【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示されている竪型粉砕機は、機内を流れるガスの流れから考えてみた場合に、前段の工程側(ガス気流の上流側)に固定式分級機構が配され、後段の工程側(ガス気流の下流側)に回転式分級機構が配される構成となっており、固定式分級機構の下部に漏斗状のコーン(センターコーン、或いは内部コーンと称することもある)が配されている。
センターコーンは、固定式分級機構を通過して回転式分級機構を通過できなかった原料が落下するのを集めて、回転テーブル上に、再度、投入するための機構であると同時に、回転式分級機構を通過できずに落下する原料が、機内を上昇しながら流れるガスの気流を乱さないようにする機能を有する。
【0008】
というのは、分級機構を通過できずに落下している原料が、機内を上昇しながら流れるガスの気流の中に大量に入ると、ガスの気流を乱してしまう可能性がある。
また、分級機構を通過できずに落下している原料が、機内を上昇しながら流れるガスの気流の中に入ってしまうと、落下途中で、ガスの気流に乗って再上昇する可能性があって、回転テーブル上に落下しないまま、吹き上げられてしまう可能性がある。
落下途中で吹き上げられた原料は、回転テーブル上で再粉砕されていないため、分級機構を通過できないから再度落下することになり、その結果、機内で落下と上昇を繰り返すことになる。そのため、分級機構を通過できない原料が、機内で落下と上昇を繰り返して、機内に滞留する。
分級機構を通過できない原料が、機内に滞留すると、機内を流れるガスの気流について、不必要に多くの圧力損失が生じるとともに、ガスの流れに大きな乱れが生じて、効率的な分級ができなくなってしまう可能性がある。
【0009】
竪型粉砕機の機内にセンターコーンを配することによって、機内を上昇しながら流れるガス気流は主にセンターコーンとケーシングの間を流れる構成となり、また、回転式分級機構を通過できずに落下する原料はセンターコーン内に落下して回転テーブル上に投入される構成となる。
したがって、機内を上昇するガス気流のルートと、回転式分級機構を通過できずに落下する原料のルートを分離することが可能になる。
そのため、分級機構を通過できずに落下する原料について、機内を上昇するガス気流の中に入る可能性が小さくなり、その結果として、落下途中の原料が、回転テーブル上に落下しないまま、吹き上げられてしまうという可能性が小さくなるので、前述した滞留原料の割合を減少させることが可能である。
【0010】
しかしながら、ここで、前述のセンターコーンを使用したとしても、回転式分級機構の前段に配した固定式分級機構を通過できない原料については、センターコーン内に落下せずに、センターコーンとケーシングの間の方向に落下しようとして、機内を上昇するガス気流の中に入ってしまう可能性があり、前述の問題を引き起こしてしまうという問題が残っていた。
【0011】
図4から
図6までに従来技術による竪型粉砕機の例を示す。
図4は竪型粉砕機の全体構造、
図5は分級機構構造、又
図6は分級機構を通過できずに落下する原料とガス流れの挙動を概念的に示したものである。
図4に示す竪型粉砕機101は、回転式分級機構として配された回転式の分級羽根である回転羽根113(回転ベーン113と称することもある)の前段に、固定式分級機構として配された固定式の分級羽根である固定羽根114(ガイドベーン114と称することもある)が配された構成であって、さらに、固定羽根114の下部に漏斗状のコーン119(センターコーン119、或いは内部コーン119と称することもある)を配しているタイプの竪型粉砕機101である。
【0012】
ここで、回転羽根113は、回転筒111等を介して、図示しない駆動モータにより駆動されて自在に回転する構成となっており、固定羽根114の下部には、漏斗状(略逆切頭円錐状)のセンターコーン119の上端外周部が取り付けられている。
【0013】
図5にセンターコーン119の取り付け状態を示す。センターコーン119の上端外周部に取付リング117等を介して、固定羽根114の下端部が取り付けられている。
なお、本実施形態においては、固定羽根114の上端は、上部ケーシング101Bの上部に取り付けられて固定されている。
詳しい説明は割愛するが、回転テーブル102上で粉砕された原料は、機内を下方から上方に向かって上昇するガス気流(ガス供給口133から上部取出口139に向かって流れるガス気流)により搬送されて、固定羽根114方向に流れる(原料の流れを
図6のF0に示す)。固定羽根114へ到達した原料の中で、固定羽根114を通過し、回転羽根113を通過できなかった原料(主に中粒サイズの原料)が、センターコーン119内を落下(原料の流れを
図6のF2に示す)して、回転テーブル2上に再度投入される構成となっている。
【0014】
しかし、
図6に示した従来技術による竪型粉砕機101において、固定羽根114を通過できず落下した原料(主に粗粒サイズの原料)は、センターコーン119内には落下せずに、センターコーン119と上部ケーシング101Bの間の方向に落下(原料の流れを
図6のF1に示す)しようとして、上昇しているガスの気流の中に入り、前述の問題を引き起こしてしまう可能性がある。
【0015】
なお、回転羽根113を通過した原料(主に細粒サイズの原料)は、製品として上部取出口139からガスとともに製品として取り出される(原料の流れを
図6のF3に示す)構成になっている。
【0016】
本発明は、以上、説明したような問題点に鑑みてなされたものであり、機内に滞留するだけで効率的に粉砕されてない滞留原料の量を減らして、原料を効率良く粉砕するに好適な竪型粉砕機に関する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するため、本発明による竪型粉砕機は、
(1) 回転テーブルの上面に回転自在な粉砕ローラを備えて、回転テーブル上に供給した原料を、回転テーブルと粉砕ローラとの間で粉砕し、該回転テーブルの下方に設けたガス供給口から機内に供給したガスによって吹き上げることにより、該回転テーブルの上方に設けた上部取出口からガスとともに取り出す竪型粉砕機であって、該回転テーブルと上部取出口の間に、
水平方向の断面が内周側に向かって開口する鉤状に形成されて鉛直方向に直線的に延びる固定式の分級羽根を複数配して円環状に並べて配列するとともに、該固定式の分級羽根の下方に漏斗状のセンターコーンを配して、該円環状に並べて配列した固定式の分級羽根
の外周側部分が、センターコーン上部の内側に位置するように配設することにより、該固定式の分級羽根の外周側部分と、センターコーン上部との間に隙間を形成して、該固定式の分級羽根の外周側部分に衝突して落下した原料が、該隙間を介して、センターコーン内に落下することを特徴とした竪型粉砕機。
【0018】
(2)(1)に記載の竪型粉砕機において、
前記円環状に並べて配列した固定式の分級羽根の
下部に環状部材を配し、該環状部材からセンターコーンの上部に向かって外周側に
放射状に延びる複数の支持部材を
配することにより、
固定式の分級羽根の下部とセンターコーンを該支持部材を介して取り付けることによって、前記隙間を形成した。
【0019】
(3)(2)に記載の竪型粉砕機において、前記支持部材の上部が山形に形成されたことを特徴とする。