(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記指示部は、前記指示処理の内容の変更として、1または複数の新たな前記電力需要施設に新たな前記指示情報を通知するか、または、前記指示情報を通知した前記電力需要施設に異なる内容の前記指示情報を通知する、請求項1に記載の電力消費管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0016】
(1)本発明の実施の形態に係る電力消費管理装置は、複数の電力需要施設における電力消費を管理する電力消費管理装置であって、1または複数の電力供給側から電力消費に関する電力管理情報を取得する管理情報取得部と、前記電力管理情報に基づいて、前記電力需要施設における電力消費に関する指示情報を前記電力需要施設に通知する指示処理を行う指示部と、前記指示情報を通知した前記電力需要施設における電力消費を監視する監視部とを備え、前記指示部は、前記電力管理情報および前記監視部の監視結果に基づいて、前記指示処理の内容を変更する。
【0017】
このように、指示情報の通知先である電力需要施設における電力消費の制御状況をリアルタイムで監視し、監視結果および電力管理情報に基づいて指示処理の内容を変更する構成により、電力需要施設における電力消費を状況に応じて適切に制御することができる。
【0018】
(2)好ましくは、前記指示部は、前記指示処理の内容の変更として、1または複数の新たな前記電力需要施設に新たな前記指示情報を通知するか、または、前記指示情報を通知した前記電力需要施設に異なる内容の前記指示情報を通知する。
【0019】
このように、たとえば、通知された指示情報に従った電力消費制御を行うことが困難な電力需要施設が存在する場合であっても、他の電力需要施設に対する新たな指示情報の通知または同一の電力需要施設に対する異なる内容の指示情報の通知を行うことにより、電力供給側からの要請等に応じた電力消費の制御を行うことができる。
【0020】
(3)好ましくは、前記電力消費管理装置は、さらに、前記電力需要施設における電力消費の基準となる基準電力消費情報を取得する基準情報取得部を備え、前記指示部は、前記電力管理情報と、前記監視部の監視結果と、前記基準電力消費情報とに基づいて、前記指示処理の内容を変更する。
【0021】
このように、電力管理情報と、監視部の監視結果とに加えて、電力需要施設における電力消費の基準を考慮して指示処理の内容を変更するか否かを判断する構成により、指示処理の内容の変更の必要性をより適切に判断することができる。
【0022】
(4)好ましくは、前記電力消費管理装置は、さらに、各前記電力需要施設に付与された優先度または優先順位を示す優先情報を取得する優先情報取得部を備え、前記指示部は、前記優先情報に基づいて、前記各電力需要施設の中から新たな前記指示情報を通知すべき前記電力需要施設を選択する。
【0023】
このような構成により、新たな指示情報の通知先として優先的に選択すべき電力需要施設を容易に判断することができる。
【0024】
(5)より好ましくは、前記電力消費管理装置は、さらに、前記電力需要施設に対して過去に前記指示情報を通知したタイミングを示すタイミング情報を取得するタイミング情報取得部を備え、前記指示部は、前記優先情報および前記タイミング情報の少なくともいずれか一方に基づいて、前記各電力需要施設の中から新たな前記指示情報を通知すべき前記電力需要施設を選択する。
【0025】
このような構成により、たとえば同一の電力需要施設に対して複数回連続して指示情報を通知することを避け、複数の電力需要施設間での電力削減の偏りを防ぐことができる。
【0026】
(6)好ましくは、前記電力消費管理装置は、さらに、前記電力需要施設の前記電力供給側から供給される電力量に関する電力量情報を取得する電力量情報取得部を備え、前記指示部は、前記優先情報および前記電力量情報の少なくともいずれか一方に基づいて、前記各電力需要施設の中から新たな前記指示情報を通知すべき前記電力需要施設を選択する。
【0027】
このような構成により、電力供給側から供給される電力量が大きい電力需要施設など、比較的容易に電力消費の抑制等を行うことが可能な電力需要施設を、新たな指示情報の通知先として選択することができる。
【0028】
(7)好ましくは、前記電力消費管理装置は、さらに、前記電力需要施設における電力消費の基準となる基準電力消費情報を取得する基準情報取得部を備え、前記指示部は、前記基準電力消費情報と前記電力需要施設における電力消費を監視した結果との比較を、複数の前記電力需要施設の各々について行い、前記優先情報および比較結果の少なくともいずれか一方に基づいて、比較した各前記電力需要施設の中から新たな前記指示情報を通知すべき前記電力需要施設を選択する。
【0029】
このように、電力消費の基準となる情報と電力需要施設における実際の電力消費とを比較することにより、たとえば当該電力需要施設において抑制することのできる電力量を把握し、新たな指示情報の通知先として適切な電力需要施設を選択することができる。
【0030】
(8)好ましくは、前記電力消費管理装置は、さらに、前記電力需要施設における電力消費の予測値を取得する予測値取得部を備え、前記指示部は、前記予測値と前記電力需要施設における電力消費を監視した結果との比較を、複数の前記電力需要施設の各々について行い、前記優先情報および比較結果の少なくともいずれか一方に基づいて、比較した前記各電力需要施設の中から新たな前記指示情報を通知すべき前記電力需要施設を選択する。
【0031】
このように、電力需要施設による電力消費の予測値と当該電力需要施設における実際の電力消費とを比較することにより、たとえば当該電力需要施設において抑制することのできる電力量を把握し、新たな指示情報の通知先として適切な電力需要施設を選択することができる。
【0032】
(9)好ましくは、前記電力消費管理装置は、さらに、前記電力需要施設における電力消費の基準となる基準電力消費情報を取得する基準情報取得部と、前記電力需要施設における電力消費の予測値を取得する予測値取得部を備え、前記指示部は、前記基準電力消費情報と前記予測値との比較を、複数の前記電力需要施設の各々について行い、前記優先情報および比較結果の少なくともいずれか一方に基づいて、比較した前記各電力需要施設の中から新たな前記指示情報を通知すべき前記電力需要施設を選択する。
【0033】
このように、電力需要施設による電力消費の予測値と電力消費の基準となる情報との比較を行うことにより、当該電力需要施設における電力消費の傾向を把握することができるため、新たな指示情報の通知先として適切な電力需要施設を選択することができる。
【0034】
(10)好ましくは、前記電力消費管理装置は、さらに、前記電力需要施設における電力消費の基準となる基準電力消費情報を取得する基準情報取得部を備え、前記指示部は、前記監視結果と前記基準電力消費情報との比較を、複数の前記電力需要施設の各々について行い、前記優先情報および比較結果の少なくともいずれか一方に基づいて、比較した前記各電力需要施設の中から新たな前記指示情報を通知すべき前記電力需要施設を選択する。
【0035】
このように、電力需要施設による現時点における電力消費の監視結果と、電力消費の基準となる情報との比較を行うことにより、現時点における電力需要施設による電力消費の傾向を把握することができるため、新たな指示情報の通知先として適切な電力需要施設を選択することができる。
【0036】
(11)本発明の実施の形態に係る電力消費管理方法は、複数の電力需要施設における電力消費を管理する電力消費管理装置における電力消費管理方法であって、1または複数の電力供給側から電力消費に関する電力管理情報を取得するステップと、前記電力管理情報に基づいて、前記電力需要施設における電力消費に関する指示情報を前記電力需要施設に通知する指示処理を行うステップと、前記指示情報を通知した前記電力需要施設における電力消費を監視するステップと、前記電力管理情報および前記監視部の監視結果に基づいて、内容を変更した前記指示処理を行うステップとを含む。
【0037】
このように、指示情報の通知先である電力需要施設における電力消費の制御状況をリアルタイムで監視し、監視結果および電力管理情報に基づいて指示処理の内容を変更することにより、電力需要施設における電力消費を状況に応じて適切に制御することができる。
【0038】
(12)本発明の実施の形態に係る電力消費管理プログラムは、複数の電力需要施設における電力消費を管理する電力消費管理装置において用いられる電力消費管理プログラムであって、コンピュータに、1または複数の電力供給側から電力消費に関する電力管理情報を取得するステップと、前記電力管理情報に基づいて、前記電力需要施設における電力消費に関する指示情報を前記電力需要施設に通知する指示処理を行うステップと、前記指示情報を通知した前記電力需要施設における電力消費を監視するステップと、前記電力管理情報および前記監視部の監視結果に基づいて、内容を変更した前記指示処理を行うステップとを実行させるためのプログラムである。
【0039】
このように、指示情報の通知先である電力需要施設における電力消費の制御状況をリアルタイムで監視し、監視結果および電力管理情報に基づいて指示処理の内容を変更することにより、電力需要施設における電力消費を状況に応じて適切に制御することができる。
【0040】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0041】
[構成および基本動作]
(システム全体の概要)
図1は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムの構成を示す図である。
【0042】
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201は、電力会社サーバ101と、電力消費管理装置102と、複数の需要家装置151とを備える。
【0043】
電力会社サーバ101は、電力供給側である電力会社等により運用され、電力消費に関する電力管理情報を電力消費管理装置102へ送信する。この電力管理情報は、電力需給の逼迫が予想される期間を示す情報、日別もしくは時間帯別の電気料金情報、または、電力の節電要請を示す情報などである。
【0044】
需要家装置151は、電力会社から電力の供給を受けるビル、工場または家庭などの電力需要施設に設けられている。需要家装置151は、電力需要施設における電気機器の動作を制御することによって消費電力の削減を図るためのBEMS(Building Energy Management System)またはHEMS(Home Energy Management System)等のシステムにおいて用いられる装置であり、たとえばBEMSアグリゲータと呼ばれる事業者等により導入される。
【0045】
電力消費管理装置102は、複数の需要家装置151と通信を行うことにより、複数の電力需要施設における電力消費を集中して管理する。具体的には、電力消費管理装置102は、電力会社サーバ101から電力管理情報を受信すると、受信した電力管理情報に基づいて電力消費に関する指示情報を1または複数の需要家装置151に通知する指示処理を行う。
【0046】
たとえば、電力消費管理装置102は、受信した電力管理情報に基づいて、電力消費を抑制すべき節電期間、および、抑制すべき電力量を示す節電目標等を設定し、設定した節電期間および節電目標等を示す指示情報を1または複数の需要家装置151へ通知する。
【0047】
また、電力消費管理装置102は、指示情報を通知した各需要家装置151における電力消費を監視し、監視結果に基づいて指示処理の内容を変更する。たとえば、電力消費管理装置102は、節電期間において各需要家装置151による電力消費を継続して監視し、節電目標が達成できない状況にあると判断した場合には、新たな指示情報を1または複数の需要家装置151へ通知する。なお、監視結果に基づいて新たに通知される指示情報を、以下「追加指示情報」と称する。
【0048】
(具体例1)
図2は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムの電力消費管理装置による指示処理の一例を示す図である。
【0049】
図2を参照して、電力消費管理システム201には、需要家装置151A,151B,151C,151Dが含まれているとする。
【0050】
まず、電力消費管理装置102は、時刻t1から時刻t2の期間において電力需給の逼迫が予測されることを示す電力管理情報を電力会社サーバ101から受信する。
【0051】
次に、電力消費管理装置102は、需要家装置151A,151B,151C,151Dの中から指示情報の通知先として1または複数の需要家装置151を選択する。ここでは、電力消費管理装置102は、需要家装置151A,151B,151Cの3つの需要家装置151を選択する。
【0052】
また、電力消費管理装置102は、長期間に亘る電力消費の抑制による各電力需要施設の負担を軽減させるため、時刻t1から時刻t2までの期間を、たとえば、指示情報の通知先として選択した需要家装置151の数、具体的には3つのサブ節電期間に分割する。そして、電力消費管理装置102は、分割した各サブ節電期間を、指示情報の通知先として選択した各需要家装置151に割り当てる。
【0053】
なお、電力消費管理装置102は、たとえば、時刻t1から時刻t2までの期間を所定時間ごとに区切られた複数のサブ節電期間に分割し、分割した各サブ節電期間を、指示情報の通知先として選択した各需要家装置151に割り当てる構成であっても良い。
【0054】
ここでは、電力消費管理装置102は、時刻t1から時刻t2までの期間を、期間A、期間Bおよび期間Cの3つのサブ節電期間に分割し、期間Aを需要家装置151Aに割り当て、期間Bを需要家装置151Bに割り当て、期間Cを需要家装置151Cに割り当てる。
【0055】
次に、電力消費管理装置102は、各サブ節電期間における節電目標Ga,Gb,Gcを設定し、期間Aおよび節電目標Gaを示す節電要請を指示情報として需要家装置151Aに通知し、期間Bおよび節電目標Gbを示す節電要請を指示情報として需要家装置151Bに通知し、期間Cおよび節電目標Gcを示す節電要請を指示情報として需要家装置151Cに通知する指示処理を行う。
【0056】
次に、需要家装置151A,151B,151Cは、時刻t1から時刻t2の期間において、電力消費管理装置102から受信した指示情報に従い、自己が設けられている電力需要施設の電気機器の動作を制御する。たとえば、需要家装置151A,151B,151Cは、空調の設定温度を上げるなどの制御を行うことにより、消費電力の削減を図る。
【0057】
これにより、時刻t1から時刻t2の期間において、需要家装置151A,151B,151C,151Dがそれぞれ設けられている電力需要施設における消費電力の合計(
図2下の実線のグラフ)は、電力消費管理装置102による指示処理が行われなかったと仮定した場合における消費電力の合計(
図2下の破線のグラフ)と比較して減少する。
【0058】
(具体例2)
図3は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムの電力消費管理装置による指示処理の一例を示す図である。
【0059】
図3を参照して、ここでは、
図2に示す場合と同様に、電力消費管理装置102は、期間Aおよび節電目標Gaを示す節電要請を指示情報として需要家装置151Aに通知し、期間Bおよび節電目標Gbを示す節電要請を指示情報として需要家装置151Bに通知し、期間Cおよび節電目標Gcを示す節電要請を指示情報として需要家装置151Cに通知する指示処理を、時刻t1よりも前に行う。
【0060】
次に、需要家装置151Bが設けられている電力需要施設が、期間Bにおいて指示情報に従った電力消費の抑制を行うことが困難な状況となり、電力消費管理装置102がタイミングt3において、期間Bにおける節電目標Gbが達成できない状況にあると判断する。
【0061】
そして、電力消費管理装置102は、時刻t1よりも前に行った指示処理の内容を変更して、たとえば、タイミングt3から期間Bの終了までの期間を示す節電要請を追加指示情報として需要家装置151Dに通知する。そして、需要家装置151Dは、電力消費管理装置102から受信した指示情報に従い、自己が設けられている電力需要施設における電気機器の動作を制御する。
【0062】
これにより、期間Aにおいて需要家装置151Aにより電力消費が抑制され、期間Bにおいて需要家装置151Bおよび需要家装置151Dによる電力消費が抑制され、期間Cにおいて需要家装置151Cにより電力消費が抑制される。
【0063】
この結果、時刻t1から時刻t2の期間において、需要家装置151A,151B,151C,151Dがそれぞれ設けられている電力需要施設における消費電力の合計(
図3下の実線のグラフ)は、電力消費管理装置102による指示処理が行われなかったと仮定した場合における消費電力の合計(
図3下の破線のグラフ)と比較して減少する。
【0064】
なお、電力消費管理装置102は、既に指示情報を通知した需要家装置151以外の需要家装置151の中から、追加指示情報の通知先となる需要家装置151を選択しても良いし、既に指示情報を通知した需要家装置151を含む需要家装置151の中から、追加指示情報の通知先となる需要家装置151を選択しても良い。
【0065】
すなわち、上述した例では、電力消費管理装置102は、追加指示情報の通知先として、既に指示情報を通知した需要家装置151A,151B,151C以外の需要家装置151Dを選択したが、追加指示情報の通知先として、需要家装置151A,151B,151Cのうちのいずれかの需要家装置151を選択しても良い。
【0066】
(電力消費管理装置の構成)
図4は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムの電力消費管理装置の構成を示す図である。
【0067】
図4を参照して、電力消費管理装置102は、管理情報取得部11と、指示部12と、監視部13と、基準情報取得部14と、記憶部15と、優先情報取得部16と、選択用情報取得部17とを含む。なお、記憶部15は、電力消費管理装置102の外部に設けられていても良い。
【0068】
管理情報取得部11は、電力会社サーバ101から送信される電力管理情報を受信し、受信した電力管理情報を指示部12へ出力する。
【0069】
指示部12は、管理情報取得部11から電力管理情報を受けると、記憶部15に記憶されている優先情報を優先情報取得部16経由で取得する。この優先情報は、電力消費管理システム201に含まれる複数の需要家装置151にそれぞれ付与された優先度または優先順位を示す。
【0070】
図5は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムの電力消費管理装置における記憶部に記憶されている優先情報の一例を示す図である。
【0071】
図5を参照して、優先情報は、たとえば、電力消費管理システム201に需要家装置151A,151B,151C,151D,151E,151Fが含まれていること、需要家装置151A,151B,151Cに優先度「1」が付与されていること、および、需要家装置151D,151E,151Fに優先度「2」が付与されていることを示す。なお、需要家装置151には、優先度に限らず、優先順位が付与されていても良い。
【0072】
このような優先度または優先順位は、電力需要施設ごとの契約等により各需要家装置151に付与され、指示部12による指示情報の通知先の選択において、これら優先度または優先順位が用いられる。
【0073】
再び
図4を参照して、指示部12は、優先情報を用いて、たとえば優先度「1」が付与されている需要家装置151A,151B,151Cを、指示情報の通知先として選択する。
【0074】
また、指示部12は、管理情報取得部11から受けた電力管理情報に基づいて、たとえば電力需給の逼迫が予測される期間を、30分間または1時間などの所定時間ごとに区切られた複数のサブ節電期間に分割し、分割した各サブ節電期間を、指示情報の通知先として選択した各需要家装置151に割り当てる。また、指示部12は、各サブ節電期間における節電目標を設定する。そして、指示部12は、指示情報の通知先として選択した各需要家装置151に、割り当てたサブ節電期間、および、設定した節電目標を示す指示情報を通知する。なお、指示部12は、1つの需要家装置151に複数のサブ節電期間を割り当てても良い。また、指示情報の通知先として選択された需要家装置151の中には、サブ節電期間が1つも割り当てられない需要家装置151があっても良い。
【0075】
基準情報取得部14は、各電力需要施設における電力消費の基準となる基準電力消費情報を電力会社サーバ101から受信する。この基準電力消費情報は、たとえば、電力会社サーバ101により過去のデータに基づいて算出される、電力需要施設の電力消費量の基準となるベースライン(以下、単に「基準値」と称する)を示す。そして、基準情報取得部14は、受信した基準電力消費情報を監視部13へ出力する。
【0076】
監視部13は、指示部12により1または複数の需要家装置151に割り当てられた各サブ節電期間と、各サブ節電期間における節電目標とを示す情報を指示部12から受ける。また、監視部13は、電力消費管理システム201に含まれる各需要家装置151から、対応する電力需要施設における消費電力情報をたとえば所定間隔で受信する。
【0077】
そして、監視部13は、各需要家装置151から受信した消費電力情報および基準情報取得部14から受けた基準電力消費情報に基づいて、各サブ節電期間における節電目標が達成できる状況にあるか否かを継続して監視する。そして、監視部13は、節電目標が達成できない状況にあると判断した場合、指示処理の内容の変更要求を指示部12へ出力する。
【0078】
指示部12は、監視部13から指示処理の内容の変更要求を受けると、記憶部15に記憶されている選択用情報を選択用情報取得部17経由で取得する。この選択用情報は、追加指示情報の通知先を選択する際に用いられる情報であり、たとえば、各需要家装置151に対する過去の指示情報の通知タイミングを示すタイミング情報である。
【0079】
そして、指示部12は、優先情報取得部16から受けた優先情報と、選択用情報取得部17から受けた選択用情報とを用いて、追加指示情報の通知先を選択する。たとえば、指示部12は、優先度「2」が付与されている複数の需要家装置151の中から、過去の指示情報の通知タイミングが最も古い需要家装置151を、追加指示情報の通知先として選択する。
【0080】
そして、指示部12は、追加指示情報の通知先として選択した当該需要家装置151に要請する節電期間および節電目標を新たに設定し、設定した節電期間および節電目標を示す節電要請を、追加指示情報として当該需要家装置151に通知する。なお、追加指示情報が示す節電期間および節電目標と、既に通知された指示情報が示す節電期間および節電目標とが同じ内容であっても良い。
【0081】
[動作]
次に、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201の動作について説明する。
【0082】
電力消費管理システム201における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図またはフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0083】
(電力消費管理動作)
図6は、本発明の実施の形態に係る機器管理システムによる電力消費管理の動作手順を示すシーケンス図である。
【0084】
図6を参照して、まず、電力会社サーバ101は、たとえば電力需給の逼迫が予測される期間を示す電力管理情報を電力消費管理装置102へ送信する(ステップS11)。
【0085】
次に、電力消費管理装置102は、電力会社サーバ101から電力管理情報を受信すると、指示情報の通知先となる需要家装置151として、たとえば需要家装置151A,151B,151Cを選択する(ステップS12)。
【0086】
次に、電力消費管理装置102は、電力需給の逼迫が予測される期間を複数のサブ節電期間に分割し、各サブ節電期間を、指示情報の通知先として選択した各需要家装置151に割り当てる。また、電力消費管理装置102は、各サブ節電期間における節電目標を設定する(ステップS13)。
【0087】
次に、電力消費管理装置102は、指示情報の通知先として選択した各需要家装置151に、サブ節電期間および節電目標を示す節電要請を指示情報として通知する。たとえば、電力消費管理装置102は、節電期間Aおよび節電目標Gaを示す指示情報を需要家装置151Aへ通知する(ステップS14)。また、電力消費管理装置102は、節電期間Bおよび節電目標Gbを示す指示情報を需要家装置151Bへ通知する(ステップ15)。また、電力消費管理装置102は、節電期間Cおよび節電目標Gcを示す指示情報を需要家装置151Cへ通知する(ステップS16)。
【0088】
次に、需要家装置151Aは、電力消費管理装置102から受信した指示情報に従い、期間Aにおいて節電目標Gaが満たされるように、自己が設けられている電力需要施設における電気機器の動作を制御する(ステップS17)。
【0089】
また、需要家装置151Bは、電力消費管理装置102から受信した指示情報に従い、期間Bにおいて節電目標Gbが満たされるように、自己が設けられている電力需要施設における電気機器の動作を制御する(ステップS18)。
【0090】
また、需要家装置151Cは、電力消費管理装置102から受信した指示情報に従い、期間Cにおいて節電目標Gbが満たされるように、自己が設けられている電力需要施設における電気機器の動作を制御する(ステップS19)。
【0091】
また、電力消費管理装置102は、期間Aから期間Cにおいて、各需要家装置151から、対応する電力需要施設における消費電力情報を繰り返し受信し、受信した消費電力情報に基づいて、各サブ節電期間における節電目標が達成できる状況にあるか否かを継続して監視する監視処理を行う。
【0092】
たとえば、電力消費管理装置102は、各電力需要施設における電力消費の基準となる基準電力消費情報を電力会社サーバ101から受信する。そして、電力消費管理装置102は、受信した基準電力消費情報と、各需要家装置151から受信した消費電力情報とを比較することにより、各サブ節電期間における節電目標が達成できる状況にあるか否かを判断する。
【0093】
そして、電力消費管理装置102は、監視処理の結果、節電目標が達成できない状況にあると判断した場合、たとえば需要家装置151Dに追加指示情報を通知する。そして、需要家装置151Dは、電力消費管理装置102から受信した指示情報に従い、自己が設けられている電力需要施設における電気機器の動作を制御する(ステップS20)。
【0094】
(監視処理の詳細)
図7は、
図6に示す監視処理の詳細な動作手順を示すフローチャートである。
【0095】
図7を参照して、電力消費管理装置102は、まず、電力消費管理システム201に含まれる各需要家装置151から、対応する電力需要施設における消費電力情報を、たとえば15分毎に受信する(ステップS21)。
【0096】
次に、電力消費管理装置102は、節電期間における電力需要施設の電力消費量の基準値を示す基準電力消費情報を、電力会社サーバ101から受信する(ステップS22)。
【0097】
次に、電力消費管理装置102は、たとえば需要家装置151から消費電力情報を受信する度に、当該消費電力情報に示される消費電力と、基準値との差を算出する。そして、電力消費管理装置102は、算出した値を、当該需要家装置151が抑制することのできた電力量(以下、「抑制実績量」とも称する)として取得する(ステップS23)。
【0098】
次に、電力消費管理装置102は、算出した抑制実績量と、節電期間における節電目標とを比較することにより、当該節電目標が達成できる状況にあるか否かを判断する。
【0099】
たとえば、電力消費管理装置102は、節電目標が抑制すべき電力量を示している場合、抑制実績量を算出する度に、節電目標に示される抑制すべき電力量と、算出した抑制実績量との差D1(=(節電目標に示される抑制すべき電力量)−(抑制実績量))を算出する。そして、電力消費管理装置102は、算出した差D1が閾値Th以上である状態が所定時間以上継続する場合、当該節電目標が達成できない状況にあると判断する。一方、電力消費管理装置102は、算出した差D1が閾値Th以上である状態が所定時間以上継続しない場合、当該節電目標が達成できる状況にあると判断する(ステップS24)。
【0100】
そして、電力消費管理装置102は、節電目標が達成できる状況にあると判断した場合(ステップS24において「Yes」)、電力消費管理システム201に含まれる各需要家装置151から送信される消費電力情報を継続して受信する(ステップS21)。
【0101】
一方、電力消費管理装置102は、節電目標が達成できない状況にあると判断した場合(ステップS24において「No」)、指示処理の内容を変更する。
【0102】
具体的には、電力消費管理装置102は、優先情報と選択用情報とを用いて、追加指示情報の通知先となる需要家装置151を選択する(ステップS25)。
【0103】
そして、電力消費管理装置102は、たとえば、需要家装置151毎の抑制実績量の合計が節電目標を上回るように、節電期間および節電目標を新たに設定する(ステップS26)。そして、電力消費管理装置102は、新たに設定した節電期間および節電目標を示す追加指示情報を、選択した需要家装置151へ通知する(ステップS27)。
【0104】
そして、電力消費管理装置102は、上述のような動作を、たとえば電力管理情報に示される電力需給の逼迫が予測される期間が終了するまで繰り返し行う。
【0105】
(基準値の算出処理)
図8は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムの電力会社サーバによる基準値の算出に用いられるテーブルの一例を示す図である。
【0106】
図8を参照して、電力会社サーバ101は、過去の電力需要施設の電力消費量を1時間毎に計測し、計測した値をテーブルT1に記憶する。
【0107】
たとえば、テーブルT1には、2013年の10月6日、10月7日、10月8日、10月9日、10月10日のそれぞれにおいて、13時〜14時における電力需要施設の電力消費量が、それぞれ100kWh、90kWh、95kWh、120kWh、100kWhであることが記憶されている。
【0108】
また、テーブルT1には、2013年の10月6日、10月7日、10月8日、10月9日、10月10日のそれぞれにおいて、電力需要施設の電力消費量の1日の合計が、1200kWh、950kWh、1100kWh、1500kWh、1100kWhであることが記憶されている。
【0109】
電力会社サーバ101は、たとえば、電力需給の逼迫が予測される対象日の直前5日間のデータに基づいて、当該対象日の基準値を算出する。すなわち、電力会社サーバ101は、2013年10月11日の13時〜14時に電力需給が逼迫することが予測されているとすると、2013年の10月6日から10月10日までの5日間のデータに基づいて、2013年10月11日の13時〜14時における基準値を算出する。
【0110】
具体的には、電力会社サーバ101は、2013年の10月6日から10月10日までのそれぞれの日について、13時〜14時における電力需要施設の電力消費量、すなわち10月6日の「100kWh」、10月7日の「90kWh」、10月8日の「95kWh」、10月9日の「120kWh」および10月10日の「100kWh」を抽出し、抽出したこれらの値の平均(=(100+90+95+120+100)/5=101kWh)を算出する。そして、電力会社サーバ101は、算出したこの値を、2013年10月11日の13時〜14時における基準値とする。
【0111】
このように、電力会社サーバ101は、過去のデータに基づいて、節電期間における電力消費量の基準値を算出し、算出した基準値を電力消費管理装置102へ送信する。
【0112】
なお、電力会社サーバ101は、電力消費管理装置102により電力消費を管理される全ての電力需要施設による電力消費量のデータに基づいて基準値を算出しても良いし、電力消費管理装置102により電力消費を管理される電力需要施設のうちの一部の電力需要施設による電力消費量のデータに基づいて基準値を算出しても良い。
【0113】
また、電力会社サーバ101は、上記のような算出方法に限らず、他の算出方法を用いて基準値を算出しても良い。
【0114】
たとえば、電力会社サーバ101は、電力需給の逼迫が予測される対象日の直前5日間のうち、1日の電力消費量の合計が最も大きい日を特定する。そして、電力需給の逼迫が予測される時間帯が13時〜14時であるとすると、電力会社サーバ101は、特定した日の13時〜14時における電力消費量を、対象日の13時〜14時における基準値とすることができる。
【0115】
また、他の算出方法として、たとえば、電力会社サーバ101は、電力需給の逼迫が予測される対象日の直前5日間のうち、時間毎の電力消費量の分散が最も大きい1日を除外する。そして、電力需給の逼迫が予測される時間帯が13時〜14時であるとすると、電力会社サーバ101は、残りの4日間を対象として、13時〜14時における電力需要施設の電力消費量の平均を算出する。そして、電力会社サーバ101は、算出した値を対象日の13時〜14時における基準値とすることができる。
【0116】
また、電力会社サーバ101が基準値を算出する構成に限らず、たとえば電力消費管理装置102が上記のような各種算出方法を用いて基準値を算出する構成であっても良い。
【0117】
(追加指示情報の通知先の選択方法)
次に、電力消費管理装置102による追加指示情報の通知先の具体的な選択方法について説明する。
【0118】
(i)具体例1
電力消費管理装置102は、選択用情報として、たとえば電力消費管理システム201に含まれる一部または全部の需要家装置151に対する過去の指示情報の通知タイミングを示すタイミング情報を記憶する。この場合、電力消費管理装置102の選択用情報取得部17は、タイミング情報取得部として機能する。
【0119】
そして、電力消費管理装置102は、追加指示情報の通知先を選択する際、たとえば、優先度「2」が付与された複数の需要家装置151のうち、通知タイミングが古い需要家装置151を追加指示情報の通知先として優先的に選択する。
【0120】
(ii)具体例2
また、電力消費管理装置102は、選択用情報として、たとえば電力消費管理システム201に含まれる一部または全部の需要家装置151について、電力会社との間で契約している契約電力量、または、各需要家装置151が電力会社から供給を受けた電力供給量を示す電力量情報を記憶する。この場合、電力消費管理装置102の選択用情報取得部17は、電力量情報取得部として機能する。
【0121】
そして、電力消費管理装置102は、追加指示情報の通知先を選択する際、たとえば、優先度「2」が付与された複数の需要家装置151のうち、契約電力量または供給電力量が大きい需要家装置151を追加指示情報の通知先として優先的に選択する。
【0122】
(iii)具体例3
また、電力消費管理装置102は、選択用情報として、たとえば、過去に需要家装置151に指示情報を通知したときの、当該需要家装置151による電気機器の動作の制御内容、対応の電力需要施設における消費電力、気象情報およびイベント情報等を取得する。
【0123】
図9は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムの電力消費管理装置に記憶される、過去に指示情報を通知した需要家装置による電気機器の動作の制御内容等を含むテーブルの一例を示す図である。また、
図10は、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システムの電力消費管理装置に記憶される、各電力需要施設のイベント情報を含むテーブルの一例を示す図である。
【0124】
図9を参照して、電力消費管理装置102は、過去に指示情報を通知した需要家装置151と、指示情報を通知した日時と、指示情報の通知を受けた需要家装置151による電気機器の制御内容と、当該制御内容が行われた際の対応の電力需要施設における消費電力と、指示情報を通知したときの気象情報およびイベント情報とを対応づけた複数のエントリを含むテーブルT2を記憶する。
【0125】
また、
図10を参照して、電力消費管理装置102は、各電力需要施設において行われる予定であるイベント情報を含むテーブルT3を記憶する。
【0126】
電力消費管理装置102は、テーブルT3を参照して、節電期間における各電力需要施設のイベント情報を確認する。また、電力消費管理装置102は、インターネット等を介して当該節電期間の天気予報などの気象情報を取得する。
【0127】
電力消費管理装置102は、たとえば2013年10月11日の13時〜14時が節電期間であるとすると、テーブルT3を参照して、2013年10月11日の13時〜14時において需要家装置151Aが設けられている電力需要施設ではイベント「無し」であり、需要家装置151Bが設けられている電力需要施設ではイベント「全体会合」が行われる予定であることを確認する。また、電力消費管理装置102は、天気予報等に基づいて、2013年10月11日の13時〜14時の気温「32℃」、湿度「80%」、天気「晴れ」を示す情報を取得する。
【0128】
また、電力消費管理装置102は、
図9に示すテーブルT2を参照して、たとえば、需要家装置151A,151Bのそれぞれについて、テーブルT2に含まれる複数のエントリの中から、節電期間の気象およびイベントと同一または近似している気象およびイベントを含むエントリを1つ以上選択する。
【0129】
たとえば、電力消費管理装置102は、需要家装置151Aについて、テーブルT2に含まれるエントリ「A1」,「A2」,「A3」の中から、エントリ「A1」およびエントリ「A2」を選択する。また、たとえば、電力消費管理装置102は、需要家装置151Bについて、テーブルT2に含まれるエントリ「B1」,「B2」,「B3」の中から、エントリ「B1」およびエントリ「B2」を選択する。
【0130】
そして、電力消費管理装置102は、選択したエントリの中から、気象およびイベントが節電期間における気象およびイベントと最も近似している1つのエントリ(以下、「最適エントリ」と称する)を、需要家装置151ごとに選択する。
【0131】
すなわち、電力消費管理装置102は、節電期間における気温を「Tpredict」とし、選択したエントリに含まれる気温を「Tpast」とし、節電期間における湿度を「Hpredict」とし、選択したエントリに含まれる湿度を「Hpast」とすると、以下の式における差D2が最も小さくなるエントリを最適エントリとして選択する。
D2=(Tpredict−Tpast)×W1+(Hpredict−Hpast)×W2+Event
【0132】
なお、上記の式において、「Event」は、節電期間のイベントと、選択したエントリに含まれるイベントとが一致する場合には負の値となり、節電期間のイベントと、選択したエントリに含まれるイベントとが一致しない場合には正の値となる。さらに、「W1」および「W2」は、重み付けのために用いられる定数である。
【0133】
たとえば、電力消費管理装置102は、エントリ「A2」を最適エントリとして選択した場合、2013年10月11日の13時〜14時に需要家装置151Aが指示情報の通知を受けると、需要家装置151Aは空調の設定温度を1℃上昇させる制御を行う可能性が高いと推測することができる。そして、電力消費管理装置102は、需要家装置151Aがこのような制御を行うことにより、需要家装置151Aが設けられている電力需要施設の消費電力が「100kWh」となる可能性が高いと推測することができる。
【0134】
また、たとえば、電力消費管理装置102は、エントリ「B2」を最適エントリとして選択した場合、2013年10月11日の13時〜14時において需要家装置151Bが指示情報の通知を受けると、需要家装置151Bは空調の設定温度を2℃上昇させる制御を行う可能性が高いと推測することができる。そして、電力消費管理装置102は、需要家装置151Bがこのような制御を行うことにより、需要家装置151Bが設けられている電力需要施設の消費電力は「50kWh」となる可能性が高いことを推測することができる。
【0135】
そして、電力消費管理装置102は、基準電力消費情報を電力会社サーバ101から受信し、受信した基準電力消費情報に示される節電期間における基準値と、最適エントリに含まれる消費電力との差を、抑制することが可能であると推定される電力量(以下、「抑制可能量」と称する)として算出する。なお、電力消費管理装置102は、電力消費管理システム201に含まれる一部または全部の需要家装置151について、上記のような抑制可能量の算出を行う。
【0136】
そして、電力消費管理装置102は、追加指示情報の通知先を選択する際、たとえば、優先度「2」が付与された複数の需要家装置151のうち、抑制可能量が大きい需要家装置151を追加指示情報の通知先として優先的に選択する。
【0137】
なお、電力消費管理装置102は、ニュートラルネットワークまたは自己回帰分析などの技術を用いて、各電力需要施設における節電期間の消費電力を予測する構成であっても良い。そして、この場合、電力消費管理装置102は、予測した消費電力(以下、「予測値」と称する)と、最適エントリに含まれる消費電力との差を、抑制可能量として算出することができる。
【0138】
(iv)具体例4
また、電力消費管理装置102は、選択用情報として、たとえば電力消費管理システム201に含まれる一部または全部の需要家装置151について、節電期間における予測値を取得する。この場合、電力消費管理装置102の選択用情報取得部17は、予測値取得部として機能する。
【0139】
そして、電力消費管理装置102は、取得した予測値と、節電期間における基準値との差D3を算出し、追加指示情報の通知先を選択する際、たとえば、優先度「2」が付与された複数の需要家装置151のうち、算出した差D3が大きい需要家装置151を追加指示情報の通知先として優先的に選択する。
【0140】
(v)具体例5
また、電力消費管理装置102は、選択用情報として、たとえば電力消費管理システム201に含まれる一部または全部の需要家装置151について、直前のN時間分の電力供給量を示す情報を取得する。そして、電力消費管理装置102は、取得した直前のN時間分の電力供給量と、直前のN時間分の基準値との差D4を算出し、追加指示情報の通知先を選択する際、たとえば、優先度「2」が付与された複数の需要家装置151のうち、算出した差D4が大きい需要家装置151を追加指示情報の通知先として優先的に選択する。
【0141】
なお、電力消費管理装置102は、上述した具体例1から具体例5までのいずれか1つの方法に限らず、たとえば、これら具体例1から具体例5までの方法のうちいずれか2つ以上の方法を組み合わせて、追加指示情報の通知先を選択しても良い。
【0142】
また、上述した具体例1から具体例5までの方法では、優先度「2」が付与された需要家装置151の中から追加指示情報の通知先となる需要家装置151を選択しているが、このような構成に限定されず、たとえば優先度「1」が付与されている需要家装置151の中から追加指示情報の通知先を選択しても良い。
【0143】
また、電力消費管理装置102は、選択期間前に通知する指示情報の通知先となる需要家装置151を、上述した具体例1から具体例5までの方法を用いて選択しても良い。
【0144】
(変形例)
また、電力消費管理装置102は、追加指示情報を通知する際、電気機器の制御内容を需要家装置151に対して指示する構成であっても良い。
【0145】
詳細には、電力消費管理装置102は、
図9に示すテーブルT2を参照して、このテーブルT2に含まれる複数のエントリの中から、節電期間の気象およびイベントと同一または近似している気象およびイベントを含むエントリを1つ以上選択する。また、電力消費管理装置102は、ニュートラルネットワークまたは自己回帰分析などの技術を用いて、追加指示情報の通知先となる需要家装置151について、節電期間の消費電力の予測値を取得する。
【0146】
そして、電力消費管理装置102は、取得した予測値と、選択した各エントリに含まれる消費電力との差D5を算出する。この差D5は、各エントリに含まれる電気機器の制御内容を実行した場合に抑制することが可能であると推定される電力量に相当する。
【0147】
また、電力消費管理装置102は、需要家装置151毎の抑制実績量の合計が節電目標を上回るように、追加指示情報の通知先に要請する節電目標を新たに設定する。
【0148】
そして、電力消費管理装置102は、各エントリについて算出した差D5と、新たに設定した節電目標とに基づいて、当該節電目標を達成するために最適なエントリを選択し、選択したエントリに含まれる電気機器の制御内容、たとえば「空調の設定温度を1℃上昇させる」という電気機器の制御内容を、追加指示情報の通知先である需要家装置151に指示することができる。
【0149】
ところで、上述した非特許文献1に記載の機器管理システムのように複数の電力需要施設における電力消費を管理するシステムでは、電力需給の逼迫が予測される場合等に、各施設の需要家に対して節電要請を予め送信しておくことができる。
【0150】
しかしながら、当該節電要請を受信した需要家が、対象期間において当該節電要請に従った電力消費の抑制を行うことが困難な状況となる場合があり、このような場合、適切な電力制御を行うことができないという問題がある。
【0151】
これに対して、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における電力消費管理装置102では、管理情報取得部11が、1または複数の電力供給側から電力消費に関する電力管理情報を取得する。また、指示部12が、電力管理情報に基づいて、電力需要施設における電力消費に関する指示情報を電力需要施設に通知する指示処理を行う。また、監視部13が、指示情報を通知した電力需要施設における電力消費を監視する。また、指示部12は、電力管理情報および監視部13の監視結果に基づいて、指示処理の内容を変更する。
【0152】
このように、指示情報の通知先である電力需要施設における電力消費の制御状況をリアルタイムで監視し、監視結果および電力管理情報に基づいて指示処理の内容を変更する構成により、電力需要施設における電力消費を状況に応じて適切に制御することができる。
【0153】
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における電力消費管理装置102では、指示部12は、指示処理の内容の変更として、1または複数の新たな電力需要施設に新たな指示情報を通知するか、または、指示情報を通知した電力需要施設に異なる内容の指示情報を通知する。
【0154】
このように、たとえば、通知された指示情報に従った電力消費制御を行うことが困難な電力需要施設が存在する場合であっても、他の電力需要施設に対する新たな指示情報の通知または同一の電力需要施設に対する異なる内容の指示情報の通知を行うことにより、電力供給側からの要請等に応じた電力消費の制御を行うことができる。
【0155】
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における電力消費管理装置102では、基準情報取得部14が、電力需要施設における電力消費の基準となる基準電力消費情報を取得する。また、指示部12が、電力管理情報と、監視部13の監視結果と、基準電力消費情報とに基づいて、指示処理の内容を変更する。
【0156】
このように、電力管理情報と、監視部の監視結果とに加えて、電力需要施設における電力消費の基準を考慮して指示処理の内容を変更するか否かを判断する構成により、指示処理の内容の変更の必要性をより適切に判断することができる。
【0157】
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における電力消費管理装置102では、優先情報取得部16が、各電力需要施設に付与された優先度または優先順位を示す優先情報を取得する。また、指示部12が、優先情報に基づいて、各電力需要施設の中から新たな指示情報を通知すべき電力需要施設を選択する。
【0158】
このような構成により、新たな指示情報の通知先として優先的に選択すべき電力需要施設を容易に判断することができる。
【0159】
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における電力消費管理装置102では、タイミング情報取得部17が、電力需要施設に対して過去に指示情報を通知したタイミングを示すタイミング情報を取得する。また、指示部12は、優先情報およびタイミング情報の少なくともいずれか一方に基づいて、各電力需要施設の中から新たな指示情報を通知すべき電力需要施設を選択する。
【0160】
このような構成により、たとえば同一の電力需要施設に対して複数回連続して指示情報を通知することを避け、複数の電力需要施設間での電力削減の偏りを防ぐことができる。
【0161】
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における電力消費管理装置102では、電力量情報取得部17が、電力需要施設の電力供給側から供給される電力量に関する電力量情報を取得する。また、指示部12は、優先情報および電力量情報の少なくともいずれか一方に基づいて、各電力需要施設の中から新たな指示情報を通知すべき電力需要施設を選択する。
【0162】
このような構成により、電力供給側から供給される電力量が大きい電力需要施設など、比較的容易に電力消費の抑制等を行うことが可能な電力需要施設を、新たな指示情報の通知先として選択することができる。
【0163】
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における電力消費管理装置102では、基準情報取得部14が、電力需要施設における電力消費の基準となる基準電力消費情報を取得する。また、指示部12が、基準電力消費情報と電力需要施設における電力消費を監視した結果との比較を、複数の電力需要施設の各々について行い、優先情報および比較結果の少なくともいずれか一方に基づいて、比較した各電力需要施設の中から新たな指示情報を通知すべき電力需要施設を選択する。
【0164】
このように、電力消費の基準となる情報と電力需要施設における実際の電力消費とを比較することにより、たとえば当該電力需要施設において抑制することのできる電力量を把握し、新たな指示情報の通知先として適切な電力需要施設を選択することができる。
【0165】
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における電力消費管理装置102では、予測値取得部17が、電力需要施設における電力消費の予測値を取得する。また、指示部12が、予測値と電力需要施設における電力消費を監視した結果との比較を、複数の電力需要施設の各々について行い、優先情報および比較結果の少なくともいずれか一方に基づいて、比較した各電力需要施設の中から新たな指示情報を通知すべき電力需要施設を選択する。
【0166】
このように、電力需要施設による電力消費の予測値と当該電力需要施設における実際の電力消費とを比較することにより、たとえば当該電力需要施設において抑制することのできる電力量を把握し、新たな指示情報の通知先として適切な電力需要施設を選択することができる。
【0167】
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における電力消費管理装置102では、基準情報取得部14が、電力需要施設における電力消費の基準となる基準電力消費情報を取得する。また、予測値取得部17が、電力需要施設における電力消費の予測値を取得する。また、指示部12が、基準電力消費情報と予測値との比較を、複数の電力需要施設の各々について行い、優先情報および比較結果の少なくともいずれか一方に基づいて、比較した各電力需要施設の中から新たな指示情報を通知すべき電力需要施設を選択する。
【0168】
このように、電力需要施設による電力消費の予測値と電力消費の基準となる情報との比較を行うことにより、当該電力需要施設における電力消費の傾向を把握することができるため、新たな指示情報の通知先として適切な電力需要施設を選択することができる。
【0169】
また、本発明の実施の形態に係る電力消費管理システム201における電力消費管理装置102では、基準情報取得部14が、電力需要施設における電力消費の基準となる基準電力消費情報を取得する。また、指示部12が、監視部13による監視結果と基準電力消費情報との比較を、複数の電力需要施設の各々について行い、優先情報および比較結果の少なくともいずれか一方に基づいて、比較した各電力需要施設の中から新たな指示情報を通知すべき電力需要施設を選択する。
【0170】
このように、電力需要施設による現時点における電力消費の監視結果と、電力消費の基準となる情報との比較を行うことにより、現時点における電力需要施設による電力消費の傾向を把握することができるため、新たな指示情報の通知先として適切な電力需要施設を選択することができる。
【0171】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0172】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0173】
[付記1]
複数の電力需要施設における電力消費を管理する電力消費管理装置であって、
1または複数の電力供給側から電力消費に関する電力管理情報を取得する管理情報取得部と、
前記電力管理情報に基づいて、前記電力需要施設における電力消費に関する指示情報を前記電力需要施設に通知する指示処理を行う指示部と、
前記指示情報を通知した前記電力需要施設における電力消費を監視する監視部とを備え、
前記指示部は、前記電力管理情報および前記監視部の監視結果に基づいて、前記指示処理の内容を変更し、
前記電力管理情報は、電力需給の逼迫が予想される期間を示す情報、日別もしくは時間帯別の電気料金情報、または、電力の節電要請を示す情報であり、
前記指示部は、前記電力需要施設に設けられたBEMS(Building Energy Management System)またはHEMS(Home Energy Management System)における需要家装置に前記指示情報を通知する、電力消費管理装置。