特許第6221544号(P6221544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社IHIの特許一覧

<>
  • 特許6221544-ターボファンエンジンのためのシール 図000002
  • 特許6221544-ターボファンエンジンのためのシール 図000003
  • 特許6221544-ターボファンエンジンのためのシール 図000004
  • 特許6221544-ターボファンエンジンのためのシール 図000005
  • 特許6221544-ターボファンエンジンのためのシール 図000006
  • 特許6221544-ターボファンエンジンのためのシール 図000007
  • 特許6221544-ターボファンエンジンのためのシール 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221544
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】ターボファンエンジンのためのシール
(51)【国際特許分類】
   F01D 11/00 20060101AFI20171023BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20171023BHJP
   F01D 25/24 20060101ALI20171023BHJP
   F02C 7/28 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   F01D11/00
   F01D25/00 M
   F01D25/24 P
   F02C7/28 Z
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-192710(P2013-192710)
(22)【出願日】2013年9月18日
(65)【公開番号】特開2015-59459(P2015-59459A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】八木 広幸
【審査官】 西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0037233(US,A1)
【文献】 特開2011−085055(JP,A)
【文献】 特開2011−085056(JP,A)
【文献】 特表2009−508033(JP,A)
【文献】 米国特許第04940386(US,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02599081(FR,A1)
【文献】 米国特許第04820120(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0077612(US,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02490858(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 11/00−24
F01D 25/00、24
F01D 9/02−04
F02C 7/28
F02K 3/04
F04D 29/08、54
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボファンエンジンのバイパスダクト中の出口案内翼においてベーンとライナとの間の隙間を封ずるためのシールであって、
前記ライナと結合する結合部と、
前記結合部から延び、前記ベーンに接して前記ベーンと前記ライナとの間の丸い隅を構成するべく、先端に向かって次第に薄くなる形状を有する可撓性のフィレット部と、
内面から突出した可撓性のリブ部であって、前記ベーンを固定するための外部構造の上面に接して気密を保つべく寸法づけられたリブ部と、
を備えたシール。
【請求項2】
請求項1のシールであって、前記リブ部は、円柱、楕円円柱、角柱、先端に向かって次第に薄くなるフィレット形状、よりなる群より選択された一の形状を有する、シール。
【請求項3】
請求項1または2のシールであって、前記リブ部は押し潰しを容易にするべく中空である、シール。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項のシールであって、前記フィレット部と前記リブ部とは一体に形成されている、シール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ターボファンエンジンのためのシールに関し、特に出口案内翼においてベーンとライナとの間の隙間を封ずるためのシールに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボファンエンジンは、コアとなるエンジンの周囲にバイパスダクトを有する形式のジェットエンジンである。エンジンが発生するエネルギの一部を利用してファンが駆動され、ファンが発生する空気流の一部はコンプレッサにより圧縮されてエンジンの燃焼に利用されるが、他の一部はバイパスダクトを介して直接に後方に噴出する。バイパスダクトを介した空気流は、それ自体が推力を発生してエンジン推力の増大に寄与し、またエンジンのエネルギ効率を改善する。
【0003】
バイパスダクト中には、出口案内翼が設けられる。出口案内翼は、径方向に延びた複数のベーンであって、かかるベーンが周方向に並べられて環状の構造を形成する。ファンが発生する空気流は、その軸周りに回転する渦のような流れだが、出口案内翼を通過することによって整流され、後方に直進する流れとなる。出口案内翼は、バイパスダクトを囲むファンケースとコア部とを連結して支持する機能をも担うことがあるので、それに足る強度及び剛性も必要である。
【0004】
バイパスダクト内の空気流がコンプレッサ内の空気流または2次空気と混合することは避けねばならない。それゆえ、特に出口案内翼の各ベーンと内周側ライナとの間の隙間には、空気流を封止するための適切なシールが必要である。
【0005】
関連する技術が特許文献1,2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2012−511661号公報
【特許文献2】特開平10−325303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のごとく、出口案内翼におけるシールには十分な気密性が要求される。またベーンとライナとは直角に近い角を成すが、急峻に角を成す隅部分は気流を乱す原因となりかねない。そこでシールには、ベーンの面とライナの面とを滑らかに連結することが求められる。そのようなシールを自動的な作業により形成することは困難であって、例えばペースト状のシール材を手作業により該当箇所に盛り付け、固化した後に仕上げ加工を行うような、手間のかかる作業が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上述の問題に鑑みて為されたものであって、ライナに取り付けてライナ及びベーンとともに出口案内翼を組み上げるだけで気流の封止をすることができるシールを提供することにある。
【0009】
本発明の一局面によれば、ターボファンエンジンのバイパスダクト中の出口案内翼においてベーンとライナとの間の隙間を封ずるためのシールは、前記ベーンに接して丸い隅を形成するべく、先端に向かって次第に薄くなる形状を有する可撓性のフィレット部と、前記ライナと結合する結合部と、内面から突出した可撓性のリブ部であって、前記ベーンを固定する構造の上面に接して気密を保つべく寸法づけられたリブ部と、を備える。
【0010】
好ましくは、前記リブ部は、円柱、楕円円柱、角柱、先端に向かって次第に薄くなるフィレット形状、よりなる群より選択された一の形状を有する。また好ましくは、前記リブ部は押し潰しを容易にするべく中空である。さらに好ましくは、前記フィレット部と前記リブ部とは一体に形成されている。
【発明の効果】
【0011】
ライナに取り付けて出口案内翼を組み上げるだけで、気流の封止ができ、また空気流に乱れを生じさせない丸い隅を形成することができるシールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、ターボファンエンジンの模式的な縦断面図である。
図2図2は、一実施形態によるシールが組み込まれた出口案内翼の斜視図である。
図3図3は、シールとベーンを固定する構造との関係を特に示す出口案内翼の部分断面図である。
図4図4は、ライナの一部と共に示すシールの断面図である。
図5図5は、変形例によるシールの断面図である。
図6図6は、他の変形例によるシールの断面図である。
図7図7は、さらに他の変形例によるシールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の幾つかの実施形態を添付の図面を参照して以下に説明する。図面は必ずしも正確な縮尺により示されておらず、従って相互の寸法関係は図示されたものに限られないことに、特に注意を要する。
【0014】
図1を参照するに、ターボファンエンジン1は、一例として、その中心にファン3を備え、その周囲を囲むナセル5の内壁とコア部7との間にバイパスダクトが確保される。ファン3が生ずる空気流の一部aは、低圧コンプレッサ9内に流入してエンジンの燃焼に利用されるが、他の一部bはバイパスダクトに流入する。バイパスダクトを通過する空気流の一部bは、複数のベーン11よりなる出口案内翼により整流され、後方に噴出する。
【0015】
図2を参照するに、各ベーン11は、整流のためのエアフォイル形状を有する径方向に延びた板状構造体である。その外端は固定のための構造13により挟まれ、その内端も類似の構造15により挟まれ、以ってナセル5およびコア部7に対して固定される。
【0016】
外端を固定するための構造13に隣接して、その縁がベーン11の面に接するように、アウタライナ17が配置される。同様に、内端を固定するための構造15に隣接して、その縁がベーン11の面に接するように、インナライナ19が配置される。ベーン11とライナ17,19よりなる組合せが、相互に接して周方向に配列されることにより、環状の構造を構成する。円筒状に配列された複数のアウタライナ17は内壁の一部を成し、同様に円筒状に配列された複数のインナライナ19はコア部の外壁の一部を成し、アウタライナ17とインナライナ19とでバイパスダクトを囲む。
【0017】
図2と組み合わせて図3を参照するに、本実施形態によるシール21は、例えばインナライナ19とベーン11との間の隙間を封ずるために利用される。もちろんアウタライナ17とベーン11との間の隙間に適用してもよいし、あるいは他の任意の隙間を封ずる目的で利用できる。以下ではインナライナ19に適用する例について説明するが、もちろんこれに限られない。
【0018】
主に図3を参照するに、既に述べた通り、ベーン11の内端11eは内端を固定するための構造15により挟まれるが、構造15は内端11eの直上において平らな上面を有する。シール21は、その先端がベーン11の面に接するのみならず、かかる上面にも接することにより、空気流を封止する。
【0019】
図4を参照するに、シール21は、インナライナ19の一端に結合して使用される。シール21は結合部23を備え、結合部23はインナライナ19と結合するに適した適宜の構造を有することができる。そのような構造としては、例えば図示のごとく係合のための適宜の凹凸であってもよいし、接触面を増大する他の何らかの構造であってもよい。接触面の増大は、シール21とインナライナ19とを接着するのに有利である。
【0020】
シール21は、その基端近傍において例えばインナライナ19と同程度の厚さであるが、先端に向かって次第に薄くなる形状のフィレット部27を有する。シール21は、少なくともフィレット部27において可撓性であり、あるいはその全体が可撓性であってもよい。可撓性を与えるべく、合成ゴムのごときエラストマをシール21に適用することができる。可撓性のために、フィレット部27はベーン11に接すると上方に反り、以ってインナライナ19とベーン11との間の丸い隅を構成する。上方に反り易くするべく、フィレット部27は図示のごとく予め上方に反った形状であってもよい。
【0021】
シール21は、さらに、その内面から突出したリブ部25を有する。リブ部25は、シール21の長手方向に沿って実質的にその全長に亘る突起である。リブ部25も可撓性であって、ベーン11を固定する構造15の上面に接すると、押し潰されてこれに密着する。以ってリブ部25は構造15の上面との間で気密を保つ。リブ部25は、構造15の上面の位置に応じて、またシール21から構造15の上面までの距離に応じて、適宜の位置および寸法が選択される。
【0022】
リブ部25とフィレット部27とは、好ましくは図4に示すごとく一体である。ただし図5に示すシール21’のごとく、リブ部25tとフィレット部27fとが別体であってもよい。その場合、リブ部25tはインナライナ19’に直接に結合される。
【0023】
リブ部の形状としては、押し潰しを容易にするべく、内部に孔25hを備えた中空な円柱形を選択することができるが、図6に示すごとく中実なリブ部25sであってもよい。また円柱に限らず楕円円柱や角柱等、他の適宜の形状を選択することができる。あるいは図7に示すごとく、リブ部25fにも先端に向かって次第に薄くなるフィレット形状を適用することができる。またリブ部25fを適宜に反らせ、構造15に接するとフィレット部27をベーン11に向かって押し付ける力が発生するようにしてもよい。
【0024】
上述の何れの形態においても、シール21はインナライナ19と結合した状態で組み立てに供される。インナライナ19と共に出口案内翼に組み込まれると、その先端のフィレット部27がベーン11の面に接し、上方に反ることによって、空気流を乱さない丸い隅を構成する。ベーン11は曲面であるから、その全面に気密に接することは、いかなる構造にとっても難しく、それは本実施形態によるフィレット部27も例外ではない。しかしリブ部25fが構造15の上面に接し、フィレット部27に代わって気密を保つので、シール21はバイパスダクト内の空気流を封止することができる。
【0025】
すなわち本実施形態によるシールは、手間のかかる作業を必要とすることなく、ライナに取り付けて出口案内翼を組み上げるだけで空気流の封止をすることができ、空気流を乱すこともない。
【0026】
好適な実施形態により本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記開示内容に基づき、当該技術分野の通常の技術を有する者が、実施形態の修正ないし変形により本発明を実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0027】
ライナに取り付けてライナ及びベーンとともに出口案内翼を組み上げるだけで気流の封止をすることができるシールが提供される。
【符号の説明】
【0028】
1 ターボファンエンジン
3 ファン
5 ナセル
7 コア部
11 ベーン
13 ベーンを固定するための構造
15 ベーンを固定するための構造
17 アウタライナ
19 インナライナ
21 シール
23 結合部
25 リブ部
25h 孔
27 フィレット部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7