(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし二重のシール構造を採用すると、ドアを閉じたときに、大小2つのシール部材がドアと車両ボデーとの間を二重の環状にシールするため、それらシール部材間に環状の空間が形成される。この空間はドアを閉じる瞬間に密閉され、その内部の空気が圧縮されて気圧が上がり、ドアに対して反力を及ぼすため、ドアの閉まり性が悪化する問題を生じていた。
【0005】
特許文献1は、乗員の乗降性の改善を目的とした車体構造に関する技術であり、特許文献2は、車両側面からの大きな衝撃に対して乗員等を保護する技術である。すなわち特許文献1および2では、ドアの閉まり性の悪化の問題には言及していない。
【0006】
特許文献3および4には、車両のドアを閉じる際に2つのシール部材間の空間へ急激に押し込まれる空気を車外に逃がす通気構造が記載されている。しかし特許文献3および4は、2つのシール部材間の空間を形成するドアインナパネルに直接穴を開ける方式である。したがって、その穴から空気を逃がすことはできるものの、逆に、ドア内に入った水やホコリ等の異物がその穴から入り、2つのシール部材間の空間にまで進入してしまうおそれがある。これでは、二重のシール構造を設けたことが無駄になってしまい、車室内に異物が進入するおそれが大きくなる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、二重のシール構造による車室の高い気密性を維持しながら、2つのシール部材間の空間の気圧増大によるドアの閉まり性の悪化も防止可能な車両用ドア構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用ドア構造の代表的な構成は、車両用ドアの内面を構成するドアインナパネルと、ドアインナパネルの車内側に張り付けられたドアトリムとを備える車両用ドア構造において、ドアトリムを包囲するようにドアインナパネルに環状に取り付けられドアを閉じたときに車両ボデーと接触してドアインナパネルと車両ボデーとの間隙をシールするドア用シール部材と、車両ボデーに環状に取り付けられドアを閉じたときにドアトリムと接触して車両ボデーとドアトリムの間隙をシールしドア用シール部材との間に第1の空間を形成するボデー用シール部材と、ドアトリムから
車外側に突出してドアインナパネルに接触しドアトリムとドアインナパネルとの間隔を保つリブであってドアインナパネルとドアトリムとの間に形成される第2の空間をドアトリムを隔てて第1の空間に隣接させるリブと、ドアトリムに開けられ第1の空間および第2の空間を連通させる通気口とを備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、ドアを閉めたときにドア用シール部材とボデー用シール部材との間に形成される第1の空間に閉じ込められる空気を、ドアトリムに開けられた通気口から第2の空間に逃がすことができる。これにより、第1の空間の過剰な気圧増大を防げるため、ドアの閉まり性の悪化も防止することが可能である。
【0010】
さらに従来技術と異なり、2つのシール部材間の第1の空間を形成するドアインナパネルに直接穴を開けることもないため、二重のシール構造による車室の高い気密性を維持し、異物の混入を防ぐことも可能である。
【0011】
当該車両用ドア構造の上記通気口は、ドアを閉じる過程でボデー用シール部材がドアトリムと接触する瞬間には第1の空間および第2の空間を連通させていて、上記過程でドアトリムが車両ボデーに接近してドアトリムに対するボデー用シール部材の接触面積が増大することでボデー用シール部材によって塞がれ始め、さらにボデー用シール部材とドアトリムとドアトリムとが接近すると塞がれる面積も増大し、車両用ドアが完全に閉じた時にはドアトリムとボデー用シール部材とによって完全に塞がれている位置に配置されているとよい。
【0012】
上記構成によれば、ドアを閉じる瞬間には第1の空間に閉じ込められる空気を通気口から第2の空間へ逃がすことができ、気圧の増大を防ぎ、ドアの閉まり性を悪化させない。しかも、ドアが閉じる過程に伴い通気口の塞がれる面積も広がり、ドアが完全に閉じたときには通気口も塞がれている。したがって、第1の空間が密閉され、仮に車外からドア用シール部材を突破して第1の空間まで異物が進入しても、通気口を通じた第2の空間への異物混入を防ぐことが可能である。
【0013】
当該車両用ドア構造は、ドアインナパネルを車外側に窪ませることによって通気口に面する第3の空間を形成する窪みをさらに備えていてもよい。
【0014】
上記構成によれば、通気口の形成のみでは十分な通気が難しい車両用ドア構造の場合であっても、第3の空間を形成することによって、空気を通すための空間を充分に確保することが可能である。したがって、より確実に第2の空間へ空気を逃がすことが可能である。
【0015】
本発明にかかる車両用ドア構造の他の構成は、車両用ドアの内面を構成するドアインナパネルと、ドアインナパネルの車内側に張り付けられたドアトリムとを備える車両用ドア構造において、ドアトリムを包囲するようにドアインナパネルに環状に取り付けられドアを閉じたときに車両ボデーと接触してドアインナパネルと車両ボデーとの間隙をシールするドア用シール部材と、車両ボデーに環状に取り付けられドアを閉じたときにドアトリムと接触して車両ボデーとドアトリムの間隙をシールしドア用シール部材との間に第1の空間を形成するボデー用シール部材と、ドアインナパネルを車外側に窪ませることによってドアトリムの縁と接触せず第1の空間と連通する第3の空間を形成する窪みと、ドアトリムの縁から突出してドアインナパネルに接触しドアトリムとドアインナパネルとの間隔を保つリブであってドアインナパネルとドアトリムとの間に形成される第2の空間を第3の空間に連通させるリブとを備えることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、ドアを閉めたときにドア用シール部材とボデー用シール部材との間に形成される第1の空間に閉じ込められる空気を、第3の空間を通じて第2の空間に逃がすことができる。これにより、第1の空間の過剰な気圧増大を防げるため、ドアの閉まり性の悪化も防止することが可能である。
【0017】
さらに従来技術と異なり、2つのシール部材間の空間を形成するドアインナパネルに直接穴を開けることもないため、二重のシール構造による車室の高い気密性を維持し、異物の混入も防ぐことが可能である。
【0018】
本発明にかかる車両用ドア構造のさらに他の構成は、車両用ドアの内面を構成するドアインナパネルと、ドアインナパネルの車内側に張り付けられたドアトリムとを備える車両用ドア構造において、ドアトリムを包囲するようにドアインナパネルに環状に取り付けられドアを閉じたときに車両ボデーと接触してドアインナパネルと車両ボデーとの間隙をシールするドア用シール部材と、車両ボデーに環状に取り付けられドアを閉じたときにドアトリムと接触して車両ボデーとドアトリムの間隙をシールしドア用シール部材との間に第1の空間を形成するボデー用シール部材と、ドアトリムの縁から突出してドアインナパネルに接触しドアトリムとドアインナパネルとの間隔を保つリブであってドアインナパネルとドアトリムとの間に形成される第2の空間をドアトリムの縁を隔てて第1の空間に隣接させるリブと、ドアトリムの縁を切り欠いて形成され第1の空間および第2の空間を連通させる切欠部とを備えることを特徴とする。
【0019】
上記構成によれば、ドアを閉めたときにドア用シール部材とボデー用シール部材との間に形成される、第1の空間に閉じ込められる空気を、切欠部を通じて第2の空間に逃がすことができる。これにより、第1の空間の過剰な気圧増大を防げるため、ドアの閉まり性の悪化も防止することが可能である。
【0020】
さらに従来技術と異なり、2つのシール部材間の空間を形成するドアインナパネルに直接穴を開けることがないため、二重のシール構造による車室の高い気密性を維持し、異物の混入も防ぐことが可能である。
【0021】
当該車両用ドア構造は、ドアインナパネルを車外側に窪ませることによってドアトリムの縁との間隔を広げ第1の空間と連通する第3の空間を形成する窪みをさらに備えていてもよい。
【0022】
上記構成によれば、切欠部の形成のみでは十分な通気が難しい車両用ドア構造の場合であっても、空気を通すための第3の空間を形成することによって、第1の空間から第2の空間への間口を広げている。したがって、より確実に第2の空間へ空気を逃がすことが可能である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、二重のシール構造による車室の高い気密性を維持しながら、2つのシール部材間の空間の気圧増大によるドアの閉まり性の悪化も防止可能な車両用ドア構造を提供可能である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、本発明による車両用ドア構造の第1の実施形態を適用した車両用ドア100を車内側から見た斜視図である。本実施形態における車両用ドア100は車両の右フロントドアであるが、本実施形態は、車両の左フロントドアおよび左右のリアドアをはじめ、車両のあらゆるドアに適用してよい。車両用ドア100は、その内面を構成するドアインナパネル112と、ドアインナパネル112の車内側に張り付けられたドアトリム104とを備えている。
【0027】
図1に矢印105で示すように、本実施形態では、ドアインナパネル112に、ドアトリム104を包囲するようにドア用シール部材110が環状に取り付けられる。ドア用シール部材110は、一般的にウェザーストリップとも称され、ゴム製または樹脂製の部材である。ドア用シール部材110は、車両用ドア100を閉じたときに車両ボデー114(
図1では図示省略)と接触してドアインナパネル112と車両ボデー114との間隙をシールする。
【0028】
図2は
図1の車両用ドア100を車内側から見た側面図である。
図2は、
図1のドア用シール部材110が取り付けられた車両用ドア100を示している。
【0029】
図3は
図2のA−A断面図である。なお
図3には車両用ドア100だけでなく、車両用ドア100が閉じられたときの車両ボデー114も示している。車両用ドア100のドアインナパネル112の外側にはドアアウタパネル102が取り付けられていて、車両用ドア100の外面を構成している。
【0030】
図3では、車両ボデー114のうち、車両の敷居(サイドシル)の部位を示している。車両ボデー114は、最も外側のサイドシルアウタパネル115およびリーンフォース116を含み、これらは上端部で重なって溶接されている。また車両ボデー114は、リーンフォース116を補強するリーンフォース117と、サイドシルアウタパネル115、リーンフォース116とともに上端部において溶接されている内側のサイドシルインナパネル118とを含む。さらに車両ボデー114は、サイドシルアウタパネル115、リーンフォース116、サイドシルインナパネル118の上端の溶接部を覆うもっとも内側のステップパネル119を含む。
【0031】
図3に示すように車両用ドア100を閉じたときに、既に述べたように、ドア用シール部材110は、車両ボデー114のサイドシルアウタパネル115と接触する。これによってドア用シール部材110は、ドアインナパネル112とサイドシルアウタパネル115(車両ボデー114)との間隙をシールする。
【0032】
一方、車両ボデー114のサイドシルアウタパネル115と、リーンフォース116と、サイドシルインナパネル118が重ねられて形成された溶接部の突端には、ボデー用シール部材130がドア用開口部を取り巻くように環状に取り付けられている。なお
図3ではボデー用シール部材130の環状の全体像は示していず、断面図しか示していない。ボデー用シール部材130は、
図3に示すように車両用ドア100を閉じたときにドアトリム104と接触する。これによって、ボデー用シール部材130は、車両ボデー114とドアトリム104の間隙をシールし、ドア用シール部材110との間に第1の空間120を形成する。このように、本実施形態では、ドア用シール部材110およびボデー用シール部材130という二重のシール構造によって、車両用ドア100と車両ボデー114との間隙がシールされている。
【0033】
図4は、
図3の一部拡大図である。
図4(a)は
図3のボデー用シール部材130周辺を拡大した拡大図である。
図4(b)は
図4(a)の変形例であり、これについては後述する。
図4(a)に示すように、本実施形態にかかる車両用ドア構造は、リブ132を備える。リブ132はドアトリム104のドアインナパネル112側から突出してドアインナパネル112に接触し、ドアトリム104とドアインナパネル112との間隔を保つ部材である。
【0034】
図5は、
図4(a)の車両用ドア100およびドアトリム104を車内側の前方斜め下から見上げた斜視図である。
図5では、ドアトリム104およびドアインナパネル112の断面を、それぞれ、二点鎖線104Aおよび二点鎖線112Aで示している。なお
図5では車両ボデー114は図示を省略している。
図5に示すように、リブ132は、ドアトリム104のドアインナパネル112側に、車両前後方向に間隔を広げて、設けられている。また
図4(a)によると、リブ132と通気口150とは別の位置に配置されているが、それぞれの位置関係はこの限りでなく、両者が重なるように配置しても問題はない。
【0035】
図4(a)について既に述べたように、リブ132がドアトリム104とドアインナパネル112との間隔を保つため、ドアインナパネル112とドアトリム104との間に形成される第2の空間140は、ドアトリム104の縁まで到達する。その結果、第2の空間140は、ドアトリム104を隔てて第1の空間120に隣接することとなる。
【0036】
図4(a)に示すように、本実施形態にかかる車両用ドア構造は、ドアトリム104に開けられ第1の空間120および第2の空間140を連通させる通気口150が備えられている。
【0037】
本実施形態によれば、
図4(a)に示すように、車両用ドア100を閉めたときにドア用シール部材110とボデー用シール部材130との間に形成される第1の空間120に閉じ込められる空気を、矢印151、152で示すように、ドアトリム104に開けられた通気口150を通じて第2の空間140に逃がすことができる。第2の空間が車内へ通じていた場合、第1の空間120からの空気は充分に逃げ場がある。第2の空間が密閉された空間である場合でも、第1の空間120と連通することにより、実質的に第1の空間120の容積を増大させることができる。したがってどちらの場合においても、ドアを閉じる際に第1の空間120内の気圧が上昇することを緩和し、ドアの閉まり性の悪化も防止可能である。
【0038】
さらに本実施形態によれば、2つのシール部材110・130間の第1の空間120を形成するドアインナパネル112に直接穴を開けることもないため、二重のシール構造による車室の高い気密性を維持し、異物の混入を防ぐことも可能である。
【0039】
(第1の実施形態の変形例)
図4(b)は
図4(a)に示した第1の実施形態の変形例を示す図である。
図4(b)に示すように、第1の実施形態の変形例では、ドアインナパネル112に、
図8の第3の実施形態の窪み160に類似した窪み161が設けられている。第1の実施形態は通気口150の形成によって、既に十分に、第1の空間120の空気を逃がすことが可能である。しかし何らかの理由で通気口150の形成のみでは十分な通気が難しい場合に、この窪み161を設けるとよい。窪み161の内部の第3の空間171を形成することにより、第1の空間120から第2の空間140までを連通させるための空間を充分に確保することが可能だからである。したがって、より確実に第2の空間140へ空気を逃がすことが可能である。
【0040】
(第2の実施形態)
図6は本発明による車両用ドア構造の第2の実施形態を示す、
図4に対応する図である。
図7は
図6の変形例を示す図であり、これについては後述する。本実施形態では
図4の第1の実施形態と異なる点のみ説明し、第1の実施形態と同様の要素は同一の符号で示す。
図4の実施形態によれば、通気口150によって第1の空間120の空気を第2の空間140に逃がすことが可能である。しかし水や塵などの異物が万一ドア用シール部材110を突破して第1の空間120に入り込んだときに、通気口150を介して第2の空間140に進入してしまう可能性がある。
【0041】
第2の実施形態は、上述の問題を解決するものである。
図6(a)は、本実施形態において車両用ドア100を閉じたときにボデー用シール部材130がドアトリム104と接触する瞬間を示している。
図6(b)は、ドアトリム104が車両ボデー114にさらに接近して完全にドアが閉じた状態を示している。
【0042】
つまり、
図6(a)に示すように、本実施形態では、ボデー用シール部材130がドアトリム104と接触する瞬間には、第1の空間120および第2の空間140を連通させている。したがって、ドアを閉じる瞬間には第1の空間120に閉じ込められている空気を通気口150から第2の空間140へ逃がすことができる。
【0043】
その一方、本実施形態では、第1の実施形態と比較すると、通気口150とボデー用シール部材130との距離が短くなっている。そのため、車両用ドア100を閉じる過程で、ドアトリム104に対するボデー用シール部材130の接触面積が増大することで、ボデー用シール部材130によって通気口150が塞がれ始める。さらに、ボデー用シール部材130とドアトリム104とが接近すると塞がれる面積も増大する。そして、
図6(b)に示すように、車両用ドア100が完全に閉じた時には、ドアトリム104とボデー用シール部材130とによって、通気口150は完全に塞がれている。したがって、第1の空間120が密閉され、仮に車外からドア用シール部材110を突破して第1の空間120まで異物が進入しても、通気口150を通じた第2の空間140への異物混入を防げるようにしている。
【0044】
(第2の実施形態の変形例)
図7は
図6に示した第2の実施形態の変形例を示す図である。
図7に示すように、第2の実施形態の変形例では、ドアインナパネル112に、
図8の第3の実施形態の窪み160に類似した窪み163が設けられている。第2の実施形態は通気口150の形成によって、既に十分に、第1の空間120の空気を逃がすことが可能である。しかし何らかの理由で通気口150の形成のみでは十分な通気が難しい場合に、この窪み163を設けるとよい。窪み163の内部の第3の空間173を形成することにより、第1の空間120から第2の空間140までを連通させるための空間を充分に確保することが可能だからである。したがって、より確実に第2の空間140へ空気を逃がすことが可能である。
【0045】
(第3の実施形態)
図8は本発明による車両用ドア構造の第3の実施の形態を示す、
図4に対応する図である。本実施形態でも
図4の第1の実施形態と異なる点のみ説明し、第1の実施形態と同様の要素は同一の符号で示す。第3の実施形態では、ドアインナパネル112を車外側にへこませて、窪み160を形成している。
【0046】
図9は
図8の車両用ドア100およびドアトリム104を車内側の前方斜め下から見上げた斜視図である。
図9でも、ドアトリム104およびドアインナパネル112の断面を、それぞれ、二点鎖線104Aおよび112Aで示している。なお
図9でも車両ボデー114は図示を省略している。
【0047】
図9では窪み160は1つしか示していないが、車両前後方向に間隔を空けて複数設けられている。したがって、
図8に示すように、窪み160の設けられている位置において、ドアインナパネル112は、ドアトリム104の縁と接触しない。窪み160の内部には、第1の空間120と連通する第3の空間170が形成されている。これによって、第1の空間120から第3の空間170を通じて第2の空間140に空気を流すことが可能である。
【0048】
(第4の実施形態)
図10は本発明による車両用ドア構造の第4の実施の形態を示す、
図4に対応する図である。
図10(a)は本実施形態を示す図である。
図10(b)は
図10(a)の変形例を示す図であり、これについては後述する。本実施形態でも
図4の第1の実施形態と異なる点のみ説明し、第1の実施形態と同様の要素は同一の符号で示す。
図10(a)に示すように、第4の実施形態では、ドアトリム104の縁を切り欠いて切欠部180を形成している。
【0049】
図11は
図10(a)の車両用ドア100およびドアトリム104を車内側の前方斜め下から見上げた斜視図である。
図11では、ドアトリム104およびドアインナパネル112の断面を、それぞれ、二点鎖線104Aおよび112Aで示している。なお
図11では車両ボデー114は図示を省略している。
【0050】
図11では切欠部180を1つしか示していないが、車両前後方向に間隔を空けて、複数設けられている。
図10(a)に示すように、本実施形態では、切欠部180の設けられている位置において、ドアインナパネル112はドアトリム104の縁と接触しない。また切欠部180はドアトリム104の縁を切り欠いて形成され、第1の空間120および第2の空間140を連通させている。
【0051】
(第4の実施形態の変形例)
図10(b)は
図10(a)に示した第4の実施形態の変形例を示す図である。
図10(b)に示すように、第4の実施形態の変形例では、ドアインナパネル112に、
図8の第3の実施形態の窪み160に類似した窪み165が設けられている。第4の実施形態は、切欠部180の形成によって、既に十分に、第1の空間120の空気を逃がすことが可能である。しかし何らかの理由で切欠部180の形成のみでは十分な通気が難しい場合に、この窪み165を設けるとよい。窪み165の内部の第3の空間175を形成することにより、第1の空間120から第2の空間140までを連通させるための空間を充分に確保することが可能だからである。したがって、より確実に第2の空間140へ空気を逃がすことが可能である。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。