特許第6221536号(P6221536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221536
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20171023BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20171023BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20171023BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61K8/36
   A61K8/81
   A61K8/34
   A61K8/06
   A61Q7/00
   A61K31/4545
   A61K31/506
   A61P17/14
   A61K47/12
   A61K47/32
   A61K47/10
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-189093(P2013-189093)
(22)【出願日】2013年9月12日
(65)【公開番号】特開2014-94933(P2014-94933A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2016年9月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-225263(P2012-225263)
(32)【優先日】2012年10月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一裕
(72)【発明者】
【氏名】有泉 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 亜衣
(72)【発明者】
【氏名】西奥 義憲
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−057583(JP,A)
【文献】 特開2006−176440(JP,A)
【文献】 特許第4940527(JP,B2)
【文献】 特開2009−173610(JP,A)
【文献】 特開2011−051980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
A61K 31/33−33/44
A61K 47/00−47/69
A61P 17/00−17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ミノキシジル、(b)イソステアリン酸及び/またはオレイン酸、(c)カルボキシビニルポリマー、(d)けん化度が70〜96mol%の部分けん化ポリビニルアルコール、及び(e)10w/w%未満の低級アルコールを含有するか、低級アルコールを含有しないことを特徴とするクリーム剤であり、前記低級アルコールがエタノール又はイソプロパノールである、クリーム剤
【請求項2】
さらに多価アルコールを含有することを特徴とする請求項1に記載のクリーム剤。
【請求項3】
多価アルコールが、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン及びプロピレングリコールからなる群から選ばれる1種または2種以上である請求項2に記載のクリーム剤。
【請求項4】
pHが4.5〜9である請求項1〜3のいずれかに記載のクリーム剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミノキシジルを含有するクリーム剤に関する。さらに詳しくは、製剤の安定性及び使用感に優れたミノキシジル含有クリーム剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ミノキシジルは化学名を6−(1−ピペリジニル)−2,4−ピリミジンジアミン−3−オキサイドと称し、発毛剤としての適応が知られている(特許文献1参照)。ミノキシジルは、外用塗布により優れた育毛・発毛効果を発揮する薬剤であり、ローションタイプのミノキシジル含有外用剤が国内外で市販されている。
しかしながら、ローションタイプの製剤では、使用時に液だれが起こることが懸念される。そのため、液だれのないミノキシジル含有外用組成物が望まれているが、液だれが十分に抑えられたミノキシジル含有外用組成物は、未だに提供されていないというのが実状であった。
一方、ミノキシジルは水にほとんど溶解せず、アルコールに溶解しやすいという性質を有するため、国内外で市販されているミノキシジル含有外用組成物は、みな多量のアルコールを含有している。したがって、アルコールに過敏な人たちも安心して使用できる、刺激性の低いミノキシジル含有製品が望まれている。
液だれを十分に抑えることができる製剤としてクリーム剤が考えられるが、ミノキシジルを含有し、製剤が安定かつ使用感が良好で、アルコール濃度の低い、低刺激性のクリーム剤については知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4139619号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】鈴木民恵ら,日皮協ジャーナル,51,177-183(2004)
【非特許文献2】辰見寿ら,皮膚,33(11),31-38(1991)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、ミノキシジル含有クリーム剤に関し、ミノキシジルを十分溶解でき、安定で使用感が良好であり、かつアルコール濃度の低い低刺激性のミノキシジル含有外用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ミノキシジル、特定の油、カルボキシビニルポリマー及び部分けん化ポリビニルアルコールを含有するクリーム剤は、通常ミノキシジルを溶解させるために必要な多量の低級アルコールを含有せずにミノキシジルを十分溶解でき、安定で使用感にも優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)ミノキシジル、イソステアリン酸及び/またはオレイン酸、カルボキシビニルポリマー、部分けん化ポリビニルアルコール、及び10w/w%未満の低級アルコールを含有することを特徴とするクリーム剤、
(2)さらに多価アルコールを含有することを特徴とする(1)に記載のクリーム剤、
(3)多価アルコールが、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン及びプロピレングリコールからなる群から選ばれる1種または2種以上である(2)に記載のクリーム剤、
(4)pHが4.5〜9である(1)〜(3)のいずれかに記載のクリーム剤、
である。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、ミノキシジルを溶解でき、皮膚への刺激性が低く、かつ、安定性及び使用感に優れるミノキシジル含有クリーム剤を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において用いるミノキシジルは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。ミノキシジルの含有量は、クリーム剤中1〜10w/w%であり、好ましくは1〜5w/w%である。
【0010】
本発明において用いる油成分であるイソステアリン酸及び/またはオレイン酸は、どちらか一方でも、組み合わせて使用しても良い。イソステアリン酸及び/またはオレイン酸の含有量は、クリーム剤中1〜30w/w%、好ましくは3〜10w/w%である。
【0011】
本発明におけるカルボキシビニルポリマーとは、アクリル酸の共重合体を意味し、例えば、0.5%水溶液の粘度が4000〜10000mPa・s、40000〜60000mPa・sなどの粘度の異なるいくつかのタイプがあるが、本発明では粘度の高いタイプを主に用いるのが好ましい。カルボキシビニルポリマーの含有量は、クリーム剤中0.1〜3.0w/w%が好ましく、更に好ましくは0.1〜2.0w/w%であり、最も好ましいのは0.1〜0.8w/w%である。この含有量の範囲が、使用感が良く、安定性の高いO/Wエマルション型のクリーム剤を得ることができるためである。
【0012】
本発明における部分けん化ポリビニルアルコールとは、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルを部分的にけん化したものを意味し、例えば、4%水溶液の粘度が4.8〜5.8mPa・s、20.5〜24.5mPa・s、27.0〜33.0mPa・s、40.0〜46.0mPa・sなどの粘度の異なるいくつかのタイプがあるが、本発明はそれら分子量や粘度に関係なく、一般に使用されているけん化度が70〜96mol%のものを使用すれば、安定なO/Wエマルション型のクリーム剤を製造することができる。製剤化や使用感の観点から、けん化度が78〜96mol%の部分けん化ポリビニルアルコールが好ましく、特にけん化度が85〜90mol%の部分けん化ポリビニルアルコールが好ましい。部分けん化ポリビニルアルコールの含有量は、組成物の全量に対して0.1〜4.0w/w%が好ましく、更に好ましくは0.1〜3.0w/w%であり、最も好ましいのは0.1〜1.2w/w%である。
【0013】
本発明における低級アルコールとは、エタノール、イソプロパノール等であり、好ましくはエタノールである。低級アルコールのクリーム剤中の含有量は10w/w%未満である。10w/w%以上の配合は、皮膚への刺激性の点だけでなく、本発明のクリーム剤の安定性が著しく悪化するため好ましくない。
【0014】
本発明のクリーム剤には、使用感向上の点から、さらに多価アルコールを配合するのが好ましい。そのような多価アルコールとしては、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン及びプロピレングリコール等が挙げられ、2種以上配合してもよい。多価アルコールの含有量は、使用感の点からクリーム剤中5〜30w/w%が好ましく、より好ましくは10〜15w/w%である。
【0015】
本発明のクリーム剤のpHは、4.5〜9に調整することが好ましい。pH調節剤は、特に制限されないが、通常の医薬品や化粧品に配合される酸や塩基性の化合物を使用することができる。例えば、水酸化ナトリウム、ジイソプロパノールアミン、塩酸、リン酸、乳酸等を挙げることができる。pH調節の際には、これらのpH調節剤を1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0016】
本発明のクリーム剤は、通常クリーム剤を調製する際に必要な界面活性剤を配合しなくても安定なクリーム剤を製造することができる。ただし、必要に応じて界面活性剤を配合してもよい。 本発明のクリーム剤においては、上記した成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、通常外用剤に用いられる種々の成分を配合することができる。例えば、賦形剤、育毛成分(6−ベンジルアミノプリン、アデノシン、ペンタデカン酸グリセリド、何首鳥、竹節人参等)、血管拡張剤(塩化カルプロニウム、ニコチン酸ベンジル、センブリ抽出液、オタネニンジンエキス、トウガラシチンキ等)、抗ヒスタミン剤(塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸イソチペンジル等)、抗炎症剤(グアイアズレン等)、角質溶解剤(尿素、サリチル酸等)、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、第4級アンモニウム塩、ピロクトンオラミン等)、保湿剤(ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸等)、各種動植物(イチイ、ボタンピ、カンゾウ、オトギリソウ、附子、ビワ、カワラヨモギ、コンフリー、アシタバ、サフラン、サンシシ、ローズマリー、セージ、モッコウ、セイモッコウ、ホップ、プラセンタ等)の抽出物、ビタミン類(酢酸レチノール、アスコルビン酸、硝酸チアミン、シアノコバラミン、ビオチン等)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソプロピルガレート等)、溶解補助剤(アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、各種植物油、各種動物油、炭化水素類等)、代謝賦活剤(パンテノール等)、粘着剤、香料、清涼化剤(ハッカ油、カンフル等)及び染料等の通常使用される成分を配合することができる。
【0017】
本発明のクリーム剤の調製は、常法に従い、上記各成分を含有することにより調製される。
【0018】
かくして得られる本発明のクリーム剤は、頭髪用剤、皮膚適用製剤等として使用することができる。
【0019】
以下に、実施例、比較例及び試験例を記載し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。また、カルボキシビニルポリマーはLUBRIZOL社製のカーボポール980を用い、部分けん化ポリビニルアルコールは日本合成化学工業社製のゴーセノールEG−05(けん化度86.5〜89.0mol%)を用いた。
【実施例】
【0020】
(実施例1)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 3g
カルボキシビニルポリマー 0.75g
部分けん化ポリビニルアルコール 1g
1,3−ブチレングリコール 15g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.75gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ、これに水酸化ナトリウム水溶液(適量)加え水相とした。別にイソステアリン酸3gと1,3−ブチレングリコール15gの混合物を約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH7.0の製剤を得た。
【0021】
(実施例2)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 6g
カルボキシビニルポリマー 0.5g
部分けん化ポリビニルアルコール 1g
ジイソプロパノールアミン 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.5gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ水相とした。別にイソステアリン酸6gとジイソプロパノールアミンの混合物を約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH5.2の製剤を得た。
【0022】
(実施例3)
ミノキシジル 2g
イソステアリン酸 10g
カルボキシビニルポリマー 0.8g
部分けん化ポリビニルアルコール 1.2g
1,3−ブチレングリコール 10g
ジイソプロパノールアミン 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.8gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1.2gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ水相とした。別にイソステアリン酸10g、1,3−ブチレングリコール10g、ジイソプロパノールアミンの混合物を約70℃に加温し、これにミノキシジルgを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH5.4の製剤を得た。
【0023】
(実施例4)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 10g
カルボキシビニルポリマー 0.8g
部分けん化ポリビニルアルコール 1.2g
モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 5g
(20E.O.)
ジイソプロパノールアミン 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.8gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1.2gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ水相とした。別にイソステアリン酸10g、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)5g、ジイソプロパノールアミンの混合物を約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH4.9の製剤を得た。
【0024】
(実施例5)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 10g
カルボキシビニルポリマー 0.8g
部分けん化ポリビニルアルコール 1g
モノステアリン酸ポリエチレングリコール 5g
(40E.O.)
ジイソプロパノールアミン 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.8gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコールgを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ水相とした。別にイソステアリン酸10g、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40E.O.)5g、ジイソプロパノールアミンの混合物を約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH6.1の製剤を得た。
【0025】
(実施例6)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 10g
カルボキシビニルポリマー 0.8g
部分けん化ポリビニルアルコール 1g
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン 5g
モノステアリン酸ソルビタン 5g
ジイソプロパノールアミン 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.8gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコールgを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ水相とした。別にイソステアリン酸10g、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン5g、モノステアリン酸ソルビタン5g、ジイソプロパノールアミンの混合物を約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH6.0の製剤を得た。
【0026】
(実施例7)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 6g
カルボキシビニルポリマー 0.5g
部分けん化ポリビニルアルコール 1g
1,3−ブチレングリコール 10g
ジイソプロパノールアミン 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.5gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ水相とした。別にイソステアリン酸6g、1,3−ブチレングリコール10g、ジイソプロパノールアミンの混合物を約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH5.6の製剤を得た。
【0027】
(実施例8)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 6g
カルボキシビニルポリマー 0.5g
部分けん化ポリビニルアルコール 1g
ジプロピレングリコール 10g
ジイソプロパノールアミン 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.5gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ水相とした。別にイソステアリン酸6g、ジプロピレングリコール10g、ジイソプロパノールアミンの混合物を約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH5.5の製剤を得た。
【0028】
(実施例9)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 6g
カルボキシビニルポリマー 0.5g
部分けん化ポリビニルアルコール 1g
グリセリン 10g
ジイソプロパノールアミン 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.5gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ水相とした。別にイソステアリン酸6g、グリセリン10g、ジイソプロパノールアミンの混合物を約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH5.5の製剤を得た。
【0029】
(実施例10)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 6g
カルボキシビニルポリマー 0.5g
部分けん化ポリビニルアルコール 1g
プロピレングリコール 10g
ジイソプロパノールアミン 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.5gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ水相とした。別にイソステアリン酸6g、プロピレングリコール10g、ジイソプロパノールアミンの混合物を約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH5.6の製剤を得た。
【0030】
(実施例11)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 10g
カルボキシビニルポリマー 0.8g
部分けん化ポリビニルアルコール 1.2g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.8gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1.2gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ、これに水酸化ナトリウム水溶液(適量)加え水相とした。別にイソステアリン酸10gを約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH6.4の製剤を得た。
【0031】
(実施例12)
ミノキシジル 1g
オレイン酸 10g
カルボキシビニルポリマー 0.8g
部分けん化ポリビニルアルコール 1.2g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.8gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1.2gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ,これに水酸化ナトリウム水溶液(適量)加え水相とした。別にオレイン酸10gを約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH6.4の製剤を得た。
【0032】
(実施例13)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 10g
カルボキシビニルポリマー 0.1g
部分けん化ポリビニルアルコール 0.1g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
エタノール 5g
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.1gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール0.1gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ、これに水酸化ナトリウム水溶液(適量)加え水相とした。別にイソステアリン酸10gを約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却した。これにエタノール5gを加え撹拌しpH6.0の製剤を得た。
(実施例14)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 6g
カルボキシビニルポリマー 0.75g
部分けん化ポリビニルアルコール 1g
1,3−ブチレングリコール 10g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.75gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ、これに水酸化ナトリウム水溶液(適量)加え水相とした。別にイソステアリン酸6gと1,3−ブチレングリコール10gの混合物を約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH8.7の製剤を得た。
【0033】
(比較例1)
ミノキシジル 1g
トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル 10g
カルボキシビニルポリマー 0.8g
部分けん化ポリビニルアルコール 1.2g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.8gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1.2gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ、これに水酸化ナトリウム水溶液(適量)加え水相とした。別にトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル10gを約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH6.3の製剤を得た。
【0034】
(比較例2)
ミノキシジル 1g
流動パラフィン 10g
カルボキシビニルポリマー 0.8g
部分けん化ポリビニルアルコール 1.2g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.8gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1.2gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ、これに水酸化ナトリウム水溶液(適量)加え水相とした。別に流動パラフィン10gを約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH6.5の製剤を得た。
【0035】
(比較例3)
ミノキシジル 1g
アジピン酸ジイソプロピル 10g
カルボキシビニルポリマー 0.8g
部分けん化ポリビニルアルコール 1.2g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.8gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1.2gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ,これに水酸化ナトリウム水溶液(適量)加え水相とした。別にアジピン酸ジイソプロピル10gを約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH6.5の製剤を得た。
【0036】
(比較例4)
ミノキシジル 1g
ミリスチン酸イソプロピル 10g
カルボキシビニルポリマー 0.8g
部分けん化ポリビニルアルコール 1.2g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.8gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1.2gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ,これに水酸化ナトリウム水溶液(適量)加え水相とした。別にミリスチン酸イソプロピル10gを約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH6.4の製剤を得た。
【0037】
(比較例5)
ミノキシジル 1g
トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 10g
カルボキシビニルポリマー 0.8g
部分けん化ポリビニルアルコール 1.2g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.8gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール1.2gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ,これに水酸化ナトリウム水溶液(適量)加え水相とした。別にトリ2−エチルヘキサン酸グリセリル10gを約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却しpH6.5の製剤を得た。
【0038】
(比較例6)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 10g
カルボキシビニルポリマー 0.1g
部分けん化ポリビニルアルコール 0.1g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
エタノール 10g
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.1gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール0.1gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ,これに水酸化ナトリウム水溶液(適量)加え水相とした。別にイソステアリン酸10gを約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却した。これにエタノール10gを加え撹拌しpH6.2の製剤を得た。
【0039】
(比較例7)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 10g
カルボキシビニルポリマー 0.1g
部分けん化ポリビニルアルコール 0.1g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
エタノール 15g
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.1gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール0.1gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ,これに水酸化ナトリウム水溶液(適量)加え水相とした。別にイソステアリン酸10gを約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却した。これにエタノール15gを加え撹拌しpH6.3の製剤を得た。
【0040】
(比較例8)
ミノキシジル 1g
イソステアリン酸 10g
カルボキシビニルポリマー 0.1g
部分けん化ポリビニルアルコール 0.1g
水酸化ナトリウム水溶液 適量
エタノール 20g
精製水 全100g
カルボキシビニルポリマー0.1gを精製水50gに分散し、約50℃まで加温して水溶液を得た。更に部分けん化ポリビニルアルコール0.1gを約50℃に加温した精製水10gに溶解して水溶液を得た。2つの水溶液を合わせ,これに水酸化ナトリウム水溶液(適量)加え水相とした。別にイソステアリン酸10gを約70℃に加温し、これにミノキシジル1gを溶解して油相とした。水相に油相を添加し、更に残りの精製水を加え、均一になるまで攪拌した後、攪拌しながら室温まで冷却した。これにエタノール20gを加え撹拌しpH6.5の製剤を得た。


【0041】
試験例1 製剤の使用感
実施例1〜14、比較例1〜5を適量腕に塗布し、ざらつき、しっとり感を評価した。ざらつきのないものを○、あるものを×、しっとり感を強く感じるものを◎、感じるものを○、感じないものを×とした。結果を表1〜3に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
表1〜3の結果から、本発明のイソステアリン酸またはオレイン酸を含有するクリーム剤は使用感が良かった。一方、イソステアリン酸またはオレイン酸以外の油を含有するミノキシジル含有クリーム剤(比較例1〜5)は、皮膚に塗布した際にざらつき等が生じ、使用感が悪かった。これは、製剤中でミノキシジルが十分溶解できず、分散状態となっているためである。
【0046】
試験例2 製剤の安定性
実施例1〜14、比較例6〜8を65℃条件下2週経過後の性状を確認した。分離が生じていないものを○、分離が生じているものを×とした。結果を表4〜6に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
表4〜6の結果から、エタノールの含有量が少ない実施例1〜13のクリーム剤は製剤が分離せず、安定であった。一方、エタノールを10w/w%以上含有する比較例6〜8のクリーム剤は分離した。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明により、安定かつ使用感に優れたミノキシジル含有クリーム剤を提供することが可能となった。