特許第6221644号(P6221644)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221644
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】経口用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/192 20060101AFI20171023BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   A61K31/192
   A61K47/18
   A61K47/26
   A61K9/16
   A61K9/14
   A61K9/20
   A61K9/08
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-227944(P2013-227944)
(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公開番号】特開2014-111581(P2014-111581A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2016年10月19日
(31)【優先権主張番号】特願2012-247352(P2012-247352)
(32)【優先日】2012年11月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松土 貴一
(72)【発明者】
【氏名】竹田 敏行
(72)【発明者】
【氏名】岸本 純一
【審査官】 砂原 一公
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−048728(JP,A)
【文献】 特開2011−026310(JP,A)
【文献】 特表2005−530822(JP,A)
【文献】 特開2003−104881(JP,A)
【文献】 特開2009−114142(JP,A)
【文献】 特開2003−128540(JP,A)
【文献】 特開平05−000931(JP,A)
【文献】 特開2001−342151(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/072717(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イブプロフェン、トラネキサム酸およびスクラロースを含有することを特徴とする経口用組成物。
【請求項2】
スクラロースの含有量が、イブプロフェンの1質量部に対して0.02〜0.8質量部である請求項1に記載の経口用組成物。
【請求項3】
剤形が、顆粒剤、散剤、口腔内崩壊錠、口腔内速溶錠、チュアブル錠、トローチ剤、ドロップ剤、ドライシロップ剤または液剤である請求項1又は2に記載の経口用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イブプロフェン、トラネキサム酸およびスクラロースを含有する組成物に関し、さらに詳しくは口腔刺激が抑制され、服用性が向上したイブプロフェン含有経口用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
頭痛薬や総合感冒薬の有効成分として汎用されているイブプロフェンは、苦味や口腔刺激等の不快感を有することからイブプロフェンを含む組成物において、不快感を抑制することは、組成物の服用性を向上させ、製品の差別化を図ることができるなど、大きなメリットがある。従って、イブプロフェンと甘味剤等を組み合わせた服用性向上に関する特許出願は複数存在する(特許文献1、特許文献2)。しかし、いずれもイブプロフェン由来の口腔刺激抑制効果は十分とはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-290199
【特許文献2】特開2001-106639
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はイブプロフェン由来の口腔刺激を抑制し、服用性良好な経口用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、イブプロフェンにトラネキサム酸とスクラロースを組み合わせることで、口腔刺激が大きく抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
(1)イブプロフェン、トラネキサム酸およびスクラロースを含有することを特徴とする経口用組成物、
(2)スクラロースの含有量が、イブプロフェンの1質量部に対して0.02〜0.8質量部である(1)に記載の経口用組成物、
(3)剤形が、顆粒剤、散剤、口腔内崩壊錠、口腔内速溶錠、チュアブル錠、トローチ剤、ドロップ剤、ドライシロップ剤または液剤である(1)又は(2)に記載の経口用組成物、
である。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、有効成分としてイブプロフェンを配合した服用性の良い製剤を提供することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明のイブプロフェンの含有量は、経口用組成物中5〜45質量%が好ましく、トラネキサム酸の含有量は、経口用組成物中5〜55質量%が好ましく、スクラロースの含有量は、経口用組成物中0.1〜5質量%が好ましい。
【0008】
また、イブプロフェン由来の口腔刺激を抑制するという点から、スクラロースの含有量は、イブプロフェン1質量部に対して0.02〜0.8質量部配合するのが好ましい。
【0009】
本発明の経口用組成物としては、内服固形剤のみならず、内服液剤(懸濁剤含む)も含まれる。
【0010】
本発明の経口用組成物は、イブプロフェンを被覆しなくてもイブプロフェンの口腔刺激を抑制することから、特に通常被覆を行うことが困難な、例えば顆粒剤、散剤、口腔内崩壊錠、口腔内速溶錠、チュアブル錠、トローチ剤、ドロップ剤、特に水や温湯に溶解または分散させて服用するタイプの散剤や顆粒剤(例えばドライシロップ剤)として実施する意義が大きい。本発明の経口用組成物の製造方法は、常法により製造することができ、その方法は特に限定されるものではない。
【実施例】
【0011】
以下に、製造例、実施例、比較例を挙げ、本説明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの製造例等に何ら限定されるものではない。
【0012】
製造例
(1)各組成物の調製
下記に示す実施例1−2及び比較例1−4の経口用組成物を調製した。
【0013】
実施例1
イブプロフェン630mg、トラネキサム酸750mg、スクラロース45mgを量り、30メッシュの篩を通し、乳鉢ですりつぶして混合した。
【0014】
実施例2
イブプロフェン630mg、トラネキサム酸750mg、スクラロース13mgを量り、30メッシュの篩を通し、乳鉢ですりつぶして混合した。
【0015】
比較例1
イブプロフェン630mg、スクラロース45mgを量り、30メッシュの篩を通し、乳鉢ですりつぶして混合した。
【0016】
比較例2
イブプロフェン630mg、トラネキサム酸750mgを量り、30メッシュの篩を通し、乳鉢ですりつぶして混合した。
【0017】
比較例3
イブプロフェン630mg、トラネキサム酸750mg、アスパルテーム45mgを量り、30メッシュの篩を通し、乳鉢ですりつぶして混合した。
【0018】
比較例4
イブプロフェン630mg、トラネキサム酸750mg、ステビア45mgを量り、30メッシュの篩を通し、乳鉢ですりつぶして混合した。
【0019】
(2)試験方法
上記実施例1〜2及び比較例1〜4の組成物各300mgずつを、3名のパネルが口に含み、5秒後、さらに20mLの水を口に含み、5秒後に吐き出し、感じた口腔刺激の最大値をイブプロフェンをコントロールとして表1の評価基準に基づき評価した。
コントロール:
3名のパネルがイブプロフェン300mgを口に含み、5秒後、さらに20mLの水を口に含み、5秒後に吐き出し、感じた口腔刺激の最大値を強度4とした。
【0020】
【表1】
【0021】
結果を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
ここで、甘味度とは甘味剤の対砂糖甘味度に処方中の高甘味度甘味剤の重量比をかけた値と定義した。対砂糖甘味度は同じ濃度の砂糖水溶液と比較した際に、甘味強度を砂糖水溶液の何倍感じるかであり、スクラロースを600倍,アスパルテームを200倍,ステビアを180倍として計算した。
【0024】
比較例1に示したとおり、イブプロフェンとスクラロースを組合せても、口腔刺激の強度はイブプロフェンのみの場合と同程度であり、スクラロースによる口腔刺激改善効果はみられなかった。同様に比較例2に示したとおり、イブプロフェンとトラネキサム酸を組み合わせても、口腔刺激の強度はイブプロフェンと同程度であった。
これに対し、実施例1、2に示したとおり、イブプロフェンとトラネキサム酸とスクラロースを組み合わせると、口腔刺激が大きく抑制されることがわかった。
比較例3、4に示したとおり、実施例1、2のスクラロースをアスパルテームやステビア等の甘味剤に置き換えた場合、口腔刺激は抑制されず、むしろ強くなることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明により、従来のフィルムコーティングや糖衣といった方法を用いないでも、イブプロフェンを含有した服用性が良好な経口組成物を提供することが可能となったので、剤形のバリエーションが広がり、消費者のニーズに、より的確に対応できるようになった。