(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の乗用草刈機の構成によれば、内部に収容されていた刈り草をトラックの荷台に排出する際、刈り草収容部の排出扉の下端部から排出される刈り草が、トラックの荷台の外にこぼれてしまうことがあった。
【0006】
本発明は、上記従来の乗用草刈機のこの様な課題に鑑み、刈り草収容部から外部に刈り草を排出する際に、従来に比べて刈り草のこぼれを低減できる乗用草刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の本発明は、
走行車体と、
前記走行車体の後部に配置されたエンジンと、
前記走行車体の前部に連結された草刈装置と、
前
記草刈装置で刈り取られた刈り草を
搬送するブロワと、
前記ブロワで搬送した刈り草を内部に収容し、背面側の開閉
扉から外部に排出する
、前記エンジンの上方に配置された刈り草収容部と、
前記刈り草収容部を昇降可能に支持するリンク機構と、
を備え、
前記開閉扉には、前記ブロワから前記刈り草収容部の内部に送られた刈り草搬送用空気を前記刈り草収容部から外部に排出させるブロワ排風口が下方に向けて設けられており、
前記刈り草収容部の背面下端部には、後方に向かって突出する排出案内板が固定されており、
前記刈り草収容部が前記リンク機構により上昇した
場合は、前記開閉扉から排出されてくる前記刈り草が、前記排出案内板により後方に案内され、
前記刈り草収容部が草刈作業位置にある場合は、前記ブロワ排風口から下方に向けて排出される前記刈り草搬送用空気が、前記排出案内板により後方に向きを変える、ことを特徴とする乗用草刈機である
。
また、請求項2の本発明は、
前記エンジンの前方にミッションケースを設け、
前記ミッションケースの前方に前記ブロワが設けられており、
前記ブロワを収納したブロワケースの背面部の一部に前記ブロワの風が通過可能な孔を形成したことを特徴とする、請求項1に記載の乗用草刈機である。
また、請求項3の本発明は、
前記ブロワを構成する複数のブレードを固定するブレード固定板が前記孔に近接して覆う構成としたことを特徴とする、請求項2に記載の乗用草刈機である。
また、請求項4の本発明は、
前記エンジンの前方にミッションケースを設け、
前記ミッションケースの前方に前記ブロワが設けられており、
前記ブロワを収納したブロワケースの背面部の一部にフィン又はケーシングを設けたことを特徴とする、請求項1に記載の乗用草刈機である。
なお、上記課題を解決するために、第1の本発明は、
走行車体と、
前記走行車体に連結された草刈装置で刈り取られた刈り草を内部に収容し、背面側の開閉口を介して外部に排出する刈り草収容部と、
前記刈り草収容部を昇降可能に支持するリンク機構と、
前記刈り草収容部が前記リンク機構により上昇した際、前記刈り草収容部の前記開閉口の下端近傍から後方に向けて突き出てくる板状の突出部材と、を備えた、乗用草刈機である。
【0008】
これにより、刈り草収容部から外部に刈り草を排出する際に、従来に比べて刈り草のこぼれを低減でき、刈り草を例えば運搬トラックの荷台に円滑に案内できるという効果を発揮する。
【0009】
また、第2の本発明は、
前記刈り草収容部は、
前記背面側の前記開閉口を開閉する、上下に2分割された開閉扉が設けられたコンテナと、
前記コンテナを載せるコンテナ台と、を有し、
前記2分割された開閉扉は、前記開閉口の下端を中心に回動可能な下側扉と、前記開閉口の上端を中心として回動可能な下側扉により構成されており、
前記突出部材は、前記2分割された開閉扉の内の下側の開閉扉である、ことを特徴とする上記第1の本発明の乗用草刈機である。
【0010】
これにより、刈り草排出作業の容易化が図れる。また、開閉扉が2分割されていることにより、刈り草排出時における上側扉の下端部の地上からの高さを高くすることが出来て、刈り草の排出性能が向上するという効果を発揮する。
【0011】
また、第3の本発明は、
前記上側扉と前記下側扉は、第1連結部材で連結されており、
前記コンテナが前記排出の為に傾けられた際の前記上側扉の自重による前記上側扉の開動作に応じて、前記下側扉が開動作を行う、上記第2の本発明の乗用草刈機である。
【0012】
これにより、上側扉と下側扉が第1連結部材で連結された構成であるので、上下の扉の開閉動作が確実に行えるという効果を発揮する。
【0013】
また、第4の本発明は、
前記刈り草収容部は、
前記刈り草を内部に収容し、背面側の前記開閉口を開閉する開閉扉が設けられたコンテナと、
前記コンテナを載せるコンテナ台と、を有し、
前記突出部材は、前記コンテナ台の後部に連結され、前記後部を中心として回動可能に構成されている、ことを特徴とする上記第1の本発明の乗用草刈機である。
【0014】
これにより、走行車体の後端部から突出部材の後端部までの距離を長く設定できるので、刈り草排出作業の容易化が図れるという効果を発揮する。
【0015】
また、第5の本発明は、
前記突出部材と前記リンク機構は、第2連結部材で連結されており、
前記コンテナが前記リンク機構により上昇することによって、前記突出部材が前記回動により前記後方に向けて突き出す、ことを特徴とする上記第4の本発明の乗用草刈機である。
【0016】
これにより、例えば、刈り草排出作業時以外は、突出部材が後方に向けて突き出していないので、突出部材が邪魔にならないという効果を発揮する。
【0017】
また、第6の本発明は、
前記コンテナが降下位置にあるときは、前記突出部材は、上方又は下方に向けて起立している、ことを特徴とする上記第2乃至5の何れか一つの本発明の乗用草刈機である。
【0018】
これにより、コンテナが降下位置にあるときは、突出部材が上方又は下方に向けて起立しているので、突出部材が後方に向けて突き出していないので邪魔にならないという効果を発揮する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、刈り草収容部から外部に刈り草を排出する際に、従来に比べて刈り草のこぼれを低減できる乗用草刈機を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の乗用草刈機の実施の形態の乗用草刈機について説明する。
【0022】
(実施の形態1)
ここでは、主として
図1から
図5を用いて、本発明の一実施の形態としての乗用草刈機1の構成および動作について説明する。
【0023】
最初に
図1から
図4を用いて、本実施の形態1の乗用草刈機1の構成を中心に説明する。
【0024】
ここで、
図1は、本実施の形態1における乗用草刈機1の全体概略側面図であり、
図2は、本実施の形態1における乗用草刈機1の全体概略平面図である。また、
図3は、本実施の形態1における乗用草刈機1の全体背面図である。また、
図4は、本実施の形態1における乗用草刈機1の開閉扉210の構成を示す概略斜視図である。
【0025】
図1〜
図3に示す通り、本実施の形態1の乗用草刈機1は、走行車体100と、左右一対の操向操作自在な前輪110と、左右一対の駆動自在な後輪120と、走行車体100の前方下部に連結された草刈装置130と、走行車体100の前部に設けられたステアリングハンドル140と、ステアリングハンドル140の後ろに配置された運転席141と、走行車体100の後部に配置されたエンジン150と、草刈装置130で刈り取られた刈り草を内部に収容し、背面側に設けられた開閉扉210から外部に排出する刈り草収納部200と、刈り草収納部200を昇降可能に支持する昇降リンク機構300と、刈り草収納部200を昇降リンク機構300により上昇させた後、上方に回動させて刈り草を外部に排出させるダンプ機構400とを備えた構成である。また、左右一対の前輪110の上方をカバーするフェンダ115が運転席141の左右両側を覆うべく配置されている。
【0026】
尚、昇降リンク機構300、及びダンプ機構400については、更に後述する。
【0027】
また、刈り草収容部200は、内部に刈り草を収容するための収容空間を有するとともに背面側に設けられた開閉口を開閉する、上下に2分割された上側扉211と下側扉212から構成された開閉扉210を有するコンテナ220と、コンテナ220を載せた状態で、ダンプ機構400により回動可能に構成されたコンテナ台230とを備えている。
【0028】
尚、開閉扉210については、
図4を用いて更に後述する。
【0029】
また、
図1、
図2に示す通り、本実施の形態1の乗用草刈機1は、エンジン150の前方にはミッションケース160を備え、更にその前方には草刈装置130で刈り取られた刈り草を、第1搬送路171を介して吸引するとともに、第2搬送路172を介してコンテナ220の内部に刈り草を搬送するブロワ170を備える。
【0030】
また、走行車体100の運転席141の後方上部には、運転席141に座っているオペレターを、乗用草刈機1の転倒時やコンテナ220の落下等から保護するための、背面視で略門形(
図3参照)の防護ガード142が設けられている。
【0031】
次に、上述した通り、
図1を用いて、昇降リンク機構300、及びダンプ機構400について更に説明する。
【0032】
即ち、昇降リンク機構300は、
図1に示す通り、コンテナ220の左右両側に設けられた、上下一対の上側昇降アーム310a及び下側昇降アーム310bと、左右両側に設けられた下側昇降アーム310bにそれぞれ連結された左右一対の昇降シリンダ320と、左右両側に設けられた上下一対の上側昇降アーム310a及び下側昇降アーム310bの前端部を、アーム連結支持部311を介して回動可能に連結するとともに、左右に設けられた昇降シリンダ320の下端部を回動可能に連結した、コンテナ220の前端の左右両側に立設された左右一対の連結支柱330と、左右に設けられた上下一対の上側昇降アーム310a及び下側昇降アーム310bの後端部を回動可能に連結するとともに、コンテナ台230を回動可能に支持する、平面視で略コの字状のコンテナ台支持フレーム340(
図1、
図7(a)参照)の両端部が固着された昇降アーム連結体350とを備えた構成である。
【0033】
また、ダンプ機構400は、
図1に示す通り、コンテナ台230の後端部を、コンテナ台支持フレーム340の後端部に対して回動可能に連結するとともに、左右方向に回動軸芯411を有する回動連結部410と、コンテナ台230の左右両側の後端部近傍であって、回動軸芯411より前方に上端部420aが回動可能に連結されるとともに、後端部420bが昇降アーム連結体350に回動可能に連結されたダンプシリンダ420とを備えた構成である。
【0034】
次に、上述した通り、主として
図3、
図4を用いて、開閉扉210を中心に更に説明する。
【0035】
図3、
図4に示す通り、上側扉211は、上端縁部の2箇所において、コンテナ220の天井部分の後端縁部の2箇所に固着された左右一対の上側扉回動支持プレート221L、221Rに対して、第1回動軸221La、221Raを介して回動可能に連結されるべく、左右一対の上側扉連結プレート211L、211Rを備えている。また、上側扉211には、ブロワ170からコンテナ220内部に送られた刈り草搬送用の空気をコンテナ220の外部に排出させるべく、ブロワ排風口215が下方に向けて設けられている。
【0036】
また、下側扉212は、下端縁部の2箇所において、コンテナ220の床面部分の後端縁部の2箇所に固着された左右一対の下側扉回動支持プレート222L、222Rに回動可能に連結されている。
【0037】
更に、下側扉212は、下側扉本体212aと下側扉延長部212bとが一部において重ねられて、且つ下側扉延長部212bが下側扉本体212aに対して、連結ピン213と長孔214との連携により、下側扉延長部212bの自重でスライド移動可能に互いに連結された構成である。
【0038】
また、開閉扉210には、刈り草を排出するために、コンテナ220が、昇降リンク機構300により、初期位置にある状態(左右一対の昇降シリンダ320が最も縮んでおり、コンテナ220が地上から最も低い位置にある状態)から上昇した後、ダンプ機構400により、刈り草排出位置まで傾けられた際、上側扉211の自重による上側扉211の開動作に連動して、下側扉212が開動作を行い、その後、コンテナ220が刈り草排出位置から初期位置に戻る際、上側扉211の閉動作に連動して、下側扉212が閉動作を行うべく、上側扉211と下側扉212とを、左右一対の第1連結ロッド510L、510Rを介して連結する開閉動作機構500が設けられている。
【0039】
また、コンテナ220が刈り草排出位置に移動した際は、下側扉延長部212bは、自重により延びる方向にスライドし、その後、コンテナ220が初期位置に移動した際は、自重により縮む方向にスライドするという動作が可能となる。
【0040】
次に、開閉動作機構500について、
図1、
図3、
図4を用いて更に説明する。
【0041】
即ち、開閉動作機構500は、上側扉211の上端縁部から左右両側にそれぞれ突き出した左右一対の第1連結ロッド上側支持プレート520L、520Rと、下側扉本体212aの左右両端において、第1連結ロッド510L、510Rの下端側を回動可能に支持する左右一対の第1連結ロッド下側支持プレート530L、530Rとを備えている。また、左右一対の第1連結ロッド上側支持プレート520L、520Rは、上側扉211の上端縁部において、コンテナ220と回動可能に連結された上側扉連結プレート211L、211Rのそれぞれに対して、一方端が固着されるとともに、他方端が上側扉211の左右両側へ延びており、コンテナ220が初期位置(
図1参照)に位置するときの平面視において、他方端の先端側で前方に向けて直角に折れ曲がり、第1連結ロッド510L、510Rの上端側が保持された第1連結ロッド保持部材511L、511Rを回動可能に支持するほぼL字状を成している。
【0042】
また、第1連結ロッド510L、510Rは、第1連結ロッド保持部材511L、511Rに対して、保持位置を微調整可能な構成となっており、第1連結ロッド510L、510Rの実質的な長さが調整可能である。
【0043】
尚、本実施の形態の下側扉212が、本発明の突出部材の一例にあたり、本実施の形態の第1連結ロッド510L、510Rが、本発明の第1連結部材の一例にあたる。また、本実施の形態の昇降リンク機構300とダンプ機構400とを含む構成が、本発明のリンク機構の一例にあたる。
【0044】
次に、
図4、
図5を用いて、開閉動作機構500の動作について説明する。
【0045】
図5は、本実施の形態の乗用草刈機1のコンテナ220の初期位置から刈り草排出位置における上側扉211及び下側扉212の動作状況を示す概略側面図である。
【0046】
作業者は、コンテナ220が初期位置(
図5中では、矢印Aで示した位置)に位置する状態で、乗用草刈機1を後進させて、運搬トラック600に近づけて停車させる。
【0047】
そして、作業者が刈り草排出操作を行うことにより、昇降シリンダ320が延びる方向に動作を開始し、上下一対の上側昇降アーム310a及び下側昇降アーム310bが上昇することにより、コンテナ220が上昇位置(
図5中では、矢印Bで示した位置)まで移動し、その後、ダンプシリンダ420が延びる方向に動作を開始することで、コンテナ220は回動軸芯411を中心にD方向(
図5参照)に回動を開始して刈り草排出位置(
図5中では、矢印Cで示した位置)まで移動し、刈り草が運搬トラック600に排出される。
【0048】
コンテナ220が刈り草排出位置に移動する際に、上側扉211が自重により開動作を開始することにより、第1連結ロッド上側支持プレート520L、520Rが、左側面視(
図5参照)で、第1回動軸221La、221Raを中心として半時計周りに回動を開始する。この回動動作に伴って、第1連結ロッド保持部材511L、511Rの第2回動軸511La、511Raは、左側面視(
図5参照)で、第1回動軸221La、221Raを中心として半時計周りに回動しながら、第1連結ロッド510L、510Rの下端側が、左右一対の第1連結ロッド下側支持プレート530L、530Rを下方側に押し出す方向に移動させる。尚、下側扉212の自重が、下側扉212の上述した開動作を促進させる方向に作用する。
【0049】
これにより、左右一対の第1連結ロッド下側支持プレート530L、530Rが取り付けられている下側扉212が開動作を行い、コンテナ220の底面を排出方向に延長した位置で開動作を停止する(
図5参照)。即ち、コンテナ220の底面が斜め下方に傾斜した状態であるので、下側扉212も斜め下方に傾斜した状態となる。
【0050】
これにより、コンテナ220から運搬トラック600に対して、刈り草を排出する際、下側扉212がコンテナ220の背面下端部から斜め後方に向けて突き出してくるので、コンテナ220内から落下してくる刈り草を運搬トラック600の荷台側に効果的に案内することが出来て、運搬トラック600の荷台からこぼれ落ちることを低減出来る。よって、コンテナからの刈り草排出作業が従来に比べて容易に行える。
【0051】
また、開閉扉210が上下に2分割された構成であるので、上側扉211の丈h(
図5参照)を、従来の開閉扉のごとく2分割していない構成に比べて短く出来るので、上側扉211が開動作した状態における、上側扉211の下端部211aの地上からの高さH(
図5参照)を高くすることが出来て、刈り草の排出性能が向上する。
【0052】
尚、下側扉212の閉動作については、開動作の逆であるので説明を省略するが、上側扉211が閉動作することに連動して、下側扉212が閉動作することにより、上下の扉の閉動作が確実に行える。
【0053】
(実施の形態2)
ここでは、主として
図6、
図7(a)、
図7(b)を用いて、本発明の別の実施の形態としての乗用草刈機2の構成および動作について説明する。
【0054】
最初に
図6、
図7(a)、
図7(b)を用いて、本実施の形態2の乗用草刈機2の構成を中心に説明する。
【0055】
ここで、
図6は、本実施の形態2における乗用草刈機2の全体概略左側面図である。また、
図7(a)は、本実施の形態2における乗用草刈機2のガイド板700を説明するための斜視図であり、
図7(b)は、本実施の形態2における乗用草刈機2のガイド板700を回動させる第2連結ロッド810の後端部800bの拡大平面図である。
【0056】
本実施の形態2と上記実施の形態1との相違点は、次の通りである。
【0057】
即ち、上記実施の形態1では、コンテナ220が、昇降リンク機構300により上昇し、ダンプ機構400により刈り草排出位置まで回動した際、開閉扉210の一部である下側扉212がコンテナ220の背面下端部(開閉口の下端部)から斜め後方に向けて突き出してくることで、コンテナ220の開閉口から落下してくる刈り草が、運搬トラック600の荷台610の外にこぼれ落ちることを低減する構成であったのに対して、本実施の形態2では、コンテナ220が、昇降リンク機構300により上昇した際、コンテナ台230の後端部230a(
図7参照)に回動可能に連結されたガイド板700が、下方に向けて起立した状態から後方に向けて水平に突き出してくることで、走行車体100の後端部101からガイド板700の後端部701までの距離L(
図6参照)を長くすることが出来る構成とした。
【0058】
以下、本実施の形態2では、上記実施の形態1との相違点を中心に説明し、上記実施の形態1と基本的に同じ構成には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0059】
図7に示す通り、両端700L、700Rを同じ方向に折り曲げられて、コンテナ台支持フレーム340の左右方向の幅とほぼ同じ幅のガイド板700が、左右一対の回動ヒンジ710により、コンテナ台230の後端部230aにおいて回動可能に取り付けられている。また、ガイド板700の先端部の両端には、回動連結部410との干渉を避けるための切り欠き部702が設けられている。
【0060】
また、ガイド板700が、コンテナ220の昇降動作に連動して、回動ヒンジ710により回動するべく、ガイド板700の左右の両端700L、700Rと、左右一対の昇降アーム連結体350とを第2連結ロッド810を介して連結するガイド板回動機構800が設けられている。
【0061】
次に、ガイド板回動機構800について、
図7(a)、
図7(b)を用いて更に説明する。
【0062】
ガイド板回動機構800は、左右一対の第2連結ロッド810と、左右一対の昇降アーム連結体350に回動可能に設けられ、左右一対の第2連結ロッド810の前端部810aと回動可能に連結された略三角形状の左右一対の第2連結ロッド前端部支持プレート820と、ガイド板700の左右の両端700L、700Rに回動可能に設けられ、左右一対の第2連結ロッド810の後端部810bと連結された、一方端が略直角に折り曲げられた短冊状の左右一対の第2連結ロッド後端部支持プレート830と、コンテナ台230が上昇位置から初期位置に降下した際、ガイド板700が左側面視で必ず時計方向に回動して、後端部701が下方に向けられて収納されるべく、ガイド板700の左右の両端700L、700Rとコンテナ台支持フレーム340の左右の側面部とを連結するリターン引っ張りスプリング840とを備えた構成である。
【0063】
即ち、左右一対の第2連結ロッド前端部支持プレート820は、回動支持部821により、左右一対の昇降アーム連結体350に回動可能に連結され、且つ、ロッド連結ピン822により、左右一対の第2連結ロッド810の前端部810aに回動可能に連結されるとともに、ロッド連結ピン822により、左右一対の下側昇降アーム310bと連結されている。
【0064】
また、第2連結ロッド810の後端部810bは、
図7(b)に示す通り、圧縮スプリング811を介して、第2連結ロッド後端部支持プレート830に連結されるとともに、圧縮スプリング811の両端側において位置調節が可能に配置されたダブルナット812により保持されている。この圧縮スプリング811は、ガイド板700の自重では圧縮しないが、コンテナ220から排出される刈り草が当たった際には、刈り草の重さで圧縮されるべくばね強さが設定されている。
【0065】
尚、本実施の形態のガイド板700は、本発明の突出部材の一例にあたり、また、本実施の形態の第2連結ロッド810は、本発明の第2連結部材の一例にあたる。
【0066】
次に、
図6、
図7(a)を用いて、ガイド板回動機構800の動作について説明する。
【0067】
作業者は、コンテナ220が初期位置(
図6中では、矢印Aで示した位置)に位置する状態で、乗用草刈機2を後進させて、運搬トラック(図示省略)に近づけて停車させる。
【0068】
そして、作業者が刈り草排出操作を行うと、昇降シリンダ320が延びる方向に動作を開始し、上下一対の上側昇降アーム310a及び下側昇降アーム310bが上昇することにより、コンテナ220が初期位置(
図6中の矢印Aで示したコンテナの位置を参照)から上昇して上昇位置に移動する(
図6中の矢印Bで示したコンテナの位置を参照)。
【0069】
このとき、下側昇降アーム310bが、アーム連結支持部311を軸芯として回動することで上昇すると、下側昇降アーム310bの後端部に連結された第2連結ロッド前端部支持プレート820は、左側面視(
図6参照)で、回動支持部821を軸芯として反時計方向に回動する。これと同時に、第2連結ロッド前端部支持プレート820上のロッド連結ピン822が、回動支持部821を軸芯として反時計方向に回動しながら後方に移動するので、ロッド連結ピン822に前端部810aが連結された第2連結ロッド810は、後方の斜め上方に向けて押し出される。この動作に伴って、第2連結ロッド810の後端部810bが第2連結ロッド後端部支持プレート830を介して連結されたガイド板700は、回動ヒンジ710を回動中心として、下方に向けて起立していた状態から後方に向けて水平に突き出してくる。
【0070】
また、コンテナ220が昇降リンク機構300により上昇位置(
図6中では矢印Bで示したコンテナの位置)から降下して初期位置(
図6中では矢印Aで示したコンテナの位置)に移動した際は、第2連結ロッド810が、下側昇降アーム310bに連結された第2連結ロッド前端部支持プレート820の動作に連動することで、ガイド板700は、左側面視(
図6参照)で時計方向に回動し、後方に向けて水平に突き出していた状態から下方に向けて起立した状態となって収納される。
【0071】
これにより、コンテナ220が、昇降リンク機構300により上昇した際、コンテナ台230の後端部230a(
図7参照)に回動可能に連結されたガイド板700が、下方に向けて起立した状態から後方に向けて水平に突き出してくることで、走行車体100の後端部101からガイド板700の後端部701までの距離L(
図6参照)を長くすることが出来るので、ダンプ機構400による刈り草の排出作業が容易になる。
【0072】
即ち、作業者が、乗用草刈機2を後進させて、運搬トラック(図示省略)に近づけて停車させる際に、従来であれば、刈り草排出作業時に刈り草が運搬トラックの荷台の外にこぼさないために、運搬トラックとの距離を短くする必要があり、安全に後進させることに過剰に注意を払っていた。
【0073】
これに対して、本実施の形態によれば、ガイド板700が後方に向けて水平に突き出してくるので、ガイド板700が設けられていない従来の構成であれば、刈り草排出作業時に刈り草が運搬トラックの荷台の外にこぼれていた距離Lであっても、ガイド板700の存在によって、刈り草を円滑に斜め下方に案内するので、運搬トラックの荷台に確実に排出することが出来る。
【0074】
また、上述した通り、圧縮スプリング811を備えたことにより、コンテナ台230から後方に向けて水平に突き出した状態のガイド板700に対して、コンテナ220から排出される刈り草が当たった際には、刈り草の重さで圧縮スプリング811が圧縮されて、ガイド板700の後端部701が斜め下方に傾斜するので、刈り草の排出を妨げることはない。
【0075】
次に、上記実施の形態と異なり、コンテナ220の背面下端部に排出案内板900が固定されている構成及び動作について、主として
図8、
図9を用いて、説明する。
【0076】
ここで、
図8は、乗用草刈機3の全体概略左側面図であり、
図9は、乗用草刈機3のコンテナ220に設けられた排出案内板を説明する斜視図である。尚、
図9では、コンテナの開閉扉の図示を省略した。
【0077】
以下、上記実施の形態との相違点を中心に説明し、上記実施の形態と基本的に同じ構成には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0078】
図8、
図9に示す通り、コンテナ220の背面下端部には、両端が上向きに折り曲げられた排出案内板900が固定されており、コンテナ220が初期位置にあるとき、即ち、草刈作業中において、ブロワ170からコンテナ220内部に送られた風は、ブロワ排風口215から排出案内板900に当たり後方に向きを変える(
図8の矢印E参照)構成である。
【0079】
また、排出案内板900の中央には、開閉扉210の下端部に取り付けられ、開閉扉210の開閉動作をロックする際に用いられるロックプレート(図示省略)との干渉を避けるためのロックプレート切り欠き孔902が設けられている。
【0080】
また、エンジン150の周囲にはエンジンカバー510が設けられている。
【0081】
以上構成により、コンテナ220の背面下端部に排出案内板900が固定されているので、走行車体100の後端部101から排出案内板900の後端部901までの距離L1(
図8参照)を長くすることが出来るので、ダンプ機構400による刈り草の排出作業が容易になる。
【0082】
また、排出案内板900は、ブロワ排風口215から下方に向けて排出される排出風を排出案内板900で後方に進路を変更させるので、排出案内板900が設けられていなかった従来の構成であれば、ブロワ排風口215から下方に向けて排出された排出風が地面で反射してエンジンカバー510側に砂塵等が舞い上がりエンジンカバー510に設けられた通気口から内部に入り込むという問題があったが、上記構成によりそうした問題を防止できる。
【0083】
また、排出案内板900が、コンテナ220の背面下端部から後方に突き出して固定されているので、後方に障害物があっても、開閉扉210にぶつかるより前に、排出案内板900が障害物と接触するので、開閉扉210を保護する効果も発揮する。
【0084】
尚、上記実施の形態では、草刈作業中に、コンテナ220が浮き上がったり、作業者のご操作によりブロワ170の回転中にコンテナ220が浮き上がったりした際に、ブロワ170を自動的に停止させる安全装置について言及していないが、これに限らずたとえば、コンテナ220の浮き上がりを検知する検知センサー910(
図10参照)を設置した構成であっても良い。
【0085】
図10に示す構成によれば、ブロワ170の下流側に接続された第2搬送路172と、コンテナ220の入り口部223との間に隙間が生じたことを検知する検知センサー910が、第2搬送路172側に取り付けられている。検知センサー910には伸縮可能に構成された検知用突起911が設けられており、コンテナ220の入り口部223が浮き上がると、検知用突起911が突き出してくることで、検知センサー910内部の回路が作動して、浮き上がりを検知する構成である。
【0086】
また、検知センサー910からの検知信号を受け付ける制御回路(図示省略)は、検知感度の調整が可能であり、コンテナ220の入り口部223が浮き上がっていることを知らせる検知信号を、所定時間以上連続して受信したときに限り、ブロワ170の回転を停止する構成である。この所定時間を調整することにより、所定時間以下の短い時間であれば、コンテナ220が浮き上がってもブロワ170の回転を停止させない構成とすることで、ブロワ170を頻繁に停止させることを防止することが出来る。
【0087】
また、所定時間以下の短い時間に限り、コンテナ220が浮き上がってもブロワ170の回転を停止させない構成とすることで、コンテナ220の浮き上がりにより、第2搬送路172と入り口部223との隙間から運転席141側に向けて、刈り草や異物が飛散してくるので、これら飛散物から作業者を保護するために、入り口部223を覆うフェンダガード部920(
図11参照)が、フェンダ115の後端中央部に設けられている。
【0088】
また、検知センサー910からの検知信号を受信した制御回路がブロワ170の回転を停止させる制御を行っても、ブロワ170が停止するまでの間、第2搬送路172と入り口部223との隙間から運転席141側に向けて、刈り草や異物が飛散してくるので、これら飛散物から作業者を保護することが可能となる。
【0089】
ここで、
図10は、乗用草刈機に設けられた検知センサー910やフェンダガード部920を説明するための乗用草刈機の部分概略図であり、
図11は、乗用草刈機におけるフェンダガード部920を示す概略斜視図である。
【0090】
また、上記実施の形態では、ブロワ170の風を刈り草の搬送に使用する構成について説明したが、これに限らず例えば、ブロワ170の風の一部を、ブロワケース170aの背面部170bに配置されているミッションケース160やエンジン150の冷却に用いる構成としても良い(
図12参照)。ここで、
図12は、乗用草刈機に設けられたブロワ170によるミッションケース等の冷却機構を説明する一部断面概略側面図である。
【0091】
即ち、
図12に示す構成によれば、ブロワ170を収納したブロワケース170aの背面部170bの一部が網状部材(図示省略)で構成されているか、若しくは、背面部170bにおいて、ブロワ駆動軸173を通す中央孔173aを中心として放射状に設けられたスリット状の複数のスリット孔170eを有しているので、ブロワ170の回転により第2搬送路172側に搬送される刈り草を含む風(
図12では、矢印F1で示した)の一部(
図12では、矢印F2で示した)が、背面部170bから後方のミッションケース160やエンジン150に向けて排出されるので、ミッションケース160やエンジン150を冷却することが出来る。また、ブロワ170の後方にギヤケース(図示省略)が配置されている構成では、ギヤケースの油温の冷却も可能である。
【0092】
尚、背面部170bのスリット孔170eから排出される風には、刈り草はほとんど含まれていない。その理由は、ブロワ170を構成する複数のブレード170cを固定するブレード固定板170dが、背面部170bに形成された複数のスリット孔170eに近接して覆っているため、第1搬送路171(
図1参照)から搬送されてくる刈り草(
図12の矢印F1参照)は、ブレード固定板170dと背面部170bとの間の狭い隙間を通過しにくいためである。
【0093】
また、
図12の構成例では、ブロワケース170aの背面部170bに複数のスリット孔170eを設けて、ブロワケース170a内から、後方に配置されたミッションケース160等に風を送る構成について説明したが、これに限らず例えば、ブロワケースの背面部に複数のスリット孔を設けて、後方に配置されたミッションケース160側から、ブロワケース170a内部に向けて、空気が流れる構成としても良い。これにより、ブロワケース170aの後方に配置されているミッションケース160等の周囲において、ブロワケース170a内部に向う空気の流れが生じるので、ミッションケース160等の冷却が可能となる。また、ブロワケース170a内へ背面側から空気を流入させる構成により送風量の増加が図られて送風経路内の詰まりを防止出来る。
【0094】
また、上述したブロワケース170a内へ背面側から空気を流入させる構成において、上述した複数のスリット孔に代えて、ブロワケースの背面部170bに複数の円弧状の大きな貫通孔(図示省略)を、ブロワ駆動軸173を通す中央孔173aを取り囲むべく形成し、且つ、中央孔173aを中心として略放射状に配置されるとともに上記円弧状の貫通孔を横断する複数のフィン(図示省略)を背面部170bのミッションケース側の面上に設ける構成としても良い。ここで、各フィンは、効果的に空気の流れを生じさせるために、一定方向に傾斜して設けられている。これにより、背面側からブロワケース170a内へ流入する空気流入量を大幅に増加させることが出来て、ミッションケース160等の冷却がより効果的に行える。
【0095】
また、上述した複数のフィンを設ける構成において、空気をより効果的にブロアケース170a内に流入させるべく、それら複数のフィンの外周を取り囲む位置に、背面部170bから後方に向けてラッパ状に傾斜しながら立設したリング状のケーシング(図示省略)を更に設けた構成でも良い。これにより、ブロアケース170a内に流入する空気量を更に増加させることが可能となり、ミッションケース160等の冷却が更に効果的に行える。
【0096】
また、上述したリング状のケーシングを設ける構成において、後方に配置されたミッションケース160を主として冷却することを目的として、ミッションケース160の上方を覆うべく、ブロワケース170aの背面部170bの上部からミッションケース160の後部側まで延びた上部案内板(図示省略)を更に設けた構成であっても良い。これにより、ミッションケース160の上面と上部案内板との間において、より効果的な空気の流れが生じ、より確実にブロワケース170a内に吸引されるので、ミッションケース160の冷却が更に効果的に行える。
【0097】
また、上記実施の形態では、ダンプシリンダ420が伸張する方向に動作を開始すると同時にコンテナ220が回動軸芯411を中心に刈り草排出位置に向けて回動を開始する構成について説明したが、これに限らず例えば、コンテナ台支持フレーム340を、前後方向に伸縮自在の構成とすることにより、コンテナ台230が後方に所定距離だけスライド移動した後に、刈り草排出位置に向けて回動を開始する構成であっても良い。即ち、この構成によれば、ダンプシリンダ420が伸張する方向に動作を開始すると、コンテナ台支持フレーム340の後端側が後方に向けて所定距離だけスライド移動することにより、回動連結部410で連結されたコンテナ台230が後方に所定距離だけスライド移動するとともに、コンテナ220が後方に所定距離だけスライド移動する。その後、ダンプシリンダ420が更に伸張する方向に動作を続けると、コンテナ台支持フレーム340の後端側はそれ以上の伸張は出来ない構成であるので、コンテナ台230とともにコンテナ220が、回動軸芯411を中心として刈り草排出位置に向けて回動を開始する。この構成により、例えば、
図5に示した、走行車体100の後端部から下側扉212の後端部までの距離を更に長く設定できる。