特許第6221431号(P6221431)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221431
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】外接ギヤ式ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/18 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   F04C2/18 311A
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-142842(P2013-142842)
(22)【出願日】2013年7月8日
(65)【公開番号】特開2015-14279(P2015-14279A)
(43)【公開日】2015年1月22日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(74)【代理人】
【識別番号】100148183
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊也
(72)【発明者】
【氏名】笹川 直人
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−144715(JP,A)
【文献】 特開昭59−000583(JP,A)
【文献】 特開平11−044294(JP,A)
【文献】 実開平06−004384(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/18 − 2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力により回転する駆動ギヤと、
前記駆動ギヤに噛合する前記駆動ギヤと同じ歯数で同じ形状の従動ギヤと、
前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤを収容するハウジングとを備え、
前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤの歯部が、駆動時に互いに接触する接触面と、その裏面であって接触しない非接触面とを有すると共に、前記非接触面の転位係数が、前記接触面の転位係数より小さく設定されており、
前記非接触面の圧力角度が、前記接触面の圧力角より小さく設定され、
前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤの歯部において歯厚が最も大きい部位における前記接触面側の歯形に基づく半角の値と比較して、前記非接触面側の半角の値が小さく設定されている外接ギヤ式ポンプ。
【請求項2】
前記駆動ギヤの前記接触面と前記従動ギヤの前記接触面とがクラウニング面として形成されている請求項1記載の外接式ギヤポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外接ギヤ式ポンプに関し、詳しくは、駆動ギヤと従動ギヤとの噛み合う領域にオイル等の流体が閉じ込められる現象に起因する駆動トルクの上昇や作動音等を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の技術に関連する外接ギヤ式ポンプとして特許文献1には、駆動ギヤと従動ギヤとを噛合状態で回転自在にハウジングに収容したポンプが示されている。この特許文献1のポンプでは、駆動ギヤと従動ギヤとの歯面の形状の設定により、これらの回転時にはギヤの噛合部の作動油をギヤ軸の方向に送り出すように構成されている。
【0003】
具体的な構成として、特許文献1に記載されるポンプでは、駆動ギヤと従動ギヤとの非接触側歯面に一対の凹部を形成することにより、駆動時には噛合部において凹部に沿ってギヤ軸方向両側面に向けてオイルを流し、このオイルの流れにより圧力損失を抑制し、駆動トルクの低減を図るようにしている。
【0004】
また、特許文献2には、駆動ギヤの回転方向の上流側の歯面、及び、従動ギヤの回転方向の下流側の歯面に切除部としての溝を形成している。これにより、駆動時においてギヤの噛み合い部分付近に形成される隙間が、駆動ギヤと従動ギヤとが接触することで2つの領域に分離される状況に陥った場合でも、溝が夫々の領域の間での作動流体の流通を確保することにより隙間の圧力変化を緩和して振動や騒音を低減できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006‐329043号公報
【特許文献2】特開2003‐083260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2にも記載されるように、ギヤポンプでは、駆動ギヤと従動ギヤとが噛合する噛合領域が存在し、駆動時には、噛合領域に閉じ込められた流体の圧力が上昇するため、駆動トルクを上昇させることや、振動を招く原因になっている。
【0007】
このような不都合を解消するため、特許文献1に示される構成では、ギヤの歯面に対して一対の凹部を形成するものであるが、このように歯面に凹部を形成するため加工は困難となり改善の余地がある。また、特許文献2に示される構成では、駆動ギヤと従動ギヤとの非接触面に凹部を形成する構成であるため、この構成も加工が困難となり改善の余地がある。
【0008】
本発明の目的は、駆動トルクの上昇を抑制し、振動の抑制も可能な外接ギヤ式ポンプを合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、駆動力により回転する駆動ギヤと、前記駆動ギヤに噛合する前記駆動ギヤと同じ歯数で同じ形状の従動ギヤと、前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤを収容するハウジングとを備え、前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤの歯部が、駆動時に互いに接触する接触面と、その裏面であって接触しない非接触面とを有すると共に、前記非接触面の転位係数が、前記接触面の転位係数より小さく設定されており、前記非接触面の圧力角度が、前記接触面の圧力角より小さく設定され、前記駆動ギヤ及び前記従動ギヤの歯部において歯厚が最も大きい部位における前記接触面側の歯形に基づく半角の値と比較して、前記非接触面側の半角の値が小さく設定されている点にある。
【0010】
この種のポンプでは、駆動ギヤの駆動回転に伴い、この駆動ギヤの歯部の接触面が従動ギヤの歯部の接触面に接触する形態で夫々が回転する。このように駆動ギヤと従動ギヤとが接触する領域が噛合領域であり、この噛合領域には、駆動ギヤの歯部と従動ギヤの歯部とで取り囲まれる空間(以下、閉込空間と称する)に流体が閉じ込められる。駆動ギヤの駆動時には、閉込空間の容積が変化し、空間内の流体に作用する圧力を変化させる。このように容積が変化する場合には、閉込空間の容積変化量が一定であっても、閉込空間の容積が小さいものでは容積変化率が高くなり駆動トルクを上昇させ、振動を招く原因になっている。
【0011】
このような現状に対して、本発明の外接ギヤ式ポンプでは、閉込空間において駆動ギヤと従動ギヤとの歯部の非接触面が向い合う位置に配置されることに着目し、駆動ギヤ又は従動ギヤの非接触面の転位係数を、駆動ギヤ又は従動ギヤの接触面の転位係数より小さく設定している。これにより駆動ギヤ又は従動ギヤの歯部は非対称ギヤとなる。この非対称ギヤは、歯部の接触面と比較して非接触面を多く切削した形状(歯厚を薄くした形状)であり、この非接触面に連なる歯元も切下げられた形状となるため、閉込空間の容積を拡大する。
【0012】
特許文献1と特許文献2との何れの構成も閉込空間の容積を拡大するものであるが、これらは駆動ギヤの歯部の非接触面と従動ギヤの歯部の非接触面とを、歯車としては用いられない歯面形状に加工するため、特別な工具を用いた加工を必要とする等、加工が複雑になるものであった。これに対して、本発明のように転位係数を設定するものでは、駆動ギヤ又は従動ギヤの歯部を、歯車として存在する歯面形状に加工するものであるため、例えば、ホブ加工やシェーパー加工のように従来から歯車を製造する際に用いられる一般的な加工により歯面を形成することが可能となり、特別な工具を用いずとも効率的で高精度での加工も可能となる。
【0013】
従って、歯部の転位係数を設定するだけで、閉込空間の容積が拡大し、駆動時には閉込空間の容積変化率を引き下げることになり、駆動時において駆動トルクの上昇の抑制も可能な外接ギヤ式ポンプが構成された。
【0014】
本発明は、前記駆動ギヤの前記接触面と前記従動ギヤの前記接触面とがクラウニング面として形成されても良い。
【0015】
この構成によると、駆動ギヤの歯部の接触面と、従動ギヤの歯部の接触面との双方をクラウニング面として形成するため、駆動時には、駆動ギヤの歯部と従動ギヤの歯部とが決まった位置で接触することになり、騒音の抑制が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】外接式ギヤポンプの駆動ギヤと従動ギヤとを示す断面図である。
図2】駆動ギヤと従動ギヤとの噛合領域を示す図である。
図3】外接式ギヤポンプの駆動構造を示す断面図である。
図4】半角を説明する図である。
図5】クラウニング加工された歯面を示す斜視図である。
図6】第1ポンプ構成の噛合領域を示す図である。
図7】第2ポンプ構成の噛合領域を示す図である。
図8】従来型ポンプの噛合領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔外接ギヤ式ポンプ〕
図1図3に示すように、駆動源からの駆動力により回転する駆動ギヤ10と、この駆動ギヤ10に対して噛合領域で噛み合う従動ギヤ20と、これらを収容するハウジング30とを備えて外接ギヤ式ポンプが構成されている。
【0024】
この外接ギヤ式ポンプは、乗用車等の車両において油圧機器やエンジンの潤滑系にオイルを送り出す油圧ポンプとして備えられるものであり、駆動源として車両に備えられたエンジンや、電動モータが用いられる。尚、この外接ギヤ式ポンプは、車両に備える構成に限るものはなく、各種流体圧装置に備えるものでも良く、オイルを圧送対象とせず、水や液状の薬剤等を圧送対象としても良い。
【0025】
駆動ギヤ10は、複数の歯部11を有し、駆動軸芯Raと同軸芯でハウジング30に支持された駆動軸12と一体的に回転するように、この駆動軸に連結している。従動ギヤ20は、複数の歯部21を有し、従動軸芯Rbと同軸芯でハウジング30に支持された従動軸22により回転自在に支持されている。
【0026】
ハウジング30は、駆動ギヤ10と従動ギヤ20とを収容するハウジング本体30Aと、駆動ギヤ10と従動ギヤ20とを収容する空間を覆うハウジングカバー30Bとを連結した構造を有している。ハウジング本体30Aには、駆動ギヤ10を収容する半円状の駆動ギヤ収容空間31と、従動ギヤ20を収容する半円状の従動ギヤ収容空間32とを併せた内部空間が形成されている。このハウジング本体30Aには、駆動ギヤ収容空間31と従動ギヤ収容空間32との境界部分に連通する吸入ポート33が形成されている。また、ハウジング本体30Aには、吸入ポート33と反対側で駆動ギヤ収容空間31と従動ギヤ収容空間32との境界部分に連通する吐出ポート34が形成されている。
【0027】
駆動ギヤ収容空間31は、駆動軸芯Raに沿う方向で駆動ギヤ10の厚さ(歯幅)より僅かに大きい寸法で、駆動ギヤ10の複数の歯部11の歯先円の半径より僅かに大きい半径となるように駆動軸芯Raを中心とする円筒状内面を有している。これと同様に、従動ギヤ収容空間32は、従動軸芯Rbに沿う方向で従動ギヤ20の厚さ(歯幅)より大きい寸法で、従動ギヤ20の複数の歯部21の歯先円より僅かに大きい半径となるように従動軸芯Rbを中心とする円筒状内面を有している。
【0028】
駆動軸12は、一方の端部がハウジングカバー30Bに支持され、中間部分がハウジング本体30Aを回転自在に支持され、この中間部分においてハウジング本体30Aに貫通する貫通端(他方の端部)に駆動力が伝えられる。従動軸22は一方の端部がハウジングカバー30Bに支持され、他方の端部がハウジング本体30Aに支持されている。
【0029】
〔ポンプの作動形態〕
このポンプは駆動ギヤ10を、図1図2に矢印Aで示す方向に駆動回転する。この駆動ギヤ10の駆動回転が噛合領域で従動ギヤ20に伝えられ、この従動ギヤ20が矢印Bに示す方向に回転する。この回転により吸入ポート33から吸入したオイルの一部は駆動ギヤ10の複数の歯部11の間に掻き込まれ駆動ギヤ収容空間31の内周に沿って吐出ポート34に送られる。これと同様に吸入ポート33から吸入したオイルの残余は従動ギヤ20複数の歯部21の間に掻き込まれ従動ギヤ収容空間32の内周に沿って吐出ポート34に送られる。
【0030】
この外接ギヤ式ポンプでは、駆動ギヤ10の駆動回転に伴い、噛合領域において駆動ギヤ10の歯部11の接触面(以下、駆動側接触面13と称する)が、従動ギヤ20の歯部21の接触面(以下、従動側接触面23と称する)に接触する。また、噛合領域には、駆動ギヤ10の歯部11と従動ギヤ20の歯部21とで取り囲まれる空間(以下、閉込空間Sと称する)にオイル(流体)が閉じ込められる。
【0031】
このような構成であるため、駆動ギヤ10の駆動時には、駆動ギヤ10と従動ギヤ20との回転に伴い閉込空間Sの容積が変化し、空間内のオイル(流体)に作用する圧力を変化させる。このように容積が変化する場合には、この容積の変化が負荷として作用するため、駆動トルクを上昇させ、振動を招く原因になっている。尚、閉込空間Sの容積変化量は一定であっても、閉込空間Sの容積が小さいほど容積変化率が高くなり、この容積変化率が高いほど、駆動トルクを大きく上昇させ、大きい振動を招くことになる。
【0032】
この外接ギヤ式ポンプでは、駆動ギヤ10の歯部11のうち駆動側接触面13と反対側(歯厚方向で裏面側)に従動ギヤ20の歯部21とは接触しない駆動側非接触面14が形成される。これと同様に、従動ギヤ20の歯部21のうち従動側接触面23と反対側(歯厚方向で裏面側)に駆動ギヤ10の歯部11とは接触しない従動側非接触面24が形成される。この駆動側非接触面14と従動側非接触面24とは、噛合領域で向かい合う位置関係となり、これらの間に閉込空間Sが形成される。
【0033】
本発明の外接ギヤ式ポンプは、ポンプの構成を利用して閉込空間Sの容積を拡大することにより、ポンプ駆動時における容積変化率を引き下げている。つまり、閉込空間Sを大きくすることにより、容積変化率を計算する分母を大きくして、容積変化率を引き下げているのである。本発明の外接ギヤ式ポンプの特徴的な歯面形状を以下に説明する。
【0034】
〔歯部の形状〕
この外接ギヤ式ポンプでは、駆動ギヤ10の歯部11と、従動ギヤ20の歯部21とは非対称ギヤとして構成している。また、駆動ギヤ10と従動ギヤ20とに同じ形状のものを使用することにより、部品の共通化を実現している。
【0035】
駆動側接触面13は、所定の転位係数となるインボリュート歯形に成形され、駆動側非接触面14は、駆動側接触面13より転位係数が小さいインボリュート歯形に成形されている。これと同様に、従動側接触面23は、所定の転位係数(駆動側接触面13より転位係数と同じ値)となるインボリュート歯形に成形され、従動側非接触面24が駆動側接触面13より転位係数が小さいインボリュート歯形に成形されている。
【0036】
尚、転位係数を変化させることにより歯車のかみ合い率が変化するものであり、かみ合い率が1以下である場合には、振動や騒音が悪化するなど影響が大きくなるため、歯車の諸元にもよることになるが、転位係数の上限値としては、かみ合い率が1以下とならない値が用いられる。
【0037】
このように非対称ギヤであるため、図4に示すように、駆動側接触面13の半角Ψnと比較して、駆動側非接触面14に対応する半角Ψcが小さい角度に設定される。前述したように、駆動ギヤ10と従動ギヤ20とが共通化されているので、従動ギヤ20においても、従動側接触面23の半角Ψnと比較して、従動側非接触面24に対応する半角Ψcが同様に小さい角度に設定される。特に、接触面に対応する半角Ψnと、非接触面に対応する半角Ψcとは、駆動ギヤ10と、従動ギヤ20とにおいて最も歯厚が厚い部位(基本的にピッチ円Pの部位)における半角の値である。
【0038】
また、駆動側接触面13と従動側接触面23とは図5に示すように、クラウニング加工により、歯幅方向での中央部の歯厚を、歯幅方向での両端部より大きくしている。
【0039】
〔閉込空間の比較〕
ここで、図8に示すように、駆動ギヤ10の駆動側接触面13と駆動側非接触面14との歯面形状が等しい対称ギヤとし(以下、従来形状と称する)、従動ギヤ20の従動側接触面23と従動側非接触面24との歯面形状が等しい対称ギヤとした(以下、従来形状と称する)従来型ポンプを想定する。
【0040】
この従来型ポンプでは転位係数Xが0.27に設定され、圧力角αが20degに設定された対称ギヤを用いており、駆動ギヤ10と従動ギヤ20との噛合領域には、同図に示す容積の閉込空間Sが形成される。
【0041】
また、図6に示すように、駆動側非接触面14と従動側非接触面24との転位係数Xが従来型ポンプと異なる非対称ギヤを用いた本発明の第1ポンプ構成を想定し、図7に示すように、駆動側非接触面14と従動側非接触面24との転位係数Xが従来型ポンプと異なる非対称ギヤを用いた本発明の第2ポンプ構成とを想定する。
【0042】
つまり、図6に示す第1ポンプ構成では、駆動側接触面13と従動側接触面23との歯面形状が従来型ポンプで対応するギヤの歯面形状と等しい形状に設定されている。これに対して、駆動側非接触面14と従動側非接触面24との転位係数Xが0.01に設定され、圧力角αが20degに設定されている。これにより駆動ギヤ10と従動ギヤ20とは非対称ギヤとして構成され、駆動ギヤ10と従動ギヤ20との噛合領域には同図に示す容積の閉込空間Sが形成される。
【0043】
更に、図7に示す第2ポンプ構成では、駆動側接触面13と従動側接触面23との歯面形状が従来型ポンプで対応するギヤの歯面形状と等し形状に設定されている。これに対して、駆動側非接触面14と従動側非接触面24との転位係数Xが0.01に設定され、圧力角αが14.5degに設定されている。これにより駆動ギヤ10と従動ギヤ20とは非対称ギヤとして構成され、駆動ギヤ10と従動ギヤ20との噛合領域には同図に示す容積の閉込空間Sが形成される。
【0044】
これらの図から明らかなように、本発明の第1ポンプ構成と第2ポンプ構成とのように歯面形状を設定したものは、従来型ポンプと比較して、閉込空間Sが拡大することが理解できる。
【0045】
つまり、本発明のポンプ(第1ポンプ構成・第2ポンプ構成)では、歯部11,21の接触面(駆動側接触面13又は従動側接触面23)の転位係数Xと比較して、歯部11,21の非接触面(駆動側非接触面14又は従動側非接触面24)の転位係数Xを小さくすることにより閉込空間Sの容積の拡大を実現しているのである。更に、図7に示す第2ポンプ構成では、歯部11,21の非接触面の圧力角を、第1ポンプ構成の圧力角より小さくすることにより、閉込空間Sの容積を更に拡大している。これにより、駆動時に決まった量だけ閉込空間Sの容積が変化した場合でも容積の変化率を低減することが可能となり、駆動トルクの低減と、振動、騒音の抑制を実現しているのである。
【0046】
また、クラウニング加工により、駆動時には、駆動側接触面13と従動側接触面23とが歯幅方向での中央の特定の位置で接触することになり、この接触時の騒音を一層抑制して静粛な作動を実現する。
【0047】
特に、本発明では、ホブ加工やシェーパー加工のように従来から歯車を製造する際に用いられる一般的な加工形態を改良することにより、歯部11,21の非接触面を成形することが可能となる。これにより、特別な工具を用いずとも、特別な加工工程を付加しなくとも効率的で高精度での加工を実現する。
【0048】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
【0049】
(a)歯部11,21の駆動側非接触面14と従動側非接触面24との何れか一方の転位係数を対応する接触面(駆動側接触面13又は従動側接触面23)の転位係数より小さくする。
【0050】
このように駆動ギヤ10と従動ギヤ20との一方の接触面(駆動側接触面13又は従動側接触面23)の転位係数を設定することにより歯厚が小さくなり、閉込空間Sの容積の拡大を実現して駆動トルクの低減、振動の低減を実現する。
【0051】
(b)本発明のポンプでは、駆動ギヤ10と従動ギヤ20として異なる歯数のものを用いる。このように構成したものでも外接ギヤ式ポンプとして機能する。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、駆動ギヤと従動ギヤとを用いた外接ギヤ式ポンプに利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
10 駆動ギヤ
11 歯部
13 接触面(駆動側接触面)
14 非接触面(駆動側非接触面)
20 従動ギヤ
21 歯部
23 接触面(従動側接触面)
24 非接触面(従動側非接触面)
30 ハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8