(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来は、対応関係の精度を向上するためには、多数の色の出力と測色とが行われており、対応関係の精度を向上するための負担が大きかった。
【0005】
本発明の主な利点は、2つの色空間の間の対応関係の精度を容易に向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
2つの色空間の間の対応関係を規定するデータを生成する処理装置であって、
第1色空間で表された第1色値と第2色値とを含むN個(Nは2以上の整数)の基本色値のそれぞれに応じて画像出力装置によって出力されるN個の色のそれぞれの測色値であるN個の基本測色値を取得する第1取得部と、
前記第1色値に対応付けられる第1測色値と、前記第2色値に対応付けられる第2測色値とが、所定の条件を満たす場合に、前記第1色空間内の第3色値であって、前記第3色値と前記第1色値との間の距離が前記第2色値と前記第1色値との間の距離よりも短く、かつ、前記第3色値と前記第2色値との間の距離が前記第1色値と前記第2色値との間の距離よりも短い前記第3色値を、測色されるべき色を表す色値として追加する追加部と、
前記第3色値に応じて前記画像出力装置によって出力される第3色の測色値である第3測色値を取得する第2取得部と、
前記N個の基本測色値に加えて前記第3測色値を用いることによって、前記第1色空間で表された色値である入力色値と、測色値を表す第2色空間で表された色値である出力色値と、の間の対応関係を規定する規定データを生成する規定データ生成部と、
を備える、処理装置。
【0008】
この構成によれば、測色値(具体的には、第1測色値と第2測色値)に応じて第3色値が追加され、規定データの生成には、N個の基本測色値に加えて、第3色値に応じて出力される第3色の第3測色値が利用される。従って、予め決められた多数の色の測色値を利用する場合と比べて、第1色空間で表された入力色値と、測色値を表す第2色空間で表された出力色値と、の間の対応関係を規定する規定データの精度を、容易に向上できる。
【0009】
[適用例2]
適用例1に記載の処理装置であって、
前記規定データ生成部は、前記規定データの一部として、前記N個の基本色値には含まれていないM個(Mは2以上の整数)の前記入力色値であるM個の補足色値に対応付けられたM個の前記出力色値を、前記基本色値と前記基本測色値とのN個の対応関係であるN個の基本対応関係と、前記第3色値と第3測色値との対応関係と、を用いて補間する、
処理装置。
【0010】
この構成によれば、N個の基本対応関係と、第3色値と第3測色値との対応関係と、を用いて、補足色値と補足測色値とのM個の対応関係が補間されるので、入力色値と出力色値との間の対応関係を規定する規定データの精度を、さらに向上できる。
【0011】
[適用例3]
適用例1に記載の処理装置であって、
前記規定データ生成部は、
前記N個の基本対応関係を用いて、前記M個の補足色値に対応するM個の前記出力色値を補間し、
前記補間されたM個の出力色値のうちの前記第3色値に対応付けられた前記出力色値を、前記第3測色値に置換する、
処理装置。
【0012】
この構成によれば、補間されたM個の出力色値のうちの第3色値に対応付けられた出力色値が、第3測色値に置換されるので、入力色値と出力色値との間の対応関係を規定する規定データの精度を、さらに向上できる。
【0013】
[適用例4]
適用例1から3のいずれか1項に記載の処理装置であって、
前記画像出力装置は、シアン色材とマゼンタ色材とイエロ色材とを含む複数の色材を利用して画像を印刷する印刷装置であり、
前記第1色値は、前記シアン色材と前記マゼンタ色材と前記イエロ色材とのうちの少なくとも2つの色材の混色を用いて印刷される色を表している、
処理装置。
【0014】
この構成によれば、混色を用いて表される色に近い色を表す第3色値が追加されるので、混色を用いて表される色を表す入力色値と出力色値との間の対応関係の精度を、向上できる。
【0015】
[適用例5]
適用例1から4のいずれか1項に記載の処理装置であって、
前記所定の条件は、前記第1測色値と前記第2測色値との間の彩度の差が所定の彩度差閾値以上である前記第1色値と前記第2色値とに応じて前記第3色値が追加される条件である彩度条件を含む、処理装置。
【0016】
この構成によれば、第1色値の第1測色値と第2色値の第2測色値と間の色を、第3色値の第3測色値によって補うことができるので、第1測色値と第2測色値との間の彩度差が所定の彩度差閾値以上である場合であっても、規定データの精度(特に、彩度の精度)を向上できる。
【0017】
[適用例6]
適用例5に記載の処理装置であって、
前記彩度条件は、前記第1色値が、前記第1色空間内における、無彩色を表す軸である無彩色軸と前記第1色値とを含む平面を前記無彩色軸で分割した場合に、前記平面の前記無彩色軸から前記第1色値側の部分である部分平面上の前記基本色値のうちの、最も彩度が高い色値であることを含む、処理装置。
【0018】
この構成によれば、彩度が高い第1色値の周辺で生じ得る彩度の誤差を低減できる。
【0019】
[適用例7]
適用例1から6のいずれか1項に記載の処理装置であって、
前記所定の条件は、前記第1測色値と前記第2測色値との間の明度の差が所定の明度差閾値以上である前記第1色値と前記第2色値とに応じて前記第3色値が追加される条件である明度条件を含む、処理装置。
【0020】
この構成によれば、第1色値の第1測色値と第2色値の第2測色値と間の色を、第3色値の第3測色値によって補うことができるので、第1測色値と第2測色値との間の明度差が所定の明度差閾値以上である場合であっても、規定データの精度(特に、明度の精度)を向上できる。
【0021】
[適用例8]
適用例7に記載の処理装置であって、
前記明度条件は、前記第1色値が、前記第1色空間内における、最も明るい白色、または、最も暗い黒色であることを含む、処理装置。
【0022】
この構成によれば、明度が低い、または、明度が高い第1色値の周辺で生じ得る明度の誤差を低減できる。
【0023】
[適用例9]
適用例1から8のいずれか1項に記載の処理装置であって、
前記所定の条件は、前記第1測色値と前記第2測色値との間の彩度の差が所定の彩度差上限未満であることを含む、処理装置。
【0024】
第1測色値と第2測色値との間の彩度差が大きい場合には、第3色値を追加しても、規定データの精度の向上が小さい可能性が高い。上記構成によれば、そのような場合の第3色値の追加を抑制することによって、規定データの精度向上に伴う負担を軽減できる。
【0025】
[適用例10]
2つの色空間の間の対応関係を規定するデータを生成する処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
第1色空間で表された第1色値と第2色値とを含むN個(Nは2以上の整数)の基本色値のそれぞれに応じて画像出力装置によって出力されるN個の色のそれぞれの測色値であるN個の基本測色値を取得する第1取得機能と、
前記第1色値に対応付けられる第1測色値と、前記第2色値に対応付けられる第2測色値とが、所定の条件を満たす場合に、前記第1色空間内の第3色値であって、前記第3色値と前記第1色値との間の距離が前記第2色値と前記第1色値との間の距離よりも短く、かつ、前記第3色値と前記第2色値との間の距離が前記第1色値と前記第2色値との間の距離よりも短い前記第3色値を、測色されるべき色を表す色値として追加する追加機能と、
前記第3色値に応じて前記画像出力装置によって出力される第3色の測色値である第3測色値を取得する第2取得機能と、
前記N個の基本測色値に加えて前記第3測色値を用いることによって、前記第1色空間で表された色値である入力色値と、測色値を表す第2色空間で表された色値である出力色値と、の間の対応関係を規定する規定データを生成する規定データ生成機能と、
をコンピュータに実現させる、コンピュータプログラム。
【0026】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、データの処理方法およびデータの処理装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)、等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としての複合機を示す説明図である。この複合機1000は、データを処理する処理装置100と、処理装置100に接続されたプリンタ300と、処理装置100に接続された測色器400と、を有している。
【0029】
処理装置100は、CPU110と、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、表示部140と、操作部150と、を有している。
【0030】
揮発性記憶装置120は、例えば、いわゆるDRAMであり、不揮発性記憶装置130は、例えば、いわゆるフラッシュメモリである。不揮発性記憶装置130は、CPU110によって実行されるプログラム132を、格納している。CPU110は、プログラム132を実行することによって、種々の機能を実現する。本実施例では、CPU110は、第1取得部210と、第2取得部220と、追加部230と、規定データ生成部240と、色変換テーブル生成部250と、測色制御部270と、印刷制御部280と、のそれぞれの処理部の機能を実現する。各処理部の詳細については、後述する。また、CPU110は、プログラム(例えば、プログラム132)の実行に利用される種々の中間データを、記憶装置(例えば、揮発性記憶装置120、または、不揮発性記憶装置130)に、一時的に格納する。また、不揮発性記憶装置130は、パッチデータ134も格納している(詳細は、後述)。
【0031】
表示部140は、画像を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイである。操作部150は、ユーザによる操作を受け入れる装置であり、例えば、表示部140上に重ねて配置されたタッチパネルである。ユーザは、操作部150を操作することによって、色を制御する処理の開始指示等の種々の指示を入力可能である。
【0032】
プリンタ300は、印刷媒体(例えば、紙)上に画像を印刷する装置であり、印刷機構320を有している。印刷機構320は、本実施例では、シアンCとマゼンタMとイエロYとブラックKのそれぞれのインクを用いるインクジェット式の印刷機構である。ただし、印刷機構320としては、他の方式の印刷機構(例えば、レーザ式プリンタ)を採用可能である。
【0033】
測色器400は、色を測定して測色値を表す測色データを出力する装置であり、センサ420を有している。センサ420は、本実施例では、いわゆる分光測色を行うセンサである。ただし、センサ420としては、他の測色方式のセンサ(例えば、刺激値直読式のセンサ)を採用可能である。
【0034】
図2は、色制御処理のフローチャートである。本実施例の色制御処理では、プリンタ300(
図1)によって印刷されたカラーパッチCPの測色結果に応じて、印刷に利用される画像データの色値と、測色値を表す色空間で表された色値と、の対応関係が決定され、そして、決定された対応関係に従って、色変換テーブルが生成される。以下、印刷に利用される画像データの色値を「入力色値」とも呼び、入力色値を表す色空間を「第1色空間」とも呼ぶ。本実施例では、第1色空間は、RGB色空間である。また、測色値を表す色空間で表された色値を「出力色値」とも呼び、出力色値を表す色空間を「第2色空間」とも呼ぶ。本実施例では、第2色空間は、CIEのL*a*b*色空間である。
【0035】
色制御処理は、例えば、ユーザが処理装置100に対して色制御処理の開始を指示した場合に、処理装置100のCPU110によって開始される。本実施例では、ユーザは、操作部150を操作することによって、色制御処理の開始指示を入力可能である。
【0036】
最初のステップS100では、カラーパッチが印刷され、そして、カラーパッチの測色結果に応じて、色値の対応関係が決定される。
図3は、色値の対応関係の決定処理のフローチャートである。最初のステップS200では、印刷制御部280(
図1)は、パッチデータ134を用いて印刷データを生成し、生成した印刷データをプリンタ300に送信する。プリンタ300の印刷機構320は、受信した印刷データに従って、互いに色が異なるN個(Nは2以上の整数)のカラーパッチCP(
図1)を印刷する。
【0037】
パッチデータ134は、例えば、N個のカラーパッチCPを表すRGBビットマップデータであり、各画素の色は、赤R、緑G、青Bの各色成分によって、表されている。各色成分は、例えば、256階調(0〜255)で表されている。N個のカラーパッチCPのそれぞれの色を表す赤R、緑G、青Bのそれぞれの階調値は、所定の複数の階調値から選択される。本実施例では、赤R、緑G、青Bのそれぞれの階調値は、階調値の全範囲を8等分して得られる9個の階調値(0、32、64、96、128、160、192、224、255)から、選択される。本実施例では、赤R、緑G、青Bのそれぞれの9個の階調値の全ての組合せが、カラーパッチCPとして用いられるので、カラーパッチCPの総数Nは、729(=9*9*9)個である。以下、N個のカラーパッチCPのそれぞれの色を表すN個の色値(ここでは、RGBの階調値)を「基本色値」とも呼ぶ。
【0038】
図4は、カラーパッチCPのRGBの色値を示す概略図である。図中には、赤Rと緑Gと青Bとの3つの階調値で表される色立体CCが示されている。RGB色空間で表された色は、この色立体CC内の点(色点とも呼ぶ)で表される。図中では、色立体CCの8つの頂点のそれぞれに、色を示す符号(具体的には、黒頂点Vk、赤頂点Vr、緑頂点Vg、青頂点Vb、シアン頂点Vc、マゼンタ頂点Vm、イエロ頂点Vy、白頂点Vw)が付されている。図中の軸Axは、黒頂点Vkと白頂点Vwとを結ぶ直線であり、無彩色を表している(以下、「無彩色軸Ax」とも呼ぶ)。図中の黒丸で示された色点CPpは、
図3のステップS200で印刷されるカラーパッチCPの色点を示している(以下、「基本色点CPp」とも呼ぶ。図中では、一部のカラーパッチCPの色点CPpだけが示されている。N個のカラーパッチCPに対応するN個の基本色点CPpは、色立体CCの6つの頂点を含み、さらに、色立体CCの全体に亘っておおよそ均等に分布している(図示省略)。
【0039】
印刷制御部280は、パッチデータ134のRGBの色値(すなわち、RGBのそれぞれの階調値)を、プリンタ300で利用可能な色材の量に対応するCMYKの色値(すなわち、CMYKのそれぞれの階調値)に変換し、変換されたCMYKの色値を用いてハーフトーン処理を実行することによって、カラーパッチCPを表す印刷データを生成する。RGBの色値とCMYKの色値との対応関係としては、予め決められた標準の対応関係が利用される。後述するように、RGBの色値とCMYKの色値との対応関係は、カラーパッチCPの測色結果に応じて、修正される。
【0040】
なお、本実施例では、RGBの色値とCMYKの色値との対応関係は、複数のRGBの色値と、各RGBの色値に対応付けられたCMYKの色値と、の対応関係を表すテーブルによって、規定されている。以下、このテーブルを「色変換テーブル」とも呼ぶ。カラーパッチの印刷には、予め準備された標準の色変換テーブルが利用される。
【0041】
図3の次のステップS210では、測色器400を用いて、N個のカラーパッチCPの測色が行われる。本実施例では、処理装置100の測色制御部270は、測色器400に、測色実行指示を送信する。測色器400のセンサ420は、指示に従って測色を行い、測色値を取得する。測色値は、プリンタ300等のデバイスに依存しない色空間、例えば、CIEのL*a*b*色空間で表されている。センサ420、取得した測色値を表す測色データを、処理装置100に送信し、測色制御部270は、測色器400からの測色データを受信する。そして、第1取得部210は、測色制御部270を通じて、測色データを取得する。以下、基本色値に応じて印刷されたカラーパッチCPの測色値を「基本測色値」とも呼ぶ。
【0042】
なお、本実施例では、カラーパッチCPが印刷された印刷媒体に対して相対的に測色器400を移動させる移動機構が、印刷機構320に設けられている。測色制御部270は、この移動機構を制御するによって、自動的に、N個のカラーパッチCPを測色器400でスキャンする。この代わりに、ユーザが、手動で、N個のカラーパッチCPを測色器400でスキャンしてもよい。
【0043】
図3の次のステップS220では、追加部230は、測色値に応じて、色値(すなわち、色点)を追加する(以下「追加色値(追加色点)」とも呼ぶ)。追加色値は、2つの基本色値の間で測色値が大きく変化する場合に、追加される。
図5は、色値の追加処理のフローチャートである。最初のステップS300では、追加部230(
図1)は、複数の色相のうちの未処理の色相を処理対象として選択する。本実施例では、色相は、
図4に示すRGB色空間内において、無彩色軸Axを含む平面によって、特定される。例えば、無彩色軸Axを底辺として有し、赤頂点Vrを対頂点として有する三角形状の平面(すなわち、頂点Vk、Vr、Vwによって形成される平面)は、赤の色相の色を示している。
【0044】
無彩色軸Axと赤頂点Vrとを含む平面は、無彩色軸Axを挟んで赤頂点Vrの反対側に位置するシアン頂点Vcも含んでいる。無彩色軸Axよりも赤頂点Vr側の部分平面は、赤の色相の色を示し、無彩色軸Axよりもシアン頂点Vc側の部分平面は、赤の補色であるシアンの色相の色を示している。一般に、無彩色軸Axを含む平面は、無彩色軸Axで分割することによって、おおよそ同じ色相を示す部分平面と、補色であるおおよそ同じ色相を示す部分平面と、に分けられる。このように、無彩色軸Axを含み、かつ、おおよそ同じ色相を示す部分平面を「軸平面」とも呼ぶ。
【0045】
図5の処理では、無彩色軸Axから離れた少なくとも1つの基本色点CPpを含む複数の軸平面(すなわち、色相)が、1つずつ処理される。複数の軸平面は、全ての基本色点CPpのそれぞれが、いずれかの軸平面に含まれるように、設定される。複数の基本色点は、色立体CCの全体に亘って分布するように、準備されている。従って、
図5の手順に従って処理される複数の色相(軸平面)は、特定の色相に偏ることなく、色相の全範囲に亘って、分布する。
【0046】
図4には、複数の軸平面のうちの一部の軸平面が示されている。1つの軸平面は、上述したように、赤頂点Vrを含む軸平面APrである。また、赤頂点Vrとイエロ頂点Vyとを結ぶライン上には、赤頂点Vrからイエロ頂点Vyに向かって並ぶ基本色点M1〜M4が示されている。軸平面AP1〜AP4は、基本色点M1〜M4を、それぞれ含む軸平面である。
図5のステップS300では、追加部230は、このように無彩色軸Axから離れた少なくとも1つの基本色点CPpを含む複数の軸平面の中から、未処理の1つの軸平面を選択する。以下、処理対象として選択された軸平面を「対象軸平面」とも呼ぶ。また、以下、赤頂点Vrを含む軸平面APrが対象軸平面として選択されたこととして、説明を行う。
【0047】
図6は、軸平面APr上の複数の基本色点CPpに対応付けられた複数の測色値の分布例を示す概略図である。横軸は、彩度Chを示し、縦軸は、明るさL*を示している。明るさL*は、L*a*b*色空間のL*値を示している。彩度Chは、L*a*b*色空間のa*値とb*値とによって表される彩度である。本実施例では、彩度Chは、a*値の2乗とb*値の2乗との和の平方根によって算出される。図中の黒丸で示された色点は、
図4に示す外殻(Vk−Vr−Vwを結ぶ直線)上の基本色点CPpに対応付けられた測色値を示している。ハッチングを伴う丸は、外殻よりも内側の基本色点CPpに対応付けられた測色値を示している。色点に付された括弧内の3つの数字は、左から順番に、基本色点CPpのR値、G値、B値を示している。例えば、赤頂点Vrの色値は、R=255、G=0、B=0である。
【0048】
図示するように、黒頂点Vkの測色値の明るさL*は、最も小さく(すなわち、最も暗い)、白頂点Vwの測色値の明るさL*は、最も大きい(すなわち、最も明るい)。そして、赤頂点Vrの測色値の彩度Chは、最も高い。
【0049】
図5の次のステップS310では、追加部230は、対象軸平面に含まれる複数の基本色点CPpのうちの、測色値によって示される彩度が対称軸平面内で最も高い基本色点CPpを特定する(以下、「最高彩度色点」と呼ぶ)。
図6の例では、追加部230は、最も彩度の高い基本色点CPpとして、赤頂点Vrを選択する。通常は、対象軸平面の外殻上の色点のいずれかが、最高彩度色点として、選択される。
【0050】
次に、追加部230は、対象軸平面の外殻上の複数の基本色点CPpのうちの、最高彩度色点の隣の基本色点CPp(以下、「隣色点」と呼ぶ)を特定する。
図4、
図6の例では、2つの隣色点Rn1、Rn2が選択される。そして、追加部230は、最高彩度色点と、隣色点と、の間の彩度Chの差を算出する。
図6に示す第1彩度差dCr1は、最高彩度色点Vrと第1隣色点Rn1との間の彩度差を示し、第2彩度差dCr2は、最高彩度色点Vrと第2隣色点Rn2との間の彩度差を示している。彩度差dCr1、dCr2は、いずれも正値として算出される。
【0051】
次に、追加部230は、「算出された2つの彩度差dCr1、dCr2の両方が、ゼロより大きい所定の彩度差閾値以上である」という彩度条件が満たされるか否かを判定する。彩度条件が満たされない場合(
図5:S310:No)、処理は、ステップS330に移行する。彩度条件が満たされる場合(S310:Yes)、次のステップS320で、追加部230は、色点を追加する。
【0052】
図6の例では、彩度差dCr1、dCr2の両方が彩度差閾値以上であることとする。この場合、追加部230は、RGB色空間(
図4)内において、最高彩度色点Vrと第1隣色点Rn1との中間に位置する第1追加色点Rs1と、最高彩度色点Vrと第2隣色点Rn2との中間に位置する第2追加色点Rs2とを、追加する。このように、2つの色点が追加される。色点の追加が終了したことに応じて、
図5のステップS320が終了し、処理は、ステップS330に移行する。なお、中間に位置する色点は、本実施例では、基本色点と、当該基本色点に隣接する基本色点と、の2つのRGB値の略平均値のRGB値を有する色点である。
【0053】
ステップS330では、追加部230は、対象軸平面に含まれる複数の基本色点CPpのうちの、測色値によって示される明るさL*が最も小さい基本色点CPpを特定する(以下、「最暗黒色点」と呼ぶ)。
図6の例では、黒頂点Vkが最暗黒色点として選択される。通常は、黒頂点Vkが、最暗黒色点として選択される。
【0054】
次に、追加部230は、対象軸平面の外殻上の複数の基本色点CPpのうちの、最暗黒色点の隣の基本色点CPpを特定する。
図4、
図6の例では、隣色点Knが選択される。そして、追加部230は、最暗黒色点と、隣色点と、の間の彩度Chの差と、明るさL*の差と、を算出する。
図6に示す彩度差dCkは、最暗黒色点Vkと隣色点Knとの間の彩度Chの差を示し、明度差dLkは、最暗黒色点Vkと隣色点Knとの間の明るさL*の差を示している。彩度差dCkと明度差dLkとは、いずれも、正値として算出される。
【0055】
次に、追加部230は、「算出された明度差dLkが、ゼロより大きい所定の明度差閾値以上であり、かつ、算出された彩度差dCkが、ゼロより大きい所定の彩度差上限未満である」という第1明度条件が満たされるか否かを判定する。第1明度条件が満たされない場合(
図5:S330:No)、処理は、ステップS350に移行する。第1明度条件が満たされる場合(S330:Yes)、次のステップS340で、追加部230は、色点を追加する。
【0056】
図6の例では、明度差dLkが明度差閾値以上であり、かつ、彩度差dCkが彩度差上限未満であることとする。この場合、追加部230は、RGB色空間(
図4)内において、最暗黒色点Vkと隣色点Knとの中間に位置する色点Ksを追加する。色点の追加が終了したことに応じて、
図5のステップS340が終了し、処理は、ステップS350に移行する。
【0057】
ステップS350では、追加部230は、対象軸平面に含まれる複数の基本色点CPpのうちの、測色値によって示される明るさL*が最も大きい基本色点CPpを特定する(以下「最明白色点」と呼ぶ)。
図6の例では、白頂点Vwが最明白色点として選択される。通常は、白頂点Vwが、最明白色点として選択される。
【0058】
次に、追加部230は、対象軸平面の外殻上の複数の基本色点CPpのうちの、最明白色点の隣の基本色点CPpを特定する。
図4、
図6の例では、隣色点Wnが選択される。そして、追加部230は、最明白色点と、隣色点と、の間の彩度Chの差と、明るさL*の差と、を算出する。
図6に示す彩度差dCwは、最明白色点Vwと隣色点Wnとの間の彩度Chの差を示し、明度差dLwは、最明白色点Vwと隣色点Wnとの間の明るさL*の差を示している。明度差dLwと彩度差dCwとは、いずれも、正値として算出される。
【0059】
次に、追加部230は、「算出された明度差dLwが、ゼロより大きい所定の明度差閾値以上であり、かつ、算出された彩度差dCwが、ゼロより大きい所定の彩度差上限未満である」という第2明度条件が満たされるか否かを判定する。第2明度条件が満たされない場合(
図5:S350:No)、処理は、ステップS370に移行する。第2明度条件が満たされる場合(S350:Yes)、次のステップS360で、追加部230は、色点を追加する。なお、本実施例では、第1明度条件と第2明度条件との間で、明度閾値は同じであり、彩度差上限も同じである。ただし、明度閾値と彩度差上限との少なくとも一方が、第1明度条件と第2明度条件との間で異なっていても良い。
【0060】
図6の例では、明度差dLwが明度閾値以上であり、かつ、彩度差dCwが彩度差上限未満であることとする。この場合、追加部230は、RGB色空間(
図4)内において、最明白色点Vwと隣色点Wnとの中間に位置する色点Wsを追加する。色点の追加が終了したことに応じて、
図5のステップS360が終了し、処理は、ステップS370に移行する。
【0061】
ステップS370では、追加部230は、未処理の軸平面(色相)が残っているか否かを判定する。未処理の軸平面が残っていない場合(S370:No)、
図5の処理は終了する。未処理の軸平面が残っている場合(S370:Yes)、処理はステップS300に戻り、追加部230は、未処理の軸平面(例えば、対象軸平面の隣の軸平面)を、新たな対象軸平面として選択する。
【0062】
以上のように、最高彩度色点Vrと隣色点Rn1、Rn2との間の彩度差dCr1、dCr2が彩度差閾値以上であることを含む彩度条件が満たされる場合に、最高彩度色点Vrと隣色点Rn1、Rn2との間に追加色点Rs1、Rs2が追加される。この理由は、種々の印刷装置において、最高彩度色点Vrの近傍では、隣合う色点間の彩度の差が大きくなり易いからである。また、最暗黒色点Vkと隣色点Knとの間の明度差dLkが明度差閾値以上であることを含む第1明度条件が満たされる場合に、最暗黒色点Vkと隣色点Knとの間に追加色点Ksが追加される。そして、最明白色点Vwと隣色点Wnとの間の明度差dLwが明度差閾値以上であることを含む第2明度条件が満たされる場合に、最明白色点Vwと隣色点Wnとの間に追加色点Wsが追加される。この理由は、種々の印刷装置において、最暗黒色点Vkと最明白色点Vwとのそれぞれの近傍では、隣合う色点間の明度の差が大きくなり易いからである。また、最高彩度色点Vrと最暗黒色点Vkと最明白色点Vwとのそれぞれの近傍(より一般には、色立体CCの頂点の近傍)において、色点を追加することによって、プリンタ300の色域の広さの特定の精度を、向上できる。なお、以上の説明は、赤に限らず、他の色相に関しても、同様である。
【0063】
以上、赤頂点Vrを含む軸平面APrが対象軸平面として選択された場合を例として用いて、説明を行った。他の軸平面についても、同様に、色点が追加される。
図7〜
図10を参照して、軸平面AP1〜AP4が対象軸平面として選択された場合について、簡単に説明する。
図7〜
図10は、いずれも、
図6と同様に、測色値の分布例を示している。横軸は、彩度Chを示し、縦軸は、明るさL*を示している。
【0064】
図7は、
図4の第1軸平面AP1上の複数の基本色点CPpに対応付けられた複数の測色値の分布例を示す概略図である。第1軸平面AP1に含まれる基本色点は、黒頂点Vkと白頂点Vwと第1基本色点M1との3つの色点である。
【0065】
彩度条件(
図5:S310、S320)に関しては、
図7の例では、最高彩度色点M1と隣色点Vw、Vkとの間の彩度差dCk1が彩度差閾値以上である場合に、最高彩度色点M1と隣色点Vw、Vkとの中間の色点Ws1、Ks1が追加される。第1明度条件(
図5:S330、S340)に関しては、
図7の例では、最暗黒色点Vkと隣色点M1との間の明度差dLk1と彩度差dCk1とが第1明度条件を満たす場合に、2つの色点Vk、M1の中間の色点Ks1が追加される。第2明度条件(
図5:S350、S360)に関しては、
図7の例では、最明白色点Vwと隣色点M1との間の明度差dLw1と彩度差dCw1(=dCk1)とが第2明度条件を満たす場合に、2つの色点Vw、M1の中間の色点Ws1が追加される。
【0066】
図8は、
図4の第2軸平面AP2上の複数の基本色点CPpに対応付けられた複数の測色値の分布例を示す概略図である。第2軸平面AP2の外殻に含まれる基本色点は、黒頂点Vkと白頂点Vwと第2基本色点M2とに加えて、2つの色点Vk、M2の中間の色点Kn2と、2つの色点Vw、M2の中間の色点Wn2と、である。
【0067】
彩度条件(
図5:S310、S320)に関しては、
図8の例では、最高彩度色点M2と隣色点Wn2、Kn2との間の彩度差dCm21、dCm22が彩度差閾値以上である場合に、最高彩度色点M2と隣色点Wn2、Kn2との中間の色点M2s1、M2s2が追加される。第1明度条件(
図5:S330、S340)に関しては、
図8の例では、最暗黒色点Vkと隣色点Kn2との間の明度差dLk2と彩度差dCk2とが第1明度条件を満たす場合に、2つの色点Vk、Kn2の中間の色点Ks2が追加される。第2明度条件(
図5:S350、S360)に関しては、
図8の例では、最明白色点Vwと隣色点Wn2との間の明度差dLw2と彩度差dCw2とが第2明度条件を満たす場合に、2つの色点Vw、Wn2の中間の色点Ws2が追加される。
【0068】
図9は、
図4の第3軸平面AP3上の複数の基本色点CPpに対応付けられた複数の測色値の分布例を示す概略図である。第3軸平面AP3の外殻に含まれる基本色点は、黒頂点Vkと白頂点Vwと第3基本色点M3との3つの色点である。
【0069】
彩度条件(
図5:S310、S320)に関しては、
図9の例では、最高彩度色点M3と隣色点Vw、Vkとの間の彩度差dCk3が彩度差閾値以上である場合に、最高彩度色点M3と隣色点Vw、Vkとの中間の色点Ws3、Ks3が追加される。第1明度条件(
図5:S330、S340)に関しては、
図9の例では、最暗黒色点Vkと隣色点M3との間の明度差dLk3と彩度差dCk3とが第1明度条件を満たす場合に、2つの色点Vk、M3の中間の色点Ks3が追加される。第2明度条件(
図5:S350、S360)に関しては、
図9の例では、最明白色点Vwと隣色点M3との間の明度差dLw3と彩度差dCw3(=dCk3)とが第2明度条件を満たす場合に、2つの色点Vw、M3の中間の色点Ws3が追加される。
【0070】
図10は、
図4の第4軸平面AP4上の複数の基本色点CPpに対応付けられた複数の測色値の分布例を示す概略図である。第4軸平面AP4の外殻に含まれる基本色点は、黒頂点Vkと白頂点Vwと第4基本色点M4とに加えて、2つの色点Vk、M4の間の3つの色点と、2つの色点Vw、M4の間の3つの色点と、である。
【0071】
彩度条件(
図5:S310、S320)に関しては、
図10の例では、最高彩度色点M4と隣色点M4n1、M4n2との間の彩度差dCm41、dCm42が彩度差閾値以上である場合に、最高彩度色点M4と隣色点M4n1、M4n2との中間の色点M4s1、M4s2が追加される。第1明度条件(
図5:S330、S340)に関しては、
図10の例では、最暗黒色点Vkと隣色点Kn4との間の明度差dLk4と彩度差dCk4とが第1明度条件を満たす場合に、2つの色点Vk、Kn4の中間の色点Ks4が追加される。第2明度条件(
図5:S350、S360)に関しては、
図10の例では、最明白色点Vwと隣色点Wn4との間の明度差dLw4と彩度差dCw4とが第2明度条件を満たす場合に、2つの色点Vw、Wn4の中間の色点Ws4が追加される。
【0072】
以上のように、
図5の処理が完了すると、
図3の次のステップS230では、印刷制御部280(
図1)は、追加色値によって表されるカラーパッチを表す印刷データを生成し、生成した印刷データをプリンタ300に送信する。以下、追加色値によって表されるカラーパッチを「追加カラーパッチ」と呼ぶ。プリンタ300の印刷機構320は、受信した印刷データに従って、追加カラーパッチを印刷する。
【0073】
次のステップS240では、測色器400を用いて、追加カラーパッチの測色が行われる。測色方法は、ステップS210の測色方法と同じである。このステップS240では、第2取得部220は、測色制御部270を通じて、測色データを取得する。以下、追加カラーパッチを測色して得られる測色値を「追加測色値」とも呼ぶ。
【0074】
図6には、追加色点Ws、Rs1、Rs2、Ksの測色値の例が示されている。図示するように、最明白色点Vwの近くの追加色点Wsの測色値の明るさL*は、最明白色点Vwの測色値と隣色点Wnの測色値とを結ぶ直線上の彩度Chが追加色点Wsの彩度Chと同じである色点によって表される明るさL*よりも、小さい。このように、最明白色点Vwの近傍では、RGBの色値の変化に対して、測色値が非線形に変化する場合がある。また、最暗黒色点Vkの近くの追加色点Ksの測色値の明るさL*は、最暗黒色点Vkの測色値と隣色点Knの測色値とを結ぶ直線上の彩度Chが追加色点Ksの彩度Chと同じである色点によって表される明るさL*よりも、大きい。このように、最暗黒色点Vkの近傍では、RGBの色値の変化に対して、測色値が非線形に変化する場合がある。また、最高彩度色点Vrの近くの追加色点Rs1の測色値の彩度Chは、赤頂点Vrの測色値と隣色点Rn1の測色値とを結ぶ直線上の明るさL*が追加色点Rs1の明るさL*と同じである色点によって表される彩度Chよりも、大きい。同様に、追加色点Rs2の測色値の彩度Chは、赤頂点Vrの測色値と隣色点Rn2の測色値とを結ぶ直線上の明るさL*が追加色点Rs2の明るさL*と同じである色点によって表される彩度Chよりも、大きい。このように、最高彩度色点Vrの近傍では、RGBの色値の変化に対して、測色値が非線形に変化する場合がある。
【0075】
他の軸平面(例えば、
図7〜
図10の軸平面AP1〜AP4)においても、同様に、最暗黒色点Vkの近傍と、最明白色点Vwの近傍と、最高彩度色点の近傍と、において、RGBの色値の変化に対して、測色値が非線形に変化する場合がある。本実施例では、追加カラーパッチの測色値を利用することによって、測色値の非線形な変化を精度よく表すように入力色値と出力色値との対応関係を規定可能である。
【0076】
図3の次のステップS250では、規定データ生成部240(
図1)は、ステップS210で取得された測色値と、ステップS240で取得された測色値と、を用いることによって、入力色値と出力色値(すなわち、第1色空間と第2色空間)との対応関係を表す規定データを生成する。本実施例では、規定データとして、第1色空間内の全体に亘って分布するL個(LはNよりも大きい整数)の入力色値と、各入力色値に対応する出力色値と、の対応関係を表すテーブルが生成される。L個の入力色値としては、カラーパッチCPの印刷に利用されたN個の基本色値よりも高い密度で配置されたL個の入力色値が、採用される。本実施例では、入力色値の赤R、緑G、青Bのそれぞれの階調値は、階調値の全範囲を16等分して得られる17個の階調値(0、16、32、48、64、80、96、112、128、144、160、176、192、208、224、240、255)から、選択される。本実施例では、赤R、緑G、青Bのそれぞれの17個の階調値の全ての組合せが、入力色値として用いられるので、入力色値の総数Lは、4913(=17*17*17)個である。本実施例では、N個の基本色値は、L個の入力色値の一部を構成する。また、追加色値も、L個の入力色値の一部を構成する。以下、L個の入力色値のうちのN個の基本色値には含まれていないM個(M=L−N)の入力色値を「補足色値」とも呼ぶ。
【0077】
規定データ生成部240は、L個の入力色値のうちのN個の基本色値のそれぞれに関しては、基本色値に対応付けられた測色値を、そのまま、出力色値として採用する。規定データ生成部240は、L個の入力色値のうちの追加色値に関しては、追加色値に対応付けられた追加測色値を、そのまま、出力色値として採用する。規定データ生成部240は、基本色値と追加色値とのいずれとも異なる入力色値(すなわち、補足色値)に関しては、基本色値と追加色値との出力色値(すなわち、測色値)を用いた補間によって、出力色値を算出する。補間方法としては、種々の公知の方法を採用可能である。例えば、いわゆる三角錐補間を採用可能である。規定データ生成部240は、L個の入力色値と出力色値との対応関係を表すデータを、規定データとして生成する。
【0078】
規定データの生成が完了したことに応じて、
図3の処理が終了する。
図2の次のステップS110では、色変換テーブル生成部250が、規定データを用いて、色変換テーブルを生成する。色変換テーブルは、RGBの色値とCMYKの色値との対応関係を規定するテーブルである。色変換テーブルは、印刷処理に利用される。印刷制御部280は、RGB色空間で表された画像データを用いて、プリンタ300に供給すべき印刷データを生成する。ここで、印刷制御部280は、色変換テーブルに従ってRGBの色値をCMYKの色値に変換し、変換されたCMYKの色値を用いてハーフトーン処理を実行することによって、印刷データを生成する。
【0079】
本実施例では、プリンタ300によって印刷される理想的な色、すなわち、RGBの色値と理想的なL*a*b*の色値との対応関係が、予め決められている。色変換テーブル生成部250は、この理想的な対応関係(RGB−L*a*b*)と、カラーパッチの測色値を用いて決定された規定データ(RGB−L*a*b*)と、カラーパッチの印刷に利用された標準色変換テーブル(RGB−CMYK)と、を用いることによって、理想的なL*a*b*の色値を実現するための色変換テーブルを決定する。例えば、規定データと標準色変換テーブルとを用いることによって、特定のRGB値に対するCMYK値と、当該特定のRGB値に対するL*a*b*値と、を対応づけることにより、CMYKの色値とL*a*b*の色値との対応関係を特定可能である。そして、この特定された対応関係(CMYK−L*a*b*)と、理想的な対応関係(RGB−L*a*b*)とを用いることによって、特定のL*a*b*値に対するCMYK値と、当該特定のL*a*b*値に対するRGB値と、を対応づけることにより、RGBの色値とCMYKの色値との対応関係を特定可能である。
【0080】
色変換テーブル生成部250は、生成した色変換テーブルを、不揮発性記憶装置130に格納する(図示省略)。以後、印刷制御部280は、不揮発性記憶装置130に格納された色変換テーブルを参照することによって、印刷を行う。
【0081】
以上のように、本実施例では、
図5で説明したように、N個の基本色値から選択された2つの基本色値にそれぞれ対応付けられた2つの測色値が所定の条件(S310、S330、S350)を満たす場合に、2つの基本色値の中間に色値が追加される(S320、S340、S360)。そして、N個の基本色値に対応付けられたN個の測色値に加えて、追加色値に対応付けられた測色値を用いることによって、RGB色空間の色値(入力色値)と、L*a*b*色空間の色値(出力色値)との対応関係を規定する規定データが生成される(
図3)。従って、規定データの全ての入力色値のそれぞれのカラーパッチの測色を行う場合と比べて、規定データの精度を容易に向上できる。
【0082】
特に、ステップS310では、2つの基本測色値から得られる彩度差が所定の彩度差閾値以上である2つの基本色値(具体的には、最高彩度色点と隣色点)に応じて追加色値が追加される(彩度条件)。従って、彩度差が大きい2つの基本測色値の間を追加測色値によって補うことができるので、規定データの精度を容易に向上できる。また、最高彩度色点と隣色点との間、すなわち、最高彩度色点の近くに追加色点(追加色値)が追加されるので、彩度が高い色の周辺で生じ得る彩度の誤差を低減できる。
【0083】
また、
図4で説明したように、N個の基本色点CPpは、色立体CCの全体に亘っておおよそ均等に分布している。従って、
図5の手順に従って処理される複数の色相(軸平面)は、特定の色相に偏ることなく、色相の全範囲に亘って分布している。この結果、彩度条件の判定に用いられる最高彩度色点としては、赤頂点Vrや緑頂点Vgや青頂点Vbのように、シアン色材とマゼンタ色材とイエロ色材とのうちの少なくとも2つの色材の混色を用いて表される色を表す色点が、用いられ得る。従って、混色を用いて表される色を表す入力色値と出力色値との対応関係の精度を、容易に向上できる。
【0084】
なお、ステップS310(
図5)で判定される彩度条件は、最高彩度色点と隣色点との2つの基本色点(基本色値)の間の彩度差に加えて、最高彩度色点と別の隣色点との2つの基本色点(基本色値)の間の彩度差にも、制限を課している。この代わりに、2つの隣色点が、独立に、彩度条件に従って判定されてもよい。例えば、
図6の実施例において、第1彩度差dCr1が彩度閾値以上である場合には、第2彩度差dCr2が彩度閾値未満であっても、第1追加色点Rs1を追加してもよい。同様に、第2彩度差dCr2が彩度閾値以上である場合には、第1彩度差dCr1が彩度閾値未満であっても、第2追加色点Rs2を追加してもよい。
【0085】
彩度差閾値としては、色点の追加によって規定データの精度を向上できるように、予め実験的に決定された値を採用可能である。彩度差閾値を小さくすると、色点の追加による測色の負担が増大するものの、規定データの精度を向上できる。しかし、彩度差閾値を過剰に小さくすると、色点の追加による測色の負担が更に増大するものの、規定データの更なる精度向上が小さい場合がある。一方、彩度差閾値を大きくすると、色点の追加が抑制されるので、測色の負担を抑制できるものの、規定データの精度が低くなる場合がある。これらのバランスを考慮して、実験的に、彩度差閾値を決定すればよい。
【0086】
また、ステップS330、S340、S350、S360では、2つの基本測色値から得られる明度差が所定の明度差閾値以上である2つの基本色値(具体的には、頂点Vk、Vwと隣色点)に応じて追加色値が追加される(明度条件)。従って、明度差が大きい2つの基本測色値の間を追加測色値によって補うことができるので、規定データの精度を容易に向上できる。また、ステップS330、S340では、最暗黒色点Vkと隣色点との間、すなわち、最暗黒色点Vkの近くに追加色点が追加されるので、最暗黒色点Vkの周辺で生じ得る明度の誤差を低減できる。また、ステップS350、S360では、最明白色点Vwと隣色点との間、すなわち、最明白色点Vwの近くに追加色点が追加されるので、最明白色点Vwの周辺で生じ得る明度の誤差を低減できる。
【0087】
なお、明度差閾値としては、色点の追加によって規定データの精度を向上できるように、予め実験的に決定された値を採用可能である。明度差閾値を小さくすると、色点が追加され易いので、測色の負担が増大するものの、規定データの精度を向上できる。しかし、明度差閾値を過剰に小さくすると、測色の負担が更に増大するものの、更に追加された色点は、明度差が小さい2つの基本色点の間に位置しているので、色点の追加による規定データの更なる精度向上が小さい場合がある。一方、明度差閾値を過度に大きくすると、色点の追加が抑制されるので、測色の負担を抑制できる。しかし、明度差の大きい2つの基本色点の間に色点が追加されないので、規定データの精度が低くなる場合がある。これらのバランスを考慮して、実験的に、明度差閾値を決定すればよい。
【0088】
また、明度条件(S330、S350)は、2つの基本測色値の間の彩度差が所定の彩度差上限未満であることを含んでいる。従って、彩度差が大き過ぎて追加色点を追加しても規定データの精度向上が小さい可能性が高い場合に、追加色点の追加が抑制されるので、規定データの精度向上に伴う負担を軽減できる。
【0089】
なお、彩度差上限としては、色点の追加によって規定データの精度を向上できるように、予め実験的に決定された値を採用可能である。彩度差上限を大きくすると、色点が追加され易いので、測色の負担が増大するものの、規定データの精度を向上できる。しかし、彩度差上限を過度に大きくすると、測色の負担が更に増大するものの、規定データの更なる精度向上が小さい場合がある。一方、彩度差上限を過度に小さくすると、色点の追加が抑制されるので、測色の負担を抑制できる。しかし、彩度差の大きい2つの基本色点の間に色点が追加されないので、規定データの精度が低くなる場合がある。これらのバランスを考慮して、実験的に、彩度差上限を決定すればよい。
【0090】
また、
図3のステップS250で説明したように、規定データ生成部240は、L個の入力色値のうちのN個の基本色値には含まれていないM個の補足色値に対応付けられたM個の出力色値を、基本色値と基本測色値とのN個の対応関係と、追加色値と追加測色値との対応関係と、を用いて補間する。従って、規定データの精度を、さらに向上できる。
【0091】
B.第2実施例:
図11は、色値の追加処理の他の実施例を示す概略図である。上述の
図5の処理では、1つの軸平面の外殻上の2つの基本色値に応じて、同じ軸平面の外殻上に色値が追加されている。例えば、
図4の軸平面APrの外殻上の黒頂点Vkと隣色点Knとに応じて、同じ軸平面APrの外殻上に、色点Ksが追加される。第2実施例では、追加部230(
図1)は、第1実施例と同様の色値の追加処理(
図5)に加えて、さらに、色立体CC内で隣り合う2つの色相(軸平面)の間に色値を追加する処理を実行する。
図2、
図3、
図5の色制御処理は、第1実施例と同様に実行される。第2実施例の色値の追加処理は、
図3のステップS220で、
図5の処理に加えて、実行される。また、色制御処理の実行に利用される複合機の構成は、
図1の複合機1000の構成と、同じである。以下、同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0092】
図11中には、白頂点Vwから黒頂点Vkに向かう方向を向いて見た色立体CCが示されている。図中の黒丸で示された色点は、基本色点を示し、白丸で示された色点は、追加され得る色点を示している。色点に付された括弧内の3つの数字は、左から順番に、R値、G値、B値を示している。図中において、無彩色軸Axからの距離は、おおよその彩度を示している。無彩色軸Axから離れた6つの頂点Vr、Vm、Vb、Vc、Vg、Vyをこの順番に辿る辺Srm、Smb、Sbc、Scg、Sgy、Syr上の色は、彩度の高い色を示している。以下、これらの辺Srm、Smb、Sbc、Scg、Sgy、Syrを、高彩度辺Srm、Smb、Sbc、Scg、Sgy、Syrとも呼ぶ。第2実施例の色値の追加処理では、赤頂点Vrと緑頂点Vgと青頂点Vbとのそれぞれの近傍に色値が追加される。以下、赤頂点Vrを例に説明を行う。
【0093】
追加部230は、赤頂点Vrを含む高彩度辺Srm、Syr上の複数の基本色点のうちの、赤頂点Vrの隣の色点Ry、Rmを特定する。選択される隣色点Ry、Rmは、いずれも、赤頂点Vrとは色相が異なる色点である。なお、第1隣色点Ryは、
図4の第1基本色点M1と同じである。追加部230は、赤頂点Vrと、隣色点Ry、Rmと、の間の彩度差を算出する。図中の第1彩度差dCh1は、赤頂点Vrの測色値と第1隣色点Ryの測色値との間の彩度差を示し、第2彩度差dCh2は、赤頂点Vrの測色値と第2隣色点Rmの測色値との間の彩度差を示している。算出される彩度差dCh1、dCh2は、いずれも、正値として算出される。
【0094】
次に、追加部230は、第1彩度差dCh1が上記の彩度差閾値以上である場合に、赤頂点Vrと第1隣色点Ryとの中間に位置する第1追加色点Rh1を、追加する。第1追加色点Rh1の色相は、赤頂点Vrと第1隣色点Ryとの間の色相である。同様に、追加部230は、第2彩度差dCh2が上記の彩度閾値以上である場合に、赤頂点Vrと第2隣色点Rmとの中間に位置する第2追加色点Rh2を、追加する。第2追加色点Rh2の色相は、赤頂点Vrと第2隣色点Rmとの間の色相である。
【0095】
緑頂点Vgと青頂点Vbとについても、同様に、色点が追加され得る。具体的には、青頂点Vbと第1隣色点Bmとの間に、第1追加色点Bh1が追加され得、青頂点Vbと第2隣色点Bcとの間に、第2追加色点Bh2が追加され得、緑頂点Vgと第1隣色点Gcとの間に、第1追加色点Gh1が追加され得、緑頂点Vgと第2隣色点Gyとの間に、第2追加色点Gh2が追加され得る。
【0096】
色点追加処理の基準となる色点Vr、Vg、Vbは、いずれも、シアン色材とマゼンタ色材とイエロ色材とのうちの少なくとも2つの色材の混色を用いて印刷される色を表している。このように、混色を用いて印刷される色の色点を基準として用いる理由は、以下の通りである。一般に、色材の単位面積当たりの総量には、上限が設定されている。混色を用いて色を印刷する場合には、単色で色を印刷する場合と比べて、個々の色材の量が少ない値に制限され易い。この結果、混色を用いて印刷される色の最高彩度は、単色で印刷される色の最高彩度よりも、低くなる場合がある。従って、色相を、混色を用いて印刷される色相(例えば、赤頂点Vrの赤)から、単色で印刷される色相(例えば、イエロ頂点Vyの黄)に向かって、変化させると、最高彩度が大きく変化する場合がある。そこで、第2実施例では、追加部230は、混色を用いて印刷される色の色点Vr、Vg、Vbの近傍に、色相が異なる追加色点を追加している。従って、色相の変化に対する彩度の変化を、より精度よく表す規定データを生成できる。
【0097】
C.第3実施例:
図12は、色値の対応関係の決定処理の別の実施例を示すフローチャートである。
図12の処理は、
図3の処理の代わりに利用可能である。
図12では、
図3と同じステップに同じ符号を付して、その説明を省略する。
図2、
図5の処理は、第1実施例と同じである。さらに、第2実施例の色値の追加処理を本実施例に適用してもよい。また、色制御処理の実行に利用される複合機の構成は、
図1の複合機1000の構成と、同じである。以下、同じ要素には、同じ符号を付して、説明を省略する。
【0098】
図12のステップS200〜S240は、
図3のステップS200〜S240と、それぞれ同じである。次のステップS260では、規定データ生成部240は、規定データの全ての入力色値(L個の入力色値)のうちのM個の補足色値のそれぞれの出力色値を、基本色値と基本測色値とのN個の対応関係を用いた補間によって、算出する。第1実施例とは異なり、補間には、追加色値と追加測色値との対応関係は、用いられない。
【0099】
次のステップS262では、規定データ生成部240は、出力色値が補間によって決定されたM個の補足色値のうちの、追加色値と同じ補足色値に対応する出力色値を、追加色値に対応付けられた追加測色値に置換する。以上により、規定データの生成が完了する。
【0100】
このように、第3実施例では、補間されたM個の出力色値のうちの追加色値に対応付けられた出力色値が、追加測色値に置換されるので、規定データの精度を向上できる。また、補間には、追加色値と追加測色値との対応関係が用いられないので、補間処理を簡略化できる。
【0101】
D.変形例:
(1)色値が追加されるための条件としては、
図5、
図11で説明した条件に限らず、種々の条件を採用可能である。例えば、
図5の3つの条件(S310、S330、S350)のうちの任意の1つ、または、2つの条件を省略してもよい。また、
図5の処理を省略して、
図11で説明した手順に従って、色値が追加されてもよい。また、
図5のステップS310で用いられている彩度条件は、最高彩度色点を用いずに、最高彩度色点とは異なる基本色点(基本色値)を用いて判定されてもよい。
図5のステップS330の第1明度条件は、最暗黒色点Vkを用いずに、最暗黒色点Vkとは異なる基本色点を用いて判定されてもよい。
図5のステップS350の第2明度条件は、最明白色点Vwを用いずに、最明白色点Vwとは異なる基本色点を用いて判定されてもよい。また、第1明度条件と第2明度条件と(S330、S350)で用いられている彩度差上限の条件を、彩度条件(S310)に適用してもよい。また、第1明度条件と第2明度条件との少なくとも一方から、彩度差上限の条件を省略してもよい。
【0102】
一般には、2つの基本色値に対応する2つの測色値の間で、特定の色成分(例えば、明るさ、彩度、色相など)の差分(正値)が、所定の閾値以上であることを含む条件を、2つの基本色値に応じて新たな色値を追加するための条件として採用可能である。こうすれば、特定の色成分の差分が大きい場合に、その2つの測色値の間を、追加された色値に対応する測色値で補うことができるので、規定データの精度を向上できる。
【0103】
色値を追加するための条件の判定に用いられる2つの基本色値としては、基本色値を表す色空間の外殻上に配置された2つの色値を採用することが好ましい。ここで、色空間の外殻は、色空間を構成する複数の色成分の少なくとも1つの値が、その色成分の可能な範囲の最小値、または、最大値である面である。例えば、
図4の色立体CCの6つの外表面が、外殻に対応する。このような外殻の近傍の領域では、外殻から遠い領域(例えば、色立体CCの内部)と比べて、色値の変化に対する測色値の変化が大きい場合が多い。従って、外殻上に配置された2つの色値を採用することによって、規定データの精度を向上できる。また、追加部230は、ユーザによって指定された2つの基本色値を、色値を追加するための条件の判定に用いられる2つの基本色値として、採用してもよい。例えば、ユーザは、予め、規定データの精度を向上させたい色範囲(例えば、RGBの色値の範囲)を指定する。追加部230は、指定された色範囲に含まれる2つの基本色値が、色値を追加するための条件を満たすか否かを判定し、条件を満たす2つの基本色値の間に、色値を追加する。こうすれば、ユーザによって指定された色範囲内に色値(すなわち、カラーパッチ)が追加されるので、指定された色範囲内での規定データの精度を向上できる。
【0104】
(2)追加される色値としては、色値を追加するための条件の判定に用いられた2つの基本色値の中間の色値に限らず、その2つの基本色値の近傍に配置された種々の色値を採用可能である。追加された色値を用いて、2つの基本色値の間を適切に補間するためには、以下のような色値を追加することが好ましい。すなわち、第1色値と第2色値とに応じて、第3色値を追加する場合、第3色値と第1色値との間の距離が第2色値と第1色値との間の距離よりも短く、かつ、第3色値と第2色値との間の距離が第1色値と第2色値との間の距離よりも短い第3色値を採用することが好ましい。さらに、第3色値は、第1色値と第2色値とを結ぶ直線上の色値であることが特に好ましく、第1色値と第2色値との中間の色値であることが、最も好ましい。
【0105】
(3)追加カラーパッチは、
図3のステップS200でカラーパッチが印刷された印刷媒体上の空欄に印刷されることが好ましい。こうすれば、共通の印刷媒体上にカラーパッチと追加カラーパッチとが印刷されるので、カラーパッチと追加カラーパッチとの間の印刷媒体の色の差に起因して、規定データの精度が低くなることを抑制できる。
【0106】
(4)規定データ生成部240によって生成される規定データの用途としては、色変換テーブルの生成に限らず、他の種々の用途を採用可能である。例えば、プリンタ300の色域を表すデータ、例えば、いわゆるICCプロファイルの生成に、規定データが利用されてもよい。この場合、規定データを、そのまま、ICCプロファイルとして採用可能である。また、規定データによって表される色域(すなわち、プリンタ300によって印刷可能な色域)と、プリンタ300とは異なる他の画像処理装置によって処理可能な色域と、の間の対応関係の決定に、規定データが利用されてもよい。なお、2つの色域の間の対応関係を決定する処理は、ガマットマッピングとも呼ばれる。
【0107】
(5)画像出力装置としては、プリンタ300に限らず、画像を出力する種々の装置を採用可能である。例えば、画像を表示するディスプレイを採用してもよい。このように、画像の出力は、印刷と表示とを含んでいる。
【0108】
(6)パッチデータ134としては、RGBビットマップデータに限らず、他の種々の形式のデータ(例えば、CMYKビットマップデータや、ハーフトーン処理済の印刷データ)を採用可能である。いずれの場合も、予め決められたN個の基本色値のそれぞれの色を表すN個のカラーパッチCPを表すように、パッチデータ134は形成される。
【0109】
(7)画像処理システムの構成としては、
図1に示す構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、プリンタ300が、印刷機構320を制御する制御装置を有していてもよい(例えば、ASIC(application specific integrated circuit)等の専用の制御装置)。この場合、プリンタ300の制御装置が、複合機1000の処理装置100からの指示(例えば、印刷データ)に従って、印刷機構320を制御する。また、測色器400が、センサ420を制御する制御装置を有していても良い(例えば、ASIC等の専用の制御装置)。この場合、測色器400の制御装置が、複合機1000の処理装置100からの指示に従って、センサ420を制御する。また、処理装置100とプリンタ300と測色器400とが、互いに異なるケースに収容されていてもよい。
【0110】
(8)色制御処理のための機能(例えば、
図1の処理部210〜280の機能)は、複合機1000とは異なる種類の装置(例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータ)によって実現されてもよい。また、ネットワークを介して互いに通信可能な複数の装置(例えば、コンピュータ)が、色制御処理のための機能を一部ずつ分担して、全体として、色制御処理のための機能を提供してもよい(これらの装置を備えるシステムが処理装置に対応する)。
【0111】
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部あるいは全部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、
図1の規定データ生成部240の機能を、論理回路を有する専用のハードウェア回路によって実現してもよい。
【0112】
また、本発明の機能の一部または全部がコンピュータプログラムで実現される場合には、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、一時的ではない記録媒体)に格納された形で提供することができる。プログラムは、提供時と同一または異なる記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納された状態で、使用され得る。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、メモリーカードやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種ROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスクドライブ等のコンピュータに接続されている外部記憶装置も含んでいる。
【0113】
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。