特許第6221507号(P6221507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221507
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】浴槽洗浄システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20171023BHJP
   F24H 1/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   A47K3/00 Q
   F24H1/00 G
   F24H1/00 H
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-173726(P2013-173726)
(22)【出願日】2013年8月23日
(65)【公開番号】特開2015-39604(P2015-39604A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 史朗
(72)【発明者】
【氏名】吉▲高▼ 豊
(72)【発明者】
【氏名】川崎 修司
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−039617(JP,A)
【文献】 特開2013−011366(JP,A)
【文献】 特開2011−152312(JP,A)
【文献】 特開平11−009482(JP,A)
【文献】 特開平11−270900(JP,A)
【文献】 特開2013−106942(JP,A)
【文献】 特開平06−288619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯装置から供給される湯水を用いて浴槽を洗浄する洗浄ユニットと、
前記洗浄ユニットの洗浄運転を許可する洗浄運転指令を発生するための洗浄操作部と、
前記洗浄操作部からの前記洗浄運転指令を受付けて前記給湯装置に給湯運転を許可する給湯運転指令を発生するとともに、前記洗浄運転を制御するための制御装置とを備え、
前記給湯装置は、前記給湯運転を遠隔操作するための給湯操作部と通信線を介して接続されており、前記給湯運転指令を受けたときの前記給湯操作部による給湯設定温度が許容温度を超える温度である場合に、前記給湯操作部を用いて高温出湯を予報するように構成され、
前記制御装置は、
前記通信線に接続され、前記給湯装置と前記給湯操作部との通信状態を監視することによって前記給湯操作部の断線を診断する診断手段と、
前記診断手段により前記給湯操作部の断線と診断され、前記給湯操作部を用いて高温出湯を予報することができないときには、前記洗浄運転指令に基づいて前記給湯装置から前記許容温度を超える温度の湯水が供給されるのを禁止するフェールセーフ手段とを含む、浴槽洗浄システム。
【請求項2】
前記フェールセーフ手段は、前記診断手段により前記給湯操作部の断線と診断されたときには、前記洗浄運転指令に基づく前記給湯運転指令の発生を中止する、請求項1に記載の浴槽洗浄システム。
【請求項3】
前記フェールセーフ手段は、前記診断手段により前記給湯操作部の断線と診断されたときには、前記洗浄運転指令に基づく前記給湯運転指令を発生するとともに、前記給湯設定温度を前記許容温度以下の温度に設定する、請求項1に記載の浴槽洗浄システム。
【請求項4】
前記フェールセーフ手段は、
前記給湯装置と前記給湯操作部との通信信号に基づいて、前回の前記給湯運転において前記給湯操作部により設定された前記給湯設定温度を検出し、
検出された前記給湯設定温度が前記許容温度を超える温度である場合に前記給湯設定温度を前記許容温度以下の温度に変更し、
前記検出された前記給湯設定温度が前記許容温度以下の温度である場合に前記給湯設定温度を維持する、請求項3に記載の浴槽洗浄システム。
【請求項5】
前記給湯操作部は、各々が独立して前記通信線を介して前記給湯装置に接続された複数のリモコンを含み、
前記診断手段は、前記給湯装置と前記複数のリモコンの各々との通信状態を監視し、前記複数のリモコンの全ての通信状態が不良となったときに前記給湯操作部の断線と診断する、請求項1から4のいずれか1項に記載の浴槽洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置から供給される湯水を用いて浴槽を自動的に洗浄する浴槽洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽洗浄システムとして、浴槽内に設けた洗浄ノズルと繋がった洗浄管を給湯器(熱源機)に接続し、この給湯器から供給される湯水を使って上記洗浄ノズルから洗浄液や湯水を噴射させて浴槽洗浄運転を行なうものが知られている。
【0003】
このような浴槽洗浄システムとして、特許第3541622号公報(特許文献1)には、給湯器付き風呂釜の制御本体部に対して、洗浄ユニットおよびリモコン装置がリモコンコードを介して接続されている構成が開示されている。この特許文献1において、制御本体部は、リモコン装置からリモコンコードを介して入力されるデータや、給湯器つき風呂釜に設けられた各種のセンサからの検出信号に基づいて全体の動作を制御する。また、制御本体部は、リモコンコードを介して洗浄ユニットと定期的に通信を行ない、洗浄ユニットの負荷(洗剤開閉弁、洗浄開閉弁など)の状態を確認しながら浴槽洗浄動作を制御する。
【0004】
上述した浴槽洗浄システムにおいて、制御本体部と洗浄ユニットとを結ぶリモコンコードに断線が発生した場合、制御本体部と洗浄ユニットとの通信が不可能となる。これにより、洗浄ユニット側では制御本体部からの制御が不能となるため、洗剤開閉弁や洗浄開閉弁が開いたままの状態で停止することが起こり得る。この状態でリモコン装置が操作されて湯張り動作が設定された場合には、給湯器付き風呂釜からの湯水が浴槽に供給されるのみならず、洗剤液も同時に浴槽内に吐出されてしまう。そのため、特許文献1では、制御本体部は洗浄ユニットの通信異常の有無を判断し、異常有りと判断された場合には、それ以降の風呂動作を禁止することにより、洗浄ユニットから誤って洗剤が浴槽内に流入されることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3541622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
浴槽洗浄システムにおいては、給湯器を遠隔操作するための給湯器リモコンに加えて、洗浄ユニットを遠隔操作するための洗浄リモコンをさらに備え、洗浄リモコンの入力操作によって浴槽洗浄運転を実行するように構成されたものがある。このような浴槽洗浄システムでは、洗浄リモコンの入力操作に連動して給湯器における給湯運転の実行/停止を選択できることが好ましい。この場合、給湯器は、給湯器リモコンの運転スイッチのみならず、洗浄リモコンの運転スイッチをONにすることによっても給湯運転を開始可能な状態となる。したがって、その後に洗浄リモコンの洗浄スイッチをONにすることにより浴槽洗浄運転を実行することができる。
【0007】
一方、このように洗浄リモコンの運転スイッチと給湯器とを連動させる構成においては、給湯器リモコン側で給湯温度が高温に設定されている場合、洗浄リモコンの洗浄スイッチをONにすると、給湯器は高温状態に加熱した湯を洗浄管に供給する。この結果、浴槽洗浄運転の実行中に高温状態の湯が洗浄ノズルから噴出される虞がある。
【0008】
このような不具合が発生するのを防止する手段としては、洗浄リモコンの運転スイッチがONにされたときに、給湯器の制御本体部は、現在の状態で浴槽洗浄運転を開始すると高温状態の湯が洗浄ノズルから噴出する虞があることを、給湯器リモコンを用いてユーザに知らせることが望ましい。これは、洗浄ノズルから高温の湯が噴出することをユーザに事前に認識させるとともに、給湯設定温度を下げるようにユーザに促すようにするためである。
【0009】
しかしながら、給湯器の制御本体部と給湯器リモコンとを結ぶリモコンコードに断線が発生した場合、制御本体部と給湯器リモコンとの通信が不可能となるため、給湯器リモコンを用いてユーザに知らせることができない。したがって、この状態でユーザが洗浄リモコンの洗浄スイッチをONにして浴槽洗浄運転が開始すると、ユーザの意図しない高温状態の湯が噴出されてしまうことになる。
【0010】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、給湯器リモコンの断線の発生後においても、浴槽洗浄運転の実行中における高温状態の湯の噴出からユーザを確実に保護することができる浴槽洗浄システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による浴槽洗浄システムは、給湯装置から供給される湯水を用いて浴槽を洗浄する洗浄ユニットと、洗浄ユニットの洗浄運転を許可する洗浄運転指令を発生するための洗浄操作部と、洗浄操作部からの洗浄運転指令を受付けて給湯装置に給湯運転を許可する給湯運転指令を発生するための制御装置とを備える。給湯装置は、給湯運転を遠隔操作するための給湯操作部と通信線を介して接続されており、給湯運転指令を受けたときの給湯操作部による給湯設定温度が許容温度を超える温度である場合に、給湯操作部を用いて高温出湯を予報するように構成される。制御装置は、通信線に接続され、給湯装置と給湯操作部との通信状態を監視することによって給湯操作部の断線を診断する診断手段と、診断手段により給湯操作部の断線と診断されたときには、洗浄運転指令に基づいて給湯装置から許容温度を超える温度の湯水が供給されるのを禁止するフェールセーフ手段とを含む。
【0012】
上記浴槽洗浄システムによれば、洗浄操作部の入力操作に連動して給湯装置に給湯運転を許可するとともに、給湯設定温度に応じて、給湯操作部を用いて洗浄運転中の高温出湯を予報する構成において、給湯操作部の断線が発生したときには、給湯装置から許容温度を超える温度の湯水が供給されるのが禁止される。これにより、給湯操作部の断線の発生後においても、浴槽洗浄運転の実行中における高温状態の湯の噴出からユーザを確実に保護することができる。
【0013】
好ましくは、フェールセーフ手段は、診断手段により給湯操作部の断線と診断されたときには、洗浄運転指令に基づく給湯運転指令の発生を中止する。
【0014】
このようにすると、給湯操作部の断線が発生した場合には、給湯装置の給湯運転を禁止することによって給湯装置から許容温度を超える温度の湯水が供給されるのが禁止される。これにより、給湯操作部の断線の発生後においても、浴槽洗浄運転の実行中における高温状態の湯の噴出からユーザを確実に保護することができる。
【0015】
好ましくは、フェールセーフ手段は、診断手段により給湯操作部の断線と診断されたときには、洗浄運転指令に基づく給湯運転指令を発生するとともに、給湯設定温度を許容温度以下の温度に設定する。
【0016】
このようにすると、給湯操作部の断線の発生後においては、給湯操作部に代わって制御装置が給湯設定温度を許容温度以下の温度に設定するため、給湯装置から許容温度を超える温度の湯水が供給されるのが禁止される。これにより、給湯操作部の断線の発生後においても、浴槽洗浄運転の実行中における高温状態の湯の噴出からユーザを確実に保護することができる。また、給湯設定温度にまで加熱された湯水を用いるため、浴槽内の洗浄を効果的に行なうことができる。
【0017】
より好ましくは、フェールセーフ手段は、給湯装置と給湯操作部との通信信号に基づいて、前回の前記給湯運転において給湯操作部により設定された給湯設定温度を検出する。フェールセーフ手段は、検出された給湯設定温度が許容温度を超える温度である場合に給湯設定温度を許容温度以下の温度に変更し、検出された給湯設定温度が許容温度以下の温度である場合に給湯設定温度を維持する。
【0018】
このようにすると、給湯操作部の断線の発生後においては、高温状態の湯の噴出からユーザを保護することができる。
【0019】
好ましくは、給湯操作部は、各々が独立して通信線を介して給湯装置に接続された複数のリモコンを含む。診断手段は、給湯装置と複数のリモコンの各々との通信状態を監視し、複数のリモコンの全ての通信状態が不良となったときに給湯操作部の断線と診断する。
【0020】
このようにすると、複数のリモコンの少なくとも1つが使用可能であれば高温出湯を予報することができるため、通常の浴槽洗浄運転を継続させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、給湯器リモコンの断線の発生後においても、浴槽洗浄運転の実行中における高温状態の湯の噴出からユーザを確実に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】この発明の実施の形態1に従う浴槽洗浄システムを適用した風呂システムの全体構成図である。
図2図1に示した洗浄ユニットの構成図である。
図3】給湯器リモコンの運転スイッチをONにしたときの浴槽洗浄システムの制御構成を説明する図である。
図4】洗浄リモコンの運転スイッチをONにしたときの浴槽洗浄システムの制御構成を説明する図である。
図5】本発明の実施の形態1に従う給湯器リモコンの断線診断処理を実現するための処理手順を示したフローチャートである。
図6】洗浄リモコンの運転スイッチと給湯器との連動処理における、給湯器、給湯器リモコン、制御部および洗浄リモコンの動作を説明するタイミングチャートである。
図7】この発明の実施の形態1に従う洗浄リモコンの運転スイッチと給湯器との連動処理および高温出湯禁止処理を実現するための処理手順を示したフローチャートである。
図8】洗浄リモコンの運転スイッチと給湯器との連動処理における、給湯器、給湯器リモコン、制御部および洗浄リモコンの動作を説明するタイミングチャートである。
図9】この発明の実施の形態2に従う洗浄リモコンの運転スイッチと給湯器との連動処理および高温出湯禁止処理を実現するための処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当する部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0024】
[実施の形態1]
(風呂システムの構成)
図1は、この発明の実施の形態1に従う浴槽洗浄システムを適用した風呂システムの全体構成図である。なお、図1は、浴槽洗浄システムにより浴槽を洗浄するときの風呂システムの構成を示している。
【0025】
図1を参照して、風呂システムは、建物1の内部に設けられた浴室2と、熱源機となる給湯器3とによって構成される。浴室2の内部には、浴槽40および洗浄ユニット10が設置されている。浴室2の外部または建物1の外部には給湯器3が設置されている。浴室2の外部にはさらに、洗浄ユニット10に電力を供給するための電源装置4が設置されている。電源装置4は、商用電源から供給される交流電力を洗浄ユニット10の駆動に適した電力に変換して洗浄ユニット10に供給する。
【0026】
なお、本実施の形態では、電源装置4から洗浄ユニット10のみに電力を供給する構成について例示したが、電源装置4を、洗浄ユニット10に加えて、給湯器3などの各負荷に電力を供給する構成としてもよい。
【0027】
給湯器3は、給湯機能、湯張り機能および追い焚き機能を備えた熱源機である。本実施の形態による給湯器3は、1缶2水式に構成される。すなわち、給湯器3は、図示は省略するが、給湯熱交換器および風呂熱交換器が1つの缶体内に配設されて共通の熱源である燃焼バーナにより熱交換加熱されるように構成されている。なお、給湯器3は、湯張り機能および追い焚き機能を備えない構成であってもよい。
【0028】
給湯器3は、給湯熱交換器に接続された給水管70および出湯管72と、風呂熱交換器および浴槽40内の循環アダプタ42の間に接続された往き管74および戻り管76とを備える。給水管70および出湯管72は給湯管路を構成し、往き管74および戻り管76は追い焚き機能を実現するための循環管路を構成する。
【0029】
給湯器3は、水道水等の給水を給水管70から受けて給湯熱交換器において燃焼バーナの燃焼熱との熱交換加熱により所定温度まで加熱した湯を出湯管72から出湯させる。出湯管72の端末には、給湯使用するためのカラン73やシャワーヘッド等の給湯栓(図示せず)が接続されている。また、給湯器3は、浴槽40から循環管路を介して給湯器3に戻された浴槽湯水を風呂熱交換器において燃焼バーナの燃焼熱との熱交換加熱により所定温度まで追い焚き加熱し得るようになっている。
【0030】
給湯器3には、給湯器3の動作を制御するための制御部(図示せず)が設けられており、この制御部によって給湯運転、湯張り運転、追い焚き運転等が制御される。制御部には、給湯器3を遠隔操作するためのリモコン(以下、「給湯器リモコン」とも称する)が通信線5により接続されている。図1では「給湯器リモコン」の一例として、台所リモコン7および浴室リモコン9を示している。台所リモコン7および浴室リモコン9には、運転スイッチ、湯張りスイッチ、追い焚きスイッチ、タッチパネル等が設けられている。タッチパネルには、その画面上をタッチ操作することにより、給湯設定温度、湯張り設定温度等を入力設定するための操作画面が表示される。
【0031】
浴槽40には、その側壁の所定位置に循環アダプタ42が設置され、底壁に自動開閉駆動制御式の排水栓44および洗浄ノズル60が設置されている。また、浴槽40の上面側のフランジ壁には、開閉駆動機構46および洗剤タンク50が設置されている。循環アダプタ42には、循環管路の往き管74および戻り管76がそれぞれ接続され、循環アダプタ42を介して浴槽40内の浴槽湯水が戻り管76に吸引される一方、往き管74から浴槽40内に浴槽湯水が吐出される。排水栓44は、開閉駆動機構46からの開閉駆動力の伝達を受けて開閉動作を行なう。開閉駆動機構46には、排水栓44が開状態か閉状態かを検知するためのセンサが設けられており、当該センサの出力信号および図示しない所定の操作部からの入力信号に基づいて開閉駆動機構46が排水栓44の開閉動作を制御する。開閉駆動機構46によって排水栓44が開状態とされると、浴槽40内の湯水が浴室2の底部に排出され、続いて浴室2の排水口(図示せず)から排水される。
【0032】
(浴槽洗浄システムの構成)
浴槽洗浄システムは、洗浄ユニット10によって浴槽40内に湯水や洗剤液を噴出させることにより浴槽40を自動洗浄する浴槽洗浄運転を行なう。なお、洗浄ノズルを浴室2の壁面または上部にさらに設置することにより、浴室2を構成する壁面および床面等の浴室部材も洗浄し得るように構成してもよい。
【0033】
浴槽洗浄システムは、浴槽40の底壁に設置された洗浄ノズル60と、洗浄ノズル60に湯水を供給する洗浄管78と、湯水に洗剤液を混入するための洗剤供給管54と、洗剤原液を貯留する洗剤タンク50と、給湯器3と浴槽40との間に設けられた洗浄ユニット10と、電源装置4の内部に収容された制御部100と、洗浄ユニット10を遠隔操作するための洗浄リモコン8とを備える。
【0034】
洗浄ノズル60は、浴槽40の底壁を貫通して設置され先端開口(上面開口)から浴槽40の内側壁や浴槽40外に向けて所定範囲の広がりをもって湯水または洗剤液を噴出するように構成されている。なお、洗浄ノズル60として、図1では1つのみを示しているが、浴槽40のサイズや洗浄対象の浴室部材等に応じて、2以上を所定配置にて設置することができる。
【0035】
洗浄管78は、一端が洗浄ノズル60に接続され、他端が給湯器3の出湯管72から引き出された接続管75に接続されている。洗剤供給管54は、洗剤タンク50の下部から延出されて洗浄管78の途中に接続される。洗剤タンク50は、浴槽40の上面側のフランジ壁に設置されている。洗剤タンク50の上部にはフランジ壁上に露出された洗剤補給口が設けられている。
【0036】
洗浄ユニット10は、浴槽40の外周部等に設置され、給湯器3から湯水の供給を受けて浴槽40内に洗剤液や湯水を噴出させて浴槽40を自動洗浄する。図1において、洗剤液および湯水が流れる経路を太線で示している。
【0037】
制御部100は、図示しないマイクロコンピュータ、メモリおよびタイマ等により構成される。制御部100は、メモリに記憶された洗浄ユニット10の制御用プログラムをマイクロコンピュータに実行させることにより、浴槽洗浄運転の動作を制御する。
【0038】
制御部100は、通信線5に接続されており、通信線5を介して給湯器3の制御部および給湯器リモコン(台所リモコン7および浴室リモコン9)との間で双方向通信可能に構成される。制御部100にはさらに、洗浄ユニット10を遠隔操作するための洗浄リモコン8が通信線6により接続されている。制御部100は、洗浄リモコン8との間で各種信号の送受信を行なう。
【0039】
ユーザが洗浄リモコン8を用いて浴槽洗浄運転の実行を入力操作することにより、制御部100は給湯器3の制御部と連係して浴槽洗浄処理を実行する。なお、給湯器3の制御部には、通信線5を介して給湯器リモコン(台所リモコン7および浴室リモコン9)が接続されており、これらのリモコンによって湯張りや追い焚き運転の入力操作を行なうことができる。
【0040】
以下、図2を参照して、洗浄ユニット10についてさらに説明する。
(洗浄ユニットの構成)
図2を参照して、洗浄管78には、接続管75と接続する上流側から順に、入水金具12、水ガバナ弁14、サーミスタ16、水量センサ18、注湯電磁弁20、逆止弁22、逆流防止弁26、逆止弁24、大気開放弁28、逆止弁30、洗剤電磁弁32、および洗剤混入部34が介装されている。
【0041】
入水金具12に接続管75が連結されることにより、洗浄管78および接続管75が接続される。出湯管72を通して給湯器3から供給される湯水が洗浄管78に流入する。水ガバナ弁14は、洗浄管78内の水圧を一定にする。
【0042】
サーミスタ16は、洗浄管78内を流れる湯水の温度を検出して検出信号を制御部100に出力する。水量センサ18は、給湯器3の出湯管72から洗浄管78に供給される湯の流量を検出して検出信号を制御部100に出力する。
【0043】
注湯電磁弁20は、制御部100からの制御指令により作動して洗浄管78の流路を開閉する。具体的には、制御部100からの開指令に応答して注湯電磁弁20が開弁することにより、給湯器3の出湯管72から供給された湯水が接続管75を介して洗浄管78内に導入される。洗浄管78に導入された湯水は、水ガバナ弁14によって一定の水圧に制御されて洗浄管78を流れ、洗浄ノズル60から浴槽40内に向けて噴出される。これにより、浴槽40内のすすぎ洗浄が行なわれる。
【0044】
一方、制御部100からの閉指令に応じて注湯電磁弁20が閉弁することにより、洗浄管78への湯水の供給が遮断される。注湯電磁弁20は、洗浄管78の流路を開閉可能な開閉弁の代表例として用いられる。すなわち、全開と全閉との切替えが可能に構成された弁であれば、任意の形式の開閉弁を注湯電磁弁20に代えて適用することができる。
【0045】
逆止弁22,24は、接続管75から洗浄管78への方向の湯水の通過を可能とし、洗浄管78から接続管75への方向の湯の通過を不能とする。
【0046】
逆流防止弁26は、風呂の雑水と上水とを縁切りするための安全装置である。逆流防止弁26は、上水の給水元側の圧力(1次圧)と供給先側の圧力(2次圧)との圧力差により通常はオーバーフロー口を閉止するものである。また逆流防止弁26は、断水などで給水元側に負圧が発生すると開弁し、オーバーフロー口から雑水を洗浄ユニット10の外部へ排出する。オーバーフロー口は、図示しない配管を通じて洗浄ユニット10の排水部に接続されている。
【0047】
大気開放弁28は、洗浄管78に洗浄水が流れていない状態で洗浄管78内を大気に連通し、洗浄管78内に洗浄水が流れている状態で大気との連通を遮断する。逆止弁30は、洗剤混入部34の上流側に設けられている。逆止弁30は、これより上流側に洗剤液が逆流することを防止している。
【0048】
洗剤混入部34は、ベンチュリ管により構成される。洗剤混入部34には洗剤供給管54の下流端が連通接続されている。洗剤供給管54の上流端は洗剤タンク50に連通接続される一方、洗剤供給管54の途中には洗剤電磁弁32が介装されている。洗剤電磁弁32は、制御部100からの制御指令により作動して洗剤供給管54の流路を開閉する。具体的には、制御部100からの開指令に応答して洗剤電磁弁32が開弁することにより、洗剤タンク50から供給される所定量の洗剤原液が、洗剤混入部34において、洗浄ノズル60に向けて通過する湯水に対して負圧吸引作用により混合されて洗剤液が生成される。そして、この洗剤液が洗浄ノズル60から浴槽40内に向けて噴出される。これにより、浴槽40内の洗剤洗浄が行なわれる。
【0049】
一方、制御部100からの閉指令に応答して洗剤電磁弁32が閉弁することにより、洗剤混入部34への洗剤原液の供給が遮断される。すなわち、洗剤電磁弁32を開状態にする開弁時間の長短によって1回の洗浄に対する洗剤供給量の調整が可能となっている。なお、洗剤タンク50の内部には、洗剤原液の液位を検知するためのフロートスイッチ52が設けられており、所定の液位まで低下したことを検知して制御部100に出力するように構成されている。
【0050】
洗浄リモコン8は、運転スイッチ、洗浄スイッチ、表示部および音声出力部を含む。運転スイッチは、洗浄ユニット10の運転/停止を選択するためのスイッチである。運転スイッチを「入(ON)」にすることにより、浴槽洗浄運転が許可された状態、すなわち洗浄スイッチの操作の受付け可能状態となる。一方、運転スイッチを「切(OFF)」にすることにより、浴槽洗浄運転が禁止された状態、すなわち、洗浄スイッチの操作を受付けない状態となる。
【0051】
洗浄スイッチは、浴槽洗浄運転の実行/停止を選択するためのスイッチである。運転スイッチをONした状態で洗浄スイッチを「入(ON)」にすると、浴槽洗浄運転が実行され、洗浄スイッチを「切(OFF)」にすると、浴槽洗浄運転が停止する。
【0052】
表示部は、浴槽洗浄システムの運転状態(運転/停止)を表示する。表示部はさらに、浴槽洗浄システムにエラーが発生した場合にエラーの内容を示すエラーコードを表示する。音声出力部は、浴槽洗浄運転の実行/停止などの浴槽洗浄システムの運転状況や、浴槽洗浄システムにエラーが発生したことを知らせるための音声を発生する。
【0053】
(浴槽洗浄システムの制御構成)
次に、図3および図4を参照して、浴槽洗浄システムの制御構成を説明する。
【0054】
図3を参照して、給湯器3内部の制御部(以下、単に「給湯器3」とも称する)、給湯器リモコン(台所リモコン7および浴室リモコン9)、および浴槽洗浄システムの制御部100は、通信線5を介して双方向の通信を行なう。具体的には、給湯器リモコン7,9は、ユーザからの入力操作に応じて給湯器3の動作を切換えるための制御指令を生成し、その生成した制御指令を給湯器3へ送信する。給湯器3は、給湯器リモコン7,9からの制御指令を受信すると、この制御指令に従って給湯器3の動作を制御する。
【0055】
給湯器3は、給湯器3の動作状態を示す信号(動作情報)を生成し、その生成した動作情報を給湯器リモコン7,9へ送信する。動作情報には、給湯運転、湯張り運転、追い焚き運転等の運転モードや、給湯設定温度および湯張り設定温度等が含まれる。給湯器リモコン7,9は、受信した動作情報に基づいて、給湯器3の動作状態を表示部に表示する。
【0056】
たとえば図3には、給湯器リモコン7,9および洗浄リモコン8がともに運転スイッチがOFFされている状態において、浴室リモコン9の運転スイッチをONにした場合が示されている。この場合、浴室リモコン9は、運転スイッチがONされたことに応答して、給湯器3に対して給湯運転を許可するための「給湯運転指令」を生成する。浴室リモコン9は、生成した給湯運転指令を通信線5に出力する。通信線5に出力された給湯運転指令は、給湯器3、台所リモコン7および制御部100により受信される。
【0057】
給湯器3は、給湯運転指令を受信することにより、給湯運転を開始可能な状態となる。台所リモコン7は、給湯運転指令を受信すると、給湯器3が給湯運転を開始可能な状態であることを表示部に表示する。
【0058】
浴槽洗浄システムにおいては、制御部100および洗浄リモコン8は、通信線6を介して双方向の通信を行なう。なお、制御部100および洗浄リモコン8の間の通信は、給湯器3、給湯器リモコン7,9および制御部100間の通信とは互いに異なる信号形式を用いて行なわれる。そのため、洗浄リモコン8は、給湯器3および給湯器リモコン7,9に対して直接的に通信を行なうことができない。
【0059】
したがって、図3に示すように、浴室リモコン9からの給湯運転指令を受信すると、給湯運転指令の信号形式を洗浄リモコン8が受信可能な信号形式に変換し、変換後の給湯運転指令を洗浄リモコン8へ送信する。以下の説明では、変換後の給湯運転指令を「ローカル給湯運転指令」とも表記する。なお、制御部100から洗浄リモコン8に送信される信号は、ローカル給湯運転指令に限定されており、給湯設定温度等の動作情報を含んでいない。
【0060】
洗浄リモコン8は、制御部100からのローカル給湯運転指令を受信することにより、給湯器3が給湯運転を開始可能な状態であることを知ることができる。洗浄リモコン8は、給湯器3が給湯運転を開始可能な状態であることを表示部に表示する。
【0061】
このような状態において洗浄リモコン8の洗浄スイッチをONにする、あるいは洗浄リモコン8によって設定された予約時刻になると、制御部100は、洗浄ユニット10内部の注湯電磁弁20に対して開指令を出力することにより、注湯電磁弁20を開弁する。給湯器3は、所定の作動流量を超える通水を検出すると、燃焼バーナの燃焼を開始する。そして、燃焼バーナの燃焼熱との熱交換加熱によって給湯設定温度まで加熱した湯水を出湯管72を経由して洗浄ユニット10に供給する。これにより浴槽洗浄運転が開始される。
【0062】
次に、図4に示すように、給湯器リモコン7,9および洗浄リモコン8がともに運転スイッチがOFFされている状態において、洗浄リモコン8の運転スイッチをONにした場合を想定する。
【0063】
洗浄リモコン8は、運転スイッチがONされたことに応答して、洗浄ユニット10に対して浴槽洗浄運転を許可するための「洗浄運転指令」を生成する。洗浄リモコン8は、生成した洗浄運転指令を、通信線6を介して制御部100へ送信する。
【0064】
制御部100は、洗浄運転指令を受信すると、洗浄ユニット10を浴槽洗浄運転が許可された状態にする。制御部100はさらに、洗浄運転指令の信号形式を給湯器3および給湯器リモコン7,9が受信可能な信号形式に変換し、変換後の洗浄運転指令を給湯運転指令として通信線5に出力する。すなわち、洗浄運転指令は、換言すれば、洗浄ユニット8から制御部100に向けて発せられるローカル給湯運転指令である。給湯器3は、給湯運転指令を受信して給湯運転を開始可能な状態となる。また、給湯器リモコン7,9は、給湯運転指令を受信すると、給湯器3が給湯運転を開始可能な状態であることを表示部に表示する。
【0065】
そして、このような状態において洗浄リモコン8の洗浄スイッチをONする、あるいは洗浄リモコン8によって設定された予約時刻になると、制御部100が洗浄ユニット10内部の注湯電磁弁20を開弁する。給湯器3は、所定の作動流量を超える通水を検出すると、燃焼バーナの燃焼を開始し、燃焼バーナの燃焼熱との熱交換加熱によって給湯設定温度まで加熱した湯水を洗浄ユニット10に供給する。これにより浴槽洗浄運転が開始される。
【0066】
以上のように、本実施の形態1による浴槽洗浄システムにおいては、洗浄リモコン8の運転スイッチがONされると、洗浄リモコン8から出力される洗浄運転指令を受信した制御部100が、給湯器3に対して給湯運転指令を出力し、給湯器3を給湯運転の開始可能な状態とする。このような構成とすることにより、洗浄リモコン8の洗浄スイッチをONしたときには、給湯設定温度にまで加熱された湯水が給湯器3から洗浄ユニット10に供給される。加熱された湯水を用いることで浴槽40内に付着した汚れが落ちやすくなるため、浴槽40内の洗浄を効果的に行なうことができる。
【0067】
<高温出湯予報処理>
ここで、洗浄リモコン8には、洗浄ユニット10の運転/停止、および浴槽洗浄運転の実行/停止を遠隔操作する機能を有するに止まり、給湯設定温度を入力設定する機能や、給湯設定温度を表示する機能を有していないものがある。このような場合、図4に示したように、洗浄リモコン8の運転スイッチがONされたことに連動して給湯器3の給湯運転を許可する構成とすると、給湯器3は、前回の給湯運転時に給湯器リモコン7,9により設定された給湯設定温度に従って給湯運転を開始する。そのため、給湯設定温度が高温に設定されていた場合、洗浄リモコン8の洗浄スイッチがONされて浴槽洗浄運転が開始すると、高温状態の湯水が洗浄ノズル60から噴出される可能性がある。
【0068】
このような高温状態の湯水の噴出を未然に防止するために、給湯器3は、制御部100からの給湯運転指令を受信したときに、給湯器リモコン7,9を用いてユーザに対して浴槽洗浄運転中の高温出湯を予報する。
【0069】
具体的には、給湯器3は、制御部100から給湯運転指令を受信すると、前回の給湯運転において給湯器リモコン7,9により設定された給湯設定温度を取得する。そして、給湯器3は、取得した前回の給湯設定温度と、予め定められた許容温度とを比較し、給湯設定温度が許容温度を超える温度である場合に、浴槽洗浄運転中の高温出湯を予報する。
【0070】
浴槽洗浄運転中の高温出湯の予報は、給湯器リモコン7,9を用いて行なわれる。たとえば、給湯器3は、高温出湯を示す報知音を給湯器リモコン7,9の音声出力部から発生させる。または、給湯器3は、高温出湯を示すコードを給湯器リモコン7,9の表示部に表示させる。なお、高温出湯の予報は、浴槽洗浄運転を開始すると高温状態の湯水が噴出される虞があることをユーザに対して視覚的および/または聴覚的に報知し得るものであれば、どのような態様であってもよい。
【0071】
このように浴槽洗浄運転中の高温出湯を予報することにより、ユーザに対して洗浄ノズル60から高温の湯水が噴出されることを事前に認識させるとともに、給湯設定温度を下げるようにユーザに促すことができる。
【0072】
しかしながら、高温出湯予報処理は上述した洗浄リモコン8の運転スイッチと給湯器3との連動処理と一続きに行なわれるため、給湯器リモコン7,9が断線により通信異常に陥っている状態では、洗浄リモコン8の運転スイッチがONされても最早ユーザに対して高温出湯を予報する術が存在しない。なお、給湯器リモコン7,9の断線は、給湯器リモコン7,9を接続する通信線の断線、接触不良、または通信線へのノイズの混入等に起因して発生する。
【0073】
本実施の形態1による浴槽洗浄システムでは、制御部100は、給湯器3と給湯器リモコン7,9との間の通信状態を通信線5を介して監視することにより、給湯器リモコン7,9の断線を診断する。そして、給湯器リモコン7,9の断線と診断されたときには、制御部100は、洗浄リモコン8の運転スイッチと給湯器3との連動処理において、給湯器3から高温状態の湯水が洗浄ユニット10に供給されるのを禁止するフェールセーフ処理を実行する。
【0074】
<給湯器リモコンの断線診断処理>
以下に、給湯器リモコン7,9の断線診断処理について説明する。
【0075】
給湯器3と給湯器リモコン7,9とは、相手の作動状態(給湯器3の運転状態および給湯器リモコン7,9の設定状態)を把握するために、互いの作動状態を送信し合うアップデート通信を定期的に行なっている。制御部100は、このアップデート通信が正常に実行されているか否かを監視することにより、給湯器リモコン7,9の断線を診断する。
【0076】
図5は、本発明の実施の形態1に従う給湯器リモコン7,9の断線診断処理を実現するための処理手順を示したフローチャートである。なお、図5に示すフローチャートは、制御部100において予め格納したプログラムがメインルーチンから呼び出されて所定周期で実行されることによって実現される。
【0077】
図5を参照して、制御部100は、まずステップS01により、給湯器リモコン断線診断フラグFが「1」に設定されているか否かを判定する。この給湯器リモコン断線診断フラグFは、浴槽洗浄システムの電源投入時において「0」に初期化される。給湯器リモコン7,9の断線と診断されたときに、給湯器リモコン断線診断フラグFは「1」に設定される。
【0078】
給湯器リモコン断線診断フラグFが「1」に設定されている場合(ステップS01においてYES)、制御部100は、ステップS02により、所定周期内に給湯器リモコン7,9から給湯器3に対して通信があったか否かを判定する。所定周期内に給湯器リモコン7,9から給湯器3に対する通信があった場合(ステップS02においてYES)、制御部100は、ステップS03により、給湯器リモコン7,9の断線が生じていない(断線が解消された)ものと診断して給湯器リモコン断線診断フラグFを「1」から「0」に切換える。一方、所定周期内に給湯器リモコン7,9から給湯器3に対する通信がない場合(ステップS02においてNO)、制御部100は、給湯器リモコン7,9が未だ断線された状態にあると診断して給湯器リモコン断線診断フラグFを「1」のままとする。
【0079】
これに対して、給湯器リモコン断線診断フラグFが「0」に設定されている場合(ステップS01においてNO)、制御部100は、ステップS04により、給湯器3から信号を送信した後一定時間内に給湯器リモコン7,9から給湯器3への応答があったか否かを判定する。一定時間内に給湯器リモコン7,9からの応答がない場合(ステップS04においてYES)、制御部100は、ステップ05により、給湯器リモコン7,9の断線が生じたものと診断して給湯器リモコン断線診断フラグFを「0」から「1」に切換える。一方、一定時間内に給湯器リモコン7,9から応答があった場合(ステップS04においてNO)、制御部100は、給湯器リモコン7,9の断線が生じていないものと診断して給湯器リモコン断線診断フラグFを「0」のままとする。
【0080】
<高温出湯禁止処理>
次に、図6を参照して、高温状態の湯水が洗浄ユニット10に供給されるのを禁止するフェールセーフ処理について説明する。図6は、洗浄リモコン8の運転スイッチと給湯器3との連動処理における、給湯器3、給湯器リモコン7,9、制御部100および洗浄リモコン8の動作を説明するタイミングチャートである。
【0081】
図6を参照して、給湯器3と給湯器リモコン7,9とは定期的にアップデート通信を行なっている。制御部100は、図5に示したように、アップデート通信が正常に実行されているか否かを通信線5を介して監視することにより、給湯器リモコン7,9の断線を診断する。アップデート通信が正常に実行されている場合、制御部100は、給湯器リモコン7,9の断線が生じていないものと診断し、給湯器リモコン断線診断フラグFを「0」に設定する。
【0082】
洗浄リモコン8は、運転スイッチがONされると、洗浄運転指令を制御部100へ送信する。制御部100は、給湯器リモコン断線診断フラグFが「0」に設定されている場合、すなわち、給湯器リモコン7,9の断線が生じていない場合、受信した洗浄運転指令を給湯運転指令に変換して給湯器3および給湯器リモコン7,9へ送信する。
【0083】
給湯器3は、制御部100から給湯運転指令を受信すると、前回の給湯運転において給湯器リモコン7,9により設定された給湯設定温度Tset♯を取得する。そして、給湯器3は、取得した前回の給湯設定温度Tset♯と、予め定められた許容温度Tthとを比較し、前回の給湯設定温度Tset♯が許容温度Tthを超える温度である場合に、給湯器リモコン7,9を用いて浴槽洗浄運転中の高温出湯を予報する。一方、前回の給湯設定温度Tset♯が許容温度Tth以下の温度である場合、洗浄リモコン8の洗浄スイッチがONされると、給湯器3は、前回の給湯設定温度Tset♯にまで加熱した湯水を洗浄ユニット10に供給する。洗浄ユニット10は浴槽洗浄運転を開始する。
【0084】
これに対して、アップデート通信が正常に実行されていない場合、すなわち、給湯器リモコン7,9から給湯器3への応答がない場合、制御部100は、給湯器リモコン7,9の断線が生じたものと診断し、給湯器リモコン断線診断フラグFを「1」に設定する。
【0085】
洗浄リモコン8は、運転スイッチがONされると、洗浄運転指令を制御部100へ送信する。制御部100は、給湯器リモコン断線診断フラグFが「1」に設定されている場合、すなわち、給湯器リモコン7,9の断線が生じている場合、給湯器3および給湯器リモコン7,9への給湯運転指令の送信を中止する。給湯器3は、制御部100からの給湯運転指令を受信しないため、給湯運転が禁止された状態となっている。
【0086】
このように給湯器リモコン7,9の断線が発生したときには、洗浄リモコン8の運転スイッチと給湯器3との連動処理が禁止される。給湯器リモコン7,9の断線が発生したことによって、給湯器3は、前回の給湯設定温度Tset♯が許容温度Tthを超える温度であっても、給湯器リモコン7,9を用いて浴槽洗浄運転中の高温出湯を予報することができない。この状態でユーザが洗浄リモコン8の運転スイッチをONしたことに連動して給湯器3の給湯運転を許可すると、ユーザの意図しない高温状態の湯水が洗浄ノズル60から噴出される虞がある。そこで、制御部100は、給湯器3における給湯運転自体を禁止することによって、給湯器3から高温状態の湯水が洗浄ユニット10に供給されるのを禁止する。これにより、高温状態の湯水が洗浄ノズル60から噴出されるのを防止することができる。
【0087】
以上のような制御構成によって、洗浄リモコン8の運転スイッチと給湯器3との連動処理における高温出湯禁止処理が実現される。これらの処理は、次のような処理フローにまとめることができる。
【0088】
図7は、この発明の実施の形態1に従う洗浄リモコン8の運転スイッチと給湯器3との連動処理および高温出湯禁止処理を実現するための処理手順を示したフローチャートである。なお、図7に示すフローチャートは、制御部100において予め格納したプログラムがメインルーチンから呼び出されて所定周期で実行されることによって実現される。
【0089】
図7を参照して、制御部100は、まずステップS11により、給湯器リモコン断線診断フラグFが「0」に設定されているか否かを判定する。給湯器リモコン断線診断フラグFが「0」に設定されている場合、すなわち給湯器リモコン7,9の断線が生じていない場合(ステップS11においてYES)、制御部100は洗浄リモコン8の運転スイッチと給湯器3との連動処理を実行する。具体的には、ステップS12により、制御部100は、洗浄リモコン8から送信される洗浄運転指令に基づいて、洗浄リモコン8の運転スイッチがOFFからONに切換えられたか否かを判定する。運転スイッチがOFFからONに切換えられたとき(ステップS12においてYES)、制御部100はステップS13により、給湯器3および給湯器リモコン7,9に対して給湯運転指令を送信する。
【0090】
一方、運転スイッチがOFFからONに切換えられていないとき(ステップS12においてNO)、制御部100はさらにステップS14により、運転スイッチがONからOFFに切換えられたか否かを判定する。運転スイッチがONからOFFに切換えられたとき(ステップS14においてYES)、制御部100はステップS15により、給湯器3の給湯運転を停止させるための「給湯運転オフ指令」を生成する。制御部100は、生成した給湯運転オフ指令を通信線5に出力する。通信線5に出力された給湯運転オフ指令は、給湯器3および給湯器リモコン7,9にそれぞれ受信される。給湯器3は、給湯運転オフ指令に従って給湯運転が禁止された状態となる。
【0091】
これに対して、給湯器リモコン断線診断フラグFが「1」に設定されている場合(ステップS11においてNO)、制御部100は、ステップS16により、給湯器3および給湯器リモコン7,9への給湯運転指令の送信を中止する。これにより、給湯器3は、制御部100からの給湯運転指令を受信しないため、給湯運転が禁止された状態となる。
【0092】
このように本発明の実施の形態1による浴槽洗浄システムによれば、給湯器リモコンの断線の発生時には、洗浄リモコンの運転スイッチのONに連動して給湯器に給湯運転を許可しないことにより、給湯器から高温状態の湯水が洗浄ユニットに供給されるのを禁止する。これにより、浴槽洗浄運転の実行中における高温状態の湯水の噴出からユーザを確実に保護することができる。
【0093】
[実施の形態2]
上述の本発明の実施の形態1に従う浴槽洗浄システムでは、給湯器リモコン7,9の断線と診断されたときに洗浄リモコン8の運転スイッチと給湯器3との連動処理を禁止する構成について説明した。しかしながら、上記の構成では、浴槽洗浄運転の実行中、水道水等の給水が熱交換加熱されることなく給湯器3から洗浄ユニット10に供給されるため、浴槽40内に付着した汚れが落ちにくくなり、洗浄ユニット10の洗浄能力を低下させる虞がある。
【0094】
この発明の実施の形態2では、給湯器リモコン7,9の断線と診断されたとき、洗浄リモコン8の運転スイッチと給湯器3との連動処理を許可するとともに、制御部100が浴槽洗浄運転の実行中における給湯設定温度を設定する構成について説明する。
【0095】
この発明の実施の形態2に従う浴槽洗浄システムの全体構成は、図1と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。また、浴槽洗浄システムの制御構成についても、給湯器リモコン7,9の断線時における制御部100の制御を除いて、図3および図4と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0096】
以下、本発明の実施の形態2における、高温状態の湯水が洗浄ユニット10に供給されるのを禁止するフェールセーフ処理について説明する。図8は、洗浄リモコン8の運転スイッチと給湯器3との連動処理における、給湯器3、給湯器リモコン7,9、制御部100および洗浄リモコン8の動作を説明するタイミングチャートである。なお、給湯器リモコン7,9の断線が生じていないときの給湯器3、給湯器リモコン7,9、制御部100および洗浄リモコン8の各々の動作は、図6と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
【0097】
図8を参照して、給湯器3および給湯器リモコン7,9の間のアップデート通信が正常に実行されていない場合、すなわち、給湯器リモコン7,9から給湯器3への応答がない場合、制御部100は、給湯器リモコン7,9の断線が生じたものと診断し、給湯器リモコン断線診断フラグFを「1」に設定する。
【0098】
洗浄リモコン8は、運転スイッチがONされると、洗浄運転指令を制御部100へ送信する。制御部100は、給湯器リモコン断線診断フラグFが「1」に設定されている場合、すなわち、給湯器リモコン7,9の断線が生じている場合、給湯器3へ給湯運転指令を送信するとともに、給湯設定温度Tsetを許容温度Tth以下の温度に設定して給湯器3へ送信する。
【0099】
具体的には、制御部100は、給湯器3と給湯器リモコン7,9との間でやり取りされた信号に基づいて、前回の給湯運転において給湯器リモコン7,9により設定された給湯設定温度Tset♯を取得する。そして、制御部100は、取得した前回の給湯設定温度Tset♯と予め定められた許容温度Tthとを比較し、比較結果に基づいて給湯設定温度Tsetを許容温度Tth以下の温度に設定する。
【0100】
給湯器3は、制御部100からの給湯運転指令を受信することにより、給湯運転を開始可能な状態となる。そして、洗浄リモコン8の洗浄スイッチをONする、あるいは洗浄リモコン8によって設定された予約時刻になると、制御部100が洗浄ユニット10内部の注湯電磁弁20を開弁する。給湯器3は、所定の作動流量を超える通水を検出すると、燃焼バーナの燃焼を開始し、燃焼バーナの燃焼熱との熱交換加熱によって給湯設定温度Tsetまで加熱した湯水を洗浄ユニット10に供給する。これにより浴槽洗浄運転が開始される。
【0101】
このように給湯器リモコン7,9の断線が発生したときには、洗浄リモコン8の運転スイッチがONされたことに連動して給湯器3の給湯運転を許可するとともに、制御部100が浴槽洗浄運転における給湯設定温度Tsetを設定する。これにより、給湯設定温度Tsetにまで加熱された湯水を用いて浴槽洗浄運転が実行されるため、洗浄ユニット10の洗浄能力を確保しながら、高温状態の湯水が洗浄ユニット10に供給されるのを禁止することができる。
【0102】
以上のような制御構成によって、洗浄リモコン8の運転スイッチと給湯器3との連動処理における高温出湯禁止処理が実現される。これらの処理は、次のような処理フローにまとめることができる。
【0103】
図9は、この発明の実施の形態2に従う洗浄リモコン8の運転スイッチと給湯器3との連動処理および高温出湯禁止処理を実現するための処理手順を示したフローチャートである。なお、図9に示すフローチャートは、制御部100において予め格納したプログラムがメインルーチンから呼び出されて所定周期で実行されることによって実現される。
【0104】
図9に示すフローチャートは、図7に示すフローチャートにおいて、ステップS16の処理に代えて、ステップS17〜S20を設けたものである。ステップS11〜S15の処理は、図7と同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
【0105】
図9を参照して、給湯器リモコン断線診断フラグFが「1」に設定されている場合、すなわち、給湯器リモコン7,9の断線が生じている場合(ステップS11においてNO)、制御部100は、ステップS17により、洗浄リモコン8の運転スイッチがOFFからONに切換えられたか否かを判定する。運転スイッチがOFFからONに切換えられていないとき(ステップS17においてNO)、制御部100はさらにステップS14により、運転スイッチがONからOFFに切換えられたか否かを判定する。運転スイッチがONからOFFに切換えられたとき(ステップS14においてYES)、制御部100はステップS15により、給湯運転オフ指令を生成して通信線5に出力する。給湯器3は、給湯運転オフ指令に従って給湯運転が禁止された状態になる。
【0106】
これに対して、洗浄リモコン8の運転スイッチがOFFからONに切換えられたとき(ステップS17においてYES)、制御部100は、ステップS18に進み、前回の給湯運転における給湯設定温度Tset♯と許容温度Tthとを比較し、比較結果に応じて給湯設定温度Tsetを設定する。具体的には、前回の給湯設定温度Tset♯が許容温度Tthを超える温度であるとき(ステップS18においてYES)、制御部100は、ステップS19において、給湯設定温度Tsetを予め定められていた基準温度Tstdに設定する。この基準温度Tstdは、許容温度Tth以下の温度であって、たとえば給湯器3において給湯温度のデフォルト値に定められている温度に相当する。制御部100は、給湯運転指令と給湯設定温度Tsetとを給湯器3へ送信する。給湯器3は、給湯運転指令を受信することにより、給湯運転を開始可能な状態となる。そして、洗浄リモコン8の洗浄スイッチがONされて浴槽洗浄運転が開始すると、給湯設定温度Tsetにまで加熱した湯水を洗浄ユニット10へ供給する。
【0107】
これに対して、前回の給湯設定温度Tset♯が許容温度Tth以下の温度であるとき(ステップS18においてNO)、制御部100は、ステップS20において、給湯設定温度Tsetを前回の給湯設定温度Tset♯と等しい温度に設定する。これは、ユーザの予期しない給湯設定温度の変更が無駄に行なわれるのを避けるためである。制御部100は、給湯運転指令と給湯設定温度Tsetとを給湯器3へ送信する。給湯器3は、給湯運転指令を受信して給湯運転を開始可能な状態となる。そして、洗浄リモコン8の洗浄スイッチがONされて浴槽洗浄運転が開始すると、給湯設定温度Tset(=Tset♯)にまで加熱した湯水を洗浄ユニット10へ供給する。
【0108】
このように本発明の実施の形態2による浴槽洗浄システムによれば、給湯器リモコンの断線の発生時には洗浄リモコンの運転スイッチのONに連動して給湯器3に給湯運転を許可するとともに、給湯設定温度を許容温度以下の温度に設定することにより、給湯器から高温状態の湯水が洗浄ユニットに供給されるのを禁止する。これにより、洗浄ユニットの洗浄能力を確保しつつ浴槽洗浄運転の実行中における高温状態の湯水の噴出からユーザを確実に保護することができる。
【0109】
なお、上述の実施の形態1および2では、給湯器リモコンである台所リモコン7および浴室リモコン9が「給湯操作部」に対応し、洗浄リモコン8が「洗浄操作部」に対応する。そして、制御部100は「制御装置」を実現する。
【0110】
また、上述の実施の形態1および2では、給湯器リモコンの断線が発生した場合のフェールセーフ処理として高温出湯禁止処理を実行する構成について説明したが、この構成は給湯器リモコンである台所リモコン7および浴室リモコン9のいずれもに断線が生じた場合に適用すればよい。台所リモコン7および浴室リモコン9の一方にのみ断線が生じている場合には、給湯器3は、もう一方の正常なリモコンを用いて高温出湯を予報することができるためである。
【0111】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0112】
1 建物、2 浴室、3 給湯器、4 電源装置、5,6 通信線、7 台所リモコン(給湯器リモコン)、8 洗浄リモコン、9 浴室リモコン(給湯器リモコン)、10 洗浄ユニット、12 入水金具、14 水ガバナ弁、16 サーミスタ、18 水量センサ、20 注湯電磁弁、22,24,30 逆止弁、26 逆流防止弁、28 大気開放弁、32 洗剤電磁弁、34 洗剤混入部、40 浴槽、42 循環アダプタ、44 排水栓、46 開閉駆動機構、50 洗剤タンク、52 フロートスイッチ、54 洗剤供給管、60 洗浄ノズル、70 給水管、72 出湯管、73 カラン、74 往き管、75 接続管、76 戻り管、78 洗浄管、100 制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9