(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、方立の長手方向に照明具を配置して、建物の外部に光を透過させた場合、建物の開口部の開口面積が広いと、照明強度を上げることが難しいことがある。一方、開口部の開口面と平行に、照明を配置することが考えられる。しかしながら、この場合には、開口面の端部において、均一な照度を保つことは難しい。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされ、その目的は、効率的かつ均一に壁面をライトアップさせるための内装仕上げ部材及びカバー部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する内装仕上げ部材は、
建物の外側方向に突出して設けられる内装仕上げ部材であって、前記
建物の建物開口部の外側に配置されるパネル部材を支持する方立と、前記方立の前記建物開口部側の側面を覆うカバー部材とを備え、前記カバー部材は、前記パネル部材が支持される端部において、前記パネル部材との間で隙間を形成するように配置されたこと要旨とする。
【0007】
この構成によれば、カバー部材は、パネル部材が支持される端部において形成された隙間を介して、光が端部にまで回り込む。このため、光の効率を向上させるために建物開口部に光源を面状に配置した場合であっても、この光源の光がパネル部材の端部まで回り込むので、均一にライトアップすることができる。
【0008】
上記内装仕上げ部材について、前記パネル部材よりも前記建物開口部の内側
方向の位置に配置される幕を着脱可能に取り付けるための固定部材を備えており、前記カバー部材は、前記固定部材を覆うことが好ましい。この構成によれば、照明の光を幕が受けて、外部に光を透過させることができる。この場合、幕を固定する固定部材がカバー部材によって覆われているので、固定部材がカバー部材によって脱落し難く、幕をしっかりと固定することができる。
【0009】
上記内装仕上げ部材について、前記カバー部材は、前記方立に対して着脱可能に設けられており、前記方立は、前記パネル部材と平行で、前記パネル部材よりも前記建物開口部の内側
方向の位置に配置される光源部材を着脱可能に支持する光源支持部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、光源部材を装着又は脱離させることにより、一対の方立部材間の建物開口部の外観を容易に変更することができる。
【0010】
上記内装仕上げ部材について、前記カバー部材は、前記建物開口部の側面
方向において、前記光源支持部の端部よりも突出しない大きさで形成されていることが好ましい。この構成によれば、光源部材を取り外した場合、これを支持していた光源支持部よりもカバー部材が建物開口部側に突出しないので、一対の方立部材の建物開口部の空間をすっきりとさせることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、効率的かつ均一に壁面をライトアップさせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、
図1〜
図5に従って、一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の建物の全体斜視図である。本実施形態では、
図1に示すように、凹凸形状のファサードを有する建物10に適用する。すなわち、この建物10の外周部には、複数の凸部11が形成されている。また、建物10の凸部11の間には、後述する窓部材12が配置されている。なお、本実施形態では、凸部11は光壁として利用する。
【0014】
図2は、建物10の凸部11の平面断面図である。各凸部11は、建物10の側面に配置される2つ(一対)の内装仕上げ部材20と、一対の内装仕上げ部材20の間に形成された建物開口部に配置されたガラス部材13とから構成されている。一対の内装仕上げ部材20は、凸部11の見込み方向に対して左右対称に配置される。ガラス部材13は、建物開口部の外側に配置されるパネル部材として機能し、ガラスから構成されている。
【0015】
図2に示すように、本実施形態の各内装仕上げ部材20は、複数のボルト15によって取り付けられたリップ溝形鋼14を介して、方立ブラケット16に固定されている。この方立ブラケット16は、図示しないファスナーを介して建物10の梁に取り付けられている。
【0016】
各内装仕上げ部材20は、先端部近傍の建物開口部に面した(見込み方向の手前側の)凹部において、上述したガラス部材13の端部を固定する。更に、各内装仕上げ部材20は、建物10の内側(見込み方向の奥側)の端部において、左右両側にそれぞれ開口した2つの凹部が形成されている。これら凹部は、上述した窓部材12及び面発光部材17をそれぞれ支持する。この場合、両側の凹部の配置により、窓部材12と面発光部材17とが同一平面上に並ぶことになる。
【0017】
本実施形態の面発光部材17は、内装仕上げ部材20から着脱可能なパネル形状の光源部材であって、面発光するLED光源が実装されたライトモジュールである。本実施形態では、この面発光部材17は、LED光源の面がガラス部材13と対向するように配置される。更に、面発光部材17とガラス部材13との間で、ガラス部材13の近傍には、受光幕18が張設されている。この受光幕18は、シート状の半透過性の白色の幕である。受光幕18は、面発光部材17のLED光源からの光を受け取ってライトアップされる。
【0018】
次に、
図3を用いて、内装仕上げ部材20の構成について詳述する。
図3は、
図2において右側に配置された内装仕上げ部材20の構成を説明するための説明図である。
図3に示すように、各内装仕上げ部材20は、第1方立31、第2方立32、押縁33、固定部材34、モジュール枠35、カバー部材40及び化粧カバー50を備えている。
【0019】
第1方立31の断面は、全体として、異なる大きさの3つの長方形状を、各長方形の1つの辺(凸部11の側面を構成する辺)が一直線上となるように一体化した形状からなる。具体的には、第1方立31は、見付け方向のサイズが一番大きい第1部材31aの各短辺側に、見込み方向のサイズが一番大きい第2部材31b及びサイズが一番小さい第3部材31cをそれぞれ接続するように配置した形状をしている。
【0020】
第1方立31は、第1部材31a、第2部材31b及び第3部材31cの外側面(凸部11の側面)に、断面L字形状の突条部31dを有する。この突条部31dは、複数、離散した位置に形成されている。更に、第1方立31は、第3部材31cの外側(凸部11の先端側)に、断面L字形状の突条部31dを有する。また、第3部材31cは、建物開口部側の壁部の外側に、押縁係合部31eを有する。
【0021】
第1部材31aは、建物開口部側の壁部にカバー係合部31fを有する。このカバー係合部31fは、第1部材31aにおいて第3部材31c側の端部から、固定部材34及びカバー部材40の端部が挿入可能な距離だけ離隔した位置に設けられている。
【0022】
第2部材31b内には、リップ溝形鋼14が配置されており、この第2部材31bを介して第1方立31が建物10に取り付けられている。第2部材31bは、見込み方向の奥側(建物10の内側)の壁部に、連結部31g,31hが突出形成されている。
【0023】
第2方立32は、断面がコ字形状をしており、接合部32aが設けられている。そして、第2方立32は、建物開口部とは反対側に開口して
図2の窓部材12を支持する凹部を形成している。更に、第2方立32の第1方立31側の側壁部には、連結部32b,32cが突出形成されている。これら第2方立32の連結部32b,32cと、第1方立31の連結部31g,31hとがそれぞれ組み合った状態でボルト止めされることにより、第1方立31及び第2方立32が一体化される。
【0024】
押縁33は、断面が略L字形状となっており、押縁係合部33aを備えている。この押縁係合部33aと、第1方立31の押縁係合部31eとを係合させることにより、押縁33は、第1方立31に固定されて、上述したガラス部材13の端部を支持するパネル支持部としての凹部を形成している。
【0025】
固定部材34は、第1部材31aの建物開口部側(見付け方向の内側)の壁部において、第3部材31c側にボルトによって取り付けられている。この固定部材34は、引っ張った状態の受光幕18の端部をボルトによって固定する。
【0026】
モジュール枠35は、第2方立32に対して建物開口部側と反対側(見付け方向の外側)に配置され、ボルトによって第2方立32に取り付けられている。このモジュール枠35は、2つの略L字形状の枠部材35a,35bを組み合わせることにより、面発光部材17の端部を支持する光源支持部としての凹部を形成している。
【0027】
カバー部材40は、建物開口部側(見付け方向の内側)において、第1方立31を覆っており、着脱可能に第1方立31に取り付けられている。本実施形態のカバー部材40は、モジュール枠35の見付け方向の内側の端面L1と面一となる側面部40aと、この側面部40aに対して屈曲した屈曲部40bとを備えている。この屈曲部40bは、第1部材31aの見込み方向の手前側の端部まで延びており、この端部において鋭角θで尖がった形状をしている。また、カバー部材40は、第1カバー部材41及び第2カバー部材42から構成されている。
【0028】
第1カバー部材41は、第1部材31aを覆うように設けられており、第1部材31aの見込み方向の長さよりも長い。第1カバー部材41は、側面部40aの見込み方向の手前側と、屈曲部40bとを備えている。更に、第1カバー部材41は、屈曲部40bに続いて、断面L字形状の係止部41cを有している。この係止部41cと、第1部材31aとの間の空間には、固定部材34が収納される。また、この係止部41cの先端41aは、カバー係合部31fに掛止している。
また、第1カバー部材41は、第1部材31aと第2部材31bの接続面近傍で、第1部材31aに向けて屈曲された枠面を有している。第1カバー部材41は、枠面の先端部に形成されたフランジ部41dと、屈曲した箇所に形成された係合部41eとを備えている。フランジ部41dは、第2部材31bに、ボルト43によってネジ止めされている。
【0029】
第2カバー部材42は、第1方立31の第2部材31bを覆うように設けられている。第2カバー部材42は、第1カバー部材41側(見込み方向の手前側)の端部に係合凸部42aが設けられている。この係合凸部42aが第1カバー部材41の係合部41eと連結されて、第1カバー部材41及び第2カバー部材42が一体となる。第2カバー部材42は、見込み方向の奥側の先端部42bは、第1方立31の連結部31g及び第2方立32の連結部32bと、ボルト44によって共締めされている。
【0030】
化粧カバー50は、第1方立31の外側を覆って、建物10の外観を構成する。本実施形態の化粧カバー50は、L字形状に配置される3つの化粧部材51,52,53から構成されている。各化粧部材51,52,53の長手方向の長さは、各階の高さと同じ大きさで構成されており、上層階又は下層階の化粧カバー50の各化粧部材51,52,53と重なるように配置されている。また、各化粧部材51,52,53は、突条部51a,52a,53aを備えており、この突条部51a,52a,53aを、第1方立31の突条部31dに引っ掛けることにより、取り付けられている。
【0031】
以上のように構成した内装仕上げ部材20の作用について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、建物10の凸部11を光壁として利用する場合の説明図であり、
図5(a)は、面発光部材17及び受光幕18を取り外した場合における説明図である。
図4(a)及び
図5(a)は内装仕上げ部材20の平面図、
図4(b)及び
図5(b)は内装仕上げ部材20の正面図である。
凸部11を光壁として利用する場合には、一対の内装仕上げ部材20において面発光部材17及び受光幕18を設置する。面発光部材17からの発光は、拡散されて受光幕18に照射される。そして、この受光幕18を透過した光は、ガラス部材13を透過して、建物10の凸部11を発光させる。この場合、カバー部材40は、ガラス部材13側が鋭角θで尖がった形状を有しているので、面発光部材17の発光がガラス部材13の端部にまで回り込んで到達する。
【0032】
次に、
図4の状態から、面発光部材17及び受光幕18を取り外した状態に変更する場合を説明する。
この場合、まず、面発光部材17をモジュール枠35から取り外す。そして、第1方立31から、第2カバー部材42を取り外し、第1カバー部材41を取り外す。そして、受光幕18を張設していた固定部材34を外して、受光幕18を取り外す。そして、受光幕18を取り外した状態で、固定部材34、第1カバー部材41及び第2カバー部材42を取り付ける。以上により、面発光部材17及び受光幕18を取り外した
図5に示す状態になる。この場合、モジュール枠35の開口部に、図示しない押縁を挿入してもよい。
【0033】
そして、
図5に示すように、面発光部材17及び受光幕18を取り外した状態では、カバー部材40がモジュール枠35の開口側の端面L1から突出しない形態となる。
更に、
図5に示す状態から、
図4に示すように面発光部材17及び受光幕18を取り付ける場合には、カバー部材40を取り外し、受光幕18を固定部材34によって張設し、再びカバー部材40を取り付け、面発光部材17を配置する。
【0034】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態において、建物10の凸部11は、内装仕上げ部材20と、一対の内装仕上げ部材20の間に形成された建物開口部に配置されたガラス部材13とから構成されている。対となる内装仕上げ部材20の間には、LED光源が実装された面発光部材17が配置されている。内装仕上げ部材20は、第1方立31の開口部側を覆うカバー部材40を備えている。カバー部材40は、モジュール枠35の見付け方向の内側の端面L1と面一となる側面部40aと、この側面部40aに対して屈曲した屈曲部40bとを備えている。この屈曲部40bは、第1部材31aの見込み方向の手前側の端部まで延びており、この端部において鋭角θで尖がった形状をしている。これにより、第1カバー部材41は、ガラス部材13の端部まで露出するように配置されるので、面発光部材17からの光がガラス部材13の端部まで回り込み、均一にライトアップすることができる。
【0035】
(2)本実施形態において、ガラス部材13と面発光部材17との間に受光幕18を配置した。これにより、受光幕18において照明の光を受けて、建物10の外観を均一にライトイトアップすることができる。
【0036】
(3)本実施形態においては、受光幕18は、固定部材34によって張設されている。また、固定部材34は、第1カバー部材41と第1方立31の第1部材31aとで区画される空間に収納されている。これにより、第1カバー部材41が、受光幕18を固定する固定部材34の抜け止めになるので、受光幕18をしっかりと固定することができる。
【0037】
(4)本実施形態において、面発光部材17及び受光幕18が内装仕上げ部材20に着脱可能に設けられている。面発光部材17及び受光幕18を取り外すことにより、建物10の凸部11に関する外観を容易に変更することができる。
【0038】
(5)本実施形態において、カバー部材40は、モジュール枠35の開口側の端面L1と面一となる側面部40aを有して、着脱可能に構成されている。これにより、面発光部材17を取り外した場合には、モジュール枠35の開口側の端面L1よりもカバー部材40が突出することがないので、建物の屋内側をすっきりとさせることができる。
【0039】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態においては、カバー部材40は、モジュール枠35の見付け方向の内側の端面L1と面一となる側面部40aと、この側面部40aに対して屈曲した屈曲部40bとを備えている。この屈曲部40bは、第1部材31aの見込み方向の手前側の端部まで延びており、この端部において鋭角θで尖がった形状をしている。カバー部材40の形状は、パネル部材として機能するガラス部材13が支持される端部において、ガラス部材13との間で隙間を形成するように配置されていれば、これに限定されない。例えば、カバー部材40を、面発光部材17から、第1方立31の第1部材31aの端部まで斜めに傾斜した側面部で構成してもよい。また、カバー部材40の先端を、鋭角θで尖がった形状の代わりに、円弧形状にしてもよいし、鋭角θで尖がった形状の先端を平らにして第1部材31aの端部との間で隙間を形成するようにしてもよい。
【0040】
また、カバー部材40は、建物10の凸部11において内装仕上げ部材20の最も内側に位置する部材(上記実施形態ではモジュール枠35)の端面よりも突出しない大きさであれば、その部材(モジュール枠35)の開口側の端面L1と面一でなくてもよい。この場合であっても、建物10の凸部11の空間をすっきりとさせることができる。
【0041】
・上記実施形態のカバー部材40は、第1カバー部材41及び第2カバー部材42から構成した。カバー部材40は、この構成に限られず、第1カバー部材41及び第2カバー部材42を一体化形成してもよいし、更に、分割された部分から構成してもよい。
【0042】
・上記実施形態において、各内装仕上げ部材20は、第1方立31、第2方立32、押縁33、固定部材34、モジュール枠35、カバー部材40及び化粧カバー50を備えている。内装仕上げ部材20の構成は、これに限定されず、第1方立31、第2方立32及び押縁33を一体化してもよいし、更に分割された部分から構成してもよい。また、各内装仕上げ部材20の各構成部材の形状も、上述した形状に限定されない。この場合、建物10の外側に配置されるパネル部材は、ガラス部材13に限定されず、光が透過する材料であれば、例えば、半透明のプラスチック材料等で構成してもよい。