(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6221810
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】押出プレスのビレット挿入装置
(51)【国際特許分類】
B21C 33/00 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
B21C33/00
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-27089(P2014-27089)
(22)【出願日】2014年2月17日
(65)【公開番号】特開2015-150589(P2015-150589A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】宇部興産機械株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山本 武治
【審査官】
川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−171618(JP,A)
【文献】
実開平05−018734(JP,U)
【文献】
特開平04−071717(JP,A)
【文献】
米国特許第05755546(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 33/00
B21K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リアローディング式押出プレスでビレットをプレス中心にあるコンテナ穴へ挿入する際、プレス中心へビレット供給装置などでビレットを搬送した後に、ビレット端面を押すことによりコンテナ内にビレットを挿入する、ビレット保持装置とビレット押込み装置から成るビレット挿入装置において、
押し込み側のビレット端部を下方向に押圧保持することで、挿入先端部の自重で下方に垂れることを防止し、且つプレスのコンテナ方向に対しては移動自在にしたことを特徴としたビレット挿入装置。
【請求項2】
ビレット挿入開始時は、回転自在のレバーのビレット保持装置をビレットに密着させて押して行き、ビレットとコンテナ間に働く摩擦力に追従して押し込み力を増加させることができることを特徴とした請求項1に記載のビレット挿入装置。
【請求項3】
ビレット保持装置は、ビレットの上下方向を拘束したまま押出方向へ移動可能とし、押し込み力に作用する負荷に比例してビレットに下方向の保持力が増す構造としたことを特徴とした請求項2に記載のビレット挿入装置。
【請求項4】
ビレット押し込み装置とは離反自在になるように、回転自在に押し込み側ビレット端面のビレット端部を押込み保持できるビレット保持装置を構成したことを特徴とした請求項1に記載のビレット挿入装置。
【請求項5】
ビレットをビレット搬入装置から受け渡す場合、ビレット保持装置はビレット通過が出来る様に、所定位置へ退避できるようにしたことを特徴とした請求項1に記載のビレット挿入装置。
【請求項6】
ビレットをコンテナへ挿入が完了後、押し込み装置駆動用チェーンにビレット保持装置押戻し用の装置を設けて、チェーン駆動でビレット保持装置が初期位置まで動作できるようにしたことを特徴とした請求項1に記載のビレット挿入装置。
【請求項7】
ビレット挿入装置のビレット下面の高さはコンテナ下面に対して若干上に配置したことを特徴とした請求項1に記載のビレット挿入装置。
【請求項8】
リアローディング式押出プレスでビレットをプレス中心にあるコンテナ穴へ挿入する際、プレス中心へビレット供給装置などでビレットを搬送した後に、ビレット端面を押すことによりコンテナ内にビレットを挿入する、ビレット保持装置とビレット押込み装置から成るビレット挿入装置において、
押し込み側のビレット端部を下方向に押圧保持し且つプレスのコンテナ方向に対しては移動自在にし、ビレット挿入開始時は、ビレットとコンテナ間に働く摩擦力に追従して押し込み力を増加させることができる回転自在のレバーのビレット保持装置と、
ビレットの上下方向を拘束したまま押出方向へ移動可能とし、押し込み力に負荷が作用するほどビレットに下方向の保持力が増す構造としたビレット保持装置とビレット押込み装置を一体としたことを特徴としたビレット挿入装置。
【請求項9】
ビレット挿入装置のビレット下面の高さはコンテナ下面に対して若干上に配置したことを特徴とした請求項8に記載のビレット挿入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は押出プレス装置に係り、特にリアローディング式押出プレスにおいてビレットをプレス中心にあるコンテナ穴に挿入する際の押出製品の高品質化に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、金属材料、例えばアルミニウム又はその合金材料等によるビレットを押出プレ
ス装置により押出す場合、油圧シリンダで駆動されるメインラムの先端部に押出ステムが取り付けられており、ダイスにコンテナを押し付けた状態で、ビレットを押出ステムなどでコンテナ内に収納する。そして、メインラムを更に油圧シリンダの駆動により前進させることにより、ビレットが押出ステムにて押圧される。そこで、ダイスの出口部から、成形された製品が押出される。
【0003】
この従来型の押出プレス装置では、コンテナにビレットを装填するときに、押出ステムの先端は、このビレットの長さ分、後退されなければならないため、メインラムのストロークは、ビレット長に、押出ステムの長さを加えたものとなっている。そこで、このメインラムのストロークを確保するには、従来型の押出プレス装置の全体が長大化してしまい、メインラムを駆動する油圧シリンダ自体も大型化し、これに伴って、作動させる油量も多く必要となる。
【0004】
近年においては、リアローティング型と呼ばれるショートストロークプレス方式が採用されている。このリアローディング型では、ビレット供給時には、ビレット供給用スペースを確保するため、押出ステムを移動させている。当初の押出ステム位置から押出ステムを、例えば、水平移動させ、押出ステムの側方において、コンテナの押出ステム側にビレット供給用のスペースを開けている。このスペースに、ビレットが供給される。
【0005】
ビレットの供給は、ビレットローダ装置に備えられているビレット挿入装置が軸方向に駆動されて、ビレットが、コンテナのビレット収容部内に挿入され、装填される。
【0006】
ビレットがさらに挿入されて、ビレット収容部への装填が完了すると、ビレットローダ装置は、押出プレス装置から側方に退避され、次ビレットの投入準備動作に移行する。この後、移動されていた押出ステムが、駆動されて当初のビレット収容部の軸位置に戻される。そこで、主油圧シリンダが駆動されて、メインラムが前進することにより、押出ステムが、ビレットへの押圧を開始し、以後、ビレットは、ダイスによって押出成形される
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−171618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来型の押出プレスでは以下のような課題があった。
1000系のような純アルミビレットを押出すためにコンテナにビレットを挿入する際、材料が柔らかく粘りがあり、コンテナ下面とビレット下面の接触による摩擦力のために、コンテナにビレットを挿入する途中で余儀なく停止させられることがある。このため、押出プレス運転停止が起こり生産性の低下につながっていた。
【0009】
また、特許文献1の発明では、従来型の押出プレスでは以下のような課題があった。
すなわち、2台のスウィングアームに多数のビレット搬送用ローラが付いているため、構造が複雑で、しかもメンテが容易ではない。
さらに、押出ステムでビレットを押すことにより、搬送用ローラを広げた時にアルミが搬送用ローラに付着する。その結果、搬送用ローラのすべりが悪くなり、更には芯が出なくなってしまう。
また、このアルミがフィックスダミーブロックに付着し、フィクスダミーブロックの寿命が短くなるとともに、クリーニングを含めたメンテが容易ではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
リアローディング式押出プレスでビレットをプレス中心にあるコンテナ穴へ挿入する際、プレス中心へビレット供給装置などでビレットを搬送した後に、ビレット端面を押すことによりコンテナ内にビレットを挿入する、ビレット保持装置とビレット押込み装置から成るビレット挿入装置において、
押し込み側のビレット端部を下方向に押圧保持する
ことで、挿入先端部の自重で下方に垂れることを防止し、且つプレスのコンテナ方向に対しては移動自在にした。
【0011】
ビレット挿入開始時は、回転自在のレバーのビレット保持装置をビレットに密着させて押して行き、ビレットとコンテナ間に働く摩擦力に追従して押し込み力を増加させるようにした。
【0012】
ビレット保持装置は、ビレットの上下方向を拘束したまま押出方向へ移動可能とし、押し込み力に作用する負荷に比例してビレットに下方向の保持力が増す構造とした。
【0013】
ビレット押し込み装置とは離反自在になるように、回転自在に押し込み側ビレット端面のビレット端部を押込み保持できるビレット保持装置を構成した。
【0014】
ビレットをビレット搬入装置から受け渡す場合、ビレット保持装置はビレット通過が出来る様に、所定位置へ退避できるようにした。
【0015】
ビレットをコンテナへ挿入が完了後、押し込み装置駆動用チェーンにビレット保持装置押戻し用の装置を設けて、チェーン駆動でビレット保持装置が初期位置まで動作できるようにした。
【0016】
ビレット挿入装置のビレット下面の高さはコンテナ下面に対して若干上に配置した。
【0017】
リアローディング式押出プレスでビレットをプレス中心にあるコンテナ穴へ挿入する際、プレス中心へビレット供給装置などでビレットを搬送した後に、ビレット端面を押すことによりコンテナ内にビレットを挿入する、ビレット保持装置とビレット押込み装置から成るビレット挿入装置において、
押し込み側のビレット端部を下方向に押圧保持し且つプレスのコンテナ方向に対しては移動自在にし、ビレット挿入開始時は、ビレットとコンテナ間に働く摩擦力に追従して押し込み力を増加させることができる回転自在のレバーのビレット保持装置と、
ビレットの上下方向を拘束したまま押出方向へ移動可能とし、押し込み力に負荷が作用するほどビレットに下方向の保持力が増す構造としたビレット保持装置とビレット押込み装置を一体とした。
【発明の効果】
【0018】
1000系のような純アルミビレットを押出すためにコンテナにビレットを挿入する際、材料が柔らかく粘りがあり、ビレット押込み端部の下方向に保持力を作用させてコンテナ下面とビレット下面の接触による摩擦力が発生していたが、その摩擦力を低減したため、コンテナにビレットを挿入する途中で停止することがなく、プレス運転が連続的に行われ生産性の向上につながる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】本発明のビレット挿入装置の全体概観図である。
【
図3】本発明のビレット保持装置を説明する図である
【
図4】本発明のビレット保持装置とビレット押込み装置の動作中の形態を説明する 図である。
【
図5】本発明のビレット保持装置とビレット押込み装置の初期位置を説明する図で ある。
【
図7】本発明のビレット保持装置とビレット押込み装置を一体にしたビレット挿入 装置がビレットを挿入開始した図(a)とビレットを挿入完了した図(b) である。
【
図8】本発明のビレット保持装置とビレット押込み装置を一体にしたビレット挿入 装置の拡大図である。
【
図9】本発明のビレット保持装置とビレット押込み装置を一体にした全体外形図兼 動作フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るリアローディング押出プレスのビレット挿入装置の実施形態を、図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0021】
図6に示すように、本発明に用いるリアローディング押出プレスはエンドプラテン1とメインシリンダ7を対向して配置し、両者を複数のタイロッド4によって連結している。エンドプラテン1の内側面には押出穴が形成されたダイス2を挟んでコンテナ3が配置され、コンテナ3内にビレット10を装填し、これをダイス2に向けて押出加圧することでダイス穴に応じた断面の押出製品が押出成形される。
【0022】
押出作用力を発生させるメインシリンダ7は、メインラム8を内蔵し、これをコンテナ3に向けて加圧移動可能としている。このメインラム8の前端部にはコンテナ3のビレット装填穴と同芯配置されるように押出ステム5がその先端に図示しないフリーダミーブロックを密接させて、コンテナ3に向けて突出状態でメインクロスヘッド6を介して取付けられている。したがって、メインシリンダ7を駆動してメインクロスヘッド6を前進させると、押出ステム5がコンテナ3のビレット装填穴に挿入され、装填されたビレット10の後端面を加圧して押出製品を押出すのである。
【0023】
なお、前記メインシリンダ7には押出軸心と平行に複数のサイドシリンダ9が取付けられており、そのシリンダロッドがメインクロスヘッド6に連結されている。これによって押出工程の準備工程として押出ステム5をコンテナ3に近接させた位置に初期移動させ、押出加圧動作はメインシリンダ7及びサイドシリンダ9の両者を用いて行なわせる構成となっている。
【0024】
図1に本発明の基本概念を示す。ビレット10をコンテナ3内に押し込むと、自重により先端部が下方に垂れようとする。この現象によってビレット10先端の下面とコンテナ3下面との間に摩擦力が働き、様々な弊害をもたらす。そこで、本発明では、ビレット10の反対の先端上部を上面から押圧することにより、前記の垂れを防止しようとするものである。
【0025】
図2にビレット保持装置30、ビレット押込み装置50を含めたビレット挿入装置70の全体の概観図を示す。
【0026】
図3に、本実施形態のビレット保持装置の側面図と平面図と断面図を示す。ビレット保持装置30には駆動源がなく、ビレット保持装置30とは独立して移動するビレット押込み装置50が保有する押込み板55によって押されてリニアガイド38で移動する構成になっている。
ビレット保持装置は1つの保持フレーム33、保持アーム31、それぞれ2つの押圧球35とバネ部36により構成されており、ガイド40、保持サポート37を介してリニアガイド38で直線的に自由に移動できるようになっている。
押込み開始時には、保持アーム31はバネ32によって引張られて、反時計廻りに立っている。同時に押圧球35もビレット10に接触していない。通常、ビレット10の先端とコンテナ3との間に摩擦抵抗がない時、すなわちスムーズにビレット10がコンテナ3に挿入されている時にはこの状態でビレット10をコンテナ3の中に挿入する。
【0027】
しかし、ビレット10先端部にコンテナ3との接触による摩擦抵抗が発生してくると、その摩擦抵抗に追従して保持アーム31が時計回りに回転してくる。その摩擦抵抗が大きくなり、保持アーム31が時計回りに回転するとビレット保持装置30のローラ34とビレット押込み装置50の押付け部のローラ54と一直線上となり、ビレット押込み装置50がビレット10を押し込むことになる。
以上のように摩擦抵抗が増加した場合、保持アーム31と、押圧球35及びバネ部36は連動しているので、押圧球35とバネ部36が一体となって時計回りに円弧を描いてビレット10上部に押圧力を負荷してくる。負荷の大きさは保持アーム31の回転とともに大きくなり、前記、ビレット保持装置30のローラ34とビレット押込み装置50の押付け部のローラ54とが一直線上、すなわち両ローラが共にビレット10を同時に押す状態になったとき、押圧球35及びバネ部36による押圧力が最大となり、ビレット10の先端を上部から押圧することになる。
押圧力を発生するのは、本図では押圧球35とバネ部36になっているが、ローラプランジャー、油圧シリンダ、エアーシリンダ、あるいはサーボモータ駆動によるボールネジのようなものであってもよい。
また保持アーム31を保持するバネ32は油圧シリンダ、エアーシリンダ、あるいはサーボモータ駆動によるボールネジのようなものであってもよい。
【0028】
図2にビレット押込み装置50の概形を示す。ビレット押込み装置50はローラ54とそれを支持するローラサポート53、押込み用ブラケット52とから構成されている。
図2(e)でもわかるように、先端にはビレット押部であるローラ54が装着されている。ビレット押込み装置50は、初期状態として図(g)のように、ビレットローダのフリーローラ部72の下部に待機しており、ビレット10がビレットローダのフリーローラ部72の上部に達した後、チェーン駆動により上方に移動してくる。
【0029】
図2(c)にビレット保持装置30の退避用装置60の形態を示す。
退避用装置60は退避用シリンダ61と退避用部品62とから構成されている。
ビレット10がビレットローダのフリーローラ部72に侵入する時には、ビレット保持装置30と干渉しないように、ビレット保持装置30はビレット10の通路から退避しなくてはならない。
この場合使用するのが、退避用装置60である。退避用装置60は退避用シリンダ61と退避用部品62とから構成され、シリンダ駆動によりビレット保持装置30を挿入装置軸芯から直角の方向にビレット10と干渉しない位置まで移動させる。
なお、ビレット保持装置30はガイド40を摺動して移動するため、退避後、元の位置に戻って来ても位置がずれることはない。
【0030】
図4(a)に、ビレット押込み装置50がビレット10をコンテナ3内に押込む途中の状態を、また
図4(b)に、ビレット押込み装置50がビレット10をコンテナ3内に押込み完了した状態を示す。
いずれの場合でもビレット10の下面とコンテナ3の下面との間には隙間が存在し、ビレット10が損傷することなく、かつ摩擦抵抗が発生することもなくスムーズにコンテナ3内に挿入される。
【0031】
ビレット保持装置30とビレット押込み装置50の初期位置について述べる。
図5に、ビレット保持装置30とビレット押込み装置50の初期位置を示す。
初期位置とはビレット10がビレットローダのフリーローラ部72に侵入するときに、ビレット10と干渉しないための、ビレット保持装置30とビレット押込み装置50の待機位置をいう。
ビレット保持装置30はビレットローダのフリーローラ部72の上方で、ビレット10がビレットローダのフリーローラ部72に侵入する時に干渉しない位置、すなわちビレットローダのフリーローラ部72の軸芯の直角方向に退避した位置が初期位置となる。詳細を
図2(c)で示した。
ビレット保持装置30は駆動源を持たないので、ビレット10を挿入する時には、ビレット押込み装置50により押されるが、ビレット10の挿入完了後、初期位置に戻るときにはチェーンに付いた復帰用アタッチメント71でビレット保持装置30のフック30を押すことによって、初期位置に復帰する。
一方、ビレット押込み装置50は、ビレット挿入装置のビレット10侵入側でかつ、ビレットローダのフリーローラ部72の下方が初期位置になる。ビレット押込み装置50はビレット保持装置30を押してビレット10をコンテナ3の中に挿入するが、駆動源はモータで、初期位置に復帰するのもモータの駆動によるものである。
【0032】
図6に本発明の形態の動作フローを示す。
(1)ビレット10がビレットヒータ21により予熱されてビレット搬入装置23へ移動 。
(2)ビレット10がビレット移送装置24により、ビレットヒータ位置からビレットプ ッシャー26中心位置へ移動。
(3)ビレットプッシャー26によりビレット移送装置トレイ23上にあるビレット10 はビレットローダ27へ移動。
(4)ビレットプッシャー26が後退。
(5)ビレット保持装置30が初期位置からビレットローダ27のビレットローダのフリ ーローラ部72の中心へ移動。
(6)ビレット10がストッパー29に当たるまで、ビレット押込み装置50がビレット 挿入装置の下部から上がってきて、ビレット保持装置30と共に前進。
(7)ビレットローダ27が押出プレスセンターまで移動。
(8)ビレット押込み装置50がビレット保持装置30を用いて、ビレット10を押込み 、コンテナ3内へビレット10を挿入。
(9)ビレット保持装置30がビレット押込み装置50のチェーン駆動により後退して、 コンテナ3から若干離れる。
(10)ビレットローダ27が後退する。
(11)ビレット押込み装置50とビレット保持装置30が後退し初期位置に戻る。
【0033】
以上は、ビレット保持装置30とビレット押込み装置50が独立して移動できる場合について述べてきたが、ビレット保持装置30とビレット押込み装置50が一体となった場合の実施例について述べる。
ビレット10をコンテナ3に挿入するときの構成、及び押圧球35及びバネ部36によるビレット10端部の上部を押圧する構成については同様であるが、ビレット保持装置30とビレット押込み装置50が一体のものは、ビレット保持装置30をビレット10の侵入から退避させるための退避用装置60とビレット保持装置の復帰用の復帰用アタッチメント71が不要になっている。また、ビレット保持装置30とビレット押込み装置50にはそれぞれ初期位置があり、それを実現する為に必要な構成があったが、一体のものは、それらが不要で、ビレットローダのフリーローラ部72の端部でビレット10と干渉しない位置が初期位置になる。
また、一体にしたものはビレットローダのフリーローラ部72でなくリニアガイドのようなものでもよい。
【0034】
図8に本発明の形態の動作フローを示す。
(1)ビレット10がビレットヒータ21により予熱されてストッパー41の位置まで移 動。
(2)図示しないビレット搬送装置がビレット10をクランプする。
(3)図示しないビレット搬送装置が上昇し、ビレット10をビレットローダのフリーロ ーラ部72の中心部に搬送。
(4)図示しないビレット搬送装置がフリーローラ22の初期位置の位置へ後退。
(5)ビレット押込み装置70がビレットをストッパー29まで押し込む。
(6)押出が終了し、次工程のビレット10をビレットローダ27で押出プレスのマシン センターへ移動。
(7)ビレット挿入装置70がビレット10を押込み開始。この時ビレット保持装置30 が自動的に作用。
(8)ビレット10のコンテナ3内への挿入完了。
(9)ビレットローダ27が後退する。
(10)ビレット挿入装置70が初期位置に戻る。
【0035】
本発明は、以上の構成であるから以下の効果が得られる。
1000系のような純アルミビレットを押出すためにコンテナにビレットを挿入する際、材料が柔らかく粘りがあり、ビレット押込み端部の下方向に保持力を作用させてコンテナ下面とビレット下面の接触による摩擦力が発生していたが、その摩擦力を低減したため、コンテナにビレットを挿入する途中で停止することがなく、プレス運転が連続的に行われ生産性の向上につながる。
【符号の説明】
【0036】
1 エンドプラテン
2 ダイス
3 コンテナ
4 タイバー
5 押出ステム
6 メインクロスヘッド
7 メインシリンダ
8 メインラム
9 サイドシリンダ
10 ビレット
21 ビレットヒータ
22 フリーローラ
23 ビレット搬入装置トレイ
24 ビレット移送装置
25 レール
26 ビレットプッシャー
27 ビレットローダ
28 フレーム
29 ストッパー
30 ビレット保持装置
31 保持アーム
32 引張りバネ
33 保持フレーム
34 ローラ
35 押圧球
36 バネ部
37 保持用サポート
38 リニアガイド
39 フック
40 ガイド
41 ストッパー
50 ビレット押込み装置
51 ローラ
52 押込み用ブラケット
53 ローラサポート
54 ローラ
55 押込み板
56 ローラガイド部
60 退避用装置
61 退避用シリンダ
62 退避用部品
70 ビレット挿入装置
71 復帰用アタッチメント
72 ビレットローダのフリーローラ部