(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アンテナ部は、前記転炉の内部に向けて照射される前記マイクロ波のパワーのうち20〜70%がランスの側壁又は転炉の炉壁に供給されるように、前記開口部に配設される、請求項1〜4の何れか1項に記載のレベル計。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0023】
(レベル計の構成について)
まず、
図1を参照しながら、本発明の実施形態に係るレベル計の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るレベル計の構成の一例を模式的に示した説明図である。
【0024】
本実施形態に係るレベル計10は、転炉に存在する溶融物(溶銑や溶鋼やスラグ)のうちスラグを計測対象物Sとし、かかるスラグの表面(スラグ面ともいう。)の位置を、マイクロ波により計測する装置である。ここで、スラグ面の位置を、スラグ面のレベル(:
図1における離隔距離D。以下、スラグレベルともいう。)と呼ぶ。このレベル計10は、
図1に示したように、マイクロ波照射ユニット100と、演算処理ユニット200と、を備える。
【0025】
マイクロ波照射ユニット100は、計測対象物Sに対して所定周波数のマイクロ波を照射するとともに、計測対象物Sからのマイクロ波の反射波を検出するユニットである。このマイクロ波照射ユニット100の詳細な構成については、以下で詳述する。
【0026】
演算処理ユニット200は、マイクロ波照射ユニット100により検出されたマイクロ波に関する信号データを利用して、計測対象物Sであるスラグの絶対レベルを算出するユニットである。この演算処理ユニット200の詳細についても、以下で詳述する。
【0027】
<マイクロ波照射ユニットの構成について>
続いて、
図1を参照しながら、本実施形態に係るマイクロ波照射ユニット100の構成を詳細に説明する。
本実施形態に係るマイクロ波照射ユニット100は、例えば、周波数変調連続波(Frequency Modulated−Continuous Wave:FM−CW)方式を採用したユニットとして実現される。このマイクロ波照射ユニット100は、
図1に示したように、マイクロ波射出部の一例である周波数掃引器101及び発振器103と、方向性結合器105と、アンテナ部として機能するアンテナ107と、ミキサ109と、検出部として機能する検出器111と、を備える。
【0028】
周波数掃引器101は、後述する発振器103から発振されるマイクロ波の周波数を制御して、連続的かつ直線的に周波数を変化させる機器である。周波数変調の幅と、変調の周期については、事前に調整を行い、マイクロ波が所望の精度で射出・検出できるように設定しておけばよい。また、用いる周波数掃引器101についても特に限定されるものではなく、公知のものを利用すればよい。
【0029】
発振器103は、周波数掃引器101による制御のもとで、周波数掃引器101により指定された周波数のマイクロ波を発振する機器である。かかる発振器103により発振される周波数(中心周波数)については、以下で詳述する。また、発振されるマイクロ波の強度については、特に限定されるものではないが、計測対象物までの大まかな離隔距離の大きさに応じて、適切な強度を選択すればよい。発振器103から発振された所定周波数のマイクロ波は、後述する方向性結合器105に出力されるとともに、一部が後述するミキサ109に出力される。なお、用いる発振器103については、公知のものを利用可能であるが、スラグレベルのリアルタイム計測を実現するためには、周波数掃引器101による周波数掃引に容易に追随できる程の応答速度を有する機器を用いることが好ましい。
【0030】
方向性結合器105は、発振器103から発振されたマイクロ波を後述するアンテナ107へと導波するとともに、アンテナ107が受信したマイクロ波(すなわち、計測対象物Sからの反射マイクロ波)を、後述するミキサ109へと導波する機器である。方向性結合器105についても、特に限定されるものではなく、公知のものを利用することが可能である。
【0031】
アンテナ107は、マイクロ波の送受信器として機能するものであり、発振器103から射出されたマイクロ波を計測対象物Sに向けて照射するとともに、計測対象物Sからの反射波を受信する。本実施形態に係るマイクロ波照射ユニット100では、アンテナ107は、後述するように、転炉の炉口の上方に存在する開口部に設置される。従って、アンテナ107の大きさは、かかる開口部に適合可能なような大きさとすることが好ましい。アンテナ107の形状については特に限定されるものではないが、例えば、カセグレン型やホーン型のアンテナを利用することが好ましい。
【0032】
ミキサ109は、発振器103から射出されたマイクロ波(すなわち、送信波)と、方向性結合器105から導波された、計測対象物Sからの反射マイクロ波(すなわち、受信波)と、を混合して、後段の検出器111へと出力する。
【0033】
検出器111は、ミキサ109によって送信波と受信波とが混合されることで生成した信号と、周波数変調との同期信号を検出する機器である。検出器111によるこのような検出処理により、アンテナ107が受信した反射マイクロ波が検出されることとなる。この検出器111によって検出された検出信号が、演算処理ユニット200へと出力される。かかる検出器111については、計測対象物Sからの反射波の大きさ等を事前に検証しておき、所望の精度・応答速度で信号を検出可能なものを利用することが好ましい。
【0034】
[マイクロ波距離計の原理]
このような構成を有するマイクロ波照射ユニット100は、いわゆるマイクロ波距離計として機能するものであるが、以下では、
図2を参照しながら、FM−CW方式のマイクロ波距離計の原理を簡単に説明する。
【0035】
いま、
図2の最上段に示したように、周波数掃引器101によって制御される発振器103の周波数変調の幅がF[Hz]に設定され、変調の周期がT[秒]に設定されたものとする。
図2の最上段に示したように、送信波の周波数は、時間の経過とともに連続的かつ直線的に変化する。
【0036】
一方、計測対象物Sにより反射されてアンテナ107で受信された受信波は、計測対象物Sまでの離隔距離Dに比例した遅れΔt[秒]を生じることとなる。その結果、ある同時刻における送信波と受信波との間には、離隔距離Dに対応した周波数の差Δf[Hz]が生じる。このような送信波及び受信波がミキサ109によって混合されると、Δfに相当する周波数成分を有する差周波信号(ビート波)となる。
【0037】
いま、送信波と受信波との時間的遅れΔtは、マイクロ波が、アンテナ107と計測対象物Sとの間を往復するために要する時間に相当する。また、マイクロ波の伝播速度は光速cであるため、時間的遅れΔtは、以下の式101で表すことができる。一方、ビート波の周波数Δfと時間的遅れΔtとの間には、以下の式102で表される関係が成立する。従って、式101と式102とを用いることで、離隔距離Dは、以下の式103により算出することができることがわかる。式103から明らかなように、離隔距離Dを算出するという処理は、
図2に示したビート波の周波数を算出することと等価である。
【0039】
ここで、現実の計測環境においては、ミキサ109により生成されるビート波が
図2に示したような正弦波となる場合はまれであり、いくつもの周波数成分が混じり合った複合波となる場合が多い。従って、このような複数の周波数成分からなるビート波の周波数を求める場合には、上記式103に示したような単純な式のみを利用することはできず、後述する演算処理ユニット200によってデジタル信号処理を行うこととなる。
【0040】
具体的には、複数の周波数成分からなるビート波をフーリエ変換して、横軸を距離[m]とし、縦軸を強度とした、
図2下段に示したようなスペクトルを生成する。このスペクトルにおいて、メインピークを与える横軸の位置が、求めたい離隔距離Dとなる。
【0041】
[アンテナ107の設置方法について]
さて、以上のような原理に基づくマイクロ波照射ユニット100の計測対象物Sへの設置方法(より詳細には、アンテナ107の設置方法)について、
図3を参照しながら詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係るマイクロ波照射ユニットの設置方法について説明するための説明図である。
【0042】
本実施形態に係るレベル計10の計測対象物Sは、
図3左側の図に示したように、製鋼プロセスで用いられる転炉の内部に存在するスラグ表面である。転炉製鋼プロセスでは、
図3に示したような転炉の内部に溶銑を装入し、かかる溶銑に対してメインランスから酸素を吹き込むことによって、溶銑の成分調整を行って溶鋼を生成する。かかる溶融物の表面には、処理の進行に伴ってスラグが生成される。
【0043】
また、転炉で行われる処理では、蒸気やダストなどが発生するため、発生するダスト等を外部環境に出さないためのフードが、転炉の炉口付近に設けられている。このフードには、メインランスを転炉内に挿入するための開口部や、サブランスを転炉内に挿入するための開口部(すなわち、サブランス孔)が設けられている。
【0044】
本実施形態に係るマイクロ波照射ユニット100のアンテナ107は、
図3右側の図に示したように、転炉の炉口側に位置するサブランス孔のような開口部に設置される。この際、本実施形態に係るマイクロ波照射ユニット100では、
図3に示したように、転炉の内部に向けて照射されるマイクロ波の照射方向を示す軸線(アンテナの中心とスラグ表面における照射領域の中心とを結ぶ軸線)が、転炉に挿入されるランスの側壁に対して傾斜して、マイクロ波がスラグの表面とランスの側壁との双方に対して照射されるように、アンテナ107が配設される。また、アンテナ107は、マイクロ波の照射方向を示す軸線が、ランスの側壁ではなく転炉の炉壁に対して傾斜して、マイクロ波がスラグの表面と転炉の炉壁との双方に対して照射されるように、サブランス孔などの開口部に配設されていてもよい。
【0045】
なお、本実施形態において、アンテナ107の設置箇所は、サブランス孔に限定されるわけではなく、転炉の内部(スラグ表面)を臨むことが可能なフードの位置に新たに開口部を設け、かかる新たな開口部にアンテナ107を設置してもよい。
【0046】
次に、
図4を参照しながら、アンテナ107の特性について、簡単に説明する。
図4は、マイクロ波の照射領域の大きさについて説明するための説明図である。
【0047】
図4に模式的に示したように、アンテナ107から照射されるマイクロ波は、アンテナ107の特性の一つである拡散角αで規定される範囲に拡散しながら、計測対象物Sに対して照射される。ここで、アンテナ107の直径(アンテナ径)をφ1とし、一般的な転炉において、スラグ表面までの一般的な距離である12〜22mを離隔距離Dとした場合に、マイクロ波の照射領域の大きさ(照射領域の径)φ2の大きさがどのように変化するかを考える。
【0048】
アンテナから照射されるマイクロ波の最小拡散角は、アンテナの径φ1とマイクロ波の周波数とで規定される。ここで、本実施形態に係るアンテナ107は、サブランス孔などの大きさの限られた場所に設置されているため、アンテナ径φ1は制限されることとなる。例えば、ダスト等が外部に漏出することを防止するためにフードに大きな開口を設けることができないという制約上、サブランス孔などの開口部の大きさは、せいぜい300〜400mm程度に制限される。従って、このサブランス孔に設けられるアンテナ107の径も、開口部の大きさが300mmの場合は例えば250〜275mm程度となる。
【0049】
この場合に、照射されるマイクロ波の周波数が10GHzであった場合、
図4に示したように、照射領域の径φ2は、3m程度の大きさとなる。照射領域の径φ2は、用いるマイクロ波の周波数を大きくするほど小さな値となり、24GHzのマイクロ波を用いた場合で1.5m程度となり、39GHzのマイクロ波を用いた場合で0.9mとなり、48GHzのマイクロ波を用いた場合で0.7mとなり、94GHzのマイクロ波を用いた場合で0.3mとなる。
【0050】
ここで、照射領域の径φ2が大きくなりすぎると、アンテナ107から照射されるマイクロ波の強度も分散することとなり、十分な反射波の強度が得られないこととなる。また、マイクロ波が広く拡散する(換言すれば、拡散角αが大きい)場合には、アンテナ107から10m程度に位置する炉口やフードなどからの反射波がノイズ成分となって計測感度を著しく低下させる上、ノイズ成分の増加に伴って転炉内に侵入するマイクロ波の強度も低下してしまう。また、転炉の使用回数が増加すると、炉口に地金やスラグ等が付着して炉口の径が狭くなり、拡散角αが大きい場合には、マイクロ波の一部が炉口で遮蔽されてしまうということも生じうる。以上のような理由から、照射領域に供給されるマイクロ波の強度を好ましい範囲に維持するためには、照射領域の径φ2の大きさを1.5mより小さくできる、24GHz以上の周波数を用いることが好ましい。
【0051】
続いて、
図5〜
図7を参照しながら、マイクロ波照射ユニット100のアンテナ107を傾斜させて配設する理由について説明する。
図5〜
図7は、本実施形態に係るマイクロ波照射ユニットにおけるマイクロ波の照射方法について説明するための説明図である。
【0052】
図5の左側の図に示したように、上記特許文献1や特許文献2に記載の技術では、マイクロ波を、鉛直方向下方に向かって照射することで、スラグ表面の位置を計測している。ここで、吹錬処理中はメインランスから酸素ガスが激しく供給されるため、スラグ表面は、メインランス付近を中心にして窪んだ状態となり、かつ、表面が激しく変動することとなる。従って、
図5の左側の図に示したようにマイクロ波を鉛直方向下向きに照射した場合には、マイクロ波の反射波の進行方向は絶えず変化し、マイクロ波の反射波がサブランス孔に設けられたアンテナ107へと戻ってくる割合は低下することとなる。
【0053】
また、単にアンテナ107を傾斜させただけの状態とした場合、例えばメインランス付近は統計的に水平レベルの表面が多くなるものの、集波することなくマイクロ波をスラグ表面に照射した場合には、マイクロ波の反射波がサブランス孔に設けられたアンテナ107へと戻ってくる割合は低下することとなる。
【0054】
一方、本発明者は、
図5の右側の図に示したように、サブランス孔から斜め方向に、一部がランスの側壁に照射されるようにマイクロ波をスラグ表面に照射すると、サブランス孔に戻ってくる反射波の割合が著しく増加することに想到した。本発明者は、その理由について検討を行った結果、
図6Aに示したように、スラグ表面とランス側壁とで、いわゆるコーナーキューブミラーが擬似的に実現されるためであるとの結論に至った。
【0055】
コーナーキューブミラーとは、2次元の場合を考えると、
図6Bに示したように2枚のミラー(鏡)を直角に組み合わせたものである。いま、
図6Bに示したように、P1方向から進行してきたマイクロ波が、入射角θで下部のミラーのP2に入射したものとする。その場合、マイクロ波は、反射角θでP2からP3に向かって反射する。ここで、2つのミラーは直角に組み合わされているため、P2での反射波は、入射角(90−θ)でもう一方のミラーにP3で入射し、反射角(90−θ)で反射する。
図6Bに示した幾何学的な位置関係から明らかなように、直線P1−P2と、直線P3−P4とは、互いに平行となるため、結局、P1から進行してきた入射波は、P4から入射方向に向かって戻っていくこととなる。
【0056】
同様に、P4方向から進行してきたマイクロ波が、入射角(90−θ)で側方のミラーのP3に入射したものとする。その場合、マイクロ波は、反射角(90−θ)でP3からP2に向かって反射する。ここで、2つのミラーは直角に組み合わされているため、P3での反射波は、入射角θでもう一方のミラーにP2で入射し、反射角θで反射する。その結果、P4から進行してきた入射波は、P1から入射方向に向かって戻っていくこととなる。
【0057】
このとき、入射波と反射波とは、
図6Bに示したように、大きさD
offだけ位置ズレが生じることとなる。
【0058】
なお、幾何学的な位置関係から明らかなように、上記のような入射波−反射波の関係は、いずれの方向から波が入射した場合であっても同様であり、入射角θには依存しない。
【0059】
従って、
図6Aに示したように、マイクロ波をスラグ表面とランス側壁の双方に照射されるように、斜め方向に向かって照射することで、スラグ表面に入射したマイクロ波はコーナーキューブミラーによってランス側壁で反射してサブランス孔方向に戻り、ランス側壁に入射したマイクロ波はスラグ表面で反射してサブランス孔方向に戻ることとなる。
【0060】
なお、
図6Bに示したようなコーナーキューブミラーは、2つのミラーを直角に組み合わせることで実現可能である。従って、
図7に示したように、スラグ表面と転炉の炉壁とを利用することでも、コーナーキューブミラーは実現できる。そのため、サブランス孔の位置に対して転炉の炉口が大きく、マイクロ波の照射方向を比較的自由に変更することが可能である場合、
図7に示したように、転炉の炉壁とスラグ表面との双方にマイクロ波を照射することで、上記と同様の効果を得ることが可能となる。
【0061】
ここで、マイクロ波をスラグ表面とランス側壁との双方に照射する場合には、メインランス近傍におけるスラグの位置を、転炉全体におけるスラグ位置とみなすことに対応する。また、マイクロ波をスラグ表面と転炉の炉壁との双方に照射する場合には、転炉の炉壁近傍におけるスラグの位置を、転炉全体におけるスラグ位置とみなすことに対応する。
【0062】
さて、
図6Bに示したように、P1−P2で表される波の進行方向と、P3−P4で表される波の進行方向とは、大きさD
offだけ位置ズレが生じている。従って、このオフセット分D
offが存在したとしても、アンテナ107でオフセット分を含めて受信できるように、アンテナ107の傾き度合いを決めることが好ましい。
【0063】
そこで、以下では、
図8〜
図11を参照しながら、アンテナ107の傾き度合いと反射波の受信度合いとの関係について、詳細に説明する。
図8〜
図11は、本実施形態に係るマイクロ波照射ユニットにおけるマイクロ波の照射方法について説明するための説明図である。
【0064】
アンテナ107の傾き度合いと反射波の受信度合いとの関係は、実機を利用して実際に測定することで検証することも可能であるし、公知のシミュレーションを利用して理論的に求めることも可能である。シミュレーションを利用して上記の関係を求める場合、
図8に示したように、サブランス孔からガウスビーム形状の入射波がスラグ表面に向かって拡散しながら進行していくものとし、サブランス孔に戻ってくる反射波の強度を算出すればよい。
【0065】
この場合、
図8に示したような反射体が存在しないと仮定した場合には、
図6Bに示したようなコーナーキューブミラーが実現せず、入射波は、スラグ表面の正反射方向へと進行していき、サブランス孔に戻ってくる反射波の強度が小さくなる。また、
図8に示したような反射体が存在すると仮定した場合には、
図6Bに示したようなコーナーキューブミラーが実現し、入射波は、サブランス孔の方向へと戻っていくこととなる。更に、サブランス孔に対応する位置を固定し、かつ、反射体の存在を仮定した上で、入射波のスラグ表面への入射位置を変化させることで、入射角θに応じた反射光の受信強度の変化を把握できる。反射光の受信強度が小さい場合には、マイクロ波照射ユニット100の検出器111で検出されるビート波の強度は小さくなり、計測が正常に終了する割合が低下する。
【0066】
ここで、本発明者は、入射角θに応じた反射光の受信強度の変化を把握するために、
図9A〜
図9Cに示したような、スラグ表面におけるマイクロ波の照射領域の大きさ(半径r)と、マイクロ波の照射
領域の中心から反射体までの離隔距離dと、の関係に着目し、離隔距離dを照射半径rで除した(d/r)というパラメータを考えた。ここで、離隔距離dは、照射領域の中心をゼロとし、
図9A及び
図9B中右方向を正の値とする。すなわち、
図9A及び
図9Bに示したように、照射マイクロ波の半分以上がスラグに照射される場合は、d≧0となり、
図9Cにおいて、照射領域の中心が反射体よりも右側に位置し、照射マイクロ波の半分超がランス側壁又は炉壁に照射される場合は、d<0となる。
【0067】
ここで、
図9A及び
図9Cに示したように、離隔距離dの絶対値が照射半径rよりも小さくなる場合も考えられるし、
図9Bに示したように、離隔距離dの絶対値が照射半径rよりも大きくなる場合も考えられる。
【0068】
サブランス孔等の開口部の位置は固定されているため、この(d/r)の値が変化することで、
図10に示したようにマイクロ波の進行方向は変化し、サブランス孔に設けられたアンテナに戻ってくる反射波(戻り波)の位置がシフトすることとなる。従って、アンテナ107の特性に応じて、アンテナ107が受信できる範囲に戻ったマイクロ波の強度を、実測したり、シミュレートしたりすればよい。
【0069】
いま、実際の転炉を用い、サブランス孔に250mmのアンテナ径のカセグレン型アンテナ(拡散角α=1度)を設置し、中心周波数45GHz(変調幅±1GHz、変調周期50Hz)のマイクロ波(発振出力100mW以上のある一定値に固定)を用いて、上記d/rの値を変化させながらビート波の信号強度を測定する実験を行った。ここで、評価基準として、50Hzの測定レートにおいて、ビート波が正常に測定された割合を測定率と称することとし、測定率の変化を検証した。なお、本検証で導入した測定率とは、以下の式110に示したように、1秒あたり1回以上ビート波が正常に測定できた時間を、全測定時間で除することで得られる割合である。
【0070】
測定率[%]
=(1回/秒以上正常に測定できた時間:[秒]/全測定時間[秒])×100
・・・(式110)
【0071】
得られた結果を、
図11に示した。
図11において、横軸が(d/r)の値であり、縦軸が上記式110に基づき算出した測定率である。
図11から明らかなように、−0.66<d/r<0.66の範囲において、測定率90%以上という優れた計測結果が得られたことがわかる。また、この(d/r)の範囲においてアンテナ107に戻ってくる反射波の強度を、
図8に示したようなシミュレーション(有限要素法によるシミュレーション)で算出した。なお、上記(d/r)の範囲では、ランス側壁に対して、アンテナから照射したマイクロ波の照射面積の20〜70%が照射されていることが明らかとなった。この数値範囲は、擬似的に構成されたコーナーキューブミラーが効果を発揮する範囲である。例えば、ランス径を0.4mとしたときに本条件が満足されるには、(ランスの断面積/マイクロ波の照射面積)≧20%となる照射面積であることが求められ、かかる場合(0.2/0.45)
2が凡そ0.2となることから、マイクロ波の周波数を照射エリアの直径が0.9mとなる39GHz以上とすることが好ましいことが分かった。なお、上限値が70%と対称性を有していないのは、ランスが円筒形であり、擬似的に凸面ミラーとして作用することに起因する。
【0072】
また、(d/r)の値を変化させながら炉壁に向かってマイクロ波を照射する実機での実験は行うことが出来なかったため、炉壁に対してマイクロ波を照射した場合についての検証は、以下のようなシミュレーションにて行うこととした。ここで、上記のランス側壁への照射実験で得られた反射波の強度と測定率との関係は、炉壁に対してマイクロ波を照射した場合でも同様であると考え、測定率が90%以上となる反射波の強度を与える(d/r)の範囲を、シミュレーションにより算出した。その結果、炉壁とスラグ表面との双方に対してマイクロ波を照射する場合には、−1.7<d/r<1.7とすることで、測定率が90%以上となることが明らかとなった。
【0073】
また、上記の(d/r)の値に関する範囲は、マイクロ波の周波数を変えた場合においても、同様の数値範囲となった。
【0074】
なお、炉壁に向けてマイクロ波を照射する場合と、ランス側壁に向けてマイクロ波を照射する場合とで、(d/r)の値の範囲が異なる理由については、炉壁が平面ミラーあるいは凹面ミラーとしてみなすことができるのに対し、ランスはその形状により凸面ミラーとして機能すると考えられるためであると考えられる。
【0075】
以上、
図3〜
図11を参照しながら、マイクロ波照射ユニット100におけるアンテナ107の設置方法について、詳細に説明した。
【0076】
なお、転炉製鋼プロセスにおいて、吹錬前は底吹きのみの状態であることから、計測対象物であるスラグ表面は比較的穏やかであるが、吹錬が開始されるとメインランスから大量の酸素が噴射されるため、表面は激しく変動する上、スラグの酸化反応によって激しく気泡が発生する状態となる。かかる状態では、スラグ表面からのマイクロ波の反射率が小さくなり、吹錬前の溶銑レベル計測に比べて高い測定感度が求められることとなる。従って、吹錬中であってもより精度よくスラグ表面の位置の計測を行うために、マイクロ波照射ユニット100全体として、電力比が40dB以上であることが好ましい。
【0077】
また、吹錬中のスラグ表面は、上述のように激しく上下動を繰り返しており、0.5秒で±1m程度変動する場合もある。そのため、平均的な表面レベルを計測するためには、時定数を短くして瞬時値を計測してから、得られた計測結果を平均化することが重要である。この際、精度50mm以下でスラグ表面のレベルを計測するためには、30ミリ秒程度以下の応答速度を有することが好ましい。これ以上の計測時間では、表面の変動分が検出信号のピーク強度の低下及び幅の増大につながり、感度を低下させる可能性がある。なお、上記応答速度の下限は特に限定するものではなく、応答速度が早ければ早いほど、実際のスラグの表面レベルの変化に追随した計測結果を得ることが可能となる。
【0078】
以上、
図1〜
図11を参照しながら、本実施形態に係るレベル計10が備えるマイクロ波照射ユニット100の構成について、詳細に説明した。
【0079】
<演算処理ユニットの構成について>
続いて、
図12を参照しながら、本実施形態に係る演算処理ユニット200の構成を詳細に説明する。
図12は、演算処理ユニット200の構成の一例を示したブロック図である。
【0080】
本実施形態に係るレベル計10が備える演算処理ユニット200は、マイクロ波照射ユニット100の発振器103にて射出されたマイクロ波と、検出部111にて検出された反射マイクロ波とに基づいて、スラグのレベルを算出する処理ユニットである。より詳細には、演算処理ユニット200は、マイクロ波照射ユニット100によって検出されたビート波の検出信号に対してデジタル信号処理を施し、スラグ表面の位置を算出するユニットである。この演算処理ユニット200は、マイクロ波照射ユニット100に設けられた演算処理用のチップとして実装されていてもよく、マイクロ波照射ユニット100の外部に設けられ、マイクロ波照射ユニット100からデータの取得が可能な、各種コンピュータやサーバ等の情報処理装置として実現されていてもよい。
【0081】
この演算処理ユニット200は、
図12に示したように、計測制御部201と、演算処理部203と、表示制御部205と、記憶部207と、を主に備える。
【0082】
計測制御部201は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信装置等により実現される。計測制御部201は、本実施形態に係るマイクロ波照射ユニット100による計測対象物Sの計測処理を統括して制御する。より詳細には、計測制御部201は、マイクロ波照射ユニット100によって計測対象物Sのレベル位置の計測を開始する場合に、マイクロ波照射ユニット100の動作を開始させるための制御信号を出力する。
【0083】
また、計測制御部201は、ユーザ操作等に応じて、マイクロ波照射ユニット100のアンテナ107の傾き具合(例えば、
図3右側の図における紙面に平行な面内での傾き具合や、紙面に垂直な面内での傾き具合)を調整するために、アンテナ107の近傍に設けられた公知の傾き調整機構に対して、傾き具合を変化させるための制御信号を出力することも可能である。これにより、本実施形態に係るレベル計10の使用者は、マイクロ波照射ユニット100で計測されるビート波の出力の具合(例えば、信号強度やS/N比等)を実際に見ながら、着目している操業における最も適したアンテナ107の傾き度合い(換言すれば、d/rの値)を調整することが可能となる。
【0084】
演算処理部203は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。演算処理部203は、マイクロ波照射ユニット100から出力されたビート波の検出信号を利用してデジタル信号処理を行うことにより、転炉内におけるスラグ表面の位置を算出する演算処理を実施する。また、演算処理部203は、算出したスラグ表面の位置を、転炉における吹錬処理の経過時間毎に記録したトレンドチャートを生成することも可能である。
【0085】
演算処理部203は、算出したスラグ表面の位置やトレンドチャートといった、マイクロ波照射ユニット100による計測結果を表す各種の情報を算出すると、得られた結果を表す情報を、表示制御部205に出力する。また、演算処理部203は、得られた結果を表す情報を、プリンタ等の出力装置を介して、例えば帳票のようなかたちで出力したり、転炉による操業を管理する操業管理コンピュータ等などに、得られた結果を表すデータそのものを出力したりすることも可能である。
【0086】
かかる演算処理部203における演算処理の詳細については、以下で改めて説明する。
【0087】
表示制御部205は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置等により実現される。表示制御部205は、演算処理部203から伝送された、計測対象物Sである転炉内のスラグ表面の位置に関する計測結果を、演算処理ユニット200が備えるディスプレイ等の出力装置や演算処理ユニット200の外部に設けられた出力装置等に表示する際の表示制御を行う。これにより、レベル計10の利用者は、転炉内のスラグ表面の位置に関する計測結果を、その場で把握することが可能となる。
【0088】
記憶部207は、例えば本実施形態に係る演算処理ユニット200が備えるRAMやストレージ装置等により実現される。記憶部207には、本実施形態に係る演算処理ユニット200が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベースやプログラム等が、適宜記録される。この記憶部207は、計測制御部201、演算処理部203、表示制御部205等が、自由に読み書きを行うことが可能である。
【0089】
[演算処理部における演算処理について]
次に、
図13を参照しながら、演算処理ユニット200が備える演算処理部203における演算処理について、詳細に説明する。
図13は、本実施形態に係る演算処理部における演算処理を説明するための説明図である。
【0090】
本実施形態に係る演算処理部203では、マイクロ波照射ユニット100から、
図13の上段に示したようなビート波の検出結果を示す信号が出力されると、まず、得られた信号をA/D変換して、デジタルデータとする。その上で、演算処理部203は、得られたビート波のデジタルデータをフーリエ変換(より詳細には、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT))し、
図13の中段に示したようなスペクトルを生成する。より詳細には、演算処理部203は、高速フーリエ変換によって得られたデジタルデータに対して、マイクロ波照射ユニット100の設定値に基づいて決定される距離係数(上記式103の最右辺において、(cT/2F)で表される係数)を乗じ、
図13の中段に示したようなスペクトルを生成する。かかるフーリエ変換によって得られるスペクトルは、横軸が、アンテナ107とスラグ表面の位置との間の距離に対応し、縦軸が信号強度に対応する距離スペクトルである。
【0091】
ここで、マイクロ波照射ユニット100により検出されるビート波は、スラグの表面変動に由来する多くの凹凸が存在するため、
図13の上段に示したように、微小なピークの集合体として観測される。従って、演算処理部203は、距離方向の所定の長さの移動平均処理を行って、得られた距離スペクトルを空間的に平均化する。これにより、平均化前の距離スペクトルにおける局所的なピークが平坦化されて、有意なピークが強調されることとなる。
図13に示した例では、
図13の中段に示したような距離スペクトルが空間的に平均化されて、
図13の下段における距離スペクトル中に示したような、平均化後の距離スペクトルが算出される。
【0092】
なお、移動平均処理を実施する距離方向の長さについては、特に限定されるものではなく、過去の操業データ等を解析するなどして適宜設定すればよいが、例えば、300〜500mm程度とすることができる。
【0093】
その後、演算処理部203は、空間的に平均した後の距離スペクトルにおいて、予め設定した閾値以上の強度を有するピークのうち最大強度を与える距離を、スラグ表面までの距離として決定する。ここで、演算処理部203は、得られたスラグ表面までの距離を、スラグ表面の絶対レベルとしてもよいし、例えば、転炉の炉底からの高さなどのように、他の基準へと変換してもよい。なお、かかる処理に用いられる閾値についても特に限定されるものではなく、過去の操業データ等を解析するなどして適宜設定すればよい。
【0094】
また、演算処理部203は、得られたスラグ表面までの距離を利用し、スラグ表面の位置と転炉における吹錬処理の経過時間とを関連付けた、いわゆるトレンドチャートを生成してもよい。かかるトレンドチャートは、例えば横軸に吹錬処理の経過時間をとり、縦軸に得られたスラグ表面のレベルをとったような、時系列経過を示したグラフ図となる。
【0095】
この際、計測レベルの表面変動に起因する変動に対応するために、演算処理部203は、ピークの経時変化を一定時間幅で時間的に移動平均処理し、大局的なレベルの推移を表すトレンドチャートとすることが可能である。かかる時間的な移動平均処理の大きさについても特に限定されるものではないが、例えば、200ミリ秒程度に設定することが可能である。
【0096】
更に、演算処理部203は、得られたトレンドチャート等に基づいて、スラグ表面の平均的な高さや、スラグ表面の高さの最大値や、スラグ表面の高さの最小値などといった各種の統計量を算出して、吹錬処理を特徴づける特徴量としてもよい。
【0097】
以上、
図13を参照しながら、演算処理部203における演算処理について説明した。
【0098】
以上、本実施形態に係る演算処理ユニット200の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0099】
なお、上述のような本実施形態に係る演算処理ユニットの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【0100】
このように、本実施形態に係るレベル計10は、従来、メインランスを避けるように照射されていたマイクロ波を、敢えてメインランスや転炉の炉壁といった転炉プロセスの構成物と、スラグ表面と、の双方に照射する。これにより、操業中に、サブランス孔あるいはダクト上部の開口部を通して、リアルタイムにスラグの絶対レベルを測定することが可能となる。その結果、適切なタイミングで鎮静剤を投入し、かつ、投入した鎮静剤の効果を把握することが可能となり、スロッピングを効果的に予防できるようになる。また、本実施形態に係るレベル計10を用いることで、フォーミング状態を一定高さに制御することができ、歩留まりを向上させることも可能となる。また、本実施形態に係るレベル計10では、マイクロ波照射ユニット100は転炉の内部へと挿入されず、転炉の炉口上方に設けられた開口部にアンテナが設置されるものであるため、メンテナンスも極めて容易である。
【0101】
以上、
図1〜
図13を参照しながら、本実施形態に係るレベル計10について、詳細に説明した。
【0102】
(レベル計測方法について)
続いて、
図14を参照しながら、本実施形態に係るレベル計10で実施されるレベルの計測方法の流れについて、簡単に説明する。
図14は、本実施形態に係るレベル計測方法の流れの一例を示した流れ図である。
【0103】
本実施形態に係るレベル計10では、まず、マイクロ波照射ユニット100により、転炉内部へマイクロ波が照射され(ステップS101)、計測対象物であるスラグ表面からのマイクロ波の反射波と、照射したマイクロ波との差周波信号(すなわち、ビート波)が検出される(ステップS103)。マイクロ波照射ユニット100は、得られたビート波に対応する信号を、演算処理ユニット200に出力する。
【0104】
演算処理ユニット200の演算処理部203は、マイクロ波照射ユニット100から出力されたビート波に対応する信号に対して、A/D変換を実施し(ステップS105)、ビート波のデジタルデータを生成する。その後、演算処理部203は、ビート波のデジタルデータをフーリエ変換し、得られた変換結果に距離係数を乗じることで距離スペクトルを算出する(ステップS107)。
【0105】
続いて、演算処理部203は、得られた距離スペクトルを空間的に平均化した後(ステップS109)、所定の閾値以上の強度を有するピークのうち、最大ピークを与える距離を、スラグ表面までの距離として特定する(ステップS111)。
【0106】
また、演算処理部203は、得られたスラグ表面までの距離を一定時間幅で移動平均処理することで時間平均化した後(ステップS113)、トレンドチャートを生成する(ステップS115)。次に、演算処理部203は、得られたトレンドチャート等を利用して、スラグ表面の平均レベル、最大レベル、最小レベル等といった各種の特徴量を算出する(ステップS117)。その後、演算処理部203は、得られた結果を出力する(ステップS119)。
【0107】
以上、
図14を参照しながら、本実施形態に係るレベル計測方法の流れを簡単に説明した。
【0108】
(ハードウェア構成について)
次に、
図15を参照しながら、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット200のハードウェア構成について、詳細に説明する。
図15は、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット200のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【0109】
演算処理ユニット200は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、演算処理ユニット200は、更に、バス907と、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919とを備える。
【0110】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913、またはリムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、演算処理ユニット200内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。
【0111】
バス907は、ブリッジを介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスに接続されている。
【0112】
入力装置909は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、演算処理ユニット200の操作に対応したPDA等の外部接続機器923であってもよい。さらに、入力装置909は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。演算処理ユニット200のユーザは、この入力装置909を操作することにより、演算処理ユニット200に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0113】
出力装置911は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置911は、例えば、演算処理ユニット200が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、演算処理ユニット200が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
【0114】
ストレージ装置913は、演算処理ユニット200の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
【0115】
ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、演算処理ユニット200に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体921は、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu−ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
【0116】
接続ポート917は、機器を演算処理ユニット200に直接接続するためのポートである。接続ポート917の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS−232Cポート等がある。この接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、演算処理ユニット200は、外部接続機器923から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりする。
【0117】
通信装置919は、例えば、通信網925に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置919は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
【0118】
以上、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット200の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【実施例】
【0119】
以下では、実施例を示しながら、本発明の実施形態に係るレベル計及びレベル計測方法について、具体的に説明する。なお、以下で示す実施例は、本発明の実施形態に係るレベル計及びレベル計測方法のあくまでも一例であって、本発明の実施形態に係るレベル計及びレベル計測方法が、以下に示す例に限定されるものではない。
【0120】
本実施例では、マイクロ波照射ユニット100として、中心周波数45GHz、変調幅±1GHz以上のマイクロ波を用いた、FM−CW方式のユニットを利用し、転炉にて実施された実際の操業の様子を計測した。なお、アンテナ107は、250mmφのアンテナ径を有するカセグレン型又はホーン型のものを利用した。かかるアンテナ107において、拡散角は1度以下である。また、発振器103は、7.5GHzの周波数を持つ発振回路を6逓倍したものを利用した。かかるマイクロ波照射ユニット100から照射されるマイクロ波の発振出力は100mW以上であり、変調周期は50Hzである。
【0121】
発振したマイクロ波は、方向性結合器(又は分配器)105によって検出器111側に一部分配され、残りは、アンテナ107から大気中に放射された。計測対象で反射されたマイクロ波のうち、マイクロ波照射ユニット100に向かう方向の成分のみがアンテナ107で集波され、方向性結合器105を通った後、ミキサ109により分岐波とミキシングされ、検出器111で検波された。混合された信号の差周波成分(ビート信号)と周波数変調との同期信号を、マイクロ波照射ユニット100の外部に設けられたコンピュータのA/D変換ボードに入力し、デジタルデータとしてコンピュータに取り込ませた。
【0122】
コンピュータに入力されたビート信号は、FFT処理を施され、上記の距離係数を乗じた上で距離スペクトルに変換され、距離スペクトルを得た。この際、距離方向に300〜500mm程度の移動平均処理を行って、局所的なピークを平坦化し、予め設定した閾値以上のピークのうち最大強度のものをスラグの表面レベルとして検出した。その上で、ピークの継時変化を200ミリ秒程度の時間幅で移動平均処理し、
図16に示したトレンドチャートを得た。
【0123】
図16から明らかなように、得られたトレンドチャートでは、転炉内におけるスラグレベルの推移がリアルタイムで把握可能である。かかるトレンドチャートを利用することで、吹錬操業において、吹錬初期では送酸量を増やしてフォーミングを促進し、レベルが一定値になると鎮静剤を投入するアクションを取ることが可能となった。また、かかるトレンドチャートを利用することで、短時間の表面変動も含めてリアルタイムにスラグの表面レベルを把握できるため、ランス高さや送酸量のきめ細かな制御ができ、スピッティングを抑制することによる歩留まり向上やスロッピング予防が可能になった。
【0124】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。