(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本実施形態に係る光源装置を有する紫外線硬化装置10を備える枚葉印刷機1の模式図である。
本実施形態では、光源から紫外線を照射する光照射装置としての紫外線照射装置を、枚葉印刷機1に利用される紫外線硬化装置10として用いた例について説明する。
枚葉印刷機1は、
図1に示されるように、給紙装置2、印刷ユニット5、コーティングユニット6、及び排紙装置7により構成される。
当該枚葉印刷機1の基本構成は、特開2011−50909号公報に記載されているものと同様の構成であるので、詳細には説明しないが、給紙装置2は、給紙台3に準備された枚葉紙4を給紙し、印刷ユニット5では、所望の絵柄でインキ(活性化エネルギー線硬化型インキ)が枚葉紙4に印刷され、さらに、コーティングユニット6で、枚葉紙4にニス(活性化エネルギー線硬化型ニス)が印刷される。インキ及びニスを印刷された枚葉紙4は、コーティングユニット6から排紙装置7に送られる。
【0013】
排紙装置7は、排紙台8と、コーティングユニット6から送られてきた枚葉紙4を排紙台8まで搬送する搬送手段9と、排紙台8への搬送経路の所定箇所を通過する枚葉紙4に紫外線を照射して、枚葉紙4に印刷されているインキ及びニスを硬化させる紫外線硬化装置(紫外線照射装置)10とを備えている。
搬送手段9は、排紙台8の上部に設けられるスプロケット9aと、コーティングユニット6の枚葉紙4の送り口に対応する位置に設けられるスプロケット9bと、スプロケット9a,9bに巻きかけられてスプロケット9a,9bの回転に連動して循環する排紙チェーン9cとを備え、排紙チェーン9cの循環により、コーティングユニット6から送られてきた枚葉紙4が、排紙台8に搬送されるようになっている。
【0014】
排紙チェーン9cの循環経路は、一方のスプロケット9aから他方のスプロケット9bに向かって枚葉紙4を移動させる往路と、往路の下方に、往路との間に等間隔を保って延在する復路と、往路から復路または復路から往路に、スプロケット9a,9bの部位で反転される反転路とを有している。
排紙チェーン9cの循環経路は、一部の区間で往路及び復路が水平方向に対して傾斜され、他の区間で、往路及び復路が水平方向に延在されている。
枚葉紙4を咥えて、排紙チェーン9cの走行に連動させて枚葉紙4を搬送させるグリッパ9dが、排紙チェーン9cの循環経路に沿って設けられている。枚葉紙4は、インキ及びニスが印刷された面を循環経路の内側に向けて搬送される。
【0015】
紫外線硬化装置10は、排紙チェーン9cの循環経路の内側に配置され、循環経路の往路のうち、水平方向に対して傾斜する部位を移動する枚葉紙4のインキ及びニスの印刷面(照射面)に紫外線の照射口を向けて配置される。上方から、枚葉紙4の状態を監視する際、直接紫外線が監視者に照射されないので、監視者は、眩しさを感じずに、枚葉紙4の状況を監視しやすくなる。照射口からの紫外線が枚葉紙4に当てられることで、ニス及びインキが硬化される。また、グリッパ9dを設けるためのスペースが必要となることから、紫外線硬化装置10の照射口と枚葉紙4の照射面の間の照射距離が、比較的長い距離に設定されている。
なお、紫外線硬化装置10は、排紙チェーン9cの循環移動に連動して搬送される枚葉紙4に紫外線を照射するものとして説明したが、印刷ユニット5やコーティングユニット6を経由した直後の枚葉紙4に紫外線を照射する位置に設けてもよい。
【0016】
図2は紫外線硬化装置10を背面側から示す斜視図、
図3は紫外線硬化装置10を前面側から示す斜視図である。
図4は、紫外線硬化装置10を示す分解斜視図である。
図5は紫外線硬化装置10を示す縦断面図、
図6は紫外線硬化装置10を示す横断面図である。
図2〜
図6において、紫外線硬化装置10は、ライン状の紫外線を照射するライン光源装置として用いられ、ライン光源本体11と、ライン光源本体11の側部に設けられる中継ユニット60とを備えている。
ライン光源本体11は、一列に連結される複数(ここでは、11つ)の照射ユニット13からなる連結照射ユニット12と、連結照射ユニット12の周囲を囲んで、連結照射ユニット12を支持する支持枠14と、支持枠14の一端側の開口縁部に取り付けられる枠状の前面枠15と、支持枠14の他端の開口を覆うように取り付けられる背面カバー16とを備えている。
【0017】
各照射ユニット13は、その前面に光の照射口を有し、前面の外縁部を、支持枠14の一端側の開口側に支持されて、支持枠14内に収納される。
ガラス板17が、前面枠15に嵌められている。ガラス板17が支持枠14の開口を覆うように、前面枠15が、支持枠14の一端側の開口縁部に取り付けられている。
また、概略断面コ字状の背面カバー16が、連結照射ユニット12の背面を覆うように、その先端側を支持枠14の他端側に固定して設けられている。背面カバー16と連結照射ユニット12との間には、スペース18が形成されている。
【0018】
中継ユニット60は、支持枠14と一体に形成された筐体61、複数(ここでは9つ)の電源端子62、冷却媒体入口ポート63及び冷却媒体出口ポート64を備えている。
また、各照射ユニット13は、電気的に内外を接続するための端子台50を有している。
中継ユニット60は、ライン光源本体11の長手方向の一端に設けられている。なお、ライン光源本体11の長手方向は、光源装置20の配列方向に一致するものとする。
そして、電線(図示せず)が、中継ユニット60の電源端子62から延び、各照射ユニット13の端子台50に接続され、電源端子62から端子台50に電力を供給可能になっている。
【0019】
また、ライン光源本体11には、
図4に示すように、複数の照射ユニット13の列の一端部12aから他端部11bに亘って延在する2本のパイプ65,66が列状に配置した照射ユニット13を挟むように設けられている。パイプ65,66は、略角筒状に形成されるとともに、外側に支持枠14に沿って延在する固定面70,71が取り付けられており、固定面70,71が支持枠14の内側に固定されることで支持される。一方のパイプ65の一端部12a側には流入口65aが形成されてこの流入口65aに冷却媒体入口ポート63が接続され、他方のパイプ66の一端部12a側には排出口65aが形成されてこの排出口65bに冷却媒体出口ポート64が接続されている。これにより、冷却媒体入口ポート63に供給される冷却媒体(例えば、水)は、各照射ユニット13を経由して冷却媒体出口ポート64に戻るようになっている。これらの電線やパイプ65,66は、紫外線硬化装置10の外部に露出されることがないので、紫外線硬化装置10の意匠性が向上する。
【0020】
さらに、中継ユニット60は、気体導入ポート67を備えている。気体導入ポート67から気体(例えば、空気)を入れることで、ライン光源本体11の内圧が高まり、ライン光源本体11の隙間、例えば、支持枠14と前面枠15及び背面カバー16との隙間や、前面枠15とガラス板17との隙間から空気が排出される。これにより、パウダーやインキ、ニス、ゴミ等の異物がライン光源本体11内に侵入することが防止され、ガラス板17や、後述する照射ユニット13が備える光源32及び反射部材35A等、ライン光源本体11内の汚れを防止できる。また、本実施形態では、照射ユニット13毎にチューブを設けずにパイプ65,66を用いているため、ライン光源本体11内の空気が流れやすく、ライン光源本体11全体に亘って隙間から空気が排出されることとなり、異物の侵入を確実に防止できる。
【0021】
複数の照射ユニット13は、パイプ65,66上に載置されて、パイプ65,66に固定されている。このように、照射ユニット13をパイプ65,66上に載置して固定する構成とすることで、照射ユニット13を容易に組み付けすることができるとともに、照射ユニット13の自重により、照射ユニット13とパイプ65,66との密着性を向上させることができる。
【0022】
また、パイプ65,66は、例えばアルミ等の金属材によって、少なくとも複数の照射ユニット13の列の一端部12aから他端部12bに亘る長さに、本実施形態では、ライン光源本体11の長手方向に亘る長さに形成されて支持枠14に固定されている。したがって、パイプ65,66は、ライン光源本体11のフレームとしても機能しており、ライン光源本体11の剛性を向上させることができる。このように、冷却媒体入口ポート63及び冷却媒体出口ポート64と照射ユニット13とをパイプ65,66で連結することにより、例えば照射ユニット13毎にチューブを設ける必要がなくなるので、紫外線硬化装置10を小型化することができる。
【0023】
支持枠14には、支持枠14の長手方向に亘ってレール19が設けられている。このレール19を
図1に示す枚葉印刷機1に設けた枠(不図示)に挿入することで、紫外線硬化装置10が枚葉印刷機1に支持される。枚葉印刷機1においては、枚葉紙4の搬送経路の内側はスペースが限られているが、紫外線硬化装置10は、枚葉印刷機1に支持されると、中継ユニット60が枚葉紙4の搬送経路の外側に位置するように構成されている。上述したように、電源端子62、冷却媒体入口ポート63、冷却媒体出口ポート64及び気体導入ポート67を中継ユニット60に設けることで、枚葉紙4の搬送経路の内側にライン光源本体11のスペースを十分に確保することができる。
【0024】
なお、本実施形態では、
図5に示すように、電源端子62が筐体61の背面60b(筐体61の背面開口を覆うカバー61A)に、冷却媒体入口ポート63、冷却媒体出口ポート64及び気体導入ポート67が筐体61の前面60aに設けられており、気体導入ポート67は電源端子62に対面する位置に配置されている。しかしながら、これら電源端子62、冷却媒体入口ポート63、冷却媒体出口ポート64及び気体導入ポート67の配置は、これに限定されるものではなく、任意に変更可能である。
【0025】
図7は照射ユニット13を背面側から示す斜視図、
図8は照射ユニット13を前面側から示す斜視図、
図9は照射ユニット13を示す分解斜視図である。
図10は、光源装置20を前面側から示す斜視図である。
図11は、複数の光源チップ34の支持基部22Aへの取り付け状態を示す要部正面図である。
図7〜
図9において、照射ユニット13のそれぞれは、第1〜第3光源ユニット30A〜30Cからなる光源装置20と、光源装置20を冷却する冷却ジャケット40と、冷却ジャケット40に取り付けられて、光源装置20への電源入力部となる前述の端子台50とを備えている。また、各照射ユニット13は、ライン光源本体11(
図4)の長手方向の両側にアルミを材料とする補助反射板55を備えている。
【0026】
図8〜
図11において、第1光源ユニット30Aは、後述する冷却ジャケット40の受熱面41aに設けられる支持基部22Aと、支持基部22Aにアルミ基板(デバイス基板)31を介して取り付けられ、それぞれ複数のLED発光素子(発光点)33a,33bを含む光源32を有する光源チップ34(発光素子デバイス)と、光源チップ34を挟んで対向する一対の反射部材35Aと、光源チップ34に対面し、反射部材35Aに挟まれて配置されるレンズ36と、を備えている。
支持基部22Aは、例えば、熱伝導性に優れる金属により作製される。支持基部22Aは、受熱面41aに押し付けられる放熱面23a、及び放熱面23aに対面する取付面24aを有している。
【0027】
また、光源チップ34は、ここでは、2行2列で配置された4つのLED発光素子を有している。
図11に示されるように、4つのLED発光素子のうち、一行目に配置される2つのLED発光素子をLED発光素子33aとし、2行目に配置される2つのLED発光素子をLED発光素子33bとする。各LED発光素子33a,33bは、光源32の発光点をそれぞれ構成している。また、隣接するLED発光素子33aとLED発光素子33bの間のピッチ間距離Paは例えば、0.75mmとなっている。さらに、光源チップ34間の距離Pbは、7.5mmに設定されている。各光源32は、複数のLED発光素子33a,33bから放射される光を、一つの放射面から放出されていると見なせるものをいう。
【0028】
反射部材35Aは、
図10に示すように、所定の長さ及び所定の高さを有している。反射部材35Aの高さ方向の一端面は、冷却ジャケット40の受熱面41aに支持される底面を構成し、反射部材35Aには、高さ方向の他端(先端)から略底面に至る反射面37が、長手方向の全域に亘って形成されている。そして、光源32は、反射部材35Aの高さ方向に直交する面に向けて、すなわち、対向配置される一対の反射部材35Aの先端が形成する開口38に向けて配置されている。
反射面37は、後述するように、光源32に含まれる複数のLED発光素子33a,33bごとに、LED発光素子33a,33bからの光を同一の集光点に集光させるための曲率を有している。すなわち、LED発光素子33a側の反射部材35Aは反射面37がLED発光素子33aの光を集光点Fに集光する位置に配置され、LED発光素子33b側の反射部材35Aは反射面37がLED発光素子33bの光を集光点Fに集光する位置に配置され、それぞれが、同一の曲率半径を有している。
【0029】
レンズ36は、円柱状の光学素子の両側を斜めにカットして形成されており、両側に傾斜面であるカット面36aを有している。レンズ36の入射面39aは反射部材35Aの先端に入射しない光を透過する大きさに形成され、レンズ36の出射面39bは入射面39aから入射した光を出射させる大きさに形成されている。本実施形態では、レンズ36は、その両端が補助反射板55に形成したレンズ支持孔55aに嵌め合わされて支持される。但し、レンズ36の補助反射板55への固定はこれに限定されるものではない。
【0030】
第2光源ユニット30Bは、支持基部22B、支持基部22Bに取り付けられる光源32、及び反射部材35Bを備えている。
支持基部22Bは、支持基部22Aと同じ長さの長尺体であり、冷却ジャケット40に支持される放熱面23b、放熱面23bとの間に所定の角度を形成する取付面24bを有している。支持基部22Bは、断面直角台形状に形成され、斜辺により表される面が取付面24bとなっている以外は、支持基部22Aと同様に構成されている。
反射部材35Bの反射面37は、LED発光素子33aの光を集光する第1反射面37aと、LED発光素子33bの光を集光する第2反射面37bとを備え、それぞれが、異なる曲率半径を有している。第1及び第2反射面37a,37bは、反射部材35Bの基端から先端にかけて交互に配置されている。反射部材35Bは、反射面37に形成される2つの第1及び第2反射面37a,37bの曲率が、反射部材35Aの反射面37の曲率と異なる点を除いて、反射部材35Aと同様の構成を有している。
また、第3光源ユニット30Cの構成は、第2光源ユニット30Bの構成と同様である。
【0031】
第1〜第3光源ユニット30A〜30Cの支持基部22A,22Bは一体に形成されて放熱器22を構成しており、放熱器22は第1〜第3光源ユニット30A〜30Cの光源32の熱を冷却ジャケット40に伝達する。本実施形態では、放熱器22を熱伝導性に優れ、かつ、軽量である金属(例えば、アルミ)で形成しており、照射ユニット13の軽量化を図っている。
【0032】
次いで、冷却ジャケット40について説明する。
図12は、冷却ジャケット40及びパイプ65,66を示す分解斜視図である。
図13は、冷却ジャケット本体41を示す平面図である。
図12及び
図13において、冷却ジャケット40は、熱伝導性に優れる金属を材料として作製されている。冷却ジャケット40は、冷却ジャケット本体41と、冷却ジャケット本体41を塞口する蓋部45とを備えている。冷却ジャケット本体41は、矩形形状の外形で、かつ所定の厚みの板形状を有している。厚み方向の一面側が、上述の支持基部22A,22B(
図10)を支持する受熱面41aとして構成されている。冷却ジャケット本体41の厚み方向の他面側には、長手方向の両端のそれぞれに、短手方向に延びる中継凹部42が形成されている。また、一対の中継凹部42の間を接続する複数の溝43が、冷却ジャケット本体41の長手方向に平行に形成されている。これらの中継凹部42及び溝43が照射ユニット13の流路を形成している。一方の中継凹部42には、少なくとも1つ(本実施形態では、2つ)供給孔44aが設けられている。また、他方の中継凹部42には、少なくとも1つ(本実施形態では、2つ)排出孔44bが設けられている。
供給孔44aの断面積は、複数の溝43と蓋部45とにより構成される複数の流路の断面積を足した値に等しくなっている。排出孔44bの断面積は、供給孔44aの断面積と同じに設定されているが、排出孔44bの断面積は、供給孔44aの断面積以上に設定されていればよい。
【0033】
蓋部45は、中継凹部42及び溝43の開口を閉塞するように、冷却ジャケット本体41に一体化される。溝43と蓋部45により、一方の中継凹部42から他方の中継凹部42に至る直線状の流路が複数形成される。冷却ジャケット本体41の縁部には、防水用溝46が形成されており、この溝46に不図示の防水パッキン(例えば、シリコン製のシール部材)が配置される。防水パッキンは、蓋部45が冷却ジャケット本体41に固定される際に、下面が平面に形成された蓋部45によって押圧変形されて冷却ジャケット本体41と蓋部45との間を水密にシールし、これにより、照射ユニット13の流路が防水される。
【0034】
一方のパイプ65には、
図12に示すように、供給孔44aに対応する位置に供給孔44aを接続する接続口68が設けられている。同様に、パイプ66にも、排出孔44bに対応する位置に排出孔44bを接続する接続口69が設けられている。
図6に示すように、照射ユニット13がパイプ65,66に載置されると、冷却ジャケット40の供給孔44a及び排出孔44bがパイプ65の接続口68,69に接続される。これにより、加圧された冷却媒体を、冷却媒体入口ポート63に供給することで、冷却媒体が、パイプ65から冷却ジャケット40に供給され、パイプ65を通って、冷却媒体出口ポート64から排水されるように、冷却媒体を循環させることが可能になっている。供給孔44a及び排出孔44bと接続口68,69とはO−リングを介して水密に接続されている。冷却媒体が冷却ジャケット40を経由しつつ循環することで、冷却媒体とLED発光素子33aとの間で熱交換が行われて、光源32が冷却される。
【0035】
上述したように、供給孔44aの断面積は、複数の溝43と蓋部45とにより構成される複数の水路(流路)の断面積を足した値に等しくなっている。ここで、複数の流路の断面積を足した値が、小さすぎると流路を流れる水の量が少なくなって冷却効果が下がり、複数の流路の断面積を足した値が、大きすぎると、流路を流れる水の速度が遅くなって冷却効果が下がる。冷却媒体の流路の断面積を本願のように設定することで、効果的に光源32の熱を放熱できる。
【0036】
ここで、複数の照射ユニット13においては、冷却媒体入口ポート63から照射ユニット13までの冷却媒体の流路長が異なることから、冷却媒体の流量が異なるので、そのままでは複数の照射ユニット13を均一に冷却することができない。
そこで、接続口68,69の径の大きさを、一端部12aの冷却媒体入口ポート63から遠くなるほど大きくすることで、複数の照射ユニット13において流路抵抗を略同一にする構成としている。したがって、複数の照射ユニット13の流量を略均一できるので、複数の照射ユニット13を略均一に冷却できる。これにより、紫外線硬化装置10全体の冷却効率を向上できるので、冷却ジャケット40を熱伝導率が比較的低い材料で形成しても照射ユニット13を十分に冷却できる。すなわち、冷却ジャケット40を軽量の材料(例えば、プラスチック)で形成できるので、照射ユニット13をさらに軽量化できる。
【0037】
なお、接続口68,69の径の大きさは、徐々に大きくしてもよいし、段階的に大きくしてもよい。また、例えば、照射ユニット13の数が少ない場合等により、冷却媒体入口ポート63から各照射ユニット13までの冷却媒体の流路長の差による流量抵抗が無視できるようであれば、各照射ユニット13の接続口68,69を同一の大きさに形成してもよい。
また、本実施形態では、冷却媒体入口ポート63から最遠の照射ユニット13において、接続口68,69の径の大きさを、供給孔44aと同じ大きさになるように、接続口68,69の径の大きさが設定されているが、これに限定されない。
また、本実施形態では、入口側のパイプ65と出口側のパイプ66において接続口68,69の径の大きさを等しくしている。これにより、接続口68,69の部品を共通化できるので、紫外線硬化装置10の組み立てが容易になるとともに、紫外線硬化装置10のコストを削減できる。接続口68,69の径の大きさは異なっていてもよい。また、出口側のパイプ65の接続口68,69の径の大きさを冷却媒体入口ポート63から遠くなるほど大きくするようにしてもよい。
【0038】
次いで、ライン光源本体11の組み立て構造について説明する。
第1光源ユニット30Aについて説明する。
図9において、第1光源ユニット30Aの支持基部22Aが、冷却ジャケット本体41の受熱面41aに、放熱面23aを接触させ、冷却ジャケット40の短手方向に延在するように冷却ジャケット40に取り付けられている。なお、支持基部22Aには、冷却ジャケット40の長手方向に、受熱面41aに沿って延びるフランジ部が、一体に設けられている。
取付面24aには、アルミ基板31が設けられ、
図11に示されるように、アルミ基板31には、光源チップ34が、支持基部22Aの長手方向に連なるように設けられている。
各光源32では、1行目の2つのLED発光素子33aが、支持基部22Aの長手方向に並べられ、また、2行目のLED発光素子33bも、支持基部22Aの長手方向に並べられている。また、複数の光源チップ34は、支持基部22Aの長手方向に連なるので、各光源32のLED発光素子33aは、ライン状に配置される。また、各光源32のLED発光素子33bも同様にライン状に配置される。
【0039】
また、
図9に示すように、一対の反射部材35Aが、その長手方向を支持基部22Aの長手方向に一致させるとともに、それぞれの反射面37が対向するように、底面を受熱面41aに固定されている。
【0040】
さらに、第2及び第3光源ユニット30B,30Cが、第1及び第2光源ユニット30A,30Bを介して互いに対面するように、冷却ジャケット40の受熱面41a上に設けられている。
ここでは、第2光源ユニット30Bの反射部材35Bが、第1光源ユニット30Aの反射部材35Aと前後に配置されている。なお、第2光源ユニット30Bの反射部材35Bと第1光源ユニット30Aの反射部材35Aとが前後に配置されるとは、第2光源ユニット30Bの反射部材35Bの反射面37と、第1光源ユニット30Aの反射部材35Aの反射面37とが同じ方向を臨むように配置されるものをいう。このとき、反射部材35A,35Bの反射面37の先端は、同じ高さ位置にあり、後ろに配置される第2光源ユニット30Bの反射面37からの反射光が、前に配置される第1光源ユニット30Aの反射部材35Aに遮られない位置関係にある。
【0041】
具体的には、第2光源ユニット30Bは、支持基部22Bを支持基部22Aに平行に配置される。取付面24bには、アルミ基板31が設けられ、アルミ基板31には、第1光源ユニット30Aのものと同様に、光源チップ34が、支持基部22Bの長手方向に連なるように設けられている。ここで取付面24bは放熱面23bに対して傾斜して設けられているため、2行目のLED発光素子33bは1行目のLED発光素子33aより支持基部22Aの基端側に位置する。
また、反射部材35Bが、反射面37を光源32に対面させて立設され、その底面を、支持基部22Bから延びるフランジ部を介して受熱面41aに固定されている。このとき、光源32から照射される光は、ほとんどが反射部材35Bで反射されるように、反射部材35Bと光源32の位置関係が設定されている。
以上のように複数の光源チップ34、及び反射部材35Bを配置することで、第2光源ユニット30Bでも、複数の光源チップ34の光源32が、ライン状に配列される。
【0042】
さらに、第3光源ユニット30Cが、第1光源ユニット30Aとの位置関係が、第2光源ユニット30Bと第1光源ユニット30Aの位置関係に対応するように、第1光源ユニット30Aと前後に配置されている。これにより、第3光源ユニット30Cでも、光源32がライン状に配列される。
第1光源ユニット30Aのレンズ36は、対向する反射部材35Aに挟まれるように、補助反射板55に支持され、補助反射板55は反射部材35A,35Bに固定される。
【0043】
また、光源装置20が受熱面41aに取り付けられた冷却ジャケット40には、蓋部45の一面の中央部に、端子台50(図示せず)が設けられている。蓋部45の他面が、溝43を形成する冷却ジャケット本体41の壁の端面に支持される。
以上のように、各照射ユニット13が組み立てられる。
また、
図4に示されるように、照射ユニット13を、支持枠14に固定したパイプ65に支持し、ガラス板17及び前面枠15を支持枠14の一端に取り付け、背面カバー16を支持枠14の他端に取り付けることで、ライン光源本体11が得られる。
さらに、ライン光源本体11の側部に中継ユニット60を設けるとともにライン光源本体11にレール19を取り付けることで、紫外線硬化装置10が得られる。
【0044】
以下、光源ユニット30Aによる集光について説明する。
図14は、光源装置20の集光について説明する図である。
図14において、第1光源ユニット30Aの各光源32から放射される光のうち、反射部材35Aで反射されない光が、ほとんどレンズ36を透過するように、レンズ36が対向する反射部材35A間に配置されている。一対の反射部材35Aの反射面37は同一の曲率の楕円反射面であり、LED発光素子33a,33bからの光を集光点Fに向けて反射する曲率を有する。なお、集光点Fは、反射部材35の高さ方向に関し、反射部材35Aの先端との間に所定の照射距離WDだけ離れた位置に設定されている。
即ち、LED発光素子33a側の反射面37の第1焦点にLED発光素子33aが配置され、LED発光素子33a側の反射面37の第2焦点が集光点Fとなる。また、LED発光素子33b側の反射面37の第1焦点にLED発光素子33bが配置され、LED発光素子33b側の反射面37の第2焦点が、反射面37の第2焦点と共通に設定されて、集光点Fとなる。
【0045】
第2及び第3光源ユニット30B,30Cの第1反射面37a及び第2反射面37bは、それぞれ異なる曲率の楕円反射面であり、第1反射面37aが、各光源32の1列目のLED発光素子33aからの光を集光点Fに向けて反射する曲率を有し、第2反射面37bが各光源32の2列目のLED発光素子33bからの光を集光点Fに向けて反射する曲率を有する。
即ち、第1反射面37aの第1焦点にLED発光素子33aが配置され、第1反射面37aの第2焦点が集光点Fとなる。また、第2反射面37bの第1焦点にLED発光素子33bが配置され、第2反射面37bの第2焦点が、第1反射面37aの第2焦点と共通に設定されて、集光点Fとなる。
【0046】
LED発光素子33a,33bのピッチ間距離がある場合、LED発光素子33a,33bごとの光を、同じ曲率の反射面で反射させても同一の集光点に集光されない。そこで、各LED発光素子33a,33bごとの放射光を同一の集光点Fに集光させるように、第1反射面37aと第2反射面37bの曲率が、異なる値にそれぞれ設定されている。
各光源32のLED発光素子33a,33bのピッチ間距離Paに応じて、第1及び第2反射面37a,37bの曲率を設定しているものの、光源32から第1及び第2反射面37a,37bの所定部位までの距離は、第1及び第2反射面37a,37bの位置によって異なる。
反射面37の先端から基端に向かって、反射面37の位置を連続して移動させた場合の、反射面37と光源32との間の距離は、連続して変化する。このため、第1及び第2反射面37a,37bのそれぞれにより反射された光束は、照射面Dでは、所定の広がりを有し、また、照射面Dにおける照度(分布)は一律とならず連続して変化する。なお、照射面Dは、集光点Fを含み、反射部材35Aの高さ方向に直交する面である。
そこで、LED発光素子33a,33bごとの放射光を同一の集光点Fに集光させるとは、次のものをいう。即ち、各LED発光素子33a,33bの放射光が、対応する第1及び第2反射面37a,37bで反射された後、放射光の各々の光軸が、照射面Dの同一の集光点Fで交わるように、各LED発光素子33a,33bの放射光を集光させるものをいう。つまり、各LED発光素子33a,33bから直接放射される光は、互いの光軸を略平行にして反射面37に向かうことになるが、第1及び第2反射面37a,37bは、対応するLED発光素子33a,33bの放射光を、光軸が照射面Dの同一の集光点Fに集まるように反射させて集光させる曲率を有している。
従って、光源装置20では、集光点Fでの光のピーク強度が効果的に増大される。
【0047】
次に、照射ユニット13の構成の作用について説明する。
本実施形態では、第1光源ユニット30Aが、光源32と、対向配置され、光源32の光を反射して照射面の集光点Fに集光させる一対の反射部材35Aと、光源32の直接光を透過して集光点Fに集光させるレンズ36とを有する構成とした。この構成により、反射部材35Aで反射されずに照射面に向かう光が、レンズ36によって集光されるので、集光点Fでの光強度を増強させることができる。したがって、例えば、反射部材35A及び第1光源ユニット30Aの両側に配置する第2及び第3光源ユニット30B,30Cの反射部材35Bの大きさ(例えば、高さ)を小さくしたり、光源ユニット30A〜30Cの間の配列間隔を短くしたりすることも可能となる。
また、レンズ36を用いることにより、反射部材35Aの高さを抑えることができる。したがって、反射部材35Bを反射部材35Aに寄せて配置しても、反射部材35Bからの反射光が反射部材35Aに遮られることがない。各光源ユニット30B,30Cからの光を最大限に集光点Fに集めることができる。
このように、反射部材35A,35Bの高さ、及び反射部材35A,35Bの配列間隔を短くできるので、照射ユニット13を小型化でき、ひいては、紫外線硬化装置10を小型化できる。また、第2及び第3光源ユニット30B,30Cの設置幅を抑えることで、余裕のできた設置スペースに、第2及び第3光源ユニット30B,30Cと同種の光源ユニットを追加配置し、集光点Fでの光の強度(照度、光量)を更に増大させることができる。
また、紫外線硬化型の枚葉印刷機1において、本願のコンパクトで集光力の高い紫外線硬化装置10を用いることで、枚葉印刷機1の限りある設置スペースの中に紫外線硬化装置10を効果的に設置でき、枚葉紙4に印刷されたニス及びインキを硬化するのに必要な紫外線の十分な強度を確保できる。
【0048】
また、本実施形態では、第1光源ユニット30Aの光源32は、対向配置される一対の反射部材35Aの開口38に向けて配置する構成とした。この構成により、レンズ36を透過する光が多くなるので、例えば第1光源ユニット30Aの光源32を反射部材35Aに対面して配置する場合に比べ、反射部材35Aの高さを低くできる。また、第1光源ユニット30Aの支持基部22Aを、第2及び第3光源ユニット30B,30Cの支持基部22Bのように台形ではなく、板状に形成すればいいので、放熱器22を軽量化でき、部材コストを削減できる。
また、第2及び第3光源ユニット30B,30Cの光源32は、当該第2及び第3光源ユニット30B,30Cの反射部材35Bに対面して配置する構成とした。この構成により、例えば、第2及び第3光源ユニット30B,30Cの光源32を反射部材35Bの高さ方向に直交させて配置する場合に比べ、第2及び第3光源ユニット30B,30Cの幅を小さくできる。
【0049】
また、本実施形態では、第2及び第3光源ユニット30B,30Cの光源32を複数列に配置し、第2及び第3光源ユニット30B,30Cの反射部材35Bは、光源32の列毎に対応する第1及び第2反射面37a,37bを備える構成とした。この構成により、集光点Fに向けて有効に反射される光が多くなり、集光点Fでの光強度を増強できる。また、集光点Fでの光強度の増強により、光源ユニット30A〜30Cの間の配列間隔を短くすることができ、照射ユニット13を小型化できる。
【0050】
また、本実施形態では、反射部材35Bの基端から先端にかけて、列毎に対応する第1及び第2反射面37a,37bを交互に配置する構成とした。この構成により、比較的光量が多い、反射部材35Bの基端部で反射される光を集光点Fに集光できるので、集光点Fでの光強度を増強できる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数の照射ユニット13をパイプ65,66で接続したため、照射ユニット13毎にチューブを設ける必要がなくなり、紫外線硬化装置10を小型化できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、パイプ65,66と各照射ユニット13の流路とを接続口68,69によって接続し、接続口68,69を一端部12a側よりも流入口65a及び流出口66aを形成した他端部12b側で大きくしたため、複数の照射ユニット13おいて流路抵抗を略同一として、複数の照射ユニット13を略均一に冷却できる。
【0053】
また、本実施形態によれば、大きさの異なる接続口68,69をパイプ65,66に設けたため、照射ユニット13を共通化することができるので、照射ユニット13のコストを削減できる。また、共通化によって照射ユニット13の種類を1つにすることができるので、照射ユニット13の取り扱い性が向上するとともに、照射ユニット13を容易に組み立てできる。
【0054】
また、本実施形態によれば、パイプ65,66に照射ユニット13を支持したため、照射ユニット13を組み付けする自由度を向上できる。また、閉断面の比較的剛性の高いパイプ65,66に照射ユニット13を支持するので、照射ユニット13を堅固に固定できる。例えば、支持枠14に照射ユニット13を固定する場合に比べ、支持枠14を薄く形成できるので、紫外線硬化装置10を軽量化できる。
【0055】
また、本実施形態によれば、複数の照射ユニット13の流路の大きさを略同一に形成したため、照射ユニット13を共通化することができるので、照射ユニット13のコストを削減できる。また、共通化によって照射ユニット13の種類を1つにすることができるので、照射ユニット13の取り扱い性が向上するとともに、照射ユニット13を容易に組み立てできる。
【0056】
但し、上述の実施形態は本発明の一態様であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、上述した実施形態では、光源32は、2行2列に配列された4つのLED発光素子33aを含むものとして説明したが、光源32はこのものによらず、発光点としてのLED発光素子33aを複数含むものであればよい。この場合でも、反射部材35A,35Bの反射面37を、同列位置に配置されるLED発光素子33aごとに、LED発光素子33aからの光を所定の集光点Fに集光させる曲率を有するものを用いればよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、LED発光素子33aは、紫外線を放射するものとして説明したが、このものに限定されず、赤外光や可視光を放射するものでもよい。
例えば、LED発光素子から赤外光を照射させるものは、例えば、フィルム製造の分野に用いることができる。
ここで、フィルム製造の分野では、フィルムの表面に赤外光を照射して、フィルムを加熱する集光型のハロゲンヒータを用いることが知られている。ハロゲンヒータは、ハロゲンランプと、ハロゲンランプからの光を反射させて、楕円面鏡における赤外光の照射口から所定の照射距離だけ離れた焦点に集光させる楕円面鏡とを備えている。例えば、ハロゲンヒータは、巻胴から引き出されるフィルムの表面に、楕円面鏡の焦点位置を合わせて配置されて、焦点に集光させた赤外光によりフィルムを加熱するものである。
本実施形態の光源ユニット30A〜30Cや、光源ユニット30A〜30Cを有する光源装置20において、紫外線を放射するLED発光素子33a,33bに代え、赤外光を放射するものを用いたものを、上記のハロゲンヒータに代えて利用することができる。
【0058】
また、上述した実施形態では、発光素子の一例として、LED発光素子33a,33bを例示したが、これに限らず、任意の発光素子を光源に用いることができる。