特許第6221367号(P6221367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000002
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000003
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000004
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000005
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000006
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000007
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000008
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000009
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000010
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000011
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000012
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000013
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000014
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000015
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000016
  • 特許6221367-着脱装置およびロボット 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221367
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】着脱装置およびロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/04 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   B25J15/04 A
【請求項の数】14
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-120504(P2013-120504)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-237184(P2014-237184A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164633
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】後藤 純伸
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊雄
【審査官】 臼井 卓巳
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭51−047074(JP,U)
【文献】 特開昭56−157986(JP,A)
【文献】 実開平05−056308(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0062919(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0322041(US,A1)
【文献】 特開2001−087971(JP,A)
【文献】 特開2001−293677(JP,A)
【文献】 特開平03−043174(JP,A)
【文献】 特開平08−257963(JP,A)
【文献】 実開昭51−074978(JP,U)
【文献】 実開昭62−072083(JP,U)
【文献】 米国特許第02489864(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/04−17/00
B23B 31/02−31/40
B23Q 3/157− 3/18
B66C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの構造体同士を着脱自在に装着する着脱装置であって、
前記2つの構造体のうちの一方の構造体に固定されたベースと、
前記ベースに移動可能に支持され、他方の構造体と係合する少なくとも1つの係合部材と、
前記係合部材を前記他方の構造体と係合する係合方向と反対方向に移動させて、前記2つの構造体同士の装着状態を解除する解除操作を行なう操作レバーを有する解除機構と、
前記操作レバーに対し、前記解除操作を禁止する禁止状態と、前記解除操作を許可する許可状態とを取り得るロック用レバーを有するロック機構とを備え
前記ロック機構は、前記禁止状態であるのを検知する検知部を有する、着脱装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記ベースに設置され、前記禁止状態にある前記ロック用レバーと対向する近接センサーで構成されている請求項1に記載の着脱装置。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記禁止状態にある前記ロック用レバーを固定可能な固定部を有する請求項1または2に記載の着脱装置。
【請求項4】
前記ロック用レバーおよび前記操作レバーのうちの一方のレバーには、カム溝が設けられ、他方のレバーには、前記カム溝に挿入されるカムフォロアが突出して設けられている請求項1ないし3のいずれか1項に記載の着脱装置。
【請求項5】
少なくとも前記許可状態では、前記カムフォロアが前記カム溝と係合して、前記ロック用レバーと前記操作レバーとが連結される請求項4に記載の着脱装置。
【請求項6】
前記係合部材は、前記ベースの面方向に対して傾斜し、前記他方の構造体に設けられた突出部と互いに係合し合う係合面を有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の着脱装置。
【請求項7】
前記ベースは、前記突出部が挿通する挿通孔を有する請求項6に記載の着脱装置。
【請求項8】
前記ベースは、前記係合部材が挿入され、該係合部材を案内するガイド溝を有する請求項7に記載の着脱装置。
【請求項9】
前記ベースは、板状をなすものであり、
前記係合部材は、前記ベースに少なくとも1つ以上配置されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の着脱装置。
【請求項10】
前記解除機構は、前記係合部材を全て連結して、一括して移動させるリンク機構を有する請求項1ないし9のいずれか1項に記載の着脱装置。
【請求項11】
前記操作レバーと前記リンク機構とによりトグル機構が構成される請求項10に記載の着脱装置。
【請求項12】
前記ベースは、板状をなすものであり、
前記操作レバーは、前記ベースの一方の面に配置され、前記リンク機構は、前記ベースの他方の面に配置されている請求項10または11に記載の着脱装置。
【請求項13】
前記係合部材を前記他方の構造体と係合する係合方向に向かって付勢する付勢部材を備え、
前記操作レバーは、前記付勢部材の付勢力に抗して前記係合部材を移動させ得る請求項1ないし12のいずれか1項に記載の着脱装置。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項に記載の着脱装置と、
前記着脱装置を介して着脱自在に装着される2つの構造体とを備え、
前記2つの構造体のうちの一方の構造体がロボットアームであり、他方の構造体がエンドエフェクターであることを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱装置およびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基台と、当該基台に対し変位可能に支持され、互いに連結する複数本のアームを備えるロボットアームが知られている。ロボットアームは、その先端部にエンドエフェクター(ロボットハンド)が着脱自在に装着され、その装着状態で使用される(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のエンドエフェクターをロボットアームから取り外して、他のエンドエフェクターに交換する際には、エンドエフェクターとは別途に設けられた専用の取り外し工具(ストックピン)を用いて、その取り外し作業を行なっていた。
しかしながら、特許文献1に記載のエンドエフェクターは、例えばロボットアーム動作中にロボットアームから取り外される方向と同じ方向に不本意な力が作用した場合、装着状態でなければならないにもかかわらず、ロボットアームから容易に離脱してしまう構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−290389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、装着状態で2つの構造体のうちの一方の構造体が他方の構造体に対し不本意に容易に離脱するのを防止することができる着脱装置およびロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の着脱装置は、2つの構造体同士を着脱自在に装着する着脱装置であって、
前記2つの構造体のうちの一方の構造体に固定されたベースと、
前記ベースに移動可能に支持され、前記他方の構造体と係合する少なくとも1つの係合部材と、
前記係合部材を前記他方の構造体と係合する係合方向と反対方向に移動させて、前記2つの構造体同士の装着状態を解除する解除操作を行なう操作レバーを有する解除機構と、
前記操作レバーに対し、前記解除操作を禁止する禁止状態と、前記解除操作を許可する許可状態とを取り得るロック用レバーを有するロック機構とを備えることを特徴とする。
これにより、装着状態で2つの構造体のうちの一方の構造体が他方の構造体に対し不本意に容易に離脱するのを防止することができる。
【0006】
本発明の着脱装置では、前記ロック機構は、前記禁止状態であるのを検知する検知部を有するのが好ましい。
これにより、ロック用レバーが禁止状態であるのを目視の他に電気的にも確認することができ、安全性が高い。
本発明の着脱装置では、前記検知部は、前記ベースに設置され、前記禁止状態にある前記ロック用レバーと対向する近接センサーで構成されているのが好ましい。
これにより、簡単な構成で、ロック用レバーが禁止状態であるのを確実に検知することができる。
【0007】
本発明の着脱装置では、前記ロック機構は、前記禁止状態にある前記ロック用レバーを固定可能な固定部を有するのが好ましい。
これにより、禁止状態にあるロック用レバーが不本意に許可状態となるのを防止することができ、よって、安全性が高い。
本発明の着脱装置では、前記ロック用レバーおよび前記操作レバーのうちの一方のレバーには、カム溝が設けられ、他方のレバーには、前記カム溝に挿入されるカムフォロアが突出して設けられているのが好ましい。
これにより、ロック用レバーの操作を円滑に行なうことができる。
【0008】
本発明の着脱装置では、少なくとも前記許可状態では、前記カムフォロアが前記カム溝と係合して、前記ロック用レバーと前記操作レバーとが連結されるのが好ましい。
これにより、ロック用レバーが離脱して、例えば紛失してしまうのを防止することができる。
本発明の着脱装置では、前記係合部材は、前記ベースの面方向に対して傾斜し、前記他方の構造体に設けられた突出部と互いに係合し合う係合面を有するのが好ましい。
これにより、装着状態が確実に維持され、よって、一方の構造体に対して他方の構造体が離脱するのが確実に防止される。
【0009】
本発明の着脱装置では、前記ベースは、前記突出部が挿通する挿通孔を有するのが好ましい。
これにより、係合部材と突出部とが係合することができる。
本発明の着脱装置では、前記ベースは、前記係合部材が挿入され、該係合部材を案内するガイド溝を有するのが好ましい。
これにより、係合部材が突出部と安定して係合することができ、よって、その係合状態が維持され易くなる。
【0010】
本発明の着脱装置では、前記ベースは、板状をなすものであり、
前記係合部材は、前記ベースに少なくとも1つ以上配置されているのが好ましい。
これにより、装着状態を安定して維持することができる。
本発明の着脱装置では、前記解除機構は、前記係合部材を全て連結して、一括して移動させるリンク機構を有するのが好ましい。
これにより、装着状態を解除する操作を迅速に行なうことができる。
【0011】
本発明の着脱装置では、前記操作レバーと前記リンク機構とによりトグル機構が構成されるのが好ましい。
これにより、できる限り小さい力で操作レバーを操作して、係合部材を容易かつ確実に移動させることができる。
本発明の着脱装置では、前記ベースは、板状をなすものであり、
前記操作レバーは、前記ベースの一方の面に配置され、前記リンク機構は、前記ベースの他方の面に配置されているのが好ましい。
これにより、例えば解除機構のメンテナンスが行ない易くなる。
【0012】
本発明の着脱装置では、前記係合部材を前記他方の構造体と係合する係合方向に向かって付勢する付勢部材を備え、
前記操作レバーは、前記付勢部材の付勢力に抗して前記係合部材を移動させ得るのが好ましい。
これにより、装着状態を維持することができる。
【0013】
本発明のロボットは、本発明の着脱装置と、
前記着脱装置を介して着脱自在に装着される2つの構造体とを備え、
前記2つの構造体のうちの一方の構造体がロボットアームであり、他方の構造体がエンドエフェクターであることを特徴とする。
これにより、装着状態で2つの構造体のうちの一方の構造体が他方の構造体に対し不本意に容易に離脱するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のロボットを人間型双腕ロボットに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示すロボットのアームに装着されるエンドエフェクターの側面図である。
図3図2に示すエンドエフェクターの斜視図である。
図4】本発明の着脱装置の実施形態を示す斜視図である。
図5図4に示す着脱装置の表側の内部構造の装着状態を示す斜視図である。
図6図4に示す着脱装置の表側の内部構造の離脱状態を示す斜視図である。
図7図4に示す着脱装置の裏側の内部構造のロック用レバーの禁止状態を示す斜視図である。
図8図4に示す着脱装置の裏側の内部構造のロック用レバーの許可状態を示す斜視図である。
図9図4に示す着脱装置の裏側の内部構造の離脱状態を示す斜視図である。
図10図7中のA−A線断面図である。
図11図7中のB−B線断面図である。
図12図8中のC−C線断面図である。
図13】本発明の着脱装置にエンドエフェクターが装着された状態を示す部分縦断面図である。
図14図13に示す状態から離脱可能な状態となったときの部分縦断面図である。
図15】本発明の着脱装置にエンドエフェクターが装着されるまでの過程を示すフローチャートである。
図16】本発明の着脱装置にエンドエフェクターが装着されるまでの過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の着脱装置およびロボットを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のロボットを人間型双腕ロボットに適用した場合の実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示すロボットのアームに装着されるエンドエフェクターの側面図、図3は、図2に示すエンドエフェクターの斜視図、図4は、本発明の着脱装置の実施形態を示す斜視図、図5および図6は、それぞれ、図4に示す着脱装置の表側の内部構造の装着、離脱状態を示す斜視図、図7図9は、それぞれ、図4に示す着脱装置の裏側の内部構造のロック用レバーの禁止、許可状態および離脱状態を示す斜視図、図10は、図7中のA−A線断面図、図11は、図7中のB−B線断面図、図12は、図8中のC−C線断面図、図13は、本発明の着脱装置にエンドエフェクターが装着された状態を示す部分縦断面図、図14は、図13に示す状態から離脱可能な状態となったときの部分縦断面図、図15および図16は、本発明の着脱装置にエンドエフェクターが装着されるまでの過程を示すフローチャートである。
【0016】
なお、以下では、説明の都合上、図1中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。また、図2図13および図14中の上側を「表」または「先端」、下側を「裏」または「基端」と言う。また、図3中の紙面奥側を「表」または「先端」、紙面手前側を「裏」または「基端」と言う。また、図4図6中の紙面手前側を「表」または「先端」、紙面奥側を「裏」または「基端」と言う。また、図7図9中の紙面奥側を「表」または「先端」、紙面手前側を「裏」または「基端」と言う。また、図10図12中の右側を「表」または「先端」、左側を「裏」または「基端」と言う。
【0017】
図1に示すロボット100は、胴部101と、胴部101の上方に設けられた2本のアーム(ロボットアーム)102と、胴部101の下方に設けられた脚部103とを備える人間型双腕ロボットである。このロボット100は、例えば腕時計のような精密機器等を製造する製造工程で用いることができるものである。なお、この製造作業は、通常、作業用テーブル(図示せず)上で行なわれる。
【0018】
胴部101の正面側には、バンパー101aが配置されている。このバンパー101aを作業用テーブルに当接して、ロボット100と作業用テーブルとの水平方向の距離を一定に保つことができる。これにより、製造作業を正確に行なうことができる。
胴部101の背面側には、後方に向かって臨む液晶モニターを有する画像表示装置101bが配置されている。液晶モニターは、例えばロボット100の現在の状態を表示することができる。また、液晶モニターは、タッチパネル機能を有しており、ロボット100に対する動作の設定を行なう操作部としても用いられる。
【0019】
各アーム102は、それぞれ、胴部101側から順にアーム本体(エレメント)102a、102b、102c、102d、102eを連結してなるアーム連続体である。また、アーム本体102e(一方の構造体)には、着脱装置(着脱ユニット)1を介して、エンドエフェクター20(他方の構造体)を着脱自在に装着することができる。そして、この装着状態でアーム本体102a〜102eとエンドエフェクター20とは、回動軸J1、J2、J3、J4、J5、J6、J7回りに独立して回動することができる。
【0020】
なお、アーム本体102a〜102e、エンドエフェクター20をそれぞれ回動するための駆動機構(図示せず)は、当該アーム本体102a〜102eや胴部101に内蔵されている。この駆動機構としては、特に限定されず、例えば、モーターと、モーターの一端側に連結された減速機と、モーターの他端側に連結された電磁ブレーキとを備えた機構とすることができる。
【0021】
脚部103には、CPU(Central Processing Unit)を有し、ロボット100自身を制御する制御装置104等が内蔵されている。また、脚部103の最下部には、複数のキャスター103aが水平方向に間隔をおいて設置されている。これにより、ロボット100を移動搬送することができる。
また、ロボット100は、その頭部に当たる部分に、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を有する電子カメラ105と、信号灯106とを備えている。電子カメラ105は、例えば、作業用テーブル上の組立部品等を撮像することができる。信号灯106は、例えば、赤色の光、黄色の光、青色の光をそれぞれ発するLEDを有し、これらのLEDがロボット100の現在の状態に応じて適宜選択されて発光する。
【0022】
エンドエフェクター20は、アーム102のアーム本体102eに着脱装置1を介して装着された状態で使用されるロボットハンドである。図2図13図14に示すように、エンドエフェクター20は、本体部201と、本体部201の先端側に配置された複数本(例えば2本または3本)のフィンガー202と、本体部201の基端側に配置された2つの突出部203とを備えている。
【0023】
本体部201は、外形形状がほぼ直方体状をなし、その内部に各フィンガー202を駆動させる駆動機構204が内蔵されている。
駆動機構204は、例えばモーターと、互いに噛み合った複数の歯車を含む歯車群とを有している。そして、モーターの回転力が歯車群を介して各フィンガー202に伝達される。これにより、フィンガー202同士が互いに接近・離間することができる。フィンガー202同士が互いに接近することにより、これらの間で部品等の対象物を挟持することができる。また、この挟持状態からフィンガー202同士が互いに離間することにより、対象物を解放することができる。
【0024】
図2図3に示すように、本体部201の基端面201aからは、複数本の端子205が突出している。これらの端子205を介して、駆動機構204のモーターは、脚部103に内蔵されているバッテリーと電気的に接続される。これにより、モーターに電力を供給することができる。なお、各端子205は、根元側が弾性を有しており、いわゆる「バネ接点」となっている。
【0025】
また、本体部201の基端面201aからは、各突出部203が基端方向に向かって、すなわち、装着状態でアーム102に向かって突出している。基端面201aは、ほぼ正方形状をなし、その対角線上に位置する角部付近に突出部203が配置されている。この突出部203は、その頂部203aから根元部203b側に向かって外径が漸増するテーパ部203cを有している。また、テーパ部203cの直下には、基端面201aに対して傾斜した係合面203dが設けられている。この係合面203dは、着脱装置1と係合する部分となる(図13参照)。
【0026】
さらに、本体部201の基端面201aからは、着脱装置1との位置決めを行なう2本のガイドピン206が基端方向に向かって突出している。これらのガイドピン206は、基端面201aのほぼ対角線上にできる限り離間して配置されている。なお、ガイドピン206が配置される対角線と突出部203が配置される対角線とは異なる。
また、ガイドピン206の突出長さは、端子205の突出長さよりも長い。これにより、エンドエフェクター20と着脱装置1との位置決めが行われてから、端子205の電気的な接触が行われる。これにより、エンドエフェクター20を着脱装置1に装着する際に、端子205が着脱装置1で不本意に押圧されて変形してしまうのを確実に防止することができる。
【0027】
着脱装置1は、アーム102のアーム本体102eとエンドエフェクター20とを着脱自在に装着する装置であり、図13に示す装着状態と、図14に示す離脱可能状態とを取り得る。装着状態は、アーム本体102eとエンドエフェクター20とを連結して、エンドエフェクター20の作動が可能な状態である。離脱可能状態は、エンドエフェクター20がアーム本体102eに対して離脱可能な状態である。
【0028】
図4図9に示すように、着脱装置1は、ベース2と、係合機構11と、解除機構12と、ロック機構16と、回路基板13と、蓋体14とを備えている。
ベース2は、係合機構11、解除機構12、ロック機構16、回路基板13および蓋体14を支持する板部材である。このベース2は、アーム102のアーム本体102eの先端面に固定される。なお、この固定方法としては、特に限定されず、例えば、ネジ止めによる方法等が挙げられる。そして、装着状態では、ベース2の表側の面21がエンドエフェクター20の本体部201の基端面201a側に対向する。
【0029】
また、ベース2の裏側の面22には、アーム本体102eとの位置決めを行なうガイドピン28が突出して設けられている(図7図9参照)。これにより、着脱装置1は、アーム本体102eに対して位置決めされた状態で固定される。
ベース2は、四角形状をなす板状の母材に機械加工を施して得られたものであり、4つの辺のうちの1つの辺にその方向に沿って形成された欠損部23を有している。また、各角部には、それぞれ、面取りまたは丸み付けが施されている。
【0030】
また、ベース2には、その厚さ方向に貫通する貫通孔(挿通孔)24が形成されている。貫通孔24は、ベース2の対角上に2つ形成されている。そして、図13に示す装着状態で各貫通孔24には、それぞれ、エンドエフェクター20の突出部203が挿通することができる。これにより、係合機構11が有する各係合部材3に突出部203が係合することができる。
【0031】
図5図6に示すように、ベース2の表側の面21には、係合部材3を案内するガイド溝25が図中の左右方向に沿って延在して形成されている。各ガイド溝25は、それぞれ、貫通孔24に連通している。このように形成されたガイド溝25により、係合部材3は、エンドエフェクター20の突出部203と安定して係合することができ、よって、その係合状態が維持され易くなる。また、ガイド溝25に係合部材3が挿入されることにより、当該係合部材3がベース2の表側の面21から突出するのが防止され、よって、着脱装置1全体としての厚さを抑えることができる。これにより、着脱装置1の薄型化(小型化)に寄与する。
【0032】
また、ベース2の表側の面21には、各ガイド溝25と異なる位置に、解除機構12が有するリンク機構6が収納、配置される凹部26が形成されている。この凹部26により、リンク機構6がベース2の表側の面21から突出するのが防止される。これにより、ガイド溝25と同様に、着脱装置1全体としての厚さを抑えるのに寄与し、着脱装置1の薄型化を図ることができる。
さらに、ベース2の表側の面21には、エンドエフェクター20の各ガイドピン206が挿入されるガイド孔29が形成されている。これにより、着脱装置1とエンドエフェクター20との位置決めが行われる。
【0033】
図7図9に示すように、ベース2の裏側の面22には、解除機構12が有する操作レバー5が収納、配置される凹部27と、凹部27よりも浅く、ロック機構16が有するロック用レバー7が収納、配置される凹部221とが形成されている。凹部27により、操作レバー5がベース2の裏側の面22から突出するのが防止され、凹部221により、ロック用レバー7がベース2の裏側の面22から突出するのが防止される。これにより、ガイド溝25や凹部26と相まって、着脱装置1全体としての厚さを抑えるのにさらに寄与する。
ベース2の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウムやその合金等の各種金属材料を用いることができる。
【0034】
図5図6に示すように、係合機構11は、係合部材3と、係合部材3を付勢する付勢部材としての圧縮コイルバネ4とを有している。
係合部材3は、ベース2の各ガイド溝25にそれぞれ挿入され、当該ガイド溝25に沿って、すなわち、ベース2の面方向に沿って移動可能に支持されている。これにより、係合部材3は、装着状態でエンドエフェクター20の突出部203と係合する係合位置(図4図5図7図8図13参照)と、その係合が解除される係合解除位置(図6図9図14参照)とに移動することができる。
【0035】
図13図14に示すように、係合部材3は、板片で構成され、その裏側の面31にベース2の面方向に対して傾斜した係合面311が形成されている。この係合面311は、係合位置で、当該係合面311と同様にベース2の面方向に対して傾斜した突出部203の係合面203dと互いに係合し合う(図13参照)。この係合により、装着状態が確実に維持され、よって、エンドエフェクター20がアーム102に対して離脱するのが確実に防止される。そして、係合部材3が係合位置から係合解除位置に移動することにより、離脱可能状態となる(図14参照)。
【0036】
また、図5図6に示すように、係合部材3は、ベース2の対角上にある貫通孔24から延在する各ガイド溝25にそれぞれ挿入されているため、ベース2のほぼ中心回りに配置されることとなる。これにより、各係合部材3が係合位置にあるとき、装着状態を安定して維持することができる。
なお、係合部材3の設置数は、本実施形態ではエンドエフェクター20の突出部203に対応して2つであるが、これに限定されず、例えば、突出部203の設置数に対応すれば1つまたは3つ以上であってもよい。
【0037】
圧縮コイルバネ4は、係合部材3をエンドエフェクター20の突出部203と係合する方向(係合方向)に向かって、すなわち、係合位置に向かう方向に付勢する部材である。図5図6に示すように、圧縮コイルバネ4は、1つの係合部材3に対して係合面311と反対側に2つ並んで配置され、当該係合部材3とともにベース2のガイド溝25に挿入されている。これにより、圧縮コイルバネ4として外径が比較的小さいものを用いることができ、よって、着脱装置1の小型化に寄与する。
【0038】
なお、ガイド溝25には、2つの圧縮コイルバネ4同士の間に、板状をなす仕切り部251が設けられている。これにより、圧縮コイルバネ4同士が噛み合うのを防止することができ、よって、付勢力を係合部材3に対して過不足なく付与することができる。
係合部材3を付勢する付勢部材としては、本実施形態では圧縮コイルバネ4であったが、これに限定されず、例えば、引張りコイルバネ等であってもよい。
【0039】
また、係合機構11を構成する各部材の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等の各種金属材料を用いることができる
なお、圧縮コイルバネ4の設置に関して、本実施例では1つの係合部材3に対して2つ並べて配置とあるが、これに限定されず、設置されている係合部材3はすべて結合されており、どれか一方の係合部材3に対して付勢すると、全ての係合部材3に対してその付勢力が伝わるため、圧縮コイルバネ4は着脱装置1内に少なくとも1つ以上あればよい。
【0040】
図5図9に示すように、解除機構12は、装着状態を解除して離脱可能状態とする操作(以下「解除操作」と言う)を行なう操作レバー(解除操作レバー)5と、2つの係合部材3を連結するリンク機構6とを有している。
図7図9に示すように、操作レバー5は、長尺状をなし、その長手方向の複数の箇所で屈曲した屈曲部51を有する板部材で構成されている。
【0041】
この操作レバー5は、ベース2の裏側の面22に形成された凹部27に移動可能に配置されている。そして、操作レバー5を移動操作することにより、その操作力がリンク機構6を介して各係合部材3に伝達されることとなる。なお、操作レバー5の一端部は、当該操作レバー5を移動操作する際に操作者の指が掛けられる指掛け部53として機能する。
なお、操作レバー5が図7図8の状態(図5も同様)にあるときには、係合部材3は係合位置にあり、操作レバー5が図9の状態(図6も同様)にあるときには、係合部材3は係合解除位置にある。そして、前者の状態では、操作レバー5を基端方向から見たとき、当該操作レバー5の外側の部分、すなわち、凹部27から突出した突出部分52は、欠損部23内に位置し、アーム102の輪郭よりも内側に引込むこととなる。これにより、アーム102の作動時に突出部分52がロボット100の周辺の部材や装置等に衝突するのを防止することができ、よって、アーム102の作動が安全に行なわれる。また、後者の状態では、突出部分52がアーム102の輪郭よりも突出することとなり、着脱装置1が離脱可能状態となっているのを把握することができる。
【0042】
図5図6に示すように、リンク機構6は、直線状をなす長尺なエレメント61および62を有している。このリンク機構6は、ベース2の表側の面21に形成された凹部26に駆動可能に配置されている。一方、前述したように、操作レバー5は、ベース2の裏側に配置されている。このように、操作レバー5とリンク機構6とが、有する機能によって、ベース2の両面にそれぞれ分散配置されていることにより、例えば解除機構12のメンテナンスが行ない易くなる。
【0043】
エレメント61は、その長手方向の途中が、裏側から操作レバー5の指掛け部53と反対側の端部に連結部121を介して連結されている。この連結部121は、回動可能な回動支持部となっている。また、エレメント61は、その一端部が一方の係合部材3に連結部122を介して連結され、他端部がエレメント62の一端部に連結部123を介して連結されている(図6図5参照)。連結部122は、エレメント61と前記一方の係合部材3とを固定的に連結するものであってもよいが、連結部123は、回動可能な回動支持部となっている。
【0044】
なお、エレメント61には、連結部121と連結部122との間の部分に、ガイド溝611が形成されている。ガイド溝611には、ベース2の凹部26から突出したガイドピン261が挿入されている。これにより、リンク機構6は、操作レバー5に連動して安定して駆動することができる。また、リンク機構6の駆動限界も規制することができ、よって、操作レバー5によるリンク機構6の過剰な駆動を防止することができる。
また、エレメント62の他端部は、他方の係合部材3に連結部124を介して連結されている。連結部124は、回動可能な回動支持部となっている。また、エレメント62は、その長手方向の中央部が連結部125を介してベース2と連結されている。この連結部125も、回動可能な回動支持部となっている。
【0045】
図7図9に示すように、操作レバー5とリンク機構6のエレメント61とによりトグル機構が構成される。「トグル機構」とは、2つのエレメント(節)と1つのスライダーとで構成されたリンク機構の1つであり、本実施形態では、前記2つのエレメントのうちの1つのエレメントが操作レバー5に相当し、前記スライダーがエレメント61に相当する。また、前記2つのエレメントのうちの残りのエレメントは、エレメント129が担っている。このエレメント129は、長尺状をなし、一端部がベース2と連結部126を介して連結されており、他端部が操作レバー5と連結部127を介して連結されている。このようなトグル機構により、できる限り小さい力で操作レバー5を操作して、エレメント61に連結された係合部材3、さらには、エレメント62に連結された係合部材3を容易かつ確実に移動させることができる。
【0046】
以上のような構成の解除機構12の作動について説明する。
まず、図13に示す装着状態から解除機構12の操作レバー5を図8図9のように操作する。この操作により、リンク機構6のエレメント61が図5図6のように移動する。これにより、エレメント61に連結されている係合部材3を、図5に示す係合位置から図6に示す係合解除位置に、圧縮コイルバネ4の付勢力に抗して移動させることができる。
【0047】
また、エレメント61に連結されているエレメント62は、当該エレメント61が移動することにより、図5図6のように連結部125を中心とした反時計回りに回動する。これにより、エレメント62に連結されている係合部材3も、図5に示す係合位置から図6に示す係合解除位置に、圧縮コイルバネ4の付勢力に抗して移動させることができる。
このように各係合部材3が係合解除位置に移動することにより、エンドエフェクター20が着脱装置1から離脱可能な離脱可能状態とすることができる(図14参照)。
【0048】
このように着脱装置1では、離脱可能状態とするには、操作レバー5を移動させるという簡単な操作で、その離脱操作を行なうことができる。また、リンク機構6により、2つの係合部材3を一括して移動させることができる。これにより、離脱操作を迅速に行なうことができる。
解除機構12を構成する各部材の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等の各種金属材料を用いることができる。
【0049】
ところで、装着状態にあるアーム102が作動している最中に、操作レバー5が例えばロボット100の周辺部(室内の壁等)に衝突して操作されてしまった場合、各係合部材3が係合解除位置に移動してしまうことがある。その結果、不本意ながら、エンドエフェクター20が着脱装置1から離脱可能な離脱可能状態になるおそれがある。しかしながら、ロボット100では、このような不本意な離脱可能状態になることを防止することができるよう構成されている。以下、この構成について説明する。
【0050】
図7図9に示すように、ロック機構16は、ロック用レバー7と、近接センサー17と、固定部18とを有している。
ロック用レバー7は、ベース2の裏側の面22に形成された凹部221に移動可能に配置され、操作レバー5に重なっている。そして、この移動により、ロック用レバー7は、操作レバー5に対して、解除操作を禁止する図7に示す禁止状態と、解除操作を許可する図8に示す許可状態とを取り得る。
【0051】
ロック用レバー7は、長尺状をなす板部材で構成され、その一端部が折り曲げられており、当該ロック用レバー7を移動操作する際に操作者の指が掛けられる指掛け部71として機能する。禁止状態から許可状態とするには、指掛け部71に指を掛けてそのままロック用レバー7の長手方向に沿って引張ることにより可能である。一方、許可状態から禁止状態とするには、指掛け部71に指を掛けてそのまま前記と反対方向に押し込むことにより可能である。
【0052】
また、図7図9に示すように、ロック用レバー7の指掛け部71と反対側の部分には、当該ロック用レバー7の長手方向に沿ってカム溝72が設けられている。このカム溝72は、幅がそれぞれ異なる第1部分721、第2部分722、第3部分723に分けることができる。
第1部分721は、図7図9中の右側に位置し、第1部分721〜第3部分723の中で幅が最大の部分である。
第3部分723は、図7図9中の左側に位置し、第1部分721〜第3部分723の中で幅が最小の部分である。
第2部分722は、第1部分721と第3部分723との間に位置し、幅が連続的に変化した部分である。
【0053】
一方、カム溝72に挿入されるカムフォロア54は、操作レバー5に設けられている。このカムフォロア54は、操作レバー5の長手方向の途中に、裏側に向かって突出している。図11図12に示すように、カムフォロア54は、その頂部に外径が拡径したフランジ部541を有している。フランジ部541は、カム溝72から突出しており、その外径は、第3部分723の幅よりも大きい。
【0054】
図7に示すように、禁止状態では、カム溝72の第1部分721にカムフォロア54が位置している。そして、この状態からロック用レバー7を前述したように引張ると、カムフォロア54は、カム溝72の第1部分721から第2部分722を通過して、図8に示すように第3部分723に至る。このとき、ロック用レバー7は許可状態となる。
また、許可状態では、図12に示すように、カムフォロア54のフランジ部541が第3部分723と係合する。これにより、ロック用レバー7と操作レバー5とが連結され、よって、ロック用レバー7が離脱して、例えば紛失してしまうのを防止することができる。
【0055】
なお、ロック用レバー7と操作レバー5との連結は、本実施形態では許可状態でなされるが、これに限定されず、許可状態の他に、さらに禁止状態でなされてもよい。
また、ロック用レバー7と操作レバー5とは、互いに色が異なるのが好ましい。これにり、ロック用レバー7および操作レバー5のいずれのレバーに対する操作を行なう際に、操作したい方のレバーを確実に操作することができる、すなわち、操作ミスを確実に防止することができる。
【0056】
固定部18は、禁止状態にあるロック用レバー7を一時的に固定する、すなわち、仮固定するものである。図7図9に示すように、固定部18は、係合片8と、圧縮コイルバネ9とで構成され、ベース2の凹部221に隣接して設けられた凹部223内に設置されている。
係合片8は、小片で構成され、その角部81が、ロック用レバー7が配置される凹部221に突出している。そして、図7に示すように、この角部81は、ロック用レバー7に形成された欠損部73に係合することができる。これにより、禁止状態にあるロック用レバー7を固定することができる。
【0057】
圧縮コイルバネ9は、係合片8がロック用レバー7に係合する方向に当該ロック用レバー7を付勢する部材である。これにより、係合片8がロック用レバー7に係合して、ロック用レバー7に対する固定を維持することができる。よって、ロック用レバー7が不本意に許可状態となり、操作レバー5が作動してしまうのを防止することができ、安全性が高い。
【0058】
ロック用レバー7、固定部18を構成する各部材の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等の各種金属材料を用いることができる。
近接センサー17は、ロック用レバー7が禁止状態であるのを非接触で検知する検知部である。この近接センサー17としては、発光素子(図示せず)が発光した光を、受光素子(図示せず)が受光する光学式のセンサーを用いるのが好ましい。そして、発光素子の受光の程度、すなわち、受光の有無に応じて、ロック用レバー7の有無、すなわち、ロック用レバー7が禁止状態にあるか否かを検知することができる。
【0059】
図10に示すように、近接センサー17は、小片状をなし、ベース2の凹部221の底部にさらに凹没して形成された凹部222に設置されている。これにより、着脱装置1の薄型化(小型化)に寄与する。そして、この近接センサー17は、禁止状態にあるロック用レバー7と対向することができる。この状態で、前述したようにロック用レバー7を検知することができる。
【0060】
以上のような構成のロック機構16の作動(禁止状態から許可状態)について説明する。なお、着脱装置1は、予めエンドエフェクター20が装着された装着状態となっている。
まず、図7に示す禁止状態では、カム溝72の第1部分721にカムフォロア54が位置している。このとき、ロック用レバー7は、固定部18によりベース2に対して固定された状態となっている。これにより、操作レバー5を操作しようとして力を付加しても、当該操作レバー5のカムフォロア54が、第1部分721内でそれ以上の移動が規制されているため、操作レバー5の操作が確実に禁止される(図7図11参照)。
【0061】
次いで、図8に示すように、ロック用レバー7を図中の右側に向かって引張ると、カムフォロア54は、カム溝72の第1部分721から第2部分722を通過して、第3部分723に至る。これにより、ロック用レバー7は許可状態となる。
そして、これ以降は、前述したように解除機構12を作動させることができ(図9参照)、よって、エンドエフェクター20が着脱装置1から離脱可能な離脱可能状態とすることができる。
【0062】
このように着脱装置1は、エンドエフェクター20が装着された装着状態では、ロック用レバー7が禁止状態にあるロック機構16により、解除機構12の作動を一切禁止することができる。これにより、エンドエフェクター20がアーム102に対し不本意に容易に離脱するのを確実に防止することができる。また、解除機構12を作動させて、例えばエンドエフェクター20を別のエンドエフェクター20と交換したい等の場合には、所望のタイミングでロック用レバー7を許可状態とすることより、その作動が可能となる。
次に、前記別のエンドエフェクター20を装着するまでの各機構の作動について、図15図16に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
【0063】
<<図15に示すフローチャートについて>>
着脱装置1が未だ装着状態となっていない状態では、解除機構12は、係合部材3が係合位置にある。また、ロック機構16は、ロック用レバー7が禁止状態となっている。このような状態から装着動作を開始する。
まず、ロック機構16を作動させて、ロック用レバー7が許可状態とする。次に、解除機構12を作動させて、係合部材3を係合解除位置に移動させる。
そして、制御装置104に内蔵されているタイマーを作動させ(ステップS1)、タイムアップまで待機し(ステップS2)、その後、近接センサー17がOFFであるか否か、すなわち、ロック用レバー7を検出していないかを判断する(ステップS3)。
【0064】
ステップS3において近接センサー17がOFFであると判断されたら、着脱装置1をエンドエフェクター20に基端側から押し込んでいき(ステップS4)、タイマーを作動させる(ステップS5)。そして、この押込が完了するとみなされる時間まで、すなわち、タイムアップまで待機する(ステップS6)。なお、ステップS3において近接センサー17がOFFではないと判断されたら、ロック用レバー7を引張り操作して許可状態とする(ステップS7)。
【0065】
次いで、解除機構12の操作レバー5が操作されており、係合部材3が係合位置にあるか否かを判断する(ステップS8)。
ステップS8において操作レバー5が操作されていると判断されたら、ロック用レバー7を押圧操作して禁止状態とする(ステップS9)。なお、ステップS8において操作レバー5が操作されていないと判断されたら、操作レバー5を操作して(ステップS10)、係合部材3が係合位置にあるようにし、ロック用レバー7を押圧操作して禁止状態とする(ステップS9)。
【0066】
次いで、近接センサー17がONであるか否か、すなわち、ロック用レバー7を検出しているかを判断する(ステップS11)。
ステップS11において近接センサー17がONであると判断されたら装着動作が完了する。なお、ステップS11において近接センサー17がONであると判断されない場合には、ステップS9に戻り、以降のステップを実行する。
【0067】
<<図16に示すフローチャートについて>>
着脱装置1が未だ装着状態となっていない状態では、解除機構12は、係合部材3が係合位置にある。また、ロック機構16は、ロック用レバー7が禁止状態となっている。このような状態から装着動作を開始する。
まず、ロック機構16を作動させて、ロック用レバー7が許可状態とする。
そして、制御装置104に内蔵されているタイマーを作動させ(ステップS21)、タイムアップまで待機し(ステップS22)、その後、近接センサー17がOFFであるか否か、すなわち、ロック用レバー7を検出していないかを判断する(ステップS23)。
【0068】
ステップS3において近接センサー17がOFFであると判断されたら、着脱装置1をエンドエフェクター20に基端側から押し込んでいき(ステップS24)、タイマーを作動させる(ステップS25)。そして、この押込が完了するとみなされる時間まで、すなわち、タイムアップまで待機する(ステップS26)。なお、ステップS23において近接センサー17がOFFでなはないと判断されたら、ロック用レバー7を引張り操作して許可状態とする(ステップS27)。
【0069】
なお、ステップS24における押込過程では、エンドエフェクター20の突出部203がベース2の貫通孔24に挿入されていく。これにより、係合部材3は、突出部203のテーパ部203cに当接して、当該テーパ部203c上を摺動する。このとき、係合部材3は、圧縮コイルバネ4の付勢力に抗して係合解除位置に向かって移動する。その後、係合部材3がテーパ部203cを乗り越えると、係合部材3は、圧縮コイルバネ4の付勢力により、係合位置に再度位置する。また、操作レバー5は、係合部材3の移動に伴って変位することとなる。
ステップS26後、ロック用レバー7を押圧操作して禁止状態とする(ステップS28)。
【0070】
次いで、近接センサー17がONであるか否か、すなわち、ロック用レバー7を検出しているかを判断する(ステップS29)。
ステップS29において近接センサー17がONであると判断されたら装着動作が完了する。なお、ステップS29において近接センサー17がONであると判断されない場合には、ステップS28に戻り、以降のステップを実行する。
このように図16に示すフローチャートに基づいた操作を行なうことにより、エンドエフェクター20に向かって着脱装置1を押し込むという簡単な操作で、その装着操作を行なうことができる。
【0071】
図5図6に示すように、回路基板13は、ベース2の表側の面21の中央部に形成された凹部211に配置、固定されている。この固定方法としては、例えば、本実施形態では、複数本のシンヘッド(thin head)ねじ151を用いた方法を採用している。
この回路基板13は、導体パターン(図示せず)が形成された基板131と、基板131に支持された複数本の端子132とを有している。これらの端子132は、装着状態でエンドエフェクター20の端子205と電気的に接続される。これにより、前述したように、駆動機構204に電力が供給されて、当該駆動機構204が作動することができる。
【0072】
図4に示すように、蓋体14は、ベース2の表側の面21上に配置、固定された板状をなす部材である。これにより、係合機構11等を覆い、保護することができる。なお、蓋体14のベース2に対する固定方法としては、例えば、本実施形態では、複数本のシンヘッド(thin head)ねじ152を用いた方法を採用している。
また、蓋体14には、ベース2の貫通孔24やガイド孔29、その他、回路基板13の端子132等が露出する開口部141が複数設けられている。これらの開口部は、それぞれ、蓋体14を貫通して形成された貫通孔や、欠損して形成された欠損部で構成されている。
蓋体14の構成材料としては、特に限定されず、例えば、アルミニウムやその合金等の各種金属材料を用いることができる。
【0073】
以上、本発明の着脱装置およびロボットを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、着脱装置およびロボットを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の着脱装置およびロボットは、前記実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0074】
また、ロボットは、前記実施形態では2本のアームを備える人間型双腕ロボットであったが、これに限定されず、例えば、アームの本数としては、1本または3本以上であってもよい。
また、ロボットとしては、人間型のロボットの他に、クレーン等のような建設機械や、エレベーター、エスカレーター等のような不動産に設置される装置であってもよい。
【0075】
また、エンドエフェクターは、対象物を挟持するよう構成されたものに限定されず、例えば、対象物を吸引するよう構成されたものであってもよい。
また、着脱装置は、前記実施形態ではロック用レバーおよび操作レバーのうちのロック用レバーにカム溝が設けられ、操作レバーにカムフォロアが設けられているが、これに限定されず、操作レバーにカム溝が設けられ、ロック用レバーにカムフォロアが設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1……着脱装置(着脱ユニット) 2……ベース 21……表側の面 211……凹部 22……裏側の面 221、222、223……凹部 23……欠損部 24……貫通孔(挿通孔) 25……ガイド溝 251……仕切り部 26、27……凹部 261……ガイドピン 28……ガイドピン 29……ガイド孔 3……係合部材 31……裏側の面 311……係合面 4……圧縮コイルバネ 5……操作レバー(解除操作レバー) 51……屈曲部 52……突出部分 53……指掛け部 54……カムフォロア 541……フランジ部 6……リンク機構 61……エレメント 611……ガイド溝 62……エレメント 7……ロック用レバー 71……指掛け部 72……カム溝 721……第1部分 722……第2部分 723……第3部分 73……欠損部 8……係合片 81……角部 9……圧縮コイルバネ 11……係合機構 12……解除機構 121、122、123、124、125、126、127……連結部 129……エレメント 13……回路基板 131……基板 132……端子 14……蓋体 141……開口部 151、152……シンヘッド(thin head)ねじ 16……ロック機構 17……近接センサー 18……固定部 20……エンドエフェクター 201……本体部 201a……基端面 202……フィンガー 203……突出部 203a……頂部 203b……根元部 203c……テーパ部 203d……係合面 204……駆動機構 205……端子 206……ガイドピン 100……ロボット 101……胴部 101a……バンパー 101b……画像表示装置 102……アーム(ロボットアーム) 102a、102b、102c、102d、102e……アーム本体(エレメント) 103……脚部 103a……キャスター 104……制御装置 105……電子カメラ 106……信号灯 J1、J2、J3、J4、J5、J6、J7……回動軸 S1〜S11、S21〜S29……ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16