(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記解除機構が前記圧力を解除している状態において、前記接離機構と対峙し、前記圧力調整機構の前記直線方向に沿う移動にともない当該接離機構の位置が変動することを抑制する変動抑制機構を備えることを特徴とする請求項1記載の定着装置。
前記圧力調整機構は、前記接離機構が突き当たり当該接離機構を第1位置に配置する第1受部と、当該第1受部とは異なる位置にて当該接離機構が突き当たり当該接離機構を当該第1位置に配置した際よりも前記定着部材および前記加圧部材の距離が短くなる第2位置に配置する第2受部とを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の定着装置。
前記圧力調整機構は、当該圧力調整機構が前記定着部材の回転軸に沿って移動し、前記接離機構が前記第1受部あるいは前記第2受部に突き当たる位置に当該圧力調整機構が配置されると振動を発生させる振動機構を備えることを特徴とする請求項4または5記載の定着装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、定着装置におけるニップ部の圧力を変更する操作を行う際の、この操作のために必要とされるスペースを抑制する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、記録材にトナーを定着させる定着部材と、前記定着部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する加圧部材と、回転しながら前記定着部材から前記加圧部材を接離させる接離機構と、前記接離機構が前記定着部材から前記加圧部材を接離させる際に回転する当該接離機構が通過する領域において、直線方向に沿って移動しながら進退可能に設けられるとともに、当該領域内で当該回転する接離機構が突き当てられ前記ニップ部における圧力を調整する圧力調整機構と
、前記ニップ部における圧力を解除する解除機構と、前記解除機構が前記圧力を解除している状態では前記圧力調整機構の前記直線方向に沿う移動を許容し、前記ニップ部が当該圧力を解除していない状態では当該圧力調整機構の当該直線方向に沿う移動を制限する制限機構とを備え
、前記制限機構は、回転する前記接離機構に設けられ、かつ、回転中心から離れる方向に向かって突起していることを特徴とする定着装置である。
請求項
2記載の発明は、前記解除機構が前記圧力を解除している状態において、前記接離機構と対峙し、前記圧力調整機構の前記直線方向に沿う移動にともない当該接離機構の位置が変動することを抑制する変動抑制機構を備えることを特徴とする請求項
1記載の定着装置である。
請求項
3記載の発明は、前記定着部材は、回転軸を中心として回転しながら記録材にトナーを定着させ、前記圧力調整機構は、前記定着部材の前記回転軸に沿う直線方向において移動可能に設けられることを特徴とする請求項1
または2記載の定着装置である。
請求項
4記載の発明は、前記圧力調整機構は、前記接離機構が突き当たり当該接離機構を第1位置に配置する第1受部と、当該第1受部とは異なる位置にて当該接離機構が突き当たり当該接離機構を当該第1位置に配置した際よりも前記定着部材および前記加圧部材の距離が短くなる第2位置に配置する第2受部とを備えることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれか1項記載の定着装置である。
請求項
5記載の発明は、前記圧力調整機構は、前記接離機構を前記第1受部の両側に形成され、当該第1受部へと案内する傾斜面である第1傾斜面を備えることを特徴とする請求項
4記載の定着装置である。
請求項
6記載の発明は、前記圧力調整機構は、当該圧力調整機構が前記定着部材の回転軸に沿って移動し、前記接離機構が前記第1受部あるいは前記第2受部に突き当たる位置に当該圧力調整機構が配置されると振動を発生させる振動機構を備えることを特徴とする請求項
4または
5記載の定着装置である。
請求項
7記載の発明は、記録材にトナー像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により形成されたトナー像を、回転軸を中心として回転しながら記録材に定着させる定着部材と、前記定着部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する加圧部材と、前記ニップ部における圧力を解除する解除機構と、回転しながら前記定着部材から前記加圧部材を接離させる接離機構と、前記接離機構が前記定着部材から前記加圧部材を接離させる際に回転する当該接離機構が通過する領域において、前記解除機構が前記ニップ部における圧力を解除している状態において前記回転軸に沿って移動しながら進退可能に設けられるとともに、当該領域内で当該回転する接離機構が突き当てられ前記ニップ部における圧力を調整する圧力調整機構と
、前記解除機構が前記圧力を解除している状態では前記圧力調整機構の直線方向に沿う移動を許容し、前記ニップ部が当該圧力を解除していない状態では当該圧力調整機構の当該直線方向に沿う移動を制限する制限機構とを備え
、前記制限機構は、回転する前記接離機構に設けられ、かつ、回転中心から離れる方向に向かって突起していることを特徴とする画像形成装置である。
請求項
8記載の発明は、記録材にトナーを定着させる定着部材と、前記定着部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する加圧部材と、前記定着部材から前記加圧部材を接離させる接離機構と、前記加圧部材を前記定着部材に接触させる方向にて、前記接離機構を付勢する付勢部材と、前記接離機構が前記定着部材から前記加圧部材を接離させることにともない移動する領域に対して、直線方向に沿って移動しながら進退可能に設けられるとともに、当該領域内で当該接離機構が突き当てられ前記ニップ部における圧力を調整する圧力調整機構と
、前記ニップ部における圧力を解除する解除機構と、前記解除機構が前記圧力を解除している状態では前記圧力調整機構の前記直線方向に沿う移動を許容し、前記ニップ部が当該圧力を解除していない状態では当該圧力調整機構の当該直線方向に沿う移動を制限する制限機構とを備え、前記接離機構が前記圧力調整機構に突き当てられたとき、当該接離機構における当該圧力調整機構に突き当てられた部分が当該圧力調整機構および前記付勢部材に挟まれ
ず、前記制限機構は、回転する前記接離機構に設けられ、かつ、回転中心から離れる方向に向かって突起していることを特徴とする定着装置である。
請求項
9記載の発明は、前記圧力調整機構は、前記接離機構を第1受部の両側に形成され、当該第1受部へと案内する傾斜面である第1傾斜面を備えることを特徴とする請求項
8記載の定着装置である。
請求項
10記載の発明は、記録材にトナー像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により形成されたトナー像を、回転軸を中心として回転しながら記録材に定着させる定着部材と、前記定着部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する加圧部材と、前記ニップ部における圧力を解除する解除機構と、前記定着部材から前記加圧部材を接離させる接離機構と、前記加圧部材を前記定着部材に接触させる方向にて、前記接離機構を付勢する付勢部材と、前記接離機構が前記定着部材から前記加圧部材を接離させることにともない移動する領域に対して、直線方向に沿って移動しながら進退可能に設けられるとともに、当該領域内で当該接離機構が突き当てられ前記ニップ部における圧力を調整する圧力調整機構と
、前記解除機構が前記圧力を解除している状態では前記圧力調整機構の前記直線方向に沿う移動を許容し、前記ニップ部が当該圧力を解除していない状態では当該圧力調整機構の当該直線方向に沿う移動を制限する制限機構とを備え、前記接離機構が前記圧力調整機構に突き当てられたとき、当該接離機構における当該圧力調整機構に突き当てられた部分が当該圧力調整機構および前記付勢部材に挟まれ
ず、前記制限機構は、回転する前記接離機構に設けられ、かつ、回転中心から離れる方向に向かって突起していることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によれば、定着装置におけるニップ部の圧力を変更する操作を行う際の、この操作のために必要とされるスペースを抑制することができる。
請求項
2記載の発明によれば、圧力調整機構の位置がばらつくことにともないニップ部の圧力が変動することを抑制できる。
請求項
3記載の発明によれば、定着部材の回転軸の周囲において、ニップ部の圧力を変更する操作のためのスペースを抑制できる。
請求項
4記載の発明によれば、定着部材および前記加圧部材の距離が変動した際にニップ部の圧力を調整することができる。
請求項
5記載の発明によれば、圧力調整機構の位置がばらつくことにともないニップ部の圧力が変動することを抑制できる。
請求項
6記載の発明によれば、圧力調整機構の位置合わせが容易となる。
請求項
7記載の発明によれば、定着装置におけるニップ部の圧力を変更する操作を行う際の、この操作のために必要とされるスペースを抑制することができる。
請求項
8記載の発明によれば、定着装置におけるニップ部の圧力を変更する操作を行う際の、この操作のために必要とされるスペースを抑制することができる。
請求項
9記載の発明によれば、圧力調整機構の位置がばらつくことにともないニップ部の圧力が変動することを抑制できる。
請求項
10記載の発明によれば、定着装置におけるニップ部の圧力を変更する操作を行う際の、この操作のために必要とされるスペースを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<画像形成装置1>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタである。この画像形成装置1は、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成部10を備えている。また画像形成装置1は、画像形成装置1全体の動作を制御する制御部5と、例えばパーソナルコンピュータ(PC)80や画像読取装置90等といった外部装置に接続され、これらから受信される画像データに対して予め定められた画像処理を施す画像処理部6と、ユーザの操作によってなされた指示を受け付けるユーザ・インターフェイス7とを備えている。さらに画像形成装置1は、各部に電力を供給する電力供給部8を備えている。さらにまた、画像形成装置1は、画像形成部10に供給される用紙(記録材)を積載する用紙積載部40と、画像形成部10によって画像が形成された用紙を積載する排紙積載部46とを備えている。
【0009】
<画像形成部10>
画像形成部10には、予め定められた間隔をおいて並列的に配置される4つの画像形成ユニット11(具体的には11Y,11M,11C,11K)が備えられている。また、画像形成部10は、各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像を多重転写させるため用紙を搬送する搬送ベルト18と、搬送ベルト18を回転させる駆動ロール19と、各画像形成ユニット11にて形成された各色トナー像を用紙に転写する転写ロール21と、転写された各色トナー像を用紙に定着させる定着装置100とを備えている。
また、画像形成部10は、用紙積載部40に積載された用紙を順次送り出すピックアップローラ68と、このピックアップローラ68によって送りだされた用紙を搬送する搬送ロール69とを備えている。さらに画像形成部10は、定着装置100においてトナー像が定着された用紙の通過を検知するエグジットセンサ70を有する。
【0010】
画像形成ユニット11は、静電潜像を形成してトナー像を保持する感光体ドラム12と、この感光体ドラム12の表面を予め定められた電位で一様に帯電する帯電器13と、この帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を画像データに基づいて露光するLEDプリントヘッド(LPH)14と、感光体ドラム12上に形成された静電潜像を現像剤を用いて現像する現像装置20と、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ16とを備えている。また、各画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kは、現像装置20に収納されるトナーを除いて、略同様に構成される。そして、各画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kは、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
【0011】
<画像形成装置1の動作>
本実施の形態の画像形成装置1において、PC80や画像読取装置90から入力された画像データは、画像処理部6によって予め定められた画像処理が施された後、不図示のインターフェースを介して各画像形成ユニット11に送られる。そして、例えば黒(K)色トナー像を形成する画像形成ユニット11Kでは、感光体ドラム12が矢印A方向に回転しながら、帯電器13により予め定められた電位で一様に帯電され、画像処理部6から送信された画像データに基づいてLPH14により走査露光される。それにより、感光体ドラム12上には、黒(K)色画像に関する静電潜像が形成される。そして、感光体ドラム12上に形成された静電潜像は、現像装置20により現像され、感光体ドラム12上には黒(K)トナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11Y,11M,11Cにおいても、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像が形成される。
【0012】
一方で、用紙積載部40に積載された用紙は、ピックアップローラ68によって送り出される。そして、ピックアップローラ68によって送り出された用紙は、矢印B方向に移動する搬送ベルト18により搬送されながら、各画像形成ユニット11で形成された各色のトナー像が重畳される。そして、重畳トナー像が静電転写された用紙は、搬送ベルト18から剥離され、定着装置100まで搬送される。用紙上のトナー像は、定着装置100によって熱および圧力による定着処理を受けて、用紙上に定着される。そして、定着画像が形成された用紙は、搬送ロール69によってさらに搬送され、エグジットセンサ70によって検知された後、排紙積載部46に積載される。
【0013】
<定着装置100の構成>
図2は、本発明の実施形態が適用される定着装置100の概略構成図である。また、
図3(a)は本発明の実施形態が適用される定着装置100の斜視図であり、
図3(b)は本発明の実施形態が適用されるスイッチ支持部110bの概略構成図である。また、
図4は、本発明の実施形態が適用される定着装置100の付勢部130周辺の概略構成図である。なお、
図2は、
図3(a)の断面IIにおける概略構成図を示し、
図4は、
図3(a)の断面IVにおける概略構成図を示す。
【0014】
図2に示すように、本実施の形態の定着装置100は、用紙に形成されたトナー像を定着する定着ロール101と、定着ロール101と対向するように配置される加圧ベルト103と、各機能部材が内部に設けられる筐体110と、定着ロール101に対して加圧ベルト103を付勢しニップ部Nを形成する付勢部130(
図4参照)と、ニップ部Nの圧接力(ニップ圧)の解除を可能とする解除レバー150と、ニップ部Nのニップ圧の調整を可能とするスライドスイッチ170(
図3参照)とを備える。
【0015】
なお、図示の例における定着装置100は、ニップ部Nよりも用紙搬送方向上流側においてニップ部Nへ用紙を案内する定着入口ガイド111と、ニップ部Nよりも用紙搬送方向下流側においてニップ部Nから搬送される用紙を搬送ロール69(
図1参照)へと案内する定着出口ガイド113とを備える。付言すると図示の例においては、定着出口ガイド113は、回転軸113aを中心として回転可能(矢印D参照)に設けられる。
【0016】
以下の説明では、
図2の奥行き方向(定着ロール101の軸方向に沿った方向)をY方向、Y方向と直交する水平方向(図中左右方向)をX方向とし、X方向およびY方向と直交する鉛直方向(図中上下方向)をZ方向とする。また、
図2において、X方向にて右側へ向かう方向を+X方向、Y方向にて紙面奥側へ向かう方向を+Y方向、Z方向にて紙面上側へ向かう方向を+Z方向とする。
【0017】
<定着ロール101>
図2に示すように、定着部材の一例である定着ロール101は、例えばアルミからなる金属製の円筒状芯金101aの周囲に、例えばゴムからなる耐熱性弾性体層101b、および例えばフッ素ゴム等からなる離型層101cを積層して構成された円筒状ロールである。この円筒状ロールは、回転軸101dを中心として回転する。
また、定着ロール101は、内側に発熱源としてハロゲンランプ105と、離型層101cの外周表面に接して設けられる温度センサ(図示せず)とを備える。さらに、定着ロール101は、図示しない駆動モータと連結して設けられる。
【0018】
<加圧ベルト103>
図2に示すように、加圧部材の一例である加圧ベルト103は、加圧ベルト本体104と、加圧ベルト本体104の内部に配置された押圧パッド107と、加圧ベルト本体104の内部で押圧パッド107を保持するパッドホルダ108と、加圧ベルト本体104を内部から支持するベルトガイド部材109とを備える。
【0019】
加圧ベルト本体104は、形成される画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じないように、原形が円筒形状に形成された継ぎ目がない無端ベルトにより形成される。この加圧ベルト本体104は、例えばフッ素樹脂と補強性フィラーとを配合してなる単一層から構成される。
押圧パッド107は、例えばシリコーンゴムやフッ素ゴム等の弾性体から形成される。この押圧パッド107は、加圧ベルト本体104の内周面と押圧パッド107との摺動抵抗を小さくするために、加圧ベルト本体104と接する面に低摩擦シート(図示せず)を備える。
【0020】
パッドホルダ108は、例えば金属製の板状部材により形成される。パッドホルダ108は、加圧ベルト本体104の内部で、押圧パッド107が加圧ベルト本体104を介して定着ロール101と対峙する位置に押圧パッド107を保持する。
ベルトガイド部材109は、例えば樹脂製の部材により形成され、加圧ベルト本体104の内部から加圧ベルト本体104を回転可能に支持する。
【0021】
そして、加圧ベルト103は、後述するように付勢部130を介して、加圧ベルト本体104が定着ロール101に対して圧接されるように配置される。この加圧ベルト本体104が定着ロール101に対して圧接されている際には、加圧ベルト本体104の押圧パッド107が、加圧ベルト本体104を介して定着ロール101に押圧される。
【0022】
<定着ロール101および加圧ベルト103の動作>
このような構成において、定着ロール101は、駆動モータ(図示せず)により駆動を受けて回転し(矢印C参照)、この回転に従動して加圧ベルト103も回転する。画像形成部10(
図1参照)によってトナー像が静電転写された用紙は、定着入口ガイド111に案内されながらニップ部Nへと搬送される。そして、用紙上のトナー像は、ニップ部Nを通過する際に、ニップ部Nに作用する圧力および定着ロール101から供給される熱によって用紙に定着される。そして、画像が定着された用紙は、定着出口ガイド113を押し上げながら(図中破線で示す定着出口ガイド113参照)、搬送ロール69へと搬送される。
【0023】
<筐体110>
図3(a)に示すように、筐体110は、長手方向がY方向に沿う、略直方体の形状で構成される。この筐体110の内部には、上述の定着ロール101や加圧ベルト103等の機能部材が配置される。なお、筐体110におけるY方向の両端側内部にはそれぞれ付勢部130(
図4参照)が設けられる。
なお、筐体110におけるY方向の両端側外部には、それぞれ解除レバー150とスライドスイッチ170とが設けられている。
【0024】
ここで、筐体110は、+Z方向を向く外周面であり、筐体110におけるY方向の両端側でスライドスイッチ170を支持するスイッチ支持部110bを備える。
図3(b)に示すように、スイッチ支持部110bは、スライドスイッチ170の位置を示す目盛となる目盛標識110jが形成されている。具体的には、目盛標識110jは、+Y方向に向かう向きに、第1目盛110k、第2目盛110m、第3目盛110nをこの順で備える。
【0025】
また、スイッチ支持部110bは、長手方向がY方向に沿って設けられた長孔である受け部貫通孔110dと、受け部貫通孔110dよりも−Y方向に設けられかつ長手方向がY方向に沿って設けられた長孔である固定部貫通孔110eと、長手方向がX方向に沿って設けられた長孔である突起貫通孔110fとが設けられる。ここで、突起貫通孔110fは、受け部貫通孔110dにおけるY方向の中央部にて、受け部貫通孔110dと連続して設けられる。
【0026】
<付勢部130>
図4に示すように、付勢部130は、加圧ベルト103のY方向におけるそれぞれの端部に設けられる。図示の例においては、付勢部130は、加圧ベルト103の一部でありかつ加圧ベルト103の端部に設けられた爪部106を保持する。
【0027】
付勢部130は、加圧ベルト103を保持しかつ定着ロール101に対して進退可能に設けられたレバーニップ131と、このレバーニップ131を付勢するスプリング133とを備える。
接離機構の一例であるレバーニップ131は、例えば金属製の板状部材である。このレバーニップ131は、回転軸131aと、加圧ベルト103の爪部106が挿入されるホルダ用溝131bと、スプリング133の一端が掛けられる突起であるスプリング用突起131cと、解除レバー150の回転軸150a(後述)を回転可能に支持する解除レバー用孔131dと、スライドスイッチ170と掛かり合うスライドスイッチ用突起131eとを備える。
【0028】
ここで、レバーニップ131のスプリング用突起131cは、スプリング133の弾性力を受け−X方向に付勢される。この付勢されたレバーニップ131は、回転軸131aを中心として回転し(矢印E参照)、ホルダ用溝131bに挿入された加圧ベルト103の爪部106を定着ロール101側に向けて押圧する。このことにより、付勢部130は、加圧ベルト103を定着ロール101に押しつける。
【0029】
<解除レバー150>
図5(a)は解除レバー150の概略構成図を示し、
図5(b)は解除レバー150の配置を説明する図である。
図6は解除レバー150の動作を説明する図である。
図5(a)に示すように、解除機構の一例である解除レバー150は、回転軸150aと、回転軸150aを中心に回転可能に設けられた解除レバー本体150bと、回転軸150aの周囲に設けられたカム150cとを備える。なお、カム150cは、ベース円150c1と、カム山150c2とを備える。
【0030】
ここで、解除レバー150の回転軸150aは、レバーニップ131の解除レバー用孔131dによって回転可能に支持される。また、解除レバー150のカム150cは、筐体110に設けられた被突き当て部110aに突き当てられて配置される。そして、解除レバー150が回転軸150aを中心として回転することにともない、カム150cにおいて被突き当て部110aと接触する領域が変化する。
【0031】
具体的に説明をすると、
図5(b)に示すように、解除レバー本体150bがZ方向に沿うように解除レバー150が配置される通常位置(実線の解除レバー150参照)においては、カム150cのベース円150c1が被突き当て部110aと接触する。また、解除レバー本体150bがX方向に沿うように配置され、解除レバー150が引き起こされて配置される起立位置(破線の解除レバー150参照)においては、カム150cのカム山150c2が被突き当て部110aと接触する。
【0032】
このように構成された解除レバー150をユーザが操作することで、解除レバー150の姿勢が通常位置と起立位置とで切り替えられる。そして、
図5(b)に示すように、この解除レバー150の姿勢の切り替えにより、回転軸150aの位置は変化する。このことにともない、この回転軸150aを支持するレバーニップ131の姿勢が変化し、ニップ部におけるニップ圧が変化する。
【0033】
すなわち、
図6に示すように、解除レバー150が通常位置(実線の解除レバー150参照)であり、レバーニップ131が定着ロール101に近接する位置P1に配置されている状態では、定着ロール101に対して加圧ベルト103が付勢され、ニップ部Nに予め定めたニップ圧が生じる。一方、解除レバー150が起立位置(破線の解除レバー150参照)であり、レバーニップ131が位置P1よりも定着ロール101から離間した位置P0に配置されている状態では、定着ロール101と加圧ベルト103とが離間し、ニップ部Nにおけるニップ圧は生じない状態となる。
【0034】
さて、画像形成装置1(
図1参照)において用紙に画像が形成される際には、解除レバー150は通常位置であり、ニップ部Nを通過する用紙は予め定めたニップ圧で押圧される。一方、例えば定着装置100において用紙詰まり(ジャム)が発生した場合には、ユーザが操作することで解除レバー150が引き起こされ起立位置となる。このことにより、ニップ部Nにおけるニップ圧が解除され、用紙の除去が容易に行われる。
【0035】
<スライドスイッチ170>
図7(a)はスライドスイッチ本体171の表面を示す図であり、
図7(b)はスライドスイッチ171の裏面を示す図であり、
図7(c)は挟み部材173の概略図であり、
図7(d)は筐体110に配置されたスライドスイッチ170を挟み部材173側からみた図である。
また、
図8(a)は、筐体110に配置されたスライドスイッチ170をスライドスイッチ本体171側からみた図であり、
図8(b)は、スライドスイッチ170とレバーニップ131との相対位置を示す図である。なお、
図8(b)においては、スライドスイッチ本体171の基部171aは描かれていない。
【0036】
さて、画像形成装置1において、例えば、記録材として封筒を用いて画像形成を行う場合に、定着装置100が、所謂普通紙に画像形成を行う場合と同じニップ圧で定着処理を施すと、封筒にしわが発生することがある。
なお、一般的に、封筒は2枚重ねた記録材の三隅を糊づけされる。そして、この2枚重ねた記録材は、ニップ部Nにおいて、定着ロール101および加圧ベルト103の撓んだ形状の影響を受け、それぞれ異なる速度で搬送される。この搬送速度の違いにより生じる記録材どうしのずれは、糊づけ部によって逃げることができず、結果としてしわを発生させ得る。
【0037】
そこで、本実施の形態においては、定着装置100は、ニップ部Nにおけるニップ圧の調整を可能とするスライドスイッチ170を備える。そして、このスライドスイッチ170の位置を変更することにより、ニップ圧を調整し、記録材にしわが発生することを抑制する。
【0038】
図7(a)に示すように、圧力調整機構の一例であるスライドスイッチ170は、スライドスイッチ本体171と、スライドスイッチ本体171に嵌めこまれて固定される挟み部材173(
図7(c)参照)とを備える。
図7(a)に示すように、スライドスイッチ本体171は、略板状の基部171aを備える。この基部171aの表面には、スイッチ支持部110bに設けられた目盛標識110j(
図3(a)参照)に従って、スライドスイッチ本体171を配置するための基準となる基準標識171jが形成されている。
【0039】
また、
図7(b)に示すように、基部171aの裏面には、レバーニップ131のスライドスイッチ用突起131e(
図4参照)を受ける受け部171bと、挟み部材173を固定する固定部171cとを備える。
受け部171bは、基部171aから−Z方向へ突出する凸部であり、図示の例においては、略直方体状である。また、固定部171cは、基部171aから−Z方向へ突出する凸部であり、図示の例においては、略円柱状である。
【0040】
受け部171bの構成についてさらに説明をすると、受け部171bは、+X方向を向く面である側面171dにおいて、それぞれこの側面171dから凹んで形成される第1溝171eおよび第2溝171fを備える。
第1溝171eは、+X方向を向く面である底面(第2受部)171gと、−X方向に進むに従いY方向における溝の幅が狭くなるように傾斜する傾斜面(第2傾斜面)171kとを備える。
第2溝171fは、第1溝171eよりも−Y方向の位置に形成される。この第2溝171fは、+X方向を向く面である底面(第1受部)171hと、−X方向に進むに従いY方向における溝の幅が狭くなるように傾斜する傾斜面(第1傾斜面)171mとを備える。
【0041】
ここで、第1溝171eの深さ171p(X方向における側面171dから底面171gまでの長さ)と、第2溝171fの深さ171q(X方向における側面171dから底面171hまでの長さ)とを比較すると、第1溝171eの深さ171pの方が深い。すなわち、第1溝171eの底面171gは、第2溝171fの底面171hよりも−X方向に位置する。
【0042】
さて、
図7(c)に示すように、挟み部材173は、略板状の部材であり、スライドスイッチ本体171の固定部171cが嵌めこまれる貫通孔173aと、受け部171bの外周面に沿うように形成された切り欠き173bとを備える。挟み部材173は、貫通孔173aに固定部171cが嵌めこまれ、切り欠き173bに受け部171bが配置されることによって、スライドスイッチ本体171に対して固定される。
【0043】
次に、上記のように構成されたスライドスイッチ170が筐体110に設けられた配置について説明をする。
まず、
図7(d)に示すように、スライドスイッチ170は、筐体110のスイッチ支持部110bを挟んで設けられる。さらに説明をすると、スイッチ支持部110bの外側(スイッチ支持部110bよりも+Z方向側)にスライドスイッチ本体171が配置され、スイッチ支持部110bの内側(スイッチ支持部110bよりも−Z方向側)に挟み部材173が配置された状態で、スイッチ支持部110bと挟み部材173とが互いに固定されることにより設けられる。
【0044】
なお、挟み部材173は、スイッチ支持部110bと対峙する面に、スイッチ支持部110bに向けて突出する凸部(振動機構)173cを備える。また、スイッチ支持部110bは、挟み部材173と対峙する面に凹部110cを備える。この凹部110cは、Y方向に沿って複数(図示の例においては3つ)設けられている。
【0045】
そして、スライドスイッチ170を第1位置乃至第3位置(後述)に配置した際に、凸部173cがそれぞれの凹部110cに入る位置に、各凹部110cが形成されている。この凸部173cおよび凹部110cを設けることにより、スライドスイッチ170を移動させるユーザが、凸部173cが凹部110cに入り込むことにともない生じる振動(所謂クリック感)を感じることができる。ユーザは、このクリック感によって、スライドスイッチ170が第1位置乃至第3位置のいずれかに移動したことを検知する。このことにより、スライドスイッチ170の位置合わせが容易となる。
【0046】
さて、
図8(a)に示すように、筐体110に設けられたスライドスイッチ170は、スライドスイッチ本体171の基準標識171jが、スイッチ支持部110bの目盛標識110jと対峙する位置に配置される。
また、
図8(b)に示すように、スライドスイッチ本体171の受け部171bは受け部貫通孔110d内に挿入された状態となる。また、スライドスイッチ本体171の固定部171cは固定部貫通孔110d内に挿入された状態となる。
【0047】
なお、上記では説明を省略したが、受け部貫通孔110dは、内部で受け部171bがY方向に沿って移動可能な寸法で形成され、固定部貫通孔110dは、内部で固定部171cがY方向に沿って移動可能な寸法で形成される。また、突起貫通孔110fにはスライドスイッチ用突起131eが挿入されており、この突起貫通孔110fは、内部でX方向に沿ってスライドスイッチ用突起131eが移動可能な寸法で形成されている。
【0048】
さて、このスライドスイッチ170は、解除レバー150が引き起こされているか否かで、Y方向での移動が制限されている状態と、Y方向での移動可能な状態とが切り替えられる。
すなわち、
図6を参照しながら説明をしたように、レバーニップ131は、解除レバー150が通常位置にあるときには位置P1に配置され、解除レバー150が起立位置にあるときには位置P0に配置される。また、位置P1に配置されたレバーニップ131のスライドスイッチ用突起131eは、位置P2に配置された際よりも、−X方向の位置に配置される。
【0049】
そして、
図8(b−1)に示すように、解除レバー150が通常位置にあるときに、位置P1に配置されたレバーニップ131のスライドスイッチ用突起(制限機構)131eは、固定部貫通孔110d内に位置する。この状態においては、受け部171bは、固定部貫通孔110d内に配置されたスライドスイッチ用突起131eによって、Y方向の移動が妨げられる。
【0050】
一方、
図8(b−2)に示すように、解除レバー150が起立位置にあるときに、位置P0に配置されたレバーニップ131のスライドスイッチ用突起131eは、突起貫通孔110f内に位置する。そして、この状態においては、突起貫通孔110f内に配置されたスライドスイッチ用突起131eが、受け部171bの移動経路から退避した状態となる。したがって、受け部171bは、Y方向に移動可能となる。
【0051】
なお、
図8(b−2)に示すように、突起貫通孔110f内に配置されレバーニップ131のスライドスイッチ用突起131eは、Y方向の移動が制限された状態となる。すなわち、突起貫通孔(変動抑制機構)110fは、レバーニップ131のY方向のずれ(ぐらつき)を低減する構成として捉えることができる。
また、スライドスイッチ170は、レバーニップ131が定着ロール101から加圧ベルト103を接離させることにともない移動する領域に対して、直線方向に沿って移動しながら進退可能に設けられるとともに、この領域内でレバーニップ131が突き当てられニップ部Nにおける圧力を調整する構成として捉えることができる。さらに説明をすると、スライドスイッチ170は、定着ロール101の回転軸101dに沿って移動可能に設けられる。
【0052】
<ニップ圧の調整>
図9−1は通常モードを説明するための図であり、
図9−2は第1封筒モードを説明するための図であり、
図9−3は第2封筒モードを説明するための図である。さらに説明をすると、
図9−1乃至
図9−3において、(a)はスライドスイッチ170の配置を示す図であり、(b)は受け部171bとスライドスイッチ用突起131eとの位置関係を示す図であり、(c)はレバーニップ131の配置を示す図である。なお、
図9−1乃至
図9−3における(b)では、スライドスイッチ本体171の基部171aは描かれていない。
【0053】
さて、解除レバー150が起立位置にあるときに、スライドスイッチ170は、Y方向に沿って移動可能となり、筐体110の端部から中央に向かう順に位置する第1位置、第2位置、第3位置(後述)のいずれかに配置可能となる。なお、解除レバー150が起立位置にあるときに、スライドスイッチ170を移動可能とすることにより、スライドスイッチ170を移動させる操作力を低減させるとともに、定着装置100が定着処理を施す際にニップ圧が変動することを抑制する。
【0054】
そして、スライドスイッチ170が第1位置乃至第3位置のいずれかの位置に配置された状態で、解除レバー本体150aを通常位置に戻すと、定着ロール101に対して加圧ベルト103が付勢され、ニップ部Nにニップ圧が発生する。このとき、スライドスイッチが第1位置乃至第3位置のいずれに配置されるかによって、ニップ部Nで発生するニップ圧が変化する。
【0055】
以下の説明においては、スライドスイッチ170を第1位置に配置した状態を通常モード、第2位置に配置した状態を第1封筒モード、第3位置に配置した状態を第2封筒モードとする。そして、ニップ部Nで発生するニップ圧は、通常モード、第1封筒モード、および第2封筒モードの順で小さくなる。
【0056】
通常モードにおいては、
図9−1(a)に示すように、スライドスイッチ170は第1位置に配置される。なお、第1位置においては、スライドスイッチ170の基準標識171jが、筐体110の目盛標識110jにおける第1目盛110kの位置となる。
このとき、
図9−1(b)に示すように、受け部171bとスライドスイッチ用突起131eとは接触していない状態である。また、
図9−1(c)に示すように、レバーニップ131は、位置P1に配置される。
【0057】
第1封筒モードにおいては、
図9−2(a)に示すように、スライドスイッチ170は第2位置に配置される。なお、第2位置においては、スライドスイッチ170の基準標識171jが、筐体110の目盛標識110jにおける第2目盛110mの位置となる。
このとき、
図9−2(b)に示すように、スライドスイッチ用突起131eは、受け部171bの第1溝171e内に配置された状態となる。さらに説明をすると、第1溝171eの底面17gにスライドスイッチ用突起131eが突き当たる。このスライドスイッチ用突起131eは、
図9−1(b)のスライドスイッチ用突起131eよりも−X方向に位置する。
このことにより、
図9−2(c)に示すように、レバーニップ131は、位置P1よりも定着ロール101から離間した位置に配置される。したがって、第1封筒モードにおいては、通常モードよりも、ニップ部Nにおけるニップ圧が低くなる。
【0058】
第2封筒モードにおいては、
図9−3(a)に示すように、スライドスイッチ170は第3位置に配置される。なお、第3位置においては、スライドスイッチ170の基準標識171jが、筐体110の目盛標識110jにおける第3目盛110nの位置となる。
このとき、
図9−3(b)に示すように、スライドスイッチ用突起131eは、受け部171bの第2溝171f内に配置された状態となる。さらに説明をすると、第2溝171fの底面17hにスライドスイッチ用突起131eが突き当たる。このスライドスイッチ用突起131eは、
図9−2(b)のスライドスイッチ用突起131eよりも−X方向に位置する。
このことにより、
図9−3(c)に示すように、レバーニップ131は、
図9−3(c)の位置よりも定着ロール101から離間した位置に配置される。したがって、第2封筒モードにおいては、第1封筒モードよりも、ニップ部Nにおけるニップ圧が低くなる。
【0059】
さて、上述のように、解除レバー150を、起立位置にした状態で、スライドスイッチ170をY方向に移動させた後に、解除レバー150を通常位置に戻す。このことにともない、スライドスイッチ用突起131eが−X方向に移動する。そして、スライドスイッチ170が第2位置または第3位置に配置されている場合には、スライドスイッチ用突起131eが第1溝171eまたは第2溝171f内に進入する。
【0060】
このとき、仮に、第2位置または第3位置からY方向においてずれた位置にスライドスイッチ170が配置される場合であっても、−X方向に移動するスライドスイッチ用突起131eは、第1溝171eの傾斜面171kまたは第2溝171fの傾斜面171mを押圧することにより、スライドスイッチ170をY方向において移動させながら、底面17gまたは底面17hに突きあたる。すなわち、第1溝171eの傾斜面171kまたは第2溝171fの傾斜面171mが、スライドスイッチ用突起131eを、底面17gまたは底面17hへと案内する。
【0061】
さらに、底面17gまたは底面17hは、それぞれの面上のX方向における位置は一致する。したがって、スライドスイッチ用突起131eが底面17gまたは底面17hに突き当たる状態であれば、スライドスイッチ170がY方向においてずれて配置された場合であっても、ニップ部Nにおけるニップ圧が変化することが回避される。
【0062】
<測定結果>
図10は、通常モード、第1封筒モード、および第2封筒モードにおいて発生するしわの長さを測定した結果を示す図である。さらに説明をすると、
図10の横軸は、通常モード、第1封筒モード、および第2封筒モードの区別を示し、
図10の縦軸は、発生したしわの長さを示す。また、
図10は、定着装置100の寿命初期と寿命終期とにおいて発生するしわの長さの測定結果を示す。
【0063】
次に、通常モード、第1封筒モード、および第2封筒モードそれぞれにおいて、記録材として封筒を用いた場合に、発生するしわの長さを測定した結果を説明する。
図10に示すように、定着装置100の寿命初期および寿命終期ともに、通常モード、第1封筒モード、および第2封筒モードの順で、発生するしわの長さが短くなることが確認された。
さらに説明をすると、上述のように、ニップ部Nのニップ圧は、通常モード、第1封筒モード、および第2封筒モードの順で小さくなる。したがって、ニップ部Nのニップ圧を小さくするに従って、記録材に発生するしわが抑制されることが確認された。
【0064】
ここで、許容可能なしわの長さを許容しわ長さtgtとすると、寿命初期の通常モードおよび第1封筒モードにおいては、許容しわ長さtgtを超えた長さのしわが観察された。したがって、寿命初期においては、通常モードおよび第1封筒モードではなく、第2モードにて定着処理が施される。
【0065】
一方、寿命終期においては、通常モードのみが許容しわ長さtgtを超え、第1封筒モードおよび第2封筒モードにおいては、許容しわ長さtgtを下回った。したがって、寿命終期においては、第1封筒モードあるいは第2封筒モードが採用され得る。しかしながら、第2封筒モードにおいては、ニップ圧が小さいことによる搬送不良が確認された。したがって、寿命終期においては、第2封筒モードではなく、第1封筒モードにて定着処理が施される。
【0066】
付言すると、寿命終期の定着装置100においては、弾性部材によって形成された部材が変形、劣化することがある。例えば、定着ロール101に対して押圧される押圧パッド107に変形(所謂へたり)が発生すると、ニップ部Nにおけるニップ圧が変化する(低下する)。本実施の形態は、定着装置100が経時変化した際に、スライドスイッチ170の位置を調整することで、ニップ部Nにおけるニップ圧を調整する態様として捉えることができる。あるいは、本実施の形態は、定着装置100の径時変化にともない搬送不良が発生した際に、スライドスイッチ170の位置を調整することで、搬送不良を抑制する態様として捉えることもできる。
【0067】
<変形例>
さて、上述の実施の形態においては、スライドスイッチ170をY方向に沿って移動させることにより、ニップ部Nのニップ圧を調整した。しかしながら、スライドスイッチ170の移動方向はY方向に沿う方向に限定されるものではない。例えば
図6の矢印Kに示すように、スライドスイッチ170をY方向と直交する方向にスライド移動させる構成であってもよい。
【0068】
また、上述の説明においては、レバーニップ131を回転軸131aの周囲を回転させながら、定着ロール101に対して進退させることを説明したが、レバーニップ131(あるいは加圧ベルト103)を直線状に移動させながら定着ロール101に対して進退させてもよい。
【0069】
また、上述の実施の形態においては、封筒に画像を形成する場合を説明したが、他の記録材に画像を形成する際に、スライドスイッチ170を用いてニップ部Nのニップ圧を調整してももちろんよい。
例えば、用紙の厚さに応じて、ニップ部Nのニップ圧を調整してもよい。また、用紙に発生するカールに応じて、ニップ圧を調整してもよい。あるいは、用紙の滑りやすさ等用紙の紙質、あるいは用紙に形成される画像のグロス等画像に応じて、ニップ圧を調整してもよい。