特許第6221368号(P6221368)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221368
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】糸状部材の供給装置およびその供給方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 57/18 20060101AFI20171023BHJP
   B65H 57/12 20060101ALI20171023BHJP
   B65B 17/00 20060101ALN20171023BHJP
   B65B 23/20 20060101ALN20171023BHJP
【FI】
   B65H57/18
   B65H57/12
   !B65B17/00 F
   !B65B23/20
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-121031(P2013-121031)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-237514(P2014-237514A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2016年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002200
【氏名又は名称】セントラル硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】氏家 謙二
(72)【発明者】
【氏名】中山 隆史
(72)【発明者】
【氏名】奥本 慎吾
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−230610(JP,A)
【文献】 実開平06−077910(JP,U)
【文献】 特開平09−263364(JP,A)
【文献】 特開昭60−236980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 49/00 〜 49/38
B65H 51/16
B65H 57/00 〜 57/28
B65B 17/00
B65B 23/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重ねて配置される複数の板状部材間に、スペーサとして介在させる糸状部材の供給装置において、
前記糸状部材の繰出部と、
前記繰出部に対して前記糸状部材の繰出し方向の下流側に配置され、一定方向への気流を発生し、前記繰出部により繰出された前記糸状部材を、発生された気流に沿って送り出すエア搬送部と、
前記繰出部と前記エア搬送部との間に配置されている糸状部材切断部と、を備え、
前記エア搬送部は、前記気流が発生された際に、前記糸状部材切断部よりも上流側にある前記糸状部材の端部を、前記糸状部材切断部の二枚の切断刃の間を通るように吸い込む位置に配置されていること、
を特徴とする糸状部材の供給装置。
【請求項2】
前記エア搬送部は、
吸気口と排気口とを有する筒状本体と、
前記筒状本体の側部に設けられた圧縮空気流入部とを有し、前記圧縮空気流入部より流入された圧縮空気により、前記筒状本体の内部に前記吸気口から前記排気口への気流を発生させること、
を特徴とする請求項1に記載の糸状部材の供給装置。
【請求項3】
前記繰出部は、
駆動部により回転駆動される駆動ローラと、
前記駆動ローラと外周縁部同士が接する従動ローラと、を備え、
前記糸状部材は、前記駆動ローラの前記外周縁部に、少なくとも45度以上である中心角でその円弧に沿って接していること、を特徴とする請求項1または2に記載の糸状部材の供給装置。
【請求項4】
糸状部材の繰出部と、前記繰出部に対して前記糸状部材の繰出し方向の下流側に配置され、一定方向への気流を発生し、前記繰出部により繰出された前記糸状部材を、発生された気流に沿って送り出すエア搬送部と、
前記繰出部と前記エア搬送部との間に設けられた糸状部材切断部と、を備え、
重ねて配置される複数の板状部材間にスペーサとして介在させる糸状部材の供給装置において、前記板状部材への前記糸状部材の供給を開始する際、前記エア搬送部を作動させ、前記糸状部材切断部よりも上流側にある前記糸状部材の端部を、前記糸状部材切断部の二枚の切断刃の間を通るように吸い込ませること、
を特徴とする板状部材間への糸状部材の供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の板状部材を積載する際に、その板状部材間にスペーサとして配置する糸状部材の供給装置およびその供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、板状部材としてたとえば板ガラスを、その積載台に縦姿勢で積載する場合、ガラス板同士の接触を防ぐために、ガラス板間にスペーサ糸を挟むことが行われている。このようなスペーサ糸を供給する装置として、スペーサ糸を駆動プーリによって繰出し、板ガラス間にスペーサ糸を供給する装置がある(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−230610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来技術の供給装置は、スペーサ糸をガラス板の最前面に供給する際に、スペーサ糸の送りが、プーリ間の繰り出しだけで行われている。このため、スペーサ糸がガラス板の表面に送られる途中で絡まったり、ガラス板表面の適切な場所に送られない可能性がある。
【0005】
本発明の課題は、糸状部材を板状部材間に、より適切に配置可能な糸状部材の供給装置およびその供給方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により課題を解決する。
請求項1に記載の発明は、重ねて配置される複数の板状部材(2)間に、スペーサとして介在させる糸状部材(6)の供給装置(1)において、前記糸状部材(6)の繰出部(11)と、前記繰出部(11)に対して前記糸状部材(6)の繰出し方向の下流側に配置され、一定方向への気流を発生し、前記繰出部(11)により繰出された前記糸状部材(6)を、発生された気流に沿って送り出すエア搬送部(50)と、を備えること、を特徴とする糸状部材(6)の供給装置(1)である。
請求項2に記載の発明は、前記エア搬送部(50)は、吸気口(51a)と排気口(51b)とを有する筒状本体(51)と、前記筒状本体(51)の側部に設けられた圧縮空気流入部(52)とを有し、前記圧縮空気流入部(52)より流入された圧縮空気により、前記筒状本体(51)の内部に前記吸気口(51a)から前記排気口(51b)への気流を発生させること、を特徴とする請求項1に記載の糸状部材(6)の供給装置(1)である。
請求項3に記載の発明は、前記繰出部(11)と前記エア搬送部(50)との間に糸状部材切断部(40)が設けられていること、特徴とする請求項1または2に記載の糸状部材(6)の供給装置(1)である。
請求項4に記載の発明は、前記繰出部(11)は、駆動部(12)により回転駆動される駆動ローラ(13)と、前記駆動ローラ(13)と外周縁部(13a,14a))同士が接する従動ローラ(14)と、を備え、前記糸状部材(6)は、前記駆動ローラ(13)の前記外周縁部(13a)に巻回されていること、を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の糸状部材(6)の供給装置(1)である。
請求項5に記載の発明は、糸状部材(6)の繰出部(11)と、前記繰出部(11)に対して前記糸状部材(6)の繰出し方向の下流側に配置され、一定方向への気流を発生し、前記繰出部(11)により繰出された前記糸状部材(6)を、発生された気流に沿って送り出すエア搬送部(50)と、前記繰出部(11)と前記エア搬送部(50)との間に設けられた糸状部材切断部(40)と、を備え、重ねて配置される複数の板状部材(2)間にスペーサとして介在させる糸状部材(6)の供給装置(1)において、前記板状部材(2)への前記糸状部材(6)の供給を開始する際、前記エア搬送部(50)を作動させ、前記糸状部材切断部(40)よりも上流側にある前記糸状部材(6)の端部を、前記糸状部材切断部(40)の二枚の切断刃の間を通るように吸い込ませること、を特徴とする板状部材(2)間への糸状部材(6)の供給方法である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、糸状部材を、より適切に板状部材間に配置可能な糸状部材の供給装置およびその供給方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の糸供給装置及びガラス積載台の斜視図である。
図2】糸供給装置の給糸ヘッドの要部の拡大斜視図である。
図3】エア搬送部の拡大模式図である。
図4】糸供給装置によるガラス板間へのスペーサ糸配置方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1は本実施形態の糸供給装置1及びガラス積載台3の斜視図である。
ガラス積載台3は、積載されるガラス板2、2、・・の下辺と当接する床桟5と、ガラス板2、2、・・を、その背面でもたれ掛けさせて当該ガラス板2、2、・・の荷重を支持する背板4とを備える。
【0010】
なお、本実施形態においてスペーサ糸6は、これに限定されるものではないが、コットンヤーンまたは樹脂糸からなるヤーンである。特にガラス板面にセラミックペーストを印刷したガラス等については油脂分の影響のない脱脂したコットンヤーンが好ましい。
また、スペーサ糸6の線径としては、ガラス板2間に挟持されガラス板2によって圧縮変形した時にスペーサとしての機能を維持する必要があるため、φ2mm前後が望ましい。
【0011】
ガラス板2は、フラットなガラス板であって、矩形状に限らず、自動車用窓ガラスの素板として用いられる略三角形状、略台形状の異形状であっても良い。また、ガラス板2の外周エッジ部についてはシーミング加工等の端面を研磨されたもの、および研磨されてないもののいずれでも良い。
【0012】
糸供給装置1は、ガラス積載台3上に複数枚のガラス板2、2、・・を順次載置する際に、スペーサ糸巻ロール7に巻回されたスペーサ糸6を、ガラス板2とガラス板2との間にスペーサ糸6を挿入させる装置である。
ガラス板2とガラス板2との間にスペーサ糸6を配置することで、ガラス板2間の直接接触が防止され、ガラス板2の欠けやこすれが防止される。
【0013】
なお、スペーサ糸6が巻回されたスペーサ糸巻ロール7は、1系列毎に使用中のスペーサ糸巻ロール7のスペーサ糸6の末端部と、次に使用する待機状態のスペーサ糸巻ロールのスペーサ糸6の先端とを予め結んで連結しておくことが好ましい。このように連結することにより、使用中のスペーサ糸巻ロールの使用完了時の交換作業によって運転が中断されることがなくなる。
【0014】
本実施形態の糸供給装置1は、スペーサ糸6の方向転換をする給糸ガイド15(15a,15b,15c)と、ガラス積載台3の背板4の上方かつ背板4の上辺と平行に設けられた横フレーム21と、ガラス板2の順次の積載に伴い、横フレーム21をガラス板2の積載順方向(図1のX方向)に走行移動させる横フレーム走行手段20と、横フレーム21の任意位置より吊り下げられ、スペーサ糸6の供給停止を自在とする1以上の給糸ヘッド10と、を備える。
【0015】
なお、本実施形態の糸供給装置1は、給糸ヘッド10を4つ備え、スペーサ糸6はガラス板2表面に4条給糸されるが、これに限定されるものではない。例えば、積み込み状況に応じてスペーサ糸6を、4条以下の、例えば2条、また4条以上の例えば6条給糸してもよい。
【0016】
給糸ガイド15(15a,15b,15c)は円環部材であり、それぞれが複数個設けられている第1給糸ガイド15a、第2給糸ガイド15b及び第3給糸ガイド15cの3種類を備える。
第1給糸ガイド15aは、スペーサ糸巻ロール7に巻かれたスペーサ糸6を、糸供給装置1の横フレーム走行手段20と平行な方向に方向転換する。
第2給糸ガイド15bは給糸ヘッド10に設けられており、第1給糸ガイド15aから延びるスペーサ糸6を略鉛直方向に方向転換する。
第3給糸ガイド15cも給糸ヘッド10に設けられており、第2給糸ガイド15bから延びるスペーサ糸6を後述の駆動プーリ13の外周方向に方向転換する。
【0017】
横フレーム21は、上述のように1以上の給糸ヘッド10を吊り下げる棒状部材であり、その両端は、板状の取付部材24により保持されている。
【0018】
横フレーム走行手段20は、図1に示すように、ガラス積載台3のガラス板2の積込み側の正面側からみて左右両外側の上部位置に一対の縦フレーム27、27を備える。各縦フレーム27は、それぞれ図示しない手段によって水平方向に互いに平行に保持されている。
【0019】
各縦フレーム27の両端近傍位置にはプーリ23、23’が設けられ、このプーリ23、23’間には無端のベルト22が張られている。
各縦フレーム27の背板側のプーリ23同士はシャフト26で連結されている。シャフト26の一端には走行モータ25が取り付けられ、この走行モータ25の駆動によってシャフト26は回転される。
また、横フレーム21の取付部材24は、左右のベルト22の間に配置されている。
【0020】
走行モータ25の駆動の回転により、シャフト26が回転し、それに伴いプーリ23が回転する。プーリ23の回転によりベルト22が駆動され、取付部材24の移動によって横フレーム21が、ガラス板2、2、・・の積載順方向および逆順方向である前後方向に移動する。
【0021】
なお、ガラス板2の積載順方向とは、ガラス積載台3上にガラス板2が一枚づつ順次積載される方向(図1のX軸方向)である。
すなわち背板4からガラス板2の積み込み装置(図示しない)側に向く方向であり、逆順方向とは、積載順方向とは反対方向の背板側に向く方向である。
【0022】
給糸ヘッド10は、図2に示すように、横フレーム21に対して保持部材17によってY軸方向に位置調整自在に吊り下げられている。
給糸ヘッド10は、保持部材17に吊り下げられている保持板30と、その保持板30に保持されている繰出部11と、切断部40と、エア搬送部50とを備える。
【0023】
繰出部11は、給糸モータ12と、給糸モータ12の駆動によって駆動回転する駆動プーリ13と、駆動プーリ13の外周に対して押圧された状態で噛合う従動プーリ14とを備える。
【0024】
前述の第2給糸ガイド15bは保持板30の上部に取り付けられている。
また、前述の第3給糸ガイド15cは、プーリ間の噛合部Aの鉛直上方から水平方向にずれた位置に配置されている。
すなわち、第3給糸ガイド15cの図2におけるZ方向位置(保持板30に沿った鉛直方向位置)は、好ましくは、駆動プーリ13の外周縁部13aの上端と接する水平線H上、もしくはその水平線Hより下(Zマイナス方向)である。
そして第3給糸ガイド15cのX方向位置(保持板30に沿った水平方向位置)は、駆動プーリ13の回転軸から、駆動プーリ13の半径r以上離れた位置(図2に示すように、駆動プーリ13の回転軸から距離R(>r)の位置)に配置される。
このように第3給糸ガイド15cを配置することにより、第3給糸ガイド15cにガイドされたスペーサ糸6は、駆動プーリ13の外周縁部13aに対して、少なくとも45度以上の中心角θで巻回される。
【0025】
駆動プーリ13は保持板30に対して回転可能に保持され、上述のように給糸モータ12によって回転される。また、その外周縁部13aはスペーサ糸6が脱落しにくいように凹状に形成されている。
【0026】
従動プーリ14は、駆動プーリ13の凹状の外周縁部13aとかみ合うように、その外周縁部14aが凸状に形成されている。
また、従動プーリ14は、保持板30に固定された軸部19の先端に揺動可能に保持されたアーム18の先端に回転自在に設けられている。
保持板30には、円柱状のバネ押さえ16aが立設されており、そのバネ押さえ16aとアーム18との間にバネ16が設けられている。バネ16は、従動プーリ14を駆動プーリ13に常時押圧させる。
このバネ16の付勢力により、従動プーリ14の凸状の外周縁部14aと駆動プーリ13の凹状の外周縁部13aとが噛合部Aにおいて一定の圧力でかみ合う。そして、スペーサ糸6はその噛合部Aに押圧されて挟持され、滑ることなく駆動プーリ13の駆動力が伝達される。
【0027】
切断部40は、従動プーリ14と駆動プーリ13との噛合部Aの下方に配置されている。切断部40は、例えば、一対の切断刃40aを有する公知のエアニッパである。このエアニッパは、外部に設置されたコンプレッサ(図示せず)から供給されるエアを駆動源として、切断刃40aを開閉させる。なお、切断部40はエアニッパに限定されず、その他の自動ハサミであってもよい。
【0028】
図3は、エア搬送部50の拡大模式図である。エア搬送部50は、吸気口51aと排気口51bとを有する筒状本体51と、その側部に設けられた側部筒体52とを備える、例えばトランスベクター(登録商標)である。
側部筒体52の内部空間と筒状本体51の内部空間とは繋がっている。側部筒体52には、コンプレッサ等の圧縮空気送風手段が連結され、圧縮空気が側部筒体52から流入されると、筒状本体51の内面に沿って吸気口51aから排気口51b(Zプラス方向からマイナス方向)に流れる空気の流れが発生する。
【0029】
図1に戻り、スペーサ糸巻ロール7から延びるスペーサ糸6は、第1給糸ガイド15a、第2給糸ガイド15b、第3給糸ガイド15cにより方向転換される。そして、図2に示すように駆動プーリ13の凹状の外周縁部13aに、少なくとも45度以上である中心角θでその円弧に沿って接するので、駆動プーリ13の回転駆動がスペーサ糸6に伝わりやすい。
スペーサ糸6は、駆動プーリ13の凹状の外周縁部13aとの従動プーリ14の凸状の外周縁部14aとの噛合部Aに挟持されている。給糸モータ12のオンオフにより駆動プーリ13を必要量だけ回転させることにより、スペーサ糸6は、必要な時に、必要な長さだけ繰り出すことができる。
【0030】
そして、スペーサ糸6は、後述するように複数のガラス板2間に配置された後、切断部40により切断される。
さらにスペーサ糸6は、一旦切断された後、次のガラス積載台3へのガラス板2の配置が開始されると、再度ガラス板2間への供給が開始される。
再度、ガラス板2間に供給が開始される際、スペーサ糸6の切断された先端は、切断部40の切断刃40aの間より上にある。
【0031】
この状態で駆動プーリ13が駆動すると、スペーサ糸6は下方に繰り出される。その際、スペーサ糸6を自重のみで下方に垂らしていく場合、巻き癖やよれの影響により、スペーサ糸6の先端が両切断刃40a間を通らないことがある。そのため、本実施形態は、エア搬送部50に空気を流してスペーサ糸6の先端をエア搬送部50の吸気口51aに吸引する。これにより、スペーサ糸6は切断部40の2枚の刃40aの間を確実に通って、エア搬送部50の筒状本体51の内部に挿通される。
【0032】
次に、スペーサ糸6のガラス板2間への供給方法について説明する。図4は本実施形態の糸供給装置によるガラス板2間へのスペーサ糸6の配置方法を説明する図である。
まず、ガラス積載台3上にガラス板2を積載する前、給糸ヘッド10は図4の点線Aの位置にある。
この状態で、給糸モータ12を作動させ、駆動プーリ13を必要量だけ回転させることにより、スペーサ糸6を繰り出して、ガラス積載台3の背板4の前面側にスペーサ糸6を垂らす。
【0033】
この際、エア搬送部50を作動させることによりスペーサ糸6は、エア搬送部50に流される空気によって、確実に下方に送られる。すなわち、エア搬送部50による空気の流れがない場合、スペーサ糸6の巻き癖、よれ、剛性等の影響により、スペーサ糸6が鉛直下方に下がっていかない可能性がある。また風等の影響でスペーサ糸6が下がる方向が定まらない可能性もある。しかし、本実施形態ではエア搬送部50が設けられているため、気流に沿って下方に送られ、スペーサ糸6の位置が制御しやすい。
【0034】
このスペーサ糸6を垂らした状態で、図示しないロボットにより1枚のガラス板2をガラス積載台3上に載置する。
ロボットによるガラス板2の保持を解除すると、ガラス板2の自重とガラス積載台3の背板4とでスペーサ糸6を挟持固定した状態となる。このときのスペーサ糸6の状態が6aである。
【0035】
次いで、横フレーム走行手段20によって給糸ヘッド10を最前列のガラス板2の面より100mm程度離した位置まで移動する。
この状態で、スペーサ糸6を垂らすことによって、ガラス板2の前面にスペーサ糸6が接触しない状態でスペーサ糸6を下辺近傍位置まで到達させことができるので、スペーサ糸6をスムーズに下辺近傍位置まで到達させることができる。
また、この際も、上述のようにエア搬送部50を作動させることによりスペーサ糸6は、エア搬送部50を流れる空気によって、確実に下方に送られ、スペーサ糸6の位置の制御をより正確に行うことができる。
【0036】
スペーサ糸6をガラス板2の前面に送出した後、横フレーム走行手段20によって給糸ヘッド10を最前列のガラス板2の位置、すなわち、ガラス板2を積込む前の停止位置座標にガラス板の1枚分の厚み相当の長さだけ加えた位置座標まで後退させる。
これにより、垂れ下がったスペーサ糸6がガラス板2の前面に当接される。
【0037】
このように、スペーサ糸6を垂れ下げる時は、ガラス板2の前面から離して行う。そして、新たなガラス板2を積み込む時には、スペーサ糸6が邪魔にならないように、また、新たなガラス板2の積み込み前に、スペーサ糸6がすでに積載されているガラス板間のスペーサとしての機能を果たせるように、スペーサ糸6をガラス板2の前面側に密着させる。
【0038】
ガラス板2を1枚積載する都度、このように横フレーム21をガラス板2から離れた位置まで走行させ、ガラス板2の前面側に所定長さだけスペーサ糸を垂らす。そして、その後に、横フレーム21を後退させてガラス板2の前面にスペーサ糸6を配設させる。
なお、ガラス板2間に介在するスペーサ糸6は、各系列ごとに積み込み開始時から積込完了まで連続したスペーサ糸6であり、途中で切断することはない。
【0039】
そして、ガラス積載台3上に積載したガラス板2が設定枚数に到達する1枚前での給糸ヘッド10の位置を図4にBで示す。糸ヘッド10が位置Bにある状態で、最後の1枚のガラス板2bがガラス積載台3上に載置される。その状態が図4の状態である。そして、スペーサ糸6は切断部40により切断される。
【0040】
給糸ヘッド10から切断されたスペーサ糸6は、最前列のガラス板2bの前面に一点鎖線6bで示すように垂れ下がった状態となる。スペーサ糸6bは、このように最前列のガラス板2の前面に垂れていても差し支えなく、逆にこのガラス板2を満載したガラス積載台3よりガラス板を1枚づつ取り出す際に、スペーサ糸6bの先端を掴み易いので回収に好ましい。
【0041】
以上、本実施形態によると、以下の効果を有する。
(1)スペーサ糸6を繰り出して、ガラス板2の表面に垂らす際、エア搬送部50を作動させることにより、スペーサ糸6はエア搬送部50を流れる空気によって、確実に下方に送られるので、スペーサ糸6の位置が制御しやすい。
(2)スペーサ糸6の切断された先端が、切断部40の切断刃40aの間より上にある状態で駆動プーリ13を駆動すると、スペーサ糸6は下方に繰り出される。その際、スペーサ糸6を自重のみで下方に垂らしていく場合、巻き癖やよれの影響により、スペーサ糸6の先端が両切断刃40a間を通らないことがある。
そのため、本実施形態は、エア搬送部50に空気を流してスペーサ糸6の先端をエア搬送部50の吸気口51aに吸引する。
これにより、スペーサ糸6は切断部40の2枚の刃40aの間を確実に通って、エア搬送部50の内部に挿通される。
(3)スペーサ糸6は、駆動プーリ13の外周縁部13aに、少なくとも45度以上である中心角θの範囲で巻回されるので、駆動プーリ13の回転駆動がスペーサ糸6に伝わりやすい。したがって、スペーサ糸6にロール7間の結び目があっても、スペーサ糸6を確実に繰り出すことができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したがこれに限定されるものではない。
(1)例えば、本実施形態で、ガラス積載台3上には積載されるガラス板2は、1列について説明したが、必ずしも1列とは限らず、ガラス板2のサイズによっては2列、3列に並べて積載されるものでも良い。また、異形ガラスを2列、3列に並列にして積むようにしても良い。
この場合には、スペーサとして供給するスペーサ糸は、少なくともガラス板各列毎に少なくとも1本あれば良いが、2本以上あればより好適である。そして、給糸ヘッド10の個数は、その本数に合わせて稼動させる。
【0043】
(2)また、給糸ヘッド10をそれぞれ横フレームに沿って互いに衝突しない範囲でガラス板1枚積載するごとに必要に応じて自動的に往復移動させ、垂らしたスペーサ糸6をU字状となるようにしても良い。
【0044】
(3)ガラス積載台またはガラス積載台3の床桟5と背板4について、図1ではフラットなパネル状になっているが、それぞれ長尺の剛性なフレーム材を縦横両方向に枠組みしたものでも良い。ガラス板の下端エッジ、および背面と当接する床桟5と背板4の面またはフレーム材には緩衝材としてシート状の弾性ゴムを貼着させると、より好ましい。
【符号の説明】
【0045】
1:糸供給装置、2:ガラス板、3:ガラス積載台、6:スペーサ糸、10:給糸ヘッド、11:繰出部、12:給糸モータ、13:駆動プーリ、14:従動プーリ、15a:第1給糸ガイド、15b:第2給糸ガイド、15c:第3給糸ガイド、30:保持板、40:切断部、40a:切断刃、40a:枚の刃、50:エア搬送部、51a:吸気口、51b:排気口、51:筒状本体、52:側部筒体
図1
図2
図3
図4