特許第6221720号(P6221720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221720
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20171023BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20171023BHJP
【FI】
   H02J9/06 110
   H02M7/48 N
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-258766(P2013-258766)
(22)【出願日】2013年12月16日
(65)【公開番号】特開2015-116107(P2015-116107A)
(43)【公開日】2015年6月22日
【審査請求日】2016年11月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】井上 稔也
(72)【発明者】
【氏名】堤 裕彦
【審査官】 古河 雅輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−178243(JP,A)
【文献】 特開2008−271618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/00 −11/00
H02M 7/42 − 7/98
H03K 17/72 −17/735
H03K 19/00
H03K 19/01 −19/082
H03K 19/094−19/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータを介して交流電力を負荷に供給するインバータ給電と、サイリスタスイッチと電源切替器を並列接続した切替装置を介して交流電力を負荷に供給するバイパス給電機能を備えた無停電電源装置であって、無停電電源装置の制御装置による操作信号によってインバータ給電とバイパス給電を切替えて負荷に電力を供給するものにおいて、
前記制御装置の操作信号出力側に電源切替制御部を設け、この電源切替制御部は、前記サイリスタスイッチと電源切替器をオンするための操作信号が予めセットされる操作信号格納部と、
リセット信号の有無により前記制御装置からの操作信号と前記操作信号格納部にセットされた操作信号のいずれかを切替えて前記サイリスタスイッチ及び電源切替器に対して操作信号を出力する操作信号選択部と、
前記制御装置の制御電源の電圧を基に作成されるバックアップ電源であって、前記操作信号格納部に電源を供給するバックアップ電源を備えたことを特徴とする無停電電源装置。
【請求項2】
前記操作信号格納部は、
前記サイリスタスイッチの操作信号が予めセットされる第1のラッチ回路と、前記電源切替器の操作信号が予めセットされる第2のラッチ回路を有し、
前記操作信号選択部は、前記リセット信号により前記制御装置からの前記サイリスタスイッチに対する操作信号と前記第1のラッチ回路にセットされた操作信号を切替える第1の選択回路と、前記リセット信号により前記制御装置からの前記電源切替器に対する操作信号と前記第2のラッチ回路にセットされた操作信号を切替える第2の選択回路と、
を有することを特徴とする請求項1記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記操作信号格納部の電源となるバックアップ電源は、前記制御装置の制御電源投入時における前記バックアップ電源の電圧が、所定の閾値を越えるまで電源切替制御部の出力を抑制するよう構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記操作信号格納部にセットされる前記サイリスタスイッチと電源切替器の操作信号は、それぞれ前記インバータ給電時に予めハイ状態でセットされ、前記制御電源の電圧が閾値以下となって前記リセット信号がロー状態となったとき、前記操作信号格納部にセットされた前記サイリスタスイッチと電源切替器の操作信号を出力するよう構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の無停電電源装置。
【請求項5】
前記操作信号格納部にセットされる前記サイリスタスイッチと電源切替器の操作信号は、それぞれ前記インバータ給電時に予めハイ状態でセットされ、前記リセット信号がロー状態となったとき前記操作信号格納部にセットされた前記サイリスタスイッチと電源切替器の操作信号を出力するよう構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の無停電電源装置。
【請求項6】
無停電電源装置を複数台並列運転時に、前記操作信号格納部にセットされる前記サイリスタスイッチと電源切替器の操作信号は、それぞれ前記インバータ給電時に予めロー状態でセットされ、前記制御装置の異常時にサイリスタスイッチと電源切替器への操作信号を出力しないよう構成したことを特徴とした請求項1乃至3の何れか1項に記載の無停電電源装置。
【請求項7】
前記操作信号格納部にセットされる操作信号は、前記サイリスタスイッチの操作信号を予めロー状態とし、電源切替器の操作信号を予めハイ状態とし、前記リセット信号がハイからロー状態に変化したときに前記電源切替器に操作信号を出力するよう構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無停電電源装置に係わり、特に電源切替操作信号を出力する制御装置の異常時等における電源切替操作信号の発生に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は、常時インバータ給電方式における無停電電源装置(以下UPSという)本体の単結線図を示したもので、このUPSは、交流を直流に変換する整流器REC、直流を交流に変換するインバータINV、蓄電池などのエネルギー蓄積装置の直流電圧を任意の電圧値に変換するチョッパCHP、UPSをバイパスして交流を負荷に供給するサイリスタスイッチTS、バイパス側の電源切替器83B、及びインバータ側の電源切替器83Iを有している。なお、52Rは交流入力の電磁開閉器、72Bは直流入力の電磁開閉器である。
【0003】
バイパス電源を有するUPSでは、通常はインバータINVを介して負荷に交流を供給するインバータ給電と、商用交流電源若しくは自家発電装置からのバイパス電源を切替えて負荷に交流を供給するバイパス給電する機能を有し、インバータINVと直列に接続された電源切替器83Iは通常は投入状態となってインバータ給電方式となっている。
【0004】
インバータ給電時に、制御装置の故障等でインバータ給電が継続できなくなったとき電源切替器83Iを開放し、電源切替器83Bを投入することで電力をバイパス電源から負荷に供給するバイパス給電が行われる。この電源切替え時にサイリスタスイッチTSをオンすることで、無瞬断で電源切替を行っている。したがって、UPSの制御装置に故障が発生した場合には無瞬断での交流出力の切替えが不可能になる。
【0005】
この問題点を解決するものとして特許文献1などが公知となっている。特許文献1では、交流出力切替えを実行するための出力切替回路を二重系化し、インバータ給電が停止したときにバイパス給電を可能としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−110887
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、UPSにおける電源切替操作のための信号の処理は、CPUやFPGA等で構成されるUPSの制御装置内で行われ、制御装置から直接にサイリスタスイッチTSのゲート信号TS-GATEに対する操作指令TS-cmdが出力され、また、電源切替器83Bに対する投入指令83B-cmdも直接に投入信号83BYを介して電源切替器83Bに出力されている。
【0008】
また、負荷への給電制御システムによっては、UPS1台のみで給電するだけでなく、三相の交流入力電源に複数台のUPSを並列に接続構成して負荷へ給電することも行われている。この場合、複数台のうちの1台に故障が発生したときにはバイパス給電への電源切替えを行うのではなく、電源切替器83I及び83Bはそのまま開放状態とし、健全なUPSによって給電が継続される。
すなわち、UPS1台運転時と、複数台並列運転時における異常発生時の電源切替器に対する操作態様が異なっている。
【0009】
これら何れの給電制御システムにおいても、UPSにおける電源切替操作はUPSの制御装置によって生成された指令に基づいて行われている。このため、
制御電源喪失や制御装置を構成するCPUなどに異常が発生して制御装置が正常に機能しなくなると、正しい電源切替操作が出来なくなる。
なお、異常発生時の動作としては、バイパス給電切替え(電源切替器をインバータ側からバイパス側への切替え)、又は並列解除(電源切替器をインバータ側でもバイパス側でもない状態にする)があり、異常発生時には必ず電源切替器83Iをオフにする回路が設けられている。
【0010】
本発明が目的とするとこは、UPSの制御装置に異常が発生した場合でも正常な電源切替操作を可能とする無停電電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の請求項1は、インバータを介して交流電力を負荷に供給するインバータ給電と、サイリスタスイッチと電源切替器を並列接続した切替装置を介して交流電力を負荷に供給するバイパス給電機能を備えた無停電電源装置であって、無停電電源装置の制御装置による操作信号によってインバータ給電とバイパス給電を切替えて負荷に電力を供給するものにおいて、
前記制御装置の操作信号出力側に電源切替制御部を設け、この電源切替制御部は、前記サイリスタスイッチと電源切替器をオンするための操作信号が予めセットされる操作信号格納部と、
リセット信号の有無により前記制御装置からの操作信号と前記操作信号格納部にセットされた操作信号のいずれかを切替えて前記サイリスタスイッチ及び電源切替器に対して操作信号を出力する操作信号選択部と、
前記制御装置の制御電源の電圧を基に作成されるバックアップ電源であって、前記操作信号格納部に電源を供給するバックアップ電源を備えたことを特徴としたものである。
【0012】
本発明の請求項2は、前記操作信号格納部は、前記サイリスタスイッチの操作信号が予めセットされる第1のラッチ回路と、前記電源切替器の操作信号が予めセットされる第2のラッチ回路を有し、
前記操作信号選択部は、前記リセット信号により前記制御装置からの前記サイリスタスイッチに対する操作信号と前記第1のラッチ回路にセットされた操作信号を切替える第1の選択回路と、前記リセット信号により前記制御装置からの前記電源切替器に対する操作信号と前記第2のラッチ回路にセットされた操作信号を切替える第2の選択回路と、
を有することを特徴としたものである。
【0013】
本発明の請求項3は、前記操作信号格納部の電源となるバックアップ電源は、前記制御装置の制御電源投入時における前記バックアップ電源の電圧が、所定の閾値を越えるまで電源切替制御部の出力を抑制するよう構成したことを特徴としたものである。
【0014】
本発明の請求項4は、前記操作信号格納部にセットされる前記サイリスタスイッチと電源切替器の操作信号は、それぞれ前記インバータ給電時に予めハイ状態でセットされ、前記制御電源の電圧が閾値以下となって前記リセット信号がロー状態となったとき、前記操作信号格納部にセットされた前記サイリスタスイッチと電源切替器の操作信号を出力するよう構成したことを特徴としたものである。
【0015】
本発明の請求項5は、前記操作信号格納部にセットされる前記サイリスタスイッチと電源切替器の操作信号は、それぞれ前記インバータ給電時に予めハイ状態でセットされ、前記リセット信号がロー状態となったとき前記操作信号格納部にセットされた前記サイリスタスイッチと電源切替器の操作信号を出力するよう構成したことを特徴としたものである。
【0016】
本発明の請求項6は、無停電電源装置を複数台並列運転時に、前記操作信号格納部にセットされる前記サイリスタスイッチと電源切替器の操作信号は、それぞれ前記インバータ給電時に予めロー状態でセットされ、前記制御装置の異常時にサイリスタスイッチと電源切替器への操作信号を出力しないよう構成したことを特徴としたものである。
【0017】
本発明の請求項7は、前記操作信号格納部にセットされる操作信号は、前記サイリスタスイッチの操作信号を予めロー状態とし、電源切替器の操作信号を予めハイ状態とし、前記リセット信号がハイからロー状態に変化したときに前記電源切替器に操作信号を出力するよう構成したことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0018】
以上のとおり、本発明によれば、制御電源の喪失、及び制御装置に異常が発生して制御装置の処理動作が正常に行えなくなった場合でも、正常な電源切替器の操作信号を出力することが可能となるものである。また、制御装置の異常時における操作信号を、UPSの運転状況に応じて無瞬断でのバイパス給電切替、瞬断でのバイパス給電切替、及び並列解除等の切替制御の使い分けが可能になるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態を示す電源切替制御部の構成図。
図2】制御電源投入時の動作波形図。
図3】制御電源喪失時の動作波形図。
図4】UPS1台給電中における制御装置の異常発生時の動作波形図。
図5】UPS並列運転中における制御装置の異常発生時の動作波形図。
図6】制御装置の異常発生時における瞬断切替の動作波形図。
図7】UPS本体の単結線図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の実施例を示す電源切替制御部の構成図を示したものである。図1において、1は電源切替制御部で、この電源切替制御部1は操作信号格納部2と操作信号選択部3を有している。4はバックアップ電源、5は制御装置からの操作信号入力部である。
【0021】
操作信号格納部2はラッチ回路21,22より構成され、ラッチ回路21,22の各/PRE端子にはバックアップ電源4からの電圧BK-RESETが印加され、/CLR端子にはバックアップ電源4からVccBKが印加されている。バックアップ電源4は、電源投入時に制御電源が確立するまでの間、操作信号格納部2の/PRE端子をロー(Low)状態としTS-GATEと83BYの出力を抑制するためのRESET-ICと、制御電源が喪失しても所定時間電源切替制御部1に電源を供給し続けるための電解コンデンサからなる電圧生成部41を形成している。なお、操作信号格納部2の/PRE端子がローのときにはD端子への入力に関係なく/Q端子はロー状態となり、この/Q端子は/PRE端子がハイ(high)のときにD端子への入力に応じて出力する。これによって、電源投入時のようにバックアップ電源4の電圧VccBKが確立するまでTS-GATEと83BYの出力を抑制している。
【0022】
ラッチ回路21のD端子には、図示省略されたUPSの制御装置によって生成されるサイリスタスイッチTSの電源切替の操作信号TS-setが操作信号入力部5を介してセットされる。また、このラッチ回路21の/Q端子からは電源切替操作信号TS-bufが操作信号選択部の選択回路31の端子Aに出力さる。選択回路31の端子Bには、制御装置からの電源切替の操作信号TS-cmdが直接入力されており、選択回路31ではリセット信号RESETによってTS-cmdまたはTS-bufの選択が行われてTS-GATEとしてサイリスタスイッチTSのゲート信号として出力される。
【0023】
ラッチ回路22のD端子には、UPSの制御装置によって生成された電源切替器83Bの電源切替の操作信号83B-setが入力されてラッチ回路22にセットされる。また、このラッチ回路22の/Q端子からは電源切替の操作信号83B-bufが操作信号選択部の選択回路32の端子Aに出力さる。選択回路32の端子Bには制御装置からの電源切替の操作信号83B-cmdが直接入力されており、選択回路32ではリセット信号RESETによって83B-cmdまたは83B-bufの選択が行われ、電源切替器83Bに対する操作信号83BYとして出力される。
【0024】
なお、選択回路31,32では、制御装置が正常状態時には各B端子に印加された出力、すなわち、TS-cmd,83B-cmdの信号がTS-GATEまたは83BYとして出力され、制御装置に異常が発生してリセット信号RESETがロー状態となったときに各ラッチ回路21,22にセットされていた信号TS-set,83B-setが継続保持されながらTS-buf(TS-GATE),83B-buf(83BY)として操作信号選択部3を介して出力される。
以下波形信号を基に電源切替制御部1の動作を具体的に説明する。
【0025】
(1)制御電源投入時における動作
図2は制御電源Vccの投入時における動作波形図で、時刻t1で電源が投入されるとVccの電圧は上昇する。制御電源Vccが或る閾値を越えるまではRESETはロー状態となっているため、操作信号格納部2にセットされている電源切替の操作信号TS-setと83B-setが出力される。このとき、バックアップ電源4の電圧生成部41によるBK-RESETはローとなっているため、操作信号格納部2の出力TS-buf83B-bufもローとなり誤動作が防止される。
【0026】
時刻t2となり制御電源Vccが所定の閾値を越えたところで、制御装置が有するCPUが信号処理を開始する。時刻t3となり、バックアップ電源4の電圧VccBKが所定閾値に達するとBK-RESETがハイになり、これによりTS-bufと83B-bufもハイとなる。その後、CPUの初期化が完了した時刻t4になるとRESETをハイとし、電源切替の操作信号を制御装置からの信号TS-com,83B-cmdに切替える。RESETがハイ状態となっているときには操作信号に関係なく時刻t5で制御装置からの信号TS-cmd,83B-cmdが出力されて、サイリスタスイッチTS、及び電源切替器83Bに対する切替操作が行われる。
【0027】
(2)UPS給電中の制御電源喪失時における動作
図3はUPS制御装置の電源喪失時における動作波形図で、制御電源喪失時における動作はバイパス給電となる。また、制御電源Vccが喪失したときにはバックアップ電源4が機能する。
図2の電源投入時で示すように、制御装置からの信号TS-set,83B-setが時刻t2で予め操作信号格納部2にセットされている。
【0028】
時刻t21で制御電源が喪失し、時刻t22で制御電源Vccが或る閾値以下になってRESETがロー状態となるとTS-setと83B-setもローとなるが、TS-bufと83B-bufはラッチ回路21,22によってハイ状態が保持される。したがって、TS-GATEと83BYは共にハイとなってサイリスタスイッチTSがオンし、また、電源切替器83Bの接点が投入されてバイパス給電が開始される。制御電源喪失後の操作信号格納部2の電源は、バックアップ電源4から供給されているため通常運転時にセットされている操作信号の保持が継続される。
【0029】
(3)UPS1台給電中における制御装置の異常発生時の動作
図4はUPS1台給電中における制御装置の異常発生時の動作波形図で、この異常発生時にはインバータ給電からバイパス給電への無瞬断での切替え動作が実行される。すなわち、操作信号格納部2には、通常運転時(インバータ給電時)の時刻t31まではTS-setと83B-setは共にハイ状態にセットされている。
【0030】
この状態でUPSの制御装置に異常が発生してRESETがハイからローに変化すると、操作信号選択部3は、電源切替操作信号を端子BからAに切替えてTS-GATEと83BYを出力する。したがって、UPSの運転中に、制御装置に異常が発生しても操作信号格納部2にセットされた操作信号が出力されるため、正常な切替操作が行える。
【0031】
(4)UPS並列運転中における制御装置の異常発生時の動作
図5は、UPSの並列運転中における制御装置の異常発生時の動作波形図である。UPSを並列運転しているときに異常が発生してバイパス給電に切替えると、他の健全なUPSに影響を与えることになる。そのため、並列運転中での制御装置に異常発生した場合には、該当するUPSのみの並列解除が行われる。
【0032】
並列運転時における操作信号格納部2には、異常発生時に解列制御が可能となるようTS-setと83B-setは共にロー状態にセットされている。時刻t41で異常が発生してRESETがハイからローに変化し、異常発生したインバータの出力側に接続される電源切替器83Iをオフ(開放)にする。同時に、RESETがローとなったことにより操作信号選択部3では端子BからA側、すなわち、操作信号格納部2側に切替えるが、予めセットされている操作信号はローであることからTS-GATEと83BYは出力されず、サイリスタスッチTS及び電源切替器83Bはオンされず、バイパス側への切替えは行われない。したがって、健全な他のUPSに影響を与えることなく並列解除を行うことができる。
【0033】
(5)UPS制御装置の異常発生時における瞬断切替を行う場合の動作
図6は制御装置の異常発生時に瞬断切替を行う場合の動作波形図である。インバータ電源をバイパス電源と非同期で運転しているときなど、制御装置に異常が発生した場合には瞬断でバイパス給電に切替えることが行われる。この場合、通常のインバータ給電時に、操作信号格納部2には予めTS-setをローに、83B-setをハイにセットしておく。
【0034】
時刻t51で制御装置に異常が発生してRESETがハイからローになると操作信号選択部3が切替わり、予めラッチ回路22によってハイにラッチされていた83B-setがローとなり、83B-bufが83BYとなって操作信号選択部3を介して電源切替器83Bがオンとなる。このとき、TS-GATEは出力されないためオフ状態が継続され、したがって電源切替器83Bによる瞬断のバイパス給電切替となる。
【0035】
以上のように本発明は、制御電源の喪失によって制御装置の処理動作が正常に動作しなくなったとき、及び制御装置に異常が発生して制御装置の処理動作を正常に動作しなくなったときでも、電源切替器に対して正常な操作信号の出力が可能となるものである。また、異常時における操作信号は、UPSの運転状況に応じて無瞬断でのバイパス給電切替、瞬断でのバイパス給電切替、及び並列解除等の使い分けが可能となるものである。
【符号の説明】
【0036】
1… 電源切替制御部
2… 操作信号格納部
3… 操作信号選択部
4… バックアップ電源
TS… サイリスタスイッチ
83B… 電源切替器
83I… 電源切替器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7