聴位置に対して遠い側のスピーカについての出力オーディオ信号の出力音量であって、前記基準位置において前記複数のスピーカからの音量が所定のバランスを保つように設定された基準の出力音量に関する補正分を、前記距離取得部により取得した距離に基づいて算出する算出部と、
前記所定の視聴位置に対して遠い側のスピーカの出力オーディオ信号を前記基準の出力音量に保った状態で、前記補正分を、前記所定の視聴位置に対して近い側のスピーカの出力オーディオ信号に加算する加算部と、
を備えることを特徴とするオーディオ信号処理装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記距離取得部により取得した、前記所定の視聴位置に対して遠い側のスピーカから前記所定の視聴位置までの距離と、前記所定の視聴位置に対して近い側のスピーカから前記所定の視聴位置までの距離とに基づいて、前記補正分を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載のオーディオ信号処理装置。
【請求項3】
前記距離取得部は、前記複数のスピーカのそれぞれの座標と、前記所定の視聴位置の座標とに基づいて、前記複数のスピーカから前記所定の視聴位置までの距離を取得する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のオーディオ信号処理装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記所定の視聴位置からの距離が前記基準位置からの距離よりも離れているスピーカについての出力オーディオ信号の前記基準の出力音量に関する補正分を、前記距離取得部により取得した距離に基づいて算出し、
前記加算部は、前記補正分を、前記所定の視聴位置からの距離が前記基準位置からの距離よりも近づいている位置のスピーカの出力オーディオ信号に加算する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のオーディオ信号処理装置。
【請求項5】
前記算出部は、前記所定の視聴位置からの距離が前記基準位置からの距離よりも離れているスピーカについての出力オーディオ信号の前記基準の出力音量に関する補正分を、前記距離取得部により取得した距離に基づいて算出し、
前記加算部は、前記基準位置を原点とし、当該原点を通る所定の軸をx軸及びy軸とした時、前記補正分を、前記x軸方向において前記所定の視聴位置からの距離が前記基準位置からの距離よりも近づいている位置のスピーカの出力オーディオ信号に加算すると共に、前記y軸方向において前記所定の視聴位置からの距離が前記基準位置からの距離よりも近づいている位置のスピーカの出力オーディオ信号に加算する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のオーディオ信号処理装置。
【請求項6】
オーディオ信号を所定時間遅延させるディレイ部を備え、
前記加算部は、当該ディレイ部により所定時間遅延させた前記補正分を、前記出力オーディオ信号に加算する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のオーディオ信号処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のスピーカを用いてオーディオ信号を再生する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のスピーカで合成音像による音場を形成するオーディオ信号処理装置が知られている。例えば、オーディオソースにはDVD(Digital Versatile Disc)のように5.1チャンネル等のマルチチャンネル音声信号が記録されているものがある。そして、このようなオーディオソースを再生するオーディオ信号処理装置が一般家庭でも普及しつつある。リスニングルーム内の推奨位置に各スピーカが配置されていれば、オーディオ信号処理装置を用いてオーディオソースを再生すると、サラウンドなどの音響再生効果が得られる。一方、スピーカの配置が推奨位置にあり、所定の視聴位置において各スピーカからの音量のバランスを調節した場合であっても、その後の視聴位置が前記所定の視聴位置と異なる場合には、各スピーカからの音量のバランスが崩れる可能性があった。そこで、複数の空間的な位置において相対的に音量が異なるように空間特性を調整し、視聴位置等に合わせて異なる音量でスピーカからの音を放射させる技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−265071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のオーディオ信号処理装置では、実際の視聴位置が基準となる所定の位置から変位した場合に、実際の視聴位置から遠い位置にあるスピーカからの音量を大きくする処理を行うため、当該スピーカに近い位置にいる視聴者等にとっては、騒音となってしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、スピーカの位置が理想的な位置からずれている場合であっても、所望の音響効果を実現することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明に係るオーディオ信号処理装置は、複数のスピーカから所定の視聴位置までの距離を取得する距離取得部と、前記所定の視聴位置が、前記複数のスピーカに対して所定距離の位置にある基準位置から移動している場合、前記所定の視聴位置に対して遠い側のスピーカについての出力オーディオ信号の出力音量であって、前記基準位置において前記複数のスピーカからの音量が所定のバランスを保つように設定された基準の出力音量に関する補正分を、前記距離取得部により取得した距離に基づいて算出する算出部と、前記補正分を、前記所定の視聴位置に対して近い側のスピーカの出力オーディオ信号に加算する加算部とを備える。
【0007】
この発明によれば、算出部は、距離取得部により取得したスピーカから所定の視聴位置までの距離に基づいて、当該所定の視聴位置に対して遠い側のスピーカにおける基準の出力音量に関する補正分を算出するので、前記所定の視聴位置が前記基準位置から移動して、距離減衰によって前記所定の視聴位置における音量が前記基準の出力音量よりも不足する場合でも、その不足分を補う適切な音量が算出される。また、加算部は、このようにして算出された補正分を、前記所定の視聴位置に対して近い側のスピーカの出力オーディオ信号に加算するので、前記遠い側のスピーカにおける出力音量を増大させることなく、前記所定の視聴位置における音量を前記基準の出力音量と等しくすることができる。したがって、前記所定の視聴位置が前記基準位置から移動した場合でも、前記基準位置において設定された前記複数のスピーカからの音量の所定のバランスを保つことができる。
【0008】
上述したオーディオ信号処理システムは、前記算出部が、前記距離取得部により取得した、前記所定の視聴位置に対して遠い側のスピーカから前記所定の視聴位置までの距離と、前記所定の視聴位置に対して近い側のスピーカから前記所定の視聴位置までの距離とに基づいて、前記補正分を算出するようにしてもよい。
この発明によれば、前記所定の視聴位置に対して遠い側のスピーカから前記所定の視聴位置までの距離だけでなく、前記補正分が加算された出力オーディオ信号を出力するスピーカである、前記所定の視聴位置に対して近い側のスピーカから、前記所定の視聴位置までの距離にも基づいて前記補正分を算出するので、前記補正分の前記所定の視聴位置における音量を適切な音量に調節することができる。
【0009】
上述したオーディオ信号処理システムにおいて、前記距離取得部は、前記複数のスピーカのそれぞれの座標と、前記所定の視聴位置の座標とに基づいて、前記複数のスピーカから前記所定の視聴位置までの距離を取得するようにしてもよい。
この発明によれば、前記座標に基づいてそれぞれの距離を取得するので、したがって、前記所定の視聴位置が前記基準位置から移動した場合でも、距離減衰による音量の不足分を適切に補正して、前記基準位置において設定された前記複数のスピーカからの音量の所定のバランスを保つことができる。
【0010】
上述したオーディオ信号処理システムにおいて、前記算出部は、前記所定の視聴位置からの距離が前記基準位置からの距離よりも離れているスピーカについての出力オーディオ信号の前記基準の出力音量に関する補正分を、前記距離取得部により取得した距離に基づいて算出し、前記加算部は、前記補正分を、前記所定の視聴位置からの距離が前記基準位置からの距離よりも近づいている位置のスピーカの出力オーディオ信号に加算するようにしてもよい。
この発明によれば、前記所定の視聴位置が前記基準位置から移動した場合でも、距離減衰による音量の不足分を適切に補正して、前記基準位置において設定された前記複数のスピーカからの音量の所定のバランスを保つことができる。
【0011】
上述したオーディオ信号処理システムにおいて、前記算出部は、前記所定の視聴位置からの距離が前記基準位置からの距離よりも離れているスピーカについての出力オーディオ信号の前記基準の出力音量に関する補正分を、前記距離取得部により取得した距離に基づいて算出し、前記加算部は、前記基準位置を原点とし、当該原点を通る所定の軸をx軸及びy軸とした時、前記補正分を、前記x軸方向において前記所定の視聴位置からの距離が前記基準位置からの距離よりも近づいている位置のスピーカの出力オーディオ信号に加算すると共に、前記y軸方向において前記所定の視聴位置からの距離が前記基準位置からの距離よりも近づいている位置のスピーカの出力オーディオ信号に加算するようにしてもよい。
この発明によれば、前記所定の視聴位置が前記基準位置から移動した場合でも、x軸方向及びy軸方向の距離減衰による音量の不足分を適切に補正して、前記基準位置において設定された前記複数のスピーカからの音量の所定のバランスを保つことができる。
【0012】
上述したオーディオ信号処理システムにおいて、オーディオ信号を所定時間遅延させるディレイ部を備え、前記加算部は、当該ディレイ部により所定時間遅延させた前記補正分を、前記出力オーディオ信号に加算するようにしてもよい。
この発明によれば、前記補正分のオーディオ信号は、本来出力されるべきスピーカとは異なるスピーカから出力されることになるが、ディレイ部により所定時間遅延させて出力される。同じ音が複数の音源方向から聞こえた場合には、最も早く到達した音の音源方向に定位が偏って聞こえる現象が起こる。この現象は一般的にハース効果と呼ばれ、本発明においても、前記補正分のオーディオ信号はディレイ部により所定時間遅延させるので、視聴者に対してはハース効果により本来出力されるべきスピーカから出力されたように感じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係るオーディオ信号処理システム1Aの構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るリスニングルーム内のスピーカSP1〜SP5の配置を示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るオーディオ信号処理装置20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るメモリ230に記憶されたテーブルTBL1のデータ構成を示す説明図である。
図5】スピーカSP1〜SP4と視聴位置Plpとの位置関係及び各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を示す図である。
図6】スピーカSP1〜SP4と視聴位置Plpとの位置関係及び各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を示す図である。
図7】スピーカSP1〜SP4と視聴位置Plpとの位置関係及び各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を示す図である。
図8】スピーカSP1〜SP4と視聴位置Plpとの位置関係及び各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を示す図である。
図9】スピーカSP1〜SP4と視聴位置Plpとの位置関係及び各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を示す図である。
図10】スピーカSP1〜SP4と視聴位置Plpとの位置関係及び各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を示す図である。
図11】スピーカSP1〜SP4と視聴位置Plpとの位置関係及び各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を示す図である。
図12】スピーカSP1〜SP4と視聴位置Plpとの位置関係及び各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を示す図である。
図13】本発明の第1実施形態に係るオーディオ信号処理装置における信号補正処理の内容を示すフローチャートである。
図14】本発明の第2実施形態に係るオーディオ信号処理装置20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図15】本発明の第2実施形態に係るオーディオ信号処理装置における信号補正処理の内容を示すフローチャートである。
図16】本発明の第2実施形態に係るメモリ230に記憶されたテーブルTBL2のデータ構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
<1:オーディオ信号処理システムの構成>
図1に、第1実施形態に係るオーディオ信号処理システムの構成例を示す。オーディオ信号処理システム1Aは、スマートフォンなどの端末装置10と、オーディオ信号処理装置20と、スピーカSP1〜SP5とを備える。端末装置10は、例えば、スマートフォンなどの通信機器であり、オーディオ信号処理装置20と通信可能である。通信の形態は無線又は有線のいずれであってあってもよいが、例えば、無線LAN(Local Area Network)を介して通信が可能である。また、端末装置10は、インターネット上の所定のサイトからアプリケーションプログラムをダウンロードすることができる。そのようなアプリケーションプログラムには、例えば、複数のスピーカSP1〜SP5と視聴位置との距離を測定するために用いるプログラムが含まれる。
【0015】
オーディオ信号処理装置20は、いわゆるマルチチャネルアンプである。オーディオ信号処理装置20は、入力オーディオ信号IN1〜IN5に音響効果を付与した出力オーディオ信号OUT1〜OUT5を生成し、OUT1〜OUT5をスピーカSP1〜SP5に供給する。スピーカSP1〜SP5は、オーディオ信号処理装置20と有線又は無線にて接続されている。
【0016】
図2に、オーディオ信号処理システム1Aのリスニングルーム内のスピーカSP1〜SP5の配置例を示す。この例では、5つのスピーカSP1〜SP5がリスニングルーム内に配置されているが、スピーカの数は、5つに限らず、4つ以下であってもよいし、6つ以上であってもよい。例えば、サブウーハのスピーカを追加することによって、いわゆる5.1サラウンドシステムとしてもよい。
【0017】
利用者Aは、あらかじめ定められた位置(以下「基準位置Pref」と称する。)で、スピーカSP1〜SP5から放音された音を視聴する。この例では、スピーカSP5は利用者Aの正面に配置され、スピーカSP1は利用者Aの左斜め前方に配置され、スピーカSP2は利用者Aの右斜め前方に配置され、スピーカSP3は利用者Aの右斜め後方に配置され、スピーカSP4は利用者Aの左斜め後方に配置される。利用者Aは、スピーカSP1〜SP5から放音された音を同時に聞くことにより、特定の位置に音源があるかのように利用者Aには聞こえる。
【0018】
オーディオ信号処理装置20は、複数のスピーカSP1〜SP5が配置された位置に基づいて、所望の位置から音が出ているように聞こえる出力オーディオ信号OUT1〜OUT5を生成し、出力する。複数のスピーカSP1〜SP5の各位置は、あらかじめ測定しておく。
【0019】
図3にオーディオ信号処理装置20は、装置全体の制御中枢として機能する制御部210、外部と通信を実行する通信インターフェース220、プログラムやデータを記憶するとともに制御部210の作業領域として機能するメモリ230、マイクロフォンなどの外部装置からの信号を入力して制御部210に供給する外部インターフェース240、及び処理ユニット250を備える。処理ユニット250及び制御部210は、複数のスピーカSP1〜SP4の各位置に基づいて、入力オーディオ信号IN1〜IN4に後述する補正処理を施した出力オーディオ信号OUT1〜OUT4を複数のスピーカSP1〜SP4の各々について生成する。なお、本実施形態では、スピーカSP5用の入力オーディオ信号IN5には後述する補正処理を行わず、出力オーディオ信号OUT5としてスピーカSP5に供給するようになっている。なお、処理ユニット250及び制御部210は、CPUがプログラムを実行することにより実現される機能ブロックである。処理ユニット250及び制御部210は、複数のスピーカSP1、SP2、SP3、SP4から所定の視聴位置までの距離を取得する距離取得部と、視聴位置から遠い側のスピーカについての出力オーディオ信号の出力音量に関する補正分を算出する算出部と、補正分を所定の視聴位置から近い側のスピーカの出力オーディオ信号に加算する加算部として機能する。
【0020】
処理ユニット250は、加算部331〜334、係数部400〜411、及びディレイ部500〜511を有する。制御部210は、視聴位置に応じて、係数部400〜411及びディレイ部500〜511のうちのいずれかを適宜選択し、駆動させるようになっている。係数部400〜411及びディレイ部500〜511の選択の具体例については後述する。
【0021】
係数部400は、スピーカSP4用の入力オーディオ信号IN4に係数K41を掛けたオーディオ信号A1をディレイ部500に出力する。係数部401は、スピーカSP3用の入力オーディオ信号IN3に係数K31を掛けたオーディオ信号A2をディレイ部501に出力する。係数部402は、スピーカSP2用の入力オーディオ信号IN2に係数K21を掛けたオーディオ信号A3をディレイ部502に出力する。
【0022】
係数部403は、スピーカSP1用の入力オーディオ信号IN1に係数K12を掛けたオーディオ信号A4をディレイ部503に出力する。係数部404は、スピーカSP3用の入力オーディオ信号IN3に係数K32を掛けたオーディオ信号A5をディレイ部504に出力する。係数部405は、スピーカSP4用の入力オーディオ信号IN4に係数K42を掛けたオーディオ信号A6をディレイ部505に出力する。
【0023】
係数部406は、スピーカSP2用の入力オーディオ信号IN2に係数K23を掛けたオーディオ信号A7をディレイ部506に出力する。係数部407は、スピーカSP1用の入力オーディオ信号IN1に係数K13を掛けたオーディオ信号A8をディレイ部507に出力する。係数部408は、スピーカSP4用の入力オーディオ信号IN4に係数K43を掛けたオーディオ信号A9をディレイ部508に出力する。
【0024】
係数部409は、スピーカSP1用の入力オーディオ信号IN1に係数K14を掛けたオーディオ信号A10をディレイ部509に出力する。係数部410は、スピーカSP2用の入力オーディオ信号IN2に係数K24を掛けたオーディオ信号A11をディレイ部510に出力する。係数部411は、スピーカSP3用の入力オーディオ信号IN3に係数K34を掛けたオーディオ信号A12をディレイ部511に出力する。
【0025】
ディレイ部500〜511は、ハース効果を得るために、係数部400〜411から出力されたオーディオ信号A1〜A12を所定時間遅延させ、加算部331〜334に出力する。なお、ハース効果の詳細については後述する。
【0026】
加算部331〜334は、スピーカSP1〜SP4用の入力オーディオ信号IN1〜IN4と、ディレイ部500〜511から出力されるオーディオ信号A1〜A12とを加算して、オーディオ信号OUT1〜OUT4を出力する。
【0027】
メモリ230は、図4に示すテーブルTBL1をあらかじめ記憶している。テーブルTBL1は、視聴位置と選択する係数部との関係を表すデータが格納されたテーブルである。また、メモリ230は、各係数部の係数K12、K13、K14、K21、K23、K24、K31、K32、K34、K41、K42、K43を算出するための数式をあらかじめ記憶している。数式の詳細については後述する。
【0028】
<2:オーディオ信号処理システムの動作>
次に、オーディオ信号処理システムの動作を、係数部における係数の算出と、係数部及び加算部を用いた信号処理と、ハース効果処理とに分けて説明する。
<2−1:係数部における係数の算出>
一例として、図5に示すようにリスニングルームRが正方形の場合について説明する。スピーカSP1、スピーカSP2、スピーカSP3、及びスピーカSP4は、リスニングルームRの四隅に配置されているものとする。スピーカSP1とスピーカSP4との中間点、リスニングルームRの中心点、及びスピーカSP2とスピーカSP3との中間点を通る直線をX軸とし、リスニングルームRの中心点を通り、X軸に直交する軸をY軸とする。スピーカSP1とスピーカSP4との中間点から、スピーカSP2とスピーカSP3との中間点に向かう方向をX軸の正方向とし、スピーカSP4とスピーカSP3との中間点から、スピーカSP1とスピーカSP2との中間点に向かう方向がY軸の正方向とする。
【0029】
まず、視聴位置Plpが、図5に示すXY座標の第1象限にある場合を考える。この場合、スピーカSP1から視聴位置Plpまでの距離をx、スピーカSP2から視聴位置Plpまでの距離をx、スピーカSP3から視聴位置Plpまでの距離をx、及びスピーカSP4から視聴位置Plpまでの距離をxとする。
【0030】
視聴位置が基準位置Prefにある場合、つまり、図5に示すXY座標の原点にある場合には、各スピーカから視聴位置までの距離が等しいので、各スピーカから同じ音量の信号を出力すれば、視聴位置においてはどのスピーカからの信号も同じ音量で聞くことができる。
【0031】
しかしながら、図5に示すように、視聴位置Plpが第1象限にある場合には、各スピーカから視聴位置Plpまでの距離が異なるため、各スピーカから同じ音量の信号を出力すると、視聴位置Plpにおいては各スピーカからの信号の音量バランスが崩れてしまう。例えば、スピーカSP3の信号の出力音量vo3を0db(1.0)、スピーカSP3から基準位置Prefまでの距離d3を1mとすると、音量は距離の2乗に反比例するため、基準位置Prefでの音量vr3は以下のようになる。
【0032】
(数1)
vr3=vo3/d3=1.0/1=1.0
【0033】
一方、スピーカSP3の信号の出力音量vo3を0db(1.0)、スピーカSP3から視聴位置Plpまでの距離xを1.2mとすると、視聴位置Plpでの音量vp3は以下のようになる。
【0034】
(数2)
vp3=vo3/x=1.0/1.44=0.69
【0035】
つまり、視聴位置PlpでのスピーカSP3の信号の音量は、−3.2db(0.69)まで小さくなってしまう。したがって、視聴位置Plpにおいて、スピーカSP3の信号の音量は、−10.2db(0.31)だけ不足していることになる。そこで、本実施形態においては、この不足分の音量の信号を、視聴位置Plpに近い方のスピーカSP2から出力するように構成する。これは、不足分の音量の信号を視聴位置Plpから遠い方のスピーカSP3から出力してしまうと、スピーカSP3から出力される信号の音量が他のスピーカから出力される信号の音量よりも大きくなり、周りへの騒音となってしまう可能性があるためである。
【0036】
上記の例では、スピーカSP3から出力される信号の視聴位置Plpでの不足分Δvp3を−10.2db(0.31)、スピーカSP2から視聴位置Plpまでの距離xを0.6mとすると、スピーカSP2から出力させるスピーカSP3用信号の出力音量vo2_3は以下のようになる。
【0037】
(数3)
vo2_3=Δvp3*x=0.31*0.36=0.11
【0038】
したがって、スピーカSP3から出力するスピーカSP3用の信号の出力音量vo3(=0db(1.0))の信号に0.11の係数を掛けた信号を、出力音量vo2(=0db(1.0))のスピーカSP2用の信号に加算してスピーカSP2から出力することにより、視聴位置Plpにおいては、スピーカSP3用の信号の音量は、0.69+0.31=1.0となり、視聴位置PlpがスピーカSP3から離れたことによるスピーカSP3用の信号の音量の不足分を補うことができる。
【0039】
スピーカSP2から出力するスピーカSP3用の信号の音量vo2_3は、以下のように求められる。
【0040】
(数4)
vo2_3=[vo3−(vo3/x)]*x=(1−1/x)*x*vo3
ここで、[vo3−(vo3/x)]は、スピーカSP3から出力するスピーカSP3用信号の音量の視聴位置Plpにおける不足分、xはスピーカSP2から視聴位置Plpまでの距離を表している。
【0041】
ここで、(1−1/x)*xを係数K32として表すと、スピーカSP2から出力するスピーカSP3用の信号の音量vo2_3は、以下のように表すことができる。
【0042】
(数5)
vo2_3=K32*vo3
K32=(1−1/x)*x
【0043】
図5に示す例では、スピーカSP1から視聴位置Plpまでの距離xについても、スピーカSP1から基準位置Prefまでの距離よりも長くなっており、スピーカSP3の場合と同様に、視聴位置Plpにおいては距離減衰による音量の不足が生じる。そこで、本実施形態では、スピーカSP1からの信号についても、スピーカSP3の場合と同様にスピーカSP1用の信号の出力音量vo1に係数K12を掛けて、スピーカSP2から出力するように構成している。スピーカSP2から出力するスピーカSP1用の信号vo2_1は以下のように求められる。
【0044】
(数6)
vo2_1=K12*vo1
K12=(1−1/x)*x
【0045】
図5に示す例では、スピーカSP4から視聴位置Plpまでの距離xについても、スピーカSP4から基準位置Prefまでの距離よりも長くなっており、スピーカSP3の場合と同様に、視聴位置Plpにおいては距離減衰による音量の不足が生じる。そこで、本実施形態では、スピーカSP4からの信号についても、スピーカSP3の場合と同様にスピーカSP4用の信号の出力音量vo4に係数K42を掛けて、スピーカSP2から出力するように構成している。スピーカSP2から出力するスピーカSP4用の信号vo2_4は以下のように求められる。
【0046】
(数7)
vo2_4=K42*vo4
K42=(1−1/x)*x
【0047】
<2−2:信号補正処理>
以上のように、本実施形態においては、視聴位置Plpまでの距離が、基準位置Prefまでの距離よりも長くなった各スピーカについて、距離減衰による視聴位置Plpにおける音量の不足分を、視聴位置Plpに最も近いスピーカから、当該最も近いスピーカと視聴位置Plpとの距離を考慮して出力するように構成した。この処理を図3の回路図、及び図13のフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の説明においては、図4乃至図12についても適宜参照する。
【0048】
<2−2−1:第1象限>
図3に示す制御部210は、既知の方法により、各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を取得する(図13:ステップS1)。本実施形態では、制御部210は、各スピーカと視聴位置Plpとの距離を測定し、視聴位置Plpが上述したXY座標のどの象限に属しているかを判断する。図5に示す例の場合には、制御部210は、視聴位置PlpがXY座標の第1象限に属していると判断し、メモリ230に記憶されたテーブルTBL1を参照して、選択する係数部を決定する。図4に示すテーブルTBL1において、視聴位置のフィールドに記録されている[1]は、視聴位置PlpがXY座標の第1象限に属していることを示しており、その場合に選択する係数部は、係数部403、404、405であることを示している。
【0049】
係数部403において用いられる係数はK12、係数部404において用いられる係数はK32、係数部405において用いられる係数はK42であり、これらの係数を算出するための数式は、あらかじめメモリ230に記憶されている。
【0050】
(数8)
K12=(1−1/x)*x
K32=(1−1/x)*x
K42=(1−1/x)*x
【0051】
制御部210は、これらの係数を上記の各式により算出し(図13:ステップS2)、係数部403、404、405を選択する(図13:ステップS3)。図3に示すように、係数部403にはディレイ部503が対応し、係数部404にはディレイ部504が対応し、係数部405にはディレイ部505が対応する。また、加算部としては加算部332が対応する。そこで、制御部210は、ディレイ部503、ディレイ部504、ディレイ部505、及び、加算部332を選択する(図13:ステップS3)。
【0052】
次に、制御部210は、上述のように算出した係数K12、K32、K42を、係数部403、404、405にそれぞれ受け渡し、係数部403、404、405においては、入力オーディオ信号に係数K12、K32、K42を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図13:ステップS4)。具体的には、係数部403は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K12を掛けた補正信号をディレイ部503に出力する。係数部404は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K32を掛けた補正信号をディレイ部504に出力する。係数部405は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K42を掛けた補正信号をディレイ部505に出力する。
【0053】
ディレイ部503、504、505は、係数部403、404、405から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部332に出力するディレイ部処理を行う(図13:ステップS5)。具体的には、ディレイ部503は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K12を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A4として加算部332に出力する。ディレイ部504は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K32を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A5として加算部332に出力する。ディレイ部505は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K42を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A6として加算部332に出力する。
【0054】
加算部332は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に、上述したオーディオ信号A4、A5、A6を加算する加算部処理を行い(図13:ステップS6)、スピーカSP2に供給する出力オーディオ信号OUT2として出力する。
【0055】
<2−2−2:第2象限>
制御部210は、既知の方法により各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を取得した結果(図13:ステップS1)、視聴位置Plpが図6に示すようにXY座標の第2象限に属していると判断した場合には、制御部210は、メモリ230に記憶されたテーブルTBL1を参照して、選択する係数部を決定する。図4に示すテーブルTBL1において、視聴位置のフィールドに記録されている[2]は、視聴位置PlpがXY座標の第2象限に属していることを示しており、その場合に選択する係数部は、係数部400、401、402であることを示している。
【0056】
係数部400において用いられる係数はK41、係数部401において用いられる係数はK31、係数部402において用いられる係数はK21であり、これらの係数を算出するための数式は、あらかじめメモリ230に記憶されている。
【0057】
(数9)
K41=(1−1/x)*x
K31=(1−1/x)*x
K21=(1−1/x)*x
【0058】
制御部210は、これらの係数を上記の各式により算出し(図13:ステップS2)、係数部400、401、402を選択する(図13:ステップS3)。図3に示すように、係数部400にはディレイ部500が対応し、係数部401にはディレイ部501が対応し、係数部402にはディレイ部502が対応する。また、加算部としては加算部331が対応する。そこで、制御部210は、ディレイ部500、ディレイ部501、ディレイ部502、及び、加算部331を選択する(図13:ステップS3)。
【0059】
次に、制御部210は、上述のように算出した係数K41、K31、K21を、係数部400、401、402にそれぞれ受け渡し、係数部400、401、402においては、入力オーディオ信号に係数K41、K31、K21を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図13:ステップS4)。具体的には、係数部400は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K41を掛けた補正信号をディレイ部500に出力する。係数部401は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K31を掛けた補正信号をディレイ部501に出力する。係数部402は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K21を掛けた補正信号をディレイ部502に出力する。
【0060】
ディレイ部500、501、502は、係数部400、401、402から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部331に出力するディレイ部処理を行う(図13:ステップS5)。具体的には、ディレイ部500は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K41を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A1として加算部331に出力する。ディレイ部501は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K31を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A2として加算部331に出力する。ディレイ部502は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K21を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A3として加算部331に出力する。
【0061】
加算部331は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に、上述したオーディオ信号A1、A2、A3を加算する加算部処理を行い(図13:ステップS6)、スピーカSP1に供給する出力オーディオ信号OUT1として出力する。
【0062】
<2−2−3:第3象限>
制御部210は、既知の方法により各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を取得した結果(図13:ステップS1)、視聴位置Plpが図7に示すようにXY座標の第3象限に属していると判断された場合には、制御部210は、メモリ230に記憶されたテーブルTBL1を参照して、選択する係数器を決定する。図4に示すテーブルTBL1において、視聴位置のフィールドに記録されている[3]は、視聴位置PlpがXY座標の第3象限に属していることを示しており、その場合に選択する係数部は、係数部409、410、411であることを示している。
【0063】
係数部409において用いられる係数はK14、係数部410において用いられる係数はK24、係数部411において用いられる係数はK34であり、これらの係数を算出するための数式は、あらかじめメモリ230に記憶されている。
【0064】
(数10)
K14=(1−1/x)*x
K24=(1−1/x)*x
K34=(1−1/x)*x
【0065】
制御部210は、これらの係数を上記の各式により算出し(図13:ステップS2)、係数部409、410、411を選択する(図13:ステップS3)。図3に示すように、係数部409にはディレイ部509が対応し、係数部410にはディレイ部510が対応し、係数部411にはディレイ部511が対応する。また、加算部としては加算部334が対応する。そこで、制御部210は、ディレイ部509、ディレイ部510、ディレイ部511、及び、加算部334を選択する(図13:ステップS3)。
【0066】
次に、制御部210は、上述のように算出した係数K14、K24、K34を、係数部409、410、411にそれぞれ受け渡し、係数部409、410、411においては、入力オーディオ信号に係数K14、K24、K34を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図13:ステップS4)。具体的には、係数部409は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K14を掛けた補正信号をディレイ部509に出力する。係数部410は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K24を掛けた補正信号をディレイ部510に出力する。係数部411は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K34を掛けた補正信号をディレイ部511に出力する。
【0067】
ディレイ部509、510、511は、係数部409、410、411から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部334に出力するディレイ部処理を行う(図13:ステップS5)。具体的には、ディレイ部509は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K14を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A10として加算部334に出力する。ディレイ部510は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K24を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A11として加算部334に出力する。ディレイ部511は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K34を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A12として加算部334に出力する。
【0068】
加算部334は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に、上述したオーディオ信号A10、A11、A12を加算する加算部処理を行い(図13:ステップS6)、スピーカSP4に供給する出力オーディオ信号OUT4として出力する。
【0069】
<2−2−4:第4象限>
制御部210が、既知の方法により各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を取得した結果(図13:ステップS1)、視聴位置Plpが図8に示すようにXY座標の第4象限に属していると判断された場合には、制御部210は、メモリ230に記憶されたテーブルTBL1を参照して、選択する係数部を決定する。図4に示すテーブルTBL1において、視聴位置のフィールドに記録されている[4]は、視聴位置PlpがXY座標の第4象限に属していることを示しており、その場合に選択する係数部は、係数部406、407、408であることを示している。
【0070】
係数部406において用いられる係数はK23、係数部407において用いられる係数はK13、係数部408において用いられる係数はK43であり、これらの係数を算出するための数式は、あらかじめメモリ230に記憶されている。
【0071】
(数11)
K23=(1−1/x)*x
K13=(1−1/x)*x
K43=(1−1/x)*x
【0072】
制御部210は、これらの係数を上記の各式により算出し(図13:ステップS2)、係数部406、407、408を選択する(図13:ステップS3)。図3に示すように、係数部406にはディレイ部506が対応し、係数部407にはディレイ部507が対応し、係数部408にはディレイ部508が対応する。また、加算部としては加算部333が対応する。そこで、制御部210は、ディレイ部506、ディレイ部507、ディレイ部508、及び、加算部333を選択する(図13:ステップS3)。
【0073】
次に、制御部210は、上述のように算出した係数K23、K13、K43を、係数部406、407、408にそれぞれ受け渡し、係数部406、407、408においては、入力オーディオ信号に係数K23、K13、K43を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図13:ステップS4)。具体的には、係数部406は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K23を掛けた補正信号をディレイ部506に出力する。係数部407は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K13を掛けた補正信号をディレイ部507に出力する。係数部408は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K43を掛けた補正信号をディレイ部508に出力する。
【0074】
ディレイ部506、507、508は、係数部406、407、408から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部333に出力するディレイ部処理を行う(図13:ステップS5)。具体的には、ディレイ部506は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K23を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A7として加算部333に出力する。ディレイ部507は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K13を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A8として加算部333に出力する。ディレイ部508は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K43を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A9として加算部333に出力する。
【0075】
加算部333は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に、上述したオーディオ信号A7、A8、A9を加算する加算部処理を行い(図13:ステップS6)、スピーカSP3に供給する出力オーディオ信号OUT3として出力する。
【0076】
<2−2−5:Y軸上の正の位置>
制御部210が、既知の方法により各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を取得した結果(図13:ステップS1)、視聴位置Plpが図9に示すようにXY座標のY軸上の正の位置に属している場合には、制御部210は、メモリ230に記憶されたテーブルTBL1を参照して、選択する係数部を決定する。図4に示すテーブルTBL1において、視聴位置のフィールドに記録されている[5]は、視聴位置PlpがXY座標のY軸上の正の位置に属していることを示しており、その場合に選択する係数部は、係数部400、404であることを示している。
【0077】
係数部400において用いられる係数は上述したようにK41であり、係数部404において用いられる係数は上述したようにK32である。
【0078】
制御部210は、これらの係数を上記の各式により算出し(図13:ステップS2)、係数部400、404を選択する(図13:ステップS3)。図3に示すように、係数部400にはディレイ部500が対応し、係数部404にはディレイ部504が対応する。また、加算部としては加算部331と加算部332が対応する。そこで、制御部210は、ディレイ部500、ディレイ部504、加算部331、及び加算部332を選択する(図13:ステップS3)。
【0079】
次に、制御部210は、上述のように算出した係数K41、K32を、係数部400、404にそれぞれ受け渡し、係数部400、404においては、入力オーディオ信号に係数K41、K32を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図13:ステップS4)。具体的には、係数部400は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K41を掛けた補正信号をディレイ部500に出力する。係数部404は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K32を掛けた補正信号をディレイ部504に出力する。
【0080】
ディレイ部500、504は、係数部400、404から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部331、332に出力するディレイ部処理を行う(図13:ステップS5)。具体的には、ディレイ部500は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K41を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A1として加算部331に出力する。ディレイ部504は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K32を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A5として加算部332に出力する。
【0081】
加算部331は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に、上述したオーディオ信号A1を加算する加算部処理を行い(図13:ステップS6)、スピーカSP1に供給する出力オーディオ信号OUT1として出力する。加算部332は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に、上述したオーディオ信号A5を加算する加算部処理を行い(図13:ステップS6)、スピーカSP2に供給する出力オーディオ信号OUT2として出力する。
【0082】
<2−2−6:Y軸上の負の位置>
制御部210が、既知の方法により各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を取得した結果(図13:ステップS1)、視聴位置Plpが図10に示すようにXY座標のY軸上の負の位置に属している場合には、制御部210は、メモリ230に記憶されたテーブルTBL1を参照して、選択する係数部を決定する。図4に示すテーブルTBL1において、視聴位置のフィールドに記録されている[6]は、視聴位置PlpがXY座標のY軸上の負の位置に属していることを示しており、その場合に選択する係数部は、係数部406、409であることを示している。
【0083】
係数部406において用いられる係数は上述したようにK23であり、係数部409において用いられる係数は上述したようにK14である。
【0084】
制御部210は、これらの係数を上記の各式により算出し(図13:ステップS2)、係数部406、409を選択する(図13:ステップS3)。図3に示すように、係数部406にはディレイ部506が対応し、係数部409にはディレイ部509が対応する。また、加算部としては加算部333と加算部334が対応する。そこで、制御部210は、ディレイ部506、ディレイ部509、加算部333、及び加算部334を選択する(図13:ステップS3)。
【0085】
次に、制御部210は、上述のように算出した係数K23、K14を、係数部406、409にそれぞれ受け渡し、係数部406、409においては、入力オーディオ信号に係数K23、K14を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図13:ステップS4)。具体的には、係数部406は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K23を掛けた補正信号をディレイ部506に出力する。係数部409は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K14を掛けた補正信号をディレイ部509に出力する。
【0086】
ディレイ部506、509は、係数部406、409から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部333、334に出力するディレイ部処理を行う(図13:ステップS5)。具体的には、ディレイ部506は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K23を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A7として加算部333に出力する。ディレイ部509は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K14を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A10として加算部334に出力する。
【0087】
加算部333は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に、上述したオーディオ信号A7を加算する加算部処理を行い(図13:ステップS6)、スピーカSP3に供給する出力オーディオ信号OUT3として出力する。加算部334は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に、上述したオーディオ信号A10を加算する加算部処理を行い(図13:ステップS6)、スピーカSP4に供給する出力オーディオ信号OUT4として出力する。
【0088】
<2−2−7:X軸上の負の位置>
制御部210が、既知の方法により各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を取得した結果(図13:ステップS1)、視聴位置Plpが図11に示すようにXY座標のX軸上の負の位置に属している場合には、制御部210は、メモリ230に記憶されたテーブルTBL1を参照して、選択する係数部を決定する。図4に示すテーブルTBL1において、視聴位置のフィールドに記録されている[7]は、視聴位置PlpがXY座標のX軸上の負の位置に属していることを示しており、その場合に選択する係数部は、係数部402、411であることを示している。
【0089】
係数部402において用いられる係数は上述したようにK21であり、係数器411において用いられる係数は上述したようにK34である。
【0090】
制御部210は、これらの係数を上記の各式により算出し(図13:ステップS2)、係数部402、411を選択する(図13:ステップS3)。図3に示すように、係数部402にはディレイ部502が対応し、係数部411にはディレイ部511が対応する。また、加算部としては加算部331と加算部334が対応する。そこで、制御部210は、ディレイ部502、ディレイ部511、加算部331、及び加算部334を選択する(図13:ステップS3)。
【0091】
次に、制御部210は、上述のように算出した係数K21、K34を、係数部402、411にそれぞれ受け渡し、係数部402、411においては、入力オーディオ信号に係数K21、K34を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図13:ステップS4)。具体的には、係数部402は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K21を掛けた補正信号をディレイ部502に出力する。係数部411は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K34を掛けた補正信号をディレイ部511に出力する。
【0092】
ディレイ部502、511は、係数部402、411から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部331、334に出力するディレイ部処理を行う(図13:ステップS5)。具体的には、ディレイ部502は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K21を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A3として加算部331に出力する。ディレイ部511は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K34を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A12として加算部334に出力する。
【0093】
加算部331は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に、上述したオーディオ信号A3を加算する加算部処理を行い(図13:ステップS6)、スピーカSP1に供給する出力オーディオ信号OUT1として出力する。加算部334は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に、上述したオーディオ信号A12を加算する加算部処理を行い(図13:ステップS6)、スピーカSP4に供給する出力オーディオ信号OUT4として出力する。
【0094】
<2−2−8:X軸上の正の位置>
制御部210が、既知の方法により各スピーカから視聴位置Plpまでの距離を取得した結果(図13:ステップS1)、視聴位置Plpが図12に示すようにXY座標のX軸上の正の位置に属している場合には、制御部210は、メモリ230に記憶されたテーブルTBL1を参照して、選択する係数部を決定する。図4に示すテーブルTBL1において、視聴位置のフィールドに記録されている[8]は、視聴位置PlpがXY座標のX軸上の正の位置に属していることを示しており、その場合に選択する係数部は、係数部403、408であることを示している。
【0095】
係数部403において用いられる係数は上述したようにK12であり、係数部408において用いられる係数は上述したようにK43である。
【0096】
制御部210は、これらの係数を上記の各式により算出し(図13:ステップS2)、係数部403、408を選択する(図13:ステップS3)。図3に示すように、係数部403にはディレイ部503が対応し、係数部408にはディレイ部508が対応する。また、加算部としては加算部332と加算部333が対応する。そこで、制御部210は、ディレイ部503、ディレイ部508、加算部332、及び加算部333を選択する(図13:ステップS3)。
【0097】
次に、制御部210は、上述のように算出した係数K12、K43を、係数部403、408にそれぞれ受け渡し、係数部403、408においては、入力オーディオ信号に係数K12、K43を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図13:ステップS4)。具体的には、係数部403は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K12を掛けた補正信号をディレイ部503に出力する。係数部408は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K43を掛けた補正信号をディレイ部508に出力する。
【0098】
ディレイ部503、508は、係数部403、408から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部332、333に出力するディレイ部処理を行う(図13:ステップS5)。具体的には、ディレイ部503は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K12を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A4として加算部332に出力する。ディレイ部508は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K43を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A9として加算部333に出力する。
【0099】
加算部332は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に、上述したオーディオ信号A4を加算する加算部処理を行い(図13:ステップS6)、スピーカSP2に供給する出力オーディオ信号OUT2として出力する。加算部333は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に、上述したオーディオ信号A9を加算する加算部処理を行い(図13:ステップS6)、スピーカSP3に供給する出力オーディオ信号OUT3として出力する。
【0100】
<2−3:ハース効果処理>
本実施形態は、視聴位置Plpまでの距離が、基準位置Prefまでの距離よりも長くなった各スピーカについて、距離減衰による視聴位置Plpにおける音量の不足分を、視聴位置Plpに最も近いスピーカから、当該最も近いスピーカと視聴位置Plpとの距離を考慮して出力する。したがって、例えば図5の場合には、本来はリアスピーカであるスピーカSP3から出力される信号が、フロントスピーカSP2からも出力されるので、あらかじめ設定された音響効果とは異なる可能性がある。そこで、本実施形態では、先行音効果であるハース効果を利用して、音量の不足分を補う信号として出力される補正信号を、ディレイ部500〜511を用いて所定時間だけ遅延させる。
【0101】
例えば図5の場合には、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に、係数部404により係数K32を掛け、ディレイ部504によりこの信号を10〜20ms遅延させて、オーディオ信号A5として加算部332に出力する。その結果、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に、上述したオーディオ信号A5が加算され、スピーカSP2からの出力オーディオ信号OUT2として出力されるが、加算されたオーディオ信号A5は、スピーカSP3から出力される信号よりも10〜20ms遅れてスピーカSP2から出力される。つまり、スピーカSP3から出力される信号は、スピーカSP2から出力される加算されたオーディオ信号A5よりも10〜20ms早く出力されることになる。スピーカSP3から出力される信号は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3がそのまま出力される出力オーディオ信号OUT3であり、オーディオ信号A5は、入力オーディオ信号IN3に係数K32を掛けた信号である。つまり、どちらの信号も、ソースを入力オーディオ信号IN3とする信号であり、このようにソースが共通の信号を、一方のスピーカでは他方のスピーカよりも所定時間だけ早く出力すると、視聴者は、当該信号が当該一方のスピーカから出力されているように感じる。本実施形態では、このようなハース効果を利用して、音量の不足分を補う補正信号が、本来出力されるスピーカとは異なるスピーカから出力される場合でも、本来出力されるスピーカから出力されたように感じさせるように構成している。
【0102】
本実施形態では、図3に示すように、係数部400〜411とディレイ部500〜511は一対に設けられており、制御部210が上述のように何れかの係数部を選択する場合には、制御部210は、当該選択した係数部と一対になっているディレイ部を選択するようになっている。また、本実施形態では、ディレイ部による遅延時間として10〜20ms程度を採用している。これは、これ以上の遅延差があると、別の音源に聞こえてしまうためである。
【0103】
以上のように、本実施形態によれば、視聴位置が基準位置からずれた場合であっても、バランスの取れた音響効果を得ることができる。
【0104】
<第2実施形態>
次に、図14乃至図16を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態においては、各スピーカから視聴位置までの距離を取得し、視聴位置が基準位置からずれた場合でも、バランスの取れた音響効果を得る処理を行う例について説明した。しかし、第2実施形態では、各スピーカの座標と、視聴位置の座標を取得し、視聴位置が基準位置からずれた場合でも、バランスの取れた音響効果を得る処理を行う例について説明する。
【0105】
また、第1実施形態では、図5の例において、スピーカSP4からの出力信号の音量の視聴位置Plpでの不足分を補うために、スピーカSP4とは対角に位置するスピーカSP2からスピーカSP4用の補正信号を出力した。しかし、第2実施形態においては、リスニングルームRの対角に位置するスピーカ間で音量の不足分の補正処理を行うのではなく、第1象限と第4象限に配置されたスピーカ間、及び、第2象限と第3象限に配置されたスピーカ間で、音量の不足分の補正処理を行い、かつ、第1象限と第2象限に配置されたスピーカ間、及び、第3象限と第4象限に配置されたスピーカ間で、音量の不足分の補正処理を行う例について説明する。
【0106】
本実施形態のオーディオ信号処理装置20は、図14に示すように、処理ユニット260を備えており、処理ユニット260は、係数部400、402、403、404、406、408、409、411と、ディレイ部500、502、503、504、506、508、509、511と、加算部331、332、333、334とを備えている。本実施形態では、リスニングルームRの対角に位置するスピーカ間で音量の不足分の信号補正処理を行わないため、係数部と当該係数部に対応するディレイ部の個数は、第1実施形態の場合よりも少なくなっている。
【0107】
本実施形態のメモリ230は、図16に示すテーブルTBL2をあらかじめ記憶している。テーブルTBL2には、視聴位置と、選択する係数部との関係を表すデータが格納されている。メモリ230は、各係数部の係数K12、K14、K21、K23、K32、K34、K41、K43を算出するための数式をあらかじめ記憶している。これらの係数を算出する数式は、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0108】
<1:第2実施形態の信号補正処理>
本実施形態における信号補正処理を図14の回路図、及び図15のフローチャートに基づいて説明する。なお、以下の説明においては、図16、及び第1実施形態で使用した図5乃至図12についても適宜参照する。
【0109】
なお、本実施形態においても、図5に示すようにリスニングルームRが正方形の場合について説明する。スピーカSP1、スピーカSP2、スピーカSP3、及びスピーカSP4は、リスニングルームRの四隅に配置されているものとする。スピーカSP1とスピーカSP4との中間点、リスニングルームRの中心点、及びスピーカSP2とスピーカSP3との中間点を通る直線をX軸とし、リスニングルームRの中心点を通り、X軸に直交する軸をY軸とする。スピーカSP1とスピーカSP4との中間点から、スピーカSP2とスピーカSP3との中間点に向かう方向をX軸の正方向とし、スピーカSP4とスピーカSP3との中間点から、スピーカSP1とスピーカSP2との中間点に向かう方向がY軸の正方向とする。
【0110】
また、本実施形態においては、図5に示すXY座標上のスピーカSP1、SP2、SP3、SP4の座標があらかじめ設定されており、メモリ230に記憶されている。さらに、視聴位置Plpの座標についても、既知の方法により取得可能になっている。
【0111】
<1−1:第1象限>
図14に示す制御部210は、メモリ230に記憶された各スピーカの座標を取得すると共に、既知の方法により、視聴位置Plpの座標を取得する(図15:ステップS10)。本実施形態では、制御部210は、取得した視聴位置Plpの座標に基づいて、視聴位置Plpが上述したXY座標のどの象限に属しているかを判断する。図5に示す例の場合には、制御部210は、視聴位置PlpがXY座標の第1象限に属していると判断し、メモリ230に記憶されたテーブルTBL2を参照して、選択する係数部を決定する。図16に示すテーブルTBL2において、視聴位置のフィールドに記録されている[1]は、視聴位置PlpがXY座標の第1象限に属していることを示しており、その場合に選択する係数部は、係数部404、400、403、408であることを示している。
【0112】
係数部404において用いられる係数はK32、係数部400において用いられる係数はK41、係数部403において用いられる係数はK12、係数部408において用いられる係数はK43であり、これらの係数を算出するための数式は、あらかじめメモリ230に記憶されている。
【0113】
制御部210は、これらの係数を上記の各式により算出し(図15:ステップS11)、係数部404、400、403、408を選択する。(図15:ステップS3)。図14に示すように、係数部404にはディレイ部504が対応し、係数部400にはディレイ部500が対応し、係数部403にはディレイ部503が対応し、係数部408にはディレイ部508が対応する。また、加算部としては加算部332、331、333が対応する。そこで、制御部210は、ディレイ部504、ディレイ部500、ディレイ部503、ディレイ部508、及び、加算部332、331、333を選択する(図15:ステップS3)。なお、係数を上記の各式により算出するには、各スピーカから視聴位置Plpまでの距離が必要となるが、CPU210が各スピーカの座標と視聴位置Plpの座標に基づいて当該距離を算出するようになっている。
【0114】
次に、制御部210は、上述のように算出した係数のうちY軸側の補正に対しては、係数K32、K41を、係数部404、400にそれぞれ受け渡し、係数部404、400においては、入力オーディオ信号に係数K32、K41を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図15:ステップS4)。具体的には、係数部404は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K32を掛けた補正信号をディレイ部504に出力する。係数部400は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K41を掛けた補正信号をディレイ部500に出力する。
【0115】
ディレイ部504、500は、係数部404、400から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部332、331に出力するディレイ部処理を行う(図15:ステップS5)。具体的には、ディレイ部504は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K32を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A5として加算部332に出力する。ディレイ部500は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K41を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A1として加算部331に出力する。
【0116】
加算部332は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に、上述したオーディオ信号A5を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP2に供給する出力オーディオ信号OUT2として出力する。また、加算部331は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に、上述したオーディオ信号A1を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP1に供給する出力オーディオ信号OUT1として出力する。
【0117】
本実施形態では以上のように、リアスピーカであるスピーカSP3及びスピーカSP4に対して、視聴位置Plpが基準位置Prefよりも遠くなった場合でも、スピーカSP3及びスピーカSP4からの出力信号の音量の不足分を補う補正信号を、フロントスピーカであるスピーカSP2及びスピーカSP1から出力するので、視聴位置PlpにおけるスピーカSP3及びスピーカSP4からの出力信号の音量のバランスを、基準位置Prefにおける当該音量のバランスと等しくすることができる。
【0118】
また、本実施形態においては、以下のようにX軸側の補正に対しても同様の処理が行われる。つまり、制御部210は、上述のように算出した係数のうち、係数K12、K43を、係数部403、408にそれぞれ受け渡し、係数部403、408においては、入力オーディオ信号に係数K12、K43を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図15:ステップS4)。具体的には、係数部403は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K12を掛けた補正信号をディレイ部503に出力する。係数部408は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K43を掛けた補正信号をディレイ部508に出力する。
【0119】
ディレイ部503、508は、係数部403、408から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部332、333に出力するディレイ部処理を行う(図15:ステップS5)。具体的には、ディレイ部503は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K12を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A4として加算部332に出力する。ディレイ部508は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K43を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A9として加算部333に出力する。
【0120】
加算部332は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に、上述したオーディオ信号A4を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP2に供給する出力オーディオ信号OUT2として出力する。また、加算部333は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に、上述したオーディオ信号A9を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP3に供給する出力オーディオ信号OUT3として出力する。
【0121】
本実施形態では以上のような信号補正処理を行うので、左側のスピーカであるスピーカSP1及びスピーカSP4に対して、視聴位置Plpが基準位置Prefよりも遠くなった場合でも、スピーカSP1及びスピーカSP4からの出力信号の音量の不足分を補う補正信号を、右側のスピーカであるスピーカSP2及びスピーカSP3から出力するので、視聴位置PlpにおけるスピーカSP1及びスピーカSP4からの出力信号の音量のバランスを、基準位置Prefにおける当該音量のバランスと等しくすることができる。
【0122】
<1−2:第2象限>
制御部210は、既知の方法により、視聴位置Plpの座標を取得した結果(図15:ステップS10)、視聴位置Plpが図6に示すようにXY座標の第2象限に属していると判断した場合には、制御部210は、メモリ230に記憶されたテーブルTBL2を参照して、選択する係数部を決定する。図16に示すテーブルTBL2において、視聴位置のフィールドに記録されている[2]は、視聴位置PlpがXY座標の第2象限に属していることを示しており、その場合に選択する係数部は、係数部404、400、402、411であることを示している。
【0123】
係数部404において用いられる係数はK32、係数部400において用いられる係数はK41、係数部402において用いられる係数はK21、係数部411において用いられる係数はK34であり、これらの係数を算出するための数式は、あらかじめメモリ230に記憶されている。
【0124】
制御部210は、これらの係数を上記の各式により算出し(図15:ステップS11)、係数部404、400、402、411を選択する。(図15:ステップS3)。図14に示すように、係数部404にはディレイ部504が対応し、係数部400にはディレイ部500が対応し、係数部402にはディレイ部502が対応し、係数部411にはディレイ部511が対応する。また、加算部としては加算部332、331、334が対応する。そこで、制御部210は、ディレイ部504、ディレイ部500、ディレイ部502、ディレイ部511、及び、加算部332、331、334を選択する(図15:ステップS3)。なお、係数を上記の各式により算出するには、各スピーカから視聴位置Plpまでの距離が必要となるが、CPU210が各スピーカの座標と視聴位置Plpの座標に基づいて当該距離を算出するようになっている。
【0125】
次に、制御部210は、上述のように算出した係数のうちY軸側の補正に対しては、係数K32、K41を、係数部404、400にそれぞれ受け渡し、係数部404、400においては、入力オーディオ信号に係数K32、K41を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図15:ステップS4)。具体的には、係数部404は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K32を掛けた補正信号をディレイ部504に出力する。係数部400は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K41を掛けた補正信号をディレイ部500に出力する。
【0126】
ディレイ部504、500は、係数部404、400から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部332、331に出力するディレイ部処理を行う(図15:ステップS5)。具体的には、ディレイ部504は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K32を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A5として加算部332に出力する。ディレイ部500は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K41を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A1として加算部331に出力する。
【0127】
加算部332は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に、上述したオーディオ信号A5を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP2に供給する出力オーディオ信号OUT2として出力する。また、加算部331は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に、上述したオーディオ信号A1を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP1に供給する出力オーディオ信号OUT1として出力する。
【0128】
本実施形態では以上のように、リアスピーカであるスピーカSP3及びスピーカSP4に対して、視聴位置Plpが基準位置Prefよりも遠くなった場合でも、スピーカSP3及びスピーカSP4からの出力信号の音量の不足分を補う補正信号を、フロントスピーカであるスピーカSP2及びスピーカSP1から出力するので、視聴位置PlpにおけるスピーカSP3及びスピーカSP4からの出力信号の音量のバランスを、基準位置Prefにおける当該音量のバランスと等しくすることができる。
【0129】
また、本実施形態においては、以下のようにX軸側の補正に対しても同様の処理が行われる。つまり、制御部210は、上述のように算出した係数のうち、係数K21、K34を、係数部402、411にそれぞれ受け渡し、係数部402、411においては、入力オーディオ信号に係数K21、K34を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図15:ステップS4)。具体的には、係数部402は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K21を掛けた補正信号をディレイ部502に出力する。係数部411は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K34を掛けた補正信号をディレイ部511に出力する。
【0130】
ディレイ部502、511は、係数部402、411から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部331、334に出力するディレイ部処理を行う(図15:ステップS5)。具体的には、ディレイ部502は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K21を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A3として加算部331に出力する。ディレイ部511は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K34を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A12として加算部334に出力する。
【0131】
加算部331は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に、上述したオーディオ信号A3を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP1に供給する出力オーディオ信号OUT1として出力する。また、加算部334は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に、上述したオーディオ信号A12を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP4に供給する出力オーディオ信号OUT4として出力する。
【0132】
本実施形態では以上のような信号補正処理を行うので、右側のスピーカであるスピーカSP2及びスピーカSP3に対して、視聴位置Plpが基準位置Prefよりも遠くなった場合でも、スピーカSP2及びスピーカSP3からの出力信号の音量の不足分を補う補正信号を、左側のスピーカであるスピーカSP1及びスピーカSP4から出力するので、視聴位置PlpにおけるスピーカSP2及びスピーカSP3からの出力信号の音量のバランスを、基準位置Prefにおける当該音量のバランスと等しくすることができる。
【0133】
<1−3:第3象限>
制御部210は、既知の方法により、視聴位置Plpの座標を取得した結果(図15:ステップS10)、視聴位置Plpが図7に示すようにXY座標の第3象限に属していると判断した場合には、制御部210は、メモリ230に記憶されたテーブルTBL2を参照して、選択する係数部を決定する。図16に示すテーブルTBL2において、視聴位置のフィールドに記録されている[3]は、視聴位置PlpがXY座標の第3象限に属していることを示しており、その場合に選択する係数部は、係数部406、409、402、411であることを示している。
【0134】
係数部406において用いられる係数はK23、係数部409において用いられる係数はK14、係数部402において用いられる係数はK21、係数部411において用いられる係数はK34であり、これらの係数を算出するための数式は、あらかじめメモリ230に記憶されている。
【0135】
制御部210は、これらの係数を上記の各式により算出し(図15:ステップS11)、係数部406、409、402、411を選択する。(図15:ステップS3)。図14に示すように、係数部406にはディレイ部506が対応し、係数部409にはディレイ部509が対応し、係数部402にはディレイ部502が対応し、係数部411にはディレイ部511が対応する。また、加算部としては加算部333、334、331が対応する。そこで、制御部210は、ディレイ部506、ディレイ部509、ディレイ部502、ディレイ部511、及び、加算部333、334、331を選択する(図15:ステップS3)。なお、係数を上記の各式により算出するには、各スピーカから視聴位置Plpまでの距離が必要となるが、CPU210が各スピーカの座標と視聴位置Plpの座標に基づいて当該距離を算出するようになっている。
【0136】
次に、制御部210は、上述のように算出した係数のうちY軸側の補正に対しては、係数K23、K14を、係数部406、409にそれぞれ受け渡し、係数部406、409においては、入力オーディオ信号に係数K23、K14を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図15:ステップS4)。具体的には、係数部406は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K23を掛けた補正信号をディレイ部506に出力する。係数部409は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K14を掛けた補正信号をディレイ部509に出力する。
【0137】
ディレイ部506、509は、係数部406、409から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部333、334に出力するディレイ部処理を行う(図15:ステップS5)。具体的には、ディレイ部506は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K23を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A7として加算部333に出力する。ディレイ部509は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K14を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A10として加算部334に出力する。
【0138】
加算部333は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に、上述したオーディオ信号A7を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP3に供給する出力オーディオ信号OUT3として出力する。また、加算部334は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に、上述したオーディオ信号A10を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP4に供給する出力オーディオ信号OUT4として出力する。
【0139】
本実施形態では以上のように、フロントスピーカであるスピーカSP1及びスピーカSP2に対して、視聴位置Plpが基準位置Prefよりも遠くなった場合でも、スピーカSP1及びスピーカSP2からの出力信号の音量の不足分を補う補正信号を、リアスピーカであるスピーカSP4及びスピーカSP3から出力するので、視聴位置PlpにおけるスピーカSP1及びスピーカSP2からの出力信号の音量のバランスを、基準位置Prefにおける当該音量のバランスと等しくすることができる。
【0140】
また、本実施形態においては、以下のようにX軸側の補正に対しても同様の処理が行われる。つまり、制御部210は、上述のように算出した係数のうち、係数K21、K34を、係数部402、411にそれぞれ受け渡し、係数部402、411においては、入力オーディオ信号に係数K21、K34を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図15:ステップS4)。具体的には、係数部402は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K21を掛けた補正信号をディレイ部502に出力する。係数部411は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K34を掛けた補正信号をディレイ部511に出力する。
【0141】
ディレイ部502、511は、係数部402、411から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部331、334に出力するディレイ部処理を行う(図15:ステップS5)。具体的には、ディレイ部502は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K21を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A3として加算部331に出力する。ディレイ部511は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に係数K34を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A12として加算部334に出力する。
【0142】
加算部331は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に、上述したオーディオ信号A3を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP1に供給する出力オーディオ信号OUT1として出力する。また、加算部334は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に、上述したオーディオ信号A12を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP4に供給する出力オーディオ信号OUT4として出力する。
【0143】
本実施形態では以上のような信号補正処理を行うので、右側のスピーカであるスピーカSP2及びスピーカSP3に対して、視聴位置Plpが基準位置Prefよりも遠くなった場合でも、スピーカSP2及びスピーカSP3からの出力信号の音量の不足分を補う補正信号を、左側のスピーカであるスピーカSP1及びスピーカSP4から出力するので、視聴位置PlpにおけるスピーカSP2及びスピーカSP3からの出力信号の音量のバランスを、基準位置Prefにおける当該音量のバランスと等しくすることができる。
【0144】
<1−4:第4象限>
制御部210は、既知の方法により、視聴位置Plpの座標を取得した結果(図15:ステップS10)、視聴位置Plpが図8に示すようにXY座標の第4象限に属していると判断した場合には、制御部210は、メモリ230に記憶されたテーブルTBL2を参照して、選択する係数部を決定する。図16に示すテーブルTBL2において、視聴位置のフィールドに記録されている[4]は、視聴位置PlpがXY座標の第4象限に属していることを示しており、その場合に選択する係数部は、係数部406、409、403、408であることを示している。
【0145】
係数部406において用いられる係数はK23、係数部409において用いられる係数はK14、係数部403において用いられる係数はK12、係数部408において用いられる係数はK43であり、これらの係数を算出するための数式は、あらかじめメモリ230に記憶されている。
【0146】
制御部210は、これらの係数を上記の各式により算出し(図15:ステップS11)、係数部406、409、403、408を選択する。(図15:ステップS3)。図14に示すように、係数部406にはディレイ部506が対応し、係数部409にはディレイ部509が対応し、係数部403にはディレイ部503が対応し、係数部408にはディレイ部508が対応する。また、加算部としては加算部333、334、332が対応する。そこで、制御部210は、ディレイ部506、ディレイ部509、ディレイ部503、ディレイ部508、及び、加算部333、334、332を選択する(図15:ステップS3)。なお、係数を上記の各式により算出するには、各スピーカから視聴位置Plpまでの距離が必要となるが、CPU210が各スピーカの座標と視聴位置Plpの座標に基づいて当該距離を算出するようになっている。
【0147】
次に、制御部210は、上述のように算出した係数のうちY軸側の補正に対しては、係数K23、K14を、係数部406、409にそれぞれ受け渡し、係数部406、409においては、入力オーディオ信号に係数K23、K14を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図15:ステップS4)。具体的には、係数部406は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K23を掛けた補正信号をディレイ部506に出力する。係数部409は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K14を掛けた補正信号をディレイ部509に出力する。
【0148】
ディレイ部506、509は、係数部406、409から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部333、334に出力するディレイ部処理を行う(図15:ステップS5)。具体的には、ディレイ部506は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に係数K23を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A7として加算部333に出力する。ディレイ部509は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K14を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A10として加算部334に出力する。
【0149】
加算部333は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に、上述したオーディオ信号A7を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP3に供給する出力オーディオ信号OUT3として出力する。また、加算部334は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に、上述したオーディオ信号A10を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP4に供給する出力オーディオ信号OUT4として出力する。
【0150】
本実施形態では以上のように、フロントスピーカであるスピーカSP1及びスピーカSP2に対して、視聴位置Plpが基準位置Prefよりも遠くなった場合でも、スピーカSP1及びスピーカSP2からの出力信号の音量の不足分を補う補正信号を、リアスピーカであるスピーカSP4及びスピーカSP3から出力するので、視聴位置PlpにおけるスピーカSP1及びスピーカSP2からの出力信号の音量のバランスを、基準位置Prefにおける当該音量のバランスと等しくすることができる。
【0151】
また、本実施形態においては、以下のようにX軸側の補正に対しても同様の処理が行われる。つまり、制御部210は、上述のように算出した係数のうち、係数K12、K43を、係数部403、408にそれぞれ受け渡し、係数部403、408においては、入力オーディオ信号に係数K12、K43を掛けて補正信号をディレイ部に出力する係数部処理が行われる(図15:ステップS4)。具体的には、係数部403は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN1に係数K12を掛けた補正信号をディレイ部503に出力する。係数部408は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K43を掛けた補正信号をディレイ部508に出力する。
【0152】
ディレイ部503、508は、係数部403、408から出力される補正信号を所定時間遅延させ、加算部332、333に出力するディレイ部処理を行う(図15:ステップS5)。具体的には、ディレイ部503は、スピーカSP1への入力オーディオ信号IN1に係数K12を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A4として加算部332に出力する。ディレイ部508は、スピーカSP4への入力オーディオ信号IN4に係数K43を掛けた補正信号を所定時間遅延させ、オーディオ信号A9として加算部333に出力する。
【0153】
加算部332は、スピーカSP2への入力オーディオ信号IN2に、上述したオーディオ信号A4を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP2に供給する出力オーディオ信号OUT2として出力する。また、加算部333は、スピーカSP3への入力オーディオ信号IN3に、上述したオーディオ信号A9を加算する加算部処理を行い(図15:ステップS6)、スピーカSP3に供給する出力オーディオ信号OUT3として出力する。
【0154】
本実施形態では以上のような信号補正処理を行うので、左側のスピーカであるスピーカSP1及びスピーカSP4に対して、視聴位置Plpが基準位置Prefよりも遠くなった場合でも、スピーカSP1及びスピーカSP4からの出力信号の音量の不足分を補う補正信号を、右側のスピーカであるスピーカSP2及びスピーカSP3から出力するので、視聴位置PlpにおけるスピーカSP1及びスピーカSP4からの出力信号の音量のバランスを、基準位置Prefにおける当該音量のバランスと等しくすることができる。
【0155】
<1−5:X軸上またはY軸上の位置>
制御部210が、既知の方法により、視聴位置Plpの座標を取得した結果(図15:ステップS10)、視聴位置Plpが図9乃至図12に示すようにXY座標のY軸上の位置、あるいは、X軸上の位置であると判断した場合には、制御部210は、メモリ230に記憶されたテーブルTBL2を参照して、選択する係数部を決定する。図16に示すテーブルTBL2において、視聴位置のフィールドに記録されている[5]は、視聴位置PlpがY軸上の正の位置に属していることを示しており、視聴位置のフィールドに記録されている[6]は、視聴位置PlpがY軸上の負の位置に属していることを示している。また、図16に示すテーブルTBL2において、視聴位置のフィールドに記録されている[7]は、視聴位置PlpがX軸上の負の位置に属していることを示しており、視聴位置のフィールドに記録されている[8]は、視聴位置PlpがX軸上の正の位置に属していることを示している。
【0156】
第1実施形態で説明した図4に示すテーブルTBL1の視聴位置[5]乃至[8]に対応する係数部と、図16に示すテーブルTBL2の視聴位置[5]乃至[8]に対応する係数部とを比較すると明らかなように、これらの視聴位置において選択される係数部は、第1実施形態の場合と同様である。つまり、本実施形態においては、制御部210が各スピーカ及び視聴位置の座標を取得するステップ(図15:ステップS10)と、テーブルTBL2を参照して係数を算出するステップ(図15:ステップS11)は第1実施形態と異なるが、その後のステップ(図15:ステップS3乃至S6)における処理は第1実施形態と同様である。したがって、視聴位置PlpがXY座標のY軸上の位置、あるいは、X軸上の位置である場合の図15に示すステップS3乃至S6における処理については説明を省略する。
【0157】
<2:ハース効果処理>
本実施形態においても、先行音効果であるハース効果を利用して、音量の不足分を補う信号として出力される信号を、ディレイ部500〜511を用いて所定時間だけ遅延させている。遅延時間については10〜20msに設定されている。その他の詳しい説明は第1実施形態と共通なので省略する。
ある。
【0158】
以上のように、本実施形態によれば、視聴位置が基準位置からずれた場合であっても、バランスの取れた音響効果を得ることができる。
【0159】
<変形例>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、以下に述べる各種の変形が可能である。また、各変形例と上述した実施形態は適宜組み合わせることができる。
【0160】
(1)上述した第1実施形態では、視聴位置に対する各スピーカからの距離を取得し、第1実施形態に説明した信号補正処理を行う例について説明したが、第2実施形態のように、各スピーカ及び視聴位置の座標を取得した後に、第1実施形態に説明した信号補正処理を行うようにしてもよい。また、第2実施形態では、各スピーカ及び視聴位置の座標を取得し、第2実施形態に説明した信号補正処理を行う例について説明したが、第1実施形態のように、視聴位置に対する各スピーカからの距離を取得した後に、第2実施形態に説明した信号補正処理を行うようにしてもよい。
【0161】
(2)上述した各実施形態では、リスニングルームの形状が正方形である場合について説明したが、本発明はこのような例に限定されるものではなく、例えば、リスニングルームの形状は長方形であってもよい。また、リスニングルームの形状は、台形、あるいは非対称の形状であってもよい。この場合には、所定の位置を視聴位置の基準位置として設定し、当該基準位置において各スピーカからの音量が所望のバランスとなるように各スピーカからの出力オーディオ信号の音量を設定する。そして、この設定した音量を、各スピーカの基準の音量として、実際の視聴位置が基準位置から変位した場合の各係数部の係数を算出するようにすればよい。
【符号の説明】
【0162】
1A,1B…オーディオ信号処理システム、10…端末装置、20…オーディオ信号処理装置、210…制御部、220…通信インターフェース、230…メモリ、240…外部インターフェース、250,260…処理ユニット、400,401,402,403,404,405,406,407,408,409,410,411…係数部、500,501,502,503,504,505,506,507,508,509,510,511…ディレイ部、331,332,333,334…加算部、SP1,SP2,SP3,SP4,SP5…スピーカ
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