(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記繋ぎ部は、前記芯材に前記正極と前記負極と前記セパレータとが巻回された状態で、前記芯材に前記正極と前記負極と前記セパレータとが巻回されていない状態よりも前記芯材の前記幅が小さくなるように弾性変形されている
請求項1に記載の蓄電素子。
前記2つの巻軸取付部のうちの少なくとも1つの巻軸取付部には、前記芯材を前記巻回軸が延びる方向から見た場合に、前記巻軸が挿入される非円形状の開口部が形成されている
請求項1〜5のいずれか1項に記載の蓄電素子。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の巻回型の蓄電素子では、正極と負極とセパレータとが巻回された電極体にたるみや皺が生じて、蓄電素子の性能が低下する場合があるという問題がある。
【0006】
つまり、電極体を形成する際などに、正極と負極とセパレータとの間に隙間が生じることで、電極体にたるみや皺が生じる場合がある。そして、この場合には、正極及び負極間の距離が増大して抵抗が増加したり、電解液の液枯れが部分的に起きたり、電極への被膜成長が部分的に加速するなどによって、蓄電素子の性能が低下する。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、電極体にたるみや皺が生じるのを低減し、性能の低下を抑制することができる蓄電素子、電極体の最内周に配置される芯材、及び蓄電素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子は、正極と負極とセパレータとが巻回軸周りに巻回されて形成される電極体を備える蓄電素子であって、前記電極体は、巻回された前記正極と前記負極と前記セパレータとの最内周内方に配置される芯材を備え、前記芯材は、前記正極と前記負極と前記セパレータとを前記巻回軸周りに巻回して前記電極体を形成するための巻軸が取り付けられる2つの巻軸取付部と、弾性を有するとともに前記2つの巻軸取付部を繋ぐ繋ぎ部とを有しており、前記繋ぎ部は、前記2つの巻軸取付部の位置関係の変更による弾性変形によって、前記芯材の前記巻回軸と交差する方向における幅を小さく変形可能に形成されている。
【0009】
これによれば、蓄電素子は、電極体の最内周に配置される芯材を備えており、芯材は、巻軸が取り付けられる2つの巻軸取付部と、弾性を有する繋ぎ部とを有し、繋ぎ部は、2つの巻軸取付部の位置関係の変更による弾性変形によって、芯材の幅を小さく変形可能に形成されている。つまり、2つの巻軸取付部の位置関係を変更することで繋ぎ部を弾性変形させることができるため、2つの巻軸取付部に取り付けられた巻軸の2つの部材の位置関係を変更することで、簡易に、繋ぎ部を弾性変形させて芯材の幅を小さく変形させることができる。そして、繋ぎ部を弾性変形させて芯材の幅を小さく変形させることで、芯材には、外側に広がろうとする力が生じる。これにより、芯材の周りに巻回された正極と負極とセパレータとに外側に向けた力が加わるため、電極体にたるみや皺が生じるのを低減し、蓄電素子の性能の低下を抑制することができる。
【0010】
また、前記繋ぎ部は、前記芯材に前記正極と前記負極と前記セパレータとが巻回された状態で、前記芯材に前記正極と前記負極と前記セパレータとが巻回されていない状態よりも前記芯材の前記幅が小さくなるように弾性変形されていることにしてもよい。
【0011】
これによれば、繋ぎ部は、芯材に電極が巻回された状態で、芯材に電極が巻回されていない状態よりも芯材の幅が小さくなるように弾性変形されているため、芯材には、電極体の最内周に配置されている状態において、外側に広がろうとする力が生じている。これにより、芯材の周りに巻回された電極に外側に向けた力が加わるため、電極体にたるみや皺が生じるのを低減し、蓄電素子の性能の低下を抑制することができる。
【0012】
また、前記繋ぎ部は、弾性変形によって前記2つの巻軸取付部間の距離を小さくすることで、前記芯材の前記幅を小さく変形可能に形成されていることにしてもよい。
【0013】
これによれば、2つの巻軸取付部間の距離を小さくすることで、繋ぎ部が弾性変形されて、芯材の幅を小さく変形させることができる。つまり、2つの巻軸取付部に取り付けられた巻軸の2つの部材を近づけることで、2つの巻軸取付部間の距離を小さくすることができるため、簡易に、繋ぎ部を弾性変形させて芯材の幅を小さく変形させることができる。
【0014】
また、前記2つの巻軸取付部は、前記芯材を前記巻回軸方向から見た場合に、前記芯材の長手方向及び短手方向と交差する方向に配列されていることにしてもよい。
【0015】
これによれば、2つの巻軸取付部は、芯材の長手方向及び短手方向と交差する方向に配列されているため、2つの巻軸取付部間の距離を小さくして芯材の幅を小さく変形させた場合に、芯材の周りに巻回された電極に、当該交差する方向に向けた力が加わる。このため、芯材の長手方向または短手方向のみではなく、長手方向及び短手方向の双方に向けた力が電極に加わるため、電極体にたるみや皺が生じるのをさらに低減し、蓄電素子の性能の低下を抑制することができる。
【0016】
また、前記繋ぎ部は、前記2つの巻軸取付部に挟まれる位置に配置される中間部と、前記中間部の両端部のそれぞれと前記2つの巻軸取付部のそれぞれとに接続される2つの接続部とを有し、前記中間部は、前記芯材を前記巻回軸方向から見た場合に、前記2つの接続部よりも厚みが厚くなるように形成されていることにしてもよい。
【0017】
これによれば、繋ぎ部は、中間部の方が、中間部の両側の2つの接続部よりも厚みが厚くなるように形成されている。ここで、繋ぎ部が弾性変形される際には、中間部ではなく、2つの接続部が弾性変形されることで、芯材の幅が小さく変形される。このため、繋ぎ部を弾性変形させるのに必要な2つの接続部よりも、繋ぎ部を弾性変形させるのに必要のない中間部の厚みを厚くすることで、繋ぎ部の不要な変形を抑制することができ、効果的に繋ぎ部を弾性変形させることができる。
【0018】
また、前記2つの巻軸取付部のうちの少なくとも1つの巻軸取付部には、前記芯材を前記巻回軸方向から見た場合に、前記巻軸が挿入される非円形状の開口部が形成されていることにしてもよい。
【0019】
これによれば、芯材の巻軸取付部に形成された非円形状の開口部に巻軸が挿入されるため、巻軸を回転させて芯材に電極を巻回する際に、巻軸に対して芯材を固定することができる。このため、電極体を形成する際に、電極体にたるみや皺が生じるのをさらに低減し、蓄電素子の性能の低下を抑制することができる。
【0020】
また、本発明は、このような蓄電素子として実現することができるだけでなく、当該蓄電素子が備える電極体、または当該電極体の最内周に配置される芯材として実現することもできる。
【0021】
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る蓄電素子の製造方法は、正極と負極とセパレータとが巻回軸周りに巻回されて形成される電極体を備える蓄電素子の製造方法であって、前記電極体の最内周に配置するための芯材を弾性変形させて、前記芯材の前記巻回軸と交差する方向における幅を小さく変形する芯材変形工程と、前記芯材の前記幅を小さく変形した状態で、前記芯材の周りに前記正極と前記負極と前記セパレータとを巻回して前記電極体を形成する巻回工程とを含む。
【0022】
これによれば、蓄電素子の製造方法において、芯材を弾性変形させて芯材の幅を小さく変形し、芯材の幅を小さく変形した状態で、芯材の周りに電極を巻回して電極体を形成する。つまり、事前に、芯材の幅が小さくなるように芯材を弾性変形しておき、当該弾性変形した状態を維持しながら電極を巻回する。これにより、芯材に外側に広がろうとする力が生じていない状態で巻回し、巻回後に、芯材に外側に広がろうとする力を生じさせることができる。このため、巻回後に、芯材の周りに巻回された正極と負極とセパレータとに外側に向けた力が加わるため、電極体にたるみや皺が生じるのを低減し、蓄電素子の性能の低下を抑制することができる。
【0023】
また、さらに、前記芯材変形工程の前に、前記正極と前記負極と前記セパレータとを前記巻回軸周りに巻回して前記電極体を形成するための巻軸を、前記芯材に取り付ける巻軸取付工程を含むことにしてもよい。
【0024】
これによれば、蓄電素子の製造方法において、芯材変形工程の前に、巻軸を芯材に取り付ける。つまり、巻軸を芯材に取り付けた後に、芯材を変形させ、巻軸を回転させて巻回工程を行うことで、電極体を形成することができる。
【0025】
また、前記巻軸取付工程では、前記巻軸を、前記芯材が有する2つの巻軸取付部に取り付け、前記芯材変形工程では、前記2つの巻軸取付部の位置関係を変更することで、前記2つの巻軸取付部を繋ぐ繋ぎ部を弾性変形させて、前記芯材の前記幅を小さく変形することにしてもよい。
【0026】
これによれば、蓄電素子の製造方法において、巻軸を2つの巻軸取付部に取り付けた後に、2つの巻軸取付部の位置関係を変更することで、繋ぎ部を弾性変形させて、芯材の幅を小さく変形する。つまり、2つの巻軸取付部に取り付けられた巻軸の2本の軸の位置関係を変更することで、2つの巻軸取付部の位置関係を変更することができるため、簡易に、繋ぎ部を弾性変形させて芯材の幅を小さく変形させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によると、電極体にたるみや皺が生じるのを低減し、蓄電素子の性能の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電素子、電極体、電極体の最内周に配置される芯材、及び蓄電素子の製造方法について説明する。
【0030】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密には一致しない。
【0031】
(実施の形態)
まず、蓄電素子10の構成について、説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の外観斜視図である。なお、同図は、容器内部を透視した図となっている。また、
図2は、本発明の実施の形態に係る電極体400の構成を示す斜視図である。また、
図3は、本発明の実施の形態に係る電極体400の詳細な構成を示す正面図である。具体的には、同図は、
図2に示された電極体400をX軸プラス側から見た場合の図である。
【0033】
蓄電素子10は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。なお、蓄電素子10は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
【0034】
まず
図1に示すように、蓄電素子10は、容器100と、正極端子200と、負極端子300とを備え、容器100は、上壁であるふた板110を備えている。また、容器100内方には、電極体400と、正極集電体120と、負極集電体130とが配置されている。なお、容器100の内部には電解液などの液体が封入されているが、当該液体の図示は省略する。
【0035】
容器100は、金属からなる矩形筒状で底を備える筐体本体と、当該筐体本体の開口を閉塞する金属製のふた板110とで構成されている。また、容器100は、電極体400等を内部に収容後、ふた板110と筐体本体とが溶接等されることにより、内部を密封することができるものとなっている。
【0036】
電極体400は、
図2に示すように、正極410と負極420とセパレータ430とを備え、電気を蓄えることができる部材である。具体的には、電極体400は、正極410と負極420との間にセパレータ430が挟み込まれるように層状に配置されたものを全体が長円形状となるように巻回されて形成されている。
【0037】
つまり、電極体400は、正極410と負極420とセパレータ430とが巻回軸周りに巻回されて形成された巻回型の電極体である。ここで、巻回軸とは、正極410と負極420とセパレータ430とが巻回される際の中心軸であり、同図のX軸方向の軸A(以下では巻回軸Aという)である。なお、本実施の形態では、電極体400の形状(同図のYZ平面で切断した場合の断面形状)としては長円形状を示しているが、当該形状は円形状または楕円形状でもよい。
【0038】
正極410は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる長尺帯状の導電性の正極集電箔の表面に、正極活物質層が形成された電極板である。なお、本発明に係る蓄電素子10に用いられる正極410は、特に従来用いられてきたものと異なるところはなく、通常用いられているものが使用できる。
【0039】
つまり、正極410の正極活物質層に用いられる正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、正極活物質として、LiMPO
4、LiMSiO
4、LiMBO
3(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種又は2種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO
2(MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種又は2種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
【0040】
負極420は、銅または銅合金からなる長尺帯状の導電性の負極集電箔の表面に、負極活物質層が形成された電極板である。負極活物質層は、セパレータを挟んで正極の正極活物質層に対向する位置に配置されている。なお、本発明に係る蓄電素子10に用いられる負極420は、特に従来用いられてきたものと異なるところはなく、通常用いられているものが使用できる。
【0041】
つまり、負極420の負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質であれば、適宜公知の材料を使用できる。例えば、負極活物質として、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−錫、リチウム−アルミニウム−錫、リチウム−ガリウム、及びウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えば黒鉛、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(Li
4Ti
5O
12等)、ポリリン酸化合物などが挙げられる。
【0042】
なお、負極活物質として黒鉛または易黒鉛化炭素を用いた場合に、電極体400の膨張収縮が大きくなり、電極体400にたるみや皺が生じやすくなるため、本発明を適用することによる効果が大きい。
【0043】
セパレータ430は、正極410と負極420との間に配置される長尺帯状のセパレータであり、具体的には、微多孔性のシートである。なお、セパレータ430の材質は特に限定されず、適宜公知の材料を使用できる。
【0044】
また、
図3に示すように、電極体400は、巻回された正極410と負極420とセパレータ430との最内周内方に配置される芯材500をさらに備えている。つまり、芯材500の周り(巻回軸A周り)に正極410と負極420とセパレータ430とが巻回されることで、電極体400が形成される。
【0045】
芯材500は、電極体400の最内周に配置される絶縁性の部材である。具体的には、芯材500は、ポリプロピレンまたはポリエチレンなどの樹脂製の巻芯である。なお、芯材500の材料は樹脂には限定されない。例えば、電極体400のうち、最も芯材500に近い位置にセパレータを配置したり芯材500を絶縁性の部材で覆ったりする場合や、正極410または負極420のいずれか一方の電位を芯材500に落とす場合には、金属などの導電性の材料を用いても良い。芯材500の詳細な構成については、後述する。
【0046】
図1に戻り、正極端子200は、正極集電体120を介して、電極体400の正極410に電気的に接続された電極端子であり、負極端子300は、負極集電体130を介して、電極体400の負極420に電気的に接続された電極端子である。
【0047】
つまり、正極端子200及び負極端子300は、電極体400に蓄えられている電気を蓄電素子10の外部空間に導出し、また、電極体400に電気を蓄えるために蓄電素子10の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。また、正極端子200及び負極端子300は、電極体400の上方に配置されたふた板110に取り付けられている。
【0048】
正極集電体120は、電極体400の正極410と容器100の側壁との間に配置され、正極端子200と正極410とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、正極集電体120は、正極410の正極集電箔と同様、アルミニウムを主成分とする金属で形成されている。
【0049】
負極集電体130は、電極体400の負極420と容器100の側壁との間に配置され、負極端子300と電極体400の負極420とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材である。なお、負極集電体130は、負極420の負極集電箔と同様、銅を主成分とする金属で形成されている。
【0050】
次に、芯材500の詳細な構成について、説明する。
【0051】
図4は、本発明の実施の形態に係る芯材500の構成を示す斜視図である。具体的には、同図は、正極410と負極420とセパレータ430とが巻回されていない状態における芯材500の構成を示す斜視図である。
【0052】
なお、同図の芯材500は、
図3に示した正極410と負極420とセパレータ430とが巻回された状態における芯材500よりも、外形(Y軸方向及びZ軸方向における幅)が広がっている。つまり、芯材500は、正極410と負極420とセパレータ430とが巻回された状態においては、正極410と負極420とセパレータ430とが巻回されていない状態よりも、外形が小さくなるように形成されている。この外形が小さく変形することについての説明は、後述する。
【0053】
同図に示すように、芯材500は、X軸方向に延びる部材であり、平板状の部材をS型の形状に折り曲げたような、YZ平面における断面形状がS型の形状を有している。ここで、芯材500は、2つの巻軸取付部510と、2つの巻軸取付部510を繋ぐ繋ぎ部520とを有している。
【0054】
巻軸取付部510は、後述の巻軸600が取り付けられる部位であり、X軸方向に延びる棒状の部位である。また、巻軸取付部510には、芯材500を巻回軸方向から見た場合に、巻軸600が挿入される非円形状の開口部511が形成されている。具体的には、開口部511は、断面が長方形状のX軸方向に延びる貫通孔である。なお、巻回軸方向とは、
図3に示した巻回軸Aが延びる方向であり、具体的には図中のX軸方向である。
【0055】
この2つの巻軸取付部510の開口部511に巻軸600の2つの板状部材が挿入され、巻軸600が回転することで、正極410と負極420とセパレータ430とが芯材500に巻回される。なお、開口部511の断面形状は、非円形状であればよく、長円形状や三角形状などであってもよい。
【0056】
また、2つの巻軸取付部510は、芯材500を巻回軸方向(同図のX軸方向)から見た場合に、芯材500の長手方向及び短手方向と交差する方向に配列されている。なお、当該長手方向とは、芯材500をYZ平面で切断した場合の断面形状の長手方向であり、同図のZ軸方向を指す。また、当該短手方向とは、芯材500をYZ平面で切断した場合の断面形状の短手方向であり、同図のY軸方向を指す。つまり、2つの巻軸取付部510は、Y軸方向でもZ軸方向でもない斜め方向(芯材500をYZ平面で切断した場合の断面形状の対角線上)に配列されている。
【0057】
繋ぎ部520は、弾性を有するとともに、2つの巻軸取付部510を繋ぐ、X軸方向に延びるS字形状の部位である。繋ぎ部520は、2つの巻軸取付部510の位置関係の変更による弾性変形によって、芯材500の巻回軸と交差する方向(同図のX軸と交差する方向)における幅を小さく変形可能に形成されている。この繋ぎ部520が弾性変形することについての詳細な説明については、後述する。ここで、繋ぎ部520は、中間部521と、2つの接続部522とを有している。
【0058】
中間部521は、2つの巻軸取付部510に挟まれる位置に配置された、X軸方向に延びる棒状の部位である。つまり、中間部521は、2つの巻軸取付部510を結ぶ線分と交わる位置に配置されている。
【0059】
また、中間部521は、芯材500を巻回軸方向(同図のX軸方向)から見た場合に、2つの接続部522よりも厚みが厚くなるように形成されている。つまり、芯材500をYZ平面で切断した場合の断面形状において、中間部521は、2つの接続部522よりも厚みが厚い。
【0060】
接続部522は、中間部521の両端部のそれぞれと2つの巻軸取付部510のそれぞれとに接続される部位である。つまり、それぞれの接続部522は、一端が中間部521の端部と接続され、他端が1つの巻軸取付部510と接続された、X軸方向に延びる曲板状の部位である。具体的には、それぞれの接続部522は、YZ平面における断面がU字形状を有し、巻回軸(
図3に示した巻回軸A)に対して2つの接続部522が点対称の関係となる形状を有している。
【0061】
次に、蓄電素子10の製造方法について説明する。
【0062】
図5は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法における製造工程を示すフローチャートである。具体的には、同図は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10を構成する電極体400を製造する過程を示すフローチャートである。
【0063】
また、
図6は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法の一工程である電極体400を製造する過程における巻軸取付工程を説明するための図である。また、
図7は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法での当該電極体400を製造する過程における芯材変形工程を説明するための図である。また、
図8は、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法での当該電極体400を製造する過程における巻回工程を説明するための図である。
【0064】
まず、
図5に示すように、巻軸取付工程として、巻軸600を、芯材500が有する2つの巻軸取付部510に取り付ける(S102)。ここで、巻軸600は、正極410と負極420とセパレータ430とを巻回軸(
図3に示した巻回軸A)周りに巻回して電極体400を形成するための軸体である。
【0065】
具体的には、
図6に示すように、2つの巻軸取付部510の開口部511に、巻軸600の2つの板状部材610を挿入することで、巻軸600を2つの巻軸取付部510に取り付ける。なお、巻軸600の材質は特に限定されず、樹脂製であっても金属製であってもよい。
【0066】
ここで、2つの板状部材610は、巻軸600に設けられた、2つの巻軸取付部510の開口部511に向けてX軸方向に突出する棒状の部材である。また、当該2つの板状部材610は、2つの開口部511と嵌合できるように、2つの開口部511の配置位置に対応して配置され、また、2つの開口部511の形状に対応した形状を有している。
【0067】
図5に戻り、次に、芯材変形工程として、正極410と負極420とセパレータ430とが巻回される前に、電極体400の最内周に配置するための芯材500を弾性変形させて、芯材500の巻回軸と交差する方向における幅を小さく変形する(S104)。つまり、芯材変形工程では、2つの巻軸取付部510の位置関係を変更することで、2つの巻軸取付部510を繋ぐ繋ぎ部520を弾性変形させて、芯材500の幅を小さく変形する。
【0068】
具体的には、
図7に示すように、2つの巻軸取付部510の開口部511に巻軸600の2つの板状部材610を挿入した状態で、2つの板状部材610の位置関係を変更することで、2つの巻軸取付部510の位置関係を変更する。これにより、繋ぎ部520を弾性変形させて、芯材500の巻回軸と交差する方向(本実施の形態では、Y軸方向及びZ軸方向)における幅を小さく変形する。
【0069】
つまり、
図7の(a)の状態から、2つの板状部材610を内側に移動させることで2つの板状部材610を内側に向けて移動させ、2つの板状部材610間の距離を小さくする。これにより、
図7の(b)の状態のように、繋ぎ部520が弾性変形して、2つの巻軸取付部510間の距離が小さくなり、芯材500のY軸方向及びZ軸方向における幅が小さく変形する。
【0070】
具体的には、繋ぎ部520の2つの接続部522が、それぞれの内方の空間が小さくなるように弾性変形することで、芯材500の内部空間が小さくなり、芯材500のY軸方向及びZ軸方向の幅が小さく変形する。つまり、芯材500をX軸方向から見た場合に、芯材500の外側の外縁を繋ぐことによって当該外縁で囲まれた領域(本実施の形態では、略楕円形状または長円形状の領域)の面積が小さくなるように(芯材500の外形が小さくなるように)、繋ぎ部520が弾性変形する。
【0071】
なお、本実施の形態では、2つの巻軸取付部510間の距離が小さくなるように、2つの巻軸取付部510がY軸方向及びZ軸方向と交差する方向に移動して繋ぎ部520が弾性変形するため、芯材500は、Y軸方向及びZ軸方向の双方ともに、幅が小さく変形することになる。
【0072】
このように、繋ぎ部520は、2つの巻軸取付部510の位置関係の変更による弾性変形によって、芯材500の巻回軸と交差する方向における幅を小さく変形可能に形成されている。つまり、繋ぎ部520は、弾性変形によって2つの巻軸取付部510間の距離を小さくすることで、芯材500の当該幅を小さく変形可能に形成されている。
【0073】
図5に戻り、次に、巻回工程として、芯材500の幅を小さく変形した状態で、芯材500の周りに正極410と負極420とセパレータ430とを巻回して電極体400を形成する(S106)。
【0074】
具体的には、
図8の(a)に示すように、巻軸600の2つの板状部材610間の距離を小さくして、2つの巻軸取付部510間の距離を小さく維持した状態で、巻軸600を巻回軸A周りに回転させる。これにより、芯材500の周りに正極410と負極420とセパレータ430とが巻きつけられ、電極体400が形成される。そして、
図8の(b)に示すように、電極体400が形成された後、巻軸600が引き抜かれる。
【0075】
このように、繋ぎ部520は、芯材500に正極410と負極420とセパレータ430とが巻回された状態で、芯材500に正極410と負極420とセパレータ430とが巻回されていない状態よりも芯材500の幅が小さくなるように弾性変形されている。
【0076】
そして、このようにして形成された電極体400は、容器100内方に収容される。つまり、このようにして形成された電極体400は、正極集電体120及び負極集電体130と溶接され、容器100の筐体本体へ挿入される。そして、当該筐体本体とふた板110とが溶接され、電解液が注液孔(図示せず)から注液された後に、当該注液孔が封止されて、蓄電素子10が完成する。
【0077】
図9は、本発明の実施の形態に係る電極体400が容器100内方に収容された状態を示す断面図である。つまり、同図は、
図1に示した蓄電素子10をYZ平面で切断した場合の蓄電素子10の断面を示す図である。
【0078】
同図に示すように、芯材500の幅が小さくなるように繋ぎ部520が弾性変形された状態で巻軸600が2つの巻軸取付部510から引き抜かれているので、芯材500には、外側に向けた応力F1〜F6が生じている。つまり、2つの巻軸取付部510間の距離が小さくなるように芯材500の幅がY軸方向及びZ軸方向に小さく変形しているので、芯材500には、Y軸方向に向けた応力F1及びF4、Y軸及びZ軸に交差する方向に向けた応力F2及びF5、Z軸方向に向けた応力F3及びF6が生じている。
【0079】
以上のように、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10によれば、電極体400の最内周に配置される芯材500を備えており、芯材500は、巻軸600が取り付けられる2つの巻軸取付部510と、弾性を有する繋ぎ部520とを有し、繋ぎ部520は、2つの巻軸取付部510の位置関係の変更による弾性変形によって、芯材500の幅を小さく変形可能に形成されている。つまり、2つの巻軸取付部510の位置関係を変更することで繋ぎ部520を弾性変形させることができるため、2つの巻軸取付部510に取り付けられた巻軸600の2本の軸の位置関係を変更することで、簡易に、繋ぎ部520を弾性変形させて芯材500の幅を小さく変形させることができる。そして、繋ぎ部520を弾性変形させて芯材500の幅を小さく変形させることで、芯材500には、外側に広がろうとする力が生じる。これにより、芯材500の周りに巻回された正極410と負極420とセパレータ430とに外側に向けた力が加わるため、電極体400にたるみや皺が生じるのを低減し、蓄電素子10の性能の低下を抑制することができる。
【0080】
また、繋ぎ部520は、芯材500に電極(正極410と負極420とセパレータ430)が巻回された状態で、芯材500に電極が巻回されていない状態よりも芯材500の幅が小さくなるように弾性変形されているため、芯材500には、電極体400の最内周に配置されている状態において、外側に広がろうとする力が生じている。これにより、芯材500の周りに巻回された電極に外側に向けた力が加わるため、電極体400にたるみや皺が生じるのを低減し、蓄電素子10の性能の低下を抑制することができる。
【0081】
また、2つの巻軸取付部510間の距離を小さくすることで、繋ぎ部520が弾性変形されて、芯材500の幅を小さく変形させることができる。つまり、2つの巻軸取付部510に取り付けられた巻軸600の2本の板状部材610を近づけることで、2つの巻軸取付部510間の距離を小さくすることができるため、簡易に、繋ぎ部520を弾性変形させて芯材500の幅を小さく変形させることができる。
【0082】
また、2つの巻軸取付部510は、芯材500の長手方向及び短手方向と交差する方向に配列されているため、2つの巻軸取付部510間の距離を小さくして芯材500の幅を小さく変形させた場合に、芯材500の周りに巻回された電極に、当該交差する方向に向けた力が加わる。このため、芯材500の長手方向または短手方向のみではなく、長手方向及び短手方向の双方に向けた力が電極に加わるため、電極体400にたるみや皺が生じるのをさらに低減し、蓄電素子10の性能の低下を抑制することができる。
【0083】
また、繋ぎ部520は、中間部521の方が、中間部521の両側の2つの接続部522よりも厚みが厚くなるように形成されている。ここで、繋ぎ部520が弾性変形される際には、中間部521ではなく、2つの接続部522が弾性変形されることで、芯材500の幅が小さく変形される。このため、繋ぎ部520を弾性変形させるのに必要な2つの接続部522よりも、繋ぎ部520を弾性変形させるのに必要のない中間部521の厚みを厚くすることで、繋ぎ部520の不要な変形を抑制することができ、効果的に繋ぎ部520を弾性変形させることができる。
【0084】
また、芯材500の巻軸取付部510に形成された非円形状の開口部511に巻軸600が挿入されるため、巻軸600を回転させて芯材500に電極を巻回する際に、巻軸600に対して芯材500を固定することができる。このため、電極体400を形成する際に、電極体400にたるみや皺が生じるのをさらに低減し、蓄電素子10の性能の低下を抑制することができる。
【0085】
また、本発明の実施の形態に係る蓄電素子10の製造方法によれば、電極の巻回前に、芯材500を弾性変形させて芯材500の幅を小さく変形し、芯材500の幅を小さく変形した状態で、芯材500の周りに電極を巻回して電極体400を形成する。つまり、事前に、芯材500の幅が小さくなるように芯材500を弾性変形しておき、当該弾性変形した状態を維持しながら電極を巻回する。これにより、芯材500に外側に広がろうとする力が生じていない状態で巻回し、巻回後に、芯材500に外側に広がろうとする力を生じさせることができる。このため、巻回後に、芯材500の周りに巻回された正極410と負極420とセパレータ430とに外側に向けた力が加わるため、電極体400にたるみや皺が生じるのを低減し、蓄電素子10の性能の低下を抑制することができる。
【0086】
また、蓄電素子10の製造方法において、巻軸600を2つの巻軸取付部510に取り付けた後に、2つの巻軸取付部510の位置関係を変更することで、繋ぎ部520を弾性変形させて、芯材500の幅を小さく変形する。つまり、2つの巻軸取付部510に取り付けられた巻軸600の2本の板状部材610の位置関係を変更することで、2つの巻軸取付部510の位置関係を変更することができるため、簡易に、繋ぎ部520を弾性変形させて芯材500の幅を小さく変形させることができる。
【0087】
(変形例1)
次に、本実施の形態の変形例1について説明する。上記実施の形態では、芯材500はS型の形状を有していることとしたが、本変形例では、芯材はO型の形状を有している。
【0088】
図10は、本発明の実施の形態の変形例1に係る芯材500aの構成を示す図である。具体的には、同図は、芯材500aをX軸プラス側から見た場合の平面図である。
【0089】
同図に示すように、芯材500aは、2つの巻軸取付部510aと、2つの巻軸取付部510aを繋ぐ繋ぎ部520aとを有している。そして、2つの巻軸取付部510aは、上記実施の形態と同様、芯材500aの長手方向及び短手方向と交差する方向に配列され、巻軸600の板状部材610が挿入される開口部511aが形成されている。
【0090】
また、繋ぎ部520aは、2つの接続部522aを有しているが、上記実施の形態のように2つの接続部522aの間に中間部は有していない。つまり、2つの接続部522aのそれぞれは、一端が1つの巻軸取付部510aに接続され、他端が他の巻軸取付部510aに接続されている。これにより、芯材500aは、全体としてO型の形状を形成している。
【0091】
そして、繋ぎ部520aは、上記実施の形態と同様に、2つの巻軸取付部510aの位置関係の変更による弾性変形によって、芯材500aの巻回軸と交差する方向における幅を小さく変形可能に形成されている。具体的には、繋ぎ部520aは、弾性変形によって2つの巻軸取付部510a間の距離を小さくすることで、芯材500aのY軸方向における幅を小さく変形可能に形成されている。つまり、繋ぎ部520aは、芯材500aに正極410と負極420とセパレータ430とが巻回された状態で、芯材500aに正極410と負極420とセパレータ430とが巻回されていない状態よりも芯材500aのY軸方向における幅が小さくなるように弾性変形される。
【0092】
具体的には、同図の(a)の状態から、繋ぎ部520aの2つの接続部522aが、それぞれの内方の空間が小さくなるように弾性変形することで、同図の(b)の状態のように、芯材500aの内部空間が小さくなり、芯材500aのY軸方向における幅が小さく変形する。
【0093】
なお、その他の構成については、上記実施の形態における構成と同様であるため、説明は省略する。以上のように、本発明の実施の形態の変形例1に係る蓄電素子によれば、上記実施の形態と同様の効果が奏される。
【0094】
(変形例2)
次に、本実施の形態の変形例2について説明する。上記実施の形態の変形例1では、芯材500はO型の形状を有していることとしたが、本変形例では、芯材はC型の形状を有している。
【0095】
図11は、本発明の実施の形態の変形例2に係る芯材500bの構成を示す図である。具体的には、同図は、芯材500bをX軸プラス側から見た場合の平面図である。
【0096】
同図に示すように、芯材500bは、2つの巻軸取付部510bと、2つの巻軸取付部510bを繋ぐ繋ぎ部520bと、接続部523bとを有している。ここで、繋ぎ部520bは、接続部522bを有している。
【0097】
つまり、接続部522bは、2つの巻軸取付部510bを繋ぐ繋ぎ部であり、一端が1つの巻軸取付部510bに接続され、他端が他の巻軸取付部510bに接続されている。このため、接続部522bは、同図の(a)から(b)に芯材500bを変形させる過程(芯材変形工程)により、芯材500bの幅(Y軸方向の幅)が小さくなるように変形される。また、接続部523bは、一端のみが1つの巻軸取付部510bに接続されており、当該芯材変形工程後も、外側(Y軸方向プラス側)に広がった形状となる。
【0098】
このように、芯材500bは、上記変形例1におけるO型の芯材500aの1つの接続部522aを1つの巻軸取付部510aから切り離したような形状を有している。これにより、芯材500bは、全体としてC型の形状を形成している。なお、その他の構成については、上記実施の形態または変形例1における構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0099】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例2に係る蓄電素子によれば、上記実施の形態と同様の効果が奏される。なお、本変形例においては、上記実施の形態と同様に、芯材500bの幅は、Y軸方向及びZ軸方向の双方ともに小さく変形するため、
図9に示したようなY軸及びZ軸の双方向に向けた外向きの力を発生させることができる。
【0100】
(変形例3)
次に、本実施の形態の変形例3について説明する。上記実施の形態では、芯材500は縦向きのS型の形状を有していることとしたが、本変形例では、芯材は横向きのS型の形状を有している。
【0101】
図12は、本発明の実施の形態の変形例3に係る芯材500cの構成を示す図である。具体的には、同図は、芯材500cをX軸プラス側から見た場合の平面図である。
【0102】
同図に示すように、芯材500cは、2つの巻軸取付部510cと、2つの巻軸取付部510cを繋ぐ繋ぎ部520cとを有している。ここで、繋ぎ部520cは、Z軸方向に延びる中間部521cと、中間部521cの両端部と2つの巻軸取付部510cとに接続される2つの接続部522cとを有している。また、中間部521cは、2つの接続部522cよりも厚みが厚くなるように形成されている。これにより、芯材500cは、全体として横向きのS型の形状を形成している。
【0103】
そして、上記実施の形態と同様に、巻軸取付部510cに形成された開口部511cに挿入された巻軸600の2つの板状部材610間の距離を小さくして、繋ぎ部520cの弾性変形によって2つの巻軸取付部510c間の距離を小さくすることで、芯材500cの巻回軸と交差する方向における幅(Y軸方向における幅)を小さく変形する。その他の構成については、上記実施の形態における構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0104】
なお、同図では、2つの開口部511cは、芯材500cの短手方向(Y軸方向)に配列されているが、芯材500cの長手方向及び短手方向と交差する方向に配列されていてもかまわない。この場合には、2つの板状部材610間の距離を小さくして2つの開口部511c間の距離を小さくすることで、芯材500cのY軸方向及びZ軸方向における幅を小さく変形することができる。
【0105】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例3に係る蓄電素子によれば、上記実施の形態と同様の効果が奏される。
【0106】
(変形例4)
次に、本実施の形態の変形例4について説明する。上記実施の形態の変形例1では、芯材500aの繋ぎ部520aは、2つの接続部522aを有していることとしたが、本変形例では、繋ぎ部は、3つの接続部を有している。
【0107】
図13は、本発明の実施の形態の変形例4に係る芯材500dの構成を示す図である。具体的には、同図は、芯材500dをX軸プラス側から見た場合の平面図である。
【0108】
同図に示すように、芯材500dは、2つの巻軸取付部510dと、2つの巻軸取付部510dを繋ぐ繋ぎ部520dとを有している。そして、繋ぎ部520dは、3つの接続部として、2つの接続部522dと1つの接続部523dとを有している。つまり、繋ぎ部520dは、上記変形例1における繋ぎ部520aが有する接続部522aと同様の2つの接続部522dに加え、接続部523dを有している。
【0109】
ここで、接続部523dは、2つの巻軸取付部510dに挟まれる位置に配置され、一端が1つの巻軸取付部510dに接続され、他端が他の巻軸取付部510dに接続された弾性を有する部材である。なお、接続部523dは、バネなど、縮むと外方へ向けた力を発生させる部材である。接続部523dの材質は特に限定されず、樹脂製であっても金属製であってもかまわない。
【0110】
このように、繋ぎ部520dは、2つの接続部522d及び1つの接続部523dの弾性変形によって2つの巻軸取付部510d間の距離を小さくすることで、芯材500dの巻回軸と交差する方向における幅を小さく変形可能に形成されている。
【0111】
具体的には、同図の(a)の状態から、2つの接続部522dが、それぞれの内方の空間が小さくなるように弾性変形するとともに、接続部523dが、縮むように弾性変形する。これにより、同図の(b)の状態のように、芯材500dの内部空間が小さくなり、芯材500dのY軸方向の幅が小さく変形する。なお、その他の構成については、上記実施の形態における構成と同様であるため、説明は省略する。
【0112】
以上のように、本発明の実施の形態の変形例4に係る蓄電素子によれば、上記実施の形態と同様の効果が奏される。特に、本変形例では、繋ぎ部520dが2つの接続部522dに加えて接続部523dを有しているため、電極体内で、芯材500dの外方に向けた強い力を発生させることができ、電極体にたるみや皺が生じるのをさらに低減することができる。
【0113】
なお、本変形例のように繋ぎ部520dが接続部523dを有している場合には、2つの接続部522dは、弾性を有さない部材で形成されていてもかまわない。
【0114】
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電素子について説明したが、本発明は、この実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0115】
例えば、上記実施の形態及びその変形例では、繋ぎ部は、2つの巻軸取付部間の距離を小さくすることで、芯材の幅を小さく変形可能に形成されていることとした。しかし、2つの巻軸取付部間の距離を小さくすることなく2つの巻軸取付部の位置関係を変更させて芯材の幅を小さく変形できる場合には、繋ぎ部は、2つの巻軸取付部間の距離を小さくする構成でなくともかまわない。
【0116】
また、上記実施の形態及び変形例3では、中間部は、2つの接続部よりも厚みが厚くなるように形成されていることとした。しかし、中間部は、2つの接続部と同じ厚み、または2つの接続部よりも厚みが薄くなるように形成されていることにしてもよい。
【0117】
また、上記実施の形態及びその変形例では、巻軸取付部には非円形状の開口部が形成されていることとした。しかし、巻軸取付部の開口部の断面形状は、非円形状ではなく円形状であってもよい。ただし、巻軸を回転させて芯材に電極を巻回する際に、巻軸に対して芯材を固定するには、少なくとも1つの巻軸取付部の開口部が非円形状であるのが好ましい。
【0118】
また、上記実施の形態及びその変形例では、巻軸取付部の開口部は貫通孔であることとしたが、当該開口部は、貫通孔でなくともよく、切り欠いたような凹形状など、巻軸を挿入できる形状であればどのような形状でもかまわない。さらに、巻軸取付部は、巻軸を取り付け可能な形状であれば、開口部が形成されていなくともかまわない。
【0119】
また、上記実施の形態及びその変形例では、芯材に2つの巻軸取付部を設けることとした。しかし、2つの巻軸取付部を設ける構成に限らず、3つやそれ以上の巻軸取付部を設ける構成にしてもよい。つまり、芯材が3つ以上の巻軸取付部で巻軸に取り付けられることとし、当該芯材は、当該3つ以上の巻軸取付部のうちの2つの巻軸取付部を繋ぐ繋ぎ部を少なくとも1つ有しており、当該繋ぎ部は、当該芯材の幅を小さく変形可能に形成されている構成であってもかまわない。
【0120】
また、上記実施の形態での蓄電素子の製造方法において、巻軸を2つの巻軸取付部に取り付け、2つの巻軸取付部の位置関係を変更することで繋ぎ部を弾性変形させて、芯材の幅を小さく変形することとした。しかし、当該蓄電素子の製造方法において、巻軸以外の他の部材を用いて、芯材を、幅が小さくなるように弾性変形させることにしてもよい。例えば、クリップ等の弾性部材で芯材に応力を加えることにより芯材の幅を小さく変形させても良い。
【0121】
また、上記実施の形態での蓄電素子の製造方法において、芯材の2つの巻軸取付部に取り付けられた巻軸の2本の板状部材の位置関係を変更することで、2つの巻軸取付部の位置関係を変更することとした。つまり、芯材を変形させる前に、芯材を巻軸に取り付けることとした。しかし、芯材を変形させた状態で芯材を巻軸に取り付けても良い。例えば、予め、巻軸を所定の位置に設定しておき、芯材の幅を小さく変形させた状態で巻軸に取り付けるようにすると良い。
【0122】
また、上記実施の形態での蓄電素子の製造方法において、巻回工程の前に芯材変形工程が行われることとした。しかし、一部の巻回工程の後に芯材変形工程を行い、その後に残りの巻回工程を行うことにしてもよい。つまり、芯材の周りに電極を一部巻回した後に、巻軸を変位させて芯材を弾性変形させ、その後、さらに電極を巻回することで電極体を形成することにしてもよい。
【0123】
また、上記実施の形態及び上記変形例を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、上記変形例4を、上記実施の形態、変形例2または変形例3に適用した構成などでもかまわない。
【0124】
また、本発明は、このような蓄電素子として実現することができるだけでなく、蓄電素子が備える電極体、または電極体の最内周に配置される芯材として実現することもできる。