(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施の形態1)
図1から
図7を参照して、実施の形態1における内燃機関について説明する。本実施の形態においては、自動車に配置されている内燃機関を例示して説明する。本実施の形態における内燃機関は、アンモニアおよび水素を燃料にしている。本実施の形態における内燃機関は、原料として液体のアンモニアから水素を生成する水素発生装置を含む。本実施の形態における内燃機関は、液体のアンモニアに熱を供給して気化させることにより気体のアンモニアを生成する。さらに、気体のアンモニアを分解触媒により分解して水素を生成する。
【0026】
図1は、本実施の形態における内燃機関の概略図である。本実施の形態における内燃機関は、火花点火式である。内燃機関は、機関本体1を備える。機関本体1は、シリンダブロック2とシリンダヘッド4とを含む。シリンダブロック2の内部には、ピストン3が配置されている。ピストン3の冠面とシリンダヘッド4とにより燃焼室5が形成されている。燃焼室5はそれぞれの気筒ごとに形成されている。
【0027】
燃焼室5には、機関吸気通路および機関排気通路が接続されている。シリンダヘッド4には、吸気ポート7および排気ポート9が形成されている。吸気弁6は、燃焼室5に連通する機関吸気通路を開閉可能に形成されている。排気弁8は、燃焼室5に連通する機関排気通路を開閉可能に形成されている。シリンダヘッド4には、点火装置としての点火栓10が固定されている。点火栓10は、燃焼室5にて燃料を点火するように形成されている。本実施の形態における点火栓10は、プラズマジェット点火栓である。
【0028】
各気筒の吸気ポート7は、対応する吸気枝管13を介してサージタンク14に連結されている。サージタンク14は、吸気ダクト15を介してエアクリーナ12に連結されている。吸気ダクト15には、吸入空気量を検出するエアフローメータ16が配置されている。吸気ダクト15の内部には、ステップモータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置されている。
【0029】
本実施の形態における内燃機関は、排気を浄化する排気浄化装置を備える。各気筒の排気ポート9は、対応する排気マニホールド19に連結されている。排気マニホールド19は、排気管22に連結されている。本実施の形態における排気浄化装置は、NO
X選択還元触媒(SCR)を含む。NO
X選択還元触媒92は、排気管22に連結されている。NO
X選択還元触媒92には、排気管23が連結されている。NO
X選択還元触媒92から流出する排気は、排気管23を通して外気に放出される。
【0030】
NO
X選択還元触媒92よりも上流の機関排気通路には、NO
X選択還元触媒92に流入する排気のNO
X濃度を検出するNO
Xセンサ94が配置されている。また、NO
X選択還元触媒92よりも上流の機関排気通路には、NO
X選択還元触媒92に流入する排気のアンモニア濃度を検出するアンモニアセンサ95が配置されている。NO
Xセンサ94にて検出されたNO
X濃度の信号、およびアンモニアセンサ95にて検出されたアンモニア濃度の信号は、制御装置31に入力される。
【0031】
本実施の形態における水素発生装置は、アンモニアを分解するための分解器51を備える。本実施の形態における分解器51は、アンモニアを分解するための分解触媒とアンモニアを酸化するための酸化触媒とを含む。分解触媒はアンモニアを分解するための触媒粒子を含み、酸化触媒はアンモニアを酸化するための触媒粒子を含む。本実施の形態における分解器51は、触媒60を含む。本実施の形態における触媒60は、分解触媒と酸化触媒とが一体化されている。
【0032】
本実施の形態における触媒60は、ハニカム構造に形成されている。触媒60は、複数の流路が形成されている基材を含む。基材は、例えばコーディエライトまたは金属で形成されている。基材のそれぞれの流路の表面には、コート層が形成されている。コート層には触媒粒子を担持する粒子状の担持体が配置されている。
【0033】
本実施の形態における触媒60は、一つの基材にアンモニアを酸化するための触媒粒子およびアンモニアを分解するための触媒粒子が配置されている。本実施の形態においては、アンモニアを酸化するための触媒粒子およびアンモニアを分解するための触媒粒子は、担持体に担持されている。担持体は、たとえば酸化アルミニウムで形成されている。アンモニアを酸化するための触媒粒子の金属は、白金等の貴金属や鉄等の卑金属を例示することができる。アンモニアを酸化するための触媒粒子は、この形態に限られず、アンモニアの酸化を促進する任意の金属から形成することができる。
【0034】
アンモニアを分解するための触媒粒子の金属は、ルテニウム等の貴金属やニッケルまたはコバルト等の卑金属を例示することができる。本実施の形態においては、ルテニウムが採用されている。アンモニアを分解するための触媒粒子は、この形態に限られず、アンモニアの分解を促進する任意の金属から形成することができる。
【0035】
本実施の形態における水素発生装置は、触媒60を加熱器により加熱するように形成されている。本実施の形態における加熱器は、触媒60の周りに配置されている電気ヒータを含む。内燃機関の始動時には、電気ヒータに通電することにより触媒60を昇温することができる。
【0036】
本実施の形態においては、分解器51の触媒60の下流には、触媒60の温度を検出するための温度センサ74が配置されている。温度センサ74で検出された温度の信号は、制御装置31に入力される。
【0037】
本実施の形態における水素発生装置は、原料としてのアンモニア40を気化して分解器51に供給する。水素発生装置は、アンモニアを貯留するためのタンク64を含む。タンク64は、内部が加圧されており、液体のアンモニア40が貯留されている。本実施の形態における水素発生装置は、液体のアンモニア40を供給するためのポンプ65を含む。ポンプ65は、アンモニア供給管61aに接続されている。
【0038】
水素発生装置は、アンモニア供給管61aに接続されている蒸発器66を含む。蒸発器66は、液体のアンモニアを加熱することができるように形成されている。蒸発器66には、気体のアンモニアを供給するアンモニア供給管61bが接続されている。アンモニア供給管61bは、気体のアンモニアを流入管62の内部に放出するように、流入管62に接続されている。
【0039】
本実施の形態における蒸発器66は、液体のアンモニアと機関冷却水との熱交換によりアンモニアを気化することができる。蒸発器66は、熱交換部66aを有する。本実施の形態における熱交換部66aには、機関本体1の機関冷却水が供給されている。熱交換部66aにおいて、液体のアンモニアと機関冷却水との熱交換が行なわれる。
【0040】
分解器51には、空気を供給するための空気供給機が接続されている。本実施の形態における空気供給機は、分解器51に接続されている流入管62を含む。流入管62は、スロットル弁18の上流において、機関吸気通路に接続されている。本実施の形態において、分解器51から流出する気体は、運転期間中に吸気枝管13が負圧になることにより水素噴射弁86から噴射される。分解器51には空気およびアンモニアが供給される。空気供給機は、この形態に限られず、触媒60に空気を供給可能に形成されていれば構わない。
【0041】
分解器51に接続されている流出管70は、冷却器85に接続されている。冷却器85は、分解器51から流出する高温の気体を冷却するように形成されている。本実施の形態における冷却器85には、機関冷却水が流入する。機関冷却水により分解器51から流出する気体が冷却される。
【0042】
アンモニア供給管61bの途中には、触媒60に供給する気体のアンモニアの流量を調整するための流量調整弁72が配置されている。また、流入管62の途中には、触媒60に供給する空気の流量を調整する流量調整弁73が配置されている。流量調整弁73は、流入管62において、アンモニア供給管61bが接続される位置よりも上流側に配置されている。
【0043】
本実施の形態における内燃機関は、分解器51にて生成された水素を燃焼室5に供給する水素供給機を備える。水素供給機は、機関吸気通路の内部に向かって水素を噴射する水素噴射弁86を含む。水素噴射弁86は、供給管90を介して冷却器85に接続されている。分解器51にて生成された水素は、矢印103に示すように、流出管70、冷却器85および供給管90を通って水素噴射弁86に供給される。
【0044】
本実施の形態における内燃機関は、燃焼室5にアンモニアを供給するアンモニア供給機を備える。本実施の形態におけるアンモニア供給機は、機関吸気通路の内部に向かってアンモニアを噴射するアンモニア噴射弁83を含む。アンモニア噴射弁83は、供給管89を介して、水素発生装置の蒸発器66に接続されている。蒸発器66で生成されたアンモニアの一部は、矢印106に示すように、供給管89を通ってアンモニア噴射弁83に供給される。また、本実施の形態におけるアンモニア供給機は、触媒60にて分解されなかったアンモニアを燃焼室5に供給する。触媒60にて分解されなかったアンモニアは、水素噴射弁86を介して燃焼室5に供給される。
【0045】
なお、本実施の形態における水素噴射弁86およびアンモニア噴射弁83は、機関吸気通路に燃料を噴射するように形成されているが、この形態に限られず、それぞれの噴射弁は、燃焼室5に燃料を供給できるように形成されていれば構わない。たとえば、それぞれの噴射弁は、燃焼室5に直接的に燃料を噴射するように配置されていても構わない。
【0046】
本実施の形態における内燃機関は、制御装置31を備える。本実施の形態における制御装置31は、デジタルコンピュータを含む。制御装置31には、エアフローメータ16の出力および水素発生装置に含まれる温度センサ等の信号が入力されている。制御装置31は、スロットル弁18を駆動するステップモータ17を制御している。また、制御装置31は、水素噴射弁86、アンモニア噴射弁83、および点火栓10を制御している。また、制御装置31は、ポンプ65、流量調整弁72,73を制御している。このように、制御装置31は、機関本体および水素発生装置に含まれる機器を制御している。
【0047】
本実施の形態の水素発生装置は、起動時には電気ヒータにより触媒60を昇温する。制御装置31は、ポンプ65を駆動し、流量調整弁72を開いた状態にする。液体のアンモニア40は、矢印100に示すように、蒸発器66に供給される。蒸発器66においては、液体のアンモニア40が気体に変化する。気体になったアンモニアは、アンモニア供給管61bを通って、矢印101に示すように流入管62の内部に供給される。
【0048】
一方で、制御装置31が流量調整弁73を開いた状態にすることにより、矢印102に示すように、触媒60に向かって空気が流入する。このように、本実施の形態における水素発生装置は、触媒60にアンモニアに加えて空気が供給される。
【0049】
触媒60に流入する気体には空気が含まれるために、触媒60の酸化触媒の作用により、供給された一部のアンモニアが酸化する。アンモニアは以下の式の通り酸化反応を生じる。
【0050】
NH
3+(3/4)O
2 → (1/2)N
2+(3/2)H
2O …(1)
【0051】
アンモニアの酸化は、発熱反応である。このため、触媒60が加熱される。酸化反応に用いられなかったアンモニアは、触媒60の分解触媒の作用により、分解反応を生じる。アンモニアは、窒素と水素とに改質される。アンモニアの分解反応は、以下の式に示すように生じる。
【0052】
NH
3 → (1/2)N
2+(3/2)H
2 …(2)
【0053】
アンモニアの分解反応は、所定の温度以上で生じる。また、アンモニアの分解反応は、吸熱反応である。本実施の形態の水素発生装置は、触媒60においてアンモニアの一部を酸化させて、その酸化熱を用いてアンモニアの分解を行なうことができる。触媒60から流出する分解ガスは、水素および窒素の他に水蒸気を含む。生成された分解ガスは、矢印103に示すように、流出管70から流出する。
【0054】
本実施の形態における水素供給装置は、触媒60に供給するアンモニアの流量を調整する装置と、触媒60に供給する空気の流量を調整する装置とを備える。本実施の形態における水素発生装置は、触媒60に供給するアンモニアの流量に対する空気の流量の割合を調整する流量調整装置を備える。
【0055】
本実施の形態における水素発生装置は、連続的にアンモニアの分解を行なっている運転期間中では、電気ヒータの通電を停止している。触媒60における酸化熱によりアンモニアの分解を行うことができる。分解器51において外部からの熱の供給を行なわずにアンモニアの分解を行なうことができる。
【0056】
本実施の形態においては、水素発生装置の分解器51にて生成された水素は、水素噴射弁86により吸気枝管13の内部に噴射される。水素発生装置の蒸発器66において形成された気体のアンモニアの一部は、アンモニア噴射弁83から吸気枝管13の内部に噴射される。水素とアンモニアとの混合気は、吸気ポート7を通って、燃焼室5に供給される。燃焼室5においては、燃料が燃焼して排気が生じる。
【0057】
本実施の形態における内燃機関の通常運転時のアンモニアの供給量および水素の供給量は、たとえば、内燃機関の回転数および要求負荷に基づいて定めることができる。内燃機関の回転数と要求負荷とを関数にするそれぞれの燃料の供給量のマップを予め作成し、このマップを制御装置31に記憶させておくことができる。
【0058】
本実施の形態においては、アクセルペダルの踏み込み量等から要求負荷を検出し、更にクランク角センサの出力等により機関回転数を検出する。制御装置31に記憶したマップにより、アンモニアの供給量および水素の供給量を設定することができる。制御装置31は、設定されたアンモニアの供給量および水素の供給量に基づいて、アンモニア噴射弁83および水素噴射弁86を制御することができる。触媒60から流出する気体のアンモニア濃度および水素濃度は、例えば、触媒60の出口にそれぞれの濃度を検出するセンサを配置することにより検出することができる。または、触媒60の温度および触媒60に供給する空気量およびアンモニア量に基づいて、マップ等により触媒60から流出する分解ガスのアンモニア濃度および水素濃度を推定しても構わない。
【0059】
機関排気通路に配置されているNO
X選択還元触媒は、還元剤を供給することによりNO
Xを選択的に還元することができる装置である。本実施の形態におけるNO
X選択還元触媒は、アンモニアを還元剤としてNO
Xを還元する。本実施の形態におけるNO
X選択還元触媒92は、鉄をイオン交換により担持したゼオライトを含む。
【0060】
本実施の形態における内燃機関は、理論空燃比(量論混合比)よりも希薄の混合気にて燃焼を行なうように形成されている。すなわち、燃焼時の空燃比がリーンになるように希薄燃焼を行なっている。燃焼室から流出する排気ガスには酸素が含まれている。NO
X選択還元触媒は、酸素の存在下において、アンモニアを還元剤としてNO
Xを窒素に還元することができる。NO
Xには、一酸化窒素や二酸化窒素が含まれる。還元反応において必要なアンモニアの量は、NO
Xに対してモル比で1対1である。NO
X選択還元触媒においてNO
Xが還元される時には、排気に含まれる酸素によりアンモニアの酸化が同時に生じる。このために、NO
X選択還元触媒に流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの割合は、1よりも大きくなる様に制御することが好ましい。
【0061】
NO
X選択還元触媒におけるNO
Xの浄化率およびアンモニアの浄化率は、NO
X選択還元触媒に流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比に依存する。本発明においては、NO
X選択還元触媒に流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比を流入濃度比と称する。
【0062】
図2に、本実施の形態におけるNO
X選択還元触媒の浄化率のグラフを示す。横軸は、流入濃度比rであり、排気に含まれるNO
Xに対するアンモニアのモル濃度の比率である。縦軸は浄化率であり、以下の式で示すことができる。
【0063】
(浄化率)=(NO
X選択還元触媒に流入する物質の濃度−NO
X選択還元触媒から流出する物質の濃度)/(NO
X選択還元触媒に流入する物質の濃度) …(3)
【0064】
アンモニアの浄化率は、流入濃度比r1以下の領域では、ほぼ一定の値を示す。本実施の形態においては、浄化率がほぼ100%になる。アンモニアの浄化率は、流入濃度比r1よりも大きな領域では流入濃度比が大きくなるほど減少する。これに対して、NO
Xの浄化率は、流入濃度比r2未満の領域では、流入濃度比が大きくなるほど増大する。また、NO
Xの浄化率は、流入濃度比r2以上の領域では、流入濃度比がほぼ100%になり、ほぼ一定になる。
【0065】
NO
X選択還元触媒においては、NO
Xおよびアンモニアの両方ともに高い浄化率を示す高浄化率範囲を定めることができる。本実施の形態においては、NO
Xの浄化率がほぼ最大になり、更にアンモニアの浄化率がほぼ最大になる流入濃度比の範囲を高浄化率範囲に設定している。
図2に示す例においては、流入濃度比r1以上流入濃度比r2以下の範囲を高浄化率範囲に設定している。
【0066】
高浄化率範囲としては、この形態に限られず、NO
Xの浄化率とアンモニアの浄化率とが互いに交差する流入濃度比r3の近傍の範囲を定めることができる。たとえば、流入濃度比r3に対して予め定められた幅を有する範囲を高浄化率範囲に設定することができる。本実施の形態におけるNO
X選択還元触媒の流入濃度比r3としては、1以上1.6以下を例示することができる。たとえば、流入濃度比r3が1.3であり、片側の幅を0.05に設定した場合には、高浄化率範囲を1.25以上1.35以下の範囲に設定することができる。
【0067】
流入濃度比が高浄化率範囲よりも小さい場合には、排気中のアンモニアが、十分に酸化されて水と窒素とに分解される。ところが、NO
Xの還元を十分に行うことができない虞が生じる。流入濃度比が高浄化率範囲よりも大きい場合には、排気中のNO
Xの還元を十分に行うことができるが、アンモニアが十分に酸化されずに排出される虞が生じる。本実施の形態の内燃機関は、運転期間中にアンモニアの浄化率とNO
Xの浄化率とが共に高くなるように、流入濃度比を高浄化率範囲内に維持する制御を行う。
【0068】
図3に、本実施の形態における内燃機関の運転制御のフローチャートを示す。
図3に示す運転制御は、たとえば、予め定められた時間間隔にて繰り返して行なうことができる。本実施の形態の内燃機関においては、流入濃度比が、予め定められた判定範囲から逸脱した場合には、この判定範囲内に戻るように、流入濃度比を調整する流入濃度比調整制御を行う。
【0069】
ステップ111においては、NO
X選択還元触媒92に流入する排気のNO
X濃度およびアンモニア濃度を検出する。それぞれの濃度は、NO
X選択還元触媒92の上流側に配置されているNO
Xセンサ94またはアンモニアセンサ95にて検出することができる。
【0070】
次に、ステップ112においては、排気のアンモニア濃度およびNO
X濃度を用いて、排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比である流入濃度比r(NH
3/NO
X)を算出する。
【0071】
次に、ステップ113においては、流入濃度比rが予め定められた低比率判定値よりも小さいか否かを判別する。予め定められた低比率判定値としては、
図2を参照して、例えば、高浄化率範囲の低比率側の境界値である流入濃度比r1に余裕分を加算した比率を採用することができる。
【0072】
ステップ113において、流入濃度比rが低比率判定値未満の場合には、排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比が低いために、NO
Xの浄化率が低くなる虞がある。この場合には、ステップ114に移行する。
【0073】
ステップ114においては、流入濃度比rを上昇させる流入濃度比調整制御を行う。流入濃度比調整制御については後述する。ステップ114における排気の流入濃度比rの増加量は、たとえば、予め定められた増加量を採用することができる。ステップ114が終了したらステップ111に戻る。
【0074】
ステップ113において、排気の流入濃度比rが低比率判定値以上の場合には、ステップ115に移行する。
【0075】
ステップ115においては、流入濃度比rが予め定められた高比率判定値よりも大きいか否かを判別する。予め定められた高比率判定値としては、
図2を参照して、例えば、高浄化率範囲の高比率側の境界値である流入濃度比r2に余裕分を減算した比率を採用することができる。
【0076】
ステップ115において、流入濃度比rが高比率判定値よりも大きい場合には、排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比が高いために、アンモニアの浄化率が低くなる虞がある。この場合には、ステップ116に移行する。
【0077】
ステップ116においては、流入濃度比rを低下させる流入濃度比調整制御を行う。ステップ116における排気の流入濃度比rの減少量は、たとえば、予め定められた減少量を採用することができる。ステップ116が終了したらステップ111に戻る。
【0078】
ステップ115において、流入濃度比rが高比率判定値以下の場合には、この制御を終了する。この場合には、流入濃度比rが高浄化率範囲内であると判別することができる。NO
Xおよびアンモニアが共に高い浄化率で浄化されていると判別することができる。
【0079】
このように、本実施の形態の運転制御においては、NO
X選択還元触媒に流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比が、高浄化率範囲から逸脱する虞があると判別された場合に、流入濃度比が高浄化率範囲内に維持されるように制御する。この制御を行うことにより、NO
Xおよびアンモニアを高い浄化率にて浄化を継続することができる。すなわち、優れた浄化性能を継続することができる。また、NO
Xを浄化する装置として、NO
X選択還元触媒を採用することにより、三元触媒等で必要な白金やパラジウム等の貴重な貴金属の使用を抑制することができる。なお、本実施の形態におけるNO
X選択還元触媒は、貴金属の触媒粒子を含んでいないが、この形態に限られず、貴金属の触媒粒子を担持していても構わない。たとえば、アンモニアの酸化機能を向上させるために、貴金属の触媒粒子が担持されていても構わない。
【0080】
また、NO
Xを浄化する装置としてNO
X選択還元触媒を採用することにより、燃焼室において燃焼時の空燃比がリーンになるように燃焼を行なうことができる。たとえば、排気浄化装置に三元触媒を配置した場合に、燃焼室において希薄燃焼を行なうと排気の浄化率が低下する。特に、希薄燃焼を行なった場合には、NO
Xの浄化率が低下する。三元触媒を配置した場合には、燃焼時の空燃比がほぼ理論空燃比(当量比が1)になるように制御することが好ましい。これに対して、本実施の形態におけるNO
X選択還元触媒においては、希薄燃焼を行なった場合にも高いNO
Xの浄化率を達成できることができる。このために、理論空燃比にて燃焼を行なう場合に比べて、内燃機関の熱効率の向上を図ることができる。
【0081】
本実施の形態においては、流入濃度比rが低比率判定値よりも低いか否かを判別した後に、流入濃度比rが高比率判定値よりも高いか否かを判別しているが、この形態に限られず、流入濃度比rが予め定められた低比率判定値から高比率判定値までの範囲内に存在するか否かを判別すれば構わない。流入濃度比rが上記の判定範囲から逸脱していれば、流入濃度比rが上記の判定範囲内に戻るように流入濃度比を調整すれば構わない。たとえば、本実施の形態におけるステップ113,114とステップ115,116との順序が逆でも構わない。
【0082】
本実施の形態においては、高浄化率範囲内に判定範囲を設けているが、この形態に限られず、高浄化率範囲を判定範囲と等しく設定しても構わない。たとえば、
図2を参照して、低比率判定値を流入濃度比r1に設定し、高比率判定値を流入濃度比r2に設定しても構わない。
【0083】
次に、本実施の形態におけるNO
X選択還元触媒に流入するNO
Xに対するアンモニアの濃度比を変更する流入濃度比調整制御について説明する。本実施の形態における内燃機関は、燃料にアンモニアが含まれている。燃焼室に供給されたアンモニアの少なくとも一部を未燃の状態にして燃焼室から排出されるように制御することにより、未燃のアンモニアをNO
X選択還元触媒に供給することができる。すなわち、内燃機関の運転状態を制御することにより、NO
X選択還元触媒に還元剤としてのアンモニアを供給することができる。
【0084】
たとえば、ガソリン等を燃料にする内燃機関においては、NO
X選択還元触媒に還元剤としてのアンモニアを供給するために、機関排気通路内に尿素水を噴射する尿素噴射弁を配置している。機関排気通路内に供給された尿素水は排気の熱により加水分解される。尿素水の加水分解によりアンモニアが生成される。生成されたアンモニアは、NO
X選択還元触媒に供給される。このような内燃機関においては、機関排気通路に尿素水を供給するために尿素噴射弁や尿素タンクなどの装置が必要であった。これに対して、本実施の形態の内燃機関においては、運転状態を変化させてNO
X選択還元触媒にアンモニアを供給することができる。
【0085】
本実施の形態の第1の流入濃度比調整制御においては、燃焼室にて燃焼するときの空燃比を調整することにより、燃焼室から流出する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比を調整し、NO
X選択還元触媒に流入する排気の濃度比を調整することができる。
【0086】
本実施の形態における内燃機関では、燃焼時の空燃比がリーンの状態で燃焼を行なっている。特に、本実施の形態においては、希薄燃焼により燃料の燃焼を行なっている。燃焼時の空燃比を低下させる(混合気の当量比を大きくする)ことにより、排気に含まれる未燃のアンモニア濃度が増加する。一方で、NO
Xはアンモニアの燃焼過程の途中で生成されるために、燃焼時の空燃比を理論空燃比に近づけても、燃焼室から排出されるNO
Xは大きく変化しない。このために、燃焼時の空燃比を低下させることにより、燃焼室から流出する排気の濃度比(NH
3/NO
X)を上昇させることができる。また、燃焼時の空燃比を上昇させる(混合気の当量比を小さくする)ことにより燃焼室から流出する排気の濃度比(NH
3/NO
X)を低下させることができる。
【0087】
燃焼時の空燃比は、燃焼室に供給する燃料の量や空気の量を変更することにより調整することができる。本実施の形態の空燃比の調整においては、混合気の水素とアンモニアとの混合比率をほぼ一定に維持しながら、燃料に対する空気の割合を変更している。たとえば、燃焼室に供給するアンモニアの量および水素の量を変更せずに、空気の量を少なくすることにより燃焼時の空燃比を小さくすることができる。または、燃焼室に供給する空気量を一定に維持した状態で、水素とアンモニアとの混合比率を一定に維持しながら燃焼室に供給する燃料の量を増加することにより空燃比を小さくすることができる。
【0088】
次に、本実施の形態の第2の流入濃度比調整制御について説明する。本実施の形態における第2の流入濃度比調整制御においては、燃焼室に供給する燃料に含まれるアンモニアに対する水素の割合を変化させることにより、燃焼室から流出する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比を調整することができる。
【0089】
水素は、アンモニアよりも燃焼性に優れているために、アンモニアの燃焼を促進させる機能を有する。燃焼室に供給する燃料の水素に対するアンモニアの割合を増加させると、燃焼室における燃焼が緩慢になる。燃料の助燃材として機能する水素の割合が減少することにより、燃焼室における燃焼速度が遅くなる。このために、燃焼室において燃焼せずに残存する未燃のアンモニアが多くなる。一方で、燃焼室から排出される排気に含まれるNO
Xの量が減少するために、流入濃度比を上昇させることができる。
【0090】
本実施の形態の第2の流入濃度比調整制御においては、
図1を参照して、水素噴射弁86からの燃料の供給量およびアンモニア噴射弁83からの燃料の供給量のうち、少なくとも一方の供給量を調整することにより、燃焼室に供給するアンモニアに対する水素の割合を調整することができる。たとえば、水素噴射弁86から噴射する燃料の量を減少させて、アンモニア噴射弁83から噴射する燃料の量を増加させることにより、流入濃度比を上昇させることができる。
【0091】
また、第2の流入濃度比調整制御においては、水素噴射弁86に供給する気体のアンモニアに対する水素の割合を調整することにより、燃焼室に供給する燃料に含まれるアンモニアに対する水素の割合を調整することができる。本実施の形態の水素発生装置においては、触媒60にてアンモニアを分解することにより水素を生成している。分解器51から流出する気体には、水素の他に分解されなかったアンモニアが含まれる。触媒60から流出する気体のアンモニア濃度および水素濃度は、触媒60に供給するアンモニアに対する空気の割合を変更することにより調整することができる。
【0092】
図4に、本実施の形態の分解器に供給する気体のアンモニアに対する酸素のモル比と、分解器から流出する気体の水素濃度との関係を説明するグラフを示す。
図4においては、空気のモル比の代わりに酸素のモル比にて示している。この試験においては、空間速度を速度V1から速度V4まで変更して複数回の試験を行なっている。アンモニアに対する酸素のモル比を零の近傍から徐々に上昇させると、生成される気体の水素濃度が上昇することが分かる。モル比Rmaxでは水素濃度が最大になる。モル比Rmaxよりも大きな領域では、モル比が大きくなるほど水素濃度が減少している。
【0093】
図5に、本実施の形態の分解器に供給する気体のアンモニアに対する酸素のモル比と、分解器から流出する気体のアンモニア濃度との関係を説明するグラフを示す。縦軸は、分解器において分解されずに流出したアンモニア濃度である。アンモニアに対する酸素のモル比を上昇していくと、分解器から流出するアンモニア濃度が減少することが分かる。アンモニアに対する酸素のモル比が略0.2において、分解器から流出する気体のアンモニア濃度が零になることが分かる。すなわち、分解器に供給されるアンモニアが略全て消費されていることが分かる。
【0094】
図4および
図5を参照して、アンモニアに対する酸素のモル比が小さな領域においては、アンモニアの分解を行なうための熱量が不足している。アンモニアに対する酸素のモル比を上昇させていくと、触媒の温度が上昇する。このために、分解器から流出する気体の水素濃度が上昇するとともに、分解器から流出する気体のアンモニア濃度が減少する。
【0095】
ところが、アンモニアに対する酸素のモル比が略0.2を超えると、供給されたアンモニアの全てが消費される。更に、生成された水素が酸化反応で消費される。このために、アンモニアに対する酸素のモル比を上昇させていくと、生成される気体の水素濃度が減少する。このように、分解器に供給するアンモニアに対する酸素のモル比を変更することにより、水素発生装置から流出する気体に含まれる水素濃度およびアンモニア濃度を調整することができる。また、
図4および
図5のグラフにより、触媒に流入する気体の空間速度を変更しても生成される気体の水素濃度およびアンモニア濃度が、ほぼ同じであることが分かる。
【0096】
本実施の形態の内燃機関の分解器においては、アンモニアに対する酸素のモル比がRmax以下の領域にて運転を行っている。分解触媒に供給するアンモニアに対する空気の割合を調整することにより、水素噴射弁に供給するアンモニアに対する水素の割合を調整することができる。たとえば、本実施の形態の運転領域において、触媒に供給するアンモニアに対する空気の割合を低下させることにより、水素噴射弁から噴射される気体のアンモニアに対する水素の割合を低下させることができる。この結果、燃焼室に供給するアンモニアに対する水素の割合を低下させることができる。一方で、触媒に供給するアンモニアに対する空気の割合を上昇させることにより、水素噴射弁から噴射される気体のアンモニアに対する水素の割合を上昇させることができる。
【0097】
次に、本実施の形態の第3の流入濃度比調整制御について説明する。第3の流入濃度比調整制御においては、燃焼室における点火時期を調整することにより、燃焼室から流出する排気の濃度比(NH
3/NO
X)を調整する。
【0098】
内燃機関は、出力されるトルクが最大になる点火時期として、MBT(Minimum Advance for Best Torque)の点火時期を有する。ガソリンを燃料にする内燃機関においては、特に高負荷時に、MBTの点火時期の近傍において点火するとノッキング等の異常燃焼が発現するために、MBTの点火時期よりも遅角側で点火している。ところが、アンモニアを燃料にする内燃機関においては、ガソリンのみを燃料にする内燃機関よりもノッキング等の異常燃焼が発現しにくいために、MBTの点火時期の近傍にて点火を行うことができる。本実施の形態においては、通常運転の期間中にMBTの点火時期の近傍にて点火を行っている。
【0099】
ところで、比較例としてのガソリンのみを燃料にする内燃機関においては、燃焼時に高温になり、空気に含まれる窒素成分からNO
Xが生じる。ところが、アンモニアを燃料にする内燃機関においては、燃料に窒素成分が含まれており、排気に含まれるNO
Xは主にアンモニアの燃焼過程において生じる。このために、アンモニアを燃料にする内燃機関は、ガソリンを燃料にする内燃機関に比べて、排気に含まれるNO
X量が燃焼温度の影響を受けにくいという特性を有する。アンモニアを燃料にする内燃機関では、点火時期を変更した場合においても、燃焼室から流出するNO
Xの量への影響は小さい。一方で、点火時期を変更すると未燃のアンモニア量に影響を与える。たとえば、点火時期を遅角すると後燃えの期間が長くなって未燃のアンモニアの量が減少する。更に、点火時期を遅角すると、排気温度が上昇し、排気ポート内での未燃のアンモニアの酸化が促進される。このために、排気に含まれるアンモニアの量が減少する。
【0100】
第3の流入濃度比調整制御においては、点火時期を遅角することにより、未燃のアンモニア量が減少し、流入濃度比を低下させることができる。または、点火時期を進角することにより、流入濃度比を上昇させることができる。
【0101】
次に、本実施の形態の第4の流入濃度比調整制御について説明する。第4の流入濃度比調整制御においては、機関排気通路に還元剤を供給する還元剤供給弁を配置し、還元剤供給弁からの還元剤の供給量を調整することにより、流入濃度比r(NH
3/NO
X)を調整する。機関排気通路に供給する還元剤としては、尿素やアンモニアを例示することができる。
【0102】
たとえば、機関排気通路に供給する還元剤の量を増加させることにより、流入濃度比を上昇させることができる。また、機関排気通路に供給する還元剤の量を減少することにより、流入濃度比を低下させることができる。
【0103】
機関排気通路に還元剤供給弁を配置した場合には、NO
X選択還元触媒をすり抜けるアンモニアの量が多くなった時には、還元剤供給弁からの還元剤の供給を停止する制御を行うことが好ましい。たとえば、NO
X選択還元触媒の下流の機関排気通路にアンモニアセンサを配置することができる。アンモニアセンサにより検出したアンモニア濃度が予め定められた判定値を超えた場合には、還元剤の供給を停止する制御を行うことが好ましい。
【0104】
流入濃度比を調整する流入濃度比調整制御としては、上記の制御に限られず、NO
X選択還元触媒に流入する排気に含まれるNO
Xに対するアンモニアの濃度比を調整する任意の装置を配置し、任意の制御を行なうことができる。
【0105】
上記の水素発生装置の分解器は、アンモニアを分解するための分解触媒に加えて、アンモニアを酸化するための酸化触媒を含むが、この形態に限られず、酸化触媒を含まずに分解触媒を含む分解器を備える内燃機関に本発明を適用することができる。この場合には、分解触媒の外部の加熱器等により、アンモニアの分解を継続するための熱を分解触媒に供給することができる。
【0106】
本実施の形態においては、NO
X選択還元触媒の上流側に配置したNO
Xセンサの出力およびアンモニアセンサの出力により、流入濃度比を推定しているが、この形態に限られず、任意の装置により流入濃度比を推定することができる。たとえば、NO
X選択還元触媒の下流にNO
Xセンサおよびアンモニアセンサを配置しても構わない。この場合には、NO
X選択還元触媒から流出する排気のNO
X濃度およびアンモニア濃度のうち少なくとも一方を検出し、検出したNO
X濃度およびアンモニア濃度のうち少なくとも一方の濃度に基づいて、流入濃度比を推定することができる。検出したNO
X濃度またはアンモニア濃度が予め定められた判定値よりも高ければ、流入濃度比rが予め定められた判定範囲外であると判別することができる。
【0107】
図2を参照して、NO
X選択還元触媒から流出するアンモニア濃度が予め定められた判定値よりも高い場合には、アンモニアの浄化率が低いと判別することができる。すなわち、流入濃度比が予め定められた高比率判定値よりも大きいと判別することができる。この場合には、流入濃度比rを低下させる制御を行うことができる。NO
X選択還元触媒から流出するNO
X濃度が予め定められた判定値よりも高い場合には、NO
Xの浄化率が低いと判別することができる。すなわち、流入濃度比が予め定められた低比率判定値よりも小さいと判別することができる。この場合には、流入濃度比rを上昇させる制御を行うことができる。
【0108】
または、NO
X選択還元触媒の上流の機関排気通路およびNO
X選択還元触媒の下流の機関排気通路の両方にNO
Xセンサを配置することができる。NO
X選択還元触媒に流入する排気のNO
X濃度およびNO
X選択還元触媒から流出する排気のNO
X濃度に基づいて、NO
Xの浄化率を算出しても構わない。アンモニアの浄化率についても同様に、NO
X選択還元触媒の上流側および下流側のそれぞれにアンモニアセンサを配置して、アンモニアの浄化率を算出しても構わない。それぞれの物質の浄化率に基づいて、流入濃度比が予め定められた判定範囲内か否かを判別することができる。
【0109】
図6に、本実施の形態における他の内燃機関の概略図を示す。本実施の形態における他の内燃機関は、アンモニアを分解するための分解器51を含む。分解器51の触媒60は、アンモニアを酸化するための触媒粒子は含まれておらず、分解触媒から構成されている。他の内燃機関においては、分解器51は、触媒60が排気ガスの熱により加熱されるように形成されている。
【0110】
排気マニホールド19は、排気管24を介して分解器51に接続されている。分解器51は、排気の熱を触媒60に伝達できるように形成されている。排気と触媒60とが熱交換することによりアンモニアの分解の継続に必要な熱が供給される。
【0111】
分解器51の触媒60には、アンモニア供給管61bにより気化したアンモニアが供給される。分解器51においては、アンモニアの少なくとも一部が分解される。触媒60にて生成された水素および触媒60にて分解されなかったアンモニアは、矢印103に示すように、冷却器85を通って水素噴射弁86に供給される。
【0112】
分解器51は、排気管22を介してNO
X選択還元触媒92に接続されている。NO
X選択還元触媒92は、排気管22に接続されている。NO
X選択還元触媒92の下流には、NO
X選択還元触媒92から流出するNO
Xの濃度を検出するNO
Xセンサ94と、NO
X選択還元触媒92から流出するアンモニアの濃度を検出するアンモニアセンサ95とが配置されている。
【0113】
本実施の形態における他の内燃機関では、NO
X選択還元触媒92から流出する気体のNO
X濃度をNO
Xセンサ94により検出する。また、NO
X選択還元触媒92から流出する気体のアンモニア濃度をアンモニアセンサ95により検出する。NO
X選択還元触媒92から流出する気体のアンモニア濃度の判定値およびNO
X濃度の判定値を予め定めておくことができる。アンモニア濃度の判定値またはNO
X濃度の判定値と、それぞれの濃度の検出値とを比較することにより、流入濃度比が、予め定められた判定範囲か否かを判別することができる。
【0114】
流入濃度比が予め定められた判定範囲を逸脱した場合には、流入濃度比調整制御を行うことができる。他の内燃機関においても、上記の流入濃度比調整制御を行うことができる。例えば、上記の第2の流入濃度比調整制御を行う場合には、アンモニア噴射弁83からのアンモニアの供給量および水素噴射弁86からの水素の供給量を調整することにより、燃焼室に供給するアンモニアに対する水素の割合を変化させることができる。
【0115】
ところで、NO
X選択還元触媒のNO
Xの浄化率およびアンモニアの浄化率は、NO
X選択還元触媒の種類等に依存する。NO
Xの浄化率およびアンモニアの浄化率が高くなる高浄化率範囲を定める場合には、機関排気通路に配置するNO
X選択還元触媒の種類等に応じて設定することができる。
【0116】
図7に、本実施の形態における他のNO
X選択還元触媒の浄化率のグラフを示す。他のNO
X選択還元触媒は、銅をイオン交換により担持したゼオライトを含む。他のNO
X選択還元触媒は、流入濃度比r3において、NO
Xの浄化率が最大になる特性を有する。アンモニアの浄化率は、所定の流入濃度比以下の領域では、ほぼ一定の値であるが、所定の流入濃度比よりも大きくなると徐々に減少する特性を有する。
【0117】
本実施の形態の他のNO
X選択還元触媒においては、流入濃度比r3の近傍にNO
Xおよびアンモニアの両方の浄化率がほぼ最大になる高浄化率範囲を設定することができる。流入濃度比r3から予め定められた幅を加算または減算して流入濃度比r1および流入濃度比r2を設定することができる。流入濃度比r1以上流入濃度比r2以下の範囲を高浄化率範囲に設定することができる。
【0118】
更に、NO
X選択還元触媒としては、上述の鉄を担持したゼオライト含むNO
X選択還元触媒、または銅を担持したゼオライトを含むNO
X選択還元触媒に限られず、NO
Xを選択的に還元可能な任意のNO
X選択還元触媒を含むことができる。
【0119】
本実施の形態における水素発生装置は、液体の原料を気化した後に分解触媒に供給しているが、この形態に限られず、気体の燃料を貯蔵しておいて、気体の燃料を分解触媒に供給しても構わない。
【0120】
(実施の形態2)
図8および
図9を参照して、実施の形態2における内燃機関について説明する。本実施の形態における内燃機関は、NO
X選択還元触媒に流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比を周期的に変動させる制御を行う。
【0121】
本実施の形態においては、アンモニアの分解機能および酸化機能を有する触媒と、鉄をイオン交換により担持したゼオライトを含むNO
X選択還元触媒とを備える内燃機関(
図1参照)を例に取り上げて説明する。本実施の形態におけるNO
X選択還元触媒は、アンモニアの吸着機能を有する。アンモニアの吸着機能を有するNO
X選択還元触媒としては、鉄をイオン交換に担持したゼオライトに限られず、例えば遷移金属を担持したゼオライトを例示することができる。
【0122】
本実施の形態におけるNO
X選択還元触媒は、アンモニアの吸着能力を有するために、NO
Xの浄化に必要なアンモニアよりも多い量のアンモニアが流入した場合には、過剰なアンモニアを吸着することができる。また、NO
Xの浄化に必要なアンモニアよりも少ない量のアンモニアが流入した場合には、吸着したアンモニアによりNO
Xの浄化を行うことができる。
【0123】
NO
X選択還元触媒において、アンモニアの吸着量が不足した状態で、NO
Xの浄化に必要なアンモニアよりも少ない量のアンモニアが流入した場合には、十分にNO
Xを浄化できなくなる。一方で、アンモニアの吸着量が多くなると、アンモニアの吸着可能量が減少して、アンモニアがNO
X選択還元触媒をすり抜ける場合がある。
【0124】
本実施の形態の内燃機関においては、流入濃度比が基準濃度比よりも大きくなる範囲で維持する制御と、流入濃度比が基準濃度比よりも小さくなる範囲で維持する制御とを繰り返し行なう。本発明においては、NO
X選択還元触媒に流入するNO
Xの全てを浄化する流入濃度比を基準濃度比と称する。すなわち、基準濃度比は、NO
X選択還元触媒において、NO
Xを浄化するときに過不足なくアンモニアが消費されるときのNO
Xに対するアンモニアの濃度比である。基準濃度比は、予め定めておくことができる。
図2を参照して、本実施の形態においては、流入濃度比r3が基準濃度比に対応している。
【0125】
更に、本実施の形態においては、NO
X選択還元触媒のアンモニアの吸着量を推定し、推定したアンモニアの吸着量に基づいて、流入濃度比を変化させる流入濃度比調整制御を行う。
【0126】
NO
X選択還元触媒のアンモニア吸着量Iが下限判定値ID
lowよりも低ければ、流入濃度比を上昇させる制御を行うことができる。下限判定値ID
lowは、予め定めておくことができる。たとえば、下限判定値ID
lowは、零に余裕分を加算した値を採用することができる。アンモニア吸着量Iが上限判定値ID
highよりも高ければ、流入濃度比を低下させる制御を行うことができる。上限判定値ID
highは、予め定めておくことができる。上限判定値ID
highは、たとえば、NO
X選択還元触媒のアンモニアの飽和吸着量(NO
X選択還元触媒が吸着可能なアンモニアの最大量I
max)から余裕分を減算した値を採用することができる。
【0127】
流入濃度比rの調整は、実施の形態1と同様に、任意の流入濃度比調整制御を行うことができる。たとえば、燃焼室にて燃焼する混合気の空燃比を調整する制御、燃焼室に供給するアンモニアに対する水素の割合を調整する制御、または、機関排気通路に直接的に供給するアンモニア量を調整する制御などの制御により行うことができる。
【0128】
図8に、本実施の形態における内燃機関の運転制御のタイムチャートを示す。この運転例においては、時刻t1において、アンモニアの吸着量Iが下限判定値ID
low未満になっている。このため、時刻t1以降において流入濃度比rを上昇させる制御を行っている。NO
Xとアンモニアとが過不足なく反応する流入濃度比r3よりも大きくなるように、流入濃度比rを上昇させている。本実施の形態においては、予め定められた流入濃度比r5まで上昇させている。
【0129】
流入濃度比rが流入濃度比r5に到達した後には、流入濃度比rを流入濃度比r5に維持する制御を行っている。NO
X選択還元触媒に流入する排気に含まれるアンモニアの量は過剰になる。NO
Xの還元に使用されずに、更に酸化もされなかったアンモニアは、NO
X選択還元触媒に吸着される。NO
X選択還元触媒のアンモニアの吸着量Iが増加する。
【0130】
時刻t2において、アンモニアの吸着量Iが上限判定値ID
highよりも大きくなっている。本実施の形態における上限判定値ID
highは、NO
X選択還元触媒のアンモニアの吸着量の最大量I
maxよりも小さな値を採用している。時刻t2以降においては、流入濃度比rを低下させる制御を行っている。流入濃度比rをNO
Xとアンモニアとが過不足なく反応する流入濃度比r3未満に低下させている。本実施の形態においては、流入濃度比r4まで低下させている。流入濃度比r4に到達した後には、流入濃度比r4にて維持する制御を行っている。NO
X選択還元触媒に流入する排気に含まれるアンモニアの量は不足する。NO
Xは、NO
X選択還元触媒に吸着されていたアンモニアにより浄化される。NO
X選択還元触媒のアンモニアの吸着量Iが減少する。
【0131】
時刻t3においては、NO
X選択還元触媒のアンモニアの吸着量Iが下限判定値ID
low未満になり、流入濃度比rを上昇させている。時刻t4においては、アンモニアの吸着量Iが上限判定値ID
highよりも大きくなり、流入濃度比rを低下させている。
【0132】
このように、周期的に流入濃度比rを変化させることにより、NO
X選択還元触媒に流入するNO
Xを浄化することができる。また、NO
X選択還元触媒から流出するアンモニアを抑制することができる。
【0133】
図2および
図8を参照して、本実施の形態の内燃機関においては、流入濃度比rは、高浄化率範囲内にて変化させることが好ましい。
図2に示す例においては、流入濃度比rが、流入濃度比r1以上流入濃度比r2以下の範囲内で変化させることが好ましい。
【0134】
または、流入濃度比rは、高浄化率範囲を跨いで変化させることが好ましい。すなわち、流入濃度比rを高く維持する場合には、濃度比r2よりも高い値にて維持することが好ましい。たとえば、流入濃度比r5まで上昇させることが好ましい。流入濃度比rを低く維持する場合には、濃度比r1よりも低い値にて維持することが好ましい。たとえば、流入濃度比r4まで低下させることが好ましい。このように、高浄化率範囲を横断して流入濃度比を変化させる制御を行うことにより、高浄化率範囲または高浄化率範囲の近傍にて排気を浄化することができて、効率よくNO
Xおよびアンモニアを浄化することができる。
【0135】
図9に、本実施の形態における運転制御のフローチャートを示す。
図9に示す制御は、たとえば、予め定められた時間間隔ごとに繰り返して行うことができる。
【0136】
ステップ121においては、NO
X選択還元触媒92に流入するNO
X濃度およびアンモニア濃度を検出する。それぞれの濃度は、NO
X選択還元触媒92の上流側に配置されているNO
Xセンサ94またはアンモニアセンサ95にて検出することができる。
【0137】
次に、ステップ122においては、検出したアンモニア濃度およびNO
X濃度に基づいて、NO
X選択還元触媒92に流入する排気のNO
Xに対するアンモニアの濃度比である流入濃度比r(NH
3/NO
X)を算出する。
【0138】
次に、ステップ123においては、NO
X選択還元触媒におけるアンモニアの吸着量Iを算出する。本実施の形態におけるアンモニアの吸着量の算出においては、次の式(4)にて算出することができる。
【数1】
【0139】
ここで、変数I
iは、今回の計算において算出されたアンモニアの吸着量であり、変数I
i-1は前回の計算において算出されたアンモニアの吸着量である。変数t
iは、今回の計算を行なった時刻であり、変数t
i-1は前回の計算を行なった時刻である。変数maは、吸入空気流量である。変数y
noxは、NO
X選択還元触媒に流入する排気のNO
X濃度である。定数r3は、NO
Xおよびアンモニアが過不足無く反応するための流入濃度比である。変数rは、今回の計算における流入濃度比である。ここで、変数ma・y
nox(r−r3)は、NO
X選択還元触媒に流入したアンモニアの過剰量または不足量を示す。また、本実施の形態のアンモニアの吸着量I
iの算出においては、NO
X選択還元触媒に流入する排気流量を用いずに、近似的に吸入空気流量を用いている。
【0140】
上記の式(4)のアンモニアの吸着量の算出においては、いずれかの時期に基準となるアンモニアの吸着量I
bを推定し、基準となるアンモニアの吸着量I
bをアンモニアの吸着量I
i-1に代入して計算を開始することができる。例えば、内燃機関を始動した直後において、予め定められた時間の間、NO
X選択還元触媒に供給するアンモニアの量が不足する状態を維持して、NO
X選択還元触媒におけるアンモニアの吸着量を零にする制御を行うことができる。アンモニアの吸着量I
i-1を零に設定することができて、この時刻を基準にしてアンモニアの吸着量の計算を開始することができる。または、NO
X選択還元触媒にアンモニアを吸着させて、NO
X選択還元触媒からアンモニアが流出したときに、アンモニアの吸着量I
i-1をNO
X選択還元触媒の飽和吸着量(NO
X選択還元触媒が吸着可能なアンモニアの最大量I
max)に設定することができる。
【0141】
アンモニアの吸着量の算出においては、この形態に限られずに、アンモニアの吸着量の推定が可能な任意の制御を採用することができる。
【0142】
次に、ステップ124においては、算出したアンモニアの吸着量Iがアンモニアの吸着量の上限判定値ID
highよりも大きいか否かを判別する。ステップ124において、アンモニアの吸着量Iが上限判定値ID
highよりも大きい場合には、ステップ125に移行する。
【0143】
ステップ125においては、流入濃度比rを低下させる制御を行う。本実施の形態においては、予め定められた流入濃度比r4まで低下させている。流入濃度比rが流入濃度比r4まで低下したら、流入濃度比r4に維持する制御を行っている。流入濃度比rの低下量については、この形態に限られず、NO
X選択還元触媒に供給するアンモニアが不足する量まで低下させれば構わない。
【0144】
ステップ124において、アンモニアの吸着量Iがアンモニアの吸着量の上限判定値ID
high以下である場合には、ステップ126に移行する。
【0145】
ステップ126においては、算出したアンモニアの吸着量Iがアンモニアの吸着量の下限判定値ID
lowよりも小さいか否かを判別する。ステップ126において、アンモニアの吸着量Iが下限判定値ID
lowよりも小さい場合には、ステップ127に移行する。
【0146】
ステップ127においては、流入濃度比rを上昇させる制御を行う。本実施の形態においては、予め定められた流入濃度比r5まで上昇させている。流入濃度比rが流入濃度比r5まで上昇したら、流入濃度比r5に維持する制御を行っている。流入濃度比rの上昇量については、この形態に限られず、NO
X選択還元触媒に供給するアンモニアが過剰になる量まで増加させれば構わない。
【0147】
ステップ126において、アンモニアの吸着量Iが下限判定値ID
low以上の場合には、今回の制御を終了する。
【0148】
本実施の形態の内燃機関においても、NO
X選択還元触媒においてNO
Xおよびアンモニアを高浄化率にて浄化することができる。本実施の形態においては、NO
X選択還元触媒のアンモニアの吸着量を検出し、検出した吸着量に基づいて流入濃度比調整制御を行っているが、この形態に限られず、NO
X選択還元触媒におけるアンモニアの吸着量を推定しなくても構わない。たとえば、予め定められた時間間隔ごとに、流入濃度比が基準濃度比よりも大きくなる範囲で維持する制御と、流入濃度比が基準濃度比よりも小さくなる範囲で維持する制御とを繰り返し行なっても構わない。
【0149】
その他の構成、作用および効果については、実施の形態1と同様であるので、ここでは説明を繰り返さない。
【0150】
上述の制御においては、適宜ステップの順序を替えたり、同時に複数のステップを行なったりすることができる。また、上述の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相当する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。実施の形態においては、特許請求の範囲に示される変更が含まれている。