(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発熱体は、前記幅方向において、所定発熱量以下で発熱するように構成される第1発熱部と、前記所定発熱量よりも大きい発熱量で発熱するように構成される第2発熱部と、を有し、
前記ニップ部材は、前記幅方向において、前記第1発熱部に対応する第1対応部と、前記第2発熱部に対応する第2対応部と、を有し、
前記第1対応部には、前記溝が設けられ、前記第2対応部には、前記溝が設けられていないことを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、ニップ部材の肉厚が一定であるため、ニップ部材全体の熱容量が大きくなり、ニップ部材の加熱効率が悪くなるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、ニップ部材の加熱効率を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る定着装置は、無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの内側に配置され、発熱するように構成される発熱体と、前記発熱体と間隔を隔てて配置され、前記発熱体からの輻射熱を受けるニップ部材と、前記ニップ部材との間で前記定着ベルトを挟むことで前記定着ベルトとの間にニップ部を形成するためのバックアップ部材とを備える。
前記ニップ部材は、前記バックアップ部材から前記ニップ部材に向かう方向に投影した場合に前記ニップ部の全体と重なり、かつ、第1の厚さとなる第1部分と、前記第1部分とは異なる位置に配置され、かつ、前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さとなる第2部分とを有する。
【0007】
この構成によれば、ニップ部材の第2部分の厚さが第1部分の厚さよりも小さいため、厚さを小さくした分だけ、ニップ部材の加熱効率を向上することができる。また、ニップ部の全体と重なる第1部分の厚さが第1の厚さ、つまり、一定の厚さとなっているため、ニップ部の熱容量を一定にすることができ、熱定着性能を向上させることができる。
【0008】
また、前記した構成において、前記第1部分と前記第2部分とを連結する第3部分を備える場合には、前記第3部分は、前記第1部分から前記第2部分に向かうにつれて厚さが徐々に小さくなる構成とすることができる。
【0009】
これによれば、厚さの異なる第1部分と第2部分とが第3部分によって段差なく連結されるので、段差部分に発生する応力集中を抑えることができ、ニップ部材の耐久性を向上させることができる。
【0010】
また、前記した構成において、前記第2部分は、前記第1部分に隣接して設けられ、前記第1部分と前記第2部分との境界部分が段差形状となっていてもよい。
【0011】
これによれば、第1部分と第2部分との境界部分が段差形状であるため、第1部分から第2部分に熱が伝わりにくくなり、第1部分を迅速に加熱することができる。
【0012】
また、前記した構成において、前記第2部分は、前記ニップ部材の前記発熱体側の面に設けられる溝の底面と、前記ニップ部材の前記バックアップ部材側の面との間の部位であってもよい。
【0013】
また、前記した構成において、前記溝は、前記第1部分に対して、前記バックアップ部材により搬送されるシートの搬送方向の上流側と下流側に設けることができる。
【0014】
これによれば、第1部分の上流側と下流側に薄肉部が設けられるので、ニップ部材の加熱効率をより向上させることができる。
【0015】
また、前記した構成において、前記ニップ部材の温度を検知する温度検知部材を備え、前記溝は、前記ニップ部材の前記発熱体側の面のうち前記温度検知部材が対向する部位とは異なる部位に設けることができる。
【0016】
これによれば、ニップ部材の温度検知部材が対向する部位に溝がないので、温度検知部材が対向する部位に温度差が生じにくく、温度検知部材でニップ部材の温度を良好に検知することができる。
【0017】
また、前記した構成において、前記溝は、前記バックアップ部材により搬送されるシートの搬送方向に沿う長尺状に構成してもよい。
【0018】
また、前記した構成において、前記溝は、前記定着ベルトの幅方向において、間隔を空けて複数設けられていてもよい。
【0019】
また、前記した構成において、前記発熱体が、前記幅方向において、所定発熱量以下で発熱するように構成される第1発熱部と、前記所定発熱量よりも大きい発熱量で発熱するように構成される第2発熱部と、を有し、前記ニップ部材が、前記幅方向において、前記第1発熱部に対応する第1対応部と、前記第2発熱部に対応する第2対応部と、を有する場合には、前記第1対応部に、前記溝を設け、前記第2対応部に、前記溝を設けない構成とすることができる。
【0020】
これによれば、発熱量の大きな第2発熱部に対応した第2対応部に溝が設けられないので、溝により薄肉となった部分を第2発熱部による大きな発熱量で加熱しすぎることにより、ニップ部材の温度分布にムラが生じるのを抑えることができる。
【0021】
また、本発明に係る定着装置は、無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトの内側に配置され、発熱するように構成される発熱体と、前記発熱体と間隔を隔てて配置され、前記発熱体からの輻射熱を受けるニップ部材と、前記ニップ部材との間で前記定着ベルトを挟むことで前記定着ベルトとの間にニップ部を形成するためのバックアップ部材と、前記ニップ部材の温度を検知する温度検知部材と、を備え、前記ニップ部材のうち前記温度検知部材が対向する第4部分の厚さが、前記第4部分とは異なる位置に配置される第5部分の厚さよりも小さくなる構成とすることができる。
【0022】
この構成によれば、ニップ部材の第4部分の厚さが第5部分の厚さよりも小さいため、厚さを小さくした分だけ、ニップ部材の加熱効率を向上させることができる。また、第4部分の厚さを小さくすることで、ニップ部の熱を厚さの小さな第4部分に迅速に伝達して温度検知部材で迅速に検知することができるので、温度検知部材の応答性を向上することができる。
【0023】
また、前記した構成において、前記第4部分と前記第5部分とを連結する第6部分を備える場合には、前記第6部分は、前記第5部分から前記第4部分に向かうにつれて厚さが徐々に小さくなるように構成することができる。
【0024】
これによれば、厚さの異なる第5部分と第4部分とが第6部分によって段差なく連結されるので、段差部分に発生する応力集中を抑えることができ、ニップ部材の耐久性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ニップ部材の加熱効率を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の定着装置100を備えたレーザプリンタ1の概略構成について説明した後、本発明の特徴部分について詳しく説明する。
【0028】
また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、
図1における左側を「前」、右側を「後」とし、手前側を「右」、奥側を「左」とする。また、
図1における上下方向を「上下」とする。
【0029】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、シートの一例としての用紙Sを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙S上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙S上のトナー像を熱定着する定着装置100とを主に備えている。
【0030】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5(感光体ドラム61と転写ローラ63との間)に向けて供給される。
【0031】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0032】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
【0033】
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能な構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0034】
このプロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0035】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0036】
定着装置100は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられている。用紙S上に転写されたトナー像は、定着装置100を通過することで用紙S上に熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Sは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0037】
<定着装置の詳細構成>
図2に示すように、定着装置100は、無端状の定着ベルト110と、定着ベルト110の内側に配置され、定着ベルト110を加熱する加熱ユニット200と、加熱ユニット200との間で定着ベルト110を挟むバックアップ部材の一例としての加圧ローラ140とを主に備えている。
【0038】
定着ベルト110は、後述する加熱ユニット200によって加熱される耐熱性と可撓性を有するベルトである。定着ベルト110は、符号を省略して示すガイド部材により回転が案内されている。
【0039】
加圧ローラ140は、弾性変形可能な部材であり、定着ベルト110や後述する加熱ユニット200の下方に配置されている。そして、この加圧ローラ140は、弾性変形した状態で加熱ユニット200(ニップ板220)との間で定着ベルト110を挟むことで、定着ベルト110との間にニップ部Nを形成するようになっている。本実施形態においては、加熱ユニット200および加圧ローラ140は、一方が他方に向けて付勢されることで互いに圧接するように構成されている。
【0040】
この加圧ローラ140は、本体筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動するように構成されており、回転駆動することで定着ベルト110(または用紙S)との摩擦力により定着ベルト110を従動回転させるようになっている。これによりトナー像が転写された用紙Sは、加圧ローラ140と加熱された定着ベルト110の間を前後方向に搬送されることでトナー像が熱定着される。
【0041】
加熱ユニット200は、定着ベルト110を介して用紙S上のトナーを加熱するユニットであり、発熱体の一例としてのハロゲンランプ210と、ニップ部材の一例としてのニップ板220と、反射部材230と、ステイ240とを備えている。
【0042】
ハロゲンランプ210は、通電により発熱、詳しくは輻射熱を発してニップ板220および定着ベルト110を加熱するヒータであり、定着ベルト110の内部において定着ベルト110およびニップ板220の内面から所定の間隔をあけて配置されている。
【0043】
ニップ板220は、ハロゲンランプ210からの輻射熱を受ける板状の部材であり、その下面に筒状の定着ベルト110の内周面が摺接するように、定着ベルト110の内部に配置されている。本実施形態において、ニップ板220は、例えば、後述する鋼製のステイ240より熱伝導率が大きい、アルミニウム板などを加工することで形成されている。なお、ニップ板220の構造は、後で詳細に説明する。
【0044】
反射部材230は、ハロゲンランプ210からの輻射熱(主に前後方向や上方向に向けて放射された輻射熱)をニップ板220に向けて反射する部材であり、ハロゲンランプ210を覆うように、ハロゲンランプ210から所定の間隔をあけて配置されている。
【0045】
このような反射部材230によってハロゲンランプ210からの輻射熱をニップ板220に集めることで、ハロゲンランプ210からの輻射熱を効率よく利用することができ、ニップ板220および定着ベルト110を速やかに加熱することができる。
【0046】
具体的に、反射部材230は、赤外線および遠赤外線の反射率が大きく、後述するステイ240よりも熱伝導率が大きい、例えば、アルミニウム板などを、略U字状に湾曲させて形成されている。より詳しくは、反射部材230は、断面視略U字状をなす反射部231と、反射部231のニップ板220側の両端部から前後方向外側にハロゲンランプ210から離れるように延びるフランジ部232とを有している。また、この反射部材230は、後述するステイ240よりも薄く形成されている。
【0047】
ステイ240は、加圧ローラ140とは反対側から前後方向におけるニップ板220の両端部を支持し、ニップ板220に対し加圧ローラ140側から力が作用したときに、その力を受け止める部材である。このステイ240は、比較的剛性が高い、例えば、鋼板などの金属板を、ニップ板220側に開口を有するとともに反射部材230に沿った断面視略U字状に屈曲させることにより形成されている。
【0048】
より詳細に、ステイ240は、ハロゲンランプ210の上方に配置される上壁241と、上壁241の前後端から下方へ延びる前壁242および後壁243とを有している。
【0049】
前壁242は、ハロゲンランプ210よりも用紙Sの搬送方向上流側に配置されている。そして、前壁242は、その下端部で、反射部材230の前側のフランジ部232をニップ板220との間で挟むとともに、ニップ板220の前端部を上から支持している。
【0050】
後壁243は、ハロゲンランプ210よりも用紙Sの搬送方向下流側に配置されている。そして、後壁243は、その下端部で、反射部材230の後側のフランジ部232をニップ板220との間で挟むとともに、ニップ板220の後端部を上から支持している。
【0051】
<ニップ板の詳細構成>
図3に示すように、ニップ板220は、第1部分および第5部分の一例としてのベース部221と、ベース部221の前端から上方に向けて湾曲する前壁部222と、ベース部221の後端から上方に向けて突出する後壁部223と、後壁部223の上端から後方に向けて突出する3つの被検知部224とを有している。
【0052】
ベース部221は、左右に長い板状に形成されており、
図4に示すように、全体が一定の厚さ、詳しくは第1の厚さとなっている。ベース部221は、加圧ローラ140との間で定着ベルト110を挟む部分であり、ニップ部Nを加圧ローラ140からニップ板220に向かう方向に投影した場合にニップ部Nの全体と重なっている。詳しくは、ベース部221は、ニップ部Nよりも前後方向に大きく形成されており、その前端が前方を向くとともに、その後端部が後方に向いている。
【0053】
前壁部222は、第1の厚さよりも小さい第2の厚さとなる第2部分の一例としての薄肉部222Aと、第3部分の一例としての肉厚変化部222Bとを有している。
【0054】
肉厚変化部222Bは、ベース部221と薄肉部222Aとを連結する部位であり、ベース部221の前端から前斜め上方に位置する薄肉部222Aに向けて湾曲するように形成され、ベース部221から薄肉部222Aに向かうにつれて厚さが徐々に小さくなっている。詳しくは、肉厚変化部222Bは、ベース部221の上面221Aと薄肉部222Aの後面A1とをなだらかに繋ぐ第1湾曲面B1と、ベース部221の下面221Bと薄肉部222Aの前面A2とをなだらかに繋ぐ第2湾曲面B2とを有している。
【0055】
薄肉部222Aは、全体が一定の厚さ、詳しくは第2の厚さとなっており、肉厚変化部222Bの上端から上方に向かって延び、反射部材230の前側のフランジ部232に当接している。
【0056】
左右方向に延びる後壁部223のうち3つの被検知部224に対応した部位(
図3参照)は、第6部分の一例であり、ベース部221と被検知部224とを連結する連結部223Aとなっている。連結部223Aは、ベース部221の後端から上方に位置する被検知部224に向けて延び、ベース部221から被検知部224に向かうにつれて厚さが徐々に小さくなっている。
【0057】
詳しくは、連結部223Aは、略上下方向に沿って延びる前面A11と、前面A11に対して傾斜する後面A12とを有している。そして、前面A11は、ベース部221の上面221Aに対して断面視円弧状の湾曲面を介してなだらかに繋がり、被検知部224の上面224Aに対して断面視円弧状の湾曲面を介してなだらかに繋がっている。また、後面A12は、ベース部221の下面221Bに対して断面視円弧状の湾曲面を介してなだらかに繋がり、被検知部224の下面224Bに対して断面視円弧状の湾曲面を介してなだらかに繋がっている。
【0058】
被検知部224は、第4部分の一例であり、ニップ板220の温度を検知する温度検知部材300と対向して当該温度検知部材300によって温度が検知されるようになっている。なお、温度検知部材300としては、接触式または非接触式のサーモスタットやサーミスタなどが挙げられる。
【0059】
被検知部224は、連結部223Aの上端から後方に向けて屈曲した後、後方に延びるように形成されており、その厚さが、ベース部221よりも小さくなっている。
【0060】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
ニップ板220の薄肉部222Aおよび被検知部224の厚さが、ベース部221の厚さよりも小さいため、厚さを小さくした分だけ、ニップ板220全体の熱容量が小さくなり、ニップ板220の加熱効率を向上することができる。また、ニップ部Nの全体と重なるベース部221の厚さが第1の厚さ、つまり、一定の厚さとなっているため、ニップ部Nの熱容量を一定にすることができ、熱定着性能を向上させることができる。
【0061】
被検知部224の厚さを小さくすることで、ニップ部Nの熱を厚さの小さな被検知部224に迅速に伝達して温度検知部材300で迅速に検知することができるので、温度検知部材300の応答性を向上することができる。
【0062】
厚さの異なるベース部221と薄肉部222Aが、肉厚が徐々に変化する肉厚変化部222Bによって段差なく連結されるので、段差部分に発生する応力集中を抑えることができ、ニップ板220の前側部分の耐久性を向上させることができる。同様に、厚さの異なるベース部221と被検知部224も、肉厚が徐々に変化する連結部223Aによって段差なく連結されるので、段差部分に発生する応力集中を抑えることができ、ニップ板220の後側部分の耐久性も向上させることができる。
【0063】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前述した第1の実施形態に係るニップ板220の構造を変更したものであるため、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。
【0064】
図5に示すように、第2の実施形態に係るニップ板420は、第1部分および第5部分の一例としてのベース部421と、第2部分の一例としての第1薄肉部422と、第4部分の一例としての第2薄肉部423とを有している。
【0065】
ベース部421は、全体が第1の厚さとなっており、ニップ部Nを加圧ローラ140からニップ板420に向かう方向に投影した場合にニップ部Nの全体と重なっている。詳しくは、ベース部421は、ニップ部Nよりも前後方向に大きく形成されており、その前端が前方を向くとともに、その後端が後方に向いている。
【0066】
第1薄肉部422は、その厚さがベース部421よりも小さくなっており、ベース部421の前端に隣接して設けられている。詳しくは、第1薄肉部422は、ベース部421の前端から前斜め上方に向けて湾曲するように延び、反射部材230の前側のフランジ部232に当接している。そして、第1薄肉部422とベース部421との境界部分は、段差形状となっている。
【0067】
第2薄肉部423は、その厚さがベース部421よりも小さくなっており、ベース部421の後端に隣接して設けられている。詳しくは、第2薄肉部423は、ベース部421の後端から後方に延びた後、上方に屈曲して上方に向けて延び、その後、後方に屈曲して後方に向けて延びるように形成されている。第2薄肉部423の後側部分には、温度検知部材300が対向するように配置されている。そして、第2薄肉部423とベース部421との境界部分は、段差形状となっている。
【0068】
これによれば、第1薄肉部422とベース部421との境界部分や、第2薄肉部423とベース部421との境界部分が、段差形状となることで、ベース部421から第1薄肉部422や第2薄肉部423に熱が伝わりにくくなるので、ベース部421を迅速に加熱することができる。
【0069】
なお、第2実施形態における段差形状と、第1実施形態における厚さの異なる部位をなだらかに繋ぐ形状とを適宜組み合わせてもよい。例えば、第2の実施形態におけるニップ板420の後側の段差形状を、第1の実施形態のような、なだらかに繋ぐ形状に変更してもよい。
【0070】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態は、前述した第1の実施形態に係るニップ板220の構造を変更したものであるため、第1の実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略することとする。
【0071】
図6に示すように、第3の実施形態に係るニップ板520は、一定の厚さとなる金属板を
図6に示す形状に折り曲げることで形成されており、その上面(ハロゲンランプ210側の面)には、ニップ板520の左右方向の一端側から他端側にわたって延びる長尺状の2つの溝G1,G2がニップ部Nを挟んで前後に形成されている。言い換えると、ニップ板520は、第1部分の一例としてのベース部521と、第2部分の一例としての2つの薄肉部522と、前側延在部523と、後側延在部524とを有している。
【0072】
ベース部521は、全体が第1の厚さとなっており、ニップ部Nを加圧ローラ140からニップ板520に向かう方向に投影した場合にニップ部Nの全体と重なっている。詳しくは、ベース部521は、ニップ部Nよりも前後方向に大きく形成されており、その前端が前方を向くとともに、その後端が後方に向いている。
【0073】
各薄肉部522は、各溝G1,G2の底面とニップ板520の下面(加圧ローラ140側の面)との間の部位であり、ベース部521の前端と後端とに隣接して設けられている。言い換えると、各薄肉部522は、ベース部521に対して、加圧ローラ140により搬送される用紙Sの搬送方向の上流側と下流側に設けられている。
【0074】
前側延在部523は、前側の薄肉部522から前斜め上方に向けて湾曲するように延び、反射部材230の前側のフランジ部232に当接している。
【0075】
後側延在部524は、後側の薄肉部522から後方に延びた後、上方に屈曲して上方に向けて延び、その後、後方に屈曲して後方に向けて延びるように形成されている。後側延在部524の後側部分には、温度検知部材300が対向するように配置されている。つまり、溝G1,G2は、ニップ板520の上面のうち温度検知部材300が対向する部位とは異なる部位に設けられている。
【0076】
以上、第3の実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
ベース部521の上流側と下流側に、溝G1,G2により形成される薄肉部522を設けることで、ベース部521から各薄肉部522に熱が伝わりにくくなるので、ベース部521を迅速に加熱することができる。
【0077】
ニップ板520の上面のうち温度検知部材300が対向する部位に溝G1,G2がないので、温度検知部材300が対向する部位に温度差が生じにくく、温度検知部材300でニップ板520の温度を良好に検知することができる。
【0078】
なお、溝の形状や配置は、第3の実施形態に限定されず、適宜変更可能である。例えば、
図7に示すように、第3の実施形態の溝G1,G2よりも短く形成される溝G3を、左右方向(定着ベルト110の幅方向)において、間隔を空けて複数設けてもよい。具体的に、ニップ板620は、上下方向から見てニップ部Nと重なる第1部分620Aを有し、溝G3は、ニップ板620のうち第1部分620Aよりも前側部分と後側部分とに、左右方向に間隔を空けて複数設けられている。
【0079】
また、
図7の形態では、ハロゲンランプ210が、左右方向において、所定発熱量以下で発熱する第1発熱部211と、当該第1発熱部211の左右両側に設けられ、所定発熱量よりも大きい発熱量で発熱する一対の第2発熱部212と、を有している。詳しくは、各第2発熱部212は、第1発熱部211よりも電熱線が密に巻かれて構成されている。
【0080】
また、ニップ板620は、左右方向において、第1発熱部211に対応する第1対応部621と、当該第1対応部621の左右両側に設けられ、一対の第2発熱部212に対応する一対の第2対応部622とを有している。そして、前述した複数の溝G3は、第1対応部621(詳しくは、第1対応部621における第1部分620Aとは異なる部位)にのみ設けられ、第2対応部622には設けられていない。
【0081】
これによれば、発熱量の大きな第2発熱部212に対応した第2対応部622に溝G3が設けられないので、溝G3により薄肉となった部分を第2発熱部212による大きな発熱量で加熱しすぎることにより、ニップ板620の温度分布にムラが生じるのを抑えることができる。
【0082】
なお、前述した溝G3は、
図8に示すように、前後方向(用紙Sの搬送方向)に沿う長尺状に構成されていてもよい。
【0083】
また、前述した第2の実施形態では、ベース部421を各薄肉部422,423から下方に突出するように形成したが、本発明はこれに限定されず、例えば
図9に示すように、ベース部421を各薄肉部422,423から上方に突出するように形成してもよい。
【0084】
前記各実施形態では、発熱体の一例としてハロゲンランプ210を例示したが、本発明はこれに限定されず、発熱体は、例えばカーボンヒータなどであってもよい。
【0085】
前記各実施形態では、ニップ部材の一例としてニップ板を例示したが、本発明はこれに限定されず、ニップ部材は、例えば板状でない厚めの部材であってもよい。
【0086】
前記実施形態では、バックアップ部材の一例として加圧ローラ140を例示したが、本発明はこれに限定されず、バックアップ部材は、例えばベルト状の加圧部材などであってもよい。
【0087】
前記実施形態では、シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Sを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。