特許第6221807号(P6221807)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6221807-LED点灯回路と、それを用いた充電器 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221807
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】LED点灯回路と、それを用いた充電器
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20171023BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   H01L33/00 J
   H05B37/02 H
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-26738(P2014-26738)
(22)【出願日】2014年2月14日
(65)【公開番号】特開2015-153908(P2015-153908A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(72)【発明者】
【氏名】尾川原 博史
【審査官】 吉野 三寛
(56)【参考文献】
【文献】 実開平2−58354(JP,U)
【文献】 実開平4−44687(JP,U)
【文献】 特開2004−253310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
H05B 37/00−39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDの発光色によって状態を示す充電器に用いられるLED点灯回路において、
それぞれ異なる色を発光する少なくとも2つのLEDと、
充電中に閉じて回路を接地し、充電完了時に開いて回路を開放するオープンドレイン型の制御ポートを有し、該制御ポートの開閉により前記2つのLEDの点灯を制御する制御用ICと、
前記制御用ICにより制御されて充電池が充電器に接続されているときに前記複数のLEDのアノードに定電圧を印加する定電圧回路と、
前記2つのLEDの内の第1のLEDのカソードから第2のLEDのカソードへと順方向接続されている整流器と、
前記第2のLEDに流れる電流によりオンして前記第1のLEDに発光用電流を流すトランジスタスイッチと、を備え、
前記第2のLEDのカソードが前記制御ポートに接続されており、前記制御ポートが閉じているとき、前記2つのLEDに前記定電圧回路から定電圧を印加して発光用電流を流し、前記制御ポートが開いているとき、前記定電圧回路から前記第2のLEDに流れる電流により前記トランジスタスイッチをオンして前記第1のLEDに発光用電流を流す、ことを特徴とするLED点灯回路。
【請求項2】
前記制御用ICは、異常時に前記制御ポートを予め定めた周期で開閉することを特徴とする請求項1に記載のLED点灯回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のLED点灯回路を備えたことを特徴とする充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電器に用いられるLED点灯回路と、それを用いた充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば無線機の充電池用の充電器においては、“充電中”、“充電完了”の2つの状態を示すLED点灯回路が用いられている。従来、このLED点灯回路の制御用ICには、2つのLEDの点灯、消灯を切り替えるために2つのオープンドレイン型の制御ポートが割り当てられていた。
【0003】
充電器で用いる制御用ICには、制御ポートを1つだけ備えているものがある。この制御用ICでは、1つの制御ポートに接続されている1つのLEDを点灯又は消灯させることしかできず、2つのLEDの点灯制御を行うことができない。
【0004】
制御ポートを1つだけ備えている制御用ICと、該制御用ICと同様の機能を有する複数の電源スイッチ回路と、対応するいずれかのLEDへの給電をイネーブルにする論理回路とを用いて、複数のLEDの点灯制御を行う装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−041142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているような従来の装置では、制御用ICの他に、該制御用ICと同様の機能を有する複数の電源スイッチ回路と論理回路を追加する必要が生じ、回路が大型化及び複雑化するという問題がある。また、制御ポートの開閉だけでなく、他の電源スイッチのオン/オフを制御する必要が生じ、制御内容が複雑化する。
【0007】
そこで、本発明は、1つの制御ポートしか有していない制御用ICを用いるLED点灯回路において、1つの制御ポートの開閉のみの制御によって、異なる色の2つのLEDを点灯又は消灯して“充電中”、“充電完了”の少なくとも2つの状態を表示可能なLED点灯回路と、それを用いた充電器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、複数のLEDの発光色によって状態を示す充電器に用いられるLED点灯回路において、それぞれ異なる色を発光する少なくとも2つのLEDと、充電中に閉じて回路を接地し、充電完了時に開いて回路を開放するオープンドレイン型の制御ポートを有し、該制御ポートの開閉により前記2つのLEDの点灯を制御する制御用ICと、前記制御用ICにより制御されて充電池が充電器に接続されているときに前記複数のLEDのアノードに定電圧を印加する定電圧回路と、前記2つのLEDの内の第1のLEDのカソードから第2のLEDのカソードへと順方向接続されている整流器と、前記第2のLEDに流れる電流によりオンして前記第1のLEDに発光用電流を流すトランジスタスイッチと、を備え、前記第2のLEDのカソードが前記制御ポートに接続されており、前記制御ポートが閉じているとき、前記2つのLEDに前記定電圧回路から定電圧を印加して発光用電流を流し、前記制御ポートが開いているとき、前記定電圧回路から前記第2のLEDに流れる電流により前記トランジスタスイッチをオンして前記第1のLEDに発光用電流を流す、ことを特徴とする。
【0009】
また、前記制御用ICは、異常時に前記制御ポートを予め定めた周期で開閉することが好ましい。
【0010】
また、本発明の充電器は、前記LED点灯回路を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、制御ポートを1つしか有していない制御用ICを用いて、異なる色の複数のLEDの点灯及び消灯を制御し、2つのLEDを両方点灯し、または片側点灯することによって少なくとも“充電中”、“充電完了”を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は本発明の一実施の形態に係るLED点灯回路を備えた充電器の斜視図、(b)はこの充電器に充電池を内蔵した無線機を装着して充電している状態を示す正面図。
図2】同充電器に備えたLED点灯回路の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のLED点灯回路は、充電器に用いられ、オープンドレイン型の制御ポートを1つしか備えていない制御用ICを内蔵している回路である。LED点灯回路は、制御ポートを閉じて接地した場合に異なる色の2つのLEDを同時に点灯してその混合色を発光させる。2つのLEDの一方(第1)のLEDのカソードは整流器を介して他方(第2)のLEDのカソードに接続されている。LED点灯回路は、制御ポートを開いて回路を開放した場合に他方のLEDに流れる微小電流によってスイッチングトランジスタをオンに切り替え、これによって一方のLEDのカソードを接地して発光させる回路を備える。当該構成を採用したことにより、1つの制御ポートの開閉のみで2つのLEDの同時点灯及び片側点灯を切り替え、少なくとも“充電中”、“充電完了”の2つの状態を表示することができる。
【0014】
図1(a)(b)に示すように、本発明のLED点灯回路1(図2)を内蔵している充電器50は、充電池を内蔵した無線機60(“充電池”として扱う)を配置するための立設部分51を有している台座52と、無線機60の充電用端子に接続される複数の接続端子53と、充電中は橙色に発光し、充電完了時には緑色に発光する2色LED11とを備える。充電は、無線機60を充電器50に載置することにより開始される。充電器50には、交流電源から給電されるACアダプタ7(図2)の出力が入力される。
【0015】
図2に示すように、充電器50は、LED点灯回路1と、該回路1の充電池用給電端子2、充電池検出端子3、温度検出端子4及び接地端子5となる複数の接続端子53と、ACアダプタ7の出力端子が接続される給電端子6とを備える。充電池用給電端子2は、無線機60へ充電用電力を供給する。充電池検出端子3は、充電器50に無線機60が装着されたことを検知し、その充電度を調べる。温度検出端子4は、無線機60の充電異常を調べるため、その温度を検知する。
【0016】
LED点灯回路1は、制御用IC10と、異なる色を発するコモンアノード型の2色LED11と、2色LED11へ給電を行う定電圧回路12と、LEDの点灯を切り替える切り替え回路13と、降圧回路14と、を備える。降圧回路14は、制御用IC10の充電池給電用ポート10cから出力される給電電位を12Vから8.4Vに降圧して充電池用給電端子2に出力する。
【0017】
制御用IC10は、充電中に閉じて回路を接地し、充電完了時に開いて回路を開放するオープンドレイン型の制御ポート10aを有し、異常時には内部クロック信号を用いて制御ポート10aを予め定めた周期で開閉する機能を有している。異常時とは、充電器50に載置している無線機60の温度が予め定めた温度以上に熱くなった場合や、充電が予め定めた時間を越えても充電完了とならない場合をいう。制御ポート10aの他、制御用IC10は、ACアダプタ7用の給電端子6及び定電圧回路12に接続されている給電用ポート10bと、降圧回路14を介して充電池用給電端子2に接続されている充電池給電用ポート10cと、充電池検出端子3に接続されている充電池検出用ポート10dと、温度検出端子4に接続されている温度検出ポート10eと、オープンドレイン型の制御ポート10aを接地する接地ポート10fと、を備える。
【0018】
2色LED11は、緑色に点灯する第1のLED11aと、赤色に点灯する第2のLED11bとを含むコモンアノード型のLEDで、LED11a及びLED11bが同時に点灯すると混色作用により橙色に発光する。
【0019】
定電圧回路12は、制御用IC10により制御されて無線機60が充電器50に装着されているときに2色LED11のアノードに定電圧(=5V)を印加する。詳しくは、定電圧回路12は、無線機60が充電器50に装着されて充電池検出端子3の電位が高く(例えば5.6V〜8.4V)なった場合にオンに切り替わるNチャンネル型MOSFET12aを備える。また、定電圧回路12は、このFET12aのソースに流れる電流に基づいてオンに切り替わり、制御用IC10のLED給電用ポート10bからの電位を降圧して定電圧出力するnpnバイポーラトランジスタ12bを備える。定電圧回路12は、その他、抵抗12c、整流用ダイオード12d、及び平滑用コンデンサ12eと、を備える。
【0020】
切り替え回路13は、2色LED11の各カソードに接続されている抵抗R1、R2と、2色LED11の内の第1のLED11aのカソードから第2のLED11bのカソードへと順方向接続されている整流器(本実施形態ではダイオード)13aとを備える。また、切り替え回路13は、第2のLED11bに流れる微小電流によりオンして第1のLED11aに発光用電流を流すトランジスタスイッチ13bを備える。第2のLED11bのカソードは、制御ポート10aに接続されている。第2のLED11bに流れる微小電流とは、制御ポート10aが開かれて切断状態になった後に、第2のLED11b及び抵抗R2を通り、トランジスタスイッチ13bのベースへと流れる僅かな電流で、第2のLED11bを点灯するのに満たない数ミリアンペア程度の電流をいう。トランジスタスイッチ13bは、例えばコレクタが抵抗R1を介して第1のLED11aに接続され、エミッタが接地され、ベースが第2のLED11bのカソードに抵抗R2を介して接続されているNPNバイポーラトランジスタである。なお、トランジスタスイッチ13bは、スイッチング動作を安定させるために、例えばベースに入力抵抗を備え、ベース・エミッタ間に抵抗を備えた、いわゆるデジタルトランジスタであることが望ましい。
【0021】
上記のようにLED点灯回路1は構成されているので、無線機60の充電中、制御用IC10によって制御ポート10aが閉じられている間、切り替え回路13は、2色LED11に定電圧回路12から定電圧(=5V)を印加して発光用電流を流す(両方点灯)。詳しくは、第1のLED11aに供給された電流は、抵抗R1、整流器13aを通って接地状態にある制御ポート10aへと流れ、第1のLED11aを発光させる。第2のLED11bに供給された電流は、抵抗R2を通って制御ポート10aへと流れ、第2のLED11bを発光させる。
【0022】
また、無線機60の充電が完了すると、制御用IC10によって制御ポート10aが開かれる。この場合、切り替え回路13は、定電圧回路12から第2のLED11b及び抵抗R2を介してトランジスタスイッチ13bのベースへと流れる微小電流によって該トランジスタスイッチ13bをオンして第1のLED11aに発光用電流を流す(片側点灯)。詳しくは、制御ポート10aが開いて回路が開放されている場合、2色LED11は一度消灯する。しかし、第2のLED11bを流れる微小電流により、エミッタ接地されているトランジスタスイッチ13bがオンすることによって第1のLED11aが点灯する。
【0023】
また、制御用IC10は、無線機60の温度が予め定めた温度以上になった場合等に異常が発生したと判断して、制御ポート10aを予め定めた周期で開閉する。制御ポート10aを開いたとき、2色LED11は、橙色の発光状態から、僅かな時間完全消灯した後に緑色の発光状態になる。このため、制御ポート10aを繰り返し開閉した場合、単に1つの色のLEDを点滅する場合に比べて、より高い注意喚起能力を発揮することができる。
【0024】
このように、本実施形態のLED点灯回路1によれば、制御用IC10が備えている1つだけのオープンドレイン型の制御ポート10aを開閉するだけで、無線機60を充電している間は2色LED11を同時点灯して橙色に発光させ、充電が完了した場合には片側点灯して緑色に発光させることができる。
【0025】
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、制御用IC10は、タイマー機能を有し、充電時間が予め定めた時間経過した時点で充電電圧が予め定めた電圧に達していない場合に異常と判断する構成を採用することによって、このような異常時判断が可能となる。また、本実施形態では、充電池を内蔵した無線機60を充電池として扱っているが、充電器50は、無線機60に着脱可能に取り付けられているカートリッジ型の充電池本体を、直接またはアダプタを介して装着できる構成を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係るLED点灯回路を用いる充電器は、無線機用に限らず、オープンドレイン型の制御ポートを1つしか備えていない制御用ICを用いて2つ以上のLEDの点灯及び消灯を制御する必要のある種々の充電器に使用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 LED点灯回路
10 制御用IC
10a 制御ポート
11 2色LED
11a 第1のLED
11b 第2のLED
12 定電圧回路
13a 整流器
13b トランジスタスイッチ
50 充電器
60 無線機
図1
図2