特許第6221562号(P6221562)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221562
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】車両用情報提示装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20171023BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20171023BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20171023BHJP
【FI】
   G08G1/16 D
   B60R21/00 626C
   B60R21/00 628B
   G06T19/00 600
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-198196(P2013-198196)
(22)【出願日】2013年9月25日
(65)【公開番号】特開2015-64750(P2015-64750A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 牧子
【審査官】 田中 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−249811(JP,A)
【文献】 特開2007−333502(JP,A)
【文献】 特開2009−037457(JP,A)
【文献】 特開2011−113385(JP,A)
【文献】 特開2009−070243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
B60R 21/00 − 21/13
B60R 21/34
G06T 1/00
G06T 11/60 − 13/80
G06T 17/05
G06T 19/00 − 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差点に近付くように自車走行車線内を走行する自車両の位置を測位する測位部と、
前記交差点で前記自車走行車線と交差する他車走行車線を移動して、前記交差点に接近する障害物の少なくとも位置情報を含む移動障害物情報を取得する移動障害物情報取得部と、
前記自車両と前記障害物とが交差点で交錯すると判断される所定のタイミングで、前記自車両から前方を見る視点から、前記自車両の前方から自車両と前記障害物との双方を見ることができる前記自車両から離れた視点まで、前記交差点を中心として視点を回転移動させながら生成される複数枚の画像である視点変換画像を生成する視点変換画像生成部と、
前記視点変換画像を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする車両用情報提示装置。
【請求項2】
前記移動障害物情報取得部で取得した障害物の仮想画像を生成する仮想画像データ生成部をさらに備え、
前記視点変換画像生成部が生成する視点変換画像は、前記障害物が建物の死角になる場合に、仮想画像を前記建物に重畳して表示すること
を特徴とする請求項1に記載の車両用情報提示装置。
【請求項3】
前記測位部が測位した前記自車両の位置と、前記移動障害物情報取得部が取得した前記位置情報が示す前記障害物の位置とに基づいて、前記自車両と前記障害物とが前記交差点に所定の時間差以内で進入する状況の発生を検出する検出部をさらに備え、
前記視点変換画像生成部は、前記所定のタイミングとして、前記検出部によって前記状況の発生が検出されたら、前記視点変換画像を生成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用情報提示装置。
【請求項4】
前記視点変換画像生成部は、前記障害物が移動していない車線側に視点を水平方向に回転移動させていく画像である視点変換画像を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用情報提示装置。
【請求項5】
前記視点変換画像生成部は、前記自車両より上方に回転移動させていく画像である視点変換画像を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用情報提示装置。
【請求項6】
前記表示部が前記視点変換画像による視点変換画像を表示するのに合わせて、注意音声を生成して車載のスピーカに供給する音声生成部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両用情報提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員に他車両の情報を提示する車両用情報提示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自車周囲の俯瞰画像から車室内からの視点への画像変換をする際に、カメラの視点がどのように遷移するかを段階的に移動するアニメーションにて表現することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−39341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、自車両が交差点に近付くとき、乗員に、異なる車線を移動して、同じ交差点に近付いてくる障害物の存在を気付かせることはできない。
【0005】
本発明は、自車両が交差点に近付くとき、乗員に、異なる車線を移動して、同じ交差点に近付いてくる障害物の存在を気付かせることができる車両用情報提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の車両用情報提示装置は、自車両と障害物とが交差点で交錯すると判断される所定のタイミングで、自車両から前方を見る視点から、前記自車両の前方から自車両と障害物との双方を見ることができる自車両から離れた視点まで、交差点を中心として視点を回転移動させながら生成される複数枚の画像である視点変換画像を生成して、表示部に表示する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用情報提示装置によれば、自車両が交差点に近付くとき、乗員に、異なる車線を移動して、同じ交差点に近付いてくる障害物の存在を気付かせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の車両用情報提示装置を示すブロック図である。
図2図1中の走行車両情報提供サーバ20の概要の第1の例を示す図である。
図3図1中の走行車両情報提供サーバ20の概要の第2の例を示す図である。
図4図1中の制御部10の機能的な内部構成を示すブロック図である。
図5】他車両が建物等で隠れて見えないとき、モニタ15に表示される画像の一例を示す図である。
図6】自車両に他車両が接近したときに、モニタ15に表示される視点変換画像の第1の例を示す図である。
図7】自車両に他車両が接近したときに、モニタ15に表示される視点変換画像の第2の例を示す図である。
図8】自車両に他車両が接近したときに、モニタ15に表示される視点変換画像の第3の例を示す図である。
図9図6図8それぞれに示す自車両と他車両との位置関係を示す平面図である。
図10図6図8に示す視点変換画像を生成する際の視点の回転移動を説明するための図である。
図11】一実施形態の車両用情報提示装置における動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態の車両用情報提示装置について、添付図面を参照して説明する。図1において、測位部11は、自車両の現在位置を測位する。測位部11は、例えば、GPS衛星からのGPS電波をGPSアンテナで受信して、自車両の現在位置を測位する。
【0010】
測位部11が自車両の現在位置を測位した測位データD11は、制御部10に入力される。測位部11は、ジャイロ等のGPS以外の測位方法で自車両の現在位置を測位してもよい。測位部11は、GPSとジャイロとを組み合わせて現在位置を測位してもよい。測位部11の機能を制御部10の内部に設けてもよい。
【0011】
地図情報保持部12は、地図情報を保持する。地図情報は、3次元(3D)表示が可能な情報であることが好ましい。地図情報保持部12は、ハードディスク・ドライブ,半導体メモリ,光ディスク等の任意の記録媒体でよい。地図情報保持部12より出力された地図データD12は、制御部10に入力される。
【0012】
自車両内には、自車両から自車両の外部前方を撮影するカメラ13が取り付けられている。カメラ13で自車両の前方を撮影した撮影データD13は、制御部10に入力される。
【0013】
通信部14は、制御部10による制御に基づいて、走行車両情報提供サーバ20と通信する。走行車両情報提供サーバ20は、後述するように、道路を走行する車両に関する情報を提供する。通信部14は、制御部10による制御に基づいて、画像提供サーバ30と通信する。画像提供サーバ30は、道路を撮影した実画像データを提供する。
【0014】
通信部14は、走行車両情報提供サーバ20より提供された走行車両データD20を制御部10に供給する。走行車両データD20は、他車両の走行車両データを含む。通信部14は、画像提供サーバ30より提供された実画像データD30を制御部10に供給する。
【0015】
制御部10には、後述する注意画像を表示するモニタ(表示部)15と、後述する注意音声を発生させるスピーカ16とが接続されている。
【0016】
ここで、図2図3を用いて、走行車両情報提供サーバ20の概要について説明する。図2に示すように、交差点201の近傍には、それぞれの車線を撮影するカメラ202a〜202dが配置されている。カメラ202a〜202dは、それぞれの車線を撮影して、撮影データを無線または有線にて走行車両情報提供サーバ20に送信する。
【0017】
図2の例では、カメラ202aは車両203aを撮影した撮影データを走行車両情報提供サーバ20に送信し、カメラ202bは車両203bを撮影した撮影データを走行車両情報提供サーバ20に送信する。
【0018】
走行車両情報提供サーバ20は、カメラ202a〜202dから送信された撮影データを解析して、交差点201に近付いてくる車両(ここでは車両203a,203b)とその位置を検出する。走行車両情報提供サーバ20は、パターン認識によって撮影データ内に含まれる車両の画像を検出することが可能である。
【0019】
走行車両情報提供サーバ20は、どの車線に交差点201に近付いてくる車両が存在するかを示し、近付いてくる車両の位置情報を含む走行車両データD20を通信部14に送信する。
【0020】
走行車両情報提供サーバ20が車両の種別(乗用車,トラック,バス等)や車体の色を検出して、車両の種別を示す情報や車体の色を示す情報を含む走行車両データD20を通信部14に送信してもよい。
【0021】
図3は、図2とは異なる方法によって交差点201に近付いてくる車両を検出する方法を示している。図3に示すように、交差点201の近傍には、それぞれの車線を走行する車両と通信する通信機器204a〜204dが配置されている。
【0022】
図3では、車両205a,205cが車線を走行している。車線を走行する車両は、車両情報送信部215を搭載している。車両情報送信部215は、測位部11と同様にGPS電波を受信して自車両の現在位置を測位する。車両情報送信部215は、自車両の位置情報に加えて、自車両を識別するための識別情報を無線にて送信することが好ましい。
【0023】
識別情報は、例えば、車両の種別を示す情報、車名を示す情報、車体の色を示す情報のうちのいずれか1つまたは複数である。
【0024】
通信機器204a〜204dは、交差点201に近付いてくる車両に搭載されている車両情報送信部215から送信されたそれぞれの車両の位置情報と識別情報とを含む車両情報を受信して、車両情報を無線または有線にて走行車両情報提供サーバ20に送信する。
【0025】
走行車両情報提供サーバ20は、どの車線に交差点201に近付いてくる車両が存在するかを示し、近付いてくる車両の識別情報と位置情報とを含む走行車両データD20を通信部14に送信する。
【0026】
図4を用いて、制御部10の具体的な動作について説明する。図4は、制御部10の機能的な内部構成を示している。制御部10をマイクロコンピュータで構成してもよい。以下に説明する制御部10の動作は、コンピュータプログラムで実現することも可能である。
【0027】
図4において、走行車両情報受信部101には、測位部11より出力された測位データD11と、通信部14より供給された走行車両データD20とが入力される。走行車両情報受信部101は、走行車両データD20のうち、自車両が走行する車線(自車走行車線)とは異なる自車走行車線と交差する車線(他車走行車線)を走行して、交差点201に近付いてくる車両(他車両)の情報を抽出する。走行車両情報受信部101は、他車両データD101を出力する。
【0028】
他車両データD101は、仮想画像データ生成部102,判定部103,画像データ重畳部104,検出部111に入力される。
【0029】
仮想画像データ生成部102は、他車両データD101に基づいて他車両の仮想画像データD102を生成する。走行車両データD20(他車両データD101)が車両の種別を示す情報または車名を示す情報を含めば、他車両の大きさや形状に対応した仮想画像データD102を生成することができる。走行車両データD20(他車両データD101)が車体の色を示す情報を含めば、他車両の色に対応した仮想画像データD102を生成することができる。
【0030】
判定部103には、他車両データD101の他、測位データD11と、地図情報保持部12より出力された地図データD12とが入力される。地図データD12は、道路に隣接する建物の平面的な大きさ及び高さの情報を含む。よって、判定部103は、測位データD11に基づく自車両の位置から、他車両データD101に基づく位置の他車両を見たとき、他車両が見えるか、建物の死角となって他車両が見えないかを判定することができる。
【0031】
判定部103は、他車両が見えるか否かを示す判定データD103を画像データ重畳部104に供給する。画像データ重畳部104には、他車両データD101及び判定データD103の他、測位データD11と、撮影データD13と、仮想画像データD102とが入力される。
【0032】
画像データ重畳部104は、判定データD103が、他車両が見えないことを示すとき、撮影データD13に仮想画像データD102を重畳する。画像データ重畳部104は、測位データD11が示す位置情報と、他車両データD101が示す位置情報とを参照して、撮影データD13の画像内の他車両が走行している位置に、仮想画像データD102による仮想画像を重畳することができる。
【0033】
なお、カメラ13による撮影範囲は予め分かっており、測位データD11が示す位置情報に基づいて、カメラ13による撮影範囲内のそれぞれの位置を特定することができる。よって、撮影データD13の画像に他車両を示す仮想画像を重畳することができる。
【0034】
画像データ重畳部104は、判定データD103が、他車両が見えることを示すとき、撮影データD13をそのまま出力する。画像データ重畳部104は、仮想画像データD102を重畳した撮影データD13または撮影データD13そのままをカメラ画像データD104として出力する。
【0035】
検出部111は、測位データD11と他車両データD101とに基づいて、自車両と他車両とが同じ交差点に所定の時間差以内で進入する状況の発生を検出する。検出部111は、自車両と他車両とが同じ交差点に所定の時間差以内で進入する状況の発生を検出したら、検出データD111を画像データ切換部105,音声データ生成部106,視点変換画像データ生成部109に供給する。
【0036】
画像データ切換部105は、カメラ画像データD104をモニタ15に供給する。後述するように、画像データ切換部105は、検出部111より検出データD111が供給されたら、カメラ画像データD104の代わりに、視点変換画像データ生成部109より出力された視点変換画像データD109をモニタ15に供給する。
【0037】
図5は、他車両が建物等で隠れて見えないとき、モニタ15に表示される画像の一例を示している。自車両が走行する車線と交差する車線を右方向から左方向へと走行している他車両は、実際には建物50で見えない。しかしながら、画像データ重畳部104は、撮影データD13に仮想画像データD102を重畳したカメラ画像データD104を出力することから、仮想画像による他車両V102iが表示されている。
【0038】
図4に戻り、画像受信部107は、実画像データD30を受信して視点変換画像データ生成部109に供給する。視点変換画像データ生成部109には、実画像データD30の他、地図データD12と、自車両情報保持部110より出力された自車両データD110とが入力される。
【0039】
自車両データD110は、例えば、車両の種別を示す情報、車名を示す情報、車体の色を示す情報のうちのいずれか1つまたは複数である。図4に示す例では、自車両情報保持部110を制御部10内に設けているが、制御部10外の不揮発性メモリを自車両情報保持部としてもよい。
【0040】
視点変換画像データ生成部109は、仮想画像データ生成部1090を有する。仮想画像データ生成部1090は、自車両データD110に基づいて自車両の仮想画像データを生成する。自車両データD110が車両の種別を示す情報または車名を示す情報を含めば、自車両の大きさや形状に対応した仮想画像データを生成することができる。自車両データD110が車体の色を示す情報を含めば、自車両の色に対応した仮想画像データを生成することができる。
【0041】
また、仮想画像データ生成部1090は、仮想画像データ生成部102と同様に、他車両データD101に基づいて他車両の仮想画像データを生成する。
【0042】
図4では、便宜上、仮想画像データ生成部102と仮想画像データ生成部1090とを分けているが、1つの仮想画像データ生成部で構成してもよい。
【0043】
視点変換画像データ生成部109は、検出部111より検出データD111が供給されたら、例えば図6図8に示すような画像を表す視点変換画像データD109を生成する。
【0044】
図6の(a)は、撮影データD13による実画像の第1の例を示している。図6の(a)では、他車両V101が、自車両が走行する車線と交差する車線を右方向から左方向へと走行している。図6の(a)を平面的に見ると、自車両V110と他車両V101とは図9の(a)に示すような位置関係にある。
【0045】
図6の(b)〜(d)は、視点変換画像データ生成部109が生成する視点変換画像データD109による仮想画像を示している。図6の(b)〜(d)において、V101i,V110iは、それぞれ、他車両V101を仮想画像データ生成部1090によって生成した仮想画像データによって表した仮想画像の他車両(仮想画像他車両)と自車両(仮想画像自車両)を示している。
【0046】
仮想画像データ生成部1090は、地図データD12に基づいて、図6の(b)〜(d)における仮想画像の背景画像を表す仮想画像データを生成する。
【0047】
視点変換画像データ生成部109は、図6の(a)に示す自車両V110からの視点から、図6の(d)に示す仮想画像自車両V110iと仮想画像他車両V101iとの双方を見ることができる視点へと視点を順次移動させていく視点変換画像データD109を生成する。
【0048】
具体的には、視点変換画像データ生成部109は、図6の(b)に示すように、自車両V110からの視点から見て左方向に視点を所定量移動させた状態から、図6の(d)に示す最終の視点の位置まで、視点を順次移動させながら、背景画像を表す仮想画像データを順次生成する。視点を移動させる所定量は適宜設定すればよい。
【0049】
このとき、視点変換画像データ生成部109は、図10の(a)に示すように、視点を、交差点301を中心として、厳密には交差点301の中心点301cを中心として、水平方向に回転移動させる。視点変換画像データ生成部109は、交差点301方向を見たときに、自車両V110と他車両V101との双方を見ることができる所定の回転位置を、最終の視点の位置とする。
【0050】
視点変換画像データ生成部109は、背景画像を表す仮想画像データに、それぞれの視点で見ることができる仮想画像他車両V101i、または、仮想画像他車両V101i及び仮想画像自車両V110iの仮想画像データを重畳する。
【0051】
図6の(a)では、他車両V101は自車両V110に対して右側に位置しているため、図10の(a)に示すように、他車両V101が存在していない車線側に時計回りに視点を回転移動させていくのが好適である。
【0052】
以上のようにして、視点変換画像データ生成部109は、自車両V110からの視点から仮想画像自車両V110iと仮想画像他車両V101iとの双方を見ることができる最終の視点まで、所定の時間をかけて、視点を順次移動させていく画像の視点変換画像データD109を生成する。視点を順次移動させていく画像は好ましくは動画像であり、最終の視点の位置は適宜設定すればよい。
【0053】
視点変換画像データ生成部109は、地図データD12に基づいて背景画像を表す仮想画像データを生成する代わりに、画像提供サーバ30より提供される実画像データD30に基づいて実画像の背景画像を表す画像データを生成してもよい。
【0054】
自車両V110と他車両V101との位置関係が決まれば、必要となる実画像の背景画像が決まる。画像要求部108は、測位データD11が示す自車両V110の位置情報と他車両データD101が示す他車両V101の位置情報とに基づいて、画像提供サーバ30に、視点変換画像データD109を生成するのに必要となる実画像データD30の提供を要求する。
【0055】
実画像データD30は、要求された実画像データD30を通信部14へと送信する。画像受信部107は、画像データD30を受信して視点変換画像データ生成部109に供給する。これによって、視点変換画像データ生成部109は、地図データD12に基づく仮想画像データの代わりに、実画像データD30に基づく実画像の背景画像を用いた視点変換画像データD109を生成することができる。
【0056】
この場合、図6の(b)〜(d)は、実画像の背景画像に仮想画像他車両V101iや仮想画像自車両V110iが重畳された状態となる。
【0057】
図7の(a)は、撮影データD13による実画像の第2の例を示している。図7の(a)では、他車両V101が、自車両が走行する車線と交差する車線を左方向から右方向へと走行している。図7の(a)を平面的に見ると、自車両V110と他車両V101とは図9の(b)に示すような位置関係にある。
【0058】
視点変換画像データ生成部109は、図7の(b)に示すように、自車両V110からの視点から見て右方向に視点を所定量移動させた状態から、図7の(d)に示す最終の視点の位置まで、視点を順次移動させながら、背景画像を表す仮想画像データを順次生成する。
【0059】
このとき、視点変換画像データ生成部109は、図10の(b)に示すように、視点を、交差点301(中心点301c)を中心として水平方向に回転移動させる。視点変換画像データ生成部109は、交差点301方向を見たときに、自車両V110と他車両V101との双方を見ることができる所定の回転位置を、最終の視点の位置とする。
【0060】
視点変換画像データ生成部109は、背景画像を表す仮想画像データに、それぞれの視点で見ることができる仮想画像他車両V101i、または、仮想画像他車両V101i及び仮想画像自車両V110iの仮想画像データを重畳する。
【0061】
図7の(a)では、他車両V101は自車両V110に対して左側に位置しているため、図10の(b)に示すように、他車両V101が存在していない車線側に反時計回りに視点を回転移動させていくのが好適である。
【0062】
図7の(b)〜(d)においても、視点変換画像データ生成部109は、自車両V110からの視点から仮想画像自車両V110iと仮想画像他車両V101iとの双方を見ることができる最終の視点まで、所定の時間をかけて、視点を順次移動させていく画像の視点変換画像データD109を生成する。
【0063】
図7の(b)〜(d)でも同様に、視点変換画像データ生成部109は、画像提供サーバ30より提供される実画像データD30に基づいて生成した実画像の背景画像を表す画像データを用いて、視点変換画像データD109を生成してもよい。
【0064】
図8の(a)は、撮影データD13による実画像の第3の例を示している。図8の(a)では、1台の他車両V101が、自車両が走行する車線と交差する車線を左方向から右方向へと走行し、他の1台の他車両V101が右方向から左方向へと走行している。図8の(a)を平面的に見ると、自車両V110と2台の他車両V101とは図9の(c)に示すような位置関係にある。
【0065】
視点変換画像データ生成部109は、図8の(b)に示すように、自車両V110からの視点を上方に所定量移動させた状態から、図8の(d)に示す上空から見た最終の視点の位置まで、視点を順次上方へと移動させた背景画像を表す仮想画像データを生成する。
【0066】
このとき、視点変換画像データ生成部109は、図10の(c)に示すように、視点を、交差点301(中心点301c)を中心として垂直方向に回転移動させる。視点変換画像データ生成部109は、交差点301方向を見たときに、自車両V110と2台の他車両V101とを見ることができる所定の回転位置を、最終の視点の位置とする。
【0067】
視点変換画像データ生成部109は、背景画像を表す仮想画像データに、仮想画像他車両V101i及び仮想画像自車両V110iの仮想画像データを重畳する。
【0068】
図8の(a)では、他車両V101は自車両V110に対して左側及び右側の双方に位置しているため、図10の(c)に示すように、視点を自車両V110からの視点から上方へと回転移動させていくのが好適である。
【0069】
図8の(b)〜(d)においても、視点変換画像データ生成部109は、自車両V110からの視点から2つの仮想画像他車両V101i及び仮想画像自車両V110iの全体を俯瞰的に見ることができる上空の最終の視点まで、所定の時間をかけて、視点を順次移動させていく画像の視点変換画像データD109を生成する。
【0070】
図8の(b)〜(d)でも同様に、視点変換画像データ生成部109は、画像提供サーバ30より提供される実画像データD30に基づいて生成した実画像の背景画像を表す画像データを用いて、視点変換画像データD109を生成してもよい。
【0071】
図4に戻り、視点変換画像データ生成部109によって生成された視点変換画像データD109は、画像データ切換部105に入力される。画像データ切換部105は、カメラ画像データD104と視点変換画像データD109とを選択的に切り換えて出力する。画像データ切換部105は、検出部111より検出データD111が供給されなければ、カメラ画像データD104を選択し、検出部111より検出データD111が供給されたら、視点変換画像データD109を選択する。
【0072】
画像データ切換部105は、図9の(a)〜(c)に示すように、検出部111によって、自車両V110と他車両V101とが所定の時間以内の差で同じ交差点301に進入すると想定される状況の発生が検出されたとき、カメラ画像データD104から視点変換画像データD109へと切り換える。
【0073】
これによって、モニタ15に表示される画像は、図6図8で説明したように、撮影データD13による実画像から視点変換画像データD109による視点変換画像へと切り換えられる。なお、例えば、自車両V110が交差点301を通過したら、視点変換画像から実画像へと戻せばよい。
【0074】
図6の(b)〜(d)、図7の(b)〜(d)、図8の(b)〜(d)に示す画像は、運転者等の乗員に注意を促す注意画像である。本実施形態によれば、乗員は、画像が急に変化するのではなく、所定の時間をかけて視点を順次移動させていく画像を見ることができるので、自車両の位置を的確に把握することができる。また、乗員は、仮想画像自車両V110iと仮想画像他車両V101iとの位置関係によって、自車両V110と他車両V101との位置関係を的確に把握することができる。
【0075】
本実施形態によれば、カメラ13より出力された撮影データD13による実画像から視点変換画像へと切り換わることにより、乗員に他車両V101の存在を効果的に気付かせることができる。
【0076】
本実施形態では注意画像に切り換えたことを乗員に音声でも知らせるため、次のように構成している。音声データ生成部106は、検出部111より検出データD111が供給されたら、乗員に注意を促す注意音声の音声データD106を生成して、スピーカ16より出力させる。
【0077】
注意音としては、所定のメロディのような電子音でもよいし、例えば、「右方向から車が接近しています。」とか「衝突に注意して下さい。」のような音声であってもよい。音声は合成音でもよい。
【0078】
音声データ生成部106によって注意音声の音声データD106を生成して、スピーカ16より出力させる構成は必須ではないが、設けることが好ましい。
【0079】
ところで、図6図8は、他車両V101が建物50等で隠れておらず、他車両V101が見える場合を示している。他車両V101が建物50等で隠れている場合には、図5で説明したように、仮想画像による他車両V102iが表示される。
【0080】
本実施形態においては、制御部10内に仮想画像データ生成部102と判定部103と画像データ重畳部104とを設けることによって、建物50等で隠れた位置を走行する他車両V101を仮想画像で表示するように構成している。仮想画像による他車両V102iを表示する構成とすることが好ましいが、簡略化のため、他車両V102iの表示を省略してもよい。
【0081】
図6図8に示すように、自車両V110から他車両V101が見える場合でも、自車両V110と他車両V101とがほぼ同じ速度で交差点301に近付く状態では、乗員は他車両V101が動いていると認識しにくい場合がある。
【0082】
本実施形態によれば、仮想画像自車両V110iと仮想画像他車両V101iとの双方を見ることができる視点から見た視点変換画像を乗員に提示することによって、動いている他車両V101を認識させることができる。よって、本実施形態は、仮想画像による他車両V102iを表示する構成を省略したとしても、十分に効果的である。
【0083】
視点変換画像データ生成部109は、地図データD12のみに基づいて、視点変換画像データD109における背景画像を表す仮想画像データを生成してもよい。この場合は、実画像データD30は不要であり、画像提供サーバ30との通信機能は省略可能である。
【0084】
図11に示すフローチャートを用いて、一実施形態の車両用情報提示装置の動作ついて改めて説明する。図11では、便宜上、注意音声の出力処理を省略している。
【0085】
図11において、制御部10は、ステップS1にて、他車両の接近を検出したか否かを判定する。他車両の接近とは、前述のように、自車両と他車両とが、所定の時間以内の差で同じ交差点に進入すると想定される場合である。他車両の接近を検出すれば(YES)、制御部10は、処理をステップS2に移行させ、他車両の接近を検出しなければ(NO)、ステップS1の処理を繰り返す。
【0086】
制御部10は、ステップS2にて、視点を所定量移動させた視点変換画像データD109を生成する。制御部10は、ステップS3にて、モニタ15へと出力する画像データを、カメラ画像データD104から視点変換画像データD109へと切り換える。
【0087】
制御部10は、ステップS4にて、最終の視点の視点変換画像データD109を生成したか否かを判定する。最終の視点の視点変換画像データD109を生成したら(YES)、制御部10は、処理をステップS5に移行させ、最終の視点の視点変換画像データD109を生成していなければ(NO)、ステップS2〜S4の処理を繰り返す。
【0088】
制御部10は、ステップS5にて、最終の視点の視点変換画像データD109のモニタ15への出力を継続させる。制御部10は、ステップS6にて、自車両が交差点を通過したか否かを判定する。交差点を通過したら(YES)、制御部10は、処理をステップS7に移行させ、交差点を通過していなければ(NO)、ステップS5,S6の処理を繰り返す。
【0089】
制御部10は、ステップS6にて、モニタ15へと出力する画像データを、視点変換画像データD109からカメラ画像データD104へと切り換える。制御部10は、ステップS6の後、処理をステップS1へと戻し、以降、同様の処理を繰り返す。
【0090】
以上の構成において、走行車両情報受信部101は、自車両の外部から提供され、交差線で自車走行車線と交差する他車走行車線を移動して、交差点に接近する障害物の少なくとも車線上の位置情報を含む移動障害物情報を取得する移動障害物情報取得部である。なお、自車両が移動障害物情報を検出することも考えられる。他車両は、障害物の一例である。障害物は車両だけでなく、人や動物等の移動物体も含む。
【0091】
一実施形態の車両用情報提示装置は、所定のタイミングで、次のように動作する。所定のタイミングは、好適には、検出部111が、測位部11が測位した自車両の位置と、移動障害物情報取得部が取得した位置情報が示す障害物の位置とに基づいて、自車両と障害物とが交差点に所定の時間差以内で進入する状況の発生を検出したタイミングである。即ち、自車両と障害物とが交差点で交錯すると判断されるタイミングである。
【0092】
一実施形態の車両用情報提示装置は、視点変換画像生成部(視点変換画像データ生成部109)を備える。視点変換画像生成部は、自車両から前方を見る視点から自車両と障害物との双方を見ることができる自車両から離れた視点まで、交差点を中心として視点を回転移動させる複数枚の画像である視点変換画像を生成する。
【0093】
よって、乗員は、他車走行車線を移動して、同じ交差点に近付いてくる障害物の存在に気付くことができる。このとき、乗員は、自車両の位置を的確に把握することができ、自車両と障害物との位置関係を的確に把握することができる。
【0094】
好ましくは、視点変換画像生成部は、障害物が移動していない車線側に視点を水平方向に回転移動させて、視点変換画像を生成する。または、視点変換画像生成部は、自車両より上方に回転移動させていく画像である視点変換画像を生成する。このようにすれば、自車両と他車両との位置関係や距離を把握しやすい視点変換画像とすることができる。
【0095】
好ましくは、一実施形態の車両用情報提示装置は、モニタ15が視点変換画像を表示するのに合わせて、注意音声を生成して自車両に搭載のスピーカ16に供給する音声生成部(音声データ生成部106)を備える。このようにすれば、注意音声によって、乗員に障害物の存在をさらに効果的に気付かせることができる。
【0096】
本発明は以上説明した一実施形態の車両用情報提示装置に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。前述のように、制御部10の動作をコンピュータプログラムで実現してもよい。
【符号の説明】
【0097】
11 測位部
15 モニタ(表示部)
16 スピーカ
101 走行車両情報受信部(移動障害物情報取得部)
106 音声データ生成部(音声生成部)
109 視点変換画像データ生成部(視点変換画像生成部)
111 検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11