(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2当接部の上端と前記第3当接部の上端とは、上側を向く平坦面によって前記積載面上に排出されるシートに下側から当接可能とされている請求項1又は2記載のシート搬送装置。
前記第2当接部の上端の少なくとも一部と前記第3当接部の上端の少なくとも一部とは、前記第1当接部の上端に連結している請求項1乃至3のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、最近のシート搬送装置では、はがきサイズ等の小サイズのシートや厚く撓み難いシートを搬送部により搬送し、排出部により積載面上に排出することが可能なものがある。この点、上記従来のシート搬送装置では、そのようなシートが積載面上に排出される場合、第1当接部の上端によってそのシートにおける幅方向の中央部を持ち上げても、そのシートが搬送方向に直交する断面において逆U字状に湾曲することなく、第1当接部の上端を中心として傾斜し易い。すると、そのシートの幅方向の一端縁が積載面に当接し、幅方向の他端縁が積載面から上側に離間する状態となってしまう。このため、後から積載面上に排出されるシートがその前のシートに引っ掛かり易くなる。その結果、このシート搬送装置では、後のシートの排出が阻害されたり、複数枚のシートが乱れた状態で積載面上に積層されたりするおそれがある。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、シートの種類にかかわらず、複数枚のシートを積載面上に安定して排出し、積層することができるシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のシート搬送装置は、シートを所定の搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部の一部を構成し、前記シートを前記搬送方向の下流側に位置する積載面上に排出する排出部と、を備えるシート搬送装置であって、
前記積載面は、前記搬送方向及び前記搬送方向に直交する幅方向に延び、前記排出部により排出されるシートを下側から支持可能であり、
前記積載面における前記幅方向の中央部に設けられ、その上端が前記積載面より上側に位置し、かつ前記搬送方向に延び、前記排出部により排出されるシートに下側から当接可能な第1当接部と、
前記積載面における前記第1当接部より前記幅方向の一方側に設けられ、その上端が前記積載面より上側に位置し、前記排出部により排出されるシートに下側から当接可能な第2当接部と、
前記積載面における前記第1当接部より前記幅方向の他方側に設けられ、その上端が前記積載面より上側に位置し、前記排出部により排出されるシートに下側から当接可能な第3当接部とを有し、
前記第2当接部の上端と前記第3当接部の上端とが前記幅方向において互いに離間する距離は、前記搬送部が搬送可能な最小サイズのシートにおける前記幅方向の両端縁間の距離以下に設定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のシート搬送装置では、薄く撓み易いシートが積載面上に排出される場合、第1当接部の搬送方向に延びる上端によって、そのシートにおける幅方向の中央部を持ち上げる。これにより、そのシートを搬送方向に直交する断面において逆U字状に湾曲させて、腰を持たせることができる。その結果、このシート搬送装置では、薄く撓み易い複数枚のシートを積載面上に安定して排出し、積層することができる。
【0010】
それに加え、このシート搬送装置では、小サイズのシートや厚く撓み難いシートが積載面上に排出される場合、第2当接部の上端と第3当接部の上端とによって、そのシートにおける幅方向の一端側と他端側とを持ち上げる。ここで、第2当接部の上端と第3当接部の上端とが幅方向において互いに離間する距離は、搬送部が搬送可能な最小サイズのシートにおける幅方向の両端縁間の距離以下に設定されている。これにより、このようなシートの幅方向の両端縁又はその両端縁より幅方向の内側に第2当接部の上端と第3当接部の上端とが下側から確実に当接し、そのシートの両端縁を積載面から上側に離間する状態にできる。つまり、第2当接部の上端と第3当接部の上端とによって、これらのシートの積載面に対する傾斜が抑制される。このため、後から積載面上に排出されるシートがその前のシートに引っ掛かり難くなる。その結果、このシート搬送装置では、小サイズのシートや厚く撓み難いシートに関しても、複数枚のシートを積載面上に安定して排出し、積層することができる。
【0011】
したがって、本発明のシート搬送装置では、シートの種類にかかわらず、複数枚のシートを積載面上に安定して排出し、積層することができる。
【0012】
第1当接部は、第2当接部及び第3当接部より搬送方向の下流側まで延びていることが望ましい。この構成によれば、薄く撓み易いシートに関し、第1当接部における第2当接部及び第3当接部より搬送方向の下流側に延びる部位によって、そのシートにおける幅方向の中央部を長い範囲にわたって持ち上げる。これにより、そのシートを搬送方向に直交する断面において確実に逆U字状に湾曲させて、良好に腰を持たせることができる。その結果、このシート搬送装置では、薄く撓み易い複数枚のシートを積載面上に一層安定して排出し、積層することができる。
【0013】
第2当接部の上端と第3当接部の上端とは、上側を向く平坦面によって積載面上に排出されるシートに下側から当接可能とされていることが望ましい。この構成によれば、第2当接部及び第3当接部の平坦面によって、小サイズのシートや厚く撓み難いシートの傾斜を好適に抑制し、そのようなシートを第2当接部及び第3当接部の平坦面と平行に近い状態で安定して支持できる。
【0014】
第2当接部の上端の少なくとも一部と第3当接部の上端の少なくとも一部とは、第1当接部の上端に連結していることが望ましい。この構成によれば、搬送部が搬送可能な最小サイズのシートにおける幅方向の両端縁間の距離が第1当接部の幅方向の長さに近い長さであっても、第2当接部の上端及び第3当接部の上端の第1当接部の上端に連結している部分の近傍においてその最小サイズのシートに下側から当接し、そのシートの傾斜を抑制できる。
【0015】
第2当接部の上端及び第3当接部の上端は、第1当接部の上端と同じ高さに設定されていることが望ましい。この構成によれば、小サイズのシートや厚く撓み難いシートに、同じ高さである第1当接部の上端と第2当接部の上端と第3当接部の上端とが下から当接し、そのようなシートをそれらの上端によって積載面と平行な状態で支持できる。その結果、このシート搬送装置では、小サイズのシートや厚く撓み難いシートに関し、複数枚のシートを積載面上に一層安定して排出し、積層することができる。
【0016】
第1当接部、第2当接部及び第3当接部は、積載面から一体に立ち上がって成形されていることが望ましい。この構成によれば、積載面に対して、第1当接部、第2当接部及び第3当接部を取り付ける作業が不要となる。また、一体成形により、第1当接部、第2当接部及び第3当接部の積載面上における配置のばらつきを小さくできる。
【0017】
第2当接部及び第3当接部は、幅方向において互いに接近及び離間可能に構成されていることが望ましい。この構成によれば、搬送部に搬送されるシートのサイズに応じて、第2当接部の上端と第3当接部の上端とが幅方向において離間する距離を変更できる。これにより、このシート搬送装置では、小サイズのシートや厚く撓み難いシートのサイズの大小にかかわらず、積載面上でのそのシートの傾斜を好適に抑制できる。
【0018】
本発明のシート搬送装置は、排出部よりも搬送方向の上流側に設けられ、搬送部によって搬送されるシートの画像を読み取る読取部をさらに備えていることが望ましい。この構成によれば、読取部によって画像が読み取られた複数枚のシートを積載面上に安定して排出し、積層することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施例1〜4を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(実施例1)
図1に示すように、実施例の画像読取装置1は、本発明のシート搬送装置の具体的態様の一例である。
図1では、操作パネル5が設けられた側を装置の前側と規定し、操作パネル5に向かった場合に左手に来る側を左側と規定して、前後、左右及び上下の各方向を表示する。そして、
図2以降の各図に示す各方向は、全て
図1に示す各方向に対応させて表示する。以下、
図1等に基づいて、画像読取装置1が備える各構成要素について説明する。
【0022】
<全体構成>
図1〜
図4に示すように、画像読取装置1は、本体部8と開閉部9とを備えている。本体部8は、扁平な略箱状体である。
図1に示すように、本体部8の前側に操作パネル5が設けられている。
【0023】
図4に示すように、本体部8内の下側部分には、画像形成ユニット6が設けられている。図示は省略するが、画像形成ユニット6には、インクジェット方式又はレーザ方式等の画像形成部が収容されている。
【0024】
本体部8内の上側部分には、読取ユニット30が設けられている。読取ユニット30の上面には、第1プラテンガラス7及び第2プラテンガラス7Aが配設されている。第1プラテンガラス7の上面は、支持面8Aとされている。支持面8Aは、原稿の画像を静止させた状態で読み取る際に、その原稿を下側から支持する。原稿には、用紙、OHPシートの他、書籍等が含まれる。第2プラテンガラス7Aは、第1プラテンガラス7の左側に位置して前後方向に細長く延びている。
【0025】
図1に示すように、開閉部9は、本体部8の後面側上端縁に配設された図示しないヒンジによって、左右方向に延びる開閉軸心X9周りに揺動可能に支持されている。開閉部9は、
図1に実線で示すように、閉じた状態では支持面8Aを上方から覆っている。図示は省略するが、開閉部9は、その前端部側が上方かつ後方に変位するように開閉軸心X9周りに揺動することにより、支持面8Aの上方を開放する。これにより、ユーザは読取対象の原稿を支持面8Aに支持させることができる。
【0026】
また、画像読取装置1は、
図1及び
図4に示すように、読取部3と供給トレイ91と排出トレイ92と搬送部4と排出部47とを備えている。
【0027】
図4に示すように、読取部3は、本体部8の読取ユニット30内に収容されている。読取部3としては、CIS(Contact Image Sensor)やCCD(Charge Coupled Device)等の周知の画像読取センサが採用される。
【0028】
読取部3は、図示しない走査機構により、第1プラテンガラス7の下側で左右方向に往復動可能となっている。支持面8Aに支持された原稿の画像を読み取る場合、図示しない走査機構が作動し、読取部3を読取ユニット30内における左端側から右端側に移動させる。また、供給トレイ91上の複数枚のシートSHを搬送しながら画像を読み取る場合、図示しない走査機構が作動し、読取部3を
図4に示す読取ユニット30内の左端側に移動させ、第2プラテンガラス7Aに下側から対向する固定読取位置に停止させる。第2プラテンガラス7Aの上側を向く面は、読取面8Bとされている。
【0029】
図2、
図3及び
図4に示すように、供給トレイ91は、開閉部9に設けられている。供給トレイ91は、固定トレイ部91Aと可動トレイ部91Bとからなる。固定トレイ部91Aは、開閉部9の中央部の上側に固定されて、前後方向及び左右方向に略平板状に延びている。可動トレイ部91Bは、固定トレイ部91Aの右端縁側において前後方向に延びる開閉軸心X91B周りで揺動可能に開閉部9に支持されている。可動トレイ部91Bは、
図1に実線で示す閉じた状態から、
図1に二点鎖線で示すように右側に揺動することにより、
図2〜
図4に示すように、固定トレイ部91Aに連続して右側に上り傾斜する傾斜面を構成する。この状態にある供給トレイ91は、複数枚のシートを搬送しながら読み取る際、その読取対象のシートSHを下側から支持する。
【0030】
供給トレイ91の固定トレイ部91Aには、一対のガイド60A、60Bが前後方向にスライド可能に設けられている。一対のガイド60A、60Bは、前後方向において対向している。一対のガイド60A、60Bは、図示しないラック&ピニオン機構によって連結されている。一対のガイド60A、60Bは、互いに接近又は離間することにより、供給トレイ91に支持されるサイズの異なる複数種類のシートSHを前後から挟む。こうして、一対のガイド60A、60Bは、供給トレイ91上のシートSHの位置を前後方向において供給トレイ91のセンター基準で位置決めする。
【0031】
例えば、
図2に示すように、A4サイズの用紙等である大サイズのシートSH1(以下、第1シートSH1という)を供給トレイ91上で位置決めする場合、
図2に実線で示すように、一対のガイド60A、60Bが前後方向において、第1シートSH1の前後方向の長さW1と等しい間隔で離間する。また、はがき等である小サイズのシートSH2(以下、第2シートSH2という)を供給トレイ91上で位置決めする場合、
図2に二点鎖線で示すように、一対のガイド60A、60Bが前後方向において、第2シートSH2の前後方向の長さW2と等しい間隔で離間する。本実施例において、第2シートSH2は、搬送部4が搬送可能な最小サイズのシートSHである。以下の説明では、シートSH1とシートSH2とに共通する説明をするときは、両者を区別しないで、「シートSH」と記載する。
【0032】
排出トレイ92は、開閉部9の右側、かつ供給トレイ91の下側に設けられている。排出トレイ92の上面は、後で説明する積載面92Aとされている。搬送部4によって搬送されたシートSHは、排出部47によって排出トレイ92の積載面92A上に排出される。
【0033】
図4に示すように、搬送部4は、シートSHの一面及び他面に当接可能に延びる案内面に囲まれた空間として、搬送経路P1を規定している。搬送経路P1は、まず、供給トレイ91から左側に向かって略水平に延びる部分を含んでいる。次、搬送経路P1は、下向きにUターンする部分を含んでいる。次に、搬送経路P1は、読取面8Bに沿って右方に短く延びる部分を含んでいる。最後に、搬送経路P1は、右側に向かって上り傾斜して排出トレイ92に至る部分を含んでいる。
【0034】
搬送部4によって搬送されるシートSHの搬送方向は、搬送経路P1の上側の略水平部分では左向きであり、搬送経路P1の下向きにUターンする部分では、左向きから変化して右向きになり、搬送経路P1の下側の読取面8Bを通過し排出トレイ92に至る部分では右向きである。
図3〜
図5に、搬送経路P1の排出トレイ92に至る部分の搬送方向をF1で示す。また、
図3、
図5及び
図6に、搬送方向に直交する幅方向をWFで示す。幅方向WFは前後方向である。第2シートSH2の前後方向の長さW2は、換言すると、第2シートSH2における幅方向WFの両端縁間の距離である。
【0035】
図4に示すように、搬送部4は、搬送経路P1のうち供給トレイ91に近い位置において、供給ローラ41と分離ローラ42と分離パッド42Aとを有している。供給ローラ41は、供給トレイ91上のシートSHを搬送方向の下流側の分離ローラ42に送り出す。分離ローラ42は、複数枚のシートSHが重なった状態で搬送されそうになったとき、分離パッド42Aと協働して1枚ずつに分離し、搬送方向のさらに下流側に搬送する。
【0036】
搬送部4は、搬送経路P1において下向きにUターンする部分において、搬送ローラ44Aと湾曲ガイド面44Gとを有している。搬送ローラ44Aは、搬送経路P1において下向きにUターンする部分の内側ガイド面を形成している。湾曲ガイド面44Gは、搬送経路P1において下向きにUターンする部分の外側ガイド面を形成している。搬送ローラ44Aは、その外周に当接するピンチローラ44P、44Qと協働して、シートSHを読取面8Bに搬送する。
【0037】
搬送部4は、読取面8Bに対して上側から対向する位置に、押圧部材49を有している。押圧部材49は、図示しない付勢部材により、シートSHを上側から押圧して、読取面8Bに接触させる。
【0038】
搬送部4は、搬送経路P1における押圧部材49より右側で上り傾斜する部分において、2つのガイド壁45、46を有している。ガイド壁45は、搬送経路P1の上り傾斜する部分を下側から形成している。ガイド壁46は、ガイド壁45の上側に位置して、ガイド壁45との間に隙間を形成している。ガイド壁46は、搬送経路P1の上り傾斜する部分を上側から形成している。
【0039】
搬送部4は、ガイド壁45、46の排出トレイ92に臨む右端部側に、排出ローラ48A、48Bとピンチローラ48P、48Qとを有している。排出部47は、ガイド壁45、46と排出ローラ48A、48Bとピンチローラ48P、48Qとからなる。つまり、排出部47は、搬送部4の一部を構成している。固定読取位置に停止した読取部3は、排出部47よりも搬送方向の上流側に位置している。
【0040】
図3〜
図6に示すように、排出ローラ48A、48Bは、幅方向WFと平行に延びる駆動軸48Sにより回転駆動される。排出ローラ48A、48Bは、読取面8A上を通過したシートSHをピンチローラ48P、48Qと協働して排出トレイ92の積載面92A上に排出する。搬送方向F1は、排出部47によってシートSHが排出トレイ92の積載面91A上に排出される排出方向を示している。
【0041】
<画像読取動作>
この画像読取装置1では、支持面8Aに支持された原稿の画像を読み取る場合、
図4に示すように、図示しない走査機構が作動し、読取部3を読取ユニット30内における左端側から右端側に移動させる。これにより、読取部3は、支持面8Aに支持された原稿の画像を読み取る。その後、図示しない走査機構は、読み取りを終えた読取部3を読取ユニット30内における右端側から左端側に移動させ、元の位置に復帰させる。
【0042】
また、この画像読取装置1では、供給トレイ91上の複数枚のシートSHを搬送しながら画像を読み取る場合、
図4に示すように、図示しない走査機構が作動し、読取部3を第2プラテンガラス7Aと対向する固定読取位置に停止させる。そして、搬送部4が供給トレイ91上のシートSHを搬送経路P1に沿って順次搬送すると、そのシートSHが読取面8Bに接触しながら固定読取位置にある読取部3の上側を通過するので、読取部3は、その通過するシートSHの画像を読み取る。画像が読み取られたシートSHは、排出部47によって、排出トレイ92の積載面92A上に排出される。
【0043】
<積載面等の具体的構成>
図3〜
図6に示すように、排出トレイ92の積載面92Aは、排出部47がシートSHを排出する方向である搬送方向F1及び幅方向WFに延びている。積載面92Aは、右側に向かって浅い角度で上り傾斜している。積載面92Aの左端縁は、ガイド壁45の右端縁から略垂直に垂れ下がる立壁92Bの下端縁に接続している。積載面92Aは、第1当接部93、第2当接部94及び第3当接部95を有している。
【0044】
第1当接部93は、積載面92Aにおける幅方向WFの中央部に設けられている。第1当接部93は、積載面92Aから一体的に立ち上がって形成されるリブである。第1当接部93は、立壁92Bから搬送方向F1に、すなわち右側に延びている。第1当接部93の上端93Aは、積載面92Aより上側に位置している。上端93Aは、立壁92Bから右側に延びる平坦面である。このような第1当接部93は、その上端93Aが排出部47により積載面92A上に排出されるシートSHに下側から当接可能となっている。
【0045】
第2当接部94は、積載面92Aにおける第1当接部93より幅方向WFの一方側、すなわち第1当接部93より前側に設けられている。第2当接部94は、積載面92Aから一体的に立ち上がって形成されるリブである。第2当接部94は、立壁92Bから搬送方向F1に、すなわち右側に延びている。第2当接部94は、第1当接部93と平行に延びている。第2当接部94の上端94Aは、積載面92Aより上側に位置している。上端94Aは、立壁92Bから右側に延びる平坦面である。このような第2当接部94は、その上端94Aが排出部47により積載面92A上に排出されるシートSHに下側から当接可能となっている。
【0046】
第3当接部95は、積載面92Aにおける第1当接部93より幅方向WFの他方側、すなわち第1当接部93より後側に設けられている。第3当接部95は、積載面92Aから一体的に立ち上がって形成されるリブである。第3当接部95は、立壁92Bから搬送方向F1に、すなわち右側に延びている。第3当接部95は、第1当接部93と平行に延びている。第3当接部95の上端95Aは、積載面92Aより上側に位置している。上端95Aは、立壁92Bから右側に延びる平坦面である。このような第3当接部95は、その上端95Aが排出部47により積載面92A上に排出されるシートSHに下側から当接可能となっている。
【0047】
図6(a)に示すように、第1当接部93の上端93Aと、第2当接部94の上端943Aと、第3当接部95の上端95Aとは、積載面92Aから同じ高さH1に設定されている。それぞれ平坦面である各上端93A、94A、95Aは、積載面92Aと平行な一つの平面に含まれている。
【0048】
図6(b)に示すように、後側に位置する排出ローラ48A及びピンチローラ48Pの組と、前側に位置する排出ローラ48B及びピンチローラ48Qの組との間の距離L5は、第2シートSH2の幅方向WFの長さW2より小さく設定されている。つまり、距離L5は、搬送部4が搬送可能な最小サイズの第2シートSH2、又はそれより大きなシートSHの幅方向WFにおける両端縁を排出ローラ48A、48B及びピンチローラ48P、48Qによって挟持し、搬送できる大きさに設定されている。
【0049】
第2当接部94の上端94Aと第3当接部95の上端95Aとが幅方向WFにおいて互いに離間する距離は、L2に設定されている。距離L2は、最小サイズの第2シートSH2の幅方向WFの長さW2以下に設定されている。本実施例では、距離L2は、最小サイズの第2シートSH2の幅方向WFの長さW2の半分より小さい。
【0050】
図6(a)に示すように、第2当接部94の上端94Aの前側で左右方向に延びる稜線と、第3当接部95の上端95Aの後側で左右方向に延びる稜線とが幅方向WFにおいて互いに離間する距離は、距離L1に設定されている。本実施例では、距離L1も、最小サイズの第2シートSH2の幅方向WFの長さW2の半分より小さい。
【0051】
図5に示すように、第1当接部93の上端93Aの搬送方向F1の長さは、L3に設定されている。長さL3は、第1シートSH1のサイズや厚み等によって適宜設定される。本実施例では、長さL3は、第1シートSH1の搬送方向F1の長さの1/3〜半分程度とされているが、第1シートSH1の搬送方向F1の長さ程度まで長く設定してもよい。
【0052】
第2当接部94の上端94Aの搬送方向F1の長さ及び第3当接部95の上端95Aの搬送方向F1の長さは、L4に設定されている。長さL4は、第1当接部93の搬送方向F1の長さL3よりも短い。長さL4は、第2シートSH2のサイズや厚み等によって適宜設定される。本実施例では、長さL4は、第2シートSH2の搬送方向F1の長さの1/3〜半分程度とされている。また、本実施例では、長さL4は、第1当接部93の上端93Aの搬送方向F1の長さL3の1/3〜半分程度とされている。このような長さL4の設定は、後述する第1当接部93の上端93Aの第1シートSH1に対する作用を効果的に発揮させるためである。
【0053】
図5及び
図6に示すように、排出ローラ48A及びピンチローラ48Pの組と、排出ローラ48B及びピンチローラ48Qの組との幅方向WFの外側には、一対の押さえ部材49A、49Bが設けられている。各押さえ部材49A、49Bは、排出トレイ92の積載面92Aに向かって上方から延設されている。押さえ部材49Bは、第2当接部94より前側に位置している。押さえ部材49Aは、第3当接部95より後側に位置している。
【0054】
各押さえ部材49A、49Bは、その上端において幅方向WFに延びる軸49A1、49B1により固定トレイ部91Aの下に揺動可能に支持されている。各押さえ部材49A、49Bは、図示しない付勢部材により、その下端を積載面92Aに接近させる方向に付勢されている。
【0055】
図6(a)に示すように、各押さえ部材49A、49Bが最も下に揺動した位置において、その押さえ部材49A、49Bの下端と積載面92Aとの距離をH2とする。距離H2は、第1当接部93、第2当接部94及び第3当接部95の上端93A、94A、95Aと積載面92Aとの距離H1よりも小さい。
【0056】
図5及び
図6に示すように、排出トレイ92には、ガイド片50が設けられている。ガイド片50は、排出部47における幅方向WFの中央部、かつ積載面92Aより上側に位置している。ガイド片50は、弾性を有する樹脂フィルム状の材料によって製作されている。ガイド片50の上端側は、
図4に示すガイド壁46に固定されている。
図5及び
図6に示すように、ガイド片50は、その下端側を第1当接部93、第2当接部94及び第3当接部95に向けて、下向きに傾斜させている。
【0057】
<作用効果>
実施例1の画像読取装置1では、排出部47によってシートSHが積載面92A上に排出される場合、まず、ガイド片50は、その排出されるシートSHに押されて弾性変形し、その復元力によって、シートSHを下側に位置する積載面92A、第1当接部93、第2当接部94及び第3当接部95に向けて、シートSHを付勢する。また、押さえ部材49A、49Bは、その下端側が排出されるシートSHの幅方向WFの両端縁側に接触する場合、図示しない付勢部材に付勢されて、そのシートSH1の幅方向WFの両端縁側を積載面92Aに向けて付勢する。
【0058】
図6(a)に示すように、排出部47によって積載面92A上に排出されるシートSHが薄く撓み易い第1シートSH1である場合、その第1シートSH1が排出部47から搬送方向F1に排出され始めると、その先端が重力により垂れ下がって、第1当接部93、第2当接部94及び第3当接部95の各上端93A、94A、95Aに当接しつつ、搬送方向F1に滑って進行し、さらに、第1当接部93の上端93Aのみに当接しつつ、搬送方向F1に滑って進行する。こうして、第1当接部93の上端93Aは、搬送方向F1に延び、搬送方向F1の長さL3が上端94A、95Aの搬送方向F1の長さL4より長いことによって、その第1シートSH1における幅方向WFの中央部を長い範囲にわたって確実に持ち上げる。このとき、第1シートSH1の幅方向WFの両端縁側は、第1当接部93、第2当接部94及び第3当接部95の各上端94A、95A、96Aに下側から支持されないので、垂れ下がって積載面92Aに接近する。これにより、その第1シートSH1を搬送方向F1に直交する断面において逆U字状に確実に湾曲させて、良好に腰を持たせることができる。図示は省略するが、最小サイズの第2シートSH2が薄く撓み易い場合も、
図6(a)に示す第1シートSH1と同様に変形するので、その第2シートSH2に、腰を持たせることができる。その結果、このシート搬送装置では、薄く撓み易い複数枚のシートSHを積載面92A上に安定して排出し、積層することができる。
【0059】
なお、押さえ部材49A、49Bは、その下端側が積載面92A上のシートSHの幅方向WFの両端縁側に接触する場合、その両端縁側を押さえて浮き上がりを防止し、シートSHが逆U字状に湾曲する状態を好適に維持する。
【0060】
一方、
図6(b)に示すように、排出部47によって積載面92A上に排出されるシートSHがはがき等である最小サイズの第2シートSH2である場合、その第2シートSH2が排出部47から搬送方向F1に排出されると、第1当接部93、第2当接部94及び第3当接部95の各上端93A、94A、95Aに下側から支持される。この際、第2当接部94の上端94Aと第3当接部95の上端95Aとによって、その第2シートSH2における幅方向WFの一端側と他端側とを持ち上げる。第2シートSH2が撓み難いことにより、第2シートSH2における幅方向WFの一端側と他端側とは重量よって垂れ下がり難い。
【0061】
ここで、第2当接部94の上端94Aと第3当接部95の上端95Aとが幅方向WFにおいて互いに離間する距離L2は、搬送部4が搬送可能な最小サイズの第2シートSH2における幅方向WFの両端縁間の距離W2以下に設定されている。これにより、第2シートSH2の幅方向WFの両端縁又はその両端縁より幅方向WFの内側に第2当接部94の上端94Aと第3当接部95の上端95Aとが下側から確実に当接し、第2シートSH2の両端縁を積載面92Aから上側に離間する状態にできる。つまり、第2当接部94の上端94Aと第3当接部95の上端95Aとによって、第2シートSH2の積載面92Aに対する傾斜が抑制される。特に、この画像読取装置1では、第2当接部94の上端94A及び第3当接部95の上端95Aは上側を向く平坦面であり、第1当接部93の上端93Aと同じ高さH1に設定されているので、第2シートSHを各上端93A、94A、95Aによって積載面92Aと平行な状態で支持でき、積載面92A上での第2シートSH2の傾斜をほぼ解消できる。このため、後から積載面92A上に排出される第2シートSH2がその前の第2シートSH2に引っ掛かり難くなる。図示は省略するが、大サイズの第1シートSH1が例えば画用紙等の厚紙であって撓み難い場合も、
図6(b)に示す第2シートSH2と同様に、その第1シートSH1の幅方向WFの一端側と他端側が重力によって垂れ下がり難いので、その第1シートSH1の傾斜をほぼ解消できる。その結果、このシート搬送装置では、小サイズのシートSHや厚く撓み難いシートSHに関しても、複数枚のシートSHを積載面92A上に安定して排出し、積層することができる。
【0062】
比較例として、仮に、第2当接部94及び第3当接部95が存在せず、第1当接部93のみで第2シートSH2を支持する場合を想定し、その第2シートSH2を
図6(b)に細い二点鎖線で示す。この場合、その第2シートSH2は、第1当接部93の上端93を中心に傾斜して、幅方向WFの一端縁を積載面92Aに当接し、幅方向WFの他端縁を積載面92Aから高く離間させる状態となり易い。このため、後から積載面92A上に排出されるシートSHがその前の傾斜した状態のシートSHに引っ掛かり易くなる。その結果、後のシートSHの排出が阻害されたり、複数枚のシートSHが乱れた状態で積載面92A上に積層されたりするおそれがある。
【0063】
したがって、実施例1の画像読取装置1では、シートSHの種類にかかわらず、複数枚のシートSHを積載面92A上に安定して排出し、積層することができる。
【0064】
また、この画像読取装置1では、第1当接部93、第2当接部94及び第3当接部95が積載面92Aから一体的に立ち上がって成形されている。これにより、この画像読取装置1では、積載面92Aに対して、第1当接部93、第2当接部94及び第3当接部95を取り付ける作業が不要となる。また、一体成形により、第1当接部93、第2当接部94及び第3当接部95の積載面92A上における配置のばらつきを小さくできる。
【0065】
(実施例2)
図7に示すように、実施例2の画像読取装置では、搬送部4が搬送可能な最小サイズのシートSHにおける幅方向WFの両端縁間の距離を名刺等に対応するW3としている。このため、実施例2では、後側の排出ローラ48A及びピンチローラ48Pの組と、前側の排出ローラ48B及びピンチローラ48Qの組との間に、排出ローラ48C及びピンチローラ48Rの組を追加している。
【0066】
また、実施例2では、実施例1における第2当接部94を後側に延ばして第1当接部93の前側を向く側面に連結するように変更した第2当接部194を採用し、実施例1における第3当接部95を後側に延ばして第1当接部93の後側を向く側面に連結するように変更した第3当接部195を採用している。第2当接部194の上端194Aと第3当接部195の上端195Aとは、第1当接部93の上端93Aと連結されて、積載面92Aと平行な1つの平坦面を形成している。
【0067】
実施例2のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
このような構成である実施例2の画像読取装置も、実施例1の画像読取装置1と同様の作用効果を奏することができる。特に、この画像読取装置では、排出ローラ48C及びピンチローラ48Rの組によって搬送可能な最小サイズのシートSHにおける幅方向WFの両端縁間の距離W3が第1当接部93の上端93Aの前後方向の長さに近い長さであるにもかかわらず、第2当接部194の上端194A及び第3当接部195の上端195Aにおける第1当接部93Aの上端93Aに連結している部分の近傍が、その最小サイズのシートSHに下側から当接し、そのシートSHの傾斜を抑制できる。
【0069】
(実施例3)
図8に示すように、実施例3の画像読取装置では、実施例2における第2当接部194の前側かつ右側の角部を取り除いてなる傾斜面294Sが形成された第2当接部294を採用し、実施例2における第3当接部195の後側かつ右側の角部を取り除いてなる傾斜面295Sが形成された第3当接部295を採用している。実施例3のその他の構成は、実施例2と同様である。このため、実施例2と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
実施例3において、第2当接部294の傾斜面294Sは、搬送方向F1において第1当接部93の前側を向く側面に接近するように傾斜している。第3当接部295の傾斜面254Sは、搬送方向F1において第1当接部93の後側を向く側面に接近するように傾斜している。
【0071】
このような構成である実施例3の画像読取装置も、実施例1、2の画像読取装置1と同様の作用効果を奏することができる。また、この画像読取装置では、傾斜面294S、295Sが形成された第2当接部294及び第3当接部295により、薄く撓み易いシートSHに良好に腰を持たせる第1当接部93の作用が阻害され難い。
【0072】
(実施例4)
図9に示すように、実施例4の画像読取装置では、実施例1における第2当接部94及び第3当接部95の代わりに、第2当接部394及び第3当接部395を採用している。実施例4のその他の構成は、実施例1と同様である。このため、実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
実施例4において、第2当接部394及び第3当接部395は、幅方向WFにおいて互いに接近及び離間可能に排出トレイ92に支持されている。第2当接部394及び第3当接部395は、積載面92Aに形成された長穴396、397に沿って、幅方向WFに移動可能である。第2当接部394及び第3当接部395には、積載面92Aより下側においてラック398、399が固定されている。ラック398、399には、ピニオン400が噛み合っている。これにより、第2当接部394及び第3当接部395が幅方向WFにおいて互いに接近及び離間しても、第2当接部394及び第3当接部395の中間に第1当接部93が常に位置する。
【0074】
このような構成である実施例4の画像読取装置も、実施例1〜3の画像読取装置1と同様の作用効果を奏することができる。また、この画像読取装置では、搬送部4に搬送されるシートSHのサイズに応じて、第2当接部394の上端394Aと第3当接部395の上端395Aとが幅方向WFにおいて離間する距離を変更できる。これにより、この画像読取装置では、小サイズのシートSHや厚く撓み難いシートSHのサイズの大小にかかわらず、積載面92A上でのそのシートSHの傾斜を好適に抑制できる。
【0075】
なお、供給トレイ91の一対のガイド60A、60Bの操作に連動して第2当接部394と第3当接部395との間隔を調整できるようにしてもよい。
【0076】
以上において、本発明を実施例1〜4に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜4に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0077】
例えば、第1当接部、第2当接部及び第3当接部は、積載面に凸設されていてもよいし、積載面から上側に離間した状態で片持ち梁のように搬送方向に延びていてもよい。また、第1当接部、第2当接部及び第3当接部は、錐状、柱状、ブロック状、リブ状等の各種形状であり得る。
【0078】
第1当接部の上端、第2当接部の上端及び第3当接部の上端は平坦面に限定されず、例えば、稜線状であってもよい。第1当接部において第2当接部及び第3当接部と幅方向WFにおいて対向する部分は、省略してもよい。