特許第6221757号(P6221757)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221757
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】温水洗浄便座装置の流路切替弁
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   E03D9/08 B
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-4374(P2014-4374)
(22)【出願日】2014年1月14日
(65)【公開番号】特開2015-132113(P2015-132113A)
(43)【公開日】2015年7月23日
【審査請求日】2016年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089082
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 脩
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 陽介
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 中国実用新案第2738049(CN,Y)
【文献】 特開2004−011251(JP,A)
【文献】 特開2003−336754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源から導入される洗浄水を、複数の流路へ選択的に切り替えて導出する温水洗浄便座装置の流路切替弁であって、
一端を開口する弁穴が内部に形成された円筒状の本体部と、前記洗浄水を前記弁穴に導入する導入路と、一端が前記弁穴の内周面に開口し、他端が前記複数の流路にそれぞれ接続され、前記洗浄水を前記複数の流路に導出する複数の導出路と、を有するボディと、
前記弁穴に軸線周りに回動可能に収容され、前記導入路と連通する連通路が内部に形成された筒部と、前記筒部の回動に応じて前記複数の導出路と前記連通路とを連通または遮断する複数の連通穴と、を有するシャフトと、
前記ボディに固定され、前記シャフトを回動させるモータと、を備え、
前記複数の導出路は、前記本体部の外周面にそれぞれ離間して配設され、
前記筒部の外周面には、凹溝が環状に形成され、
前記凹溝の底部の外周面には、前記筒部の外径方向に突出する複数の突出部がそれぞれ離間して形成され、
前記複数の連通穴の一端は、前記突出部のそれぞれの端部にてそれぞれ開口し、
前記凹溝の底部の外周面に嵌合された筒状の被覆部と、前記突出部が嵌入する穴部と、前記穴部の周上に環状に形成され、前記弁穴の内周面に摺動可能に当接することにより、前記連通穴から導出される前記洗浄水の漏洩を防止するリップ部と、を有する第一シール部材と、を備えた温水洗浄便座装置の流路切替弁。
【請求項2】
前記筒部の外周面には、複数の前記凹溝が前記筒部の軸線方向に離間するように形成され、
複数の前記凹溝には、前記第一シール部材がそれぞれ配設されている請求項1記載の温水洗浄便座装置の流路切替弁。
【請求項3】
環状に形成され、前記筒部の外周面と前記弁穴の内周面との間をシールする複数の第二シール部材をさらに備え、
前記第二シール部材は、前記筒部の軸線方向において、少なくとも前記第一シール部材の端面のうち前記モータに最も近い端面よりも前記モータ側と前記第一シール部材の端面のうち前記導入路に最も近い端面よりも前記導入路側とに配設されている請求項1または請求項2記載の温水洗浄便座装置の流路切替弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水洗浄便座装置の流路切替弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば従来の構成として、特許文献1には、複数の流路を有し、洗浄水を人体に噴出するノズル装置を備えた温水洗浄便座装置において、洗浄水を複数の流路に選択的に供給する流路切替弁が開示されている。流路切替弁は、外筒、外筒の内部に回動可能に収容される内筒および内筒を回動させるモータを備えている。外筒は、洗浄水を内部に導入する洗浄水入口、および、複数の流路にそれぞれ接続され、洗浄水を導出する複数の洗浄水出口を備えている。また、内筒は、モータによって回動されることにより、洗浄水入口と複数の洗浄水出口とを選択的に連通する複数の孔を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4243465号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されている流路切替弁においては、外筒の内周面と内筒の外周面との間に、内筒をスムーズに回動させるための隙間が存在する。よって、洗浄水が洗浄水入口から供給されている場合であって、複数の洗浄水出口のうち一の洗浄水出口と洗浄水入口とが連通されているときに、洗浄水が、隙間を介して、他の洗浄水出口から漏洩する内部リークが常に発生する。また、洗浄水出口が比較的多く配設される等により、外筒および内筒が軸線方向に長くなる場合には、隙間が大きくなる可能性がある。そして、隙間を介しての内部リークによる洗浄水の漏洩は、洗浄水の節水性に影響を及ぼす。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、内部リークによる洗浄水の漏洩を抑制する温水洗浄便座装置の流路切替弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る温水洗浄便座装置の流路切替弁は、給水源から導入される洗浄水を、複数の流路へ選択的に切り替えて導出する温水洗浄便座装置の流路切替弁であって、一端を開口する弁穴が内部に形成された円筒状の本体部と、洗浄水を弁穴に導入する導入路と、一端が弁穴の内周面に開口し、他端が複数の流路にそれぞれ接続され、洗浄水を複数の流路に導出する複数の導出路と、を有するボディと、弁穴に軸線周りに回動可能に収容され、導入路と連通する連通路が内部に形成された筒部と、筒部の回動に応じて複数の導出路と連通路とを連通または遮断する複数の連通穴と、を有するシャフトと、ボディに固定され、シャフトを回動させるモータと、を備え、複数の導出路は、本体部の外周面にそれぞれ離間して配設され、筒部の外周面には、凹溝が環状に形成され、凹溝の底部の外周面には、筒部の外径方向に突出する複数の突出部がそれぞれ離間して形成され、複数の連通穴の一端は、前記突出部のそれぞれの端部にてそれぞれ開口し、凹溝の底部の外周面に嵌合された筒状の被覆部と、突出部が嵌入する穴部と、穴部の周上に環状に形成され、弁穴の内周面に摺動可能に当接することにより、連通穴から導出される洗浄水の漏洩を防止するリップ部と、を有する第一シール部材と、を備えている。
【0007】
これによれば、第一シール部材のリップ部が、連通穴から導出される洗浄水の漏洩を防止するため、内部リークによる洗浄水の漏洩を抑制することができる。また、複数の導出路が本体部の外周面にそれぞれ離間して配設されていることにより、弁穴の内周面と筒部の外周面との隙間が大きくなる場合であっても、第一シール部材のリップ部により、内部リークによる洗浄水の漏洩を抑制することができる。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る温水洗浄便座装置の流路切替弁において、筒部の外周面には、複数の凹溝が筒部の軸線方向に離間するように形成され、複数の凹溝には、第一シール部材がそれぞれ配設されている。
【0009】
これによれば、筒部の軸線方向に離間するように形成された複数の凹溝に、第一シール部材がそれぞれ配設されているため、より多数の導出路が筒部の軸線方向に配設されることにより、弁穴の内周面と筒部の外周面との隙間がより大きくなる場合であっても、一つの凹溝に一つの第一シール部材が配設されている場合に比べて、第一シール部材のリップ部を弁穴の内周面により精度よく当接させることができる。したがって、内部リークによる洗浄水の漏洩を確実に抑制することができる。
【0010】
また、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る温水洗浄便座装置の流路切替弁において、環状に形成され、筒部の外周面と弁穴の内周面との間をシールする複数の第二シール部材をさらに備え、第二シール部材は、筒部の軸線方向において、少なくとも前記第一シール部材の端面のうち前記モータに最も近い端面よりも前記モータ側と前記第一シール部材の端面のうち前記導入路に最も近い端面よりも導入路側とに配設されている。
【0011】
これによれば、筒部の端部に第一シール部材を挟むように第二シール部材が配設されているため、弁穴に対する筒部の偏りが抑制される。よって、第一シール部材のリップ部が、弁穴の内周面に精度よく当接する。したがって、内部リークによる洗浄水の漏洩をさらに抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る温水洗浄便座の全体構成を示す概要図である。
図2図1に示す流路切替弁の軸方向断面図である。
図3図2に示すボディの軸方向断面図である。
図4図2に示すシャフトの正面図である。
図5図2に示す流路切替弁の発明要所の部分拡大図である。
図6図2に示す流路切替弁のVI−VI線に沿った断面図である。
図7図2に示す一の第一シール部材の正面図である。
図8図7に示す一の第一シール部材のVIII−VIII線に沿った断面図である。
図9図2に示す他の第一シール部材の正面図である。
図10図9に示す他の第一シール部材のX−X線に沿った断面図である。
図11A図2に示す流路切替弁のXI−XI線に沿った断面図であり、連通穴と一の導出路とが連通し、連通穴と他の導出路とが遮断されている状態を表している。
図11B図2に示す流路切替弁のXI−XI線に沿った断面図であり、連通穴と一の導出路とが遮断され、連通穴と他の導出路とが連通している状態を表している。
図12A図2に示す流路切替弁のXII−XII線に沿った断面図であり、連通穴と導出路とが遮断されている状態を表している。
図12B図2に示す流路切替弁のXII−XII線に沿った断面図であり、連通穴と導出路とが連通している状態を表している。
図13図2に示す流路切替弁のXIII−XIII線に沿った断面図であり、連通穴と導出路とが連通している状態を表している。
図14】本発明の一実施形態に係る流路切替弁の変形例におけるシャフトの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る温水洗浄便座装置1の流路切替弁RVにおける一実施形態について、図面を参照しながら説明する。温水洗浄便座装置1は、洗浄水を人体に噴出することにより、人体の局部を洗浄するものである。温水洗浄便座装置1は、図1に示すように、操作部100、温水機能部200、温水機能部200に回動可能に支持される便座および便蓋(いずれも図示なし)を備えている。操作部100は、温水洗浄便座装置1を遠隔操作するものである。操作部100は、温水洗浄便座装置1を操作するための複数のスイッチ(図示なし)を備えている。操作部100は、使用者によってスイッチを操作されることにより、温水機能部200に所定の制御信号を無線送信する。
【0014】
温水機能部200は、制御部201、分岐水栓202、ストレーナ203、逆止弁204、定流量弁205、止水電磁弁206、リリーフバルブ207、流量センサ208、第一温度センサ209、第二温度センサ210、熱交換器211、ポンプ212、流路切替弁RVおよびノズル部220を備えている。また、ノズル部220は、おしり洗浄を行うための洗浄水を噴出するおしりノズル221、および、ビデ洗浄を行うための洗浄水を噴出するビデノズル222、並びに、ノズル221,222を洗浄するノズル洗浄を行うための洗浄水を噴出するノズル洗浄用ノズル223を備えている。
【0015】
そして、分岐水栓202と熱交換器211との間に接続される流路213には、分岐水栓202から順に、ストレーナ203、逆止弁204、定流量弁205、止水電磁弁206、リリーフバルブ207、流量センサ208および第一温度センサ209が配設されている。また、熱交換器211と流路切替弁RVとの間に接続される流路214には、熱交換器211から順に、第二温度センサ210およびポンプ212が配設されている。
【0016】
また、流路切替弁RVは、流路221a,221bを介しておしりノズル221と接続されている。そして、流路切替弁RVは、流路221a,222bを介してビデノズル222と接続されている。また、流路切替弁RVは、流路223aを介してノズル洗浄用ノズル223と接続されている。
【0017】
制御部201は、止水電磁弁206、流量センサ208、温度センサ209,210、熱交換器211、ポンプ212および流路切替弁RVと、電気的に接続されている。制御部201は、操作部100から無線送信される制御信号を受信した場合に、流量センサ208および温度センサ209,210によって検出される信号に基づいて、止水電磁弁206、熱交換器211、ポンプ212および流路切替弁RVに所定の制御信号を送信するものである。
【0018】
分岐水栓202は、水道配管2(特許請求の範囲の給水源に相当)に取り付けられ、水道配管2に流れる浄水を洗浄水として流路213に導入するものである。ストレーナ203は、浄水に含まれるゴミ等を除去するものである。逆止弁204は、流路213内における洗浄水の逆流を防止するものである。定流量弁205は、流路213に流れる洗浄水の流量を一定に維持するものである。止水電磁弁206は、制御部201からの制御信号により、流路213を開状態または閉状態にするものである。本実施形態においては、止水電磁弁206は、通常時(非制御時)に流路213を閉状態にする。リリーフバルブ207は、定流量弁205によって流量が調整された洗浄水のうちポンプ212で吸引されない洗浄水を温水機能部200から外部へ放出するものである。
【0019】
流量センサ208は、流路213に流れる洗浄水の流量を検出するものである。流量センサ208によって検出された洗浄水の流量は、検出信号として、制御部201に送信される。また、第一温度センサ209は、流路213に流れる洗浄水の温度を検出するものである。そして、第二温度センサ210は、流路214に流れる洗浄水の温度を検出するものである。温度センサ209,210によって検出された洗浄水の温度は、検出信号として、制御部201に送信される。
【0020】
そして、熱交換器211は、制御部201からの制御信号に基づいて、流路213から導入される洗浄水を所定温度に加熱する。所定温度は、例えば39℃である。ポンプ212は、熱交換器211によって加熱された洗浄水を導入し、流路切替弁RVに導出するものである。本実施形態において、ポンプ212は、プランジャーポンプであり、モータおよびモータの回転駆動により往復運動するプランジャー(いずれも図示なし)を含んで構成されている。また、ポンプ212は、制御部201からの制御信号に基づいて、流路切替弁RVに導出する洗浄水の流量を調整する。具体的には、ポンプ212のモータの回転数が制御部201によって調整されることにより、洗浄水の流量が調整される。
【0021】
流路切替弁RVは、水道配管2から導入される洗浄水を、複数の流路へ選択的に切り替えて導出するものである。具体的には、流路切替弁RVは、制御部201からの制御信号に基づいて、水道配管2から導入される洗浄水を、流路221a,221b,222a,222b,223aへ選択的に切り替えて導出する。ここで、ノズル221,222には、それぞれ、内部に複数の流路が形成されている。本実施形態においては、ノズル221,222には、それぞれ、内部に二つの流路(図示なし)が形成されている。おしりノズル221には、流路221a,221bを介して流路切替弁RVから洗浄水が導入する。また、ビデノズル222には、流路222a,222bを介して流路切替弁RVから洗浄水が導入する。そして、ノズル洗浄用ノズル223には、内部に一つの流路(図示なし)が形成されている。ノズル洗浄用ノズル223には、流路223aを介して流路切替弁RVから洗浄水が導入する。すなわち、流路切替弁RVは、制御部201からの制御信号に基づいて、おしりノズル221、ビデノズル222およびノズル洗浄用ノズル223のいずれか一つに洗浄水を導出するものである。
【0022】
次に、流路切替弁RVの構成について説明する。流路切替弁RVは、図2に示すように、ボディ10、ボディ10の内部に回動可能に収容されたシャフト20、複数の第一シール部材30,40、複数の第二シール部材50a,50bおよびシャフト20を回動するモータ60を備えている。ボディ10およびシャフト20は、本実施形態において、樹脂材料を射出成型することによって形成される。そして、ボディ10は、図2および図3に示すように、本体部11、導入路12、複数の導出路13a〜13eおよびモータ取付部14を備えている。
【0023】
本体部11は、一端を開口する弁穴11aが内部に形成された円筒状のものである。本実施形態において、弁穴11aは、一端(図2の左側)が開口された円柱状に形成されている。また、本体部11および弁穴11aの軸方向は、後述する筒部21の軸線21a方向と同じである。弁穴11aの他端(図2の右側)には、導入路12の一端が接続されている。導入路12は、洗浄水を弁穴11aに導入するものである。導入路12の他端は、流路214に接続されている。
【0024】
導出路13a〜13eは、一端が弁穴11aの内周面11aaに開口し、他端が複数の流路221a,221b,222a,222b,223aにそれぞれ接続され、洗浄水を複数の流路221a,221b,222a,222b,223aに導出するものである。また、導出路13a〜13dは、本体部11の外周面にそれぞれ離間して配設されている。ここで、本実施形態においては、導出路13a〜13dは、本体部11の外周面に後述する筒部21の軸線21a方向に離間して配設されている。より具体的には、導出路13a〜13dは、本体部11の外周面の周方向において、同じ位置にそれぞれ配設されている。そして、導出路13aと導出路13bとが隣接するように配設されている。また、導出路13cと導出路13dとが隣接するように配設されている。そして、導出路13eは、導出路13aに対して、軸線21a方向において同位置に、本体部11の外周面の周方向において、導出路13aを180度回転させた位置に配設されている。
【0025】
また、本実施形態においては、導出路13aには、流路221aが接続され、導出路13bには、流路221bが接続されている。また、導出路13cには、流路222aが接続され、導出路13dには、流路222bが接続されている。そして、導出路13eには、流路223aが接続されている。なお、各導出路13a〜13eと各流路221a,221b,222a,222b,223aとは、例えば弾性を有するホース等を介して、それぞれ接続されている。
【0026】
モータ取付部14は、モータ60が取り付けられる部位である。モータ取付部14は、本体部11における弁穴11aの一端に配設され、筒状に形成されている。モータ取付部14の内周面には、モータ取付部14の内周面から軸線21a側へ突出する突起部14aが形成されている。
【0027】
シャフト20は、図2および図4に示すように、筒部21、複数の第一凹溝22a,22b(特許請求の範囲の凹溝の相当)、複数の突出部23a〜23d、複数の連通穴24a〜24d、突起部25、凹部26、複数の第二凹溝27a,27bを備えている。本実施形態において、筒部21は、軸線21aを有する円筒状に形成されている。
【0028】
筒部21は、弁穴11aに軸線21a周りに回動可能に収容され、導入路12と連通する連通路21bが内部に形成されている。また、図5に示すように、筒部21の外周面21cと弁穴11aの内周面11aaとの間には、隙間Cが存在する。隙間Cは、筒部21を回動可能にするために必要な隙間である。また、本実施形態において、ボディ10が樹脂材料を射出成型することにより形成されているため、弁穴11aには、型抜き可能にするための抜き勾配が形成されている。したがって、弁穴11aの内周面11aaが他端(図2の右側)から一端(図2の左側)に向かって拡開するように形成されているため、隙間Cは、弁穴11aの他端から一端に向かって大きくなる。よって、導出路が、ボディ10に軸線21a方向に比較的多く配設される等により、弁穴11aが軸線21a方向に長くなる場合には、隙間Cが大きくなる。
【0029】
連通路21bは、筒部21の図2および図3の右側の端部にて導入路12と連通する。第一凹溝22a,22bは、筒部21の外周面21cに環状に形成されている。また、第一凹溝22a,22bは、筒部21の軸線21a方向に離間して配設されている。本実施形態においては、図2の左側から順に、第一凹溝22a、第一凹溝22bが筒部21に配設されている。
【0030】
第一凹溝22a,22bの底部の外周面には、筒部21の外径方向に突出する複数の突出部23a〜23dがそれぞれ離間して形成されている。本実施形態においては、突出部23a〜23dは、筒部21の軸線21a方向および周方向に異なる位置に形成されている。また、突出部23a〜23dは、円柱状に形成されている。また、突出部23a〜23dの各端部23aa〜23daは、筒部21の外周面21cより軸線21a側に位置する曲面に形成されている。本実施形態においては、突出部23a,23bが、第一凹溝22aに配設されている。そして、突出部23a,23bは、軸線21a方向に離間し、周方向に同じ位置に配設されている。また、筒部21が回動された場合に、突出部23aが、導出路13a,13eの一端に対向可能な位置に配設され、突出部23bが、導出路13bに対向可能な位置に配設されている。
【0031】
そして、図5図11Aおよび図11Bに示すように、突出部23aの端部23aaは、筒部21が回動された場合に、導出路13aの一端および導出路13eの一端の全領域がそれぞれ端部23aaに対向するように、導出路13aの一端および導出路13eの一端よりも大きい面積を有する曲面に形成されている。また、突出部23bの端部23baは、筒部21が回動された場合に、導出路13bの一端の全領域が端部23baに対向するように、導出路13bの一端よりも大きい面積を有する曲面に形成されている。
【0032】
また、第一凹溝22bには、突出部23c,23dが配設されている。突出部23c,23dは、軸線21a方向に離間し、周方向に異なる位置に配設されている。また、筒部21が回動された場合に、突出部23cが、導出路13cの一端に対向可能な位置に配設され、突出部23dが、導出路13dに対向可能な位置に配設されている。具体的には、突出部23cは、筒部21において図4の左側から見た場合に、突出部23aを筒部21の周方向に時計回りに90度移動させた位置に配設されている。そして、突出部23dは、突出部23cを筒部21の周方向に180度移動させた位置に配設されている。
【0033】
そして、図12に示すように、突出部23cの端部23caは、筒部21が回動された場合に、導出路13cの一端の全領域がそれぞれ端部23caに対向するように、導出路13cの一端よりも大きい面積を有する曲面に形成されている。また、図13に示すように、突出部23dの端部23daは、筒部21が回動された場合に、導出路13dの一端の全領域が端部23daに対向するように、導出路13dの一端よりも大きい面積を有する曲面に形成されている。
【0034】
複数の連通穴24a〜24dの一端は、突出部23a〜23dのそれぞれの端部23aa〜23daにそれぞれ開口されている。そして、連通穴24a〜24dの他端は、連通路21bに開口されている。すなわち、連通穴24a〜24dの他端は、連通路21bを介して導入路12と常に連通している。
【0035】
突起部25は、筒部21における図2の左側の端部にて、径方向に突出するものである。突起部25の側面25aは、図6に示すように、筒部21が回動された場合に、本体部11の突起部14aの側面14aaに当接するように形成されている。また、凹部26は、筒部21における図2の左側の端部に軸線21a方向に図2の左側に開口するように形成されている。
【0036】
第二凹溝27a,27bは、筒部21の両端部にて、筒部21の外周面21cに環状に形成されている。すなわち、第二凹溝27a,27bは、第一凹溝22a,22bを挟むように、筒部21に形成されている。
【0037】
第一シール部材30,40は、例えばEPDM等の弾性体によって形成されている。第一シール部材30,40は、図7乃至図10に示すように、被覆部31,41、穴部32a,32b,42a,42b、リップ部33a,33b,43a,43bを備えている。
【0038】
第一シール部材30の被覆部31は、第一凹溝22aの底部の外周面に嵌合する筒状に形成されたものである。また、第一シール部材40の被覆部41は、第一凹溝22bの底部の外周面に嵌合する筒状に形成されたものである。本実施形態において、第一凹溝22aと被覆部31との嵌合および第一凹溝22bと被覆部41との嵌合は、締り嵌めである。また、被覆部31,41の外周面は、筒部21の外周面21cよりも軸線21a側に位置する。
【0039】
穴部32a,32b,42a,42bは、被覆部31,41を被覆部31,41の径方向に貫通する穴である。そして、穴部32a,32b,42a,42bは、突出部23a〜23dが嵌入するものである。穴部32aには、突出部23aが嵌入する。穴部32bには、突出部23bが嵌入する。穴部42aには、突出部23cが嵌入する。穴部42bには、突出部23dが嵌入する。本実施形態において、穴部32a,32b,42a,42bと突出部23a〜23dとのそれぞれの嵌合は、締り嵌めである。すなわち、穴部32a,32b,42a,42bは、第一シール部材30,40が第一凹溝22a,22bに取り付けられた場合に、突出部23a〜23dがそれぞれ嵌入する位置に配設されている。
【0040】
リップ部33a,33b,43a,43bは、それぞれ穴部32a,32b,42a,42bの周上に環状に形成されている。リップ部33a,33b,43a,43bにおける被覆部31,41の径方向の端部33aa,33ba,43aa,43baは、本実施形態においては、図8および図10に示す断面形状において、半円状に形成されている。
【0041】
また、第一シール部材30,40が第一凹溝22a,22bに取り付けられた場合に、図11A乃至図13に示すように、端部33aa,33ba,43aa,43baは、筒部21の外周面21cよりも筒部21の径方向に対して、弁穴11aの内周面11aa側に位置するように形成されている。そして、端部33aa,33ba,43aa,43baは、弁穴11aの内周面11aaに摺動可能に当接するように形成されている。すなわち、リップ部33a,33b,43a,43bは、筒部21の外周面21cと弁穴11aの内周面11aaとの間をシールするように形成されている。
【0042】
また、突出部23a〜23dの端部23aa〜23daと導出路13a〜13eの一端の全領域とがそれぞれ対向した場合には、リップ部33a,33b,43a,43bが突出部23a〜23dの周囲に配設されているため、導出路13a〜13eの一端の全領域が、リップ部33a,33b,43a,43bの内側に位置する。
【0043】
複数の第二シール部材50a,50bは、環状に形成され、筒部21の外周面21cと弁穴11aの内周面11aaとの間をシールするものである。また、図2に示すように、第二シール部材50a,50bは、筒部21の軸線21a方向において、第一シール部材30,40を挟むように、少なくとも筒部21の端部に配設されている。具体的には、第二シール部材50a,50bは、筒部21の軸線21a方向において、少なくとも第一シール部材30,40の端面のうちモータ60に最も近い端面よりもモータ60側と、第一シール部材30,40の端面のうち導入路12に最も近い端面よりも導入路12側とに配設されている。本実施形態においては、第二シール部材50a,50bは、第二凹溝27a,27bにそれぞれ配設されている。また、第二シール部材50a,50bは、例えばEPDM等の弾性体によって形成されたOリングである。
【0044】
モータ60は、ボディ10に固定され、シャフト20を回動させるものである。具体的には、モータ60は、図2に示すように、ボディ10のモータ取付部14にネジ(図示なし)によって固定されている。また、モータ60の出力軸61が、シャフト20の凹部26に、すきま嵌めにて嵌合する。よって、出力軸61が回動することにより、筒部21が回動する。本実施形態において、モータ60は、例えばステッピングモータである。そして、流路切替弁RVにおいては、モータ60が制御部201と電気的に接続されている。モータ60の出力軸61は、制御部201から送信される制御信号に基づいて所定速度にて所定角度回動する。
【0045】
次に、流路切替弁RVの作動について説明する。温水洗浄便座装置1に電源が投入されたとき等に、制御部201は、流路切替弁RVに制御信号を送信し、モータ60によって、シャフト20を基準位置HPに回動させる。基準位置HPは、図6に示すように、筒部21の突起部25の側面25aがボディ10の突起部14aの側面14aaに当接するシャフト20の位置である。すなわち、制御部201は、図6において、シャフト20を基準位置HPに位置させるように、出力軸61を時計回りに所定角度回動させる制御信号をモータ60に送信する。所定角度は、軸線21aの周方向に対して、突起部25がどの位置にあっても、筒部21の突起部25の側面25aをボディ10の突起部14aの側面14aaに当接させることができる角度である。
【0046】
そして、シャフト20が基準位置HPに位置している場合は、図11Aに示すように、突出部23aの端部23aaと導出路13eの一端の全領域が対向する。すなわち、基準位置HPは、連通穴24aと導出路13eとが連通する位置である。また、基準位置HPにおいては、突出部23a〜23dの端部23aa〜23daと導出路13a〜13dの一端とがそれぞれ対向していないため、連通穴24a〜24dと導出路13a〜13dとがそれぞれ遮断されている。なお、基準位置HPにおいて、連通穴24aと導出路13aとが遮断されている状態が図11Aに示され、連通穴24cと導出路13cとが遮断されている状態が図12Aに示されている。
【0047】
そして、操作部100からノズル洗浄を行うための制御信号が制御部201に送信された場合には、制御部201は、止水電磁弁206に制御信号を送信し、止水電磁弁206によって流路213を開状態にする。これにより、洗浄水が水道配管2の水圧によって流路213に導入する。そして、制御部201は、流量センサ208からの検出信号に基づいてポンプ212に制御信号を送信し、ポンプ212を所定回転数にて作動させる。これにより、洗浄水が、所定流量(例えば、1000mL/分)にて流路切替弁RVに導入路12から導入する。このとき、連通穴24aと導出路13eとが対向しているため、導入路12と導出路13eとが連通している。これにより、洗浄水が導出路13eから導出し、導出路13eから流路223aを介してノズル洗浄用ノズル223に導出される。そして、洗浄水が、ノズル洗浄用ノズル223から噴出することにより、ノズル洗浄が行われる。
【0048】
そして、制御部201は、操作部100からノズル洗浄を行うための制御信号が送信されたときから所定時間(例えば、6秒)が経過した後に、ノズル洗浄を終了させるために、止水電磁弁206に制御信号を送信し、止水電磁弁206によって流路213を閉状態にする。また、これと同時に、制御部201は、ポンプ212に制御信号を送信し、ポンプ212の回転駆動を停止する。これにより、洗浄水のノズル洗浄用ノズル223からの噴出が停止し、ノズル洗浄が終了する。
【0049】
ここで、第二シール部材50aが筒部21の外周面21cと弁穴11aの内周面11aaとの間をシールしているため、導入路12から導入された洗浄水は、第二シール部材50aが弁穴11aの内周面11aaに当接している部位から図2の左側へ、隙間Cを介して漏洩せずに連通路21bに導入する。そして、連通穴24b〜24dと導出路13a〜13dとがそれぞれ遮断されており、リップ部33b,43a,43bの端部33ba,43aa,43baが弁穴11aの内周面11aaに当接しているため、連通穴24b〜24dから導出される洗浄水はせき止められる。よって、洗浄水は、連通穴24b〜24dから導出路13a〜13dへ導出されず、かつ、隙間Cへ漏洩しない。また、リップ部33aの内側に導出路13eの一端の全領域が位置し、リップ部33aの端部33aaが弁穴11aの内周面11aaに当接しているため、連通穴24aから導出される洗浄水は、隙間Cへ漏洩せずに、導出路13eに導出する。すなわち、洗浄水の内部リークが抑制される。
【0050】
また、操作部100からおしり洗浄を行うための制御信号が制御部201に送信された場合には、制御部201は、止水電磁弁206に制御信号を送信し、止水電磁弁206によって流路213を開状態にする。そして、制御部201は、流量センサ208からの検出信号に基づいてポンプ212に制御信号を送信し、ポンプ212を所定回転数にて作動させる。さらに、制御部201は、温度センサ209,210からの検出信号に基づいて熱交換器211に制御信号を送信し、洗浄水を所定温度(例えば、39℃)に加熱する。これにより、所定温度に加熱された洗浄水が、所定流量(例えば、450mL/分)にて流路切替弁RVに導入路12から導入する。さらに、制御部201は、流路切替弁RVに洗浄水が導入される前に、モータ60に制御信号を送信し、シャフト20を基準位置HPからおしり洗浄位置SPに回動させる。
【0051】
おしり洗浄位置SPは、図5および図11Bに示すように、突出部23a,23bの端部23aa,23baと導出路13a,13bの一端の全領域がそれぞれ対向する位置であり、図11Bに示すように、基準位置HPからシャフト20を180度回動させた位置である。すなわち、おしり洗浄位置SPは、連通穴24a,24bと導出路13a,13bとがそれぞれ連通する位置である。また、おしり洗浄位置SPにおいては、突出部23a,23c,23dの端部23aa,23ca,23daと導出路13c〜13eの一端とがそれぞれ対向していないため、連通穴24a,24c,24dと導出路13c〜13eとがそれぞれ遮断されている。
【0052】
そして、連通穴24a,24bと導出路13a,13bとがそれぞれ連通しているため、導入路12と導出路13a,13bとがそれぞれ連通している。よって、導入路12から導入した洗浄水は、導出路13a,13bから導出する。そして、洗浄水が流路221a,221bを介しておしりノズル221に導出される。そして、洗浄水がおしりノズル221から噴出することにより、おしり洗浄が行われる。
【0053】
ここで、リップ部33a,33bの内側に導出路13a,13bの一端の全領域がそれぞれ位置し、連通穴24a,24c,24dと導出路13c〜13eとがそれぞれ遮断されている。そして、リップ部33a,33b,43a,43bの端部33aa,33ba,43aa,43baが弁穴11aの内周面11aaに当接しているため、連通穴24a〜24dから導出される洗浄水は、隙間Cへ漏洩しない。すなわち、内部リークが抑制される。
【0054】
そして、制御部201は、操作部100からおしり洗浄を終了させるための制御信号が送信されたときに、おしり洗浄を停止するための制御信号を送信することにより、止水電磁弁206によって流路213を閉状態にし、ポンプ212の回転駆動を停止し、熱交換器211による洗浄水の加熱を停止する。これにより、洗浄水のおしりノズル221からの噴出が停止し、おしり洗浄が終了する。そして、制御部201は、モータ60に制御信号を送信し、シャフト20をおしり洗浄位置SPから基準位置HPに回動する。
【0055】
また、操作部100からビデ洗浄を行うための制御信号が制御部201に送信された場合であって、流路切替弁RVの導出路13cから流路222aを介してビデノズル222に洗浄水を導出するときは、上述したおしり洗浄する場合におけるシャフト20の位置であるおしり洗浄位置SPに代えて、ビデ洗浄位置BP1にする。ビデ洗浄位置BP1は、図12Bに示すように、突出部23cの端部23caと導出路13cの一端の全領域が対向する位置であり、図12Aに示す基準位置HPからシャフト20を反時計回りに90度回動させた位置である。すなわち、ビデ洗浄位置BP1は、連通穴24cと導出路13cとが連通する位置である。そして、リップ部43aの内側に導出路13cの一端の全領域がそれぞれ位置している。また、ビデ洗浄位置BP1は、連通穴24a,24b,24dと導出路13a,13b,13d,13eとがそれぞれ遮断されている位置である。
【0056】
また、流路切替弁RVの導出路13dから流路222bを介してビデノズル222に洗浄水を導出するときは、上述したおしり洗浄する場合におけるシャフト20の位置であるおしり洗浄位置SPに代えて、ビデ洗浄位置BP2にする。ビデ洗浄位置BP2は、図13に示すように、突出部23dの端部23daと導出路13dの一端の全領域がそれぞれ対向する位置であり、基準位置HPからシャフト20を時計回りに90度回動させた位置である。すなわち、ビデ洗浄位置BP2は、連通穴24dと導出路13dとが連通する位置である。そして、リップ部43bの内側に導出路13dの一端の全領域がそれぞれ位置している。また、ビデ洗浄位置BP2は、連通穴24a〜24cと導出路13a〜13c,13eとがそれぞれ遮断されている位置である。
【0057】
ここで、リップ部33a,33b,43a,43bの端部33aa,33ba,43aa,43baが弁穴11aの内周面11aaに当接しているため、連通穴24a〜24dから導出される洗浄水は、隙間Cへ漏洩しない。すなわち、内部リークが抑制される。
【0058】
すなわち、リップ部33a,33b,43a,43bは、弁穴11aの内周面11aaに摺動可能に当接することにより、連通穴24a〜24dから導出される洗浄水の漏洩を防止するものである。また、複数の連通穴24a〜24dは、筒部21の回動に応じて、複数の導出路13a〜13eと連通路21bとを連通または遮断するものである。
【0059】
本実施形態によれば、第一シール部材30,40のリップ部33a,33b,43a,43bが、連通穴24a〜24dから導出される洗浄水の漏洩を防止するため、内部リークによる洗浄水の漏洩を抑制することができる。また、導出路13a〜13eが本体部11の外周面に筒部21の軸線21a方向に離間して配設されているため、導出路13a〜13eが軸線21a方向に離間せずに配設されている場合に比べて、弁穴11aの内周面11aaと筒部21の外周面21cとの隙間Cが大きくなる。このような場合であっても、第一シール部材30,40のリップ部33a,33b,43a,43bにより、内部リークによる洗浄水の漏洩を抑制することができる。
【0060】
また、従来の構成のように第一シール部材30,40を備えていない場合には、内部リークによる洗浄水の漏洩を抑制するため、隙間Cを小さくする必要がある。よって、隙間Cを形成する弁穴11aの内周面11aaおよび筒部21の外周面21cの寸法公差が比較的小さく設定されている。ここで、本実施形態においては、第一シール部材30,40によって、内部リークによる洗浄水の漏洩を抑制できるため、従来の構成のように第一シール部材30,40を備えていない場合に比べて、隙間Cを形成する弁穴11aの内周面11aaおよび筒部21の外周面21cの寸法公差を、比較的大きくすることができる。したがって、弁穴11aの内周面11aaおよび筒部21の外周面21cの寸法管理を容易にすることができる。
【0061】
そして、突出部23a〜23dが穴部32a,32b,42a,42bにそれぞれ嵌入しているため、弁穴11aの内周面11aaに摺動可能に当接するリップ部33a,33b,43a,43bの位置は、筒部21の回動による内周面11aaとの摺動によっても、突出部23a〜23dに対する位置ずれが抑制される。よって、リップ部33a,33b,43a,43bが、連通穴24a〜24dから導出される洗浄水の漏洩をより確実に防止するため、内部リークによる洗浄水の漏洩をより確実に抑制することができる。
【0062】
また、筒部21の軸線21a方向に離間するように形成された複数の第一凹溝22a,22bに、第一シール部材30,40がそれぞれ配設されているため、より多数の導出路が筒部21の軸線21a方向に配設されることにより、弁穴11aの内周面11aaと筒部21の外周面21cとの隙間Cがより大きくなる場合であっても、一つの凹溝に一つの第一シール部材が配設されている場合に比べて、第一シール部材30,40のリップ部33a,33b,43a,43bを弁穴11aの内周面11aaにより精度よく当接させることができる。したがって、内部リークによる洗浄水の漏洩を確実に抑制することができる。
【0063】
また、より多数の導出路を筒部21の軸線21a方向に配設する場合であって、一つの第一凹溝を形成し、一つの第一シール部材を配設するときに比べて、複数の第一凹溝22a,22bを形成し、複数の第一シール部材30,40をそれぞれ配設するときには、第一シール部材30,40の軸線21a方向の長さをより短く形成することができる。よって、第一シール部材30,40の被覆部31,41における筒部21の回動によって生じる捻じれを抑制することができる。よって、第一シール部材30,40のリップ部33a,33b,43a,43bが、弁穴11aの内周面11aaに精度よく当接する。したがって、内部リークによる洗浄水の漏洩をより確実に抑制することができる。
【0064】
そして、筒部21の端部に第二シール部材50a,50bが配設されているため、弁穴11aに対する筒部21の偏りが抑制される。よって、第一シール部材30,40のリップ部33a,33b,43a,43bが、弁穴11aの内周面11aaに精度よく当接する。したがって、内部リークによる洗浄水の漏洩をさらに確実に抑制することができる。
【0065】
なお、上述した実施形態において、温水洗浄便座装置の流路切替弁の一例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の構成を採用することもできる。例えば、次に、上述した本発明の実施形態における変形例について説明する。上述した流路切替弁RVにおける連通穴24aは、円筒状に形成されているが、これに代えて、図14に示すように、連通穴24aの一端を三角形状に形成するようにしても良い。さらに、連通穴24aの一端の筒部21における周方向の長さを、図14に点線にて示す導出路13aの筒部21における周方向の長さよりも長くするようにすると良い。この場合、連通穴24aの一端における導出路13aの一端に対する開口面積が、筒部21の回動に応じて変化する。これにより、連通穴24aから導出する洗浄水の流量が、筒部21の回動に応じて変化する。よって、流路切替弁RVは、筒部21の回動により、洗浄水の流量調整を行うことができる。
【0066】
なお、他の連通穴24b〜24dの一端を三角形状に形成し、連通穴24b〜24dの一端の筒部21における周方向の長さを、導出路13b〜13dの一端の筒部21における周方向の長さよりも長くするようにしても良い。これによって、流路切替弁RVは、筒部21の回動により洗浄水の流量調整を行うことができる。また、連通穴24a〜24dの形状に合わせて、突出部23a〜23d、穴部32a,32b,42a,42bおよびリップ部33a,33b,43a,43bを、上述した円筒状から、長方形状に形成するようにしても良い。
【0067】
また、上述した実施形態において、第二シール部材として、第二シール部材50a、50bを2つ配設しているが、これに代えて、第二シール部材をさらに追加して、第一凹溝22a,22bの間に配設するようにしても良い。また、これに代えて、第二シール部材50aのみを配設するようにしても良い。
また、上述した実施形態において、第二シール部材50a、50bは、Oリングであるが、これに代えて、断面形状がX字状に形成されたXリングとするようにしても良い。
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、導出路の個数や配設する位置等を変更しても良い。
【符号の説明】
【0068】
1…温水洗浄便座装置、10…ボディ、11…本体部、11a…弁穴、11aa…内周面、12…導入路、13a〜13e…導出路、20…シャフト、21…筒部、21a…軸線、21b…連通路、21c…外周面、22a,22b…第一凹溝、23a〜23d…突出部、24a〜24d…連通穴、30,40…第一シール部材、31,41…被覆部、32a,32b,42a,42b…穴部、33a,33b,43a,43b…リップ部、50a,50b…第二シール部材、60…モータ、221a,221b,222a,222b,223a…流路、C…隙間、RV…流路切替弁。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14