特許第6221565号(P6221565)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221565
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】車両用自動変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 3/66 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   F16H3/66 Z
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-199204(P2013-199204)
(22)【出願日】2013年9月26日
(65)【公開番号】特開2015-64084(P2015-64084A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2016年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(72)【発明者】
【氏名】高木 清春
(72)【発明者】
【氏名】間瀬 篤弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 栄希
【審査官】 藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0190600(US,A1)
【文献】 特表2009−500572(JP,A)
【文献】 特開2005−036894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 3/00−3/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスミッションケースと、
第1プラネタリギヤの第1リングギヤと第3プラネタリギヤの第3サンギヤとが連結され、前記第1リングギヤと第4プラネタリギヤの第4サンギヤとが連結され、第2プラネタリギヤの第2リングギヤと前記第3プラネタリギヤの第3キャリアとが連結され、前記第3プラネタリギヤの第3リングギヤと前記第4プラネタリギヤの第4キャリアとが連結されて、前記トランスミッションケースに回転軸線と同軸に支承されたシングルピニオン式の前記第1プラネタリギヤ乃至前記第4プラネタリギヤと、
前記トランスミッションケースに前記回転軸線回りに回転可能に軸承され、前記第1プラネタリギヤの第1キャリアに連結された入力軸と、
前記トランスミッションケースに前記回転軸線回りに回転可能に軸承され、前記第4キャリアに連結された出力軸と、
前記第1プラネタリギヤの第1サンギヤを前記トランスミッションケースに係脱可能に固定する第1ブレーキと、
前記第4プラネタリギヤの第4リングギヤを前記トランスミッションケースに係脱可能に固定する第2ブレーキと、
互いに連結された前記第1リングギヤ、前記第3サンギヤ及び前記第4サンギヤと前記第2プラネタリギヤの第2キャリアとを係脱可能に連結する第1クラッチと、
前記第1キャリアと前記第2プラネタリギヤの第2サンギヤとを係脱可能に連結する第2クラッチと、
前記第2キャリアと前記第4リングギヤとを係脱可能に連結する第3クラッチと、
前記第1キャリアと前記第2キャリアとを係脱可能に連結する第4クラッチと、を備え、
前記第1プラネタリギヤ乃至前記第4プラネタリギヤは、前記入力軸側から前記出力軸側に向かって順次並列に配置され、
前記入力軸に連結し、前記回転軸線上において前記第1サンギヤの内周側を通って延在し、前記第1キャリアに前記出力軸側から連結する入力連結部材と、
前記第1キャリアと前記第2キャリアとの間を連結する連結部材のうち、前記第1キャリアと前記第4クラッチを連結する連結部材であって、前記入力軸側から前記第1キャリアに連結し、前記第1リングギヤの外周側を通って前記回転軸線方向に延在する第4クラッチ連結部材と、を更に備え、
前記第4クラッチ連結部材の外周側の外周面に、エンジンからの動力を外部に取り出すための動力外部取出し部材を設けた車両用自動変速機。
【請求項2】
トランスミッションケースと、
第1プラネタリギヤの第1リングギヤと第3プラネタリギヤの第3サンギヤとが連結され、前記第1リングギヤと第4プラネタリギヤの第4サンギヤとが連結され、第2プラネタリギヤの第2リングギヤと前記第3プラネタリギヤの第3キャリアとが連結され、前記第3プラネタリギヤの第3リングギヤと前記第4プラネタリギヤの第4キャリアとが連結されて、前記トランスミッションケースに回転軸線と同軸に支承されたシングルピニオン式の前記第1プラネタリギヤ乃至前記第4プラネタリギヤと、
前記トランスミッションケースに前記回転軸線回りに回転可能に軸承され、前記第1プラネタリギヤの第1キャリアに連結された入力軸と、
前記トランスミッションケースに前記回転軸線回りに回転可能に軸承され、前記第4キャリアに連結された出力軸と、
前記第1プラネタリギヤの第1サンギヤを前記トランスミッションケースに係脱可能に固定する第1ブレーキと、
前記第4プラネタリギヤの第4リングギヤを前記トランスミッションケースに係脱可能に固定する第2ブレーキと、
互いに連結された前記第1リングギヤ、前記第3サンギヤ及び前記第4サンギヤと前記第2プラネタリギヤの第2キャリアとを係脱可能に連結する第1クラッチと、
前記第1キャリアと前記第2プラネタリギヤの第2サンギヤとを係脱可能に連結する第2クラッチと、
前記第2キャリアと前記第4リングギヤとを係脱可能に連結する第3クラッチと、
前記第1キャリアと前記第2キャリアとを係脱可能に連結する第4クラッチと、を備え、
前記第1プラネタリギヤ乃至前記第4プラネタリギヤは、前記入力軸側から前記出力軸側に向かって順次並列に配置され、
前記入力軸に連結し、前記回転軸線上において前記第1サンギヤの内周側を通って延在し、前記第1キャリアに前記出力軸側から連結する入力連結部材と、
前記第1キャリアと前記第2サンギヤとの間を連結する連結部材のうち、前記第1キャリアと前記第2クラッチを連結する連結部材であって、前記入力軸側から前記第1キャリアに連結し、前記第1リングギヤの外周側を通って前記回転軸線方向に延在する第2クラッチ連結部材と、を更に備え、
前記第2クラッチ連結部材の外周側の外周面に、エンジンからの動力を外部に取り出すための動力外部取出し部材を設けた車両用自動変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエンジン等によって回転駆動される入力軸の回転を複数変速段に変速して出力軸に伝達する車両用自動変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前進10段、後進1段の変速段の形成が可能な車両用自動変速機がある。例えば、下記に示す特許文献1が開示する技術では、4つのシングルピ二オン式プラネタリギヤ、6つの係合要素で構成され、そのうちの3要素を係合させることで、前進10段、後進1段の変速段を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8002662号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される車両用自動変速機では、第1列目のプラネタリギヤのキャリアが、エンジンからの入力回転と連結される。自動変速機のトランスミッションケース内におけるこのキャリアの配置は、第1列目のサンギヤと駆動的に連結される配置であるとともに、トランスミッションケースに固定される連結部材が配された位置と比較してトランスミッションケースの径方向内方に配置される構成である。この様な車両用自動変速機が、例えば農耕用トラクター、ダンプカー、消防車のようなポンプカ―などの商用車に採用される場合、作業機の駆動のために、車両駆動用のエンジン動力が、パワー・テイク・オフ(以下単にPTOと称す)として取り出される。特許文献1に示される車両用自動変速機では、エンジンからの入力回転と連結した部材が、自動変速機のトランスミッションケース内の外周部に位置しない構成となっている。このため、車両の停車中及び走行中に関わらず、また、どのような変速段であるかにも関わらず、PTOを常に使用可能とするためには、エンジンと第1列目のプラネタリギヤの間にエンジンからの入力回転を直接取り出す機構が必要となる。しかし、このような機構を設ける場合、部品点数の増加並びに軸方向長さも増加せざるを得ない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、変速段にかかわらず、常に入力軸の入力回転と同じ回転の動力をPTOとして取り出すことができる車両用自動変速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に係る車両用自動変速機は、トランスミッションケースと、第1プラネタリギヤの第1リングギヤと第3プラネタリギヤの第3サンギヤとが連結され、前記第1リングギヤと第4プラネタリギヤの第4サンギヤとが連結され、第2プラネタリギヤの第2リングギヤと前記第3プラネタリギヤの第3キャリアとが連結され、前記第3プラネタリギヤの第3リングギヤと前記第4プラネタリギヤの第4キャリアとが連結されて、前記トランスミッションケースに回転軸線と同軸に支承されたシングルピニオン式の前記第1プラネタリギヤ乃至前記第4プラネタリギヤと、前記トランスミッションケースに前記回転軸線回りに回転可能に軸承され、前記第1プラネタリギヤの第1キャリアに連結された入力軸と、前記トランスミッションケースに前記回転軸線回りに回転可能に軸承され、前記第4キャリアに連結された出力軸と、前記第1プラネタリギヤの第1サンギヤを前記トランスミッションケースに係脱可能に固定する第1ブレーキと、前記第4プラネタリギヤの第4リングギヤを前記トランスミッションケースに係脱可能に固定する第2ブレーキと、互いに連結された前記第1リングギヤ、前記第3サンギヤ及び前記第4サンギヤと前記第2プラネタリギヤの第2キャリアとを係脱可能に連結する第1クラッチと、前記第1キャリアと前記第2プラネタリギヤの第2サンギヤとを係脱可能に連結する第2クラッチと、前記第2キャリアと前記第4リングギヤとを係脱可能に連結する第3クラッチと、前記第1キャリアと前記第2キャリアとを係脱可能に連結する第4クラッチとを備えることを要旨とする。
【0007】
これによれば、前記第1サンギヤは、前記第1ブレーキによる固定部材との連結を選択可能とし、且つ、他のプラネタリギヤとの連結及び他の選択可能な連結を有していない構成である。このため、前記入力軸と連結された前記第1キャリアからの出力を、前記トランスミッションケースの内部の最外周に位置する経路を通って、他のプラネタリギヤと連結させることが可能となる。このため、この第1キャリアから、変速段にかかわらず、常に入力軸の入力回転と同じ回転の動力をPTOとして取り出すことができる。
【0008】
また、請求項に係る車両用自動変速機は、前記第1プラネタリギヤ乃至前記第4プラネタリギヤは、前記入力軸側から前記出力軸側に向かって順次並列に配置され、前記入力軸に連結し、前記回転軸線上において前記第1サンギヤの内周側を通って延在し、前記第1キャリアに前記出力軸側から連結する入力連結部材と、前記第1キャリアと前記第2キャリアとの間を連結する連結部材のうち、前記第1キャリアと前記第4クラッチを連結する連結部材であって、前記入力軸側から前記第1キャリアに連結し、前記第1リングギヤの外周側を通って前記回転軸線方向に延在する第4クラッチ連結部材と、を更に備えることを要旨とする。
【0009】
これによれば、入力軸と連結された第1キャリアからの出力を、トランスミッションケースの内部の最外周に位置する経路を通る第4クラッチ連結部材を介して、他のプラネタリギヤと連結させることができる。
【0010】
また、請求項に係る車両用自動変速機は、前記第4クラッチ連結部材の前記第1リングギヤより外側の外周面に動力を外部に取り出すための動力外部取出し部材を設けたことを要旨とする。
【0011】
これによれば、動力外部取出し部材を、トランスミッションケースの内部の最外周に配置することができる。
【0012】
上記課題を解決するため、請求項2に係る車両用自動変速機は、トランスミッションケースと、第1プラネタリギヤの第1リングギヤと第3プラネタリギヤの第3サンギヤとが連結され、前記第1リングギヤと第4プラネタリギヤの第4サンギヤとが連結され、第2プラネタリギヤの第2リングギヤと前記第3プラネタリギヤの第3キャリアとが連結され、前記第3プラネタリギヤの第3リングギヤと前記第4プラネタリギヤの第4キャリアとが連結されて、前記トランスミッションケースに回転軸線と同軸に支承されたシングルピニオン式の前記第1プラネタリギヤ乃至前記第4プラネタリギヤと、前記トランスミッションケースに前記回転軸線回りに回転可能に軸承され、前記第1プラネタリギヤの第1キャリアに連結された入力軸と、前記トランスミッションケースに前記回転軸線回りに回転可能に軸承され、前記第4キャリアに連結された出力軸と、前記第1プラネタリギヤの第1サンギヤを前記トランスミッションケースに係脱可能に固定する第1ブレーキと、前記第4プラネタリギヤの第4リングギヤを前記トランスミッションケースに係脱可能に固定する第2ブレーキと、互いに連結された前記第1リングギヤ、前記第3サンギヤ及び前記第4サンギヤと前記第2プラネタリギヤの第2キャリアとを係脱可能に連結する第1クラッチと、前記第1キャリアと前記第2プラネタリギヤの第2サンギヤとを係脱可能に連結する第2クラッチと、前記第2キャリアと前記第4リングギヤとを係脱可能に連結する第3クラッチと、前記第1キャリアと前記第2キャリアとを係脱可能に連結する第4クラッチとを備えることを要旨とする。
これによれば、前記第1サンギヤは、前記第1ブレーキによる固定部材との連結を選択可能とし、且つ、他のプラネタリギヤとの連結及び他の選択可能な連結を有していない構成である。このため、前記入力軸と連結された前記第1キャリアからの出力を、前記トランスミッションケースの内部の最外周に位置する経路を通って、他のプラネタリギヤと連結させることが可能となる。このため、この第1キャリアから、変速段にかかわらず、常に入力軸の入力回転と同じ回転の動力をPTOとして取り出すことができる。
また、請求項に係る車両用自動変速機は、前記第1プラネタリギヤ乃至前記第4プラネタリギヤは、前記入力軸側から前記出力軸側に向かって順次並列に配置され、前記入力軸に連結し、前記回転軸線上において前記第1サンギヤの内周側を通って延在し、前記第1キャリアに前記出力軸側から連結する入力連結部材と、前記第1キャリアと前記第2サンギヤとの間を連結する連結部材のうち、前記第1キャリアと前記第2クラッチを連結する連結部材であって、前記入力軸側から前記第1キャリアに連結し、前記第1リングギヤの外周側を通って前記回転軸線方向に延在する第2クラッチ連結部材と、を備えることを要旨とする。
【0013】
これによれば、入力軸と連結された第1キャリアからの出力を、トランスミッションケースの内部の最外周に位置する経路を通る第2クラッチ連結部材を介して、他のプラネタリギヤと連結させることができる。
【0014】
また、請求項に係る車両用自動変速機は、前記第2クラッチ連結部材の外周側の外周面に、エンジンからの動力を外部に取り出すための動力外部取出し部材を設けたことを要旨とする。
【0015】
これによれば、動力外部取出し部材を、トランスミッションケースの内部の最外周に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の車両用自動変速機の第1実施形態を模式的に示したスケルトン図である。
図2】第1実施形態の各変速段におけるブレーキ及びクラッチの作動状態を示す図である。
図3】第1実施形態の各変速段におけるプラネタリギヤの各要素の回転比を示す速度線図である。
図4】第2実施形態のスケルトン図である。
図5】第2実施形態の各変速段におけるブレーキ及びクラッチの作動状態を示す図である。
図6】第2実施形態の各変速段におけるプラネタリギヤの各要素の回転比を示す速度線図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る車両用自動変速機について図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0018】
図1を参照すると、10は本発明に係る車両用自動変速機で、例えば農耕用トラクター、ダンプカー、消防車のようなポンプカ―などの商用車のエンジンの出力回転を変速して駆動輪に伝達するために使用される。自動変速機10は、車体に取り付けられたトランスミッションケース11内に、回転軸線18と同軸に回転可能に順次支承された入力軸12、第1プラネタリギヤ13、第2プラネタリギヤ14、第3プラネタリギヤ15、第4プラネタリギヤ16及び出力軸17で構成されている。
【0019】
第1プラネタリギヤ13は、シングルピ二オン式遊星歯車機構である。第1プラネタリギヤ13は、回転軸線18と同軸に回転可能に支承された第1サンギヤS1、第1リングギヤR1、第1サンギヤS1と第1リングギヤR1とに噛合する第1ピ二オンP1、及び第1ピ二オンP1を支承する第1キャリアC1により構成される。
【0020】
第2プラネタリギヤ14は、シングルピ二オン式遊星歯車機構である。第2プラネタリギヤ14は、回転軸線18と同軸に回転可能に支承された第2サンギヤS2、第2リングギヤR2、第2サンギヤS2と第2リングギヤR2とに噛合する第2ピ二オンP2、及び第2ピ二オンP2を支承する第2キャリアC2により構成される。
【0021】
第3プラネタリギヤ15は、シングルピ二オン式遊星歯車機構である。第3プラネタリギヤ15は、回転軸線18と同軸に回転可能に支承された第3サンギヤS3、第3リングギヤR3、第3サンギヤS3と第3リングギヤR3とに噛合する第3ピ二オンP3、及び第3ピ二オンP3を支承する第3キャリアC3により構成される。
【0022】
第4プラネタリギヤ16は、シングルピ二オン式遊星歯車機構である。第4プラネタリギヤ16は、回転軸線18と同軸に回転可能に支承された第4サンギヤS4、第4リングギヤR4、第4サンギヤS4と第4リングギヤR4とに噛合する第4ピ二オンP4、及び第4ピ二オンP4を支承する第4キャリアC4により構成される。
【0023】
入力軸12及び出力軸17は、トランスミッションケース11に、回転軸線18周りに回転可能に軸承されている。入力軸12は、クラッチ装置(不図示)などを介してエンジンの出力回転動力を自動変速機10に入力する軸部材である。出力軸17は、変速された出力回転動力を差動装置(不図示)などを介して駆動輪に出力する軸部材である。
【0024】
第1プラネタリギヤ13の第1キャリアC1は、入力連結部材19を介して、入力軸12に連結されている。入力連結部材19は、その一端が入力軸12に連結し、他端が第1キャリアC1に連結する。入力連結部材19は、回転軸線18上において第1サンギヤS1の内周側を通って延在する部位と、トランスミッションケース11の外径側に向かって延在する部位と、第1キャリアC1に出力軸17側から連結する部位と、を備える。
【0025】
第1プラネタリギヤ13の第1リングギヤR1は、第3プラネタリギヤ15の第3サンギヤS3に連結されている。第1プラネタリギヤ13の第1リングギヤR1は、第4プラネタリギヤ16の第4サンギヤS4に連結されている。また、第3サンギヤS3及び第4サンギヤS4は、互いに連結されている。
【0026】
第1プラネタリギヤ13の第1サンギヤS1は、第1ブレーキB1により、トランスミッションケース11に係脱可能に固定される。第1サンギヤS1と第1ブレーキB1は連結部材を介して連結される。この連結部材の一端は入力軸12側から第1サンギヤS1に連結する。
【0027】
第4クラッチCL4は、第1キャリアC1と第2プラネタリギヤ14の第2キャリアC2を係脱可能に連結する。第4クラッチCL4は、第1キャリアC1と第2キャリアC2との間を連結する連結部材に設けられている。この連結部材は、第1キャリアC1と第4クラッチCL4を連結する第4クラッチ連結部材20を含んでいる。即ち、第4クラッチ連結部材20は、第1キャリアC1と第2キャリアC2との間を連結する連結部材のうち、第1キャリアC1と第4クラッチCL4を連結する連結部材である。
【0028】
第4クラッチ連結部材20は、一端が入力軸12側から第1キャリアC1に連結する第1連結部位20aと、一端が第1連結部位20aと連結し、他端がトランスミッションケース11の外径側へ向かって延在する第2連結部位20bと、一端が第2連結部位20bと連結し、他端が回転軸線18方向において第1リングギヤR1の外周側を通って延在する第3連結部位20cと、を備える。
【0029】
第2クラッチCL2は、第1キャリアC1と第2プラネタリギヤ14の第2サンギヤS2を係脱可能に連結する。第2クラッチCL2は、第1キャリアC1と第2サンギヤS2との間を連結する連結部材に設けられている。この連結部材は、第1キャリアC1と第2クラッチCL2を連結する第2クラッチ連結部材21を含んでいる。即ち、第2クラッチ連結部材21は、第1キャリアC1と第2サンギヤS2との間を連結する連結部材のうち、第1キャリアC1と第2クラッチCL2を連結する連結部材である。
【0030】
第2クラッチ連結部材21は、一端が入力軸12側から第1キャリアC1に連結する第4連結部位21aと、一端が第4連結部位21aと連結し、他端がトランスミッションケース11の外径側へ向かって延在する第5連結部位21bと、一端が第5連結部位21bと連結し、他端が回転軸線18方向において第1リングギヤR1の外周側を通って延在する第6連結部位21cと、を備える。
【0031】
なお、図1に示す如く、第4クラッチ連結部材20及び第2クラッチ連結部材21は、互いに共用する部分を有する。即ち、第1連結部位20a及び第4連結部位21aを共用しており、第2連結部位20b及び第5連結部位21bを共用しており、第3連結部位20c及び第6連結部位21cを共用する。
【0032】
そして、図1に示す如く、第3連結部位20cの外表面及び第6連結部位21cの外表面即ち第4クラッチ連結部材20又は第2クラッチ連結部材21の外周側の外周面に、エンジンからの動力を外部に取り出すための動力外部取出し部材Mが設けられている。第4クラッチ連結部材20又は第2クラッチ連結部材21はいずれも、入力軸12側から第1キャリアC1に連結し、第1リングギヤR1の外周側を通って回転軸線18方向に延在する連結部材である。
【0033】
第2プラネタリギヤ14の第2キャリアC2は、第1クラッチCL1により、第3サンギヤS3及び第4サンギヤS4と係脱可能に連結される。第1クラッチCL1は、第2キャリアC2から見て出力軸17側に配置される。第2プラネタリギヤ14の第2リングギヤR2は、第3プラネタリギヤ15の第3キャリアC3に連結されている。第2キャリアC2は、第3クラッチCL3により、第4プラネタリギヤ16の第4リングギヤR4と係脱可能に連結される。第3クラッチCL3は、第2キャリアC2から見て入力軸12側に配置される。
【0034】
第3プラネタリギヤ15の第3リングギヤR3は、第4プラネタリギヤ16の第4キャリアC4に連結されている。第4リングギヤR4は、第2ブレーキB2により、トランスミッションケース11に係脱可能に固定される。第4キャリアC4は、回転軸線18回りに回転可能に軸承された出力軸17に連結される。
【0035】
第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、第3クラッチCL3、第4クラッチCL4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2の作動は、トランスミッションECU(以下単にTM−ECUと称す。)22により制御される。
【0036】
第1サンギヤS1は、第1ブレーキB1による固定部材との連結を選択可能とし、且つ、他のプラネタリギヤとの連結及び他の選択可能な連結を有していない構成である。このため、入力軸12と連結された第1キャリアC1からの出力を、トランスミッションケース11の内部の最外周に位置する経路を通って、他のプラネタリギヤと連結させることができる。このため、この第1キャリアC1から、変速段にかかわらず、常に入力回転と同じ回転の動力を動力外部取出し部材Mにて取り出すことができ、PTOの機能を発揮することができる。
【0037】
以上のように構成された自動変速機10は、図2に示すに様に、第1乃至第4クラッチCL1〜CL4を選択的に係脱し、第1及び第2ブレーキB1、B2を選択的に作動することにより、第1乃至第4プラネタリギヤ13〜16の要素の回転を規制する。これにより、前進10段、後進1段の変速段を成立させることができる。図2において、各変速段に対応する各クラッチ、ブレーキの欄に白丸が付されている場合、クラッチであれば接続状態、ブレーキであれば回転規制状態にあることを示す。
【0038】
第1乃至第4プラネタリギヤ13〜16の如く、シングルピ二オン式遊星歯車機構においては、サンギヤの回転数Ns、キャリアの回転数Nc、リングギヤの回転数Nrと遊星歯車機構のギヤ比λとの関係は、式(1)で示され、各変速段におけるギヤ比は、式(1)に基づいて算出される。サンギヤS1,S2,S3,S4の歯数をZs1,Zs2,Zs3,Zs4、リングギヤR1,R2,R3,R4の歯数をZr1,Zr2,Zr3,Zr4とすると、第1乃至第4ピ二オンギヤ13〜14のギヤ比はλ1=Zs1/Zr1,λ2=Zs2/Zr2,λ3=Zs3/Zr3,λ4=Zs4/Zr4である。
Nr=(1+λ)Nc−λNs・・・(1)
【0039】
第1及び第2ブレーキB1、B2を選択的に作動し、第1乃至第4クラッチCL1〜CL4を選択的に接続した場合、第1乃至第4プラネタリギヤ13〜16の各要素の速度比は、図3に示す速度線図のようになる。速度線図は、遊星歯車機構のサンギヤ、キャリア、リングギヤからなる各要素を横軸方向にギヤ比に対応させた間隔で配置し、縦軸方向に各要素に対応してその速度比を取ったものである。
【0040】
図3には、第1乃至第4プラネタリギヤ13〜16の速度線図が記載されている。第1乃至第4プラネタリギヤ13〜16では、第4サンギヤS4、第3サンギヤS3、第2キャリアC2、及び第1リングギヤR1が連結され、第3キャリアC3及び第2リングギヤR2が連結され、第4キャリアC4及び第3リングギヤR3が連結され、第4リングギヤR4及び第2キャリアC2が連結される。このため、第4サンギヤS4、第3サンギヤS3、第2キャリアC2、及び第1リングギヤR1が付された1本の縦線上に、連結された第4サンギヤS4、第3サンギヤS3、第2キャリアC2、及び第1リングギヤR1の速度比を表す。第3キャリアC3及び第2リングギヤR2が付された1本の縦線上に、連結された第3キャリアC3及び第2リングギヤR2の速度比を表す。第4キャリアC4及び第3リングギヤR3が付された1本の縦線上に、連結された第4キャリアC4及び第3リングギヤR3の速度比を表す。第4リングギヤR4及び第2キャリアC2が付された1本の縦線上に、連結された第4リングギヤR4及び第2キャリアC2の速度比を表す。S2が付された2本の縦線上に、第2サンギヤS2の速度比を表す。
【0041】
シングルピニオン式遊星歯車機構である第4プラネタリギヤ16は、第4リングギヤR4の縦線と第4サンギヤS4の縦線との間隔を1+λ4とみなし、第4キャリアC4の縦線を、第4サンギヤS4の縦線から第4リングギヤR4の縦線と同じ側に間隔1だけ離して配置する。
【0042】
シングルピニオン式遊星歯車機構である第3プラネタリギヤ15についても、第3リングギヤR3の縦線と第サンギヤS3の縦線との間隔を1+λ3とみなし、第3キャリアC3の縦線を、第3サンギヤS3の縦線から第3リングギヤR3の縦線と同じ側に間隔1だけ離して配置する。
【0043】
また、シングルピニオン式遊星歯車機構である第2プラネタリギヤ14についても、第2リングギヤR2と第2キャリアC2の縦線との間隔をλ2とみなし、第2サンギヤS2の縦線を、第2キャリアC2の縦線から第2リングギヤR2の縦線とは反対側に間隔1だけ離して配置する。
【0044】
さらに、図3の速度線図には、第2ブレーキB2、第1乃至第4クラッチCL1〜CL4が選択的に作動された点に、B2、CL1〜CL4がそれぞれ記入されている。
【0045】
このように構成された車両用自動変速機10の速度線図において、6本の縦線のうちで4本の各縦線に対応する要素を、図において右から縦線の並び順に、第1、第2、第3、第4構成要素とする。第1実施形態の場合、第1構成要素は、第4サンギヤS4、第3サンギヤS3、第2キャリアC2、及び第1リングギヤR1である。第4サンギヤS4、第3サンギヤS3、第2キャリアC2、及び第1リングギヤR1は、第1クラッチCL1により相互に連結される。さらに、第4サンギヤS4、第3サンギヤS3、第2キャリアC2、及び第1リングギヤR1は、第4クラッチCL4により入力軸12に連結される。第2構成要素は、第3キャリアC3及び第2リングギヤR2である。第3キャリアC3及び第2リングギヤR2は、互いに連結される。第3構成要素は、第4キャリアC4及び第3リングギヤR3である。第4キャリアC4及び第3リングギヤR3は、互いに連結される。さらに、第4キャリアC4は、出力軸17に連結される。第4構成要素は、第4リングギヤR4及び第2キャリアC2である。第4リングギヤR4及び第2キャリアC2は、第3クラッチCL3により相互に係脱可能に連結される。さらに、第4リングギヤR4及び第2キャリアC2は、第4クラッチCL4により、入力軸12に連結される。
【0046】
以下、各変速段の作動について説明する。前進第1変速段の場合、第1クラッチCL1が接続されることにより、第4構成要素の第2キャリアC2と第3サンギヤS3とが連結される。第2構成要素の第2リングギヤR2が第3キャリアC3に連結され、第1構成要素の第3サンギヤS3が第4サンギヤS4に連結され、第3構成要素の第3リングギヤR3が4キャリアC4に連結される。この構成により、第2プラネタリギヤ14、第3プラネタリギヤ15、及び第4プラネタリギヤ16は、一つの複式遊星歯車装置を形成する。第2クラッチCL2が接続されることにより、第2サンギヤS2が入力軸12により回転駆動される。第2ブレーキB2が作動することにより、第4構成要素の第4リングR4が回転規制される。これにより、第3構成要素である第4キャリアC4と、第4キャリアC4に連結する出力軸17とが、第1変速段のギヤ比で正転駆動される。
【0047】
前進第2変速段の場合、第1クラッチCL1が接続されることにより、第4構成要素の第2キャリアC2と第3サンギヤS3とが連結される。第2構成要素の第2リングギヤR2は第3キャリアC3に連結され、第1構成要素の第3サンギヤS3は第4サンギヤS4に連結され、第3構成要素の第3リングギヤR3は第4キャリアC4に連結される。この構成により、第2プラネタリギヤ14、第3プラネタリギヤ15、及び第4プラネタリギヤ16は、一つの複式遊星歯車装置を形成する。第4クラッチCL4が接続されることにより、第4構成要素の第2キャリアC2が入力軸12により回転駆動される。第2ブレーキB2が作動することにより、第4構成要素の第4リングR4が回転規制される。これにより、第3構成要素である第4キャリアC4と、第4キャリアC4に連結する出力軸17は、第2変速段のギヤ比で正転駆動される。
【0048】
前進第3変速段の場合、第1構成要素の第3サンギヤS3が第4サンギヤS4に連結され、第3構成要素の第3リングギヤR3が第4キャリアC4に連結される。この構成により、第3プラネタリギヤ15及び第4プラネタリギヤ16は、一つの複式遊星歯車装置を形成する。第1ブレーキB1が作動して第1サンギヤS1が回転規制されることにより、入力軸12の回転より回転数が大きな増速回転が、第1構成要素の第1リングギヤR1、第4サンギヤS4、及び第3サンギヤS3に生じる。第2ブレーキB2が作動して第4構成要素の第4リングR4が回転規制されることにより、第3構成要素である第4キャリアC4と、第4キャリアC4に連結する出力軸17とが、第3変速段のギヤ比で正転駆動される。
【0049】
前進第4変速段の場合、第1構成要素の第3サンギヤS3が第4サンギヤS4に連結され、第3構成要素の第3リングギヤR3が第4キャリアC4に連結される。この構成により、第3プラネタリギヤ15及び第4プラネタリギヤ16は、一つの複式遊星歯車装置を形成する。第4クラッチCL4が接続されることにより第2キャリアC2が入力軸12により回転駆動される。第2クラッチCL2が接続されることにより第2サンギヤS2が入力軸12により回転駆動される。これにより、第2構成要素の第2リングギヤR2及び第3キャリアC3は、入力軸12により回転駆動される。第2ブレーキB2が作動して第4構成要素の第4リングR4が回転規制されることにより、第3構成要素である第4キャリアC4と、第4キャリアC4に連結する出力軸17とが、第4変速段のギヤ比で正転駆動される。
【0050】
前進第5変速段の場合、第1構成要素の第3サンギヤS3が第4サンギヤS4に連結され、第3構成要素の第3リングギヤR3が第4キャリアC4に連結される。この構成により、第3プラネタリギヤ15及び第4プラネタリギヤ16は、一つの複式遊星歯車装置を形成する。第4クラッチCL4が接続されることにより、第2キャリアC2が入力軸12により回転駆動される。第2クラッチCL2が接続されることにより、第2サンギヤS2が入力軸12により回転駆動される。これにより、第2構成要素の第2リングギヤR2及び第3キャリアC3が、入力軸12により回転駆動される。第1ブレーキB1が作動して第1サンギヤS1は回転規制されることにより、入力軸12の回転より回転数が大きな増速回転が、第1構成要素の第1リングギヤR1、第4サンギヤS4、及び第3サンギヤS3に生じる。これにより、第3構成要素である第3リングギヤR3及び第4キャリアC4と、第4キャリアC4に連結する出力軸17とが、第5変速段のギヤ比で正転駆動される。
【0051】
前進第6変速段の場合、第3クラッチCL3が接続されることにより、第4構成要素の第2キャリアC2と第4リングギヤR4が連結される。第2構成要素の第2リングギヤR2と第3キャリアC3が連結される。第1構成要素の第3サンギヤS3が第4サンギヤS4に連結される。第3構成要素の第3リングギヤR3が、第4キャリアC4に連結される。この構成により、第2プラネタリギヤ14、第3プラネタリギヤ15、及び第4プラネタリギヤ16は、一つの複式遊星歯車装置を形成する。第4クラッチCL4が接続されることにより、第2キャリアC2が入力軸12により回転駆動される。第2クラッチCL2が接続されることにより、第2サンギヤS2が入力軸12により回転駆動される。これにより、第3構成要素である第4キャリアC4と、第4キャリアC4に連結する出力軸17とが、第6変速段のギヤ比1.000で正転駆動される。
【0052】
前進第7変速段の場合、第3クラッチCL3が接続されることにより、第4構成要素の第2キャリアC2と第4リングギヤR4が連結される。第2構成要素の第2リングギヤR2と第3キャリアC3が連結される。第1構成要素の第3サンギヤS3が第4サンギヤS4に連結される。第3構成要素の第3リングギヤR3が第4キャリアC4に連結される。この構成により、第2プラネタリギヤ14、第3プラネタリギヤ15、及び第4プラネタリギヤ16は、一つの複式遊星歯車装置を形成する。第1ブレーキB1が作動して第1サンギヤS1は回転規制されることにより、入力軸12の回転より回転数が大きな増速回転が、第1構成要素の第1リングギヤR1、第4サンギヤS4、及び第3サンギヤS3に生じる。第4クラッチCL4が接続されることにより、第4構成要素の第2キャリアC2が、入力軸12により回転駆動される。これにより、第3構成要素である第4キャリアC4と、第4キャリアC4に連結する出力軸17とが、第7変速段のギヤ比で正転駆動される。
【0053】
前進第8変速段の場合、第3クラッチCL3が接続されることにより、第4構成要素の第2キャリアC2と第4リングギヤR4が連結される。第2構成要素の第2リングギヤR2と第3キャリアC3が連結される。第1構成要素の第3サンギヤS3が第4サンギヤS4に連結される。第3構成要素の第3リングギヤR3が第4キャリアC4に連結される。この構成により、第2プラネタリギヤ14、第3プラネタリギヤ15、及び第4プラネタリギヤ16は、一つの複式遊星歯車装置を形成する。第1ブレーキB1が作動して第1サンギヤS1が回転規制されることにより、入力軸12の回転より回転数が大きな増速回転が、第1構成要素の第1リングギヤR1、第4サンギヤS4、及び第3サンギヤS3に生じる。第2クラッチCL2が接続されることにより、第2サンギヤS2が、入力軸12により回転駆動される。これにより、第3構成要素である第4キャリアC4と、第4キャリアC4に連結する出力軸17とが、第8変速段のギヤ比で正転駆動される。
【0054】
前進第9変速段の場合、第1クラッチCL1が接続されることにより、第4構成要素の第2キャリアC2と第3サンギヤS3とが連結される。第2構成要素の第2リングギヤR2が第3キャリアC3に連結される。第1構成要素の第3サンギヤS3が第4サンギヤS4に連結される。第3構成要素の第3リングギヤR3が第4キャリアC4に連結される。この構成により、第2プラネタリギヤ14、第3プラネタリギヤ15、及び第4プラネタリギヤ16は、一つの複式遊星歯車装置を形成する。第1ブレーキB1が作動して第1サンギヤS1は回転規制されることにより、入力軸12の回転より回転数が大きな増速回転が、第1構成要素の第1リングギヤR1、第4サンギヤS4、及び第3サンギヤS3に生じる。第1クラッチCL1が接続されていることにより、この第1構成要素の第1リングギヤR1、第4サンギヤS4、及び第3サンギヤS3の回転が、第2キャリアC2に伝達される。第3クラッチCL3が接続されることにより、この第2キャリアC2の回転が、第4構成要素の第4リングギヤR4に伝達される。これにより、第3構成要素である第4キャリアC4と、第4キャリアC4に連結する出力軸17とが、第9変速段のギヤ比で正転駆動される。
【0055】
前進第10変速段の場合、第1クラッチCL1が接続されることにより、第4構成要素の第2キャリアC2と第3サンギヤS3とが連結される。第2構成要素の第2リングギヤR2が第3キャリアC3に連結される。第1構成要素の第3サンギヤS3が第4サンギヤS4に連結される。第3構成要素の第3リングギヤR3が第4キャリアC4に連結される。この構成により、第2プラネタリギヤ14、第3プラネタリギヤ15、及び第4プラネタリギヤ16は、一つの複式遊星歯車装置を形成する。第1ブレーキB1が作動して第1サンギヤS1が回転規制されることにより、入力軸12の回転より回転数が大きな増速回転が、第1構成要素の第1リングギヤR1、第4サンギヤS4、及び第3サンギヤS3に生じる。第2クラッチCL2が接続されることにより、第2サンギヤS2が、入力軸12により回転駆動される。これにより、第3構成要素である第3リングギヤR3及び第4キャリアC4と、第4キャリアC4に連結する出力軸17とが、第10変速段のギヤ比で正転駆動される。
【0056】
後退第1変速段の場合、第3クラッチCL3が接続されることにより、第4構成要素の第2キャリアC2と第4リングギヤR4が連結される。第2構成要素の第2リングギヤR2と第3キャリアC3が連結される。第1構成要素の第3サンギヤS3が第4サンギヤS4に連結される。第3構成要素の第3リングギヤR3が第4キャリアC4に連結される。この構成により、第2プラネタリギヤ14、第3プラネタリギヤ15、及び第4プラネタリギヤ16は、一つの複式遊星歯車装置を形成する。第2クラッチCL2が接続されることにより、第2サンギヤS2が、入力軸12により回転駆動される。第2ブレーキB2が作動して、第4構成要素の第4リングギヤR4が回転規制されことにより、第3構成要素である第4キャリアC4と、第4キャリアC4に連結する出力軸17とが、後退第1変速段のギヤ比で逆転駆動される。
【0057】
上述した変速段によれば、前進第1速変速段と後退第1変速段との切替に関して、第2クラッチCL2と第2ブレーキB2の係合を保持したまま第1クラッチCL1と第3クラッチCL3の係合を切り替えることで第2プラネタリギヤ14のリングギヤR2の回転を反転させることができる。その結果、車庫内で変速を行う場合に、前進第1速変速段と後退第1変速段とのシフト切替(以下ガレージシフトと称す。)を行うときに、第1クラッチCL1か第3クラッチCL3かの一つの締結要素を掛け替えるのみで切替ることができる。このため、ガレージシフトを行うために必要な応答時間を短くすることができる。
【0058】
次に、第2実施形態の自動変速機30を、図4乃至図6に基づいて説明する。第2実施形態の自動変速機30は、前述の実施形態における自動変速機10と比較して、自動変速機10の第1プラネタリギヤ13と第2プラネタリギヤ14とを入れ替えて第1プラネタリギヤ14yと第2プラネタリギヤ13yとし、連結部、クラッチ、ブレーキの繋ぎは据え置いたものである。
【0059】
第2プラネタリギヤ13yの第1キャリアC1yは、入力連結部材19を介して、入力軸12に連結されている。入力連結部材19は、その一端が入力軸12に連結し、他端が第1キャリアC1yに連結する。入力連結部材19は、回転軸線18上において第1サンギヤS1yの内周側を通って延在する部位と、トランスミッションケース11の外径側に向かって延在する部位と、第1キャリアC1yに出力軸17側から連結する部位と、を備える。
【0060】
第2プラネタリギヤ13yの第1リングギヤR1yは、第3プラネタリギヤ15の第3サンギヤS3に連結されている。第2プラネタリギヤ13yの第1リングギヤR1yは、第4プラネタリギヤ16の第4サンギヤS4に連結されている。また、第3サンギヤS3及び第4サンギヤS4は、互いに連結されている。
【0061】
第2プラネタリギヤ13yの第1サンギヤS1yは、第1ブレーキB1により、トランスミッションケース11に係脱可能に固定される。第1サンギヤS1yと第1ブレーキB1は連結部材を介して連結される。この連結部材の一端は入力軸12側から第1サンギヤS1yに連結する。
【0062】
第4クラッチCL4は、第1キャリアC1yと第1プラネタリギヤ14yの第2キャリアC2yとを係脱可能に連結する。第4クラッチCL4は、第1キャリアC1yと第2キャリアC2yとの間を連結する連結部材に設けられている。この連結部材は、第1キャリアC1yと第4クラッチCL4を連結する第4クラッチ連結部材20yを含んでいる。即ち、第4クラッチ連結部材20yは、第1キャリアC1yと第2キャリアC2yとの間を連結する連結部材のうち、第1キャリアC1yと第4クラッチCL4を連結する連結部材である。
【0063】
第2クラッチCL2は、第1キャリアC1yと第1プラネタリギヤ14yの第2サンギヤS2yとを係脱可能に連結する。第2クラッチCL2は、第1キャリアC1yと第2サンギヤS2yとの間を連結する連結部材に設けられている。この連結部材は、第1キャリアC1yと第2クラッチCL2を連結する第2クラッチ連結部材21yを含んでいる。即ち、第2クラッチ連結部材21yは、第1キャリアC1yと第2サンギヤS2yとの間を連結する連結部材のうち、第1キャリアC1yと第2クラッチCL2を連結する連結部材である。
なお、図4に示す如く、第4クラッチ連結部材20y及び第2クラッチ連結部材21yは、互いに共用する部分を有する。
【0064】
第1プラネタリギヤ14yの第2キャリアC2yは、第1クラッチCL1により、第3サンギヤS3及び第4サンギヤS4と係脱可能に連結される。第1クラッチCL1は、第2キャリアC2yから見て出力軸17側に配置される。第1プラネタリギヤ14yの第2リングギヤR2yは、第3プラネタリギヤ15の第3キャリアC3に連結されている。第2キャリアC2yは、第3クラッチCL3により、第4プラネタリギヤ16の第4リングギヤR4と係脱可能に連結される。第3クラッチCL3は、第2キャリアC2yから見て入力軸12側に配置される。第3プラネタリギヤ15の第3リングギヤR3は、第4プラネタリギヤ16の第4キャリアC4に連結されている。
【0065】
第4リングギヤR4は、第2ブレーキB2により、トランスミッションケース11に係脱可能に固定される。第4キャリアC4は、回転軸線18回りに回転可能に軸承された出力軸17と連結される。
【0066】
第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、第3クラッチCL3、第4クラッチCL4、第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2の作動は、トランスミッションECU(以下単にTM−ECUと称す。)22により制御される。
【0067】
以上のように構成された自動変速機30は、第1乃至第4クラッチCL1〜CL4を選択的に係脱し、第1及び第2ブレーキB1、B2を選択的に作動することにより、第1乃至第4プラネタリギヤ13y,14y,15及び16の要素の回転を規制する。これにより、前進10段、後進1段の変速段を成立することができる。図5において、各変速段に対応する各クラッチ、ブレーキの欄に白丸が付されている場合、クラッチであれば接続状態、ブレーキであれば回転規制状態にあることを示す。
【0068】
第1及び第2ブレーキB1、B2を図5に示すように選択的に作動し、第1乃至第4クラッチCL1〜CL4を選択的に接続した場合、第1乃至第4プラネタリギヤ13y,14y,15及び16の各要素の速度比は、図6に示す速度線図のようになる。速度線図は、遊星歯車装置のサンギヤ、キャリア、リングギヤからなる各要素を、横軸方向にギヤ比に対応させた間隔で配置し、縦軸方向に各要素に対応してその速度比を取ったものである。
【0069】
図6は、第2実施形態の車両用自動変速機30における速度線図を示し、以下、各変速段の作動について説明する。前進第1変速段の場合、第1クラッチCL1が接続されることにより、第4構成要素の第2キャリアC2yと第3サンギヤS3とが連結される。第2構成要素の第2リングギヤR2yが第3キャリアC3に連結される。第1構成要素の第3サンギヤS3が第4サンギヤS4に連結される。第3構成要素の第3リングギヤR3が第4キャリアC4に連結される。この構成により、第プラネタリギヤ14y、第3プラネタリギヤ15、及び第4プラネタリギヤ16は、一つの複式遊星歯車装置を形成する。第2クラッチCL2が接続されることにより、第2サンギヤS2yが入力軸12により回転駆動される。第2ブレーキB2が作動することにより、第4構成要素の第4リングR4が回転規制される。これにより、第3構成要素である第4キャリアC4と、第4キャリアC4に連結する出力軸17とが、第1変速段のギヤ比で正転駆動される。
【0070】
後退第1変速段の場合、第3クラッチCL3が接続されることにより、第4構成要素の第2キャリアC2yと第4リングギヤR4が連結される。第2構成要素の第2リングギヤR2yと第3キャリアC3が連結される。第1構成要素の第3サンギヤS3が第4サンギヤS4に連結される。第3構成要素の第3リングギヤR3が第4キャリアC4に連結される。この構成により、第プラネタリギヤ14y、第3プラネタリギヤ15、及び第4プラネタリギヤ16は、一つの複式遊星歯車装置を形成する。第2クラッチCL2が接続されることにより、第2サンギヤS2yが、入力軸12により回転駆動される。第2ブレーキB2が作動することにより、第4構成要素の第4リングギヤR4が回転規制される。これにより、第3構成要素である第4キャリアC4と、第4キャリアC4に連結する出力軸17とが、後退第1変速段のギヤ比で逆転駆動される。
【0071】
なお、前進第2変速段から前進第10変速段の作動については、前述の第1実施形態と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0072】
上述した第2実施形態の自動変速機30の変速段によれば、前進第1速変速段と後退第1変速段との切替に関して、第2クラッチCL2と第2ブレーキB2の係合を保持したまま、第1クラッチCL1と第3クラッチCL3の係合を切り替えることで、第プラネタリギヤ14yのリングギヤR2yの回転を反転させることができる。その結果、車庫内で変速を行う場合に、前進第1速変速段と後退第1変速段とのガレージシフトを行うときに、第1クラッチCL1又は第3クラッチCL3のいずれか一つの締結要素を掛け替えるのみで切替ることができる。このため、ガレージシフトを行うために必要な応答時間を短くすることができる。
【0073】
上述の如く、本発明の第1実施形態による車両用自動変速機10によれば、トランスミッションケース11と、第1プラネタリギヤ13の第1リングギヤR1と第3プラネタリギヤ15の第3サンギヤS3とが連結され、第1リングギヤR1と第4プラネタリギヤ16の第4サンギヤS4とが連結され、第2プラネタリギヤ14の第2リングギヤR2と第3プラネタリギヤ15の第3キャリアC3とが連結され、第3プラネタリギヤ15の第3リングギヤR3と第4プラネタリギヤ16の第4キャリアC4とが連結されて、トランスミッションケース11に回転軸線18と同軸に支承されたシングルピニオン式の4個のプラネタリギヤ13、14,15,16と、トランスミッションケース11に回転軸線18回りに回転可能に軸承され、第1プラネタリギヤ13の第1キャリアC1に連結された入力軸12と、トランスミッションケース11に回転軸線18回りに回転可能に軸承され、第4キャリアC4に連結された出力軸17と、第1プラネタリギヤ13の第1サンギヤS1をトランスミッションケース11に係脱可能に固定する第1ブレーキB1と、第4プラネタリギヤ16の第4リングギヤR4をトランスミッションケース11に係脱可能に固定する第2ブレーキB2と、互いに連結された第1リングギヤR1、第3及び第4サンギヤS3、S4と第2プラネタリギヤ14の第2キャリアC2とを係脱可能に連結する第1クラッチCL1と、第1キャリアC1と第2プラネタリギヤ14の第2サンギヤS2とを係脱可能に連結する第2クラッチCL2と、第2キャリアC2と第4リングギヤR4とを係脱可能に連結する第3クラッチCL3と、第1キャリアC1と第2プラネタリギヤ14の第2キャリアC2とを係脱可能に連結する第4クラッチCL4とを備える構成である。これにより、第1サンギヤS1は、第1ブレーキB1による固定部材との連結を選択可能とし、且つ、他のプラネタリギヤとの連結及び他の選択可能な連結を有していない構成である。このため、入力軸12と連結された第1キャリアC1からの出力を、トランスミッションケース11の内部の最外周に位置する経路を通って、他のプラネタリギヤと連結させることが可能となる。このため、この第1キャリアC1から、変速段にかかわらず、常に入力回転と同じ回転の動力をPTOとして取り出すことができる。
【0074】
上述の如く、本発明の第1実施形態による車両用自動変速機10によれば、第1乃至第4プラネタリギヤ13〜16は、入力軸12側から出力軸17側に向かって順次並列に配置され、入力軸12に連結し、回転軸線18上において第1サンギヤS1の内周側を通って延在し、第1キャリアC1に出力軸17側から連結する入力連結部材19と、第1キャリアC1と第2キャリアC2との間を連結する連結部材のうち、第1キャリアC1と第4クラッチCL4を連結する連結部材であって、入力軸12側から第1キャリアC1に連結し、第1リングギヤR1の外周側を通って回転軸線18方向に延在する第4クラッチ連結部材20と、を更に備える構成であり。これにより、入力軸12と連結された第1キャリアC1からの出力を、トランスミッションケース11の内部の最外周に位置する経路を通る第4クラッチ連結部材20を介して、他のプラネタリギヤと連結させることができる。
【0075】
上述の如く、本発明の第1実施形態による車両用自動変速機10によれば、第4クラッチ連結部材20の外周側20cの外周面に、エンジンからの動力を外部に取り出すための動力外部取出し部材Mを設けた構成により、動力外部取出し部材Mを、トランスミッションケース11の内部の最外周に配置することができる。
【0076】
上述の如く、本発明の第1実施形態による車両用自動変速機10によれば、第1乃至第4プラネタリギヤ13〜16は、入力軸12側から出力軸17側に向かって順次並列に配置され、入力軸12に連結し、回転軸線18上において第1サンギヤS1の内周側を通って延在し、第1キャリアC1に出力軸17側から連結する入力連結部材と、第1キャリアC1と第2サンギヤS2との間を連結する連結部材のうち、第1キャリアC1と第2クラッチCL2を連結する連結部材であって、入力軸12側から第1キャリアC1に連結し、第1リングギヤR1の外周側を通って回転軸線18方向に延在する第2クラッチ連結部材21と、を更に備える構成により、入力軸12と連結された第1キャリアC1からの出力は、他のプラネタリギヤとの連結のために、第2クラッチ連結部材21にてトランスミッションケース11の内部の最外周に位置する経路を通ることが可能となる。
【0077】
上述の如く、本発明の第1実施形態による車両用自動変速機10によれば、第2クラッチ連結部材21の外周側21cの外周面に、エンジンからの動力を外部に取り出すための動力外部取出し部材Mを設けた構成により、動力外部取出し部材Mを、トランスミッションケース11の内部の最外周に配置することができる。
【0078】
なお、複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の特徴部分を適宜組合せることが可能であることは、明らかである。
【符号の説明】
【0079】
10:車両用自動変速機
11:トランスミッションケース
12:入力軸
13:第1プラネタリギヤ
14:第2プラネタリギヤ
15:第3プラネタリギヤ
16:第4プラネタリギヤ
17:出力軸
18:回転軸線
19:入力連結部材
20:第4クラッチ連結部材
21:第2クラッチ連結部材
B1:第1ブレーキ
B2:第2ブレーキ
C1:第1キャリア
C2:第2キャリア
C3:第3キャリア
C4:第4キャリア
CL1:第1クラッチ
CL2:第2クラッチ
CL3:第3クラッチ
CL4:第4クラッチ
M:動力外部取出し部材
R1:第1リングギヤ
R2:第2リングギヤ
R3:第3リングギヤ
R4:第4リングギヤR4
S1:第1サンギヤ
S2:第2サンギヤ
S3:第3サンギヤ
S4:第4サンギヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6