【実施例】
【0027】
(実施例1)
上記コネクタ用端子金具の実施例について、
図1〜
図5を用いて説明する。
図1に示すように、コネクタ用端子金具1は、凹部22を備えたハウジング21を有するコネクタ2に用いられ、ハウジング21を貫通して配設されている。
【0028】
コネクタ用端子金具1は、
図1及び
図2に示すように、ハウジング21の凹部22内に配置される端子接続部11及びハウジング21の外部に配置されるはんだ付け部12を一体的に備えている。また、コネクタ用端子金具1は、
図3に示すように銅または銅合金を基材14として形成され、かつ、
図2及び
図3に示すように、はんだ付け部12近傍のみが防錆剤16により被覆されている。
【0029】
コネクタ2のハウジング21には種々の形状のものがあるが、本例のハウジング21は、
図1に示すように略直方体状を呈しており、コネクタ用端子金具1が貫通する底壁部211と、底壁部211の外周縁部から立設された側壁部212とを有している。そして、底壁部211及び側壁部212により囲まれた空間が凹部22を構成している。
【0030】
コネクタ用端子金具1は、
図2に示すように略棒状を呈しており、その一端に端子接続部11を有し、他端にはんだ付け部12を有している。本例のコネクタ用端子金具1は、例えば
図1に示すように、凹部22内に端子接続部11を配するとともに、端子接続部11を基端として底壁部211へ向けて延設される。また、コネクタ用端子金具1は、底壁部211を貫通してハウジング21の外方へ突出し、底壁部211とはんだ付け部12との間において、コネクタ用端子金具1の長手方向と直角方向に屈曲される。すなわち、本例のコネクタ用端子金具1は、コネクタ2に配設された状態において、
図1に示すように、端子接続部11とはんだ付け部12とが互いに直角方向となるように屈曲されて用いられる。
【0031】
また、本例のコネクタ用端子金具1は、
図3に示すように、銅または銅合金よりなる基材14の両面にSnめっき膜15を有している。一方、コネクタ用端子金具1の切断面(外周側面)は、銅または銅合金よりなる基材が露出した状態となっている。そして、はんだ付け部12及びその近傍のみ、すなわち、本例においては屈曲部13(
図1参照)よりも長手方向におけるはんだ付け部12側のみが、防錆剤16により被覆されている。
【0032】
本例においては、防錆剤16として1,2,3−ベンゾトリアゾールを用いた。なお、1,2,3−ベンゾトリアゾールの沸点は204℃である。
【0033】
このように形成されたコネクタ2は、
図1に示すように、はんだ付け部12を基板3に形成されたスルーホール31等に挿入すると共にはんだ接合を行うことにより、基板3上の回路と電気的に接続される。
【0034】
次に、本例のコネクタ用端子金具1の製造方法の一例について説明する。まず、金属板100にプレス加工を施し、
図4に示すように、端子接続部11及びはんだ付け部12を一体的に有する複数の端子金具部101と、隣り合う端子金具部101を互いに接続するキャリア部102とを形成する工程を実施する。端子金具部101を形成した後、
図5に示すように、はんだ付け部12近傍のみに防錆剤16を被覆させる工程を実施する。その後、端子金具部101からキャリア部102を切り離す工程を実施することにより、
図2に示すコネクタ用端子金具1を製造することができる。
【0035】
本例においては、予め銅板または銅合金板の両面にSnめっきが施されたコイル材を素材として用い、コネクタ用端子金具1を作製した。また、防錆剤16を被覆させる工程においては、1,2,3−ベンゾトリアゾールを含有する処理液160を予め準備するとともに、
図5に示すように、はんだ付け部12近傍のみを処理液160に浸漬した。その後、はんだ付け部12近傍を乾燥させ、はんだ付け部12近傍に防錆剤16を被覆させた。
【0036】
なお、プレス加工を施す工程と防錆剤16を被覆させる工程との間に、必要に応じてプレス加工における加工油を洗浄する工程を実施してもよい。
【0037】
次に、本例の作用効果を説明する。
図2及び
図3に示すように、コネクタ用端子金具1は、端子接続部11とはんだ付け部12とを一体的に有すると共に、はんだ付け部12近傍のみが防錆剤16により被覆されている。そのため、コネクタ用端子金具1へのめっきを省略することができ、コネクタ2全体の製造コストを容易に低減することができる。
【0038】
また、端子接続部11には防錆剤16が被覆されていないため、防錆剤16に起因する接続不良等の問題を抑制することができる。
【0039】
また、コネクタ用端子金具1は、銅または銅合金よりなる基材14の切断面以外の両面にSnめっき膜15を有している。そのため、コネクタ2全体の製造コストを低減させつつ、コネクタ用端子金具に求められる本来の電気接点としての特性を長期間良好に維持することができる。
【0040】
また、防錆剤16は、ベンゾトリアゾール系化合物である。そのため、はんだ接合の信頼性をより容易に向上させることができる。
【0041】
また、防錆剤16は、沸点が250℃以下である。そのため、はんだ接合の信頼性をより向上させることができる。
【0042】
また、コネクタ用端子金具1の製造方法によれば、コネクタ用端子金具1の生産性を容易に向上させることができるため、コネクタ2全体の製造コストを容易に低減することができる。それ故、上記製造方法を用いることにより、コネクタ2をより安価に製造することができる。
【0043】
また、防錆剤16をはんだ付け部12近傍に塗布する工程において、防錆剤16を含有する処理液160を予め準備し、はんだ付け部12近傍のみを処理液160に浸漬することにより防錆剤16を被覆させる方法を用いている。そのため、防錆剤16が端子接続部11等の意図しない部分に付着することを防止し、得られるコネクタ2の品質をより安定させることができる。
【0044】
以上のように、上記コネクタ2は、性能を損なうことなく安価に製造することができるものとなる。
【0045】
(実施例2)
本例は、防錆剤16をはんだ付け部12近傍のみに被覆させたコネクタ用端子金具1のはんだ濡れ性を評価した例である。以下に、評価方法を説明する。
【0046】
測定に用いる試料としては、実施例1の方法により作製したコネクタ用端子金具1(試料1)と、はんだ付け部12近傍に防錆剤16を被覆させない以外は実施例1と同様に作製したコネクタ用端子金具1(試料2)との2種類を用いた。はんだ濡れ性の評価を行う前に、試料1及び試料2を高温高湿槽に投入し、温度85℃、相対湿度85%RHの環境下に48時間おいて酸化膜の形成を促進させた。
【0047】
また、はんだ濡れ性の評価にはメニスコグラフ法を用い、はんだ濡れ性の指標としてゼロクロスタイムを用いた。ゼロクロスタイムの値が小さいほどはんだ濡れ性が良好であることを示す。すなわち、ゼロクロスタイムが小さい試料ほどはんだ付け部12の酸化が進んでいないことを示す。なお、メニスコグラフ法に使用するはんだはSn−3Ag−0.5Cuの組成を有する無鉛はんだとし、活性タイプのフラックスを併用した。また、はんだの温度は250℃とした。
【0048】
以上の条件にてはんだ濡れ性の評価を行い、試料1及び試料2の各々についてゼロクロスタイムを測定した。試料1のゼロクロスタイムを複数回測定したところ、ゼロクロスタイムの最大値が0.85秒となり、最小値が0.70秒となった。また、測定の平均値は0.80秒であった。
【0049】
一方、試料2のゼロクロスタイムを複数回測定したところ、ゼロクロスタイムの最大値が1.21秒となり、最小値が0.97秒となった。また、測定の平均値は1.10秒であった。
【0050】
以上の評価から知られるように、はんだ付け部12が防錆剤16により被覆された試料1は、防錆剤16により被覆されていない試料2に比べて酸化が進んでおらず、はんだ濡れ性が良好であった。このように、はんだ付け部12に防錆剤16を被覆させることにより、はんだ付け部12への酸化膜の形成を抑制できる。