特許第6221548号(P6221548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221548
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】竪型粉砕機
(51)【国際特許分類】
   B02C 15/04 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   B02C15/04
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-193593(P2013-193593)
(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2015-58395(P2015-58395A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】宇部興産機械株式会社
(72)【発明者】
【氏名】日名内 竜也
(72)【発明者】
【氏名】中尾 泰文
【審査官】 小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−116749(JP,A)
【文献】 米国特許第05957300(US,A)
【文献】 特開2003−268394(JP,A)
【文献】 特開2009−28660(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/062240(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブルの上面に回転自在な粉砕ローラを備えて、回転テーブル上に供給した原料を、回転テーブルと粉砕ローラとの間で粉砕し、該回転テーブルの下方に設けたガス供給口から機内に供給したガスによって吹き上げることにより、該回転テーブルの上方に設けた上部取出口からガスとともに取り出す竪型粉砕機であって、
該回転テーブルと上部取出口の間に、水平方向の断面が内周側に向かって開口する鉤状に形成されて鉛直方向に直線的に延びる固定式の分級羽根を複数配して円環状に並べて配列するとともに、該固定式の分級羽根の下方に漏斗状のセンターコーンを配して、
該円環状に並べて配列した固定式の分級羽根外周側部分が、センターコーン上部の内側に位置するように配設することにより、
該固定式の分級羽根の外周側部分と、センターコーン上部との間に隙間を形成して、該固定式の分級羽根の外周側部分に衝突して落下した原料が、該隙間を介して、センターコーン内に落下することを特徴とした竪型粉砕機。
【請求項2】
前記円環状に並べて配列した固定式の分級羽根の下部に環状部材を配し、該環状部材からセンターコーンの上部に向かって外周側に放射状に延びる複数の支持部材を配することにより、固定式の分級羽根の下部とセンターコーンを該支持部材を介して取り付けることによって、前記隙間を形成した請求項1に記載の竪型粉砕機。
【請求項3】
前記支持部材の上部が山形に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の竪型粉砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料の粉砕分野に係り、セメント原料、スラグ、クリンカ、石灰石、石炭、及びその他の無機原料、並びに、バイオマスを含む有機原料を微粉砕するに好適な竪型粉砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、石炭等を粉砕する粉砕機として竪型粉砕機(竪型ミル、或いは竪型ローラミルと称されることもある)と呼ばれる粉砕機が広く用いられている。
竪型粉砕機は、被粉砕物(本明細書においては単に原料と称することもある)を効率的に粉砕することができるという優れた特性を備えており、特に、上抜き式、或いはエアスエプト式等と呼ばれているタイプの竪型粉砕機は、機内に、下方から上方に向かって上昇しながら流れるガスの気流を形成して、機内に備えた分級機構により、粉砕後の原料を分級し、所望の粒径となったものを製品として取り出すことができるという優れた機能を備えている。
【0003】
なお、竪型粉砕機の機内に備える分級機構として、例えば、固定式の分級羽根を備えた固定式分級機構、回転式の分級羽根を備えた回転式の分級機構、又、固定式分級と回転式分級の2つを合わせ備えたタイプの分級機構等が公知である。
【0004】
ここで、固定式の分級羽根を備えた分級機構は、固定式の分級羽根(固定式分級羽根は整流板、或いはガイドベーンと称されることもある)により、機内に流れるガスの方向などを制御して、機内を流れるガスにより搬送されている原料を分級して分離するものである。また、回転式の分級羽根を備えた分級機構は、分級羽根を回転させることによって、機内を流れるガスの流れに旋回流を生じさせることにより、機内を流れるガスにより搬送されている原料に対して遠心力等を生じさせるものであり、該遠心力等を利用することによって、機内を流れるガスにより搬送されている原料を効率的に分級して分離するものである。
【0005】
特許文献1に、固定式分級と回転式分級という2つのタイプの分級機構を合わせ備えた竪型粉砕機の1例を示す。
特許文献1に示した竪型粉砕機は、固定式と回転式との2つの分級機構を利用して、機内を流れるガスにより搬送されている原料について、効率的に分級するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−236550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示されている竪型粉砕機は、機内を流れるガスの流れから考えてみた場合に、前段の工程側(ガス気流の上流側)に固定式分級機構が配され、後段の工程側(ガス気流の下流側)に回転式分級機構が配される構成となっており、固定式分級機構の下部に漏斗状のコーン(センターコーン、或いは内部コーンと称することもある)が配されている。
センターコーンは、固定式分級機構を通過して回転式分級機構を通過できなかった原料が落下するのを集めて、回転テーブル上に、再度、投入するための機構であると同時に、回転式分級機構を通過できずに落下する原料が、機内を上昇しながら流れるガスの気流を乱さないようにする機能を有する。
【0008】
というのは、分級機構を通過できずに落下している原料が、機内を上昇しながら流れるガスの気流の中に大量に入ると、ガスの気流を乱してしまう可能性がある。
また、分級機構を通過できずに落下している原料が、機内を上昇しながら流れるガスの気流の中に入ってしまうと、落下途中で、ガスの気流に乗って再上昇する可能性があって、回転テーブル上に落下しないまま、吹き上げられてしまう可能性がある。
落下途中で吹き上げられた原料は、回転テーブル上で再粉砕されていないため、分級機構を通過できないから再度落下することになり、その結果、機内で落下と上昇を繰り返すことになる。そのため、分級機構を通過できない原料が、機内で落下と上昇を繰り返して、機内に滞留する。
分級機構を通過できない原料が、機内に滞留すると、機内を流れるガスの気流について、不必要に多くの圧力損失が生じるとともに、ガスの流れに大きな乱れが生じて、効率的な分級ができなくなってしまう可能性がある。
【0009】
竪型粉砕機の機内にセンターコーンを配することによって、機内を上昇しながら流れるガス気流は主にセンターコーンとケーシングの間を流れる構成となり、また、回転式分級機構を通過できずに落下する原料はセンターコーン内に落下して回転テーブル上に投入される構成となる。
したがって、機内を上昇するガス気流のルートと、回転式分級機構を通過できずに落下する原料のルートを分離することが可能になる。
そのため、分級機構を通過できずに落下する原料について、機内を上昇するガス気流の中に入る可能性が小さくなり、その結果として、落下途中の原料が、回転テーブル上に落下しないまま、吹き上げられてしまうという可能性が小さくなるので、前述した滞留原料の割合を減少させることが可能である。
【0010】
しかしながら、ここで、前述のセンターコーンを使用したとしても、回転式分級機構の前段に配した固定式分級機構を通過できない原料については、センターコーン内に落下せずに、センターコーンとケーシングの間の方向に落下しようとして、機内を上昇するガス気流の中に入ってしまう可能性があり、前述の問題を引き起こしてしまうという問題が残っていた。
【0011】
図4から図6までに従来技術による竪型粉砕機の例を示す。
図4は竪型粉砕機の全体構造、図5は分級機構構造、又図6は分級機構を通過できずに落下する原料とガス流れの挙動を概念的に示したものである。
図4に示す竪型粉砕機101は、回転式分級機構として配された回転式の分級羽根である回転羽根113(回転ベーン113と称することもある)の前段に、固定式分級機構として配された固定式の分級羽根である固定羽根114(ガイドベーン114と称することもある)が配された構成であって、さらに、固定羽根114の下部に漏斗状のコーン119(センターコーン119、或いは内部コーン119と称することもある)を配しているタイプの竪型粉砕機101である。
【0012】
ここで、回転羽根113は、回転筒111等を介して、図示しない駆動モータにより駆動されて自在に回転する構成となっており、固定羽根114の下部には、漏斗状(略逆切頭円錐状)のセンターコーン119の上端外周部が取り付けられている。
【0013】
図5にセンターコーン119の取り付け状態を示す。センターコーン119の上端外周部に取付リング117等を介して、固定羽根114の下端部が取り付けられている。
なお、本実施形態においては、固定羽根114の上端は、上部ケーシング101Bの上部に取り付けられて固定されている。
詳しい説明は割愛するが、回転テーブル102上で粉砕された原料は、機内を下方から上方に向かって上昇するガス気流(ガス供給口133から上部取出口139に向かって流れるガス気流)により搬送されて、固定羽根114方向に流れる(原料の流れを図6のF0に示す)。固定羽根114へ到達した原料の中で、固定羽根114を通過し、回転羽根113を通過できなかった原料(主に中粒サイズの原料)が、センターコーン119内を落下(原料の流れを図6のF2に示す)して、回転テーブル2上に再度投入される構成となっている。
【0014】
しかし、図6に示した従来技術による竪型粉砕機101において、固定羽根114を通過できず落下した原料(主に粗粒サイズの原料)は、センターコーン119内には落下せずに、センターコーン119と上部ケーシング101Bの間の方向に落下(原料の流れを図6のF1に示す)しようとして、上昇しているガスの気流の中に入り、前述の問題を引き起こしてしまう可能性がある。
【0015】
なお、回転羽根113を通過した原料(主に細粒サイズの原料)は、製品として上部取出口139からガスとともに製品として取り出される(原料の流れを図6のF3に示す)構成になっている。
【0016】
本発明は、以上、説明したような問題点に鑑みてなされたものであり、機内に滞留するだけで効率的に粉砕されてない滞留原料の量を減らして、原料を効率良く粉砕するに好適な竪型粉砕機に関する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するため、本発明による竪型粉砕機は、
(1) 回転テーブルの上面に回転自在な粉砕ローラを備えて、回転テーブル上に供給した原料を、回転テーブルと粉砕ローラとの間で粉砕し、該回転テーブルの下方に設けたガス供給口から機内に供給したガスによって吹き上げることにより、該回転テーブルの上方に設けた上部取出口からガスとともに取り出す竪型粉砕機であって、該回転テーブルと上部取出口の間に、水平方向の断面が内周側に向かって開口する鉤状に形成されて鉛直方向に直線的に延びる固定式の分級羽根を複数配して円環状に並べて配列するとともに、該固定式の分級羽根の下方に漏斗状のセンターコーンを配して、該円環状に並べて配列した固定式の分級羽根外周側部分が、センターコーン上部の内側に位置するように配設することにより、該固定式の分級羽根の外周側部分と、センターコーン上部との間に隙間を形成して、該固定式の分級羽根の外周側部分に衝突して落下した原料が、該隙間を介して、センターコーン内に落下することを特徴とした竪型粉砕機。
【0018】
(2)(1)に記載の竪型粉砕機において、前記円環状に並べて配列した固定式の分級羽根の下部に環状部材を配し、該環状部材からセンターコーンの上部に向かって外周側に放射状に延びる複数の支持部材を配することにより固定式の分級羽根の下部とセンターコーンを該支持部材を介して取り付けることによって、前記隙間を形成した。
【0019】
(3)(2)に記載の竪型粉砕機において、前記支持部材の上部が山形に形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、固定羽根を通過できずに落下する原料をセンターコーンを介して回転テーブル上に戻すことにより、機内を上昇するガスの流れを円滑にして、機内に滞留するだけで効率的に粉砕されてない滞留原料の量を減らして原料を効率良く粉砕する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係わり竪型粉砕機の全体構成を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係わり固定羽根とセンターコーンの配置を説明する図である。
図3】本発明の実施形態に係わりガスに搬送される原料の挙動を概念的に説明する図である。
図4】従来技術に係わり竪型粉砕機の構成を説明する図である。
図5】従来技術に係わり固定羽根とセンターコーンの配置を説明する図である。
図6】従来技術に係わりガスに搬送される原料の挙動を概念的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面等に基づき本発明の好ましい実施形態の1例を詳細に説明する。
図1から図3は本発明の実施形態に係わり、その好ましい例を示したものであって、図1は竪型粉砕機の全体構成を説明する図であり、図2は固定羽根とセンターコーンの配置を説明する図であり、図3はガスに搬送される原料の挙動を概念的に説明する図である。
なお、図4から図6は、従来技術に係り、図4は竪型粉砕機の全体構成を説明する図であり、図5は固定羽根とセンターコーンの配置を説明する図であり、図6はガスに搬送される原料の挙動を概念的に説明する図である。
【0023】
本発明の実施形態に係り、竪型粉砕機1の構成について、好ましい1例を説明する。
本実施形態に用いた竪型粉砕機1は、図1に示すように、竪型粉砕機1の外郭を形成する上部ケーシング1B、下部ケーシング1A、竪型粉砕機1の下部に設置された減速機2Bと駆動用のモータ2Mによって駆動される回転テーブル2、及び、回転テーブル2に従動して回転するコニカル型の粉砕ローラ3等を備えている。
また、図1に示した竪型粉砕機1は、駆動用のモータ2Mの電源として図示しないインバータ電源を備えており、運転中、回転テーブル2の回転速度が任意に変更可能な可変速式の竪型粉砕機1である。
【0024】
ここで、図1に示した竪型粉砕機1は、回転テーブル2の上方に、固定式分級機構として配された固定式の分級羽根である固定羽根14(ガイドベーン14と称することもある)が配されており、その内周側に、回転式分級機構として配された回転式の分級羽根である回転羽根13(回転ベーン13と称することもある)が配されている。
なお、後述するガス供給口33から上部取出口39に向かって上昇しながら流れるガス気流から考えると、前段の工程側(ガス気流の上流側)に固定羽根14が配され、後段の工程側(ガス気流の下流側)に回転羽根13が配される構成となっている。
【0025】
また、回転羽根13は、後述する原料投入シュート35Aの外周側に配された回転筒11に対して、切頭円錐形の回転コーン12や連結部材等によって固設されている。
そして、回転筒11は竪型粉砕機1の上部に設置された図示しない駆動モータにより駆動されて自在に回転する構成となっているので、回転羽根13は、回転筒11等を介して、竪型粉砕機1の上部に設置された図示しない駆動モータにより駆動されて自在に回転する構成となっている。
【0026】
ここで、固定羽根14の下部には、支持部材16等を介して、漏斗状(略逆切頭円錐状)のセンターコーン19(コーン19、或いは内部コーン19と称することもある)が取り付けられている。
図2に固定羽根14とセンターコーン19の取り付け状態を示す。
センターコーン19の上端外周部には取付リング17が取り付けられており、取付リング17に固設された支持部材16に対して、固定羽根14の下部を固定する環状部材14Aが取り付けられている。
ここで、本実施形態においては、図2(1)に示したように、固定羽根14の下部を固定する環状部材14Aから放射状に延びる支持部材16を介して、固定羽根14の下部と取付リング17を固設したことにより、センターコーン19の上端外周部と固定羽根14の外周側部分との間に一定間隔の距離を開けた状態として隙間を形成し、ポケット空間部18を形成した。詳細は後述するが、固定羽根14の外周側部分に衝突して落下した原料は、ポケット空間部18からセンターコーン19内に落下する構成となっている。
【0027】
なお、支持部材16は、図2(3)に示すように、山形鋼(アングル)を上向きに凸の状態で配するとともに、下側にサポートとして平板の鋼板を配したものであって、固定羽根14に衝突した原料が支持部材16上に落下したとしても、堆積などすることなく、ポケット空間部18に効率良く入っていくように構成されている。
【0028】
次に、図1に示した竪型粉砕機1は、回転テーブル2の下方にガスを導入するためのガス供給口としてガス供給口33を備え、又、回転テーブル上方にはガスと共に粉砕後の原料(製品)を取り出すことのできる上部取出口39を備えている。
そして、本実施形態においては、所謂、負圧型の竪型粉砕機1を使用しており、上部取出口39に接続された図示しない吸引ファンにより竪型粉砕機1の機内のガスを吸い込むことによって上部取出口39から粉砕後の原料をガスとともに取り出して製品とするとともに、ガス供給口33からガスを吸引して導入することにより、機内に供給する構成となっている。
【0029】
本実施形態による竪型粉砕機1は前述の構成により、運転中、ガス供給口33から導入されたガス(本実施形態においては熱空気)が、回転テーブル2の外周側にある環状通路30(環状空間部30と称することもある)を通過した後、上昇して、主にセンターコー19と上部ケーシング1Bの間の空間に流れながら、固定羽根14及び回転羽根13を通過して、上部取出口39へと流れる構成となっている。
【0030】
以下、竪型粉砕機1に備えた粉砕ローラ3の構成等について簡略に説明する。
本実施形態に使用した竪型粉砕機1の粉砕ローラ3は、回転テーブル2の上面に2個が配されて、回転テーブル2の方向に押圧されるよう構成されており、回転テーブル2が回転することにより、回転テーブル2に対して原料を介して従動して回転する。
また、本実施形態に使用した粉砕ローラ3は、スイングレバーに取り付けられて、下部ケーシング1Aに取り付けられた軸を中心として回動自在に軸支されており、スイングレバーのアームには油圧シリンダが取り付けられている。
なお、油圧シリンダには図示しない油圧ラインを介して油圧ユニットが接続されている。そして、本実施形態においては、油圧ユニットを作動させることによって油圧シリンダを作動させてアームを駆動することにより、スイングレバーを動かして粉砕ローラ3を所望する加圧力で回転テーブル2側に押し付けることができる構成となっている。
【0031】
以下、本実施形態による竪型粉砕機1の運転方法について、その好ましい1例を詳細に説明する。
竪型粉砕機1の運転開始時においては、上部取出口39に接続された図示しない吸引ファンを作動させることにより機内を負圧にすることによって、ガス供給口33から機内にガスを導入する。
次に、竪型粉砕機1の原料投入口35から原料(本実施形態においては被粉砕物であるセメントクリンカ)を投入する。原料投入口35から投入された原料は、原料投入シュート35Aを介して回転テーブル2の中央付近に投入されて、渦巻き状の軌跡を描きながら、回転テーブル2の外周側に移動する。そして、回転テーブル2の外周側に移動した原料は、回転テーブル2と粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕される。
回転テーブル2と粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕された原料は、回転テーブル2の外縁部に周設されたダムリング15を乗り越えて、回転テーブル上面2の外周部とケーシングとの隙間である環状通路30へと向かう。
【0032】
環状通路30に達した原料は、前述した上昇するガスの流れにより吹き上げられてケーシング内を上昇し、固定羽根14方向(原料の流れを図3のF0に示す)にガスとともに搬送される。
【0033】
ここで、本実施形態においては、固定羽根14まで到達しながら固定羽根14の外周部分等に衝突し通過できなかった原料(主に粗粒サイズの原料)について、ポケット空間部18の中に落下(原料の流れを図3のF1に示す)して、センターコーン19内に入ることにより、回転テーブル2の中央部分付近に供給され、回転テーブル2上で、再度、粉砕される。
【0034】
また、固定羽根14を通過して回転羽根13を通過できなかった原料(主に中粒サイズの原料)についても、センターコーン19上に落下(原料の流れを図3のF2に示す)して回転テーブル2上に供給され、再度、粉砕される。
そして、回転羽根13を通過した原料(主に細粒サイズの原料)は、上部取出口39からガスとともに製品として取り出される(原料の流れを図3のF3に示す)。
【0035】
本実施形態においては、前述した図6に示す従来技術と異なり、固定羽根14まで到達しながら固定羽根14の外周部分等に衝突し通過できなかった原料について、ポケット空間部18の中に落下してセンターコーン19内に入る構成となっている。
したがって、固定羽根14の外周部分等に衝突し通過できなかった原料が、落下途中に、センターコーン19と上部ケーシング1Bの間の空間を抜けて上昇してくる強いガスの気流に乗って、回転テーブル上に落下しないまま、吹き上げられてしまうという可能性は小さい。その結果、機内に滞留する原料の割合を従来技術より、減少させることが可能なので、不必要に多くの圧力損失が生じるという問題を抑制でき、ガスの流れに乱れが生じて、効率的な分級ができなくなってしまうという従来技術の問題を抑制することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上のように本発明による竪型粉砕機は、原料を効率良く微粉砕しなければならない竪型粉砕機に用いるに好適な技術である。
【符号の説明】
【0037】
1 竪型粉砕機
1A 下部ケーシング
1B 上部ケーシング
2 回転テーブル
3 粉砕ローラ
11 回転筒
12 回転コーン
13 回転羽根(回転ベーン)
14 固定羽根(ガイドベーン)
14A 環状部材
15 ダムリング
16 支持部材
17 取付リング
18 ポケット空間部(ポケット部)
19 センターコーン
30 環状通路
33 ガス供給口
35 原料投入口
35A 原料投入シュート
39 上部取出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6