特許第6221485号(P6221485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221485
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】ツインクラッチ式変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 3/091 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   F16H3/091
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-165139(P2013-165139)
(22)【出願日】2013年8月8日
(65)【公開番号】特開2015-34580(P2015-34580A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(72)【発明者】
【氏名】明石 浩平
【審査官】 星名 真幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−161965(JP,A)
【文献】 特表2010−535990(JP,A)
【文献】 特開昭61−274142(JP,A)
【文献】 特開昭61−274147(JP,A)
【文献】 特表2008−530456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/091
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの動力を断接する第1クラッチを有する第1入力軸と、
前記第1入力軸を回転自在に挿通させる中空軸を有すると共に、駆動源からの動力を断接する第2クラッチを有する第2入力軸と、
前記第1入力軸と同軸上に配置された出力軸と、
前記第1入力軸、前記第2入力軸及び、前記出力軸と平行に配置された副軸と、
前記第1入力軸と前記出力軸との間に回転自在に配置された第1入力ギヤ及び、前記副軸に相対回転可能に設けられて前記第1入力ギヤと噛合する第1副ギヤを含む第1ギヤ対と、
前記第2入力軸に設けられた第2入力ギヤ及び、前記副軸に設けられて前記第2入力ギヤと噛合する第2副ギヤを含む第2ギヤ対と、
前記第2入力ギヤと前記第1入力ギヤとの間に配置されて前記第1入力軸に相対回転可能に設けられた第3入力ギヤ及び、前記副軸に相対回転可能に設けられて前記第3入力ギヤと噛合する第3副ギヤを含む第3ギヤ対と、
前記第3入力ギヤ及び、前記第1入力ギヤを前記第1入力軸に選択的に連結可能な第1連結手段と、
前記第1入力ギヤを前記出力軸に選択的に連結可能な第2連結手段と、
少なくとも前記第1副ギヤを前記副軸に選択的に連結可能な第3連結手段と、を備えるツインクラッチ式変速機。
【請求項2】
前記第1副ギヤ及び、前記第3副ギヤが一体回転可能に形成され、
所定変速ギヤ段から一段高い変速ギヤ段にシフトアップする際は、前記所定変速ギヤ段の状態で、前記第1連結手段により前記第3入力ギヤと前記第1入力軸とが連結された後、前記第1クラッチが接続される
請求項1に記載のツインクラッチ式変速機。
【請求項3】
前記所定変速ギヤ段から一段高い変速ギヤ段において、
前記第3ギヤ対及び、前記第1ギヤ対のギヤ比を用いて減速が行われる
請求項2に記載のツインクラッチ式変速機。
【請求項4】
前記所定変速ギヤ段において、前記第2連結手段により前記第1入力ギヤと前記出力軸とが連結され、前記第3連結手段により前記第1副ギヤと前記副軸とが連結され、前記第2クラッチが接続されて、前記第2ギヤ対及び、前記第1ギヤ対のギヤ比を用いて減速が行われる
請求項2又は3に記載のツインクラッチ式変速機。
【請求項5】
前記出力軸に設けられた出力ギヤ及び、前記副軸に相対回転可能に設けられて前記出力ギヤと噛合する第4副ギヤを含むと共に、前記所定変速ギヤ段よりも少なくとも二段高いギヤ比に設定された変速用ギヤ対と、
前記第4副ギヤを前記副軸に選択的に連結可能な第4連結手段と、をさらに備える
請求項2から4の何れか一項に記載のツインクラッチ式変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツインクラッチ式変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動源からの動力を断接する第1クラッチが設けられた第1インプットシャフトと、駆動源からの動力を断接する第2クラッチが設けられた第2インプットシャフトと、アウトプットシャフトに設けられた複数の変速用ギヤとを備え、第1クラッチ及び第2クラッチを交互に切り替えることで変速を実行するツインクラッチ式変速機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−120764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図11に示す従来型のツインクラッチ式変速機では、5速から6速へのシフトアップは、第1シンクロ機構400によってアウトプットシャフト140と第1入力プライマリギヤ200Aとを連結し、第2シンクロ機構410によってカウンタシャフト150と3速用カウンタギヤ300Bとを連結した後、第1クラッチ110を第2クラッチ120に切り替えることで実行される。すなわち、第1プライマリギヤ対200及び、第2プライマリギヤ対210が6速の変速用ギヤ対として利用される。
【0005】
しかしながら、6速の状態で既に第1プライマリギヤ対200と第2プライマリギヤ対210との二系統を使用するため、6速から更にシフトアップする場合は、クラッチの切り替え前に、シンクロ機構400,410の解除による動力伝達経路の変更が必要となる。そのため、アウトプットシャフト140に伝達される動力が一時的に遮断されるいわゆるトルク抜けが生じ、6速以上の更なる増段に対応できない課題がある。
【0006】
本発明の目的は、プライマリギヤ対を変速用ギヤ対として利用する所定変速段からシフトアップする際のトルク抜けを効果的に防止できるツインクラッチ式変速機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明のツインクラッチ式変速機は、駆動源からの動力を断接する第1クラッチを有する第1入力軸と、前記第1入力軸を回転自在に挿通させる中空軸を有すると共に、駆動源からの動力を断接する第2クラッチを有する第2入力軸と、前記第1入力軸と同軸上に配置された出力軸と、前記第1入力軸、前記第2入力軸及び、前記出力軸と平行に配置された副軸と、前記第1入力軸と前記出力軸との間に回転自在に配置された第1入力ギヤ及び、前記副軸に相対回転可能に設けられて前記第1入力ギヤと噛合する第1副ギヤを含む第1ギヤ対と、前記第2入力軸に設けられた第2入力ギヤ及び、前記副軸に設けられて前記第2入力ギヤと噛合する第2副ギヤを含む第2ギヤ対と、前記第2入力ギヤと前記第1入力ギヤとの間に配置されて前記第1入力軸に相対回転可能に設けられた第3入力ギヤ及び、前記副軸に相対回転可能に設けられて前記第3入力ギヤと噛合する第3副ギヤを含む第3ギヤ対と、前記第3入力ギヤ及び、前記第1入力ギヤを前記第1入力軸に選択的に連結可能な第1連結手段と、前記第1入力ギヤを前記出力軸に選択的に連結可能な第2連結手段と、少なくとも前記第1副ギヤを前記副軸に選択的に連結可能な第3連結手段と、を備える。
【0008】
また、前記第1副ギヤ及び、前記第3副ギヤが一体回転可能に形成され、所定変速ギヤ段から一段高い変速ギヤ段にシフトアップする際は、前記所定変速ギヤ段の状態で、前記第1連結手段により前記第3入力ギヤと前記第1入力軸とが連結された後、前記第1クラッチが接続されてもよい。
【0009】
また、前記所定変速ギヤ段から一段高い変速ギヤ段において、前記第3ギヤ対及び、前記第1ギヤ対のギヤ比を用いて減速が行われてもよい。
【0010】
また、前記所定変速ギヤ段において、前記第2連結手段により前記第1入力ギヤと前記出力軸とが連結され、前記第3連結手段により前記第1副ギヤと前記副軸とが連結され、前記第2クラッチが接続されて、前記第2ギヤ対及び、前記第1ギヤ対のギヤ比を用いて減速が行われてもよい。
【0011】
また、前記出力軸に設けられた出力ギヤ及び、前記副軸に相対回転可能に設けられて前記出力ギヤと噛合する第4副ギヤを含むと共に、前記所定変速ギヤ段よりも少なくとも二段高いギヤ比に設定された変速用ギヤ対と、前記第4副ギヤを前記副軸に選択的に連結可能な第4連結手段と、をさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のツインクラッチ式変速機によれば、プライマリギヤ対を変速用ギヤ対として利用する所定変速段からシフトアップする際のトルク抜けを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るツインクラッチ式変速機を示すスケルトン図である。
図2図1に示すツインクラッチ式変速機における1速の動力伝達経路を示す図である。
図3図1に示すツインクラッチ式変速機における2速の動力伝達経路を示す図である。
図4図1に示すツインクラッチ式変速機における3速の動力伝達経路を示す図である。
図5図1に示すツインクラッチ式変速機における4速の動力伝達経路を示す図である。
図6図1に示すツインクラッチ式変速機における5速の動力伝達経路を示す図である。
図7図1に示すツインクラッチ式変速機における6速の動力伝達経路を示す図である。
図8図1に示すツインクラッチ式変速機における7速の動力伝達経路を示す図である。
図9図1に示すツインクラッチ式変速機における8速の動力伝達経路を示す図である。
図10図1に示すツインクラッチ式変速機における9速の動力伝達経路を示す図である。
図11】従来型のツインクラッチ式変速機の要部を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係るツインクラッチ式変速機を説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0015】
図1に示すように、第1インプットシャフト11の入力側端には、第1クラッチ10が設けられている。第2インプットシャフト13の入力側端には、第2クラッチ12が設けられている。第2インプットシャフト13には、軸方向に貫通する中空軸が形成されると共に、この中空軸には第1インプットシャフトが相対回転可能に挿通されている。
【0016】
アウトプットシャフト14は、第1インプットシャフト11と同軸上に間隔を隔てて配置されている。カウンタシャフト15は、インプットシャフト11,13及び、アウトプットシャフト14と平行に配置されている。
【0017】
第1クラッチ10は、エンジン2のクランクシャフト3に固定された第1プレッシャプレート10Aと、第1インプットシャフト11の入力側端に固定された第1クラッチディスク10Bとを備えている。第1プレッシャプレート10Aが移動して第1クラッチディスク10Bに圧接すると、エンジン2の動力は第1クラッチ10を介して第1インプットシャフト11に伝達される。
【0018】
第2クラッチ12は、エンジン2のクランクシャフト3に固定された第2プレッシャプレート12Aと、第2インプットシャフト13の入力側端に固定された第2クラッチディスク12Bとを備えている。第2プレッシャプレート12Aが移動して第2クラッチディスク12Bに圧接すると、エンジン2の動力は第2クラッチ12を介して第2インプットシャフト13に伝達される。
【0019】
第1プライマリギヤ対20は、本発明の第1ギヤ対の一例であって、互いに噛合する第1インプットギヤ20A及び、第1カウンタギヤ20Bを備えている。第1インプットギヤ20Aは、第1インプットシャフト11とアウトプットシャフト14との間に図示しないベアリングを介して回転自在に支持されている。第1カウンタギヤ20Bは、カウンタシャフト15に相対回転可能に設けられている。
【0020】
第2プライマリギヤ対21は、本発明の第2ギヤ対の一例であって、互いに噛合する第2インプットギヤ21A及び、第2カウンタギヤ21Bを備えている。第2インプットギヤ21Aは、第2インプットシャフト13の出力側端に固定されている。第2カウンタギヤ21Bは、カウンタシャフト15の入力側端に固定されている。すなわち、第2クラッチ12を介して第2インプットシャフト13に伝達されるエンジン2の動力は、第2プライマリギヤ対21を介してカウンタシャフト15に伝達される。
【0021】
第3プライマリギヤ対22は、本発明の第3ギヤ対の一例であって、互いに噛合する第3インプットギヤ22A及び、第3カウンタギヤ22Bを備えている。第3インプットギヤ22Aは、第2インプットギヤ21Aと第1インプットギヤ20Aとの間に位置する第1インプットシャフト11に相対回転可能に設けられている。第3カウンタギヤ22Bは、カウンタシャフト15に相対回転可能に設けられており、第1カウンタギヤ20Bと一体的に形成されている。
【0022】
3速用変速ギヤ対30は、互いに噛合する3速アウトプットギヤ30A及び、3速カウンタギヤ30Bを備えている。3速アウトプットギヤ30Aは、アウトプットシャフト14に相対回転可能に設けられている。3速カウンタギヤ30Bは、カウンタシャフト15に相対回転可能に設けられており、第1カウンタギヤ20B及び、第3カウンタギヤ22Bと一体的に形成されている。より詳しくは、一体形成された第3カウンタギヤ22B、第1カウンタギヤ20B及び、3速カウンタギヤ30Bには、軸方向に貫通する中空軸が形成されると共に、この中空軸にはカウンタシャフト15が回転自在に挿通されている。
【0023】
4速用変速ギヤ対31は、互いに噛合する4速アウトプットギヤ31A及び、4速カウンタギヤ31Bを備えている。4速アウトプットギヤ31Aは、アウトプットシャフト14に固定されている。4速カウンタギヤ31Bは、カウンタシャフト15に相対回転可能に設けられている。
【0024】
1/2速用変速ギヤ対32は、互いに噛合する1/2速アウトプットギヤ32A及び、1/2速カウンタギヤ32Bを備えている。1/2速アウトプットギヤ32Aは、アウトプットシャフト14に相対回転可能に設けられている。1/2速カウンタギヤ32Bは、カウンタシャフト15に固定されている。
【0025】
リバース用変速ギヤ対33は、互いに噛合するリバースアウトプットギヤ33A、リバースカウンタギヤ33B及び、アイドラギヤ33Cを備えている。リバースアウトプットギヤ33Aは、アウトプットシャフト14に相対回転可能に設けられている。リバースカウンタギヤ33Bは、カウンタシャフト15に固定されている。
【0026】
8/9速用変速ギヤ対34は、本発明の変速用ギヤ対の一例であって、互いに噛合する8/9速アウトプットギヤ34A及び、8/9速カウンタギヤ34Bを備えている。8/9速アウトプットギヤ34Aは、アウトプットシャフト14に固定されている。8/9速カウンタギヤ34Bは、カウンタシャフト15に相対回転可能に設けられている。
【0027】
第1シンクロ機構40は、本発明の第1連結手段の一例であって、図示しないシフトレバー装置のシフト操作に応じて軸方向に移動可能な第1スリーブ40Aと、第1インプットシャフト11の出力端に固定されたスプライン40Bと、第3インプットギヤ22Aに固定されたスプライン40Cと、第1インプットギヤ20Aに固定されたスプライン40Dとを備えている。
【0028】
第1スリーブ40Aが第3インプットギヤ22A側に移動してスプライン40Cと係合すると、第3インプットギヤ22Aと第1インプットシャフト11とが連結される。一方、第1スリーブ40Aが第1インプットギヤ20A側に移動してスプライン40Dと係合すると、第1インプットギヤ20Aと第1インプットシャフト11とが連結される。すなわち、第1シンクロ機構40によって、第1インプットギヤ20A及び、第3インプットギヤ22Aが第1インプットシャフト11と選択的に連結可能に構成されている。
【0029】
第2シンクロ機構41は、本発明の第2連結手段の一例であって、軸方向に移動可能な第2スリーブ41Aと、アウトプットシャフト14の入力端に固定されたスプライン41Bと、第1インプットギヤ20Aに固定されたスプライン41Cと、3速アウトプットギヤ30Aに固定されたスプライン41Dとを備えている。
【0030】
第2スリーブ41Aが第1インプットギヤ20A側に移動してスプライン41Cと係合すると、第1インプットギヤ20Aとアウトプットシャフト14とが連結される。一方、第2スリーブ41Aが3速アウトプットギヤ30A側に移動してスプライン41Dと係合すると、3速アウトプットギヤ30Aとアウトプットシャフト14とが連結される。すなわち、第2シンクロ機構41によって、第1インプットギヤ20A及び、3速アウトプットギヤ30Aがアウトプットシャフト14と選択的に連結可能に構成されている。
【0031】
第3シンクロ機構42は、本発明の第3連結手段の一例であって、軸方向に移動可能な第3スリーブ42Aと、3速カウンタギヤ30Bと4速カウンタギヤ31Bとの間のカウンタシャフト15に固定されたスプライン42Bと、3速カウンタギヤ30Bに固定されたスプライン42Cと、4速カウンタギヤ31Bに固定されたスプライン42Dとを備えている。
【0032】
第3スリーブ42Aが3速カウンタギヤ30B側に移動してスプライン42Cと係合すると、3速カウンタギヤ30Bとカウンタシャフト15とが連結される。一方、第3スリーブ42Aが4速カウンタギヤ31B側に移動してスプライン42Dと係合すると、4速カウンタギヤ31Bとカウンタシャフト15とが連結される。すなわち、第3シンクロ機構42によって、3速カウンタギヤ30B及び、4速カウンタギヤ31Bがカウンタシャフト15と選択的に連結可能に構成されている。
【0033】
第4シンクロ機構43は、軸方向に移動可能な第4スリーブ43Aと、1/2速アウトプットギヤ32Aとリバースアウトプットギヤ33Aとの間のアウトプットシャフト14に固定されたスプライン43Bと、1/2速アウトプットギヤ32Aに固定されたスプライン43Cと、リバースアウトプットギヤ33Aに固定されたスプライン43Dとを備えている。
【0034】
第4スリーブ43Aが1/2速アウトプットギヤ32A側に移動してスプライン43Cと係合すると、1/2速アウトプットギヤ32Aとアウトプットシャフト14とが連結される。一方、第4スリーブ43Aがリバースアウトプットギヤ33A側に移動してスプライン43Dと係合すると、リバースアウトプットギヤ33Aとアウトプットシャフト14とが連結される。すなわち、第4シンクロ機構43によって、1/2速アウトプットギヤ32A及び、リバースアウトプットギヤ33Aがアウトプットシャフト14と選択的に連結可能に構成されている。
【0035】
第5シンクロ機構44は、本発明の第4連結手段の一例であって、軸方向に移動可能な第5スリーブ44Aと、カウンタシャフト15の出力側端に固定されたスプライン44Bと、8/9速カウンタギヤ34Bに固定されたスプライン44Cとを備えている。
【0036】
第5スリーブ44Aが8/9速カウンタギヤ34B側に移動してスプライン44Cと係合すると、8/9速カウンタギヤ34Bとカウンタシャフト15とが連結される。すなわち、第5シンクロ機構44によって、8/9速カウンタギヤ34Bがカウンタシャフト15がと選択的に連結可能に構成されている。
【0037】
変速機制御ユニット(TCU)80は、図示しないシフト装置のシフト操作に応じて、第1クラッチ10、第2クラッチ12、各シンクロ機構40〜44を作動させる変速制御を実行する。以下、TCU80の変速制御による各前進段の動力伝達経路を図2〜10に基づいて説明する。
【0038】
図2は、1速の動力伝達経路を示している。1速の場合は、第1クラッチ10が選択されると共に、第1シンクロ機構40によって第1インプットギヤ20Aと第1インプットシャフト11とが連結される。さらに、第3シンクロ機構42によって3速カウンタギヤ30Bとカウンタシャフト15とが連結されると共に、第4シンクロ機構43によって1/2速アウトプットギヤ32Aとアウトプットシャフト14とが連結される。
【0039】
すなわち、エンジン2の動力は、第1クラッチ10から第1インプットシャフト11、第1プライマリギヤ対20、第1カウンタギヤ20B、3速カウンタギヤ30B、カウンタシャフト15、1/2速用変速ギヤ対32を介してアウトプットシャフト14に伝達される。
【0040】
図3は、2速の動力伝達経路を示している。2速の場合は、1速の状態から第1クラッチ10を第2クラッチ12に切り替えることで実行される。すなわち、エンジン2の動力は、第2クラッチ12から第2インプットシャフト13、第2プライマリギヤ対21、カウンタシャフト15、1/2速用変速ギヤ対32を介してアウトプットシャフト14に伝達される。
【0041】
図4は、3速の動力伝達経路を示している。3速の場合は、2速の状態で第1シンクロ機構40により第1インプットギヤ20Aと第1インプットシャフト11とを連結し、第2シンクロ機構41により3速アウトプットギヤ30Aとアウトプットシャフト14とを連結して待機状態とし、第2クラッチ12を第1クラッチ10に切り替えることで実行される。
【0042】
すなわち、エンジン2の動力は、第1クラッチ10から第1インプットシャフト11、第1プライマリギヤ対20、3速用変速ギヤ対30を介してアウトプットシャフト14に伝達される。
【0043】
図5は、4速の動力伝達経路を示している。4速の場合は、3速の状態で第3シンクロ機構42により4速カウンタギヤ31Bとカウンタシャフト15とを連結して待機状態とし、第1クラッチ10を第2クラッチ12に切り替えることで実行される。
【0044】
すなわち、エンジン2の動力は、第2クラッチ12から第2インプットシャフト13、第2プライマリギヤ対21、カウンタシャフト15、4速用変速ギヤ対31を介してアウトプットシャフト14に伝達される。
【0045】
図6は、5速の動力伝達経路を示している。5速の場合は、4速の状態で第1シンクロ機構40により第1インプットギヤ20Aと第1インプットシャフト11とを連結し、第2シンクロ機構41により第1インプットギヤ20Aとアウトプットシャフト14とを連結して待機状態とし、第2クラッチ12を第1クラッチ10に切り替えることで実行される。
【0046】
すなわち、エンジン2の動力は、第1クラッチ10から第1インプットシャフト11、第1インプットギヤ20Aを介してアウトプットシャフト14に伝達される。
【0047】
図7は、6速の動力伝達経路を示している。6速の場合は、5速の状態で第2シンクロ機構41の係合を維持しつつ、第3シンクロ機構42により3速カウンタギヤ30Bとカウンタシャフト15とを連結して待機状態とし、第1クラッチ10を第2クラッチ12に切り替えることで実行される。
【0048】
すなわち、エンジン2の動力は、第2クラッチ12から第2インプットシャフト13、第2プライマリギヤ対21、カウンタシャフト15、3速カウンタギヤ30B、第1プライマリギヤ対20を介してアウトプットシャフト14に伝達される。これにより、第2プライマリギヤ対21及び、第1プライマリギヤ対20のギヤ比を用いて6速の減速が行われる。
【0049】
なお、6速から5速にシフトダウンする場合は、6速の状態で第2シンクロ機構41の係合を維持しつつ、第1シンクロ機構40により第1インプットギヤ20Aと第1インプットシャフト11とを連結して待機状態とし、第2クラッチ12を第1クラッチ10に切り替えることで実行される。
【0050】
図8は、7速の動力伝達経路を示している。7速の場合は、6速の状態で第2シンクロ機構41の係合を維持しつつ、第1シンクロ機構40により第3インプットギヤ22Aと第1インプットシャフト11とを連結して待機状態とし、第2クラッチ12を第1クラッチ10に切り替えることで実行される。
【0051】
すなわち、エンジン2の動力は、第1クラッチ10から第1インプットシャフト11、第3プライマリギヤ対22、第1プライマリギヤ対20を介してアウトプットシャフト14に伝達される。これにより、第3プライマリギヤ対22及び、第1プライマリギヤ対20のギヤ比を用いて7速の減速が行われる。6速から7速へのシフトアップ待機時に、第2シンクロ機構41及び第3シンクロ機構42の係合を解除する必要がないため、いわゆるトルク抜けが防止される。
【0052】
図9は、8速の動力伝達経路を示している。8速の場合は、7速の状態で、第5シンクロ機構44により8/9速カウンタギヤ34Bとカウンタシャフト15とを連結して待機状態とし、第1クラッチ10を第2クラッチ12に切り替えることで実行される。
【0053】
すなわち、エンジン2の動力は、第2クラッチ12から第2インプットシャフト13、第2プライマリギヤ対21、カウンタシャフト15、8/9速用変速ギヤ対34を介してアウトプットシャフト14に伝達される。
【0054】
図10は、9速の動力伝達経路を示している。9速の場合は、8速の状態で第1シンクロ機構40により第3インプットギヤ22Aと第1インプットシャフト11とを連結し、第3シンクロ機構42により3速カウンタギヤ30Bとカウンタシャフト15とを連結して待機状態とし、第2クラッチ12を第1クラッチ10に切り替えることで実行される。
【0055】
すなわち、エンジン2の動力は、第1クラッチ10から第1インプットシャフト11、第3プライマリギヤ対22、3速カウンタギヤ30B、カウンタシャフト15、8/9速用変速ギヤ対34を介してアウトプットシャフト14に伝達される。
【0056】
次に、本実施形態に係るツインクラッチ式変速機による作用効果を説明する。
【0057】
従来型のツインクラッチ式変速機では、6速の状態で第1プライマリギヤ対と第2プライマリギヤ対との二系統を使用するため、6速からシフトアップする場合は、クラッチの切り替え前にシンクロ機構の解除による動力伝達経路の変更が必要となる。そのため、アウトプットシャフトに伝達される動力が一時的に遮断されるトルク抜けが生じ、さらなるギヤ数の増段に対応できない課題がある。
【0058】
これに対し、本実施形態のツインクラッチ式変速機では、6速の際に、第2シンクロ機構41により第1インプットギヤ20Aとアウトプットシャフト14とを連結させ、第3シンクロ機構42により3速カウンタギヤ30Bとカウンタシャフト15とを連結させて、第2プライマリギヤ対21及び、第1プライマリギヤ対20を6速の変速用ギヤ対として利用する。
【0059】
そして、7速にシフトアップする際は、6速の状態で第2シンクロ機構41の係合を維持しつつ、第1シンクロ機構40により第3インプットギヤ22Aと第1インプットシャフト11とを連結して待機状態とする。その後、第2クラッチ12を第1クラッチ10に切り替えることで、第3プライマリギヤ対22及び、第1プライマリギヤ対20が変速用ギヤ対として利用される。このシフトアップ待機時に、第2シンクロ機構41及び、第3シンクロ機構42の係合を解除する動力伝達経路の変更が不要なため、トルク抜けを生じることなく変速を実現することができる。
【0060】
したがって、本実施形態のツインクラッチ式変速機によれば、プライマリギヤ対20〜21を6速/7速の変速用ギヤ対として効果的に利用しつつ、シフトアップ時のトルク抜けを確実に防止することができる。また、シフトアップ時のトルク抜けが防止されるため、これら6/7速よりも高い変速ギヤ段(例えば、8/9速)を容易に設けることが可能となる。
【0061】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0062】
例えば、プライマリギヤ対20〜22を変速用ギヤ対として利用する変速ギヤ段は、6/7速に限定されず、これらプライマリギヤ対20〜22のギヤ比を変更することで他の変速ギヤ段に割り当てることが可能である。
【0063】
また、第3カウンタギヤ22B、第1カウンタギヤ20B、3速カウンタギヤ30Bは、必ずしも一体に形成される必要はなく、別体に形成されてもよい。この場合は、第3カウンタギヤ22B、第1カウンタギヤ20B及び、3速カウンタギヤ30Bをシンクロ機構等によって、カウンタシャフト15と選択的に連結可能に構成すればよい。
【符号の説明】
【0064】
2 エンジン
10 第1クラッチ
11 第1インプットシャフト
12 第2クラッチ
13 第2インプットシャフト
14 アウトプットシャフト
15 カウンタシャフト
20 第1プライマリギヤ対
21 第2プライマリギヤ対
22 第3プライマリギヤ対
40 第1シンクロ機構
41 第2シンクロ機構
42 第3シンクロ機構
43 第4シンクロ機構
44 第5シンクロ機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11